特許第6170135号(P6170135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170135改善されたヒビ耐性を有する香料組成物用プラスチックボトル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170135
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】改善されたヒビ耐性を有する香料組成物用プラスチックボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20170713BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   B65D1/02 100
   B65D1/02BRH
   B65D1/02BSN
   B65D1/02BSQ
   C11B9/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-507067(P2015-507067)
(86)(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公表番号】特表2015-516341(P2015-516341A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013036298
(87)【国際公開番号】WO2013158477
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】61/624,586
(32)【優先日】2012年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/804,574
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/804,672
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリス イオアニス コリアス
(72)【発明者】
【氏名】パティ ジャン ケレット
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0120902(US,A1)
【文献】 特開2002−113080(JP,A)
【文献】 特開2011−105941(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058381(WO,A1)
【文献】 特開2007−314788(JP,A)
【文献】 特開2011−020373(JP,A)
【文献】 特開2008−291244(JP,A)
【文献】 特開2007−146153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00− 1/46
C11B 9/00
C08G 63/00−64/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料組成物を収容するためのプラスチックボトルであって、前記プラスチックボトルがポリ(エチレン2,5−フランジカルボキシレート)(PEF)を含み、
前記香料組成物は、フレグランスファミリー及びサブグループからの構成成分又は混合物を含み、前記フレグランスファミリー及びサブグループが、シングルフローラル、フローラルブーケ、オリエンタル、ウッド、レザー、シプレ、フジェール、ブライトフローラル、グリーン、アクアティック、オーシャニック、オゾニック、シトラス、フルーティ、グルマンからなる群から選択され、
前記プラスチックボトルは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)と比較して、改善されたヒビ耐性と寿命を有する、
ことを特徴とするプラスチックボトル。
【請求項2】
前記プラスチックボトルが送出器及び弁を更に含む、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記プラスチックボトルがラベルを更に含み、前記ラベルがPEFを含む、請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記プラスチックボトルがキャップを更に含み、前記キャップがPEFを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記香料組成物が、天然源からの構成成分を含み、前記天然源が、樹皮、草花、果樹の花、果実、葉、小枝、樹脂、根、根茎、球根、種、木材、アンバーグリース、海狸香、シベット、ハイラセウム、ハチの巣、ジャコウジカ、地衣類、海藻、合成源、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記香料組成物が、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、それらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される構成成分を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
