(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る吸収体の製造装置の好ましい一実施形態について、
図1および
図2を参照しながら、以下に説明する。
【0010】
図1に示すように、吸収体の製造装置10は、繊維材料を含む吸収体材料54を気流とともにダクト30内を通して供給し、該吸収体材料54を回転ドラム42の周面に配した凹部(以下、積繊用凹部ともいう。)41内に堆積させるものである。ダクト30の内部には、吸収体材料54の供給方向を調整する仕切部材33が配されている。本実施形態の吸収体材料54は、繊維材料としてパルプ繊維52を、更に吸水性ポリマー53を用いている。
【0011】
製造装置10の前段は、パルプ原反(図示せず)から引き出されたパルプシート51を解繊してパルプ繊維52を得る解繊機20と、解繊機20から送り出されたパルプ繊維52を気流に乗せて搬送する経路となるダクト30とを有している。
【0012】
解繊機20は、パルプシート51を解繊してパルプ繊維52を得るものである。例えば、ケーシング21と、ケーシング21内に配されていてパルプシート51の端部を引っ掻く回転刃22と、ケーシング21に設けられたパルプシート51を取り入れる開口部23と、パルプ繊維52を排出する開口部24を有している。
【0013】
ダクト30は、その一端部30aが解繊機20の開口部24に接続されており、その他端部30bが回転ドラム42の外周面の一部を覆っている。
ダクト30には、その流路の幅方向中央部分で吸収体材料としての吸水性ポリマー53を供給する吸水性ポリマー供給部31が配されている。ダクト30内、吸水性ポリマー供給部31の下方には、供給されたパルプ繊維52及び吸水性ポリマー53の流れ方向を規制する仕切部材33が配されている。
ダクト30において、吸水性ポリマー供給部31は、吸水性ポリマー53を仕切部材33上方に供給する。仕切部材33は、供給されたパルプ繊維52及び吸水性ポリマー53の流れ方向を規制する。したがって、ダクト30内をパルプ繊維52とともに吸水性ポリマー53が気流に乗って回転ドラム42方向に搬送される。
【0014】
詳細には、仕切部材33は、ダクト30の流路を上下に分けるもので、仕切部材33下方側はパルプ繊維52が流れるようにし、仕切部材33上方側はパルプ繊維52と吸水性ポリマー53が流れるようにするものである。すなわち、仕切部材33によってダクト30の流路を上下に二分する。この仕切部材33は、ダクト30の側壁に固定されている。
仕切部材33によって、ダクト30内部に供給された吸水性ポリマー53の流れ方向が規制されるため、仕切部材33の下部側を流れるパルプ繊維52を含む気流によって積繊用凹部41にパルプ繊維52が含まれ且つ該吸水性ポリマー53が実質的に含まれないフィルター層を形成することができる。このフィルター層が形成された状態で、パルプ繊維52と吸水性ポリマー53とを含む気流によって、吸収体材料54が堆積されるので、積繊用凹部41の底面部となるメッシュプレート(図示なし)に吸水性ポリマー53が直接当たらなくなり、吸水性ポリマー53によるメッシュプレートの目詰まりを防止することができる。
【0015】
積繊機としての上記回転ドラム42は、解繊機20により解繊されて得たパルプ繊維52を気流とともにダクト30を通じて供給させ、パルプ繊維52を有する吸収体材料54を堆積させて、所望の形状の型に合せた積繊体としての吸収体5を得るものである。
回転ドラム42は、例えば周面に複数の積繊用凹部41が所定の間隔で形成されている。この回転ドラム42の周面に向けて、ダクト30内を搬送されてきた吸収体材料54(パルプ繊維52、吸水性ポリマー53)(便宜上、矢印で示す)が供給され、積繊用凹部41に堆積される。
【0016】
回転ドラム42は、円筒形を有し、図示していない駆動装置によって、図中の矢印A方向に生産ラインの生産速度に応じた周速度で回転駆動される。回転ドラム42の外周面には、製造する吸収体5の形状に対応する形状の積繊用凹部41、41、・・・を有する。回転ドラム42は、積繊用凹部41を有する外側の部分が矢印A方向に回転し、空間B,C,Dを形成している中央の部分は回転しない。積繊用凹部41に堆積された吸収体5は、例えば、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品の吸収体に用いられる。そこで、上記積繊用凹部41の形状は、吸収体5の形状に合わせて決定される。すなわち、吸収体5の必要な部位に凸部や凹部が作られるように、上記積繊用凹部41の形状が決定されている。なお、積繊用凹部41の形状は、これに制限されず、深さは一定でもよく、また回転ドラム42の外周面に沿って連続して形成されていてもよい。
【0017】
