【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様において、2つの収容部分、即ちベース本体及び蓋を持つトランスデューサハウジングを開閉するためのツールが提供される。この2つの収容部分は、回転継手を介して互いに接続可能である。このツールは、
上記トランスデューサハウジングを受けるボウルを形成する基底部であって、上記ツールの軸方向周りで上記ツールの基底部に対する上記トランスデューサハウジングの上記ベース本体の回転を防止する、基底部と、
上記基底部と接続可能な上部であって、上記上部及び上記基底部が互いに結合されるとき、上記軸方向に対して垂直な半径方向において上記基底部に対する上記上部の運動が機械的に防止される、上部とを有し、
上記基底部が、第1の係合部材を有し、上記上部は、上記上部及び上記基底部が互いに結合されるとき、上記第1の係合部材と係合する第2の係合部材を有し、
上記上部が、上記軸方向周りで上記基底部に対して上記上部が回転運動するとき、上記回転継手を開けるか又は閉じるため、上記トランスデューサハウジングの上記蓋が上記トランスデューサハウジングの上記ベース本体に対して移動することをもたらすよう、上記トランスデューサハウジングの上記蓋の対応する接触領域に接触する駆動領域を持つ駆動ピンを更に有し、
上記第1の係合部材と上記第2の係合部材との係合が、上記駆動ピンの上記駆動領域と上記トランスデューサハウジングの上記蓋の上記接触領域との間の接触の間、上記軸方向に沿って上記基底部に対する上記上部の運動を防止する。
【0011】
本発明の更なる態様において、キットが、与えられ、このキットは、
請求項1乃至14のいずれかに記載のツールと、
液体気密なハウジングを形成するため、回転継手を介して互いに接続可能であるベース本体及び蓋を持つトランスデューサハウジングとを有し、上記蓋が、上記トランスデューサハウジングを開けるか又は閉じるために上記ツールの駆動ピンにより接触されるよう構成される接触領域を有する。
【0012】
本発明のなお更なる態様において、トランスデューサハウジングが、与えられ、このハウジングは、
ベース本体と、
蓋とを有し、
上記ベース本体及び上記蓋が、回転継手を介して互いに接続可能であり、
上記蓋は、軸方向周りで上記ベース本体に対して上記蓋が回転するとき、上記トランスデューサハウジングを開けるか又は閉じるためにツールの駆動ピンにより接触されるよう構成される接触領域を有し、
上記ベース本体が、上記軸方向周りで上記ツールの上記基底部に対する上記ベース本体の回転を防止するよう上記ツールの基底部に適合される形状を持つ。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、従属項において規定される。請求項に記載のキット及び請求項に記載のトランスデューサハウジングは、請求項に記載のツール、及び従属項に記載されるツールと、類似する及び/又は同一の好ましい実施形態を持つ点を理解されたい。
【0014】
本発明の中心となる点の1つは、本書においてベース本体及び蓋と表される2つの収容部分を持つトランスデューサハウジングを供給することである。ベース本体及び蓋は、回転継手を介して互いに結合されることができる。回転継手は好ましくは、トランスデューサハウジングに一体化される。回転継手は、2つの部分が互いに対して回転するとき、蓋及びベース本体を互いに結合することを可能にする任意の継手である。よく知られた例は、ねじ継手又は差し込みピンマウントである。しかしながら、本発明の範囲を出ることなしに、他の回転継手が使用されることもできる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、回転継手は、差し込みピンマウントとして実現される。一体化された差し込みピンマウントは、トランスデューサハウジングの2つのハーフシェル(2つの収容部分)のロック及びリリースを提供する。トランスデューサハウジングの差し込みピンマウントのロック及び/又はリリースを可能にするレバー又は任意の他の要素をトランスデューサハウジングの蓋に一体化する代わりに、本書に記載される開閉ツールを用いてのみ開ける及び/又は閉じることができるよう、トランスデューサハウジングは設計される。意図的でない開動作又は未許可の人によるトランスデューサハウジングの開動作は、従って許されない。本書に記載される特別なツールを所有する人だけが、トランスデューサハウジングを開けることが可能である。病院において、例えば、サービス及び修理部門で働く人々だけが、本書に記載される特別な開閉ツールを持つことができる。その結果、これらの人々だけが(医師自身でなく)、サービス及び修理目的でトランスデューサハウジングを開閉することが可能にされる。