前記香料組成物が溶媒を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
前記溶媒がエタノールである、請求項に記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
前記プラスチックボトルが実質的に透明である、請求項1〜のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項10】
前記プラスチックボトルが着色顔料又は染料を更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項11】
前記プラスチックボトルのバイオベース含有量が、約10重量%〜100重量%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項12】
前記PEFがファルネセンとブレンドされる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項13】
前記プラスチックボトルが、PEF及び1つ以上の他のポリマー材料のブレンドを含み、前記他のポリマー材料が、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET);ポリエステル;ポリアミド(PA);ポリカーボネート(PC);ポリオキシメチレン(POM);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリオレフィン;ポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);フルオロポリマー;ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS);未使用型、再生型、及び再粉砕型の前記他のポリマー材料;バイオベース及び石油ベース型の前記他のポリマー材料;並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【請求項14】
前記プラスチックボトルが多層の他のポリマー材料を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラスチックボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料組成物を収容するプラスチックボトルに関する。プラスチックボトルは、ポリ(エチレン2,5−フランジカルボキシレート)(PEF)を含み、改善されたヒビ耐性を有し、それによりボトルの割れの可能性を低減し、その寿命を向上させる。
【背景技術】
【0002】
香料組成物を収容するプラスチックボトルは、ガラスボトルの代替品として提案されてきた。プラスチックボトルは、製造業者に固有の形状の開発及び製造コストの低下という自由の拡大をもたらしたであろう。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は、透明であり、かつリサイクル可能であるため、香料ボトル用の有用なプラスチック材料として利用が勧められてきた。しかしながら、リモネン及び他の香料原材料(prm)は、PET中に拡散し、そのヒビ発生応力を低下させることがある。その結果、これらの香料は、香料の存在による引張応力がヒビ発生応力を上回る領域でPETのヒビを引き起こすことがある。また、ヒビは、PET分子がより整列し、香料の拡散性がより低い、結晶質及び伸張領域より、むしろ非晶質領域でより顕著である。このPETのヒビは、(特に高歪み下で)割れに進行し、香料ボトルに一体性の問題を生じ、したがってその寿命を縮めることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、PETより良好なヒビ及び割れ耐性を有するリサイクル可能なプラスチック材料から形成可能な香料組成物用プラスチックボトルの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、PEFを含む、香料組成物を収容するためのプラスチックボトルが提供される。他の実施形態では、プラスチックボトルは、送出器及び弁を更に含む。更に他の実施形態では、プラスチックボトルはラベルを更に含み、ラベルはPEFを含む。一実施形態では、プラスチックボトルはキャップを更に含み、キャップはPEFを含む。他の実施形態では、プラスチックボトルは、約10重量%〜100重量%のバイオベース含有量を含む。
【0005】
