特許第6170266号(P6170266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170266オゾン水製造装置、オゾン水製造方法及びオゾン水を用いた殺菌方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6170266
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】オゾン水製造装置、オゾン水製造方法及びオゾン水を用いた殺菌方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/46 20060101AFI20170713BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20170713BHJP
   C25B 1/13 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   C02F1/46 Z
   A61L2/18 100
   C25B1/13
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-60235(P2017-60235)
(22)【出願日】2017年3月25日
【審査請求日】2017年3月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000234166
【氏名又は名称】伯東株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118706
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 陽
(72)【発明者】
【氏名】阿野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】関戸 広太
(72)【発明者】
【氏名】塩川 直利
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−125628(JP,A)
【文献】 特開2016−147265(JP,A)
【文献】 特開2004−223441(JP,A)
【文献】 実開平05−044288(JP,U)
【文献】 特開平06−313194(JP,A)
【文献】 特開平11−047771(JP,A)
【文献】 特開2016−137423(JP,A)
【文献】 特開2008−127583(JP,A)
【文献】 特開2008−073604(JP,A)
【文献】 特開2007−152185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46 − 1/48
A61L 2/18
C25B 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解してオゾンガスと電解液との混合物とする電解工程と、
該オゾンガスと電解液との混合物を非水溶性の粒子が充填された気液接触ユニットに流通させるオゾンガス溶解工程と、
を備え、
前記水には水溶性の非イオン性界面活性剤が0.001質量%以上0.01質量%未満含まれており、
前記水溶性の非イオン性界面活性剤はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体であり、
前記エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体における該エチレンオキサイドの重合度は10以上30以下であり、該プロピレンオキサイドの重合度は10以上40以下であり、(該エチレンオキサイドのモル数)/(該プロピレンオキサイドのモル数)の値は0.3以上1以下であることを特徴とするオゾン水製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオゾン水製造方法によってオゾン水を製造し、該オゾン水を殺菌対象物に接触させることを特徴とする殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水製造装置、オゾン水製造方法及びオゾン水スプレー装置並びにオゾン水による殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工業用、民生用などの幅広い分野において、除菌・殺菌・消臭対策のニーズが非常に高まっており、その対策製品が多く市場に出回っている。しかしながら、それらの製品は何らかの化学物質を使用した製品であるため、人体への悪影響や環境負荷の影響が懸念されており、市場に浸透している製品においても化学物質の危険性が発覚し、米国FDA(アメリカ合衆国食料医薬品局)にて販売中止を命じられた実例もある。
【0003】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系材料における除菌用途の効力向上の報告が多くあるが、塩素系殺菌剤の多量使用により各種の弊害が発生している。例えば大量に食材を取り扱う工場、小売店では消毒効果の高くするため100ppmを超える次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄を行っており、これが食材の味を損なうのみならず、発癌性のトリハロメタン生成による人体危険性を増大させることが問題視されている。これらの例からも、高い除菌・殺菌効果が必要であると同時に安全かつ低環境負荷な製品が望まれている。
【0004】
一方、オゾン水は日本国内において食品添加物リストに登録されており、米国のFDAでも食品貯蔵、製造工程での殺菌剤として2001年に認可されている。オゾン水は、食品を取扱う現場や医療現場等の適用において、塩素系材料と同等以上の除菌・殺菌効果を有し、かつ、人体に係る安全性や環境に対する負荷が低いことが注目されている。
【0005】
オゾン水のメリットとしては、下記が挙げられる。
1)オゾン水の殺菌効果は細胞壁の酸化破壊であり無差別性のため耐性菌が存在しないといえる。
2)塩素系材料と比較すると除菌・消臭効果が高い。
3)オゾンは短時間で酸素に変換されるため、残留性がない。このため、オゾン水を用いて除菌・殺菌を行ったとしても、廃水中のオゾン濃度は、時間の経過とともに急速に減少する。
【0006】
オゾン水の製法としては次の2つの方法が知られている。すなわち、放電型のオゾンガス発生器を用いて製造する方法(以下、「放電法」という)と、水の電気分解を利用してオゾン水を製造する方法(以下、「電解法」という)である。
【0007】
放電法は、浄水処理、食品洗浄分野で利用されているが、下記理由より瞬時応答性に優れた小型の高濃度オゾン水製造装置の作製は難しい。
1)オゾンをいったんガスとして発生させ、その後、水に溶解させる2つの工程を必要とすること。
2)後述する電解法に比較して濃度が低いため高圧下で水中に注入し、溶解させ、製造する必要があること。
3)発生電源が高電圧・高周波のため、小型化しにくいこと。
