(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記発症可能性判定手段は、前記体重受付手段が受け付けた体重が前記発症予測体重以上となるか、又は、前記体重記憶手段に記憶される体重が直近の所定期間連続して増加しているかのいずれかである場合にも、心不全又は腎不全が発症する可能性が高い状態である警告状態であると判断する請求項1に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
  前記パラメーター値には、体のインピーダンス値、経皮的動脈血酸素飽和度、平常時の心拍数、平常時の特定の心拍リズムの発症回数、血圧値、所定期間の尿量、心拍出量、ペースメーカーの胸郭インピーダンス値、無呼吸低呼吸指数の変化量、非侵襲的陽圧換気における圧の変化量、特定の呼吸パタン発生回数の少なくとも一つが含まれる請求項3に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
  前記パラメーター値は2以上存在するものであって、このうちの所定数が前記閾値を超えた場合に、心不全又は腎不全が発症する可能性が高い状態である警告状態であると判断する請求項3又は4に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
  前記初期設定値は、心不全又は腎不全に関する、病気の発症時の体重、病気の改善時の体重、病気による入院時の体重、病気による入院からの退院時の体重、病気による脱水時の体重の少なくとも1つを含む
請求項9に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
  前記通知手段は、警告状態の通知に際して、前記発症可能性判定手段の判定条件に対応した通知を行なう請求項1から11のいずれか1項に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
  前記対象者の識別情報を読み取る識別情報読み取り手段を有し、前記体重受付手段は当該識別情報に関連づけて体重を受け付ける請求項13に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
  食前食後か否か、排便前後か否か、着衣の程度の少なくとも一つの情報を受け付けて、当該情報に基づき前記体重受付手段が受け付けた体重を補正する体重補正手段を有し、
  前記体重記憶手段は前記体重データ受付手段が受け付けた体重を記憶することに代えて、前記体重補正手段が補正した体重を記憶し、
  前記発症可能性判定手段は前記体重受付手段が受け付けた体重が前記発症予測体重以上となったかどうかを判定することに代えて、前記補正手段が補正した体重が前記発症予測体重以上となったかどうかを判定する
請求項1から14のいずれか1項に記載の心不全又は腎不全発症警告装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
  しかし、心不全や腎不全による入院から退院した患者が、定期的に測定した体重を記録することは煩わしく、また、記録内容から病気の再発の可能性等の判断を行うことも難しい。
  本発明はこのような事情に鑑みて、主に心不全や腎不全の発症経験者の体重を自動的に記憶し、病気再発の可能性が高くなったときに警告を通知できる装置を提供することを課題とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0004】
  上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
  請求項1に記載の発明は、定期的に測定される体重を受け付ける体重受付手段と、前記体重データ受付手段が受け付けた体重を記憶する体重記憶手段と、心不全又は腎不全が発症すると予測される体重である発症予測体重を記憶する発症予測体重記憶手段と、前記体重受付手段が受け付けた体重が前記発症予測体重以上となり、かつ、前記体重記憶手段に記憶される体重が直近の所定期間連続して増加している場合に、心不全又は腎不全が発症する可能性が高い状態である警告状態であると判断する発症可能性判定手段と発症可能性判定手段が警告状態であると判断した場合に、通知を行う通知手段とを有する心不全又は腎不全発症警告装置である。
  請求項2に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、前記発症可能性判定手段は、前記体重受付手段が受け付けた体重が前記発症予測体重以上となるか、又は、前記体重記憶手段に記憶される体重が直近の所定期間連続して増加しているかのいずれかである場合にも、心不全又は腎不全が発症する可能性が高い状態である警告状態であると判断するものである。
【0005】
  請求項3に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、心不全又は腎不全に関する病状発症に相関関係のある1以上のパラメーター値の入力を前記体重の測定に際してに受け付けるパラメーター値受付手段と、前記パラメーターごとに心不全又は腎不全が発症すると予測される閾値を記憶する発症パラメーター値記記憶手段とを有し、
  前記発症可能性判定手段は、前記パラメーター値の少なくとも1以上が前記閾値を超えた場合にも、心不全又は腎不全が発症する可能性が高い状態である警告状態であると判断するものである。なお、ここにいう「超えた」には、小さな値の方が陽性であるパラメーターの場合のように、パラメーター値が閾値より小さくなることを意味する場合がある。
  請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の心不全又は腎不全発症警告装置において、  前記パラメーター値には、体のインピーダンス値、経皮的動脈血酸素飽和度、平常時の心拍数、平常時の特定の心拍リズムの発症回数、血圧値、所定期間の尿量、心拍出量、ペースメーカーの胸郭インピーダンス値、無呼吸低呼吸指数の変化量、非侵襲的陽圧換気における圧の変化量、特定の呼吸パタンの発生回数の少なくとも一つが含まれるものである。
  請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の心不全又は腎不全発症警告装置において、前記パラメーター値は2以上存在するものであって、このうちの所定数が前記閾値を超えた場合に、心不全又は腎不全が発症する可能性が高い状態である警告状態であると判断するものである。
【0006】
  請求項6に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、前記発症予測体重記憶手段に記憶された発症予測体重を更新して記憶させる発症予測体重更新手段を有するものである。なお、更新した予測体重の記憶はもとの発症予測体重に上書きする場合のほか、追加で記憶させる場合が含まれる。
  請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の心不全又は腎不全発症警告装置において、  前記発症予測体重更新手段は、所定のアルゴリズムに基づいて自動で発症予測体重を更新して記憶させるものである。
  請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の心不全又は腎不全発症警告装置において、前記発症予測体重更新手段は、外部からの指示を受け付けて、発症予測体重を更新して記憶させるものである。
【0007】
  請求項9に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、複数の心不全発症又は腎不全発症に関連する体重である初期設定値を受け付けて前記発症予測体重を算出する発症予測体重算出手段を有し、前記発症予測体重記憶手段は発症予測体重算出手段が算出した前記発症予測体重を記憶するものである。
  請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の心不全又は腎不全発症警告装置において、前記初期設定値は、心不全又は腎不全に関する、病気の発症時の体重、病気の改善時の体重、病気による入院時の体重、病気による入院からの退院時の体重、病気による脱水時の体重の少なくとも1つを含むものである。
  請求項11に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、前記発症予測体重記憶手段は、段階的に2以上の発症予測体重を記憶し、前記通知手段は、いずれかの発症予測体重以上となった場合に通知を行う際には、当該発症予測体重に応じた通知を行うものである。
【0008】
  請求項12に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、前記通知手段は、警告状態の通知に際して、前記発症可能性判定手段の判定条件に対応した通知を行うものである。
  請求項13に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、前記体重受付手段は、2以上の対象者ごとに体重を受け付け、前記体重記憶手段は、前記対象者ごとに体重を記憶し、前記発症予測体重記憶手段は、前記対象者ごとに発症予測体重を記憶し、前記発症可能性判定手段は、前記対象者ごとに警告状態であるかどうかを判断し、通知手段は、対象者ごとに通知を行うものである。
  請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の心不全又は腎不全発症警告装置において、前記対象者の識別情報を読み取る識別情報読み取り手段を有し、前記体重受付手段は当該識別情報に関連づけて体重を受け付けるものである。
【0009】
  請求項15に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、食前食後か否か、排便前後か否か、着衣の程度の少なくとも一つの情報を受け付けて、当該情報に基づいて前記体重受付手段が受け付けた体重を補正する体重補正手段を有し、前記体重記憶手段は前記体重データ受付手段が受け付けた体重を記憶することに代えて、前記体重補正手段が補正した体重を記憶し、前記発症可能性判定手段は前記体重受付手段が受け付けた体重が前記発症予測体重以上となったかどうかを判定することに代えて、前記補正手段が補正した体重が前記発症予測体重以上となったかどうかを判定するものである。
  請求項16に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、前記通知手段は通信により外部装置に接続され、外部装置に対して通知を行うものである。
  請求項17に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置において、所定の体重計と通信により接続され、前記体重受付手段は当該体重計から体重を受け付けるものである。
  請求項18に記載の発明は、前記心不全又は腎不全発症警告装置が組み込まれ、前記体重受付手段に体重を通知する体重計である。
  請求項19に記載の発明は、コンピューターに請求項1から17のいずれか1項に記載の心不全又は腎不全発症警告装置としての機能を実現させるプログラムである。
 
