特許第6170163号(P6170163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許6170163トランスデューサハウジングを開閉するためのツール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170163
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】トランスデューサハウジングを開閉するためのツール
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-535137(P2015-535137)
(86)(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公表番号】特表2015-532139(P2015-532139A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】IB2013058855
(87)【国際公開番号】WO2014053958
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/708,716
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】マイラーンデール シーフフリート
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ オリフェル
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−227241(JP,A)
【文献】 特開2005−261464(JP,A)
【文献】 特開昭50−62068(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0232398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
A61B 5/00 − 5/01
A61B 5/06 − 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転継手を介して互いに接続可能であるベース本体及び蓋を持つトランスデューサハウジングを開閉するためのツールであって、
前記トランスデューサハウジングを受けるボウルを形成する基底部であって、前記ツールの軸方向周りで前記ツールの基底部に対する前記トランスデューサハウジングの前記ベース本体の回転を防止する、基底部と、
前記基底部から離れており、かつ前記基底部に付けることが可能な上部であって、前記上部前記基底部に付けられるとき、前記軸方向に対して垂直な半径方向において前記基底部に対する前記上部の運動が機械的に防止される、上部とを有し、
前記基底部が、第1の係合部材を有し、前記上部は、記基底部に付けられるとき、前記第1の係合部材と係合する第2の係合部材を有し、
前記上部が更に、前記軸方向周りで前記基底部に対して前記上部が回転運動するとき、前記回転継手を開けるか又は閉じるため、前記トランスデューサハウジングの前記蓋が前記トランスデューサハウジングの前記ベース本体に対して移動することをもたらすよう、前記トランスデューサハウジングの前記蓋の対応する接触領域に接触する駆動領域を持つ駆動ピンを有し、
前記第1の係合部材と前記第2の係合部材との係合が、前記駆動ピンの前記駆動領域と前記トランスデューサハウジングの前記蓋の前記接触領域との間の接触の間、前記軸方向に沿って前記基底部に対する前記駆動ピンを含む前記上部の運動を防止する、ツール。
【請求項2】
前記基底部が、内壁を有し、前記上部及び前記基底部が互いに結合されるとき、前記上部は、前記基底部の前記内壁に面する外壁を有する、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記半径方向において前記基底部に対する前記上部の運動を防止するため、前記上部及び前記基底部が互いに結合されるとき、前記基底部の前記内壁の少なくとも一部が、前記上部の前記外壁の少なくとも一部にフィットする形状を形成する、請求項2に記載のツール。
【請求項4】
前記軸方向周りでの前記ツールの前記基底部に対する前記トランスデューサハウジングの前記ベース本体の回転が、前記ツールの前記基底部の前記内壁及び前記トランスデューサハウジングの外面の間でフィットする形状を通して防止される、請求項2に記載のツール。
【請求項5】
前記基底部の前記内壁が、円筒状にカーブする表面領域を持ち、前記内壁の部分は、前記円筒状形状から逸脱し、プラナ接触面を有し、前記プラナ接触面が、前記トランスデューサハウジングの対応する接触面と接触し、前記軸方向周りで前記ツールの前記基底部に対する前記トランスデューサハウジングの前記ベース本体の回転を防止する、請求項2に記載のツール。
【請求項6】
前記第2の係合部材が、前記上部におけるリセスであり、前記第1の係合部材は、前記上部及び前記基底部が互いに結合されるとき、前記リセスと係合するガイドピンである、請求項1に記載のツール。
【請求項7】
前記リセスが、挿入部及び隣接するロッキング部を有し、前記挿入部は、前記ロッキング部より大きく、前記ガイドピンが、前記挿入部に挿入されることができ、前記ガイドピンは、軸方向において前記ガイドピンを固定するため、前記軸方向周りで前記基底部に対して前記上部が回転運動するとき、前記ロッキング部に誘導されることができる、請求項6に記載のツール。
【請求項8】
前記基底部が、第3の係合部材を有し、前記上部は、前記上部及び前記基底部が互いに結合されるとき、前記第3の係合部材と係合する第4の係合部材を有する、請求項1に記載のツール。
【請求項9】
前記駆動ピンの前記駆動領域が、凹形状を持つ、請求項1に記載のツール。
【請求項10】
