(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャーは、次に示すエネルギー効率の向上に関する三つの課題を有している。
第1の課題はターボチャージャーのタービン・コンプレッサの回転速度を直接制御できないことによる過給圧の制御の応答性と精度の低さによるエネルギー損失の課題である。
第2の課題はターボチャージャーのコンプレッサによる圧縮過程のエネルギー損失とタービンによる膨張過程のエネルギー損失、すなわちコンプレッサの運動エネルギーを圧力エネルギーに変換する時のエネルギー損失とタービンによる圧力エネルギーを運動エネルギーに変換する時のエネルギー損失の課題である。
第3の課題はターボチャージャーによる未回収の排気エネルギーによるエネルギー損失の課題である。
【0003】
ターボチャージャーの課題の解決手段は三つある。
第1の解決手段は電動ターボチャージャーである。電動ターボチャージャーはモータジェネレータでタービン・コンプレッサを駆動することにより前記第1の課題を解決し、モータ・ジェネレータで回生発電することにより前記第3の課題を解決するものである。
第2の解決手段は階層型ターボチャージャーである。階層型ターボチャージャーは圧縮と膨張を二段で行うことにより、一段毎の圧縮比と膨張比を小さくしてコンプレッサとタービンのエネルギー効率を向上して前記第2の課題を解決するものである。
階層型ターボチャージャーに類似した技術に高圧段タービン・コンプレッサと低圧段タービン・コンプレッサをバイパスで切り換える技術があるが、これは圧縮と膨張を二段で行うものではないので階層型ターボチャージャーではない。
【0004】
階層型電動ターボチャージャーは前記第1の解決手段と第2の解決手段を組み合わせたもので、高圧段駆動階層型電動ターボチャージャーと低圧段駆動階層型電動ターボチャージャーの二方式がある。
前記高圧段駆動階層型電動ターボチャージャーは内燃機関の低回転速度領域で十分な過給圧を発生する高圧段タービン・コンプレッサにモータ・ジェネレータを接続することにより、第1の課題(特にターボラグ)の解決手段として優れている。
前記低圧段駆動階層型電動ターボチャージャーは内燃機関の高回転速度領域で最適な過給圧を発生する
低圧段タービン・コンプレッサにモータ・ジェネレータを接続することにより、内燃機関の高回転速度領域で多く発生する過剰な排気エネルギーから回生発電できるので第3の課題の解決手段として優れている。また、モータージェネレータが温度が低く回転速度の低い低圧段タービン・コンプレッサに接続されていることにより、前記高圧段駆動階層型電動ターボチャージャーに比べてモータ・ジェネレータの温度上昇の問題が少ない特徴を有している。
【0005】
EGR(排気再循環)は大量の空気をシリンダーに送り込むターボチャージーエンジンにとって重要な技術である。
ターボチャージャーとEGRの組み合わせの課題は過給圧制御とEGRの制御が干渉して必要な制御ができない課題である。それは、ターボチャージャーの過給圧制御とEGR制御は共に吸気マニホールドの圧力と排気マニホールドの圧力を制御するものであり、過給圧制御とEGRの制御を独立して行うことができないことによる。
ターボチャージャーとEGRの組み合わせにはEGRパスをどこに設けるかによって、従来型のEGRである高圧EGR、低圧EGR、階層型EGRの三つの方式がある。
【0006】
前記高圧EGRは、EGRパスの入り口は排気タービンの上流(エンジンと排気タービンの間)に、EGRパスの出口は吸気コンプレッサの下流(吸気コンプレッサとエンジンの間)に位置する。
前記高圧EGRの課題は、EGRが過給圧の影響を受けやすく、高負荷時にEGRパス出口の圧力がEGRパス入り口の圧力より高くなり、EGRが行えなくなる課題である。
【0007】
前記低圧EGRは前記高圧EGRの課題を解決するものである。
前記低圧EGRはEGRパスの入り口は排気タービンの下流(排気タービンと外部の間)に、EGRパスの出口は吸気コンプレッサ上流(外部と吸気コンプレッサ
の間)に位置し、過給圧の影響を受けずにEGRを可能とするものであるが、下記の三つの課題を有している。
前記低圧EGRの第1の課題は、高圧EGRに比べて特に低負荷時にEGR供給量が劣ることである。この対策として、EGRパス出口の圧力を下降させる吸気絞り弁やEGRパス入り口の圧力を上昇させる排気絞り弁があるが、それらは圧力損失を増加させる。それについては特許文献3の段落0061にも説明されている。
前記低圧EGRの第2の課題は、低圧EGRガスがインタークーラで冷却されたときに凝縮水が発生しやすいことである。それについては特許文献5の段落0006にも説明されている。
前記低圧EGRの第3の課題は、バルブがエンジンから離れているためにEGRバルブの開閉制御の効果がエンジンに到達するのに時間がかかるタイムラグである。それについては特許文献4の段落0006にも説明されている。
【0008】
前記階層型EGRは、前記高圧EGRの課題と前記低圧EGRの第1の課題を解決するものである。
前記階層型EGRの例が特許文献2の段落0003と特許文献6の段落0006に説明されている。
通常のEGR制御においては、制御に必要なEGR量や空燃比の情報は直接測定することが困難であり、吸気酸素濃度や排気NOx濃度等から予測することが行われる。
階層型EGRの課題は、EGRパスの切り替え時にEGR量が不連続な変化を起こすことによりEGR量の予測が困難なことと、高圧EGRパスと低圧EGRパスは長さが異なり、制御の効果がエンジンに到達する時間に差があることによりEGR量の予測が困難なことである。
前記階層型EGRにおいても前記低圧EGRの第2の課題と第3の課題を解決できない。それについては特許文献4の段落0006にも記載されている。
【0009】
特許文献1の技術は低圧段駆動階層型電動ターボチャージャーと高圧EGRの組合せである。
高圧段タービン・コンプレッサと低圧段タービン・コンプレッサを有し、低圧段タービン・コンプレッサにモータ・ジェネレータが接続され、EGRパスの入り口はエンジンの排気マニホールドと高圧段タービンの間に、入り口は高圧段コンプレッサとエンジンの吸気マニホールドの間に設けられている。
特許文献1の技術によって、下記に示す前記ターボチャージャーの三つの課題(段落0002)は解決されたが、前記ターボチャージャーとEGRの組合せの課題(段落0005)と高圧EGRの課題(段落0006)は解決されない。