【発明の効果】
【0010】
  以上のような構成により本発明は次のような効果を奏する。
  請求項1に記載の発明は、定期的に体重を測定することにより体重の変化量と、病気が発症すると予測される体重に達したことから事前に警告が通知されることで、心不全又は腎不全の病状が重篤になる前に受診を受けたり、薬を頓用したりするといった対応を取ることができる。
  請求項2に記載の発明は、体重の増加と病気が発症すると予測される体重に達したことのいずれか一方の条件を満たしたときにも警告が通知されるので、より確実に病気に対する対応を取ることができる。
【0011】
  請求項3に記載の発明は、体重以外のパラメーター値を加味して心不全の発症を判断するのでより判断の精度を高めることができる。
  請求項4に記載の発明は、これらのパラメーター値は心不全及び腎不全の発症と大きな相関関係を有するので、判断指標として好適である。
  請求項5に記載の発明は、多数パラメーター値が存在する場合に、すべてを個別で判断することにより煩雑さが解消され、また、複数の値が陽性である場合に病気発症の可能性が高いと判断することで、判断の信頼度が高くなる。
【0012】
  請求項6に記載の発明は、発症予測体重を更新することで、時間の経過による筋肉量の低下等、体組織の変化にともなう発症予測体重の変化に追従することができる。
  請求項7に記載の発明は、所定のアルゴリズムにより自動的に更新することで、使用者の手間を省くことができる。
  請求項8に記載の発明は、外部からの指示を受けて発症予測体重を更新することで、人為的判断を加味した柔軟な発症予測体重の更新を行うことができる。
  請求項9、10に記載の発明は、複数の初期設定値により病状を発症すると予測される体重を算出することで、より信頼性の高い発症予測体重を得ることができる。
  請求項11に記載の発明は、発症予測体重を段階的に複数記憶して、段階ごとに通知を代えることでよりきめ細かな警告を通知することができる。
【0013】
  請求項12に記載の発明は、警告の通知に際して、判定条件ごとに対応した通知を行うことでどの程度病状が進行しているかを認識させたり、どのような対応を取るべきかを認識させたりすることができる。
  請求項13に記載の発明は、一つの装置で複数の対象者の管理を行うことができる。
  請求項14に記載の発明は、識別情報読み取り手段により対象者を識別することで、体重等の測定時における識別情報のキーボート等による入力の手間を省くことができる。
  請求項15に記載の発明は、体重測定時における体重変動要素を加味して体重を補正することでより正確な体重値を得ることができる。
  請求項16に記載の発明は、外部装置に対して通知を行うことで、例えば、病院や介護会社に通知する等、外部の協力者に病状を知らせることが可能となる。
  請求項17に記載の発明は、体重計と通信で接続されることで体重を入力したり、体重計と有線で接続したりする必要がなくなり、より操作性を高くすることができる。
  請求項18に記載の発明は、体重計と心不全又は腎不全発症警告装置とを一体に形成することで、体重計として利用することで上述の効果を得ることができる。
  請求項19に記載の発明は、タブレットコンピューター、スマートフォン、パソコン等によって上記効果を奏する心不全又は腎不全発症警告装置を実現することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0015】
  以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
  