前記駆動ピンの前記駆動領域が、前記軸方向周りでの前記基底部に対する前記上部の前記回転運動の間、前記接触領域と接触するとき、前記トランスデューサハウジングの前記蓋の前記接触領域にフィットする形状を確立するよう構成される、請求項1に記載のツール。
【請求項11】
前記上部が、前記軸方向周りで前記基底部に対して前記上部が回転運動するとき、前記トランスデューサハウジングの前記回転継手を開けるための第1の駆動領域を持つ第1の駆動ピンと、前記軸方向周りで前記基底部に対して前記上部が反対方向に回転運動するとき、前記トランスデューサハウジングの前記回転継手を閉じるための第2の駆動領域を持つ第2の駆動ピンとを有する、請求項1に記載のツール。
【請求項12】
前記第1の駆動ピン及び前記第2の駆動ピンが、前記上部の対向側に構成され、前記第1の駆動領域及び前記第2の駆動領域が反対方向において面する、請求項11に記載のツール。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載のツールと、
回転継手を介して互いに接続可能であるベース本体及び蓋を持つトランスデューサハウジングとを有し、前記蓋が、前記トランスデューサハウジングを開けるか又は閉じるために前記ツールの駆動ピンにより接触されるよう構成される接触領域を有する、キット。
【請求項14】
トランスデューサハウジングであって、
ベース本体と、
蓋とを有し、
前記ベース本体及び前記蓋が、回転継手を介して互いに接続可能であり、
前記蓋は、軸方向周りで前記ベース本体に対して前記蓋が回転するとき、前記トランスデューサハウジングを開けるか又は閉じるためにツールの駆動ピンにより接触されるよう構成される接触領域を有し、一方、前記回転の間、前記軸方向に沿った前記蓋の移動が防止され、
前記ベース本体が、前記軸方向周りで前記ツールの前記基底部に対する前記ベース本体の回転を防止するよう前記ツールの基底部に適合される形状を持つ、トランスデューサハウジング。
【請求項15】
前記回転継手が、着脱可能な差し込みピンマウントである、請求項14に記載のトランスデューサハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスデューサハウジング、特に胎児モニタリングトランスデューサのハウジングを開閉するためのツールに関する。更に、本発明は、斯かるツール及び斯かるトランスデューサハウジングを有するキットに関する。
【背景技術】
【0002】
過去の数十年において、多くの調査が、胎児モニタリングトランスデューサ及びデバイスに向けられてきた。これらのデバイスは、妊娠及び出生の間、児心音及び子宮収縮を記録するか、又は子宮における胎児の画像を作成するために用いられる。後者に関して、産科的超音波検査法が通常実行される。そこでは、超音波検査は、その母の子宮における胚又は胎児を視覚化するために用いられる。この手順は、出生前の看護の標準的な部分である。なぜなら、それが、母及び胎児の健康に関する様々な情報、妊娠の経過、並びに出生の前と間の乳児に関する更なる情報を提供するからである。
【0003】
妊娠及び出生の間、子宮収縮を記録するために、わずかに異なる機械が使用される。斯かるモニタリングを実行するのに用いられる機械は、分娩監視装置と呼ばれる。より一般には、電子胎児監視装置(EFM)として知られる。
【0004】
上述した両方の胎児の監視デバイスにおいて、1つ若しくは複数の超音波トランスデューサ又は他の超音波ベースのセンサが、使用される。これらの超音波トランスデューサ及び他の電子周辺デバイスは、液体気密なハウジングにカプセル化されることを必要とする。胎児モニタリング装置の測定トランスデューサ及び周辺デバイスに関してカプセル化されたボリュームを提供するため、通常2つのハーフシェルが用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に現れる1つの問題は、トランスデューサ及び周辺デバイスの有用性である。使用後、トランスデューサハウジングは、洗浄及び消毒されなければならない。他方、トランスデューサハウジングは絶対に液体気密であることを必要とする。なぜなら、出生の間に使用される場合、ハウジングは通常、多くの血液及び粘液で汚染されるからである。従って、ほとんどの場合、トランスデューサハウジングの2つのハーフシェルは、接着されるか又はネジを使用して互いに接続される。
【0006】
トランスデューサハウジングの2つのハーフシェルが接着される場合、これは、トランスデューサハウジングの有用性に主要な(負の)インパクトを与える。2つの収容部分が接着される場合、ハウジング内部の任意の部分を修復するか又は交換するためにトランスデューサハウジングを開けるのは難しい。なぜなら、この場合接着剤の結合が解放される必要があるからである。接着剤の結合を解放することは、困難である場合があり、ハウジングの部分を破壊する可能性もある。
【0007】
ネジを介したトランスデューサハウジングの2つのハーフシェルの接続も、有利でない。第一に、ネジは、トランスデューサハウジングに負の視覚的なインパクトを与え、トランスデューサハウジングの設計に負の影響を与える。更に、ネジの金属部品は、無線トランスデューサの電波システムに負の影響を与える可能性がある。更になお、ネジは、トランスデューサハウジング内の空間を占有する。それとは別に、接続部分としてネジを使用するとき、すきま及び鋭いエッジが発生するかもしれない。これは、不必要な損傷を患者にもたらす可能性がある。別の負の効果は、超音波トランスデューサ又はこれに接続される周辺デバイスを修理又は洗浄するため、医師自身がトランスデューサハウジングを開けようとする可能性がある点にある。しかしながら、斯かるセルフ修理は、いかなる場合でも防止されるべきである。
【0008】
医療デバイスは、特別な開口ツールを所有している許可された人を除き、任意の未許可の人によって開けられることができないと規定する強い規則が、医学分野には存在する。
【0009】