特許文献1の段落0036−0040には、モータ・ジェネレータを発電機として機能させると給気圧力も低くなると共にEGR率を増加させることができ、モータ・ジェネレータを電動機として機能させると給気圧力が増加すると共にEGR率は減少することが記載されている。すなわち、過給圧制御とEGRの制御を独立して行うことができないことが記載されている。特許文献1の技術は前記ターボチャージャーとEGRの組み合わせの課題(段落0005)を解決していないことが明らかである。
【0010】
特許文献2の技術は階層型EGRの技術である。
特許文献2の技術である前記階層型EGRは、低圧EGRパスと高圧EGRバスを備え、低圧EGRバルブと高圧EGRバルブによって低圧EGRパスと高圧EGRバスの切り換え(流量の制御)を行い、前記高圧EGRの課題(段落0006)と前記低圧EGRの第1の課題(段落0007)を解決した。また、前記EGRバルブの開閉制御の効果がエンジンに到達するのに時間がかかるタイムラグを考慮した制御によって前記低圧EGRの第3の課題(段落0007)とタイムラグを考慮した制御によって前記階層型EGRの課題(段落0008)をある程度解決すると思われる。
しかし、前記低圧EGRの第2の課題(段落0007)と前記ターボチャージャーとEGRの組合せの課題(段落0005)は解決されない。
【0011】
特許文献2の段落0007には、 高圧EGR系及び低圧EGR系は、EGR通路の長さやEGR弁の前後の圧力差の違いから、応答速度が異なること、それぞれのEGR弁の開度を変化させてから、EGR弁を通過したEGRガスが内燃機関に吸入され、当該EGRガスが筒内の燃焼に影響を与えることにより排気の成分が変化するまでの時間が異なることが記載されている。
また、特許文献2の段落0010には、 低圧EGR弁よりも下流側の第1のNOX濃度が変化してから、前記内燃機関の排気の第3のNOX濃度が変化するまでの遅れ時間を求める応答速度算出部と、
前記第1のNOX濃度、及び、前記低圧EGR通路の合流位置よりも下流側の第2のNOX濃度に基づいて、前記低圧EGRガスの希釈率を求める低圧EGR率算出部と、前記排気の第1の酸素濃度、及び、前記希釈率から前記高圧EGRガスの第2の酸素濃度を推定する酸素濃度算出部と、前記第2の酸素濃度、及び、前記遅れ時間から前記低圧EGRガスの流量及び前記高圧EGRガスの流量を制御するEGR制御部とを備えることが記載されている。
特許文献2の技術は三つの算出部の算出結果は誤差を含み、特に、変動する条件下での応答速度算出部の算出結果の誤差は大きいと思われる。階層型EGRの課題(段落0008)は、高圧EGRと低圧EGRの切換えを行う限り本質的な解決は困難だと思われる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
Model-25は本発明の中圧EGR低圧段駆動階層型電動ターボチャージャー装置を装着した動力システムである。
低圧段駆動階層型電動ターボチャージャーは、常に低圧段コンプレッサ31と高圧段タコンプレッサ21で圧縮を、常に高圧段タービン22と低圧段タービン32で膨張を行い、さらに低圧段タービン・コンプレッサ30にモータジェネレータ33, 34, 35が接続される。これは特許文献1と同じである。
中圧EGRは、EGRパスの入り口を高圧段タービン22と低圧段タービン32の間に、出口を低圧段コンプレッサ31と高圧段コンプレッサ21の間に有する。
Model-25の過給圧とEGRを独立して制御する方式は、過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ前記複数の制御手段を有し、それらの制御手段の制御を行うことにより過給圧とEGR量の独立した制御を可能にする。
【0019】
図1はModel-25のモデル-制御技術一覧を示す図である。
Model-25 の各モデルは、過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段の組み合わせが異なる。
Model-25の前記五つのモデルの基本的な構成と制御について説明する。
Model-251は1-モータジェネレータ制御方式であり、その構成は低圧段コンプレッサ31と低圧段タービン32を一体化した低圧段タービン・コンプレッサ30に第1モータジェネレータ33を接続したものである。
過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は内燃機関15の燃料供給装置16と第1モータジェネレータ33である。
Model-252は1-モータジェネレータ・EGRバルブ制御方式であり、その構成はModel-251のEGRパス40にEGRバルブ装置41を付加したものである。
過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は内燃機関15の燃料供給装置16と第1モータジェネレータ33とEGRバルブ装置41である。
Model-253は1-モータジェネレータ・スロットルバルブ制御方式であり、その構成はModel-251と同様であるが、スロットルバルブ装置17を過給圧とEGR量の制御に用いることが異なる。
過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は内燃機関15の燃料供給装置16と第1モータジェネレータ33とスロットルバルブ装置17である。
Model-254は1-モータジェネレータ・可変吸気バルブ制御方式であり、その構成はModel-251と同様であるが、可変吸気バルブ装置18を過給圧とEGR量の制御に用いることが異なる。
過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は内燃機関15の燃料供給装置16と第1モータジェネレータ33と可変吸気バルブ装置18である。
Model-255は2-モータジェネレータ制御方式であり、その構成は、Model-251の低圧段コンプレッサ31と低圧段タービン32を分離し、低圧段コンプレッサ31に第2モータジェネレータ34を、低圧段タービン32に第3モータジェネレータ35を接続したものである。
過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は内燃機関15の燃料供給装置16と第2モータジェネレータ34と第3モータジェネレータ35である。
Model-2511、Model-2521、Model-2531、Model-2541、Model-2551は、それぞれModel-251、Model-252、Model-253、Model-254、Model-255にハイブリッド動力用のHVモータージェネレータ12を付加したハイブリッド動力モデルである。
過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ前記複数の制御手段はそれぞれModel-251、Model-252、Model-253、Model-254、Model-255と同様である。