図1に本実施形態に係る心不全発症警告システムの機器構成を示す模式図を示す。心不全発症警告システムは、体重計WaとタブレットコンピューターCとから構成される。体重計WaはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの公知の通信方法により、タブレットコンピューターと接続され、体重情報を送信するようになっている。タブレットコンピューターCは後述するような動作を行うアプリケーションソフトウエアをインストールすることで、心不全発症警告装置Xを構成する。また、タブレットコンピューターCは複数の使用者に共有されるものであって、指紋認証によりログインできるように形成されている。
 
【0016】
  図2に心不全発症警告装置Xの機能を模式的に表す機能ブロック図を示す。心不全発症警告装置Xは、初期設定値入力受付部101、発症予測体重算出部102、識別情報入力受付部103、発症予測値記憶部104、補正情報受付部105、測定時間受付部106、体重受付部107、測定結果記憶部109、発症可能性判定部110、通知部111、タイマー部112を含む。
 
【0017】
  初期設定値入力受付部101は、心不全発症時の体重、心不全改善時の体重を初期設定値として受け付ける。
図3に初期設定画面1000の一例を示す。初期設定画面1000では、心不全発症時の体重を入力する第一体重入力ボックス1001、心不全改善時の体重を入力する第二体重入力ボックス1002、毎日の体重測定予定時刻をプルダウン式で選択入力する時刻セレクトボックス1004、測定時の服装予定を入力するラジオボタン1005、入力を確定する確定ボタン1006、入力をキャンセルするキャンセルボタン1007が含まれる。確定ボタン1006が選択されると初期設定値入力受付部101は、第一体重入力ボックス1001、第二体重入力ボックス1002の値を初期設定値として受け付ける。
 
【0018】
  発症予測体重算出部102は、初期設定値入力受付部101が受け付けた心不全改善時の体重に基づき、心不全が発症すると予測される体重である発症予測体重を算出する。ここでは、心不全改善時の体重が90kgであった場合は、1kg減算した89Kgを発症予測体重として計算する。なお、発症予測体重の算出方法や使用する初期設定値は適宜変更することができ、心不全発症時の体重、心不全改善時の体重、入院時の体重、脱水時の体重などを初期設定値として含めた算出式や、これらの初期設定値を適宜入れ替えた算出式により算出するようにできる。また、これらの一つの初期設定値のみを発症予測体重とすることができ、この場合は、発症予測体重算出部102は不要となる。
 
【0019】
  識別情報入力受付部103は、使用者の識別情報を受け付ける。ここでは、タブレットコンピューターCを共用で使用する使用者がタブレットコンピューターにログインしたときの識別情報を受け付ける。
  発症予測値記憶部104は、発症予測体重算出部102が算出した発症予測体重を識別情報受付部103が受け付けた識別情報に関連付けて記憶する。
  補正情報受付部105は、測定体重に関する補正情報を受け付ける。ここでは、初期設定画面1000において確定ボタン1006が押下されたときに、ラジオボタン1005の選択内容を受け付ける。
  測定時間受付部106は、毎日の測定予定時間の入力を受け付ける。ここでは、初期設定画面1000において確定ボタン1006が押下されたときに、時刻セレクトボックス1004の内容を受け付ける。
  体重受付部107は、体重計Cにより送信される体重の値を受け付ける。
 
【0020】
  測定結果記憶部109は、識別情報受付部103が受け付けた識別情報に関連づけて、体重受付部107が受け付けた体重を測定ごとに上書きすることなく記憶していく。なお、補正情報受付部105が受け付けた補正情報は測定結果記憶部109に識別情報と関連づけられて記憶されており、体重が記憶される際に補正情報による体重の補正が行われて体重が記憶される。例えば、補正情報で薄着が選択されている場合は1kg、厚着が選択されている場合は2kg、測定体重から減算したものが測定結果記憶部109に記憶される。なお、ここでは、測定時の服装を予め設定しているが、測定の都度、服装を選択し、これに基づいて体重を補正するようにしてもよい。さらに、測定結果記憶部109は、測定時間受付部106が受け付けた測定予定時間も識別情報に関連付けて記憶している。
 