従って、本発明の目的は、胎児モニタリングトランスデューサハウジングに関して消毒しやすく使いやすいネジのない接続システムを提供することである。更に、本発明の目的は、トランスデューサハウジングを開閉するのに用いられることができる唯一のツールシステムとして機能する、胎児監視デバイスのトランスデューサハウジングを開閉するためのツールを提供することである。ツールの使用は、直観的であるべきで、過度のエネルギーを必要とするべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様において、2つの収容部分、即ちベース本体及び蓋を持つトランスデューサハウジングを開閉するためのツールが提供される。この2つの収容部分は、回転継手を介して互いに接続可能である。このツールは、
上記トランスデューサハウジングを受けるボウルを形成する基底部であって、上記ツールの軸方向周りで上記ツールの基底部に対する上記トランスデューサハウジングの上記ベース本体の回転を防止する、基底部と、
上記基底部と接続可能な上部であって、上記上部及び上記基底部が互いに結合されるとき、上記軸方向に対して垂直な半径方向において上記基底部に対する上記上部の運動が機械的に防止される、上部とを有し、
上記基底部が、第1の係合部材を有し、上記上部は、上記上部及び上記基底部が互いに結合されるとき、上記第1の係合部材と係合する第2の係合部材を有し、
上記上部が、上記軸方向周りで上記基底部に対して上記上部が回転運動するとき、上記回転継手を開けるか又は閉じるため、上記トランスデューサハウジングの上記蓋が上記トランスデューサハウジングの上記ベース本体に対して移動することをもたらすよう、上記トランスデューサハウジングの上記蓋の対応する接触領域に接触する駆動領域を持つ駆動ピンを更に有し、
上記第1の係合部材と上記第2の係合部材との係合が、上記駆動ピンの上記駆動領域と上記トランスデューサハウジングの上記蓋の上記接触領域との間の接触の間、上記軸方向に沿って上記基底部に対する上記上部の運動を防止する。
【0011】
本発明の更なる態様において、キットが、与えられ、このキットは、
請求項1乃至14のいずれかに記載のツールと、
液体気密なハウジングを形成するため、回転継手を介して互いに接続可能であるベース本体及び蓋を持つトランスデューサハウジングとを有し、上記蓋が、上記トランスデューサハウジングを開けるか又は閉じるために上記ツールの駆動ピンにより接触されるよう構成される接触領域を有する。
【0012】
本発明のなお更なる態様において、トランスデューサハウジングが、与えられ、このハウジングは、
ベース本体と、
蓋とを有し、
上記ベース本体及び上記蓋が、回転継手を介して互いに接続可能であり、
上記蓋は、軸方向周りで上記ベース本体に対して上記蓋が回転するとき、上記トランスデューサハウジングを開けるか又は閉じるためにツールの駆動ピンにより接触されるよう構成される接触領域を有し、
上記ベース本体が、上記軸方向周りで上記ツールの上記基底部に対する上記ベース本体の回転を防止するよう上記ツールの基底部に適合される形状を持つ。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、従属項において規定される。請求項に記載のキット及び請求項に記載のトランスデューサハウジングは、請求項に記載のツール、及び従属項に記載されるツールと、類似する及び/又は同一の好ましい実施形態を持つ点を理解されたい。
【0014】
本発明の中心となる点の1つは、本書においてベース本体及び蓋と表される2つの収容部分を持つトランスデューサハウジングを供給することである。ベース本体及び蓋は、回転継手を介して互いに結合されることができる。回転継手は好ましくは、トランスデューサハウジングに一体化される。回転継手は、2つの部分が互いに対して回転するとき、蓋及びベース本体を互いに結合することを可能にする任意の継手である。よく知られた例は、ねじ継手又は差し込みピンマウントである。しかしながら、本発明の範囲を出ることなしに、他の回転継手が使用されることもできる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、回転継手は、差し込みピンマウントとして実現される。一体化された差し込みピンマウントは、トランスデューサハウジングの2つのハーフシェル(2つの収容部分)のロック及びリリースを提供する。トランスデューサハウジングの差し込みピンマウントのロック及び/又はリリースを可能にするレバー又は任意の他の要素をトランスデューサハウジングの蓋に一体化する代わりに、本書に記載される開閉ツールを用いてのみ開ける及び/又は閉じることができるよう、トランスデューサハウジングは設計される。意図的でない開動作又は未許可の人によるトランスデューサハウジングの開動作は、従って許されない。本書に記載される特別なツールを所有する人だけが、トランスデューサハウジングを開けることが可能である。病院において、例えば、サービス及び修理部門で働く人々だけが、本書に記載される特別な開閉ツールを持つことができる。その結果、これらの人々だけが(医師自身でなく)、サービス及び修理目的でトランスデューサハウジングを開閉することが可能にされる。
【0016】
本書に記載されるトランスデューサハウジングの更なる利点は、洗浄が簡単なことである。なぜなら、それは好ましくは任意の鋭いエッジを持たないからである。トランスデューサハウジングの外面のほとんどの部分は、丸い又は凹表面である。従って、損傷のリスクは、最小化される。鋭いエッジがないので、本書に記載されるツールなしにトランスデューサハウジングを開けることは非常に困難であるか又はほぼ不可能である。単に手で開けることはできない。なぜなら、差し込みピンマウントを開けるためハウジングの蓋に十分に大きいトルクを及ぼすよう捕まえられることができるエッジがないからである。
【0017】