4)放電によるオゾン水生成装置では、オゾンガス発生能力が安定するまで時間(数分間の待機時間)を要し、瞬時に一定濃度のオゾン水を調製することが困難であること。
【0008】
これに対して、電解法は高濃度のオゾン水が容易に得られ、原理的に直流低圧電源を用いるため、瞬時応答性及び安全性に優れている。こうした長所から、電子部品洗浄などの特殊分野で汎用されている。また、医療現場やクリーンルーム等での素材、器具や手指の除菌、殺菌用に用いるハンディで小型のオゾン水スプレー装置としての利用が期待されており、例えば、特許文献4には電池で駆動する、持ち運び可能な簡易型オゾン水スプレーが開示されている。
【0009】
また、特許文献5には、オゾンを溶解させるための水が流される多数の多孔質管であって互いに間隙を明けて管束を形成するように設けられた多孔質管と該多孔質管の両端が結合される管板と該管板が取り付けられ前記管束を囲うように設けられオゾンガスが入れられる胴体とを備えたオゾン溶解装置において、前記胴体と前記管束との間隔部分に前記間隙より大きい寸法の粒状体を充填したことを特徴とするオゾン溶解装置が開示されている。
【0010】
この装置によれば、胴体と管束との間隔部分に多孔質管の間隙より大きい寸法の粒状体を充填しているので、粒状体は、管束の外周多孔質管の間から管束の中に入ることなく、間隔部分に存在することになる。その結果、胴体内に入れられたオゾンガスは、間隔部分において粒状体の抵抗が十分大きくなる管束の長さ方向に進行することなく、粒状体の抵抗の少ない間隔部分の幅方向である管束の内部方向に進行することになる。そして、管束内において多孔質管の長さ方向に進行しつつ、多孔質管の微細な多孔内に進入し、効率的に管内の水と接触することになる。また、間隔部分が粒状体で占拠されているので、導入されたオゾンガスは多孔質管の近傍にのみ存在することになり、オゾンガスと水との接触率が高くなる。このため、高濃度のオゾン水を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−253803号公報
【特許文献2】特開2001−342496号公報
【特許文献3】特開2002−145710号公報
【特許文献4】特開2006−346203号公報
【特許文献5】特開2001−293341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、本発明者らの試験結果によれば、特許文献4の簡易型オゾン水スプレーでは、陽極で発生したオゾンはガス状態であるため、液中に充分に溶存することはなく、大部分はオゾンガスの状態で噴射されることが分かった。このため高濃度のオゾン水を噴射することはできなかった。また、オゾンガスは日本国内では産業衛生学会において許容濃度0.1ppm、米国ではFDAにて許容濃度0.05ppmの基準が設けられており、低濃度での濃度管理が必要であるため、オゾンガスの発生が多い場合、人体に対する安全面への懸念が発生すると共に、使用目的であるオゾン水の生成効率が低下することが分かった。
【0013】
さらには、この簡易型オゾン水スプレーの使用において、高い濃度のオゾン水を得るためには、より高電圧での使用が必要なため、高電圧使用による安全面の懸念が発生すると共に、電池の消費電力が極めて高くなることから、長期使用ができず実用的でないことが分かった。
【0014】
一方、特許文献5のオゾン溶解装置は、多孔質管で構成される管束、該多孔質管の両端が結合される管板及び該管板が取り付けられ前記管束を囲うように設けられる胴体からなり、構造が複雑であった。また、オゾンガス製造装置及びオゾンガス製造装置からオゾンガスを該オゾン溶解装置に導入する装置が必要であった。このため、持ち運び可能な程度に小型化することは困難となっていた。
【0015】
本発明は、上記従来の課題に鑑み成されたものであり、高濃度のオゾン水が得られ、小型化も容易なオゾン水製造装置及びオゾン水製造方法並びにオゾン水による殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、電解法によるオゾン水の製造において、電気分解によって生成したオゾンガスや酸素ガスや水素ガスの混合ガスと電解液との混合物を非水溶性の粒子が充填された気液接触ユニットに通過させることにより、オゾンガスの電解液への溶解が促進され、高濃度のオゾン水を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、水が流れる流路と、該流路に設けられた一対の電極と、該電極に電力を供給する直流電源とを備え、該電極の下流側の該流路には、非水溶性の粒子が充填された気液接触ユニットが設けられていることを特徴とする。
【0018】
前記気液接触ユニットの下流側に噴霧ノズルを設けることもできる。こうであれば、高濃度のオゾン水を殺菌しようとする対象物に吹き付けることにより、簡単に殺菌を行うことができる。
【0019】
本発明のオゾン水製造方法は、水を電気分解してオゾンガスと電解液との混合物とする電解工程と、該オゾンガスと電解液との混合物を非水溶性の粒子が充填された気液接触ユニットに流通させるオゾンガス溶解工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のオゾン水製造方法では、電気分解される水には0.001質量%以上0.01質量%未満という微量の水溶性の非イオン性界面活性剤が含まれていることが好ましい。ここで「水溶性」とは、常温(25℃)で電気分解する場合において非イオン性界面活性剤が水相と分離して別の相をなしたり、水相中に溶解せずに白濁して分散したりする場合を含まないことを意味する。この微量の水溶性の非イオン性界面活性剤の影響で、この方法で製造されたオゾン水には、単なる水を電気分解して製造したオゾン水よりもオゾン濃度が顕著に高くなる。このため、少ない電力で高い濃度のオゾン水を製造することが可能となる。また、水溶性の非イオン性界面活性剤は含まれているものの、その濃度は0.001質量%以上0.01質量%未満という極めて低濃度であるため、殺菌後において殺菌対象物表面に非イオン性界面活性剤が残っても、シミやべたつき等の原因となることはほとんどない。さらには非イオン性界面活性剤の濃度は極めて低いため、COD等の環境への影響も小さいものとなる。
【0021】
水溶性の非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体であることが好ましい。特に好ましいのは、前記エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体における該エチレンオキサイドの重合度は10以上30以下であり、該プロピレンオキサイドの重合度は10以上40以下であり、(該エチレンオキサイドのモル数)/(該プロピレンオキサイドのモル数)の値は0.3以上1以下である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のオゾン水製造装置及びオゾン水製造方法を用いることにより、高濃度のオゾン水を簡便に製造することができる。また、本発明のオゾン水製造装置によれば、気液接触ユニットが設けられているため、ガス状態で排出されるオゾンの電解液への溶解が促進されるため、ガス状態のオゾン濃度を低減することとなる。このため、人体に係る安全性が高く、環境に対する負荷が低い。また、本発明のオゾン水製造装置において、気液接触ユニットの下流側に噴霧ノズルを設ければ、生成したオゾン水を噴霧することができるため、医療現場やクリーンルーム等での素材、器具や作業者の手指の除菌、殺菌用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1のオゾン水製造装置の模式図である。