【0016】
本書に記載されるトランスデューサハウジングの更なる利点は、洗浄が簡単なことである。なぜなら、それは好ましくは任意の鋭いエッジを持たないからである。トランスデューサハウジングの外面のほとんどの部分は、丸い又は凹表面である。従って、損傷のリスクは、最小化される。鋭いエッジがないので、本書に記載されるツールなしにトランスデューサハウジングを開けることは非常に困難であるか又はほぼ不可能である。単に手で開けることはできない。なぜなら、差し込みピンマウントを開けるためハウジングの蓋に十分に大きいトルクを及ぼすよう捕まえられることができるエッジがないからである。
【0017】
「トランスデューサハウジング」という用語は、トランスデューサを包むのに適した任意のタイプのハウジングを表す点に留意されたい。それは、任意の特定タイプ、形状又はサイズに限定されない。それは、トランスデューサ自体を含む必要はない。
【0018】
トランスデューサハウジングを開ける及び/又は閉じるため、トランスデューサハウジングの蓋は、ツールの上述した駆動ピンにより接触されることができる接触領域を有する。トランスデューサハウジングの蓋を開ける及び/又は閉じることを可能にする、ツールとトランスデューサハウジングの間でフィットする形状が好ましくは確立される。トランスデューサハウジングが、2つの収容部分(ベース本体及び蓋)に一体化される差し込みピン機構を使用するので、トランスデューサシェルに対する視覚的なインパクトは存在しない。ネジが使用される必要がないので、差し込みピンマウントは、無線トランスデューサの電波システムを妨げる可能性がある金属部品の負の影響も除去する。すきま及び中断された表面がないことも、トランスデューサデバイスを洗浄することを容易にする。(多くの従来の装置において用いられる)接着されたシェルを回避することで、トランスデューサハウジングにおいてカプセル化される内部デバイスの非破壊的で簡単な有用性が可能にされる。トランスデューサハウジングを開閉するための本書に記載される特別なツールの技術的特徴が、以下において更に詳述される。
【0019】
ツールは好ましくは、2つの別々の部分、即ち基底部及び上部を有する。基底部は、トランスデューサハウジングを受ける一種のボウルを形成する。トランスデューサハウジングがツールの上記基底部に挿入される場合、ツールの軸方向周りでツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の回転が防止される。この回転防止は、さまざまな方法で実現されることができる。最も単純なケースにおいて、ツールの基底部の内壁とトランスデューサハウジングのベース本体の外壁の少なくとも一部との間でフィットされる形状が実現される。トランスデューサハウジングの外壁は例えば、トランスデューサハウジング及びツールの間のインタフェースでフィットする形状を作成するため、ツールの基底部の内壁と、同じ又は対応する形状を持つことができる。
【0020】
すでに上述されたように、ツールの2つの部分は好ましくは、互いに接続可能である2つの別々の部分として実現される。ツールの上部は、ツールの基底部に付けられることができる一種の蓋として機能する。上部の部分は、(軸方向に対して垂直な)半径方向における相対的な運動を防止するため、基底部の部分と連動することができる。
【0021】
ある実施形態によれば、基底部は内壁を有し、上部は、上部及び基底部が互いに結合されるとき基底部の内壁に面する外壁を有する。ツールの基底部の上記内壁の少なくとも一部は、ツールの上部の外壁の少なくとも一部とフィットする形状を形成することができる。この形状フィットは、半径方向において基底部に対する上部の運動を防止することができる。
【0022】
