特許第6170167号(P6170167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170167タイヤ試験の間のタイヤフットプリントに従った粒子物質を散布する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170167
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】タイヤ試験の間のタイヤフットプリントに従った粒子物質を散布する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20170713BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   G01M17/02
   B60C19/00 H
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-539568(P2015-539568)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-500824(P2016-500824A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2012062876
(87)【国際公開番号】WO2014070177
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】カスラル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハート ジュニア サミュエル イー
(72)【発明者】
【氏名】ムソー セドリック ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィス トレヴァー ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】フォーク ロバート マーティン
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06439041(US,B1)
【文献】 米国特許第06546791(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/02
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪上のタイヤを試験する方法であって、
タイヤ試験面を設けるステップと、
道路係合面を含む放射状外側環状側面を有するタイヤを設けるステップであって、前記タイヤは、タイヤ保持部材上で保持される、ステップと、
前記タイヤの放射状外側環状側面を、前記タイヤ試験面に強く係合させて、前記タイヤと前記タイヤ試験面との間の接触領域を構成するフットプリントを生成するステップであって、前記フットプリントは、前記タイヤの軸方向に延在する幅を有する、ステップと、
前記ステップによって、前記タイヤ試験面と係合されている間に、前記タイヤを回転させるステップと、
粒子排出装置の粒子排出出口から、粒子物質を排出するステップであって、前記出口は、少なくとも実質的に前記フットプリントの前記幅に渡って延在する長さを有する、ステップと、
前記粒子排出出口から粒子物質の流れを排出する前記ステップを実行した後に、前記粒子排出装置内に配置された粒子受室にガス噴射を行い、前記粒子受室内に残存している任意の粒子を除去するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
タイヤ試験面を設ける前記ステップがまた、回転するように構成された主車輪を設けるステップを含むように、前記タイヤ試験面は、主車輪の放射状外側環状側面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子排出出口は、前記粒子排出装置内に配置される前記粒子受室の出口を形成し、前記粒子物質を排出する前記ステップの前に、前記粒子受室は、入口から前記粒子物質を受け入れる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子排出装置は、単一の粒子排出出口を有している、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ガス噴射を行う前記ステップは、終了する前に、最大1秒間持続する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ガス噴射を行う前記ステップは、周期的に繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子排出出口の前記長さは、少なくとも実質的にトレッドの全幅に渡って延在し、前記トレッドの前記幅は、前記タイヤの前記軸方向に延在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