代替実施形態では、プラスチックボトルは、PEF及び1つ以上の他のポリマー材料のブレンドを含み、他のポリマー材料は、PET;ポリエステル;ポリアミド(PA);ポリカーボネート(PC);ポリオキシメチレン(POM);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリオレフィン;ポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);フルオロポリマー;ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS);未使用型、再生型、及び再粉砕型の他のポリマー材料;バイオベース及び石油ベース型の他のポリマー材料;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、プラスチックボトルは、多層の他のポリマー材料を含む。他の実施形態では、プラスチックボトルは、多層の他のポリマー材料を含み、
【発明を実施するための形態】
【0006】
I 定義
本明細書で使用するとき、用語「プラスチック」とは、一般に加熱した後、所望の形状に硬化させて成形又は付形することができるすべての合成材料又は有機材料を指し、非限定例としてポリマー、樹脂、及びセルロース誘導体が含まれる。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「他のポリマー材料」とは、PEF以外のポリマー材料を指す。他のポリマー材料の非限定例は、PET;ポリエステル;ポリアミド(PA);ポリカーボネート(PC);ポリオキシメチレン(POM);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリオレフィン;ポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);フルオロポリマー;ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS);未使用型、再生型、及び再粉砕型の他のポリマー材料;バイオベース及び石油ベース型の他のポリマー材料;並びにこれらの混合物である。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「バイオベース材料」とは、再生可能材料を指す。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「再生可能材料」とは、再生可能資源から生産される材料を指す。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「再生可能資源」とは、その消費速度に匹敵する速度(例えば、100年の時間枠内)で自然過程によって生産される資源を指す。この資源は、自然に、又は農業的手法によって補充され得る。再生可能資源の非限定例としては、植物(例えば、サトウキビ、テンサイ、トウモロコシ、ジャガイモ、柑橘果実、木本植物、リグノセルロース、ヘミセルロース、セルロース廃棄物)、動物、魚、細菌、真菌、及び林産物が挙げられる。これらの資源は、自然発生、交雑、又は遺伝子組み換えされた生物であることができる。生成に100年超かかる原油、石炭、天然ガス及び泥炭などの天然資源は、再生可能資源とは考えられない。本発明の材料の少なくとも一部は二酸化炭素と切り離すことのできる再生可能資源に由来することから、本材料の使用は地球温暖化の可能性及び化石燃料消費量を低減することができる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「バイオベース含有量」は、ASTM D6866−10、方法Bを用いて決定されるように、材料中の全有機炭素の重量(質量)の百分率としての材料中の再生可能資源からの炭素の量を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「石油ベース」材料とは、石油、天然ガス、石炭などの化石原料から生産される材料を指す。
【0013】
II プラスチックボトル
意外にも、PEF(ホモポリマー又はコポリマーのいずれか)を用いて製造されたプラスチックボトルは、PET又は他のポリマー材料より良好な香料に対するヒビ及び割れ耐性を有することが発見されている。理論に束縛されるものではないが、香料に対するPEFのヒビ及び割れ特性がPETと比べてよりすぐれているのは、酸素含有芳香族フラン環の極性がテレフタル酸の類似の全炭化水素芳香環と比べてより高いこと、及びPETよりPEFの方が結晶度が高いことに起因するかもしれない。これらのPEFとPETとの違いが、PEFボトルでのヒビを低減するか又は更には無くすように、PEFと香料との相互作用を変えるのかもしれない。
【0014】