【0021】
  発症可能性判定部110は、測定結果記憶部109が更新されるごとに、心不全発症の可能性を判断して通知部111に通知する。ここでは、発症可能性判定部110は、体重が3日連続で増加し、現在の体重が発症予測体重以上である場合に、病院を受診することを勧告する警告を発する。また、体重が3日連続で増加するか、又は、現在の体重が発症予測体重以上である場合には、病院の受診を促す警告を発する。なお、体重やインピーダンスに関して、どのような状態のときに、どのような警告を出すかは適宜変更可能である。例えば、利尿剤を摂取しすぎた場合、体重が減少していくようなことを考慮して、体重が一定期間減少するような場合にも、これに対応する警告を発するようにしてもよい。また、体重は増加率を条件に入れて判断を行うようにすることもできる。
 
【0022】
  通知部111は、発症可能性判定部110が警告を発した場合に、警告に対応する通知を使用者に対して行う。ここでは、病院を受診することを勧告する警告に対しては、
図4(a)に示すような病院を受診することを勧告する文字列1110と、対象者の名前1011が表された警告画面が表示されるとともに、ブザー音が鳴らされる。また、病院を受診することを促す警告に対しては、
図4(b)に示すような病院を受診することを促す文字列1020と、対象者の名前1011が表示され、ブザー音が鳴らされる。なお、通知は、通信回線を通じて病院や介護者の携帯電話等に通知されるようにする等、種々の通知方法を採用することができる。
  タイマー部112は、識別情報ごとに測定結果記憶部109に記憶された時間に体重測定が行なわれたかどうかを監視し、体重測定が行なわれていない場合に、通知部111を介して測定を促す通知を行う。ここでは通知は、通信回線を介して識別情報対象者の携帯電話に対して行うものとするが、タブレットコンピューターCや介護者の携帯電話等に行う等、適宜変更することができる。
 
【0023】
  次に、以上のような構成を有する心不全発症警告装置Xの使用方法及び動作について説明する。
図5に心不全発症警告装置Xの動作を表すフローチャートを示す。なお、初期設定画面1000から設定情報が予め入力されており、発症予測値記憶部104、測定結果記憶部109には対象者ごと必要な値が既に記憶されているものとする。また、使用者は特定の時刻に同じような服装で体重計にのるものとし、心不全発症警告装置Xを実現するアプリケーションは常に立ち上がっているものとする。まず、使用者は体重計にのる前に、タブレットコンピューターCにログインする。次に、使用者は体重計Waにのる。これにより体重計Waから体重が送られてくるので、体重受付部107は体重を受け付け、また、識別情報受付部105はタブレットコンピューターCにログインした使用者の識別情報を受け付ける(s101)。受け付けられた体重は測定結果記憶部109に、受け付けられた識別情報に関連づけて記憶される(s102)。次に、発症可能性判定部110は、測定結果記憶部109を参照して体重が3日連続で増加しているかどうかを判断し(s103)、増加している場合は発症予測値記憶部104を参照して発症予測体重以上かどうかを判断する(s104)。ここで、発症予測体重以上の場合は、病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111はこれを受けて
図4(a)に示すようなメッセージを表示し、ブザー音を発生させる(s105)。s104で発症予測体重以上でないの場合は病院受診を促す警告を発し、通知部111はこれを受けて
図4(b)に示すようなメッセージを表示し、ブザー音を発生させる(s106)。s103において、体重が3日連続で増加していない場合も、発症予測値記憶部104を参照して発症予測体重以上かどうかを判断する(s107)。ここで、発症予測体重以上の場合はs106の通知を行い(s108)、発症予測体重以下の場合は何も通知することなく終了する。
  このように、本実施形態に係る心不全発症警告装置Xは、毎日体重を測定することにより自動的に体重を記憶していき、測定結果に応じて心不全発症に対応する警告を通知するので、体重等を記憶していく手間が省け、また、病気発症の可能性に応じた対応方法を適宜知ることが可能となる。
 
【0024】
(実施形態2)
  
図6に実施形態2に係る心不全発症警告装置付き体重計Wの斜視図を示す。体重計Wは、コンピュータを内蔵するものであり、当該コンピュータが組み込まれるプログラムによって心不全発症警告装置Yを形成する。体重計Wは人が載って測定を行う測定部W1、測定部W1に固定される脚の上部に設けられる表示部W2を有する。測定部W1は体重を測定する他、電極によって体のインピーダンス値を測定する。表示部W2はタッチパネル16からなり、後述するような表示及び操作を行うことができる。また、タッチパネルの横に設定等のためのスイッチが配置されている。表示部W2を支持する脚には作業台W3が設けられている。実施形態2に係る心不全発症警告システムでは、この体重計Wに加えて、
図7(a)に示す血圧計S、
図7(b)に示すパルスオキシメーターPが用いられる。血圧計Sは血圧の他に心拍数、心拍リズムも測定する。パルスオキシメーターPはSPO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定する。これらの血圧計S及びパルスパルスオキシメーターPは体重計Wに内蔵されるコンピュータとWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの公知の通信方法で接続され、測定が完了すると自動的に測定データを体重計Wに送信するように構成されている。
 