【実施例1】
【0020】
図2はModel-251の1-モータジェネレータ制御方式の概要構成図である。
Model-251の構成は低圧段コンプレッサ31と低圧段タービン32を一体化した低圧段タービン・コンプレッサ30に第1モータジェネレータ33を接続したものである。
吸気は低圧段コンプレッサ31で圧縮され、さらに高圧段コンプレッサ21で圧縮され、インタークーラ27で冷却されて内燃機関15に供給される。内燃機関15の排気は高圧段タービン22で膨張して、さらに低圧段タービン32で膨張して排気される。
中圧EGRはEGRパス40とEGRクーラー42で構成され、EGRパス40の入り口が高圧段タービン22と低圧段タービン32の間に、出口が高圧段コンプレッサ21と低圧段コンプレッサ31の間に設けられる。
制御装置11は既存の自動車の動力システムと同様にアクセルペタルやブレーキペタル等からの操作情報、速度や加速度等のセンサーからの走行情報を得る。さらに、高圧段コンプレッサ入り口(EGRパス出口)圧力センサー23、高圧段タービン出口(EGRパス入り口)圧力センサー24、高圧段タービン・コンプレッサ回転センサー25、吸気ポート圧力(過給圧)センサー26、吸気ポート酸素センサー28の検出情報を得る。
制御装置11はそれらの情報に基づいて、内燃機関15の燃料供給装置16の制御、第1モータジェネレータ33の制御、二次電池13の電力の第1モータジェネレータ33への供給と第1モータジェネレータ33の回生発電の電力の蓄積の制御を行う。
【0021】
Model-251の制御の概要について説明する。Model-251の過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は燃料供給装置16と前記第1モータジェネレータ33である。
制御装置11が燃料供給装置16を制御して内燃機関15の燃料供給量の増加を行うことにより、内燃機関15は増速して高圧段タービン・コンプレッサ20は増速し、過給圧は上昇する。それと同時に、高圧段タービン・コンプレッサ20の増速により、EGRパス40の出口(高速段コンプレッサ21の入り口)の圧力は下降しEGRパス40の入り口(高速段タービン22の出口)の圧力は上昇し、EGR量は増加する。
一方、燃料供給量の減少を行うことにより、内燃機関15は減速して高圧段タービン・コンプレッサ20は減速し、過給圧は下降する。それと同時に、高圧段タービン・コンプレッサ20の減速により、EGRパス40の出口(高速段コンプレッサ21の入り口)の圧力は上昇しEGRパス40の入り口(高速段タービン22の出口)の圧力は下降し、EGR量は減少する。
【0022】
制御装置11が第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、低圧段タービン・コンプレッサ30は増速し、高速段コンプレッサ21の入り口の圧力は上昇し高圧段タービン22の出口の圧力は下降し、高速段タービン・コンプレッサ20は増速し、過給圧は上昇する。それと同時に、EGRパス40の出口(高速段コンプレッサ21の入り口)の圧力の上昇とEGRパス40の入り口(高圧段タービン22の出口)の圧力の下降により、EGR量は減少する。
一方、制御装置11が第1モータジェネレータ33の減速を行うことにより、低圧段タービン・コンプレッサ30は減速し、高速段コンプレッサ21の入り口の圧力は下降し高圧段タービン22の出口の圧力は上昇し、高速段タービン・コンプレッサ20は減速し、過給圧は下降する。それと同時に、EGRパス40の出口(高速段コンプレッサ21の入り口)の圧力の下降とEGRパス40の入り口(高圧段タービン22の出口)の圧力の上昇により、EGR量は増加する。
従がって、制御装置11が燃料供給装置16と第1モータジェネレータ33を制御することにより過給圧とEGR量を独立して制御することができる。
【0023】
制御装置11が複数の手段(例えば燃料供給装置16と第1モータジェネレータ33を制御する時、過給圧への効果やEGR量への効果の相殺や相乗が生じる。
二つの効果が相殺した時には効果は消滅し、三つの効果の内二つの効果が相殺した時には一つの効果が残るものとする。二つの効果が相乗した時には効果は二倍になり、三つの効果が相乗した時には効果は三倍になるものとする。
【0024】
制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺する。
制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の減速を行うことにより、過給圧は上昇と減少が相殺しEGR量は二倍増加する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は上昇と減少が相殺しEGR量は二倍減少する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺する。
【0025】
Model-251の各モードの制御について説明する。
過給圧とEGR量の制御は応答特性が重要なので、過給圧の上昇、維持、下降とEGR量の増加、維持、減少の組合せのモードの制御について説明する。
過給圧上昇・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加を行うことにより、過給圧は上昇しEGR量は増加する。
過給圧上昇・EGR量維持モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧上昇・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は上昇しEGR量は減少する。
【0026】
過給圧維持・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は二倍増加する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧維持・EGR量維持モードの制御は、制御装置11の制御はない。
過給圧維持・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は二倍減少する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
【0027】
過給圧下降・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)を行うことにより、過給圧は下降しEGR量は増加する。
