特許第6170206号(P6170206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6170206
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12C 11/00 20060101AFI20170713BHJP
   C12C 1/00 20060101ALI20170713BHJP
   C12C 7/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   C12C11/00
   C12C1/00
   C12C7/00
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-105368(P2016-105368)
(22)【出願日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年6月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月6日 発明に係る商品を販売する旨のプレスリリース及び平成28年3月23日 当該商品の全国における販売 〔刊行物等〕 平成28年2月23日 発明に係る商品に関する、出願人ホームページ上での販売の申し出、及び、前記申し出に応じた販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋生
【審査官】 厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−253197(JP,A)
【文献】 特開2014−000010(JP,A)
【文献】 特開2000−308493(JP,A)
【文献】 特開平06−098749(JP,A)
【文献】 特開昭62−058983(JP,A)
【文献】 特開2006−304764(JP,A)
【文献】 特開2016−049047(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/072780(WO,A1)
【文献】 特開2006−288379(JP,A)
【文献】 特開2010−246508(JP,A)
【文献】 宮地 秀夫著,ビール醸造技術,株式会社食品産業新聞社,1999年12月28日,初版,第203頁、第292−293頁
【文献】 MMRC Discussion Paper,東京大学COE ものづくり経営研究センター,2008年 6月,No.221
【文献】 日本農芸化学会誌,1993年,Vol.67, No.10,pp.1379-1384
【文献】 日本醸造協會雑誌,1976年,Vol.71, No.7,pp.505-510
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 1/00 − 3/14
C12C 1/00 −13/10
C12F 3/00 − 5/00
C12H 1/00 − 3/04
C12J 1/00 − 1/10
C12L 3/00 −11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/FROSTI/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物由来成分を含有するビールテイスト飲料であって、
外観最終発酵度が95%〜105%であり、
アミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、〜8mg/100mLであり、
麦芽使用比率が50%以上であり、
糖質含量が3.0g/100mL以下である、
ビールテイスト飲料。
【請求項2】
コクキレ感を体感するための飲料である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
アルコール度数が1〜10容量%である、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
更に、ホップ抽出物を含有する、請求項1〜のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
麦芽使用比率50%以上で、炭素源又は窒素源を含有する穀物由来成分の水溶液を調製する工程と、
前記水溶液に酵母を添加し、発酵させる工程と、
を有するビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記発酵させる工程は、飲料中のアミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、〜8mg/100mLとなるように、前記水溶液を発酵させる工程を有し、
前記ビールテイスト飲料の外観最終発酵度が95%〜105%であり、糖質含量が3.0g/100mL以下である、ビールテイスト飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールテイスト飲料には、コクとキレが求められる。一般に、コクを増大させると、キレが悪化する。従って、コクとキレのバランスに優れたビールテイスト飲料が求められている。