「トランスデューサハウジング」という用語は、トランスデューサを包むのに適した任意のタイプのハウジングを表す点に留意されたい。それは、任意の特定タイプ、形状又はサイズに限定されない。それは、トランスデューサ自体を含む必要はない。
【0018】
トランスデューサハウジングを開ける及び/又は閉じるため、トランスデューサハウジングの蓋は、ツールの上述した駆動ピンにより接触されることができる接触領域を有する。トランスデューサハウジングの蓋を開ける及び/又は閉じることを可能にする、ツールとトランスデューサハウジングの間でフィットする形状が好ましくは確立される。トランスデューサハウジングが、2つの収容部分(ベース本体及び蓋)に一体化される差し込みピン機構を使用するので、トランスデューサシェルに対する視覚的なインパクトは存在しない。ネジが使用される必要がないので、差し込みピンマウントは、無線トランスデューサの電波システムを妨げる可能性がある金属部品の負の影響も除去する。すきま及び中断された表面がないことも、トランスデューサデバイスを洗浄することを容易にする。(多くの従来の装置において用いられる)接着されたシェルを回避することで、トランスデューサハウジングにおいてカプセル化される内部デバイスの非破壊的で簡単な有用性が可能にされる。トランスデューサハウジングを開閉するための本書に記載される特別なツールの技術的特徴が、以下において更に詳述される。
【0019】
ツールは好ましくは、2つの別々の部分、即ち基底部及び上部を有する。基底部は、トランスデューサハウジングを受ける一種のボウルを形成する。トランスデューサハウジングがツールの上記基底部に挿入される場合、ツールの軸方向周りでツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の回転が防止される。この回転防止は、さまざまな方法で実現されることができる。最も単純なケースにおいて、ツールの基底部の内壁とトランスデューサハウジングのベース本体の外壁の少なくとも一部との間でフィットされる形状が実現される。トランスデューサハウジングの外壁は例えば、トランスデューサハウジング及びツールの間のインタフェースでフィットする形状を作成するため、ツールの基底部の内壁と、同じ又は対応する形状を持つことができる。
【0020】
すでに上述されたように、ツールの2つの部分は好ましくは、互いに接続可能である2つの別々の部分として実現される。ツールの上部は、ツールの基底部に付けられることができる一種の蓋として機能する。上部の部分は、(軸方向に対して垂直な)半径方向における相対的な運動を防止するため、基底部の部分と連動することができる。
【0021】
ある実施形態によれば、基底部は内壁を有し、上部は、上部及び基底部が互いに結合されるとき基底部の内壁に面する外壁を有する。ツールの基底部の上記内壁の少なくとも一部は、ツールの上部の外壁の少なくとも一部とフィットする形状を形成することができる。この形状フィットは、半径方向において基底部に対する上部の運動を防止することができる。
【0022】
ツールの2つの部分の間の係合は、2つ又はこれ以上の係合部材により実現されることができる。第1の係合部材は、ツールの基底部に構成され、第2の係合部材は、ツールの上部に構成され、ツールの上部及び基底部が互いに結合されるとき、第1の係合部材と係合する。少なくとも2つの係合部材の間のこの係合は、軸方向周りでの基底部に対する上部の回転運動を可能にする機械的なガイダンスとして機能する。ユーザはこうして、ツールの基底部に対して上部を付けることができ、軸方向周りで基底部に対して手で上部を回転させることができる。ユーザは、例えば、1つの手で基底部を保持し、他の手で、ツールの上部を基底部に対して軸方向周りで、時計回りに、又は、反時計回りに回す。
【0023】
ツールの更なる重要な部分は、ツールの上部に構成される駆動ピンである。軸方向周りでツールの上部を回転させるとき、この駆動ピンは同様に回転する。それは、トランスデューサハウジングの蓋の対応する接触領域と接触する駆動領域を有する。こうして、ツールの上部がツールの基底部に対して軸方向周りで回転されるとき、駆動ピンは、トランスデューサハウジングの蓋に力を及ぼす。この力は、ユーザが基底部に対して上部を回転させるとすぐに、トランスデューサハウジングの蓋が、ツールの上部と同期的に回転することをもたらす。ツールの上部は従って、トランスデューサハウジングの蓋を押すことを可能にする一種の機械的なレバーとして機能する。
【0024】
(ユーザの手運動により生じる)軸方向周りでのツールの上部の上記回転運動の間、駆動ピンは、トランスデューサハウジングの蓋と接触し、差し込みピンマウントを開ける又は閉じるために、それが、トランスデューサハウジングのベース本体に対して移動することをもたらす。ツールの基底部とトランスデューサハウジングのベース本体との間でフィットする形状が、ツールにおけるトランスデューサハウジングのベース本体の回転を防止するので、トランスデューサハウジングの蓋だけが、(ツールの上部と共に)回転される。これにより、トランスデューサハウジングのベース本体は、静止している。ツールの上部の時計回りの回転は例えば、差し込みピンマウントが開くことをもたらし、一方ツールの上部の反時計回りの回転は、差し込みピンマウントが閉じることをもたらす。
【0025】
この開及び/又は閉手順の間、ツールの駆動ピンが、トランスデューサハウジングの蓋にわたりだけすべらないことが確実にされなければならない。なぜなら、そうでなければ、それを開ける及び/又は閉じるために、この力がツールからトランスデューサハウジングの蓋まで正しく伝わらないからである。これは、本発明によれば、ツールの第1の係合部材と第2の係合部材との係合が、軸方向に沿ったツールの上部の運動を防止しつつ、駆動ピンが、トランスデューサハウジングの蓋と接触するという点で解決される。駆動ピンは従って、軸方向においてトランスデューサハウジングの蓋へ押圧される。
【0026】