【0025】
  図8に体重計Wに内蔵される心不全発症警告装置Yのハードウエアを模式的に表すブロック図を示す。心不全発症警告装置Yは、演算処理を行うCPU11、CPUの作業領域となるRAM12、基本的なプログラムやデータを記憶するROM13、CPUの動作タイミングを取るためのクロック14、データやプログラムを記憶するためのソリッドステートドライブ15、データの入力や情報を表示するためのタッチパネル16、インターネットや外部機器に接続するための無線ルーター等のネットワークインターフェース17、測定部W1と接続されるアナログインターフェース18などにより構成される。心不全発症警告装置Yはこのようなハードウエアに以下に説明するような動作を実現するプログラムを組み込むことにより形成される。
 
【0026】
  図9に心不全発症警告装置Yのハードウエア構成を模式的に示す機能ブロック図を示す。心不全発症警告装置Yは実施形態1に係る心不全発症警告装置Xにより多くの機能を付加したものであり、心不全発症警告装置Xにさらに、パラメーター閾値受付部113、パラメーター値受付部114、体調受付部115、発症予測体重更新部116、個人データ入力受付部117をさらに備える。また、これによって、発症予測値記憶部104、測定結果記憶部109の内容も追加され、発症可能性判定部110はパラメーター値による判定も行うこととなる。なお、ここでは初期設定値入力受付部101により入力された体重を発症予測体重として用いるので、発症予測体重算出部102は設けられていない。また、タイマー部112もここでは設けていない。
 
【0027】
  個人情報入力受付部117は、使用者の登録情報を受け付けるもので、ここでは使用者のニックネーム、生年月日、指紋画像データを受け付ける。これらは、表示部W2のタッチパネル16の初期設定画面から入力される。
図10(a)に第一の初期設定画面2000の例を示す。第一の初期設定画面2000には、ネーム入力ボックス2001、生年月日入力ボックス2002、指紋入力ボックス2003、入力ボタン2004が表示される。使用者は、ネーム入力ボックス2001にタッチすると自動的に図示しないソフトウェアキーボードが表示されるので、ここに適当な文字列を入れて確定し、3つの入力ボックスからなる生年月日入力ボックス2002も同様にタッチして表示されるソフトウェアキーボードから誕生日の年、月、日の数値を入力して確定する。その後、指紋入力ボックス2003上に人差指の腹を押し付けた状態で入力ボタン2004にタッチすると、ニックネーム、生年月日、指紋画像データが関連付けられて受け付けられ、発症予測値記憶部104に送られ使用者情報として記憶される。また、発症予測値記憶部104に記憶された使用者情報は測定結果記憶部109にも記憶される。なお、指紋によって個人認証を行うので、識別情報受付部103は、後述する測定画面から指紋データを受け付け、記憶された指紋との照合を行い、個人の特定及び認証を行う。
 
【0028】
  パラメーター閾値受付部113は、心不全の発症が推認される各種パラメーター値の閾値を受け付ける。詳しくは、体のインピーダンスの閾値を受け付けるインピーダンス閾値受付部113a、SPO2の閾値を受け付けるSPO2閾値受付部113b、心拍数の閾値を受け付ける心拍数閾値受付部113c、血圧の閾値を受け付ける血圧閾値受付部113eが含まれる。これらは表示部W2のタッチパネル16の第二の初期設定画面から入力される。
図10(b)に第二の初期設定画面2100の例を示す。第二の初期設定画面2100は、第一の初期設定画面2000において入力ボタン2004がタッチされると表示される。第二の初期設定画面2000では、発症予測体重値入力ボックス2101、SPO2閾値入力ボックス2102、インピーダンス閾値入力ボックス2103、血圧閾値入力ボックス2104、心拍数閾値入力ボックス2105、入力ボタン2107が表示される。入力の仕方は第一の初期設定画面2000とほぼ同じであり、各ボックスにタッチすると表示されるソフトウェアキーボードにより数値を入力し確定していく。なお、これらの値は医師により予め使用者に提示されているものとする。第二の初期設定画面2000における発症予測体重入力ボックス2101に入力された値は、初期設定値入力受付部101から受け付けられて発症予測値記憶部104に記憶される。その他の入力ボックスに入力された値は、各パラメーター値の閾値としてインピーダンス閾値受付部113a、SPO2閾値受付部113b、心拍数閾値受付部113c、血圧閾値受付部113eにより受け付けられて発症予測値記憶部104に、第一の初期設定画面2000から受け付けられた個人情報と関連付けて記憶される。なお、心拍リズムに関しては、特定の心拍リズムの変化の発生回数により判定するようになっており、ここでは1回を閾値としてこの値が予め発症予測値記憶部104に記憶されており、これが個人情報と関連付けられる。
 
