【実施例】
【0049】
(実施例1)
実施例1のオゾン水製造装置は、医療現場やクリーンルーム等の素材、器具や作業者の手指等の除菌・殺菌を目的とするハンディタイプのオゾン水製造装置であり、
図2に示すように、原料水を入れる略円筒形状のボトル21と、ボトル21内に上端を除いて挿入された電気分解ユニット22と、電気分解ユニット22から流出する電解液とオゾンを含むガスとが流入する気液接触ユニット23とが、スプレー筐体24内に収容されており、総重量は400gである。スプレー筐体24の下部は略円筒形状であり、上端近傍で縮径されており、それよりも上の部分では再び拡径しており、縮径された部分を握ることにより、容易に手で把持することができるようになっている。拡径部分の内部の上端には、ダイヤフラム式の送液ポンプ25が収納されており、径外方向に噴霧可能に取り付けられた噴霧ノズル26に送液可能とされている。
【0050】
ボトル21の容量は200mlで、上端に縮径された開口部21aが設けられており、開口部21aは蓋21bによってネジ構造により開閉可能とされており、蓋21bはパッキン39に挿入することによってボトル21と共に固定されるようになっている。ボトル21及び蓋21bは高耐熱性のポリプロピレン製であり121℃で15分間のオートクレーブ滅菌処理が可能である。蓋21bには電気分解ユニット22が同軸で脱着可能に取り付けられており、電気分解ユニット22の上端は蓋21bから上方に突出している。また、ボトル21の底は底蓋27によって覆われており、これによってスプレー筐体24内に収められている。底蓋27は図示しないロック機構によって開閉可能とされている。
【0051】
電気分解ユニット22の外殻は略円筒形状の細長いユニットカバー22aからなり、ユニットカバー22aの最下端にはボトル21内の原料水が流入するための吸水口28が設けられている。吸水口28の少し下流側には逆止弁29が設けられており、さらにその下流側には電解モジュール30が挿通されている。電解モジュール30はデノラ・ペルメレック(株)社製のスパイラル電極(型番:Y5672)であり、
図3に示すように、導電性ダイヤモンド触媒を担持した金属棒である陽極30aの周囲に、イオン交換膜から成る隔膜30bの帯を巻き、この隔膜30bの周囲にステンレス線から成る陰極30cを巻き付けて構成されている。なお、
図3では陽極30aの周囲に巻き付けた隔膜30bの間隔が一定になっていないが、等間隔にしても良い。また、陽極30a及び陰極30cは、ボトル21下端とスプレー筐体24下端との間に設置されたリチウムイオン電池31に接続されている(
図2参照)。さらに、リチウムイオン電池31と両電極との間には電圧を調整することができる回路基板32が挿入されており、両電極30a,30bへの電圧の印加のON-OFFは、スプレー筐体24の縮径部分に取り付けられた電源スイッチ33によって可能とされている。
【0052】
また、このオゾン水製造装置は、不使用時には載置台36に載せられており、載置台36内部には電磁誘導コイル36aが設けられている。さらに、底蓋27内には電磁誘導コイル27aが載置台36内の電磁誘導コイル36aに対面する位置で設けられており、電磁誘導コイル36aに接続されたプラグ37を図示しないコンセントに差し込むことにより、電磁誘導によってリチウムイオン電池31が充電されるようになっている。また、スプレー筐体24の側面にはLED38a、38b取り付けられており、回路基板32から発せられる電気信号によって、電気分解によるオゾン水の生成中であるか否かの区別や、電池残量、電極交換サイン、電極クリーニングサイン(陽極、陰極を逆転させて電気分解反応を行うサイン)を示すことが可能とされている。
【0053】
電気分解ユニット22の上端にはポリプロピレン製の接続配管34の一端が接続されており、接続配管34の他端は気液接触ユニット23内に螺旋状に束ねて設けられたシリコン樹脂製のチューブ23aの一端に接続されている。
図4に示すように、チューブ23a内にはビーズ23bが充填されており、ビーズ23bからなる充填層の両端は、ステンレス製のメッシュ板23cが設置されており、ビーズ23bは最密充填された状態で固定されている。
【0054】
図2に示すように、チューブ23aの他端はポリプロピレン製の接続配管35に接続されており、接続配管35の途中には送液ポンプ25が設けられており、他端が噴霧ノズル26に接続されている。
【0055】
次に、実施例1のオゾン水製造装置の使用方法及び作用・効果について説明する。
(原料水の充填)
使用者は、実施例1のオゾン水製造装置を手に持ち、底蓋27のロック機構を外して底蓋27を外し、ボトル21を取り出す。そして、蓋21bを外して精製水を注入し、蓋21bを締めた後、再びボトル21を元の位置に設置し、底蓋27を閉めてロック機構によってロックする。
【0056】
(オゾン水の噴霧)