図2】実施例1のオゾン水製造装置の模式断面図である。
図3】実施例1のオゾン水製造装置における電解モジュール部分の拡大図である。
図4】実施例1のオゾン水製造装置における気液接触ユニット部分の拡大図である。
図5】比較例1のオゾン水製造装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のオゾン水製造方法において、原料となる水には特に限定はなく、一般の水道水や、それを浄水器に通した浄水等を使用できるが、より高濃度のオゾン水を得る観点からは、蒸留水や逆浸透膜(RO膜)やイオン交換膜を通して調製したイオン交換水等の純水を主原料とすることが好ましい。原料水の導電率は1μS/cm以下が好ましく、更には0.1μS/cm以下がより好ましい。
【0025】
原料水の温度は、0℃以上60℃未満とすることが好ましく、さらには0℃以上40℃未満とすることが好ましい。原料水の温度が40℃を超えるとオゾンガスの水に対する溶解度が低下するため、生成したオゾン水のオゾン濃度が低下する。また原料水の温度が0℃より低いと氷結のおそれがある。
【0026】
また、電極の構造については特に制限はないが、原料水の電気伝導度が低い場合には、オーム損による電力の無駄な消費を低減させるために、電極間に固体電解質を挿入する構造とすることが好ましい。また、電気分解を行うための陽極には、白金、二酸化鉛、導電性ダイヤモンド等の、一般にオゾン発生用電極として用いられている電極を使用できるが、電極のオゾン発生能力や、溶出した際の安全性により、導電性ダイヤモンドを使用することが好ましい。この場合、ダイヤモンドは陽極の一部に存在すればよく、ダイヤモンドを固定している基材の一部が露出していても支障はない。基材としてはSi(単結晶,多結晶)のみならず、Nb、Ta、Zr、Tiや、Mo、W、黒鉛、各種カーバイドなどが使用可能であり、用途によって選択できる。メッシュやパイプ、棒、ビーズなど従来汎用されている任意形状の基材表面へ陽極材料を担持できる。
【0027】
また、固体電解質としては、プロトン伝導性のある固体電解質膜を用いることが好ましい。固体電解質膜の材質は、フッ素樹脂系、炭化水素樹脂系のいずれでも良いが、オゾンや過酸化物耐食性の面で前者が好ましい。固体電解質膜は、陽極、陰極で生成した物質が反対の電極で消費されるのを防止するとともに、原料水の電導度が低い場合でも電気抵抗が小さくなり、電気分解反応を速やかに進行させる機能を有するため、伝導性の低い純水等を原料水として利用する場合には、特に効果的である。固体電解質膜としては、Dupont社のNafion(登録商標)等が使用できる。
【0028】
また、固体電解質として、固体のイオン交換能を有する多孔性材料を電極間に充填してもよい。こうした多孔性材料として、例えば、イオン交換樹脂が挙げられる。イオン交換樹脂としての炭化水素系樹脂としてはスチレン系、アクリル酸系及び芳香族系の重合体等があるが、耐食性の面からはフッ素樹脂系のイオン交換樹脂が好ましい。また、固体のイオン交換能を有する多孔性材料を支持する部材として、イオン交換能を有する成分を形成することも可能である。ウェブ状に繊維化した材料も利用しやすい。固体のイオン交換能を有する多孔性材料の空隙率としては、原料水の移動容易性及び電気抵抗の低減を考慮し、20〜90%が好ましく、孔の径及び粒子径は0.1〜10mmが好ましい。
【0029】
本発明のオゾン水製造方法において、陰極での電極反応は主として水素発生であるため、陰極の材料としては、水素に対して脆化しない電極触媒の使用が好ましい。例えば、白金族金属、ニッケル、ステンレス、チタン、ジルコニウム、金、銀、カーボン等が使用できる。
【0030】
陽極、陰極及び固体電解質の形状や相互の位置関係はオゾン水生成に支障が生じない限り特に限定されない。棒状の陽極を使用し、固体電解質としてイオン交換膜を用いる場合は、原料水の流れを確保するため、イオン交換膜を幅1〜10mmの帯状とし、これを間隔1〜10mmに保ちつつ、前記棒状陽極に螺旋状に配置し巻きつけることが好ましい。この場合、陰極は線状とし、帯状のイオン交換膜から成る隔膜の陽極と反対側に接触させる。
【0031】
電極の形状は平板でもよいが、固体電解質を使用する場合には原料水を流通させる開口を有することが好ましく、溝か孔加工を施すことが好ましい。また、電極が平行平板であれば、生成するガス成分の除去のため、及び、原料水を供給するために、固体電解質を多孔性にすることが好ましい。
【0032】
本発明のオゾン水製造装置では、陰極及び固体電解質からなる電解モジュールに、必要に応じて設備されるカバーや供給された原料水の逆流を防止する逆止弁等を設けることも好ましい。こうしたカバーや逆止弁の材料は、電気分解反応時に発生するオゾンや過酸化物と接触するため、耐酸化性に優れた材料の使用が好ましい。電解モジュールとしては、例えばデノラ・ペルメレック(株)社製のスパイラル式ダイヤモンド電極 型番:Y5672が挙げられる。
【0033】
本発明において電気分解時に印加する電圧や電流の大きさは、消臭あるいは殺菌、洗浄等の生成したオゾン水の使用目的や必要濃度、電気分解される溶液の容積等に応じて、適宜定めることが好ましい。電源としては直流電源を使用する。その際、定電圧駆動が好ましく、印加する電圧は1〜50V、より好ましくは5〜20Vである。印加電圧が1Vよりも低いとオゾンの発生が行われず、50Vを超えると電極の消耗が顕著となるのみならず、ガス発生量が増大することにより電解抵抗が上昇し、発熱による温度上昇が顕著となる。断続的に直流が流れるパルス電源を用いてもよい。
【0034】
電気分解の際の電流密度は0.01〜1A/cmとすることが好ましい。陽極と陰極との電極間距離は、抵抗損失を低下させる観点からはなるべく小さくすべきであるが、水を供給する際の圧力損失を小さくし、流れ分布を均一に保つために0.1〜5mmにするのが好ましい。生成した過酸化物の安定性や電解モジュールへの影響から、電気分解時の温度は0℃以上60℃未満とすることが好ましい。
【0035】
本発明のオゾン水製造装置に用いる気液接触ユニットは、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ステンレス鋼、ガラス等のオゾンガスに不活性な材質からなる流路に、粒子が充填されているものが好ましい。該流路の形状は特に限定されず、断面が円形や方形のチューブ、板に溝や有底穴を形成してからカバーを被せて流路としたもの等を用いることができる。電気分解ユニットにおいて電気分解されて生成した電解液及び電極反応で生成したオゾンや水素や酸素の混合ガスとの混合物は、気液接触ユニットに導入されるが、これら混合物を気液接触ユニット内の粒子が充填された層を通すことにより、電解液へのオゾンガスの溶解が促進され、オゾン水中のオゾン濃度が高められる。