【0029】
  パラメーター値受付部114は、体重の受付に際して、インピーダンス値等のパラメーター値を受け付ける。詳細には、体重計Wの測定部W1から送られるインピーダンス値を受け付けるインピーダンス受付部114a、パルスオキシメーターPから通信を介して送られるSPO2データを受け付けるSPO2受付部114b、血圧計Sから通信を介して送られる心拍数を受け付ける心拍数受付部114c、血圧計Sから通信を介して送られる心拍リズムを受け付ける心拍リズム受付部114d、血圧計Sから通信を介して送られる血圧を受け付ける血圧受付部114eから構成される。これらの受け付けられた値は測定結果記憶部109に使用者の識別情報と関連づけて記憶される。
  なお、発症可能性判定部110は、受け付けられた各パラメーター値が記憶されている閾値を超えているかどうかを判定する。また、心拍リズムに関しては、特定の心拍リズムとして心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍のいずれかが、閾値として1回以上発生したかどうかを判定する。
 
【0030】
  体調受付部115は、使用者の体感としての体調の入力を受け付けるものであり、ここでは呼吸困難感を受け付ける。具体的には、後述する測定画面において使用者が呼吸困難感があるか否かを選択できるようになっており、この選択を受け付ける。測定画面の詳細については後述する。受け付けられた体調データは、測定結果記憶部109に使用者の識別情報と関連づけて記憶される。
  発症予測体重更新部116は、測定結果記憶部109に記憶された各使用者の測定された体重と体調受付部115により受け付けられた体調との関係から、発症予測体重の更新値を算出し、発症予測地記憶部104に記憶させるものである。ここでは、呼吸困難感がある状態を擬似的に心不全の発症とみなして、蓄積された測定体重と呼吸困難感の有無との関係からROC解析によって呼吸困難感が生じる閾値となる体重を発症予測体重の更新値として算出し、当該使用者に関連付けて元の発症予測体重値に加えて記憶させる。
 
【0031】
  次に、以上のような構成を有する心不全発症警告装置Yを内蔵する体重計Wの使用方法及び動作について説明する。なお、第一の初期設定画面2000、第二の初期設定画面2100から設定情報が予め入力されており、発症予測値記憶部104、測定結果記憶部109には対象者ごと必要な値が既に記憶されているものとする。また、使用者は毎日ほぼ同じ時刻に測定を行うものとする。
図11に心不全発症警告装置Yの使用者に対して警告を行う際の動作を示すフローチャートを示す。
  まず、使用者は体重計Wに載る。体重計Wは荷重を感知すると、自動的に表示部W2のタッチパネル16に通電され、タッチパネル16に測定画面が表示される。
図12(a)に測定画面2200の一例を示す。測定画面2200には、体重表示ボックス2201、体脂肪率表示ボックス2202、指紋認証ボックス2203、体調入力ボタン2204、着衣状態入力ボタン2205、測定開始ボタン2206、パルスオキシメーター入力状態表示2207、血圧計入力状態表示2208が表示されている。体重表示ボックス2201は測定部W1によって測定された体重を着衣の状態を加味して修正した値を表示する。体脂肪表示ボックス2202には測定部W1から送られるインピーダンス値と体重に基づいて算出される体脂肪率を表示する。指紋認証ボックス2203は、使用者が登録した人差指の指紋部分でタッチすると、自動的に画像認識し認証情報受付部105がこれを受け付けて、記憶されている指紋との照会を行い認証を行う。認証が完了すると、指紋認証ボックス2203の上の表示が認証完了と表示されるようになっている。体調入力ボタン2204は「はい」と「いいえ」と表示された2つのボタンから構成され、いずれか一方にタッチすると色が変化するように形成されている。着衣状態入力ボタン2205は、「裸」「薄着」「厚着」と表示された3つのボタンから構成され、いずれかのボタンにタッチすると色が変化するように形成されている。測定開始ボタン2206は、体重測定、インピーダンス測定開始を指示するためのボタンであり、使用者がタッチすると、指紋が認証し、体調入力ボタン2204、着衣状態入力ボタン2205の入力が完了している場合のみ、測定部W1から体重値、インピーダンス値が呼び出され、
図12(b)に示すように体重値及び体重値とインピーダンス値から算出される体脂肪率が表示される。パルスオキシメーター入力状態表示2207は、パルスオキシメーターPによる測定が行われているかどうかを示すものであり、測定が行われていない場合は、右側に「測定してください」という表示がされ、測定が行われてデータを取得した場合には、
図12(c)に示すように、右側に「測定完了」という表示がされるように構成されている。血圧計入力状態表示2208は、血圧計Sによる測定が行われているかどうかを示すものであり、測定が行われていない場合は、右側に「測定してください」という表示がされ、測定が行われてデータを取得した場合には、
図12(c)に示すように右側に「測定完了」という表示がされるように構成されている。
 