粒子物質の前記流れは、毎分1グラム〜9グラムの比率で、前記粒子排出出口から排出される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子排出出口は、前記粒子排出出口の前記長さに従って変動する幅を有し、前記出口の幅は、前記出口の長さに垂直に延在し、前記出口の幅は、前記出口の長さ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子排出出口の前記幅は、前記出口の前記長さに従って先細る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
タイヤ試験装置であって、
タイヤ試験面と、
タイヤを回転可能に保持し、および前記タイヤを、タイヤ試験面係合位置に配置するように構成されたタイヤ保持部材と、
粒子物質の流れを排出する、粒子排出出口を有する粒子排出装置であって、前記出口は、少なくとも実質的にタイヤフットプリントの幅に渡って延在する長さを有し、前記フットプリントは、前記タイヤが前記タイヤ試験面係合位置にあるときに、前記タイヤの放射状外側環状側面と前記タイヤ試験面との間で形成される接触領域を備えた、粒子排出装置と、
前記装置と動作可能に連通し、ならびに、前記粒子排出出口から粒子物質の流れを排出した後に前記粒子排出装置に配置された粒子受室内にガス噴射を行って前記粒子受室内に残存している任意の粒子を除去するように構成された、ガスの供給源と、
を備えた、装置。
【請求項12】
前記粒子排出装置は、単一の粒子排出出口を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記粒子排出出口は、前記粒子排出出口の前記長さに従って変動する幅を有し、前記出口の幅は、前記出口の長さに垂直に延在し、前記出口の幅は、前記出口の長さ未満である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記入口は、前記粒子受室内の前記排出出口の長手方向の端部の面に位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子排出装置と動作可能に連通する少なくとも1つの供給管、前記排出出口に対して実質的に横切って位置する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子受室は、入口から前記粒子物質を受け、前記入口は前記粒子受室の前記排出出口の長手方向の端部の面に位置する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記粒子排出装置と動作可能に連通する少なくとも1つの供給管、前記排出出口に対して実質的に横切って位置する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記粒子排出出口の幅及び長さに垂直な前記粒子受室の高さが、前記長さに沿って変化し、かつ、次第に細くなり、これにより輪郭付けられた粒子受室を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子受室は粒子入口から前記粒子物質を受け、かつ、前記粒子受室は前記粒子入口と別のガス流入口から前記ガス噴出を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子受室は前記粒子入口と別のガス流入口から前記ガス噴出を受ける、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、タイヤ試験動作の間にタイヤフットプリントに従った粒子物質の塗布に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の特性のいずれかを判定するために、タイヤが試験されることが多い。特定の例では、制御する条件が困難な自動車上でのタイヤ試験に代えて、試験条件をより適切に制御するために、回転している主車輪の環状外側面などの、作成されたタイヤ試験面上でタイヤが試験される。それでも、さらなる一貫した、または正確な結果をより適切に得るために、作成されたタイヤ試験面に従ったタイヤ試験への改善が依然として必要となっている。