上記に関連して、特開2016−49号公報(特許文献1)には、麦由来成分と水溶性食物繊維を含有し、プリン体の含有量が1.1mg/100ml以下であり、クエン酸換算で325〜805.7ppmの酸味物質を含有しているビールテイスト飲料が記載されている。
また、特開2016−10405号公報(特許文献2)には、麦由来のエキス分が0.40g/100cm3以下であり、水溶性食物繊維を含有し、7〜23ppmのイソα酸を含有していることを特徴とするビールテイスト飲料が記載されている。
更に、特開2015−204847号公報(特許文献3)には、麦由来のエキス分が0.40g/100cm3以下であり、水溶性食物繊維を含有し、0.25〜1ppmのネオテーム、12〜16ppmのアセスルファムカリウム、又は5〜12ppmのスクラロースを含有していることを特徴とするビールテイスト飲料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−49号公報
【特許文献2】特開2016−10405号公報
【特許文献3】特開2015−204847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、コクとキレのバランスに優れたビールテイスト飲料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の事項を含んでいる。
〔1〕穀物由来成分を含有するビールテイスト飲料であって、
外観最終発酵度が89%以上であり、
アミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、3mg/100mL以上である、ビールテイスト飲料。
〔2〕コクキレ感を体感するための飲料である、前記〔1〕に記載のビールテイスト飲料。
〔3〕糖質含量が3.0g/100mL以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のビールテイスト飲料。
〔4〕前記穀物由来成分が麦芽由来成分を含有する、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
〔5〕麦芽使用比率が50%以上である、前記〔4〕に記載のビールテイスト飲料。
〔6〕アミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、10mg/100mL以下である、前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
〔7〕外観最終発酵度が、110%以下である、前記〔1〕から〔6〕のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
〔8〕アルコール度数が1〜10容量%である、前記〔1〕から〔7〕のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
〔9〕更に、ホップ抽出物を含有する、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
〔10〕炭素源又は窒素源を含有する穀物由来成分の水溶液を調製する工程と、
前記水溶液に酵母を添加し、発酵させる工程と、
を有するビールテイスト飲料の製造方法であって
前記発酵させる工程は、飲料中のアミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、3mg/100mL以上となるように、前記水溶液を発酵させる工程を有し、
前記ビールテイスト飲料の外観最終発酵度が89%以上である、ビールテイスト飲料の製造方法。
〔11〕穀物由来成分を含有するビールテイスト飲料であって、
外観最終発酵度と、アミノ酸濃度を調整した、コクキレ感を体感するためのビールテイスト飲料。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コクとキレのバランスに優れたビールテイスト飲料及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(ビールテイスト飲料)
本発明の実施態様に係るビールテイスト飲料は、コクとキレのバランスを楽しむための飲料である。コクとは、飲料を口に含んだときに感じる味の芳醇さ、ボディ感、飲み応えを言う。一方、キレとは、飲料を飲みこんだ後に後味が速やかに消える爽快感(すっきりさ)を言う。
本発明において、ビールテイスト飲料とは、アルコール度数や麦芽の使用の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する飲料を意味する。ビールテイスト飲料には、ビールそのものも含まれる。
【0008】
本発明の実施態様に係るビールテイスト飲料は、穀物由来成分を含有する飲料であり、外観最終発酵度が89%以上であり、アミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、3mg/100mL以上である。本発明によれば、外観最終発酵度とアミノ酸濃度とが特定の範囲に調整されているため、コクとキレのバランスに優れたビールテイスト飲料を得ることができる。