【0032】
  このように構成された測定画面2200において、使用者が指紋認証ボックス2201に登録した指の指紋を載せると、識別情報入力受付部103がこれを受け付けて、使用者の特定及び認証を行う(s201)。その後、使用者は、体調入力ボタン2204、着衣状態入力ボタン2205から自己の状態を表すボタンを選択してタッチし、測定開始ボタン2206にタッチする。これにより、測定画面に体重、体脂肪率が表示されるとともに、測定部W1から使用者の体重データ、インピーダンスデータ、体調データが心不全発症警告装置Yに送られるので、体重受付部107、インピーダンス受付部114a、体調受付部115がこれを受け付け、測定結果記憶部109に使用者の識別情報に関連付けて記憶させる(s202)。さらに、使用者は、パルスオキシメーターP及び血圧計Sにより、SPO2、血圧を測定する。なお、この際、体重計Wの作業台W3にパルスオキシメーターP及び血圧計Sを置いて測定することができる。もっとも、これらの測定器具は体重計Wを無線で接続されているので、離れた場所で測定を行っても問題はない。これらの測定によって、SPO2データ、心拍数データ、心拍リズムデータ、血圧データが無線で心不全発症警告装置Yに自動で送られるので、SPO2受付部114b、心拍数受付部114c、心拍リズム受付部114d、血圧受付部114eがこれらを受け付け、測定結果記憶部109に使用者の識別情報に関連付けて記憶させる(s202)。
  体重及び各種パラメーターが受け付けられると、まず、体調データから呼吸困難感があるかどうかが判断され(s203)、呼吸困難感がある場合は、発症可能性判定部110は病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111はこれを受けて表示部W2のタッチパネル16に
図13(a)に示すようなメッセージ画面2300を表示し、ブザー音を発生させる(s204)。なお、メッセージ画面2300において、停止ボタン2301をタッチするまではブザー音がなり続けるので、体重計から離れたところで血圧等の測定を行っていても、使用者は警告に気づくことができる。
 
【0033】
  s204で呼吸困難感がないと判断されると、発症可能性判定部110は、着衣の状態から受け付けた体重値を補正したものを実際の体重値として、心不全発症の可能性を判断する。即ち、まず、体重値と発症予測記憶104に記憶されている使用者の発症予測体重との比較を行う(s205)。ここで、体重値が発症予測体重を超えている場合は、さらに、体重が3日連続で増加しているかどうかを判断する(s206)。体重が3日連続で増加している場合は発症可能性判定部110は病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111はこれを受けて表示部W2のタッチパネル16に
図13(a)に示すメッセージ画面2300を表示し、ブザー音を発生させる(s207)。s206で体重が3日連続で増加していない場合は、体重値と発症予測体重更新部116により更新された発症予測体重値とを比較する(s208)。ここで、更新された体重値を超えている場合は、やはり、発症可能性判定部110は病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111は表示部W2のタッチパネル16に
図13(a)に示すメッセージ画面2300を表示し、ブザー音を発生させる(s209)。s208で更新された発症予測体重値を超えていなかった場合は、発症可能性判定部110は、さらに、インピーダンス値、SPO2値、血圧値、心拍数、特定心拍リズムの発生回数の各パラメーター値について、それぞれ閾値を超えているかどうかを調べ、3以上のパラメーター値が閾値を超えているか否かを判定する(s210)。ここで、3つ以上のパラメーター値が閾値を超えている場合は、発症可能性判定部110は病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111は表示部W2のタッチパネル16に
図13(a)に示すメッセージ画面2300を表示し、ブザー音を発生させる(s211)。s210で、3つ以上のパラメーター値が閾値を超えていない場合は、発症可能性判定部110は病院を受診することを促す警告を発し、通知部111はこれを受けて表示部W2のタッチパネル16に
図13(b)に示すようなメッセージ画面2400を表示し、ブザー音を発生させる(s212)。なお、メッセージ画面2400においても、停止ボタン2401をタッチするまではブザー音がなり続けることはメッセージ画面2300と同様である。
 
【0034】
  s205において体重値が発症予測体重よりも小さい場合は、発症可能性判定部110は、体重が3日連続で増加しているかどうかを判断する(s213)。ここで体重が3日連続で増加している場合は発症可能性判定部110は病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111はこれを受けて表示部W2のタッチパネル16に
図13(a)に示すメッセージ画面2300を表示し、ブザー音を発生させる(s214)。s213で体重が3日連続で増加していない場合は、発症可能性判定部110は、体重値と発症予測体重更新部116により更新された発症予測体重値とを比較する(s215)。ここで更新された発症予測体重値を超えていなかった場合は、何も警告を発することなく処理を終了する。s215で更新された発症予測体重値を超えている場合は、さらに、インピーダンス値、SPO2値、血圧値、心拍数、特定心拍リズム発生回数の各パラメーター値について、それぞれ閾値を超えているかどうかを調べ、3以上のパラメーター値が閾値を超えているか否かを判定する(s216)。ここで、3つ以上のパラメーター値が閾値を超えている場合は、発症可能性判定部110は病院を受診することを勧告する警告を発し、通知部111は表示部W2のタッチパネル16に
図13(a)に示すメッセージ画面2300を表示し、ブザー音を発生させる(s217)。s216で、3つ以上のパラメーター値が閾値を超えていない場合は、発症可能性判定部110は注意を喚起する警告を発し、通知部111はこれを受けて表示部W2のタッチパネル16に
図13(c)に示すメッセージ画面2500を表示し、ブザー音を発生させる(s218)。なお、メッセージ画面2500においても、停止ボタン2401をタッチするまではブザー音がなり続けることはメッセージ画面2300、2400と同様である。
 