過給圧下降・EGR量維持モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧下降・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が内燃機関15の燃料供給量の減少を行うことにより、過給圧は下降しEGR量は減少する。
【0028】
図12から
図14はModel-25の各モデル共通の制御フローチャートである。
図12はModel-25の共通のメインルーチンである。自動車のキーがオンである限り、または走行している限り、制御情報取得サブルーチンと制御サブルーチンを繰り返す。
図13はModel-25の共通の制御情報取得サブルーチンである。制御プログラムや動力システムの特性等の情報が記録された制御テーブルの読み込み、操作情報の読み込み、走行情報の読み込み、各種センサー検出情報の読み込みを行う。各種センサー検出情報は吸気ポート圧力(過給圧) Pa、吸気ポート酸素量(EGR量) Oa、高圧段コンプレッサ入り口(EGRパス出口)圧力 Pc、高圧段タービン出口(EGRパス入り口)圧力 Pt、高圧段タービン・コンプレッサ回転速度 Rt 等である。
EGR量の測定については、直接測定することができないのでいくつかの代用値が用いられる。本発明においては吸気ポート酸素量(酸素濃度)を用いる。
また、それらの情報から、吸気ポート圧力(過給圧)目標値 Pat を算出し、吸気ポート酸素量(EGR量)目標値 Oatを 算出する。EGR量の測定については、直接測定することができないのでいくつかの代用値が用いられる。本発明においては吸気ポート酸素量(酸素濃度)を用いる。
図14はModel-25の共通の制御サブルーチンである。吸気ポート圧力(過給圧)目標値 Pat と検出値 Pa、吸気ポート酸素量(EGR量)の目標値 Oat と検出値 Oa の値の比較から八つのモードのサブルーチンに分岐する。
【0029】
Model-251の八つのモードのサブルーチンについて説明する。
図15はModel-251の過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量維持モード、過給圧上昇・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図16はModel-251の過給圧維持・EGR量増加モード、過給圧維持・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図17はModel-251の過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量維持モード、過給圧下降・EGR量減少モードのサブルーチンである。
【0030】
Model-251の課題について説明する。
低圧段駆動階層型電動ターボチャージャーの特徴の一つが過給圧の高い応答特性であるが、動力システムとして求められるのは過給圧の高い応答特性による内燃機関の回転速度の応答性である。
そのためには、過給圧を上昇する制御と燃料供給量を増加する制御を同時に、過給圧を下降する制御と燃料供給量を減少する制御を同時に行うことが必要である。
しかし、Model-251の九つのもーどの内の四つのモード、すなわち、過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量減少モード、過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量減少モードにおいては、過給圧を上昇する制御と燃料供給量を増加する制御を同時に、過給圧を下降する制御と燃料供給量を減少する制御を同時に行うことができない。
【実施例2】
【0031】
図3はModel-252の1-モータジェネレータ・EGRバルブ制御方式の概要構成図であり、Model-251との差異について説明する。
Model-252はModel-251の課題を解決するものであり、動力システムは、EGRパス40の入り口と出口の間にEGRパス40の流量を制御するEGRバルブ装置41を有し、制御装置11はさらにEGRバルブ装置41の制御を行う。
【0032】
Model-252の制御の概要のModel-251との差異について説明する。
Model-252の制御はModel-251の課題を解決するものであり、過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量減少モード、過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量減少モードにおいても、過給圧を上昇する制御と燃料供給量を増加する制御を同時に、過給圧を下降する制御と燃料供給量を減少する制御を同時にできるようにすることである。
【0033】
Model-252の過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は燃料供給装置16と前記第1モータジェネレータ33とEGRバルブ装置41である。
制御装置11がEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、EGR量は増加する。一方、EGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、EGR量は減少する。EGRバルブ装置41による制御は、EGRパス40の入り口の圧力が出口の圧力よりも高い時に有効である。
内燃機関15の燃料供給量の制御と第1モータジェネレータ33による制御はModel-251と同様である。
【0034】
制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速とEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速とEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の減速とEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は三倍増加する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の増速とEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は三倍減少する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速とEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は過給圧は増加と減少が相殺して一倍増加する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速とEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0035】