上記のようにして原料水を充填したボトル21をセットした装置のスプレー筐体24のくびれ部分を把持し、噴霧ノズル26の噴霧方向が殺菌しようとする部材に向かうようにした状態で、電源スイッチ33を押してON状態とする。
これにより、送液ポンプ25が駆動し、吸水口28から原料水が流入し、電気分解ユニット22内に送液されるとともに、リチウムイオン電池31から電気分解ユニット22の陽極30a及び陰極30c間に電圧が印加される。これにより、陽極30aでは酸素ガス及びオゾンガスが発生し、陰極30cでは水素ガスが発生し、電極反応によって生成した電解液と共に気液混合物の状態となって気液接触ユニット23内に流入する。ここで、気液接触ユニット23内には
図4に示すように、ビーズ23bが充填されているため、気液混合物はビーズ23bどうしの間の狭い隙間を複雑な網目状に通過することとなる。このため、オゾンガスを含む混合ガスは電解液と極めて広い接触面積で接触するとともに、複雑な乱流が生じて混合撹拌されることとなり、オゾンガスの電解液への溶解が促進され、電解液中のオゾン濃度が上昇する。このため、気液接触ユニット23から流出した電解液中に溶存するオゾン濃度は、気液接触ユニット23に流入する前に比べて高い濃度となる。こうして生成した高濃度のオゾン水は接続配管35を通って噴霧ノズル26から噴霧される。
【0057】
(比較例1)
比較例1のオゾン水製造装置は、
図5に示すように、実施例1のオゾン水製造装置(
図2参照)における気液接触ユニット23を取り外し、電気分解ユニット22の流出側の出口から接続配管34を介して直接、送液ポンプ25に接続された構造となっている。その他の構成は実施例1のオゾン水製造装置と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
(実施例2〜6及び比較例2)
<オゾン水噴霧試験>
実施例1及び比較例1のオゾン水製造装置を用い、原料水として導電率0.1μS/cmのイオン交換水を用い、スプレー速度を40ml/minとしてオゾン水噴霧試験を行った。なお、噴霧の前には陽極と陰極の印加電圧を逆転する電極クリーニングを実施した。また、噴霧液を受けるビーカーは事前に中性洗剤で洗った後、精製水で洗い、最後に噴霧液で共洗いを充分行ってから、測定を行った。また、全ての試験は0.7Aの電流で電気分解を行った。
実施例2〜6についての気液接触ユニットの構成及び運転条件は表1に示すとおりであり、ビーズ23bの粒子径が異なっている。
【0059】
【表1】
【0060】
なお、ビーズ23bの材質と同じソーダガラスの板材について測定した水に対する接触角は20°であった。測定方法の詳細は以下のとおりである。
3×7cmのソーダガラスの板を用意し、接触角計(協和界面科学(株)製、CA−DT・A型)のステージにセットし、平板上より平板に垂直に使用する原料水を1ml滴下し、平板上に滴下された液滴の接触角を、接触角計を用いて測定した。測定は、同様の測定を3度測定しその平均値を記録した。
【0061】
<全オゾン濃度及び溶存オゾン濃度の測定>
上記のようにしてオゾン水噴霧試験を行った実施例2〜6及び比較例2について、以下に示す方法によって全オゾン濃度及び溶存オゾン濃度の測定を行った。
(全オゾン濃度の測定)
全オゾン濃度の測定はJIS K0102−2016の33.3よう素滴定法に準拠して測定した。すなわち、よう化カリウム水溶液10mlを入れた上記洗浄済みガラスビーカーに、オゾン水製造装置からオゾン水をビーカー内に噴霧してよう化カリウムと反応させ、遊離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、オゾン濃度を定量した。この方法により、オゾン水とオゾンガスの合計量のオゾン濃度(全オゾン濃度)を定量した。
【0062】
(溶存オゾン濃度の測定)
溶存オゾン濃度の測定は次の方法により行った。
立垂させたガラス板へ対して垂直方向からオゾン水を噴霧し、ガラス板を伝って落下するオゾン水を空のビーカー内に採取した。なお、オゾン水噴霧中はオゾン水がビーカー外に飛ばされない程度に横からエアーを流すことによってオゾンガスを吹き飛ばし、オゾンガス由来のオゾンがビーカー内に入ることを防止した。こうしてオゾン水が10ml採取できたら、次に、3秒以内によう化カリウム水溶液10ml入りの上記洗浄済みガラスビーカーに注いでよう化カリウムと反応させ、遊離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、オゾン濃度を定量した。
【0063】
(ガス状のオゾンに由来のオゾン濃度の算出)
次の算出式によってガス状のオゾンに由来のオゾン濃度を算出した。
(ガス状のオゾンに由来するオゾン濃度)=(全オゾン濃度)−(溶存オゾン濃度)
【0064】
結果を表2に示す。この表から、気液接触ユニットを用いた実施例2〜6では、気液接触ユニットを用いなかった比較例2よりも溶存オゾン濃度が格段に高いことが分かった。