【0035】
  次に、心不全発症警告装置Yの発症予測体重を更新する動作について説明する。
図14にかかる動作を表すフローチャートを示す。上述したように測定時に、利用者が測定画面2200において、使用者が指紋認証ボックス2201に登録した指の指紋を載せると、識別情報入力受付部103がこれを受け付けて、使用者の特定及び認証を行う(s301)。その後、使用者が、体調入力ボタン2204、着衣状態入力ボタン2205から自己の状態を表すボタンを選択してタッチし、測定開始ボタン2206にタッチする。これにより、測定部W1から使用者の体重データ、体調データを体重受付部107、体調受付部115がこれを受け付け、測定結果記憶部109に使用者の識別情報に関連付けて記憶させる(s302)。体重と体調が記憶されると、発症予測体重更新部116が測定結果記憶部109が蓄積されている体重データ群と体調データ群とからROC解析によって、発症予測体重の更新値を算出する(s303)、算出された更新値は発症予測値記憶部104に使用者の識別情報に関連付けて記憶される(s304)。なお、元の発症予測体重値は上書きされることなく残されるが、更新値は更新されるごとに上書きされ最新の値のみが記憶されるようになっている。発症予測体重の更新値は上述したように使用者に対して警告を行うか否かの判断に使用される。
 
【0036】
  このように、本実施形態に係る体重計Wは、やはり毎日体重を測定することにより自動的に体重を記憶していき、測定結果に応じて心不全発症に対応する警告を通知するので、体重等を記憶していく手間が省け、また、病気発症の可能性に応じた対応方法を適宜知ることが可能となる。さらに、体重以外のパラメーター値も加味して警告を発するので、より信頼性が高く、発症予測体重値の更新値を利用することで時間の経過による体組織の変化にも柔軟に対応することができる。さらに、体重計自体に心不全発症警告装置Yを内蔵することで、タブレットコンピューターやスマートフォンを扱えないお年寄り等でも比較的容易に利用することができる。
 
【0037】
  なお、上記実施形態では心不全用に警告装置を提示したが、腎不全においても、発症時には体重の増加が見られ、SPO2値、心拍数等のパラメーター値も変化するので、同様の装置構成で腎不全発症警告装置を形成することができる。
  また、上記実施形態1ではタブレットコンピューターにアプリケーションソフトウエアをインストールすることにより心不全発症警告装置Xを形成したが、パソコンやスマートフォンなどにアプリケーションソフトウエアをインストールすることで心不全発症警告装置Xを形成したり、専用の装置により心不全発症警告装置Xを形成したりすることもできる。また、使用者専用のタブレットコンピューターやスマートフォンで心不全発症警告装置を形成する場合は、識別情報ごとに管理する必要はない。
 
【0038】
  それから、上記実施形態では示していないが、測定結果記憶部に記憶された体重やインピーダンスの記憶をプリントアウトできるようにしたり、インターネット回線、wifi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、RFタグ等を用いた通信により外部に送信するようにしてもよい。インターネット回線でサーバーにアップロードされるデータは担当する医師が閲覧できるようにし、さらに、必要に応じて当該医師が発症予測体重やパラメーター値の書き換えを行えるようにすることも考えられる。
  そして、上記実施形態では、個人の識別情報の入力に、タブレットコンピューターのログイン情報や、使用者の指紋を用いているが、体重計に足の裏の静脈読み取り手段を設けて静脈認証によって識別情報としたり、カード読み取り装置を接続してバーコードやICチップによって識別情報を読み取るようにしたり等、適宜変更することができる。
  また、上記実施形態1では心不全発症警告装置は体重計から体重データを取得するようにしているが、使用者がキーボード等から測定した体重を入力するようにしてもよい。
  さらに、上記実施形態では、発症予測体重の値を一つにしているが、段階的に2以上の発症予測体重やパラメーター値の閾値を記憶し、発症予測体重やパラメーター値の程度に応じて、通知内容を変えるようにすることもできる。
 
【0039】
  上記実施形態2においてはパラメーター値として、インピーダンス値、SPO2値、血圧、心拍数、心拍リズムを用いているが、これらは例示であって、尿量、心拍出量、ペースメーカーの胸郭インピーダンス、NPPVデータ、無呼吸低呼吸指数の変化量、病状発症が疑われる呼吸パタン発生回数等をパラメーター値種々の心不全発症に関連する値をパラメーター値として利用することができる。また、心不全と相関のある自律神経活動を加味することも考えられる。この場合、例えば心拍の変動の周波数解析によLF/HF等の数値をパラメーター値とすれば自律神経活動を考慮した評価を行うことができる。また、実施形態2ではパラメーター値の評価は5つのパラメーター値の内の3つ以上が陽性である場合を異常と判断しているが、いくつを異常とするかは任意であり、さらに、一つ一つのパラメーター値が陽性である場合ごとに細かく警告を発するようにしてもよい。
  そして、上記実施形態2他の方法で発症予測体重の更新を呼吸困難感の有無と体重値とを記憶してROC解析を用いて算出しているが、体調の判断は浮腫の有無などで判断してもよく、また、実際に病院で心不全が発症したと判断されたときの体重を記憶するようにしてもよい。さらに、更新体重の算出方法もROC解析で行うことは例示であり、他のアルゴリズムで算出するようにしてもよく、例えば、蓄積された体重データと各パラメーターとの関係から心不全発症予測体重を所定のアルゴリズムによって算出すること等の方法を採用することも考えられる。