【0003】
作成されたタイヤ試験面は、種々の試験機構または方式のいずれかによって採用されることがある。したがって、タイヤ試験面は、全体的に平面または環状の面を形成することがある。例えば、環状タイヤ動作面は、主車輪の周辺に延在することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動作中に、タイヤは、主車輪の放射状の外側環状面などの、作成されたタイヤ試験面に対して強く押し付けられ、かつそれにしたがって回転する。或る試験では、タイヤフットプリントに従って使用するために、タイヤおよび/または作成されたタイヤ試験面に、タルク(talc)を含む粒子物質が塗布され、タイヤフットプリントに、タイヤと車輪との間の接触領域が備わる。さらなる一貫した、または正確なタイヤ試験結果をより適切に得ようとする際に、粒子物質の散布が、タイヤ試験結果に影響を及ぼすことが見出された。タイヤ試験結果、特に、そのような試験の間のタイヤトレッドの磨耗率に、粒子物質の散布が影響を及ぼすことがあるので、主車輪に従った粒子物質の改善された散布を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、タイヤ試験面に従って粒子物質を散布する方法および装置を備える。本発明の特定の方法は、車輪上でタイヤを試験する方法を含む。そのような方法は、タイヤ試験面を設けるステップと、道路係合面(road−engaging surface)を含む、放射状外側環状側面を有するタイヤを設けるステップと、を含む。そのような実施形態はまた、タイヤの放射状外側環状側面をタイヤ試験面に強く係合させて、タイヤとタイヤ試験面との間の接触領域を構成するフットプリントを生成するステップであって、フットプリントは、タイヤの軸方向に延在する幅を有する、ステップを含む。さらに、そのような方法は、上述したステップによってタイヤ試験面に係合されている間に、タイヤを回転させるステップと、粒子排出出口から粒子物質を排出するステップであって、出口は、少なくとも実質的にフットプリントの幅に渡って延在する長さを有する、ステップと、を含む。
【0006】
本発明のさらなる実施形態は、タイヤ試験装置を備える。装置の特定の実施形態は、タイヤ試験面と、タイヤを回転可能に保持し、タイヤ試験面係合位置にタイヤを配置するように構成された、タイヤ保持部材と、を備える。そのような装置はさらに、粒子物質の流れを排出する粒子排出出口を有する粒子排出装置を備え、出口は、少なくとも実質的にタイヤフットプリントの幅に渡って延在する長さを有し、フットプリントは、タイヤがタイヤ試験面係合位置にあるとき、タイヤの放射状外側環状側面とタイヤ試験面との間で形成される接触領域を備える。
【0007】
本発明の上述した目的、特徴および利点、ならびに他の目的、特徴および利点は、添付図面に示されるように、以下の本発明の特定の実施形態のさらなる詳細な説明から明らかになるであろう。図面では、同一の参照符号は、本発明の同一の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の特定の実施形態に係る、タイヤの性能を評価するためにその上でタイヤが動作する主車輪と、主車輪の外側環状タイヤ試験面に従って形成されるタイヤのフットプリントに従って粒子物質の流れを向けるように配置された粒子排出装置と、を含む機構を備えるタイヤ試験装置の斜視図である。
図2図1のタイヤ試験装置の側面図である。
図3】主車輪に従ってタイヤフットプリント内に粒子物質を塗布する粒子排出装置を示す、図2における線3−3によるタイヤ試験装置の断面図である。
図4】排出装置の粒子排出出口を示す、図2における線4−4によるタイヤ試験装置の断面図である。
図5】排出開口部の幅が、粒子物質に対する入口を含む第1の端から、排出装置の対向端に先細になる、図2における線4−4による、図4の排出装置の代替的な実施形態の断面図である。
図6】タイヤフットプリントの幅に渡って間隔が空けられる粒子排出ノズルの対を含む、従来技術のタイヤ試験装置の斜視図である。
図7図1の空気伝達(airborne)粒子排出装置と、図6に示されるノズルの対との間での、タイヤフットプリントの幅に従った粒子物質の散布における差異を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記提案したように、タイヤ試験動作の間に、タイヤと、作成されたタイヤ試験面との間に形成されるタイヤフットプリントに従って、タルクなどの粒子物質の改善された散布を提供する必要が存在する。
【0010】