ビールテイスト飲料は、炭素源又は窒素源を含有する穀物由来成分の水溶液を、酵母により発酵させることにより、得られるものである。炭素源を含有する穀物由来成分としては、例えば、麦(麦芽を含む)、米及びトウモロコシなどのデンプン質原料の糖化物や、液糖等が挙げられる。窒素源を含有する穀物由来成分としては、例えば、麦、大豆、エンドウ豆及びトウモロコシ等のタンパク質原料の分解物などが挙げられる。
【0009】
好ましくは、ビールテイスト飲料は、穀物由来成分として麦芽由来成分を含む。ビールテイスト飲料における麦芽使用比率は、好ましくは50%以上、より好ましくは67%以上である。
尚、麦芽使用比率とは、水を除く全原料に対する麦芽の割合(重量%)である。
【0010】
また、ビールテイスト飲料は、好ましくは、ホップ抽出物を含む。ホップ抽出物を含有させることにより、ホップ由来の香気や苦味を付与することができ、ビールテイスト飲料の嗜好性を高めることができる。
【0011】
ビールテイスト飲料の外観最終発酵度は、上述の通り、89%以上である。好ましくは、外観最終発酵度は、110%以下である。より好ましくは、外観最終発酵度は、95%〜105%である。
尚、本発明において、外観最終発酵度とは、発酵前の液に含まれる全糖濃度のうち、酵母がアルコール発酵の栄養源として消費できる糖濃度の占める割合を意味する。
例えば、原材料として麦芽を用いたビールテイスト飲料の外観最終発酵度「Vs end」は、下記式1により、求めることができる。
(式1):Vs end (%) =100×(P-Es end)/P
ここで、式1中、「Es end」は、酵母が消費可能な残存糖分を酵母添加によって全て消費させた場合の、ビールテイスト飲料の外観エキスを示す。外観エキスは、例えば、「BCOJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2004年11月1日改訂版)」に記載されるように、下記式2によって求めることができる。
(式2):Es end = -460.234 + 662.649×SGEA-202.414×SGEA2
ここで、式2において、SGEAは、ガス抜きビールテイスト飲料の比重である。
また、式1中、「P」は、原麦汁エキスであり、「BCOJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2004年11月1日改訂版)」に記載された方法により、求めることができる。
尚、原材料として麦芽以外の原料を用いたビールテイスト飲料の外観最終発酵度も、上述した方法に準じて、求めることができる。
また、外観エキス「Es end」は、原麦汁エキス「P」よりも大きな値になることがあるため、外観最終発酵度が100%を超える場合があることにも留意されたい。
外観最終発酵度は、例えば、糖化条件、原料を糖化させる際の酵素の使用有無、及び、原材料の種類や配合量などを調整することにより、制御することができる。例えば、糖化時間を長くすれば、酵母が使用する事ができる糖濃度を高めることができ、外観最終発酵度を高めることができる。
【0012】
ビールテイスト飲料中におけるアミノ酸濃度は、上述の通り、アミノ態窒素(A−N)として3mg/100mL以上であるが、好ましくは5mg/100mL以上である。また、アミノ酸濃度は、好ましくは10mg/100mL以下、より好ましくは、8mg/100mL以下である。
尚、A−Nとは、アミノ態窒素の濃度[mg/100mL]を意味し、例えばニンヒドリン法(ビール酒造組合:ビール分析法、8.18(1990))により分析することができる。
アミノ酸濃度は、例えば、使用する原料の種類、原材料仕込工程、および、発酵工程における発酵条件などを制御することにより、調整することができる。例えば、原材料仕込工程において、麦芽などの原材料に含まれるたんぱく質の分解時間を長くすれば、タンパク質の分解が促進され、アミノ酸濃度を増大させることができる。また、発酵工程において、酵母濃度を高めたり、発酵温度を上げれば、酵母によるアミノ酸の消費量が大きくなり、アミノ酸濃度を低下させることができる。
【0013】
本発明において、糖質とは、食物繊維ではない炭水化物をいう。
ビールテイスト飲料における糖質含量は、3.0g/100ml以下であることが好ましく、2.0g/100ml以下であることがより好ましい。近年、健康志向の高まりを受け、低糖質のビールテイスト飲料の需要が増えている。しかしながら、ビールテイスト飲料の糖質含量を減らすと、コクが失われ、水っぽい味感を与える製品になりやすい。これに対して、本実施態様によれば、外観最終発酵度及びアミノ酸濃度が調整されているため、糖質含量が3.0g/100ml以下であっても十分なコクを付与することができる。
尚、本発明において、「コクキレ感」とは、コクとキレの最適なバランスのことである。
ビールテイスト飲料のアルコール度数は、好ましくは1〜10容量%、より好ましくは4〜6容量%である。尚、本発明において、アルコール度数とは、エタノール濃度を示す。
【0014】
本発明のビールテイスト飲料は、必要に応じて、食物繊維、pH調整剤、苦味料、酸味料、甘味料、香料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量については、これらの添加剤について、慣用されている量を採用すればよい。
【0015】
(ビールテイスト飲料の製造方法)