回転ドラム42には、図示しない吸気ファンが接続されており、該吸気ファンの駆動により、回転ドラム42内の仕切られた空間Bを負圧に維持している。この空間Bの負圧により、ダクト30内に空気流を発生させ、解繊機20からの吸収体材料54を飛散状態としている。個々の積繊用凹部41の少なくとも底面部は、上述のようにメッシュプレート等により構成され、多数の細孔を有している。個々の積繊用凹部41が、負圧に維持された空間Bを通過している間、該メッシュプレートの細孔が吸引孔として機能する。空間Bは、回転ドラム42における、ダクト30に覆われた部分の裏側に位置する。空間Bは、ダクト30に覆われた部分を通る積繊用凹部41に強い吸引力を発生させ、それにより積繊用凹部41に吸収体材料54を堆積させたり、吸収体材料54を搬送する気流をダクト30内に発生させたりする。積繊用凹部41内に堆積物ないし吸収体を安定的に保持しつつ搬送するため、空間Cを負圧に維持しても良く、その場合、空間Cは空間Bよりも負圧の程度が低く維持されている。
そして上記ダクト30内を流れてきた吸収体材料54を搬送する空気流は、空間B上に位置する積繊用凹部41からの吸引により、回転ドラム42の外周面に向けて案内される。
【0018】
さらに製造装置10は、積繊用凹部41から吸収体5を離型し、透水性の薄紙や不織布からなる被覆シート9に転写する転写搬送機構としてのバキュームコンベア70を備えている。なお図示はしていないが、吸収体5の下の被覆シート9の側部を折り返して吸収体5の上下面を被覆しても良く、このような動作をする被覆機構を備えてもよい。また、被覆シート9に加えて別途シートを供給し、吸収体5の上下面を被覆してもよい。
【0019】
上記吸収体材料54は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられる各種のものを制限なく用いることができ、少なくとも繊維材料を含んでいる。繊維材料としては、例えばパルプシートを解繊して得られるパルプ繊維のほか、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、吸収体材料54として、更に吸水性ポリマーを用いることができる。
上記繊維材料には、上述のパルプ繊維52の他に合繊繊維を含んでもよい。パルプシート51の中に合繊繊維が混じった状態の場合もあれば、合成繊維を解繊したパルプ繊維と混合して供給することも可能である。
図1では解繊機20から直接ダクト30に供給しているが、解繊したパルプをタンク(図示せず)に溜めて、そこからダクト30に供給してもよい。このタンクに合繊(短繊維)も供給して混合させることも可能である。
【0020】
次に、上記仕切部材33について、詳細に説明する。
図2および
図3に示すように、仕切部材33の吸収体材料の供給側(上流側)の先端部34には吸収体材料付着防止手段を有する。先端部34は曲面形状にされている。例えば曲面の断面形状は半径3mmの半円形状にされている。
この半径は、1mm以上、そして、50mm以下、好ましくは30mm以下、より具体的には、1mm以上50mm以下、好ましくは1mm以上30mm以下とする。上記先端部34は曲面形状を有していれば、その断面形状が上記半円形状に限定されないが、好ましくは半円形状とする。このような先端形状とすることで、ダクト30内の気流を大きく乱すことなく、パルプ繊維52や吸水性ポリマー53を搬送することができる。また、仕切部材33の表面は、繊維が引っ掛からないように、表面が滑らかに、例えば繊維との摩擦係数が小さくなるような材料を選択したり、摩擦係数が小さくなるように加工されていることが好ましい。特に、仕切部材33の先端部34は、このように加工されていることが好ましい。通常、仕切部材33は、厚さが0.5mmから2.0mm程度の板体を所望の形状に加工したものが用いられる。例えば、ダクト30内を流れる気流を乱さないような形状として翼形状が好ましいが、ダクト30内の気流を乱さないような形状であれば翼形状でなくてもよい。なお、仕切部材33は、ダクト30の側壁に対し、例えば上下流端側が上下方向に可動可能とされていてもよい。
【0021】
上記吸収体材料付着防止手段35は、仕切部材33の内部から外部に気体を吹き出す手段であり、具体的には、仕切部材33の先端部34にその内部から外部に気体を吹き出す複数の孔36と、仕切部材33の内部の幅方向に配された空洞37とを有する。この空洞37は仕切部材33の内部において他の空洞とは区切られた単独の空間で構成されている。また上記複数の孔36は空洞37より外部に連通するようにされている。仕切部材33の内部は、全体的に空洞となっているが、
図2(b)に示すように、先端部34内に形成された空洞37は、他の空洞と区切られていることが、加圧する空間の容積が小さくなり、必要な圧縮空気の量が抑制されるという観点で好ましい。複数の孔36は、例えば、仕切部材33の幅方向に沿って3列に等間隔に配されている。各孔36の孔径は、0.5mm以上、好ましくは1mm以上、そして、2mm以下、好ましくは1.5mm以下、より具体的には、0.5mm以上2mm以下、好ましくは1mm以上1.5mm以下とする。孔36のピッチは、例えば孔径が1mmの場合は3mmとしている。先端部34の強度面、また、孔36加工時の加工安定性の観点から、ピッチは孔径の2倍以上であることが好ましい。さらに、先端部34への繊維材料の付着を防止するためには幅方向でほぼ均一に空気を噴出するのが望ましい。そのためピッチは孔径の5倍を超えないことが好ましい。