【0036】
気液接触ユニットに充填する粒子は直径0.05mm〜3mmが好ましく、直径0.1mm〜1mmが更に好ましい。粒子の直径が0.05mm未満の場合は配管内の送液抵抗が高くなり、高能力の送液ポンプが必要となる。また、粒子の直径が3mmより大きいと粒子間の隙間が大きくなるため接触面積が小さくなり、オゾン水濃度の向上が得られない場合がある。粒子の形状としては圧損を少なくする観点から球状が好ましい。なお、ここでいう粒子の直径は平均の粒子径値であり、個々の粒子の直径は平均値の両側に一定のバラツキをもって分布していることは通常である。
【0037】
気液接触ユニット内の粒子の充填層を通過するオゾン水の空間速度は、0.2min-1以上12000min-1以下であることが好ましく、0.5min-1以上6000min-1以下であることが更に好ましい。空間速度が0.2min-1未満の場合は、流量に対しての粒子容積が極めて大きく、気液接触ユニットのサイズに見合ったオゾン水濃度の向上が得られない、また、生成したオゾン水が噴霧ノズルから噴射するまでの時間が極めて長くなるため、オゾンを含有しない原料水が長時間噴射される場合がある。また、空間速度が12000min-1を超える場合は、オゾンガスが電解液に十分溶解する前に粒子充填層を通過してしまう可能性があるため、オゾン水濃度の向上が得られないと同時に、高濃度のオゾンガスが噴射される恐れがある。
【0038】
気液接触ユニットに用いる粒子の材質は、オゾンに不活性な材料であれば金属、ガラス、セラミックス、樹脂等、特に限定はなく、ガラスビーズ等を使用できる。また、原料水に対しての接触角が90°以下、更には45°以下の材質を使用することが望ましい。この理由は明確ではないが、原料水に対して濡れ性が高い場合、原料水が粒子表面に沿って薄膜状に流れる事から、気液間の接触面積を増大させ気液相間の物質移動が迅速に効率良く行われる事が影響していると考えられる。
【0039】
また、電解液と粒子の濡れ性を高めるために、原料水中に水溶性の非イオン性界面活性剤を含有させても良い。ここで「水溶性」とは、常温(25℃)で電気分解する場合において非イオン性界面活性剤が水相と分離して別の相をなしたり、水相中に溶解せずに白濁して分散したりする場合を含まないことを意味する。水溶性の非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体であることが好ましい。特に好ましいのは、前記エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体における該エチレンオキサイドの重合度は10以上30以下であり、該プロピレンオキサイドの重合度は10以上40以下であり、(該エチレンオキサイドのモル数)/(該プロピレンオキサイドのモル数)の値は0.3以上1以下である。その濃度は0.001質量%以上0.01質量%未満が好ましい。
本発明者らの検討によると、粒子を充填した気液接触ユニットに非イオン性界面活性剤を含有する原料水から生成する電解液を通液した場合のオゾン水濃度の向上は、該気液接触ユニット単独又は非イオン性界面活性剤含有単独のそれぞれのオゾン水濃度の向上に比べて相乗的な向上効果が認められた。
【0040】
本発明のオゾン水製造装置の気液接触ユニットに送液するためにポンプを使用する場合、ポンプの種類には限定はないが、気液接触ユニットの粒子充填層において所定の空間速度が得られるように適宜選択する。小型の簡易型高濃度オゾン水スプレー装置に適用する場合は、オゾン水を安定して連続的にスプレーするために無脈動ポンプがより好ましい。また、送液ポンプの接液部の材質はオゾンに不活性な材料であれば金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0041】
また、本発明のオゾン水製造装置を構成する各ユニットを接続する配管の材料は、オゾンに不活性な材料であれば金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0042】
その他、本発明の小型オゾン水製造装置に搭載可能な以下のような機能が挙げられる。
電気分解発生サイン、電池の充電レベル、電極の交換サイン、電極クリーニング中のサイン等をLEDの点灯、点滅や色によって表示する事が可能である。
また、リチウムイオン電池等の充電式2次電池を用いた場合は、小型オゾン水製造装置を置くだけで充電できる置き型充電器を利用できる。充電方式は、接触式、電磁誘導型の非接触式の充電方式でも良い。また、電池を取り外して充電器にセットして充電しても良い。
また、本発明の小型オゾン水製造装置を長期使用した場合、電気分解ユニットの電極が種々の汚染により電極抵抗が上昇し、所定の電流値が得られない可能性がある。そのため、陽極、陰極を逆転させて電気分解反応を行う事により、電極をクリーニングすることが可能となる。
【0043】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
実施形態1のオゾン水製造装置は、図1に示すように、タンク1内に水2が貯留されており、タンク1は配水管6を介してポンプ3に接合されている。配水管6が流路である。配水管6の途中にはチューブ状の電解セル5が設けられており、電解セル5内に陽極8及び陰極10が対面して設けられており、陽極8と陰極10との間にはイオン交換膜から成る隔膜9が挿入されている。陽極8及び陰極10は直流電源7に接続されている。
【0044】
電解セル5の下流側には気液接触ユニット11が設けられており、気液接触ユニット11はチューブ11aの内部の両端近傍に一対のメッシュ11b、11cが嵌め込まれており、メッシュ11b、11c間にメッシュの隙間を通過できない径の粒子11dが充填されている。メッシュ材質はオゾンに不活性な材料であればその他の制限はなく、例えばステンレス等の金属メッシュで良い。また、最密充填された粒子11dからなる粒子充填層の直径はチューブ11aの内径に等しくなる。気液接触ユニット11のさらに下流側にはポンプ3が設置されている。なお、ポンプ3の設置位置は、気液接触ユニット11の下流に限らず、タンク1中の配管6の先端や、タンク1と電解セル5の間や、又は電解セル5と気液接触ユニット11の間に設置しても良い。
【0045】
また、チューブ11aが長くなる場合は、螺旋状(スパイラル状)にして束ねたり、チューブを途中で分岐させて複数の粒子充填配管を通った後に合流させても良い。
【0046】