【0065】
【表2】
【0066】
<殺菌試験>
上記のようにしてオゾン水噴霧試験を行った実施例2〜6及び比較例2について、以下に示す方法によって殺菌試験を行った。
被験菌として大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)を用いた。被験菌は、前培養した菌を一白金耳かきとり、SCD培地(日本製薬(株)製)に接種し、37℃で24時間振とう培養した後、遠心分離して10
7cells/mlに調整したものを0.1ml採取し、50mm×50mmのステンレス板(SUS304)の上に塗布した。オゾン水製造装置を用いてオゾン水を噴霧し1分間接触させた後、滅菌した綿棒で表面をふきとった。該綿棒を、チオ硫酸ナトリウム3.3%水溶液を添加したSCDLP培地(日本製薬(株)製)に浸漬し、付着物を十分に分散させた。37℃で48時間培養後、培養液をSCD寒天培地(日本製薬(株)製)に接種して菌の生育の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○:菌の生育が認められない。
△:少数の菌の生育が認められる。
×:多数の菌の生育が認められる。
【0067】
結果を表3に示す。この表から、大腸菌及び黄色ブドウ球菌のいずれに対しても、気液接触ユニットを用いた実施例2〜6の方が、気液接触ユニットを用いなかった比較例2よりも殺菌効果が優れていることが分かった。その理由は、気液接触ユニットを用いた場合に、溶存オゾン濃度が格段に高いからであると考えられる。
【表3】
【0068】
(実施例7〜11)
実施例1のオゾン水製造装置を用い、表4に示すように、気液接触ユニットのチューブの長さを様々に変化させた実施例7〜11のオゾン水の噴霧試験を行い、前述した方法と同様の方法で溶存オゾン濃度を求めた。また、前述した方法と同様の方法で殺菌試験を行った。
実施例7〜11についての気液接触ユニットの構成及び運転条件は表4に示すとおりであり、ビーズ23bの充填層の長さが10mm〜1000mm間で変化させている。その他の測定条件は実施例2〜6のオゾン水の噴霧試験と同様である。
【0069】
【表4】
【0070】
以上のようにして行った実施例7〜11のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。結果を表5に示す。この表から、実施例7〜11のオゾン水噴霧試験では、実施例4の場合と同様に、噴霧されたオゾン水中の溶存オゾンの濃度が高く、気液接触ユニットの存在によって、噴霧液中に溶存オゾン濃度を高められることが確認された。また、気液接触ユニットのビーズ23bの充填層の長さにかかわらず、溶存オゾン濃度を同じ程度に高めることができるという効果が確認された(このとき、充填層の長さを変えることにより、空間速度は5.2min
-1から520min
-1までの広い範囲にわたって変化した)。また、充填層の長さによらず、実施例4の場合と同様、殺菌効果を高める効果が確認された。
【0071】
【表5】
【0072】
(実施例12、13)
実施例1のオゾン水製造装置を用い、気液接触ユニットのチューブの内径を変化させ(実施例12では1mmφ、実施例4では4mmφ、実施例13では10mmφ)、オゾン水の噴霧試験を行い、前述した方法と同様の方法で溶存オゾン濃度を求めた。また、前述した方法と同様の方法で殺菌試験を行った。実施例12、実施例4及び実施例13の気液接触ユニットの構成及び運転条件を表6に示す。その他の測定条件は実施例2〜6のオゾン水の噴霧試験と同様である。
【0073】
【表6】
【0074】
以上のようにして行った実施例12、実施例4及び実施例13のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。結果を表7に示す。この表から、チューブの内径を1mmφとした実施例12、4mmφとした実施例4、10mmφとした実施例13のいずれも、高い溶存オゾン濃度を示すとともに、優れた殺菌効果を示すことが分かった。
【0075】
【表7】
【0076】
(実施例14)
実施例14では、実施例1のオゾン水製造装置を用い、気液接触ユニットのチューブの内に充填するビーズとして高密度ポリエチレンからなる4mmφのビーズに替えた。その他については実施例4のオゾン水の噴霧試験と同様である(下記表8参照)。
【0077】
【表8】
【0078】
以上のようにして行った実施例14のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。結果を実施例4の結果と共に表9に示す。この表から、気液接触ユニットのチューブの内に充填するビーズとしてガラスビーズ(実施例4)から高密度ポリエチレン(実施例14)に替えても、高い溶存オゾン濃度を示すとともに、優れた殺菌効果を示すことが分かった。ただし、溶存オゾン濃度は、ガラスビーズを用いた実施例4の方が6.0mg/Lであるのに対し、高密度ポリエチレンビーズを用いた実施例14の方が4.7mg/Lであり、ガラスビーズを用いた実施例4の方が若干高濃度となった。なお、ビーズの接触角はガラスビーズが20°であるのに対し、高密度ポリエチレンは80°であり、濡れ性に優れたガラスビーズの方が高い溶存オゾン濃度を示すとともに、優れた殺菌効果を示すことが示唆された。