作成されたタイヤ試験面に従ったタイヤ試験の間に、タイヤフットプリントに従った粒子物質の散布が、タイヤ試験結果に負の影響を及ぼすことがあることが見出された。特に、主車輪上に形成されるタイヤフットプリントに従って粒子物質を散布する従来技術の方法および装置では、粒子が実質的に不均一に散布されることが見出された。特に別段に断りがない限り本明細書で同意語として使用される、「作成されたタイヤ試験面」および「タイヤ試験面」は、タイヤ試験機構などのタイヤ試験装置によって、またはそれに関連して形成されてきたタイヤ動作面を意味し、タイヤ試験機構は、タイヤがその上で動作する面を有し、当該面は、合成または天然に関わらず任意の所望の材質で形成され、かつ現実のタイヤ動作面を形成またはシミュレートする面などの、その上でタイヤが評価されることになる任意の所望の面を形成することができる。さらなる一貫した、かつ正確な試験結果を提供する目的で、タイヤフットプリントに従った粒子物質の散布を改善する方法および装置が、以下で論じられる。
【0011】
特定の実施形態では、タイヤを試験する方法は、タイヤ試験面を設けるステップを含む。タイヤ試験面は、平面または起伏状であるかに関わらず、当業者にとって既知の任意の試験面を備えてもよいことが理解される。例えば、タイヤ試験面は、主車輪の放射状外側環状側面に従って配置されてもよく、そこでは、タイヤ試験面は、環状面を形成する。放射状外側環状側面は、車輪の外側範囲(outer extent)に従って、その車輪の回転軸の外側に放射状に位置する。主車輪は、タイヤ試験に使用するための任意の車輪を備えてもよく、車輪は回転するように構成され、タイヤ動作面は、動作の間にタイヤを係合させるように構成される。タイヤ試験面は、任意の所望の構造を含んでもよく、車輪の外側環状側面の周りを連続してまたは間欠的に延在してもよいことが理解される。例えば、車輪は、タイヤの磨耗を進める構造、またはタイヤ動作面に対してタイヤが側面から側面に回転して、自動車の旋回をシミュレートするにつれて、タイヤフットプリント内のスリップ角を生成するのに十分な摩擦を生成する構造、を有してもよい。
【0012】
そのような方法の特定の実施形態はさらに、道路係合面を含む放射状外側環状側面を有するタイヤを設けるステップを含み、タイヤは、タイヤ保持部材上で回転可能に保持される。設けられるタイヤは、任意のタイヤであってもよい。例えば、タイヤは、トレッド層を含む固体帯(solid band)が、スキッドステア(skid steers)で共通に使用されるような、車輪などに従って配置される、空気式タイヤまたは非空気式タイヤであってもよい。多くの実施形態では、タイヤの放射状外側環状側面は、トレッドを含み、トレッドは、その上でタイヤが回転し、かつタイヤが車輪を係合する、道路係合面を形成する。タイヤは、タイヤの軸方向に延在する回転軸を含む。タイヤは、保持部材上に回転可能に保持されて、タイヤ試験面に従ったタイヤの回転を促進してもよいことが理解される。保持部材は、当業者にとって既知の、タイヤを回転可能に保持するように構成された任意の部材または装置であってもよいことが理解される。例えば、保持部材は、車軸またはスピンドルであってもよい。
【0013】
そのような方法の特定の実施形態はさらに、タイヤの放射状外側環状側面をタイヤ試験面に強く係合させて、タイヤとタイヤ試験面との間の接触領域を構成するフットプリントを生成するステップを含み、フットプリントは、タイヤの軸方向に延在する幅を有する。係合させるステップは、タイヤおよびタイヤ試験面のいずれかまたは両方を、他へ移動させて、タイヤと車輪との間の係合を生成するステップを備えてもよい。移動は、任意の既知の方法または装置によって実行されてもよい。係合されると、タイヤとタイヤ試験面との間に接触領域が生成され、それは、タイヤフットプリントと称される。タイヤは、任意の所望の配置でタイヤ試験面を係合させてもよいことが理解される。例えば、タイヤ試験面が主車輪に従って配置されるとき、タイヤおよび車輪の各々の回転の軸は、平行であってもよく、または平行な配置から偏ってもよい。
【0014】
そのような方法の特定の実施形態はさらに、上記ステップによって、タイヤ試験面と係合される間に、タイヤを回転させるステップを含む。タイヤおよびタイヤ試験面が係合されると、タイヤは面に従って回転する。特定の実施形態では、タイヤ試験動作はまた、タイヤ試験面が主車輪に従って配置されるときなどに回転する。いずれにせよ、回転は、任意の既知の方法また装置によって促進される。例えば、タイヤおよび/または車輪は、回転させるステップを完了するように駆動されてもよい。そのようにするには、タイヤおよび/または車輪と動作可能に連通して、駆動源が配置される。駆動源は、当業者にとって既知の任意の駆動源であってもよく、例えば、モータであってもよい。タイヤを回転させることは、タイヤ試験面の回転によって達成されてもよく、その逆もまた同様であることがまた理解される。