ツールの2つの部分の間の係合は、2つ又はこれ以上の係合部材により実現されることができる。第1の係合部材は、ツールの基底部に構成され、第2の係合部材は、ツールの上部に構成され、ツールの上部及び基底部が互いに結合されるとき、第1の係合部材と係合する。少なくとも2つの係合部材の間のこの係合は、軸方向周りでの基底部に対する上部の回転運動を可能にする機械的なガイダンスとして機能する。ユーザはこうして、ツールの基底部に対して上部を付けることができ、軸方向周りで基底部に対して手で上部を回転させることができる。ユーザは、例えば、1つの手で基底部を保持し、他の手で、ツールの上部を基底部に対して軸方向周りで、時計回りに、又は、反時計回りに回す。
【0023】
ツールの更なる重要な部分は、ツールの上部に構成される駆動ピンである。軸方向周りでツールの上部を回転させるとき、この駆動ピンは同様に回転する。それは、トランスデューサハウジングの蓋の対応する接触領域と接触する駆動領域を有する。こうして、ツールの上部がツールの基底部に対して軸方向周りで回転されるとき、駆動ピンは、トランスデューサハウジングの蓋に力を及ぼす。この力は、ユーザが基底部に対して上部を回転させるとすぐに、トランスデューサハウジングの蓋が、ツールの上部と同期的に回転することをもたらす。ツールの上部は従って、トランスデューサハウジングの蓋を押すことを可能にする一種の機械的なレバーとして機能する。
【0024】
(ユーザの手運動により生じる)軸方向周りでのツールの上部の上記回転運動の間、駆動ピンは、トランスデューサハウジングの蓋と接触し、差し込みピンマウントを開ける又は閉じるために、それが、トランスデューサハウジングのベース本体に対して移動することをもたらす。ツールの基底部とトランスデューサハウジングのベース本体との間でフィットする形状が、ツールにおけるトランスデューサハウジングのベース本体の回転を防止するので、トランスデューサハウジングの蓋だけが、(ツールの上部と共に)回転される。これにより、トランスデューサハウジングのベース本体は、静止している。ツールの上部の時計回りの回転は例えば、差し込みピンマウントが開くことをもたらし、一方ツールの上部の反時計回りの回転は、差し込みピンマウントが閉じることをもたらす。
【0025】
この開及び/又は閉手順の間、ツールの駆動ピンが、トランスデューサハウジングの蓋にわたりだけすべらないことが確実にされなければならない。なぜなら、そうでなければ、それを開ける及び/又は閉じるために、この力がツールからトランスデューサハウジングの蓋まで正しく伝わらないからである。これは、本発明によれば、ツールの第1の係合部材と第2の係合部材との係合が、軸方向に沿ったツールの上部の運動を防止しつつ、駆動ピンが、トランスデューサハウジングの蓋と接触するという点で解決される。駆動ピンは従って、軸方向においてトランスデューサハウジングの蓋へ押圧される。
【0026】
更なる実施形態によれば、軸方向周りでのツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の運動は、以下のように防止される。基底部の内壁は、円筒状にカーブする表面領域を持つことができる。そこでは、上記内壁の部分が、円筒状形状から逸脱し、トランスデューサハウジングの対応する接触面と接触するプラナ接触面を有する。ツールのこれらの2つの接触面とトランスデューサハウジングのベース本体との間の相互作用は、軸方向周りでのツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の回転を防止する。ツールの基底部の内壁のプラナ接触面は、ツールの円周方向に垂直であるよう構成されることができる。円周方向はこの場合、ツールの半径方向に対して垂直なだけでなく、軸方向に対して垂直である方向を表す。
【0027】
しかしながら、ツールの基底部に対するトランスデューサハウジングのベース本体の回転は、他の多くの技術的な態様において防止されることもできる。ツールの基底部の内壁だけでなくトランスデューサハウジングのベース本体の外壁は共に例えば、対応する八角形の形状を持つことができる。その結果、トランスデューサハウジングがツールにおいて回転移動するのを防止する形状フィットが中間的な上記2つの壁の間で確立される。
【0028】