以上のように構成された実施形態1のオゾン水製造装置では、ポンプ3を駆動させることにより、タンク1内の水2が配水管6の途中に設けられた電解セル5内に流入する。さらに直流電源7によって陽極8と陰極10との間に電圧を印加することにより、電解セル5内に流入した水2は、陽極8上で電気化学的に酸化されてガス状の酸素やオゾンが発生するとともに、陰極10上で電気化学的に還元されて水素が発生する。その結果として電解セル5内に流入した水2は、電解液と水素ガスと酸素ガスとオゾンガスとが混合した、気液混合物の状態となって気液接触ユニット11内に流入する。なお、陰極と陽極とをイオン交換膜から成る隔膜で遮断する構造とすることにより、陰極で発生した水素ガスが陽極で発生した酸素ガスやオゾンガスと混合しないようにし、酸素ガス及びオゾンガスからなる気体と電解液との気液混合物を気液接触ユニット11内に流入させることも可能である。ここで、気液接触ユニット11内には非水溶性の粒子11dが充填されているため、気液混合物は粒子11dどうしの間の狭い隙間を複雑な網目状に通過することとなる。このため、オゾンガスは電解液と極めて広い接触面積で接触するとともに、複雑な乱流が生じて混合撹拌されることとなり、オゾンガスの電解液への溶解が促進され、電解液中のオゾン濃度が上昇する。このため、気液接触ユニット11から流出した電解液中に溶存するオゾン濃度は、気液接触ユニット11に流入する前に比べて高い濃度となる。
【0047】
実施形態1のオゾン水製造装置におけるタンク1は、装置に固定されていてもよいが、装置から着脱が可能なカートリッジ式のタンクであってもよい。装置固定のタンクである場合には、タンクに設けられた注水口から原料水を注水して使用してもよい。また、カートリッジ式のタンクの場合には、装置から取り外したタンクに原料水を注水した後、装置に取り付けて使用することができるため、便利である。カートリッジ式のタンクの場合は、原料水が既に注入されて密閉して封印さているディスポーザルのカートリッジボトルを用意し、装置の原料水が無くなったら、空のタンクは装置から取り外し、原料水入りのカートリッジタンクを装置に取り付ける事も可能である。このディスポーザルのカートリッジタンクは、タンクの口を開いてから装置に取り付けても良いし、密閉タンクを装置に取り付ける際に、構造的にカートリッジタンクの口が開いて装置に注水できる構造にしても良い。
【0048】
タンクの材質は樹脂、金属、ガラス、セラミック等、様々な材質のものを用いることができ、特に限定はされないが、持ち運びの観点からは、より軽量な樹脂性が望ましい。更には、ディスポーザルのカートリッジタンクにする際には、原料水を充填後にオートクレーブによる滅菌処理やガンマ線による滅菌処理をする事が望ましく、一般的なオートクレーブ処理による滅菌条件(例えば121℃、15分)に対して耐熱性がある材料が望ましい。また、タンクは原料水やオゾン水に対して耐薬品性があるものが望ましく、耐熱性のポリプロピレン等が材料としては好ましい。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
実施例1のオゾン水製造装置は、医療現場やクリーンルーム等の素材、器具や作業者の手指等の除菌・殺菌を目的とするハンディタイプのオゾン水製造装置であり、図2に示すように、原料水を入れる略円筒形状のボトル21と、ボトル21内に上端を除いて挿入された電気分解ユニット22と、電気分解ユニット22から流出する電解液とオゾンを含むガスとが流入する気液接触ユニット23とが、スプレー筐体24内に収容されており、総重量は400gである。スプレー筐体24の下部は略円筒形状であり、上端近傍で縮径されており、それよりも上の部分では再び拡径しており、縮径された部分を握ることにより、容易に手で把持することができるようになっている。拡径部分の内部の上端には、ダイヤフラム式の送液ポンプ25が収納されており、径外方向に噴霧可能に取り付けられた噴霧ノズル26に送液可能とされている。
【0050】
ボトル21の容量は200mlで、上端に縮径された開口部21aが設けられており、開口部21aは蓋21bによってネジ構造により開閉可能とされており、蓋21bはパッキン39に挿入することによってボトル21と共に固定されるようになっている。ボトル21及び蓋21bは高耐熱性のポリプロピレン製であり121℃で15分間のオートクレーブ滅菌処理が可能である。蓋21bには電気分解ユニット22が同軸で脱着可能に取り付けられており、電気分解ユニット22の上端は蓋21bから上方に突出している。また、ボトル21の底は底蓋27によって覆われており、これによってスプレー筐体24内に収められている。底蓋27は図示しないロック機構によって開閉可能とされている。
【0051】
電気分解ユニット22の外殻は略円筒形状の細長いユニットカバー22aからなり、ユニットカバー22aの最下端にはボトル21内の原料水が流入するための吸水口28が設けられている。吸水口28の少し下流側には逆止弁29が設けられており、さらにその下流側には電解モジュール30が挿通されている。電解モジュール30はデノラ・ペルメレック(株)社製のスパイラル電極(型番:Y5672)であり、図3に示すように、導電性ダイヤモンド触媒を担持した金属棒である陽極30aの周囲に、イオン交換膜から成る隔膜30bの帯を巻き、この隔膜30bの周囲にステンレス線から成る陰極30cを巻き付けて構成されている。なお、図3では陽極30aの周囲に巻き付けた隔膜30bの間隔が一定になっていないが、等間隔にしても良い。また、陽極30a及び陰極30cは、ボトル21下端とスプレー筐体24下端との間に設置されたリチウムイオン電池31に接続されている(図2参照)。さらに、リチウムイオン電池31と両電極との間には電圧を調整することができる回路基板32が挿入されており、両電極30a,30bへの電圧の印加のON-OFFは、スプレー筐体24の縮径部分に取り付けられた電源スイッチ33によって可能とされている。
【0052】
また、このオゾン水製造装置は、不使用時には載置台36に載せられており、載置台36内部には電磁誘導コイル36aが設けられている。さらに、底蓋27内には電磁誘導コイル27aが載置台36内の電磁誘導コイル36aに対面する位置で設けられており、電磁誘導コイル36aに接続されたプラグ37を図示しないコンセントに差し込むことにより、電磁誘導によってリチウムイオン電池31が充電されるようになっている。また、スプレー筐体24の側面にはLED38a、38b取り付けられており、回路基板32から発せられる電気信号によって、電気分解によるオゾン水の生成中であるか否かの区別や、電池残量、電極交換サイン、電極クリーニングサイン(陽極、陰極を逆転させて電気分解反応を行うサイン)を示すことが可能とされている。
【0053】
電気分解ユニット22の上端にはポリプロピレン製の接続配管34の一端が接続されており、接続配管34の他端は気液接触ユニット23内に螺旋状に束ねて設けられたシリコン樹脂製のチューブ23aの一端に接続されている。図4に示すように、チューブ23a内にはビーズ23bが充填されており、ビーズ23bからなる充填層の両端は、ステンレス製のメッシュ板23cが設置されており、ビーズ23bは最密充填された状態で固定されている。
【0054】
図2に示すように、チューブ23aの他端はポリプロピレン製の接続配管35に接続されており、接続配管35の途中には送液ポンプ25が設けられており、他端が噴霧ノズル26に接続されている。
【0055】
次に、実施例1のオゾン水製造装置の使用方法及び作用・効果について説明する。
(原料水の充填)