更なる実施形態によれば、軸方向周りでのツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の運動は、以下のように防止される。基底部の内壁は、円筒状にカーブする表面領域を持つことができる。そこでは、上記内壁の部分が、円筒状形状から逸脱し、トランスデューサハウジングの対応する接触面と接触するプラナ接触面を有する。ツールのこれらの2つの接触面とトランスデューサハウジングのベース本体との間の相互作用は、軸方向周りでのツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の回転を防止する。ツールの基底部の内壁のプラナ接触面は、ツールの円周方向に垂直であるよう構成されることができる。円周方向はこの場合、ツールの半径方向に対して垂直なだけでなく、軸方向に対して垂直である方向を表す。
【0027】
しかしながら、ツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の回転は、他の多くの技術的な態様において防止されることもできる。ツールの基底部の内壁だけでなくトランスデューサハウジングのベース本体の外壁は共に例えば、対応する八角形の形状を持つことができる。その結果、トランスデューサハウジングがツールにおいて回転移動するのを防止する形状フィットが中間的な上記2つの壁の間で確立される。
【0028】
以下において、ツールの上部及び基底部の間の係合が、詳述される。本発明のある実施形態によれば、第2の係合部材は、ツールの上部におけるリセスとして実現され、第1の係合部材は、ツールの上部及び基底部が互いに結合されるとき、上記リセスと係合するガイドピンとして実現される。上記リセスは好ましくは、挿入部及び隣接するロッキング部を有する。この場合、挿入部は、ロッキング部より大きい。ガイドピンは、挿入部に挿入されることができ、軸方向周りで基底部に対して上部が回転運動するとき、ロッキング部に誘導されることができる。ガイドピンが十分なクリアランスを持ちリセスに挿入されることができるよう、上部におけるリセスの挿入部分は、十分に大きくなければならない。ツールの基底部に対してツールの上部を回転させることにより、基底部のガイドピンは、隣接するロッキング部にもたらされる。このロッキング部は、挿入部とは対照的に、ガイドピンとリセスのロッキング部との間のクリアランスがこれ以上ないよう、十分に小さくなければならない。こうして、ガイドピンは、リセスのロッキング部において固定されることができる。その結果、ツールの基底部に対する上部の運動は、軸方向において機械的に防止される。
【0029】
上部の回転運動の間、駆動ピンの駆動領域がトランスデューサハウジングの蓋の接触領域に接触する前に、基底部のガイドピンがロッキング部に到達するよう、駆動ピンに対するツールの上部におけるリセスのロッキング部の構成が選択される。これは、駆動ピンがトランスデューサハウジングの蓋と接触し、トランスデューサハウジングを開ける及び/又は閉じるためにその上に力を及ぼす前に、ツールの上部が、ツールの基底部において最初に固定されることを保証する。ガイドピン及び(ロッキング部における)リセスの間の係合は従って、円周方向においてそれを押すことなしに、駆動ピンがトランスデューサハウジングの蓋にわたりすべらないことを保証する。
【0030】
本発明の更なる実施形態によれば、基底部は第3の係合部材を有し、上部及び基底部が互いに結合されるとき第3の係合部材と係合する第4の係合部材を上部が有する。第1の係合部材と同様に、第3の係合部材は、一種のガイドピンとして実現されることができ、第4の係合部材は、(上述の第2の係合部材に類似して)ツールの上部におけるリセスとして実現されることができる。
【0031】
好ましくは、第3の係合部材は第1の係合部材より小さく設計され、第4の係合部材は第2の係合部材より小さく設計される。こうして、第1の係合部材(第1のガイド・ピン)は、第2の係合部材(第1のリセス)とだけ係合することができ、第3の係合部材(第2のガイド・ピン)は、第4の係合部材(第2のリセス)とだけ係合することができる。言い換えると、ツールの基底部に構成される2つの異なるサイズのガイドピンと、ツールの上部における2つの異なるサイズのリセスとを提供することにより、ツールの2つの部分は、唯一の位置において結合されることができる。これは、一種のポカヨケを実現する。ツールの上部及び基底部の誤った結合が防止される。
【0032】
更に追加的な実施形態によれば、駆動ピンの駆動領域は、凹形状を持つ。トランスデューサハウジングの蓋の接触領域は、対応する凸形状を持つ。トランスデューサの蓋の接触領域の斯かる凸面又は丸い形状は、蓋が、本書に記載される特別なツールを用いてのみ開けられることができることを確実にする。凸面又は丸い接触領域は、トランスデューサの蓋を手で、又は、従来のツールを用いて開ける及び/又は閉じるための十分大きなターゲット表面を提供しない。本書に記載されるツールにより提供される対応する凹形状の駆動ピンだけが、蓋を開ける及び/又は閉じるために用いられることができる。
【0033】
更なる好ましい実施形態によれば、ツールの上部は、1つ駆動ピンを有するだけでなく、2つの駆動ピンを有することもできる。第1の駆動ピンは、軸方向周りで基底部に対して上部が回転運動するとき、トランスデューサハウジングの差し込みピンマウントを開けるための第1の駆動領域を持ち、第2の駆動ピンは、反対方向の回転運動に応じて、トランスデューサハウジングの差し込みピンマウントを閉じるための第2の駆動領域を持つ。第1の駆動ピン及び第2の駆動ピンは好ましくは、ツールの上部の対向側に構成される。第1の駆動ピンの第1の駆動領域は好ましくは、第2の駆動ピンの第2の駆動領域と反対方向において面する。ユーザが、トランスデューサハウジングの蓋を開けるのではなく閉めたい場合、ユーザは、ツールの上部をちょうど180°反転させ、それをさかさまに使用しなければならない。これは必須の特徴ではない点に留意されたい。第2の駆動ピンは、変形例において、ツールの上部の第1の駆動ピンと同じ側に構成されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態によるトランスデューサハウジングの分解表示を示す図である。