続いて、本実施態様に係るビールテイストの製造方法の一例について説明する。本実施態様に係るビールテイスト飲料の製造方法は、炭素源又は窒素源を含有する穀物由来成分の水溶液を調製する工程と、この水溶液に酵母を添加し、発酵させる工程とを有している。以下に、各工程について詳細に説明する。
【0016】
まず、穀物原料から、酵母によって利用され得る炭素源又は窒素源を含有する水溶液を調製する。
例えば、主原料として麦芽を用いる場合には、主原料としての麦芽の粉砕物と、副原料である米やコーンスターチ等のデンプン質に温水を加えて混合・加温し、主に麦芽の酵素を利用してデンプン質を糖化させる。得られた糖化液を濾過した後、ホップを加えて煮沸する。煮沸後、ワールプールと呼ばれる槽でホップ粕等の沈殿物を除去する。沈殿物の除去後、熱交換器(プレートクーラー)により冷却する。これにより、発酵用の水溶液が得られる。
一方、麦芽を使用せずにビールテイスト飲料を得る場合には、炭素源を含有する液糖、麦芽以外の窒素源含有材料(例えば、大豆、エンドウ豆及びトウモロコシ等のタンパク質原料の分解物)、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液を調製する。当該液糖溶液を、煮沸し、ホップ粕等の沈殿物を除去して冷却する。これにより、発酵用の水溶液が得られる。
【0017】
続いて、得られた水溶液に、酵母を接種して発酵させる。この際、アミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、3mg/100mL以上となるように、発酵させる。発酵後、濾過を行い、目的のビールテイスト飲料が得られる。
【実施例】
【0018】
(外観最終発酵度の検討)
麦芽17kg、副原料としてコーンスターチ5kgを糖化し、76℃で酵素失活を行った。得られた液(麦汁)を濾過した。ろ過後、麦汁を煮沸釜に入れ、200Lになるように水を加えた後、ホップを適量添加した。ホップの添加後、70分間煮沸し、180Lの麦汁を得た。その後、湯を加え200Lになるように液量を再調整した後、ワールプール(旋回分離槽)で固液分離した。固液分離後、熱交換器によって麦汁を冷却した。冷却後、麦汁に酵母を添加し発酵させた。発酵後の液は濾過にて清澄化し、1.2倍希釈後に、容器に充填した。
上記の方法により、例1〜例3に係るビールテイスト飲料を得た。尚、例1〜3におけるアミノ酸の含有量は、アミノ態窒素A−Nとして3mg/100mLであった。また、例1〜例3では、外観最終発酵度をそれぞれ89%、102%、108%になるように調整した。また、例1〜例3の飲料における糖質の含有量は、例1は3g/100mLであり、例2は1.5g/100mLであり、例3は0.5g/100mLである。アルコール度数は4〜6容量%であった。
得られた例1〜3に係るビールテイスト飲料について、10名のパネリストにより、キレ及び水っぽさについて官能検査を行った。尚、官能評価にあたっては、例1の飲料を対照(4点)として、7段階で評価した。「キレ」については、点数が低いものほどキレがなく、点数が高いものほどキレがあることを示す。「水っぽさ」については、点数が低いものほど水っぽくなく、点数が高いものほど水っぽいことを示す。
結果を下記表1に示す。
【表1】
【0019】
表1に示されるように、外観最終発酵度を増加させるに従い、キレが増し、水っぽさが増していく傾向にあった。
【0020】
(アミノ酸濃度の検討)
続いて、外観最終発酵度が102%である例2に係る飲料に、アミノ酸としてグルタミンを添加し、アミノ酸の濃度(アミノ態窒素A−N濃度)が異なる例4〜例6の飲料を得た。
例2、4乃至例6の飲料について、10名のパネリストにより、キレ、水っぽさ、コク、後味の強さ、及びコクとキレのバランスのそれぞれについて、官能検査を行った。評価にあたっては、例2の飲料を対照(4点)とし、7段階で評価した。「キレ」については、点数が低いものほどキレがなく、点数が高いものほどキレがあることを示す。「水っぽさ」については、点数が低いものほど水っぽくなく、点数が高いものほど水っぽいことを示す。「コク」については、点数が低いものほどコクがなく、点数が高いものほどコクがあることを示す。「後味の強さ」については、点数が低いものほど後味が弱く、点数が高いものほど後味が強いことを示す。「コクとキレのバランス」については、点数が低いものほどコクとキレのバランスが悪く、点数が高いものほどコクとキレのバランスが良いことを示す。
結果を下記表2に示す。
【表2】
【0021】
表2に示されるように、アミノ酸濃度が増加するに従い、キレが低減し、水っぽさが低減し、コクが増し、後味の強さが増していく傾向にあった。外観最終発酵度が89%以上であり、かつ、アミノ酸濃度が、3mg/100mL以上である、例2、4乃至例6の全ての飲料において、良好なコクとキレのバランスが得られた。また、外観最終発酵度が95%〜105%の範囲内であり、かつ、アミノ酸濃度が、5〜8mg/100mLである、例4及び例5の飲料において、特に良好なコクとキレのバランスが得られた。
【要約】
【課題】コクとキレのバランスに優れたビールテイスト飲料を提供すること。
【解決手段】ビールテイスト飲料は、穀物由来成分を含有し、外観最終発酵度が89%以上であり、アミノ酸濃度が、アミノ態窒素(A−N)として、3mg/100mL以上である。
【選択図】なし