Model-252の各モードの制御について説明する。
過給圧上昇・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速とEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
過給圧上昇・EGR量維持モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合はEGRバルブ装置41の開口率を制御して補正するか燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧上昇・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速とEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0036】
過給圧維持モードの制御には二つの方式がある。過給圧維持モードの第1の制御方式について説明する。
過給圧維持・EGR量増加モードの制御は、制御装置11がEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、EGR量は増加する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧維持・EGR量維持モードの制御は、制御装置11の制御はない。
過給圧維持・EGR量減少モードの制御は、制御装置11がEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、EGR量は減少する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
【0037】
過給圧維持モードの第2の制御方式について説明する。
第2の制御方式は第1の制御方式のとModel-251の過給圧維持モードの制御を併用する方式である。
過給圧維持・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)とEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は三倍増加する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧維持・EGR量維持モードの制御は、制御装置11の制御はない。
過給圧維持・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の増速とEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は三倍減少する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
【0038】
過給圧下降・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)とEGRバルブ装置41の開口率の増加を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は上昇と下降が相殺して一倍増加する。
過給圧下降・EGR量維持モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合はEGRバルブ装置41の開口率を制御して補正するか燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧下降・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)とEGRバルブ装置41の開口率の減少を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0039】
Model-252の制御フローチャートのメインルーチン、制御情報取得サブルーチン、制御情報取得サブルーチンはModel-25の各モデルと共通である。
Model-252の八つのモードのサブルーチンについて説明する。
図18はModel-252の過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量維持モード、過給圧上昇・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図19と
図20はModel-252の過給圧維持・EGR量増加モード、過給圧維持・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図21はModel-252の過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量維持モード、過給圧下降・EGR量減少モードのサブルーチンである。
【実施例3】
【0040】
図4はModel-253の1-モータジェネレータ・スロットルバルブ制御方式の概要構成図であり、Model-251との差異について説明する。
Model-253はModel-251の課題を解決するものであり、動力システムは内燃機関15の吸気ポートと高圧段コンプレッサ21の出口の間にスロットルバルブ装置17を有する。
スロットルバルブ装置17は従来の内燃機関に用いられるスロットルバルブ装置と同様であるが、吸気の流量を制御することにより前記内燃機関15の過給圧と高圧段コンプレッサ21の出口の圧力を制御することにより過給圧の制御だけでなくEGR量の制御にも用いることが異なる。
【0041】
Model-253の制御の概要のModel-251との差異について説明する。
Model-253の制御はModel-252と同様にModel-251の課題を解決するものであり、過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量減少モード、過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量減少モードにおいても、過給圧を上昇する制御と燃料供給量を増加する制御を同時に、過給圧を下降する制御と燃料供給量を減少する制御を同時にできるようにすることである。
【0042】
Model-253の過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は燃料供給装置16と前記第1モータジェネレータ33とスロットルバルブ装置17である。