【0079】
【表9】
【0080】
(実施例15〜18及び比較例3)
実施例15〜18では、実施例1のオゾン水製造装置を用い、原料水に導電率0.1μS/cmのイオン交換水に非イオン性界面活性剤を添加したものを用いた。非イオン性界面活性剤として実施例15ではプルロニックL−62((株)ADEKA製の商品名)を、実施例16〜18ではプルロニックL−64((株)ADEKA製の商品名)を用いた。ここで、プルロニックL−62及びプルロニックL−64はエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)のブロック共重合体であり、プルロニックL−62のEO重合度は10、PO重合度は30、プルロニックL−64のEO重合度は25、PO重合度は30である。
また、比較例3では気液接触ユニットが設けられていない比較例1のオゾン水製造装置を用い、原料水として導電率0.1μS/cmのイオン交換水にプルロニックL−64を添加したものを用いた。
その他の測定条件は実施例2〜6のオゾン水の噴霧試験と同様である。
【0081】
以上のようにして行った実施例15〜18及び比較例3のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。また、各実施例におけるビーズと同じ材質の板材に対する原料水による接触角の測定を行った。実施例15〜18及び比較例3のオゾン水噴霧試験の結果を実施例4の場合と共に表10に示す。この表から、原料水として非イオン性界面活性剤であるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を添加した実施例15〜18では、原料水に非イオン性界面活性剤を添加しなかった実施例4の場合と比較して、噴霧されたオゾン水中の溶存オゾン濃度が高くなることが分かった。また、気液接触ユニットが設けられていないオゾン水製造装置を用いた比較例3では、非イオン性界面活性剤であるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を添加していたにもかかわらず、噴霧されたオゾン水中の溶存オゾン濃度は低いことが分かった。
【0082】
【表10】
【0083】
<オゾン水製造試験>
実施例1のオゾン水製造装置では、上述したように、原料水に非イオン性界面活性剤を添加した実施例15〜18では、非イオン性界面活性剤を添加しない場合に比べて、噴霧されるオゾン水中の溶存オゾン濃度は高くなることが示されている。このため、非イオン性界面活性剤の種類や濃度によって、電気分解ユニット22によるオゾンの発生速度がどのように影響されるかを詳しく調べるべく、実施例1で使用した電気分解ユニット22を用い、以下に示す各種条件でオゾン水を製造し、得られるオゾン水中の溶存オゾン濃度を調べた。
【0084】
(試験例1)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−62、EO=モル10、PO=30モル)を0.005質量%となるように溶解させたものを用い、原料水を流量20mL/minで電気分解ユニット22の電解モジュール30へ供給し、0.7Aの電流で電気分解を行い、得られたオゾン水中の溶存オゾン濃度を測定した。
【0085】
(試験例2)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.001質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0086】
(試験例3)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.005質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0087】
(試験例4)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0088】
(試験例5)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王製エマルゲン1135S−70)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0089】