PEFは、PETを作るのに用いられるエチレングリコール(EG;モノエチレングリコール又はMEGとも呼ばれる)とテレフタル酸との間の縮合反応と同様に、フラン−1,4−ジカルボン酸(FDCA)とEGとの縮合反応によって生成される。FDCAは、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)又はその誘導体を形成する酸の脱水反応によって糖から作ることができる。続いて、これらの誘導体をFDCAに酸化することができる。エチレングリコールは、通常、部分再生可能なPEF(炭素75%が再生可能な形で得られる)につながる石油資源から得ることができ、あるいは、植物からの糖を原料としてエチレングリコールを得、これから完全再生可能なPEF(炭素100%が再生可能な形で得られる)を得ることも可能である。糖を原料とするEGは、糖を発酵させてエタノールを得、エタノールを脱水してバイオエチレンを得、バイオエチレンを酸化させてバイオエチレンオキシドを得、バイオエチレンオキシドを加水分解してバイオEGを得ることにより生成することができる。
【0015】
本発明に有用な他のポリマー材料の非限定例は、PET;ポリエステル;ポリアミド(PA);ポリカーボネート(PC);ポリオキシメチレン(POM);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリオレフィン;ポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);フルオロポリマー;ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS);未使用型、再生型、及び再粉砕型の他のポリマー材料;バイオベース及び石油ベース型の他のポリマー材料;並びにこれらの混合物である。バイオベース型の他のポリマー材料は、部分又は完全バイオベースポリマーのいずれであってもよい。再生型又は再粉砕型の他のポリマー材料は、消費者リサイクル工場(一般にPCRと呼ばれる)又は産業リサイクル源(一般にPIRと呼ばれる)のいずれかから収集される。
【0016】
一実施形態では、プラスチックボトルは単層のPEFを含む。単層のPEFは、リモネンなどの香料及び他の香料原材料(prm)に対してPETより耐性がある。更に、単層のPEFは、プラスチックボトルの必要な保存寿命にわたって香料損失基準に適合できるが、PETは単独では適合できない。
【0017】
他の実施形態では、プラスチックボトルは多層の他のポリマー材料を含む。多層は、ヒビ耐性に更なる改善をもたらし、ボトルの寿命を向上させるであろう。他の実施形態では、プラスチックボトルは多層の他のポリマー材料を含み、1つ以上の層がPEFを含む。更に他の実施形態では、プラスチックボトルは多層の他のポリマー材料を含み、内層がPEFを含む。これにより、引張応力下の領域でより高いヒビ耐性が保証される。一実施形態では、プラスチックボトルは多層の他のポリマー材料を含み、1つ以上の層がPEFを含み、他の層が他のポリマー材料を含む。
【0018】
一実施形態では、プラスチックボトルは多層のポリマー材料を含み、少なくとも1つのポリマー材料がバリア材である。典型的なバリア材は、化学物質(非限定例として、水蒸気又は酸素など)がそれらを介して透過するのを遅らせる。バリア材の非限定例は、ポリ(エチレン2,6−ナフタレート)(PEN);PA;液晶性ポリマー(LCP);エチレンビニルアルコール(EVOH);又はこれらの混合物である。他の実施形態では、バリア材は、バリアコーティングでコーティングされたポリマー材料である。バリアコーティングの非限定例は、SiO2;SiOx;Al23;AlOx;ガラス状コーティング;ダイヤモンド状コーティング;金属コーティング;炭素コーティング;又はこれらの混合物である。他の実施形態では、プラスチックボトルは、バリアコーティングで外部的若しくは内部的に又はその両方でコーティングされる。
【0019】
一実施形態では、プラスチックボトルは、PEF及び1つ以上の他のポリマー材料のブレンドを含む。他の実施形態では、プラスチックボトルは、PEF及び1つ以上のバリア材のブレンドを含む。更に他の実施形態では、プラスチックボトルは、最大約25重量%の再生PETを含む。更に他の実施形態では、プラスチックボトルは、PEF及び再生PETのブレンドを含み、再生PETは、プラスチックボトル重量の最大約25重量%である。また更に他の実施形態では、プラスチックボトルは、プラスチックボトル内の別個の層に含まれる再生PETを含む。一実施形態では、本発明のプラスチックボトルは再生PEFを含む。他の実施形態では、本発明のプラスチックボトルは再粉砕PEFを含む。
【0020】
PEFの利点は、酸素、湿気のような種々の分子を掃去することができる様々な化合物をブレンドすることによって改善することができる。そのような化合物の非限定例は、酸素の掃去に使用することができるファルネセンである。一実施形態では、プラスチックボトルは、ファルネセンとブレンドされたPEFを含む。
【0021】