使用者は、実施例1のオゾン水製造装置を手に持ち、底蓋27のロック機構を外して底蓋27を外し、ボトル21を取り出す。そして、蓋21bを外して精製水を注入し、蓋21bを締めた後、再びボトル21を元の位置に設置し、底蓋27を閉めてロック機構によってロックする。
【0056】
(オゾン水の噴霧)
上記のようにして原料水を充填したボトル21をセットした装置のスプレー筐体24のくびれ部分を把持し、噴霧ノズル26の噴霧方向が殺菌しようとする部材に向かうようにした状態で、電源スイッチ33を押してON状態とする。
これにより、送液ポンプ25が駆動し、吸水口28から原料水が流入し、電気分解ユニット22内に送液されるとともに、リチウムイオン電池31から電気分解ユニット22の陽極30a及び陰極30c間に電圧が印加される。これにより、陽極30aでは酸素ガス及びオゾンガスが発生し、陰極30cでは水素ガスが発生し、電極反応によって生成した電解液と共に気液混合物の状態となって気液接触ユニット23内に流入する。ここで、気液接触ユニット23内には図4に示すように、ビーズ23bが充填されているため、気液混合物はビーズ23bどうしの間の狭い隙間を複雑な網目状に通過することとなる。このため、オゾンガスを含む混合ガスは電解液と極めて広い接触面積で接触するとともに、複雑な乱流が生じて混合撹拌されることとなり、オゾンガスの電解液への溶解が促進され、電解液中のオゾン濃度が上昇する。このため、気液接触ユニット23から流出した電解液中に溶存するオゾン濃度は、気液接触ユニット23に流入する前に比べて高い濃度となる。こうして生成した高濃度のオゾン水は接続配管35を通って噴霧ノズル26から噴霧される。
【0057】
(比較例1)
比較例1のオゾン水製造装置は、図5に示すように、実施例1のオゾン水製造装置(図2参照)における気液接触ユニット23を取り外し、電気分解ユニット22の流出側の出口から接続配管34を介して直接、送液ポンプ25に接続された構造となっている。その他の構成は実施例1のオゾン水製造装置と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
(実施例2〜6及び比較例2)
<オゾン水噴霧試験>
実施例1及び比較例1のオゾン水製造装置を用い、原料水として導電率0.1μS/cmのイオン交換水を用い、スプレー速度を40ml/minとしてオゾン水噴霧試験を行った。なお、噴霧の前には陽極と陰極の印加電圧を逆転する電極クリーニングを実施した。また、噴霧液を受けるビーカーは事前に中性洗剤で洗った後、精製水で洗い、最後に噴霧液で共洗いを充分行ってから、測定を行った。また、全ての試験は0.7Aの電流で電気分解を行った。
実施例2〜6についての気液接触ユニットの構成及び運転条件は表1に示すとおりであり、ビーズ23bの粒子径が異なっている。
【0059】
【表1】
【0060】
なお、ビーズ23bの材質と同じソーダガラスの板材について測定した水に対する接触角は20°であった。測定方法の詳細は以下のとおりである。
3×7cmのソーダガラスの板を用意し、接触角計(協和界面科学(株)製、CA−DT・A型)のステージにセットし、平板上より平板に垂直に使用する原料水を1ml滴下し、平板上に滴下された液滴の接触角を、接触角計を用いて測定した。測定は、同様の測定を3度測定しその平均値を記録した。
【0061】
<全オゾン濃度及び溶存オゾン濃度の測定>
上記のようにしてオゾン水噴霧試験を行った実施例2〜6及び比較例2について、以下に示す方法によって全オゾン濃度及び溶存オゾン濃度の測定を行った。
(全オゾン濃度の測定)
全オゾン濃度の測定はJIS K0102−2016の33.3よう素滴定法に準拠して測定した。すなわち、よう化カリウム水溶液10mlを入れた上記洗浄済みガラスビーカーに、オゾン水製造装置からオゾン水をビーカー内に噴霧してよう化カリウムと反応させ、遊離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、オゾン濃度を定量した。この方法により、オゾン水とオゾンガスの合計量のオゾン濃度(全オゾン濃度)を定量した。
【0062】
(溶存オゾン濃度の測定)
溶存オゾン濃度の測定は次の方法により行った。
立垂させたガラス板へ対して垂直方向からオゾン水を噴霧し、ガラス板を伝って落下するオゾン水を空のビーカー内に採取した。なお、オゾン水噴霧中はオゾン水がビーカー外に飛ばされない程度に横からエアーを流すことによってオゾンガスを吹き飛ばし、オゾンガス由来のオゾンがビーカー内に入ることを防止した。こうしてオゾン水が10ml採取できたら、次に、3秒以内によう化カリウム水溶液10ml入りの上記洗浄済みガラスビーカーに注いでよう化カリウムと反応させ、遊離したよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、オゾン濃度を定量した。
【0063】
(ガス状のオゾンに由来のオゾン濃度の算出)
次の算出式によってガス状のオゾンに由来のオゾン濃度を算出した。
(ガス状のオゾンに由来するオゾン濃度)=(全オゾン濃度)−(溶存オゾン濃度)
【0064】
結果を表2に示す。この表から、気液接触ユニットを用いた実施例2〜6では、気液接触ユニットを用いなかった比較例2よりも溶存オゾン濃度が格段に高いことが分かった。
【0065】
【表2】
【0066】
<殺菌試験>
上記のようにしてオゾン水噴霧試験を行った実施例2〜6及び比較例2について、以下に示す方法によって殺菌試験を行った。
被験菌として大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)を用いた。被験菌は、前培養した菌を一白金耳かきとり、SCD培地(日本製薬(株)製)に接種し、37℃で24時間振とう培養した後、遠心分離して107cells/mlに調整したものを0.1ml採取し、50mm×50mmのステンレス板(SUS304)の上に塗布した。オゾン水製造装置を用いてオゾン水を噴霧し1分間接触させた後、滅菌した綿棒で表面をふきとった。該綿棒を、チオ硫酸ナトリウム3.3%水溶液を添加したSCDLP培地(日本製薬(株)製)に浸漬し、付着物を十分に分散させた。37℃で48時間培養後、培養液をSCD寒天培地(日本製薬(株)製)に接種して菌の生育の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○:菌の生育が認められない。
△:少数の菌の生育が認められる。
×:多数の菌の生育が認められる。
【0067】
結果を表3に示す。この表から、大腸菌及び黄色ブドウ球菌のいずれに対しても、気液接触ユニットを用いた実施例2〜6の方が、気液接触ユニットを用いなかった比較例2よりも殺菌効果が優れていることが分かった。その理由は、気液接触ユニットを用いた場合に、溶存オゾン濃度が格段に高いからであると考えられる。
【表3】
【0068】
(実施例7〜11)
実施例1のオゾン水製造装置を用い、表4に示すように、気液接触ユニットのチューブの長さを様々に変化させた実施例7〜11のオゾン水の噴霧試験を行い、前述した方法と同様の方法で溶存オゾン濃度を求めた。また、前述した方法と同様の方法で殺菌試験を行った。