制御装置11がスロットルバルブ装置17の開口率の増加を行うことにより、内燃機関15への空気の供給量が増加し過給圧は上昇する。過給圧の上昇により、内燃機関15は増速し高圧段タービン・コンプレッサ20は増速し、高速段コンプレッサ21の入り口(EGRパス40の出口)の圧力が下降し高圧段タービン22の出口(EGRパス40の入り口)の圧力が上昇し、EGR量は増加する。
一方、制御装置11がスロットルバルブ装置17の開口率の減少を行うことにより、内燃機関15への空気の供給量が減少し過給圧は下降する。過給圧の下降により、内燃機関15は減速し高圧段タービン・コンプレッサ20は減速し、高速段コンプレッサ21の入り口(EGRパス40の出口)の圧力が上昇し高圧段タービン22の出口(EGRパス40の入り口)の圧力が下降し、EGR量は減少する。
【0043】
制御装置11が燃料供給装置16を制御して内燃機関15の燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33増速とスロットルバルブ装置17の開口率の増加を行うことにより、過給圧は三倍
上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
制御装置11が燃料供給装置16を制御して内燃機関15の燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33増速とスロットルバルブ装置17の開口率の減少を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺して一倍
上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
制御装置11が燃料供給装置16を制御して内燃機関15の燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33減速とスロットルバルブ装置17の開口率の増加を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺して一倍
下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
制御装置11が燃料供給装置16を制御して内燃機関15の燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33減速とスロットルバルブ装置17の開口率の減少を行うことにより、過給圧は三倍
下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0044】
Model-253の各モードの制御について説明する。
過給圧上昇・EGR量増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速とスロットルバルブ装置17の開口率の増加を行うことにより、過給圧は三倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
過給圧上昇・EGR量維持モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合はスロットルバルブ装置17の開口率を制御して補正するか燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧上昇・EGR量減少モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の増加と第1モータジェネレータ33の増速とスロットルバルブ装置17の開口率の減少を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺して一倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0045】
過給圧維持・EGR増加モードの制御は、制御装置11が第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)とスロットルバルブ装置17の開口率の増加を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は二倍増加する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧維持・EGR維持モードの制御は、制御装置11の制御はない。
過給圧維持・EGR減少モードの制御は、制御装置11が第1モータジェネレータ33の増速とスロットルバルブ装置17の開口率の減少を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺しEGR量は二倍減少する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
【0046】
過給圧下降・EGR増加モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)とスロットルバルブ装置17の開口率の増加を行うことにより、過給圧は上昇と下降が相殺して一倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
過給圧下降・EGR維持モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は上昇と下降が相殺する。EGR量の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第1モータジェネレータ33の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧下降・EGR減少モードの制御は、制御装置11が燃料供給量の減少と第1モータジェネレータ33の減速(回生発電を含む)とスロットルバルブ装置17の開口率の減少を行うことにより、過給圧は三倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0047】
Model-253の制御フローチャートのメインルーチン、制御情報取得サブルーチン、制御情報取得サブルーチンはModel-25の各モデルと共通である。
Model-253の八つのモードのサブルーチンについて説明する。