以下において、ツールの上部及び基底部の間の係合が、詳述される。本発明のある実施形態によれば、第2の係合部材は、ツールの上部におけるリセスとして実現され、第1の係合部材は、ツールの上部及び基底部が互いに結合されるとき、上記リセスと係合するガイドピンとして実現される。上記リセスは好ましくは、挿入部及び隣接するロッキング部を有する。この場合、挿入部は、ロッキング部より大きい。ガイドピンは、挿入部に挿入されることができ、軸方向周りで基底部に対して上部が回転運動するとき、ロッキング部に誘導されることができる。ガイドピンが十分なクリアランスを持ちリセスに挿入されることができるよう、上部におけるリセスの挿入部分は、十分に大きくなければならない。ツールの基底部に対してツールの上部を回転させることにより、基底部のガイドピンは、隣接するロッキング部にもたらされる。このロッキング部は、挿入部とは対照的に、ガイドピンとリセスのロッキング部との間のクリアランスがこれ以上ないよう、十分に小さくなければならない。こうして、ガイドピンは、リセスのロッキング部において固定されることができる。その結果、ツールの基底部に対する上部の運動は、軸方向において機械的に防止される。
【0029】
上部の回転運動の間、駆動ピンの駆動領域がトランスデューサハウジングの蓋の接触領域に接触する前に、基底部のガイドピンがロッキング部に到達するよう、駆動ピンに対するツールの上部におけるリセスのロッキング部の構成が選択される。これは、駆動ピンがトランスデューサハウジングの蓋と接触し、トランスデューサハウジングを開ける及び/又は閉じるためにその上に力を及ぼす前に、ツールの上部が、ツールの基底部において最初に固定されることを保証する。ガイドピン及び(ロッキング部における)リセスの間の係合は従って、円周方向においてそれを押すことなしに、駆動ピンがトランスデューサハウジングの蓋にわたりすべらないことを保証する。
【0030】
本発明の更なる実施形態によれば、基底部は第3の係合部材を有し、上部及び基底部が互いに結合されるとき第3の係合部材と係合する第4の係合部材を上部が有する。第1の係合部材と同様に、第3の係合部材は、一種のガイドピンとして実現されることができ、第4の係合部材は、(上述の第2の係合部材に類似して)ツールの上部におけるリセスとして実現されることができる。
【0031】
好ましくは、第3の係合部材は第1の係合部材より小さく設計され、第4の係合部材は第2の係合部材より小さく設計される。こうして、第1の係合部材(第1のガイド・ピン)は、第2の係合部材(第1のリセス)とだけ係合することができ、第3の係合部材(第2のガイド・ピン)は、第4の係合部材(第2のリセス)とだけ係合することができる。言い換えると、ツールの基底部に構成される2つの異なるサイズのガイドピンと、ツールの上部における2つの異なるサイズのリセスとを提供することにより、ツールの2つの部分は、唯一の位置において結合されることができる。これは、一種のポカヨケを実現する。ツールの上部及び基底部の誤った結合が防止される。
【0032】
更に追加的な実施形態によれば、駆動ピンの駆動領域は、凹形状を持つ。トランスデューサハウジングの蓋の接触領域は、対応する凸形状を持つ。トランスデューサの蓋の接触領域の斯かる凸面又は丸い形状は、蓋が、本書に記載される特別なツールを用いてのみ開けられることができることを確実にする。凸面又は丸い接触領域は、トランスデューサの蓋を手で、又は、従来のツールを用いて開ける及び/又は閉じるための十分大きなターゲット表面を提供しない。本書に記載されるツールにより提供される対応する凹形状の駆動ピンだけが、蓋を開ける及び/又は閉じるために用いられることができる。
【0033】
更なる好ましい実施形態によれば、ツールの上部は、1つ駆動ピンを有するだけでなく、2つの駆動ピンを有することもできる。第1の駆動ピンは、軸方向周りで基底部に対して上部が回転運動するとき、トランスデューサハウジングの差し込みピンマウントを開けるための第1の駆動領域を持ち、第2の駆動ピンは、反対方向の回転運動に応じて、トランスデューサハウジングの差し込みピンマウントを閉じるための第2の駆動領域を持つ。第1の駆動ピン及び第2の駆動ピンは好ましくは、ツールの上部の対向側に構成される。第1の駆動ピンの第1の駆動領域は好ましくは、第2の駆動ピンの第2の駆動領域と反対方向において面する。ユーザが、トランスデューサハウジングの蓋を開けるのではなく閉めたい場合、ユーザは、ツールの上部をちょうど180°反転させ、それをさかさまに使用しなければならない。これは必須の特徴ではない点に留意されたい。第2の駆動ピンは、変形例において、ツールの上部の第1の駆動ピンと同じ側に構成されることもできる。