他の実施形態では、プラスチックボトルは、実質的に透明である。更に他の実施形態では、プラスチックボトルは、1つ以上の顔料又は染料を含む。顔料は、着色剤マスターバッチを使用してボトル内に混加される。本明細書で使用するとき、「着色剤マスターバッチ」は、顔料がキャリア材料中に高濃度で分散している混合物を指す。着色剤マスターバッチは、最終製品に色を付与するために使用される。いくつかの実施形態においては、キャリア材料はバイオベースプラスチック又は石油ベースプラスチックであり、代替実施形態においては、キャリアはバイオベースオイル又は石油ベースオイルである。キャリアは、バイオベースワックス又は石油ベースワックスであってもよい。着色剤マスターバッチは、すべて又は一部は石油資源から、すべて又は一部は再生可能資源から、あるいは、すべて又は一部はリサイクルされた資源に由来するものであり得る。キャリア材料の非限定例は、バイオベース若しくは石油ベースポリエチレン(例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE))、バイオベースオイル(例えば、オリーブオイル、菜種油、ピーナッツオイル、大豆油、又は水素添加植物由来オイル)、バイオベースワックス(例えば)、石油ベースオイル、石油ベースワックス(例えば)、再生油、バイオベース若しくは石油ベースPET、バイオベース若しくは石油ベースポリプロピレン、又はこれらの混合物である。再生可能資源又は再生不能資源のいずれかに由来し得るキャリア材料中の顔料は、非限定例として、無機顔料、有機顔料又は染料、高分子樹脂、あるいはこれらの混合物を含み得る。顔料の非限定例は、二酸化チタン(例えば、ルチル又はアナターゼ)、銅フタロシアニン、酸化アンチモン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、フタロシアミン(例えば、フタロシアミンブルー)、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、酸染料、塩基染料、キナクリドン、及びこれらの混合物である。一部の実施形態では、着色剤マスターバッチは、1種以上の添加剤を更に含み、これらは再生可能資源又は再生不能資源のいずれかに由来するものであり得る。添加剤の非限定例は、スリップ剤、UV吸収剤、核形成剤、UV安定剤、熱安定剤、清澄剤、充填剤、増白剤、加工助剤、芳香剤、風味剤、又はこれらの混合物である。
【0022】
一実施形態では、プラスチックボトルは、送出器及び弁を更に含む。送出器は、ボタンアクチュエータ及び多孔質焼結製ドームなどの任意の既知の送出器であってもよいが、これらに限定されない。弁は、香料組成物の流量を制御する。同様に、香料組成物をプラスチックボトル内に密封でき、容易に開閉されて香料組成物の送出器への送達を制御できる、任意の既知の弁を使用してもよい。送出器及び弁は両方とも、金属、プラスチック、又はガラスなどの任意の材料で作ることができるが、これらに限定されない。PEFは、通常の金属弁の代わりにプラスチックボトルに接着又は溶接することができるプラスチック弁を製造するために使用され得る。
【0023】
一実施形態では、プラスチックボトルはラベルを更に含む。他の実施形態では、プラスチックボトルはラベルを更に含み、ラベルはPEFを含む。他の実施形態では、プラスチックボトルはキャップを更に含む。他の実施形態では、プラスチックボトルはキャップを更に含み、キャップはPEFを含む。
【0024】
いくつかの実施形態においては、本発明のすべての態様におけるラベル、キャップ、送出システム、及び弁に直接配合法(すなわちインライン配合法)を用いて着色することができる。これらの実施形態では、二軸配合装置が射出成形、吹込成形又はフィルムラインの開始時に配置され、顔料などの添加物は物品成形の直前に樹脂の中にブレンドされる。
【0025】
本発明のすべての態様におけるプラスチックボトル、ラベル、キャップ、送出システム、及び弁に追加材料を混加し、プラスチックの強度又は他の物理的特性を改善することができる。このような追加材料の非限定例は、無機塩(例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、クレイ、及びナノクレイ)、水酸化アルミニウム、CaSiO3、ガラス繊維、ガラス球、結晶シリカ(例えば、石英、ノバサイト、及びクリスタロバイト)、水酸化マグネシウム、雲母、硫酸ナトリウム、リトポン、炭酸マグネシウム、酸化鉄、又はこれらの混合物である。
【0026】
一実施形態では、プラスチックボトル、キャップ、及びラベルは、PEF又は他のポリマー材料とのブレンド中の最大50重量%の再生PEFから製造される。他の実施形態では、プラスチックボトル、キャップ、及びラベルは、多層構造中の最大50重量%の再生PEFから製造される。他の実施形態では、プラスチックボトル、キャップ、及びラベルの最大100重量%が再生PEFから製造される。
【0027】