実施例7〜11についての気液接触ユニットの構成及び運転条件は表4に示すとおりであり、ビーズ23bの充填層の長さが10mm〜1000mm間で変化させている。その他の測定条件は実施例2〜6のオゾン水の噴霧試験と同様である。
【0069】
【表4】
【0070】
以上のようにして行った実施例7〜11のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。結果を表5に示す。この表から、実施例7〜11のオゾン水噴霧試験では、実施例4の場合と同様に、噴霧されたオゾン水中の溶存オゾンの濃度が高く、気液接触ユニットの存在によって、噴霧液中に溶存オゾン濃度を高められることが確認された。また、気液接触ユニットのビーズ23bの充填層の長さにかかわらず、溶存オゾン濃度を同じ程度に高めることができるという効果が確認された(このとき、充填層の長さを変えることにより、空間速度は5.2min-1から520min-1までの広い範囲にわたって変化した)。また、充填層の長さによらず、実施例4の場合と同様、殺菌効果を高める効果が確認された。
【0071】
【表5】
【0072】
(実施例12、13)
実施例1のオゾン水製造装置を用い、気液接触ユニットのチューブの内径を変化させ(実施例12では1mmφ、実施例4では4mmφ、実施例13では10mmφ)、オゾン水の噴霧試験を行い、前述した方法と同様の方法で溶存オゾン濃度を求めた。また、前述した方法と同様の方法で殺菌試験を行った。実施例12、実施例4及び実施例13の気液接触ユニットの構成及び運転条件を表6に示す。その他の測定条件は実施例2〜6のオゾン水の噴霧試験と同様である。
【0073】
【表6】
【0074】
以上のようにして行った実施例12、実施例4及び実施例13のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。結果を表7に示す。この表から、チューブの内径を1mmφとした実施例12、4mmφとした実施例4、10mmφとした実施例13のいずれも、高い溶存オゾン濃度を示すとともに、優れた殺菌効果を示すことが分かった。
【0075】
【表7】
【0076】
(実施例14)
実施例14では、実施例1のオゾン水製造装置を用い、気液接触ユニットのチューブの内に充填するビーズとして高密度ポリエチレンからなる4mmφのビーズに替えた。その他については実施例4のオゾン水の噴霧試験と同様である(下記表8参照)。
【0077】
【表8】
【0078】
以上のようにして行った実施例14のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。結果を実施例4の結果と共に表9に示す。この表から、気液接触ユニットのチューブの内に充填するビーズとしてガラスビーズ(実施例4)から高密度ポリエチレン(実施例14)に替えても、高い溶存オゾン濃度を示すとともに、優れた殺菌効果を示すことが分かった。ただし、溶存オゾン濃度は、ガラスビーズを用いた実施例4の方が6.0mg/Lであるのに対し、高密度ポリエチレンビーズを用いた実施例14の方が4.7mg/Lであり、ガラスビーズを用いた実施例4の方が若干高濃度となった。なお、ビーズの接触角はガラスビーズが20°であるのに対し、高密度ポリエチレンは80°であり、濡れ性に優れたガラスビーズの方が高い溶存オゾン濃度を示すとともに、優れた殺菌効果を示すことが示唆された。
【0079】
【表9】
【0080】
(実施例15〜18及び比較例3)
実施例15〜18では、実施例1のオゾン水製造装置を用い、原料水に導電率0.1μS/cmのイオン交換水に非イオン性界面活性剤を添加したものを用いた。非イオン性界面活性剤として実施例15ではプルロニックL−62((株)ADEKA製の商品名)を、実施例16〜18ではプルロニックL−64((株)ADEKA製の商品名)を用いた。ここで、プルロニックL−62及びプルロニックL−64はエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)のブロック共重合体であり、プルロニックL−62のEO重合度は10、PO重合度は30、プルロニックL−64のEO重合度は25、PO重合度は30である。
また、比較例3では気液接触ユニットが設けられていない比較例1のオゾン水製造装置を用い、原料水として導電率0.1μS/cmのイオン交換水にプルロニックL−64を添加したものを用いた。
その他の測定条件は実施例2〜6のオゾン水の噴霧試験と同様である。
【0081】
以上のようにして行った実施例15〜18及び比較例3のオゾン水噴霧試験について、前述したオゾン濃度の測定及び殺菌試験を行った。また、各実施例におけるビーズと同じ材質の板材に対する原料水による接触角の測定を行った。実施例15〜18及び比較例3のオゾン水噴霧試験の結果を実施例4の場合と共に表10に示す。この表から、原料水として非イオン性界面活性剤であるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を添加した実施例15〜18では、原料水に非イオン性界面活性剤を添加しなかった実施例4の場合と比較して、噴霧されたオゾン水中の溶存オゾン濃度が高くなることが分かった。また、気液接触ユニットが設けられていないオゾン水製造装置を用いた比較例3では、非イオン性界面活性剤であるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を添加していたにもかかわらず、噴霧されたオゾン水中の溶存オゾン濃度は低いことが分かった。
【0082】
【表10】
【0083】
<オゾン水製造試験>
実施例1のオゾン水製造装置では、上述したように、原料水に非イオン性界面活性剤を添加した実施例15〜18では、非イオン性界面活性剤を添加しない場合に比べて、噴霧されるオゾン水中の溶存オゾン濃度は高くなることが示されている。このため、非イオン性界面活性剤の種類や濃度によって、電気分解ユニット22によるオゾンの発生速度がどのように影響されるかを詳しく調べるべく、実施例1で使用した電気分解ユニット22を用い、以下に示す各種条件でオゾン水を製造し、得られるオゾン水中の溶存オゾン濃度を調べた。
【0084】
(試験例1)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−62、EO=モル10、PO=30モル)を0.005質量%となるように溶解させたものを用い、原料水を流量20mL/minで電気分解ユニット22の電解モジュール30へ供給し、0.7Aの電流で電気分解を行い、得られたオゾン水中の溶存オゾン濃度を測定した。
【0085】
(試験例2)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.001質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0086】
(試験例3)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.005質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0087】