図22はModel-253の過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量維持モード、過給圧上昇・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図23はModel-253の過給圧維持・EGR量増加モード、過給圧維持・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図24はModel-253の過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量維持モード、過給圧下降・EGR量減少モードのサブルーチンである。
【実施例4】
【0048】
図5はModel-254の1-モータジェネレータ・可変吸気バルブ制御方式の概要構成図であり、Model-251との差異について説明する。
Model-254はModel-251の課題を解決するものであり、動力システムは内燃機関15の吸気バルブのバルブが開いている時間やバルブリフト量を制御する可変吸気バルブ装置18を有する。
可変吸気バルブ装置18は従来の内燃機関に用いられる可変吸気バルブ装置と同様であるが、吸気の流量を制御することにより前記内燃機関15の過給圧と高圧段コンプレッサ21の出口の圧力を制御することにより過給圧の制御だけでなくEGR量の制御にも用いることが異なる。
【0049】
Model-254の制御の概要のModel-251との差異について説明する。
Model-254の制御はModel-252やModel-253と同様にModel-251の課題を解決するものであり、過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量減少モード、過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量減少モードにおいても、過給圧を上昇する制御と燃料供給量を増加する制御を同時に、過給圧を下降する制御と燃料供給量を減少する制御を同時にできるようにすることである。
【0050】
Model-254の過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は燃料供給装置16と前記第1モータジェネレータ33と可変吸気バルブ装置18である。
制御装置11の可変吸気バルブ装置18の制御はModel-253のスロットルバルブ装置17の制御とまったく同じである。
制御装置11が可変吸気バルブ装置18の開口率(バルブが開いている時間やバルブリフト量)の増加を行うことにより、内燃機関15への空気の供給量が増加し過給圧は上昇する。過給圧の上昇により、内燃機関15は増速し高圧段タービン・コンプレッサ20は増速し、高速段コンプレッサ21の入り口(EGRパス40の出口)の圧力が下降し高圧段タービン22の出口(EGRパス40の入り口)の圧力が上昇し、EGR量は増加する。
一方、制御装置11が可変吸気バルブ装置18の開口率の減少を行うことにより、内燃機関15への空気の供給量が減少し過給圧は下降する。過給圧の下降により、内燃機関15は減速し高圧段タービン・コンプレッサ20は減速し、高速段コンプレッサ21の入り口(EGRパス40の出口)の圧力が上昇し高圧段タービン22の出口(EGRパス40の入り口)の圧力が下降し、EGR量は減少する。
【0051】
Model-254の制御フローチャートのメインルーチン、制御情報取得サブルーチン、制御情報取得サブルーチンはModel-25の各モデル共通である。
Model-254の八つのモードのサブルーチンも、Model-253のスロットルバルブ装置17を可変吸気バルブ装置18に置き換えただけであって同じである。
【実施例5】
【0052】
図6はModel-255の2-モータジェネレータ制御方式の概要構成図であり、Model-251との差異について説明する。
Model-253はModel-251の課題を解決するものである。
動力システムは、Model-251の低圧段タービン・コンプレッサ30を低圧段コンプレッサ31と低圧段タービン32を分離して、低圧段コンプレッサ31に第2モータジェネレータ34を、低圧段タービン32に第3モータジェネレータ35を接続したものであり、制御装置11は第2モータジェネレータ34と第3モータジェネレータ35の制御を行う。
【0053】
Model-255の制御の概要のModel-251との差異について説明する。
Model-255の制御はModel-252
、Model-253、Model-254と同様にModel-251の課題を解決するものであり、過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量減少モード、過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量減少モードにおいても、過給圧を上昇する制御と燃料供給量を増加する制御を同時に、過給圧を下降する制御と燃料供給量を減少する制御を同時にできるようにすることである。
【0054】
Model-255の過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段は燃料供給装置16と第2モータジェネレータ34と第3モータジェネレータ35である。
制御装置11が第2モータジェネレータ34の増速を行うことにより、低圧段コンプレッサ31は増速し、EGRパス40の出口(高速段コンプレッサ21の入り口)の圧力は上昇しEGR量は減少する。高速段コンプレッサ21の入り口の圧力の上昇により、高速段タービン・コンプレッサ20は増速し過給圧は上昇する。
一方、制御装置11が第2モータジェネレータ34の減速を行うことにより、低圧段コンプレッサ31は減速し、EGRパス40の出口(高速段コンプレッサ21の入り口)の圧力は下降しEGR量は増加する。高速段コンプレッサ21の入り口の圧力の下降により、高速段タービン・コンプレッサ20は減速し過給圧は下降する。
【0055】
制御装置11が第3モータジェネレータ35の増速を行うことにより、低圧段タービン32は増速し、EGRパス40の入り口(高速段タービン22の出口)の圧力は下降しEGR量は減少する。高速段タービン22の出口の圧力の下降により、高速段タービン・コンプレッサ20は僅かに増速するが無視でき、過給圧は僅かに上昇するが無視できる。
一方、制御装置11が第3モータジェネレータ35の減速を行うことにより、低圧段タービン32は減速し、EGRパス40の入り口(高速段タービン22の出口)の圧力は上昇し、EGR量は増加する。高速段タービン22の出口の圧力の上昇により、高速段タービン・コンプレッサ20は僅かに減速するが無視でき、過給圧は僅かに下降するが無視できる。
【0056】
制御装置11が燃料供給量の増加と第2モータジェネレータ34の増速と第3モータジェネレータ35の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