【0015】
そのような方法の特定の実施形態はさらに、フットプリントの全幅に渡って、粒子排出装置の粒子排出出口の形成から、粒子物質を排出するステップを含む。タイヤ試験面に従って動作しているタイヤのフットプリントに渡る粒子物質の散布を改善する目的で、形成される粒子排出装置の粒子排出出口から粒子物質が排出され、出口は、1つまたは複数の開口部を備える。そのような実施形態では、出口は、粒子排出装置内に配置される粒子受室の粒子排出出口を形成する。粒子受室は、粒子を排出するステップの前に、粒子入口から粒子を受け入れる。粒子は、タルクを含む任意の所望の粒子物質であってもよいことが理解される。粒子は、任意の所望の形式で供給されてもよい。例えば、特定の実施形態では、粒子は、ガス−粒子混合物からなる。ガス−粒子混合物は、ベンチュリミキサ(venturi mixer)を使用することによってなど、任意の既知の方法または装置を採用することによって形成されてもよい。混合物は、タルクなどの任意の所望の粒子、および大気などのガス混合物を含む任意の所望のガスから形成されてもよいことが理解される。さらに、粒子排出装置は、単一の開口部を備えてもよく、粒子排出装置は、エアナイフまたは任意の他の同様の装置であってもよいことが理解される。
【0016】
上記で論じられた実施形態では、粒子排出出口は、フットプリントの全幅に渡って、粒子物質を排出する。そのようにするには、粒子排出出口は、フットプリントの全幅全体よりも短く延在する長さを有しても、出口が依然としてフットプリントの全幅に渡って粒子物質を排出していると考えられることが理解されるが、粒子排出出口は、少なくともフットプリントの全幅と等しい長さを有してもよい。したがって、粒子排出出口は、出口がフットプリントの全幅と等しいもしくはそれ以上の長さに延在する長さを有しているか、またはフットプリントの全幅未満の長さに延在する長さを有しているか否かに関わらず、フットプリントの全幅に渡って、粒子物質を排出するように構成されてもよい。例えば、粒子物質の排出経路は、環状であってもよく、それは、粒子物質の排出が出口の全長を超えて長さ方向に延在するように、経路が粒子排出出口の長さ方向に従って、外側にさらに延在してもよいことを意味する。さらなる例によって、粒子排出出口は、少なくとも実質的にフットプリントの幅に渡って延在する長さを有し、そこで、「少なくとも実質的にフットプリントの幅に渡って」とは、粒子排出出口長がフットプリントの全体幅を完全に渡って延在するわけではないが、粒子排出出口が、フットプリント幅の大部分に十分に渡って延在して、フットプリントの全幅に渡って粒子物質を排出することを意味する。他の変形例では、粒子排出出口の長さは、少なくとも実質的にトレッドの全幅に渡って延在し、トレッドの幅は、タイヤの軸方向に延在し、言い換えると、タイヤの対向する側壁の間で横方向に延在する。粒子は、任意の比率で粒子排出出口から排出されてもよいことが理解される。特定の例では、粒子物質は、毎分1〜9グラムの比率で、または毎分少なくとも6グラムの比率で粒子排出出口から排出される。
【0017】
粒子排出出口とともに、出口を形成する任意の1つまたは複数の開口部は、任意の所望の外形を備えてもよいことが理解される。例えば、粒子排出出口の幅は、粒子排出出口が長方形である場合など、粒子排出出口の長さに従って、一定のままであってもよい。他の変形例では、粒子排出出口の幅は、粒子排出出口の長さに従って変化してもよく、直線的に変化してもよく、または曲線の変形例を含む非直線的に変化してもよい。例によって、粒子排出出口は、楕円形を形成してもよい。さらなる例によって、粒子排出出口の幅は、例えば、最大幅から最小幅へ、またはその逆など、粒子排出出口の長さに従って先細になってもよい。粒子排出出口が円形、または標準的な四角形(すなわち、正方形)を形成するときなど、幅および長さは等しくてもよいが、粒子排出出口幅は、粒子排出出口長に垂直に延在し、或る例では、粒子排出出口幅は、粒子排出出口長未満であることに留意されたい。
【0018】