図2図1に示されるトランスデューサハウジングの上面表示を示す図である。
図3図1に示されるトランスデューサハウジングにおいて構成される差し込みピンマウントの異なる位置を概略的に示す図である。
図4A】閉位置にあるトランスデューサハウジングの概略的な表示を示す図である。
図4B】開位置にあるトランスデューサハウジングの概略的な表示を示す図である。
図5A】本発明によるツールの実施形態を斜視表示で示す図である。
図5B】本発明によるツールの実施形態を上面表示で示す図である。
図6A】第2の位置にある本発明によるツールを斜視表示で示す図である。
図6B】第2の位置にある本発明によるツールを上面表示で示す図である。
図7A】第3の位置にある本発明によるツールを斜視表示で示す図である。
図7B】第3の位置にある本発明によるツールを上面表示で示す図である。
図8】第4の位置にある本発明によるツールの更なる斜視表示を示す図である。
図9】第5の位置にある本発明によるツールの更に追加的な斜視表示を示す図である。
図10】ツールの基底部の斜視表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0036】
図1及び図2は、本発明によるツール10で開閉されることができるトランスデューサハウジング20の原理設計を示す。ツール10は、図5図9を参照して更に説明される。読者のより良好な理解のため、ツール10で開閉されることができるトランスデューサハウジング20の原理設計が、最初に説明される。
【0037】
図1に示されるように、トランスデューサハウジング20は、2つの収容部分、ベース本体22及び蓋24を有する。ベース本体22及び蓋24は、トランスデューサハウジング20内部におけるカプセル化されたボリュームを提供するため、トランスデューサハウジング20の2つのハーフシェルを形成する。実際において、産科的超音波検査法デバイス又は電子胎児監視装置(EFM)の複数のトランスデューサ、センサ及び周辺電子デバイスが、このカプセル化されたボリュームに構成される。
【0038】
図3A及び図3Bにおいて詳細に示される回転継手26が、ベース本体22と蓋24を接続する接続手段として使用される。この回転継手は、本書に示される実施形態によれば、差し込みピンマウント26として実現される。この差し込みピンマウント26は、蓋24の下部側に構成される複数のアンダーカット28及びベース本体22の円周内壁32に構成される複数の対応する差し込みピン突出部30を有する。
【0039】
図3Aにおいて矢印34により概略的に示されるように、蓋24は、トランスデューサハウジング20のベース本体22に対して蓋24を時計回りに回転させることにより、ベース本体22に結合されることができる。この回転のとき、アンダーカット28は、蓋24及びベース本体22の間の機械的に固定されるが、解放可能な接続を形成するよう、差し込みピン突出部30と係合する。図3Bは、差し込みピンマウント26の閉位置を示す。
【0040】
差し込みピンマウント26は、図示された例と比較して反転されることもできる点を理解されたい。差し込みピン突出部30が、蓋24に構成され、アンダーカット部材28が、ベース本体22の内壁32に構成されることもできる。同様に、アンダーカット部材28の配列を逆にすることも可能である。その結果、差し込みピンマウント26は、ベース本体22に対して蓋24を反時計回りに回転運動することで閉じられ、ベース本体22に対して蓋24を時計回りに回転運動することで開けられることができる。
【0041】
ある実施形態によれば、アンダーカット28及び差し込みピン突出部30は、非対称的に構成されることができる。これは、差し込みピン突出部30の間の距離が(わずかに)異なることができることを意味する。従って、蓋24は、唯一の正しい位置においてベース本体22に付けられることができる。これは、トランスデューサハウジング20のベース本体22にユーザが蓋24を正しく付けることを支援するポカヨケ特徴として機能する。
【0042】
図1に示されるように、トランスデューサハウジングのベース本体は好ましくは、実質的に円筒状形状を持つ。これに伴い、蓋24は、平面図(図2を参照)において、実質的に円形形状を持つ。しかしながら、ベース本体22の部分及び蓋24の部分はそれぞれ、上記実質的に円筒状又は実質的に円形形状とは異なる。ベース本体22及び蓋24のこれらの部分は、図1及び図2において、参照符号36及び38で示される。
【0043】
ベース本体22の部分36は、ベース本体22の円筒状メイン部分の一種の突起として実現される。上記突起36は、ツール10の対応する接触面に接触し、ツール10においてベース本体22の回転運動を防止するカウンター支持部として使用されることができる2つのプラナ接触面40を有する。
【0044】
同様に、蓋24の一方の側に構成される突起38は、その横方向の側に2つの接触領域42を有する。これらの接触領域42は、差し込みピンマウント26を開ける又は閉じるため、トランスデューサハウジング20のベース本体22に対して蓋24を回転させる力を蓋24にかけるため、ツール10の駆動ピンにより接触されることができる。差し込みピンマウント26がツール10でどのように開けられるかの詳細な原理が、図5図9を参照して以下詳細に説明される。
【0045】