PEFボトルは、PETと共にリサイクルされ得る。あるいは、PEFのみで別個のリサイクルの流れを設定してもよい。香料組成物用プラスチックボトルは、特に十分なリサイクルインフラが存在する北米及び他の先進国では、リサイクル可能であることが望ましい。例えば、米国のいくつかの州(例えば、カリフォルニア及びオレゴン)では、消費財企業は製造するボトルをリサイクル可能にすることを要求される。
【0028】
本発明のボトルは、吹込成形を使用して製造され得る。吹込成形は、中空のプラスチック部品が熱可塑性材料から成形される製造プロセスである。吹込成形プロセスは、熱可塑性材料を溶融し、これをパリソン又は予備成形品に成形することで開始する。パリソンは、一方の端部に圧縮空気が通ることができる孔を有するプラスチックのチューブ状部品である。加圧気体(通常は空気)を使用して、パリソン又は熱した予備成形品を広げ、成形型の空洞に対して押圧する。プラスチックが冷えるまで圧力を保つ。プラスチックが冷え、硬化した後、成形型を開けて部品を突き出す。
【0029】
主な3種類の吹込成形、すなわち、押出吹込成形(EBM)、射出吹込成形(IBM)、及び射出延伸吹込成形(ISBM)が存在する。押出吹込成形では、溶融したプラスチックのチューブを成形型の空洞の中に押し出し、圧縮空気で膨張させる。円筒の一端を摘んで閉じる。プラスチック部品を冷却した後、これを成形型から取り外す。これらの容器は、単層又は多層であり得る。
【0030】
射出吹込成形は、3つの工程、すなわち、射出、吹込、及び突出を伴う。まず、溶融ポリマーをマニホールドの中に送り、ここで、溶融ポリマーをノズルを通して中空の加熱した予備成形品成形型の中に射出する。予備成形品成形型は、生じた容器の外側形状を成形し、予備成形品の内側形状を成形するマンドレル(心棒)の周りに圧締めする。予備成形品は、本体を形成するポリマーの厚いチューブが取り付けられた、十分に成形されたボトル/広口瓶の首からなる。予備成形品成形型を開き、心棒を回転させ、中空の冷却された吹込成形型の中に圧締めする。心棒を開き、圧縮空気を予備成形品の中に入れ、これを最終物品形状に膨張させる。冷却期間後、吹込成形型を開き、心棒を突出位置に回転させる。仕上がった物品を心棒から剥がし、漏出試験にかける。射出吹込成形並びに本明細書に記載の他の吹込成形方法は、埋め込まれたバイオベースポリマーを有する物品構成要素の形成に有用である。射出吹込成形は、バイオベースポリマーのブレンドを含む容器を製造するために使用することができる。
【0031】
射出延伸吹込成形は、予備成形品がその所望される容器形状に吹き込まれる際に、周方向及び軸方向の両方に延伸される予備成形品又はパリソンからプラスチックボトルを製造するための方法である。ISBMプロセスでは、プラスチックはまず射出成形プロセスを使って「予備成形品」に成形される。これらの予備成形品は、ねじを含む容器の首と共に製造される。予備成形品を包装し、冷却した後、再加熱延伸吹込成形機に送る。予備成形品をそれらのガラス転移温度よりも高く加熱し、その後、高圧空気を使用して吹込み、金属吹込成形型を用いてボトルにする。典型的には、予備成形物は、プロセスの一部として、心棒を用いて延伸される。射出延伸吹込成形は、本発明のボトルを製造するために使用することができる。
【0032】
本発明のラベルは、フィルム押出を使用して形成することができる。フィルム押出では、熱可塑性材料を溶融し、連続外形に形成する。一部の実施形態では、多層フィルムを共押出する。フィルム押出及び共押出は、当業者に既知の任意の方法により行うことができる。フィルム層は、PEF、PET、PP及びPEを含む種々の材料から形成することができる。一実施形態では、ラベルは未使用のPEFを含む。他の実施形態では、ラベルは再生PEFを含む。更に他の実施形態では、ラベルは再粉砕PEFを含む。一実施形態では、ラベルは他のポリマー材料を含む。本発明のラベルは、粘着剤を使用し、あるいはシュリンクラベルを使用して貼り付けることができる。
【0033】
本発明のキャップは、射出成形又は熱成形を用いて形成することができる。射出成形は、単層キャップ又は多層キャップを作製するために使用することができる。キャップは、PEF、PET、PP及びPEを含む種々の材料から形成することができる。一実施形態では、キャップは熱成形され、未使用のPEFを含む。他の実施形態では、キャップは再生PEFを含む。更に他の実施形態では、キャップは再粉砕PEFを含む。一実施形態では、キャップは熱成形され、未使用のPETを含む。他の実施形態では、キャップは再生PETを含む。更に他の実施形態では、キャップは再粉砕PETを含む。一実施形態では、キャップは他のポリマー材料を含む。
【0034】
III 香料組成物
本発明の香料組成物は、香料及び溶媒を含み得る。香料は、合成的に製造されてもよく、又は植物若しくは動物供給源から抽出されてもよい。溶媒は、エタノール、水及びエタノールの混合物、ヤシ分油、又は液体ワックスであってもよい。一実施形態では、溶媒は、エタノール、又は水及びエタノールの混合物である。他の実施形態では、溶媒はエタノールである。