そのような方法の特定の実施形態は、粒子排出出口から粒子物質を排出するステップを開始した後、装置の粒子受室内でガス噴射(burst of gas)を行って、排出室内に残存する任意の粒子を除去するステップを含む。粒子排出出口から粒子物質を排出するステップが開始された時点で、装置の粒子受室内でガス噴射が行われ、室の少なくとも一部内に残存する任意の粒子を除去してもよい。ガス噴射は、室内に密集しもしくは保持された、または停滞していることがある任意の粒子を除去し、取り出し、または放出するのに十分な力を提供するのに十分な速度および量を有する。例えば、ガス噴射は、最大1秒間、持続させてから停止してもよい。粒子物質を排出するステップが、継続し、または繰り返されてもよいので、ガス噴射を行うるステップは、周期的に繰り返されてもよい。除去の必要がある室内に残存している粒子を排出するステップが開始された後、噴射するステップが実行されるが、排出するステップが持続している間に噴射するステップが実行されてもよく(すなわち、排出するステップと同時に噴射するステップが実行される)、または排出するステップが終了し、もしくは一時的に中断した後に、噴射するステップが実行されてもよい。ガスの供給源は、同一のガス源を採用してガス−粒子混合物を供給してもよく、または任意の他のガス源であってもよいことが理解される。
【0019】
粒子物質を、タイヤ試験面に従って配置されるタイヤフットプリント内に散布するこれらの方法は、手動または自動で、全体的または部分的に実行されてもよい。そのような方法を実行するのに使用するためのタイヤ試験装置の例示的な実施形態は、以下でさらに詳細に論じられる。図に示される装置は、この発明の範囲内で採用することができる種々のタイヤ試験装置のいずれかを例示しているにすぎない。
【0020】
図1を参照して、タイヤ試験機構である例示的なタイヤ試験装置10が示される。機構10は、タイヤ16および車輪20が回転可能に取り付けられる(すなわち、回転するように構成される)基板または筐体12を含む。特に、車輪20は、回転可能に保持され、車輪保持部11aに動作可能に取り付けられる。車輪保持部は、本明細書に開示される方法を実行する目的で、その上に任意の車輪を安全に固着することができる、当業者にとって既知の任意の部材または装置を備えてもよい。さらに、タイヤ16は、回転可能に保持され、タイヤ保持部材11bに動作可能に取り付けられ、タイヤ保持部材11bは、当業者にとって既知のタイヤを回転可能に保持するように構成された任意の部材または装置を備えてもよい。加えて、タイヤは、その上に、当業者にとって既知である本明細書で開示される方法を実行する目的で、任意のタイヤを安全に固着することができる、車輪、リム、または他の位置に固定されたまたは延長可能な部材を備えた、固着部材に固定されてもよい。タイヤ16が、任意の空気式または非空気式タイヤであってもよいが、任意のそのような固着部材は、タイヤが空気式タイヤであるる場合には、タイヤの加圧を促進することができる。車輪および/またはタイヤを駆動するために駆動源14も含まれ、モータなどの、当業者にとって既知の任意の駆動源であってもよい。
【0021】
引き続き図1を参照して、車輪20は、タイヤ試験面23を有する放射状外側環状側面22を含み、タイヤ試験面23に、タイヤ16のトレッド19が強く押し付けられ、かつタイヤ試験動作の間に係合される。タイヤ試験面が、外側側面周辺に不連続に延在してもよいが、示される実施形態では、面23は、外側側面22の周囲の円周方向に縦に延在して、環状面を形成し、トレッド19は、タイヤ16の放射状外側環状側面18に従って道路係合面を形成する。タイヤ16および車輪20の回転軸は、A16およびA20としてそれぞれ識別される。
【0022】
図1のタイヤ試験装置10はさらに、タイヤフットプリントに従って粒子物質を塗布する目的で、粒子物質36の流れを排出するように構成された粒子排出装置26を含む、粒子排出系統24を含む。示される排出装置26は概して、エアナイフを表してるが、装置26は、形成または動作において類似した任意の他の装置を表してもよい。タイヤフットプリントに従って粒子物質を塗布する際に、粒子物質は、各部分がタイヤフットプリントに入る前、すなわち、それぞれが回転してタイヤの一部が車輪の一部と接触する前に、タイヤ試験面23およびタイヤの道路係合面19のいずれかまたは両方の一部に塗布されてもよいことが理解される。図2では、粒子物質の流れをタイヤフットプリントFP内に向ける排出装置26の側面図が示される。
【0023】
図1および2に示されるように、排出装置26は、タイヤ試験面23および道路係合面19に密着して、またはそれらに隣接して配置される。「密着して」とは、排出装置から排出される粒子物質の流れが、所望の量の粒子物質を、対象とする車輪および/またはタイヤ面に塗布することが可能なように、車輪および/またはタイヤの放射状外側環状側面に十分に近接して装置が配置されることを意味する。他の変形例では、粒子物質が、車輪またはタイヤのいずれかに塗布されてもよいので、排出装置26は、タイヤ試験面23または道路係合面19のいずれかに密着して、またはそれらに隣接して配置されてもよい。図1および2に示される実施形態では、粒子物質36の流れは、車輪とタイヤとの間の接合部に向けられ、そこでタイヤフットプリントFPが形成される。この配置では、流れが、車輪およびタイヤの両方の放射状外側環状側面に、粒子物質を塗布する。