(試験例4)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0088】
(試験例5)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王製エマルゲン1135S−70)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0089】
(試験例6)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、ポリエチレングリコールモノラウレート(花王製エマノーン1112)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0090】
(比較例4)
原料水として、純水を用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0091】
(比較例5)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.0005質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0092】
(比較例6)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.01質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0093】
(比較例7)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を0.1質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0094】
(比較例8)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−64、EO=モル25、PO=30モル)を1.0質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0095】
(比較例9)
原料水として、純水に非イオン性界面活性剤として、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(ADEKA製プルロニックL−71、EO=モル5、PO=35モル)を0.008質量%となるように添加したものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。なお、L−71は原料水に完全には溶解せず、添加後の原料水は白濁した。
【0096】
(比較例10)
原料水として、純水に陰イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(花王製エマール20C)を0.008質量%となるように溶解させたものを用い、試験例1と同条件で電気分解を行い、溶存オゾン濃度を測定した。
【0097】
(3)評 価
1)オゾン濃度測定
吐出されたオゾン水を採取後、ヨウ素滴定法により溶存オゾン濃度を測定した。オゾン濃度の測定結果を表11に示す。
【0098】
【表11】
【0099】
表11の結果から、非イオン性界面活性剤を0.001質量%以上0.01質量%未満で溶解させた試験例1〜試験例6では、原料水が純水のみ(比較例4)の場合と比較して、明らかに溶存オゾン濃度が高いオゾン水が得られることが分かった。特に、非イオン性界面活性剤としてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を用いた試験例1〜4では、溶存オゾン濃度の高いオゾン水を得ることができた。
一方、陰イオン性界面活性剤を用いた比較例10では、純水のみの比較例4と比較してオゾン濃度が低下した。
また、非イオン性界面活性剤の添加量を0.001質量%未満とした比較例5では、純水のみの比較例4とほぼ同等の溶存オゾン濃度であり、0.01質量%以上とした比較例6〜8では、純水のみの比較例4と比較して溶存オゾン濃度が低下した。さらに、非イオン性界面活性剤が完全には溶解せずに白濁した比較例9においても、純水のみの比較例4と比較して溶存オゾン濃度が低下した。
【0100】
2)殺菌効果試験
試験例1〜6及び比較例4〜10のオゾン水、並びに水道水について、手指を対象とした殺菌試験を実施した。オゾン水又は水道水の50mLを手指に噴きかけ、30秒間待った後、手指の表面をウエスでふき取り、SCDLP寒天培地を用いてスタンプ試験を行った。採取した菌は、インキュベーターを用いて35℃で24時間培養し、コロニー数をカウントした。結果を表12に示す。表12における「ND」は未検出の意味である。なお、オゾン水又は水道水を手指に噴きかけないで、そのまま手指の表面をウエスでふき取り、SCDLP寒天培地を用いてスタンプ試験を行ったものをブランクとした。
【0101】
3)殺菌対象物表面のべたつき感触試験
試験例1〜6並びに比較例4〜10のオゾン水を5名のモニターの手指にそれぞれ50mL噴きかけ、1分間待った後、手指のべたつき感の有無を評価した。その結果を表12に示す。5名全員がべたつき感を感じた場合は「5/5」、5名全員がべたつき感を感じなかった場合は「0/5」と表記した。
【0102】
【表12】
【0103】
表12より、菌数については、ブランクでは1000cfu/10cm以上の菌が検出されたが、試験例1〜6では未検出又は3cfu/10cm以下となり、比較例4〜10と比べ良好な結果となった。
また、試験例4〜10では、殺菌効果が高く、かつ、べたつき感も感じられないことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は各種産業の除菌・殺菌用途に利用でき、特に持ち運び可能なハンディタイプの小型除菌・殺菌スプレー装置として利用できる。
【符号の説明】
【0105】
6,34,35…流路(6…配水管,34,35…接続配管)
8,10,30a,30c…電極(8…陽極,10…陰極,30a…陽極,30c…陰極)
7,31…直流電源(7…直流電源,31…リチウムイオン電池)
11d,23b…粒子(11d…粒子,23b…ビーズ)
11,23…気液接触ユニット
26…噴霧ノズル

【要約】
【課題】高濃度のオゾン水が得られ、小型化も容易なオゾン水製造装置及びオゾン水製造方法並びにオゾン水による殺菌方法を提供する。
【解決手段】タンク1内に水2が貯留されており、流路としての配水管6を介してポンプ3に接合されている。配水管6の途中にはチューブ状の電解セル5が設けられており、電解セル5内に陽極8及び陰極10が対面して設けられており、陽極8と陰極10との間にはイオン交換膜から成る隔膜9が挿入されている。陽極8及び陰極10は直流電源7に接続されている。電解セル5の下流側には気液接触ユニット11が設けられており、気液接触ユニット11内のチューブ11aに粒子11dが充填されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5