【0035】
本発明の香料組成物は、任意の種類の香料、例えば、非限定例として、香料抽出物、エスプリドパルファム(ESdP)、オードパルファム(EdP)、オードトワレ(EdT)、オーデコロン(EdC)、香料ミスト、及びスプラッシュ(EdS)を含んでもよい。また、本発明の香料組成物は、任意のトップ、ミドル、及びベースのフレグランスノートの組み合わせを含んでもよい。更に、本発明の香料組成物は、Michael EdwardsによるFragrances of the World 2013(登録商標)29th Edition,Sydneyに記載されているフレグランスホイールの種々の「フレグランスファミリー」から個々の構成成分又は混合物を含むことができる。フレグランスホイールにおいて、4つの基本ファミリーは、フローラル、オリエンタル、ウッディ、及びフレッシュであり、それらは次にサブグループ(例えば、フローラルファミリーでは、フローラル、ソフトフローラル、フローラルオリエンタル)に分類され、円形に配置されており、各グループは隣と関連性がある。非限定例として、香料組成物は、ファミリー及びサブグループ、例えば、シングルフローラル、フローラルブーケ、オリエンタル、ウッド、レザー、シプレ、フジェール、ブライトフローラル、グリーン、アクアティック、オーシャニック、オゾニック、シトラス、フルーティ、又はグルマンから構成成分又は混合物を含むことができる。本発明の香料組成物は、種々の天然源、例えば、非限定例として、樹皮、草花、果樹の花、果実、葉、小枝、樹脂、根、根茎、球根、種、木材、アンバーグリース、海狸香、シベット、ハイラセウム、ハチの巣、ジャコウジカ、地衣類、海藻、合成源、又はこれらの混合物からの構成成分又は混合物を含むことができる。
【0036】
他の実施形態では、本発明の香料組成物は、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、それらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される構成成分を含んでもよい。モノテルペン及びそれらの誘導体の非限定例は、メントール、バニリン、シトラールアルコール、ローズアルコール、及びリモネンである。セスキテルペン及びそれらの誘導体の非限定例は、α−及びβ−サンタロール、パチョロール(patcoulol)、及びノルパチョレノールである。ジテルペン及びそれらの誘導体の非限定例は、スクラレオールである。本発明の他の香料組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,919,752号に記載される香料を含んでもよい。
【0037】
IV 試験及び計算方法
バリア特性は、水蒸気透過率(WVTR;ASTM F−1249)及び酸素透過率(OTR;ASTM D3985)の測定により直接得ることができる。
【0038】
環境応力亀裂耐性は、ASTMアイゾットバー(ASTM D256−10)又はボトルのパネルから切り取ったアイゾット寸法の部分を、歪み下(0.25%、0.5%、及び1%)、ヘッドスペース又は製品との直接接触で配置し(1カ月間、25℃又は40℃)、その後、光学的/SEM/TEM特性評価を行うことにより決定される。クリープ耐性は、ASTM V型ドッグボーン(ASTM D638−10)を、応力下(9.58MPa(1390psi))、ヘッドスペース又は製品との直接接触で配置し(1週間、25℃又は40℃)、標点距離に沿って寸法の変化を測定することにより決定される。
【0039】
材料のバイオベース含有量は、ASTM D6866の方法を使用して測定され、加速器質量分析、液体シンチレーション計側、及び同位体質量分析による放射性炭素分析を使用して、材料のバイオベース含有量を決定することができる。大気中の窒素と、紫外線により生成された中性子とが衝突すると、窒素はプロトンを失い、14の分子量を有する放射性炭素が生成される。この14Cは、二酸化炭素へと即座に酸化され、この二酸化炭素は、割合は少ないものの測定可能な大気中炭素画分である。大気中の二酸化炭素は、緑色植物によって循環されて、光合成として知られるプロセス中に有機分子が製造されることになる。循環は、緑色植物又は他の形態の生命体が、有機分子を代謝して二酸化炭素を生成することで完了し、これにより大気への二酸化炭素の再放出が生じる。地球上の生命体の実質上すべての形態は、成長及び生殖を促進する化学エネルギーを生成するにあたって、この緑色植物による有機分子の生成に依存する。したがって、大気中に存在する14Cは、すべての生命形態及びそれらの生物学的生成物の一部となる。二酸化炭素に生分解するこれらの再生可能ベースの有機分子では、大気に放出される炭素の純増加がないため、これらの分子は地球温暖化に寄与しない。対照的に、化石燃料系炭素は、大気の二酸化炭素の、シグネチャー放射性炭素比率を有さない。参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/155086号を参照されたい。