【0024】
図1における粒子排出系統24は、本発明の例示的な実施形態によって、排出装置26に粒子物質を搬送する搬送系統を含む。示される搬送系統では、粒子物質は、ガス流内に散布され、かつ粒子物質の流れを形成するガス−粒子混合物として供給される。搬送を促進するために、搬送系統は、排出装置26の入口に動作可能に取り付けられる供給管40を含み、供給管は、粒子物質42の供給源およびガス流源44と動作可能に連通して配置されている。ガスおよび粒子物質は、任意の既知の装置または方法によって混合されてもよいことが理解される。示される装置では、ベンチュリミキサが採用されており、粒子物質42の供給源が、供給管43によってベンチュリノズル45内に送り込まれ、そこでは、粒子物質が、スクリュー供給または任意の他の供給装置もしくは方法によって管に送り込まれる。採用されるガスは、大気(大気ガスの混合物)または任意の他の所望のガスもしくはガスの混合物であってもよい。さらに、ガスは、粒子物質を受け取ってガス−粒子混合物を形成する前、または形成した後、所望のように調整されてもよい。例えば、ガスまたはガス−粒子混合物は、水分または任意の他の所望の物質を取り除くように調整されてもよい。さらなる例によって、ガス、粒子、またはガス−粒子混合物の温度が制御されてもよい。加えて、水分を除去し、および/または粒子もしくはガスの温度を高めるように、ヒータまたはドライヤが採用されてもよい。当業者にとって既知の任意の搬送系統が、粒子物質を含むガスの流れを排出装置26に供給することに採用されるが、示される搬送系統は例示的なものであることが理解される。
【0025】
装置26は概して、アルミニウムまたはステンレス鋼などの、任意の所望の材質で形成される筐体を備える。装置内で任意の意図しない粒子の残存を減らすために、粒子受室などの装置またはその一部は、低摩擦材質、または粒子が装置に付着することを減らす他の材質で形成されてもよく、またはそれらで被膜されてもよい。加えて、またはその代わりに、ガス−粒子混合物が装置から排出された後、他の機構または方法が、装置内に蓄積することがある粒子を除去するのに採用されてもよい。例えば、装置は、排出装置内にガス噴射を行い、任意の蓄積される粒子を除去するように構成されてもよい。これは、ガス−粒子入口40を利用して、ガス噴射を行うことによって達成されてもよく、またはつまたは複数の追加的なガス管が、排出装置26に動作可能に取り付けられてもよい。例えば、図1の実施形態を再び参照して、ガス管46は、排出装置26に動作可能に取り付けられる。特定の実施形態では、排出されるガス流は、任意の所望の時間間隔で、または任意の所望の時間の間になど、周期的に発生するように調節することができる短時間のガス噴射を形成する。例えば、ガス噴射は、毎分最大で1秒間(すなわち、1秒以内)で発生してもよい。いずれにせよ、噴射は、粒子物質の流れが排出されている間に発生してもよく、またはガス噴射の流れが発生している間に粒子物質の流れが一時的に中断されてもよい。任意の所望の比率で、任意の継続時間の間に、および任意の所望の圧力で、ガス流が排出されてもよいことが理解される。さらに、ガスは、任意の所望のガス、または大気などのガス混合物であってもよい。加えて、排出装置は、粒子排出出口の任意の障害物が存在するかを確認することによって、蓄積が多く生じるときに、ガス流の排出をトリガするセンサを採用してもよい。これは、例えば、粒子排出出口から排出されている粒子物質の流れを監視することによって、自動的に行われてもよい。さらなる例によって、センサは、粒子物質の任意の物理的な密集に対して装置を監視してもよい。
【0026】