制御装置11が燃料供給量の増加と第2モータジェネレータ34の増速と第3モータジェネレータ35の減速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第2モータジェネレータ34の減速と第3モータジェネレータ35の増速を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
制御装置11が燃料供給量の減少と第2モータジェネレータ34の減速と第3モータジェネレータ35の減速を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
【0057】
Model-255の各モードの制御について説明する。
過給圧上昇・EGR増加モードの制御は、制御装置11が内燃機関15の燃料供給の増加と第2モータジェネレータ34の増速と第3モータジェネレータ35の減速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
過給圧上昇・EGR維持モードの制御は、制御装置11が内燃機関15の燃料供給の増加と第2モータジェネレータ34の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第2モータジェネレータ34の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧上昇・EGR減少モードの制御は、制御装置11が内燃機関15の燃料供給の増加と第2モータジェネレータ34の増速と第3モータジェネレータ35の増速を行うことにより、過給圧は二倍上昇しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0058】
過給圧維持・EGR増加モードの制御は、制御装置11が第3モータジェネレータ35の減速を行うことにより、EGR量は増加する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第2モータジェネレータ34の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧維持・EGR維持モードの制御は、制御装置11の制御はない。
過給圧維持・EGR減少モードの制御は、制御装置11が第3モータジェネレータ35の増速を行うことにより、EGR量は減少する。過給圧の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第2モータジェネレータ34の制御量の比率を制御して補正する。
【0059】
過給圧下降・EGR増加モードの制御は、制御装置11が内燃機関15の燃料供給の減少と第2モータジェネレータ34の減速と第3モータジェネレータ35の減速を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍増加する。
過給圧下降・EGR維持モードの制御は、制御装置11が内燃機関15の燃料供給の減少と第2モータジェネレータ34の減速を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺する。EGR量の変化が起きた場合は燃料供給量の制御量と第2モータジェネレータ34の制御量の比率を制御して補正する。
過給圧下降・EGR減少モードの制御は、制御装置11がが内燃機関15の燃料供給の減少と第2モータジェネレータ34の減速と第3モータジェネレータ35の増速を行うことにより、過給圧は二倍下降しEGR量は増加と減少が相殺して一倍減少する。
【0060】
Model-255の制御フローチャートのメインルーチン、制御情報取得サブルーチン、制御情報取得サブルーチンはModel-25の各モデルと共通である。
Model-255の八つのモードのサブルーチンについて説明する。
図25はModel-255の過給圧上昇・EGR量増加モード、過給圧上昇・EGR量維持モード、過給圧上昇・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図26はModel-255の過給圧維持・EGR量増加モード、過給圧維持・EGR量減少モードのサブルーチンである。
図27はModel-255の過給圧下降・EGR量増加モード、過給圧下降・EGR量維持モード、過給圧下降・EGR量減少モードのサブルーチンである。
【実施例6】
【0061】
図7はModel-2511 1-モータジェネレータ制御方式・HV動力方式の概要構成図であり、
図8はModel-2521 1-モータジェネレータ・EGRバルブ制御方式・HV動力方式の概要構成図であり、
図9はModel-2531 1-モータジェネレータ・スロットルバルブ制御方式・HV動力方式の概要構成図であり、
図10はModel-2541 1-モータジェネレータ・可変吸気バルブ制御方式・HV動力方式の概要構成図であり、
図11はModel-2551 2-モータジェネレータ制御方式・HV動力方式の概要構成図であり、それぞれModel-251、Model-252、Model-253、Model-254、Model-255にハイブリッド動力用のHVモータージェネレータ12を付加したハイブリッド動力モデルである。
HVモータージェネレータ12は制御装置11、インバータ14、二次電池12を第1モータジェネレータ33、第2モータジェネレータ34、第3モータジェネレータ35と共有する。
【0062】
制御装置11は、内燃機関15の回転速度が目標値より低い時には、過給圧増加・EGR量増加モード、過給圧増加・EGR量維持モード、過給圧増加・EGR量減少モード等の制御とともにHVモータジェネレータ12を制御して駆動トルクを増大する。
内燃機関15の回転速度が目標値と一致している時には、過給圧維持・EGR量増加モード、過給圧維持・EGR量減少モード等の制御とともにHVモータジェネレータ12の状態を維持(自由回転を含む)する。
内燃機関15の回転速度が目標値より高い時には、過給圧減少・EGR量増加モード、過給圧減少・EGR量減少モード、過給圧減少・EGR量減少モード等の制御とともにHVモータジェネレータ12を制御して回生発電する。
モータジェネレータを接続した低圧段タービン・コンプレッサと高圧段タービン・コンプレッサからなる低圧段駆動階層型電動ターボチャージャーと、EGRパスの入り口を高圧段タービンと低圧段タービンの間に、出口を低圧段コンプレッサと高圧段コンプレッサの間に有する中圧EGRを組み合わせて、過給圧とEGR量に対して異なる特性を持つ複数の制御手段を制御することによって過給圧とEGR量を独立して制御する。