【0040】
「バイオベース含有量」を導き出すためのASTM D6866の適用は、放射性炭素年代測定法と同じ概念上に構築されるが、年齢方程式の使用を伴わない。分析は、現代の標準中の放射性炭素(14C)量に対する未知の試料中の放射性炭素量の比を導き出すことによって行われる。比率は、単位「pMC」(現代炭素パーセント)により百分率として報告される。分析されている物質が、現代の放射性炭素及び化石炭素(放射性炭素を含有しない)の混合物である場合、得られたpMC値は、試料中に存在するバイオマス物質の量と直接相関する。放射性炭素年代測定法において使用される現代参照基準は、およそAD 1950年と同等の既知の放射性炭素含有量を用いるNIST(米国標準技術局)基準である。AD 1950年は、各爆発と共に大量の過剰の放射性炭素(「爆発炭素」と称される)が大気中に導入された、熱核兵器実験前の時を代表するために選択された。AD 1950参照は、100pMCを代表する。実験のピークであり、かつ実験を停止させる条約の前の1963年に、大気中の「爆発炭素」は、正常濃度のほぼ2倍に到達した。大気内のこの分布は、それ以来近似されており、AD 1950年以来生存している植物及び動物に関しては100pMCを超える値が示される。爆発炭素の分布は、時間と共に徐々に減少してきており、今日の値は、107.5pMCに近い。結果として、トウモロコシのような新鮮なバイオマス物質は、107.5pMCに近い放射性炭素シグネチャーを示す。
【0041】
石油ベース炭素は、大気の二酸化炭素の、シグネチャー放射性炭素比率を有さない。研究は、化石燃料及び石油化学製品が約1pMC未満、及び典型的に約0.1pMC未満、例えば、約0.03pMC未満を有することに留意している。しかしながら、完全に再生可能資源に由来する化合物は、少なくとも約95パーセントが現代炭素(pMC)であり、好ましくは少なくとも約99pMC、例えば、約100pMCであり。
【0042】
化石炭素を現代の炭素と物質中に組み合わせることで、現代のpMC含有量が希釈されるであろう。107.5pMCが現代のバイオマス物質を代表し、0pMCが石油由来体を代表するとの推定を基にすると、物質について測定されるpMC値は、2つの構成成分タイプの割合を反映することになるであろう。現代のダイズに100%由来する物質は、107.5pMCに近い放射性炭素シグネチャーを示すであろう。この物質が50%石油由来体で希釈された場合、それは、54pMCに近い放射性炭素シグネチャーを示すであろう。
【0043】
バイオベース含有量の結果は、100%が107.5pMCに等しく、0%が0pMCに等しいように割り当てることによって導き出される。この点で、99pMCと測定される試料は、93%の同等のバイオベース含有量結果をもたらすであろう。
【0044】
本明細書に記載の物質の評価は、ASTM D6866、特に方法Bに従って実施した。平均値は、最終構成成分放射性炭素シグネチャーにおける変動を計上するために、6%の絶対範囲(バイオベース含有量値のいずれかの側でのプラスマイナス3%)を包含する。すべての物質が、現代の又は化石の起源であり、所望の結果は、製造プロセスにおいて「使用される」バイオ物質の量ではなく、物質中に「存在する」バイオ構成成分の量であるものと推定される。
【0045】
物質のバイオベース含有量を査定するための他の技術は、各々参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,885,155号、第4,427,884号、第4,973,841号、第5,438,194号、及び第5,661,299号、及び国際公開第2009/155086号に記載される。
【0046】
例えば、PEFは、そのモノマー単位に8個の炭素原子を含む。PEFが完全に再生可能資源由来である場合、炭素原子のすべてが再生可能資源由来であるため、PEFは理論上100%のバイオベース含有量を有する。PEFのモノマー単位の芳香族部分のみが再生可能資源由来である場合、PEFは理論上75%のバイオベース含有量を有する。
【0047】
上述の記載は、理解を明確にするためにのみ与えられているものであり、当業者にとって本発明の範囲内の変更は自明のことであるので、上述の記載によって不必要な限定が行われるものではないことが理解されるべきである。
【0048】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0049】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てを本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0050】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。