蓋24の上記の接触領域42は好ましくは、丸い凸面形状を持つ。これは必須の特徴ではないが、斯かる丸い凸面形状は、蓋24が、手で、又は、従来のツールを使用することにより回転されることができることを防止する。差し込みピンマウント26を開けるために蓋24を手で容易に回転させるために用いられることができる手段又はレバーが、蓋24に一体化されることはない。差し込みピンマウント26は更に、十分に気密である。その結果、手では蓋24へ充分な運動量を及ぼすことができない。従って、蓋24は、ツール10を用いてのみ開けられることができる。これは特に、医療デバイスが任意の未許可の人により開けられることができないと規定する医学分野における強い規則が原因で確実にされる。
【0046】
図4は再度、トランスデューサハウジング20の個別の図を示し、図4Aは、その閉位置にある蓋24を示し、図4Bは、その開位置にある蓋24を示す。図3Bに示される差し込みピンマウント26の位置が、(図4Aに示される)蓋24の閉位置に対応し、図3Aに示される差し込みピンマウント26の開位置は、(図4Bに示される)蓋24の開位置に対応することは明らかである。図4から、トランスデューサハウジング20が、複数のコネクタ44を有することができることが更に分かる。これらのコネクタ44は、異なる技術的な機能を持つことができる。例えば、電源が、トランスデューサに接続されることができる。他方、これらのコネクタは、得られた超音波トランスデューサ信号を送信するため、基地局への接続として機能することができる。トランスデューサハウジング20内部のトランスデューサが、無線接続を介して、又は、有線接続を介して斯かる基地局に接続されることができる点に留意されたい。
【0047】
以下、本発明によるツール10の詳細が与えられる。図5Aに示されるように、ツール10は、基底部12及び上部14を有する。基底部12は、トランスデューサハウジング20を受けるよう構成されるボウルの形を持つ。上記ボウルの形状は、トランスデューサハウジング20のベース本体22の形状に対して適合されるので、ツール10の基底部12は、軸方向16の周りでツール10におけるトランスデューサハウジング20のベース本体22の回転を防止する。この形状フィットは、半径方向18に沿ってツール10の基底部12におけるトランスデューサハウジング20のベース本体22の相対的な運動も防止する。
【0048】
図10は、ツール10の基底部12の拡大図を示す。基底部12が内壁48を有し、この内壁は、トランスデューサハウジング20のベース本体22の外壁50に対して適合されることが分かる(図1参照)。この内壁48は好ましくは、円筒状にカーブする表面領域52を持つ。しかしながら、上記内壁48の部分は、円筒状形状から逸脱して、プラナ接触面54を有する。この接触面は、(円周方向46に沿って)軸方向16の周りでツール10の基底部12に対するトランスデューサハウジング20のベース本体22の回転を防止するよう、トランスデューサハウジング20の接触面40と接触するよう構成される。
【0049】
基底部12は更に、ガイドピン、即ち第1のガイドピン56及び第2のガイドピン58(例えば図5Bを参照)を有する。第1及び第2のガイドピン56、58は、第1の係合部材56及び第3の係合部材58とも表される。サイズに基づき、ただ1つの係合部材56、58で充分な点に留意されたい。しかしながら、少なくとも2つの斯かる係合部材56、58を提供することが好ましい。
【0050】
ツールの上部14とツールの基底部12を結合するため、2つのガイドピン56、58が用いられる。上部14は、2つのリセス、即ち第1のリセス60及び第2のリセス62(例えば図5Bを参照)を有する。これらの第1及び第2のリセス60、62は、第2の係合部材60及び第4の係合部材62とも表される。
【0051】
図5Bに示されるように、第1のガイドピン56は、第1のリセス60と係合し、第2のガイドピン58は、第2のリセス62と係合する。ガイドピン56、58及びリセス60、62は、異なる大きさにされる。これは、必須の機能ではないが、それは、基底部12へユーザが上部14を正しく付けることを容易にする。なぜなら、誤った取付けが防止されるからである。より大きなガイドピン56(第1の係合部材)は、より大きいリセス60(第2の係合部材)とだけ係合することができ、より小さいガイドピン58(第3の係合部材)は、より小さいリセス62(第4の係合部材)とだけ係合することができる。
【0052】
一方では、ガイドピン56、58及びリセス60、62の間の係合は、基底部12に対する上部14の回転に関する誘導として機能し、他方では、トランスデューサハウジング20の蓋24を開ける及び/又は閉じる間、軸方向16に沿った基底部12に対する上部14の運動を防止する。
【0053】
トランスデューサハウジング20の差し込みピンマウント26を開けるため、ツールの上部14は、(円周方向46に沿って)軸方向16周りでツールの基底部12に対して単に回転される。この回転運動のとき、ツールの上部14に構成される駆動ピン64が、トランスデューサハウジング20の蓋24と接触し、(ツールの上部14の回転運動と同期して)蓋24が同様に回転することをもたらす。トランスデューサハウジング20のベース本体22が、ツールの基底部12において固定されるので、蓋24のこの回転運動は、差し込みピンマウント26を開ける。
【0054】
駆動ピン64は、蓋24の接触領域42とフィットする形を確立するよう構成される。この形状フィットを確立するため、駆動ピン64は好ましくは、(蓋24の接触領域42の凸形状に対応する;図2参照)凹形状を持つ駆動領域66を有する。
【0055】
図5図7は、トランスデューサハウジング20の蓋24を開ける間のツール10の技術的な原理を示す、時間における後続点での異なるスナップショットを示す。図5A及び図5Bは、ツールの上部14がツールの基底部12に付けられた後の初期位置を示す。この位置において、駆動ピン64は、蓋24と接触しない(図5Aを参照)。
【0056】