図3を特に参照して、タイヤフットプリントFP内で使用するための、タイヤ16および/または車輪20の放射状外側環状側面上に粒子物質36を排出する、粒子排出装置26の断面が示される。この図では、排出装置26の粒子排出出口28は、装置の粒子受室30の出口を形成するものとしてより明確に示される。示される実施形態では、出口28は、単一の開口部を形成するが、他の変形例では、複数の開口部を備えてもよい。室30が、1つまたは複数の入口から、粒子物質またはガス−粒子混合物の流れを受け入れ、かつ1つまたは複数の出口28を通じてそれを排出するように構成されるので、粒子供給管40は、室30と連通して配置されて、室30にガス−粒子混合物を供給する。これを達成するために、装置26は、第1の端38a上の供給管40で受け入れる粒子入口32を含む。室30内に蓄積している任意の粒子を除去することが望ましい場合、ガス噴射を行うために、室は、装置26の第2の、対向する端38bのガス流供給管46で受け入れるガス流入口34を含む。装置26は、1つまたは複数の粒子供給管を受け入れる、任意の位置に配置される1つまたは複数の粒子入口32を含んでもよいことが理解される。同様に、装置26は、1つまたは複数のガス流入口34を含んでもよく、ガス流入口34は、ガス流入口が粒子入口に対向して配置されているかに関わらず、装置に従った任意の位置で、かつ任意の粒子入口に相対した任意の位置で配置されてもよい。
【0027】
排出装置の粒子受室は、任意に形成される容積を備えてもよい。例えば、図3を参照して、室30は、長方形の断面形状を有しているが、他の変形例では、任意の粒子入口32から、かつ装置26の出口28を通じて、粒子物質の流れをより適切に制御または向けるように、室の高さH30および/または長さL30を次第に細くし、またはそれらに合うように形成することによって、室30は変形してもよい。次第に細くし、または形成することはまた、高さH30および長さL30の両方に垂直な装置の幅方向で行われてもよい。
【0028】
さらに、図3の実施形態は、排出出口28、タイヤ16、およびフットプリントFPの長さの間の関連付けをより明確に示していることに留意されたい。上述したように、排出装置出口28の長さL28が、少なくともフットプリントFPの幅と等しいおよびそれ以上であるように示される。さらに、出口長L28はまた、タイヤトレッド幅W18と等しいまたはそれ以上であってもよい。
【0029】
排出装置出口は、任意の所望の形であってもよいことが理解される。例えば、図4を参照して、出口28は、長方形の開口部を提供する、一定の長さL28および一定の幅W28を有する。ここで図5を参照して、出口28は台形であり、それによって、幅W28は、粒子入口32に最も近い最大値から、粒子出口34に最も近い最小値に先細り、または変形する。しかしながら、先細りは、直線、または曲線などの非直線であってもよいことが理解される。
【0030】
従来技術では、図6を参照して、主車輪20に従って形成されるタイヤフットプリントに従ってタルク52を含む粒子物質を排出するのに、対のノズル50が採用されてきた。しかしながら、そのようなノズルの使用では、タイヤフットプリントの幅に渡ってタルクが実質的に不均一に散布されてきた。実質的に不均一なタルクの散布は、或るタイヤ試験の結果に負の影響を及ぼすことが見出された。上記で説明した本発明の粒子排出装置および方法を採用することによって、不均一が著しく軽減され、或るタイヤ試験の結果を改善することが見出された。
【0031】
図7を参照して、従来技術のノズルの対を使用して達成される(図において連番Pとして識別される)、タルク54の従来技術の散布を、再現性を検証するために、4つの異なる試験(図においては、連番A1、A2、A3、およびA4として識別される)において上記で説明した本発明の装置および方法を使用したタルク56の散布と比較したグラフが示される。特に、上記で説明した本発明に係る、フットプリントに従って散布されるタルクの実際の散布は、タイヤトレッドに従って位置しているテープを使用して得られており、そこでは、主車輪の動作の間に、タイヤフットプリント内に散布される粒子物質は、テープの接着で保持されている。そして、タイヤフットプリントの幅に従った異なる位置で、粒子の量を測定することによって、フットプリント幅に渡る粒子物質の散布を判定するのに、粒子被膜テープが分析された。図7におけるグラフは、フットプリントの幅に渡る異なる位置で測定される粒子物質の平均的な量を示す。従来技術によるタルク散布に対して得られた測定によれば、フットプリントの幅に渡る変動が約300%と測定された。比べて見ると、フットプリントの幅に渡る変動が100%と測定された。これは、本発明の装置および方法の使用が200%改善したことに等しい。グラフにおいて見ることができるように、フットプリントの幅に渡る変動の実質的な減少が達成される。
【0032】
本発明は、その特定の実施形態を参照して説明されてきたが、そのような説明は、例示を目的としており、限定を目的とするものではないことを理解するべきである。したがって、本発明の内容および範囲は、添付の特許請求の範囲の文言によって定義されることになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7