(試験例6)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、ポリエチレングリコールモノラウレート(花王製エマノーン1112)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0090】
(比較例4)
原料水として、純水を用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0091】
(比較例5)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.0005質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0092】
(比較例6)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.01質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0093】
(比較例7)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.1質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0094】
(比較例8)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を1.0質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0095】
(比較例9)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−71、EO=モル5、PO=35モル)を0.008質量%となるように添加したものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。なお、L−71は原料水に完全には溶解せず、添加後の原料水は白濁した。
【0096】
(比較例10)
原料水として、純水に陰イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(花王製エマール20C)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0097】
(3)評 価
1)オゾン濃度測定
吐出されたオゾン水を採取後、ヨウ素滴定法により溶存オゾン濃度を測定した。オゾン濃度の測定結果を表11に示す。
【0098】
【表11】
【0099】
表11の結果から、非イオン性界面活性剤を0.001質量%以上0.01質量%未満で溶解させた試験例1〜試験例6では、原料水が純水のみ(比較例4)の場合と比較して、明らかに溶存オゾン濃度が高いオゾン水が得られることが分かった。特に、非イオン性界面活性剤としてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を用いた試験例1〜4では、溶存オゾン濃度の高いオゾン水を得ることができた。
一方、陰イオン性界面活性剤を用いた比較例10では、純水のみの比較例4と比較してオゾン濃度が低下した。
また、非イオン性界面活性剤の添加量を0.001質量%未満とした比較例5では、純水のみの比較例4とほぼ同等の溶存オゾン濃度であり、0.01質量%以上とした比較例6〜8では、純水のみの比較例4と比較して溶存オゾン濃度が低下した。さらに、非イオン性界面活性剤が完全には溶解せずに白濁した比較例9においても、純水のみの比較例4と比較して溶存オゾン濃度が低下した。
【0100】
2)殺菌効果試験
試験例1〜6及び比較例4〜10のオゾン水、並びに水道水について、手指を対象とした殺菌試験を実施した。オゾン水又は水道水の50mLを手指に噴きかけ、30秒間待った後、手指の表面をウエスでふき取り、SCDLP寒天培地を用いてスタンプ試験を行った。採取した菌は、インキュベーターを用いて35℃で24時間培養し、コロニー数をカウントした。結果を表12に示す。表12における「ND」は未検出の意味である。なお、オゾン水又は水道水を手指に噴きかけないで、そのまま手指の表面をウエスでふき取り、SCDLP寒天培地を用いてスタンプ試験を行ったものをブランクとした。
【0101】
3)殺菌対象物表面のべたつき感触試験
試験例1〜6並びに比較例4〜10のオゾン水を5名のモニターの手指にそれぞれ50mL噴きかけ、1分間待った後、手指のべたつき感の有無を評価した。その結果を表12に示す。5名全員がべたつき感を感じた場合は「5/5」、5名全員がべたつき感を感じなかった場合は「0/5」と表記した。
【0102】
【表12】
【0103】
表12より、菌数については、ブランクでは1000cfu/10cm
2以上の菌が検出されたが、試験例1〜6では未検出又は3cfu/10cm
2以下となり、比較例4〜10と比べ良好な結果となった。
また、試験例4〜10では、殺菌効果が高く、かつ、べたつき感も感じられないことが示された。