図5Bに見られることができるように、より大きなガイドピン56はこの状況において、リセス60の挿入部分60'に構成され、より小さいガイドピン58は、リセス62の挿入部分62'に構成される。両方のリセス60、62は、形状がLに類似し、より大きい挿入部60'、62'及びより小さい(より狭い)断面60"、62"を有する。これらは、ロッキング部60"、62"として本書において表される。ガイドピン56、58が、リセス60、62の挿入部60'、62'において構成される場合、ツールの上部14は、ツールの基底部12に対して軸方向16において自由に移動することがまだできる。(軸方向16の周りで上部14が回転されるとき)ガイドピン56、58が、リセス60、62のロッキング部60"、62"に導かれるとすぐ、ガイドピン56、58は、ツールの上部14を固定し、軸方向16において基底部12に対する上部14の運動を防止する。この場合、ツールの軸方向16が、トランスデューサハウジング20の軸方向と共に落下する点に留意されたい。
【0057】
図5A及び図5Bに示される初期位置において、駆動ピン64は、蓋24と接触しない。2つのガイドピン56、58は、挿入部60'、62'において構成される(図5Bを参照)。ツールの上部14がその後軸方向16周りで反時計回りに回転される場合、駆動ピン64は、蓋24と接触する(図6Aを参照)。この場合、駆動ピン64の駆動領域66と蓋24の接触領域42との間の形状フィットが確立される。この状況において、軸方向16に沿ったツールの上部14の相対的な運動は、ガイドピン56、58及びリセス60、62の間の係合を通り防止される(図6Bを参照)。
【0058】
図6Bにおいて見られることができるように、ガイドピン56、58はその後、リセス60、62のロッキング部60"、62"において構成される。駆動ピン64に対するロッキング部60"、62"の構成は、軸方向16周りでツールの上部14が回転運動する間、駆動ピン64の駆動領域66が蓋24の接触領域42に接触する前に、基底部12のガイドピン56、58がロッキング部60"、62"に達するよう、選ばれる。言い換えると、駆動ピン64がトランスデューサハウジング20の蓋24に達する前に、上部14は軸方向16において固定される。駆動ピン64は従って、蓋24上へ円周方向46において力を及ぼすだけでなく、蓋24上へ軸方向16においても押圧される。これは、駆動ピン64が、トランスデューサハウジング20の蓋24にわたり、それを開けることなしに簡単にはスリップしないことを確実にする。
【0059】
図7は、ツールの上部14が、軸方向16周りで完全に回された状況を示す。蓋24(差し込みピン・マウント26)はその後開かれ、2つのガイドピン56、58は、リセス60、62のロッキング部60"、62"において完全に構成される。開けられたトランスデューサハウジング20を取り出すには、ツールの上部14が、(時計回りの態様において)戻すように回されなければならない。その結果、上部14が、ツールの基底部12から切り離されることができ、トランスデューサハウジング20は手動で取り外されることができる。
【0060】
要約すると、ユーザは、単にトランスデューサハウジング20をツールの基底部12に入れて、ツールの上部14をこれに付け、基底部12に対して上部14を回すだけでよい。トランスデューサハウジング20の差し込みピンマウント26が開かれるとすぐ、上部14は、戻すように回され、基底部12から切り離されることができる。開けられたトランスデューサハウジング20は、手動で取り外されることができる。
【0061】
トランスデューサハウジング20の差し込みピンマウント26を閉じることは、同じツール10を用いてかなり似た態様で実行されることができる。ツールの上部14は、さかさまにだけ回される必要がある。言い換えると、ツールの上部14は、反転されなければならない。この状況は、図8及び図9に示される。
【0062】
図5図7に示される状況を参照し、ツールの上部14は、図8及び図9においてさかさまに回される。第2の駆動ピン64'は、(矢印46'で示されるように)時計回りの態様においてツールの上部14が回転運動されるとき、トランスデューサハウジング20の蓋24を閉じるため用いられる。第2の駆動ピン64'は、上部14の反対側に構成され、第1の駆動ピン64の反対側の方向において面する。これは、蓋24を開けるのに使用される。第2の駆動ピン64'は、第1の駆動ピン64の第1の駆動領域66の反対側の方向において面する第2の駆動領域66'を有する。第2の駆動ピン64'(そして、第1の駆動ピン64でない)がトランスデューサハウジング20の方へ下に向く点、ツールの上部14が(反時計回りでなく)時計回りに回転される点を除き、蓋24を閉じることは従って、蓋を開けることとほぼ同じである。
【0063】
最終的に、ツール10ももちろん逆の態様で構築されることもできる点に留意されたい。その結果、ツールの上部14の時計回りの運動は、蓋24が開くことをもたらし、ツールの上部14の反対の反時計回りの運動は、蓋24が閉じることをもたらす。
【0064】
本発明が図面及び前述の説明において詳細に図示され及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、説明的又は例示的であると考えられ、本発明を限定するものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面、開示及び添付された請求項の研究から、開示された実施形態に対する他の変形が、請求項に記載の本発明を実施する当業者により理解され、実行されることができる。
【0065】
請求項において、単語「有する」は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。単一の要素又は他のユニットが、請求項に記載される複数のアイテムの機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを意味するものではない。
【0066】
請求項における任意の参照符号は、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10