また、孔36は、パルプ繊維52が塊になりやすい仕切部材33の先端部34領域に配されればよい。また、孔36は仕切部材33の幅方向に沿って1列に配されていてもよく、複数列に配されてもよい。複数列に形成する場合、半径や孔径によっては、列毎に孔の配置位置をずらして配する等の工夫をしても良く、例えば半ピッチ分ずらすのが孔配置の効率面や加工性の観点から好ましい。
【0022】
孔36の断面形状は、
図4(a)に示すように、流れ方向の断面を矩形断面としてもよい。この場合には、孔36の加工が容易であり仕切部材33を安価に作製できる。
図4(a)では矩形断面で表されているが、加工時に発生するバリを除去するために開口縁が削られることは制限されない。また
図4(b)に示すように、空洞(
図2(b)参照)側から外部に向かうにしたがって孔径が広くなる台形としてもよい。この場合には、吹き出す圧縮空気が広がりやすくなり、1つの孔がカバーする面積が広くなる。さらには
図4(c)に示すように、空洞(
図2(b)参照)側から外部に向かうにしたがって孔径が狭くなる台形としてもよい。この場合には、圧縮空気の流速を高めることができる。なお、孔36の側面の傾斜は、孔36の中心軸方向に対して0度(軸に平行)から60度の範囲で適宜決定でき、加工に用いる工具の形状(傾き)により実現できる。
また、上記孔36は、供給側と同じ方向に向いていると、繊維の流れに影響を与えにくくなる。供給側と同じ方向に向いているとは、供給側方向と孔36の中心軸方向との角度が30度以内である。なお、供給側方向は、例えば、仕切部材33の先端部34の縦断面視した半円形部分の中心Cと、ダクト30の一端部30aが接続する解繊機20の開口部24の上下方向中央を結ぶ線で決定することができる。また、
図2(b)に示すよりもさらに上方を向いている孔36があると、または、
図2(b)に示すよりもさらに下方を向いている孔36があると、仕切部材33の先端部34に繊維が付着したとしても落としやすくなる。
図2(b)に示すよりもさらに上方または下方に向いている孔は、供給側方向と孔36の中心軸方向との角度が30度より大きい場合であり、45度以上であることが更に好ましい。付着防止及び付着した繊維を除去する観点から、仕切部材33の先端部34には、供給側と同じ方向に向いている孔36と、供給側方向に対して30度より大きい角度で上方を向いている孔36と、供給側方向に対して30度より大きい角度で下方を向いている孔36とを備えることが好ましい。
【0023】
前記
図2および
図3に示すように、上記空洞37には、ダクト30壁面を貫通して、上記気体としての圧縮空気を供給する配管38が両側から接続されている。この配管38には、圧縮空気の供給源(図示せず)が接続されている。圧縮空気は、専用のコンプレッサーで供給される圧縮空気であっても、工場内に配されている圧縮空気配管で供給される圧縮空気を利用してもよい。圧縮空気の圧力は、適宜決定される。例えば、孔36の孔径、孔の数にもよるが、本実施例の場合には、0.2MPa以上が好ましく、更に好ましくは0.3MPa以上である。上限については特に制約はないが、1MPa以下であれば、十分に機能する。例えば0.4MPaとすればよい。
上記孔36から吹き出される気体としてその他の圧縮気体であってもよいが、圧縮空気が取扱いやすさ、コスト等の観点において優れている。
【0024】
次に、上記吸収体の製造装置10について、その動作方法を以下に説明する。
図示しないパルプ原反から引き出されたパルプシート51は、解繊機20によって解繊されてパルプ繊維52となり、開口部24よりダクト30の一端部30a側から導入される。
【0025】
一端部30a側からダクト30内に導入されたパルプ繊維52は、回転ドラム42に向けて供給される。回転ドラム42に向けて供給されるパルプ繊維52は、他端部30b側の全域に飛散し、ダクト30の他端部30b側を通過する積繊用凹部41に吸引堆積される。
ダクト30においては、吸水性ポリマー供給部31から吸水性ポリマー53が供給される。吸水性ポリマー53は、仕切部材33により飛散方向が規制され、積繊用凹部41のうち上側(底部より外側)に堆積する。
すなわち、前記
図2に示す回転ドラム42において、区間Bの仕切部材33より下方の領域は、回転ドラム42の回転方向上流になるので、この領域で供給される吸収体材料54は積繊用凹部41の底側に堆積する。また、区間Bの仕切部材33の上方の領域は、回転ドラム42の回転方向下流になるので、この領域で供給される吸収体材料54は積繊用凹部41の上側(底部より外側)に堆積する。
【0026】
そのため、ダクト30の他端部30b側に配される積繊用凹部41のうち、下方のものには、パルプ繊維52が含まれ且つ吸水性ポリマー53が実質的に含まれないフィルター層が形成される。ここで「吸水性ポリマーが実質的に含まれない」とは、吸水性ポリマー53が全く含まれていない場合のみならず、吸水性ポリマー53がそれに起因するメッシュプレートの目詰まりが生じない程度若干量含まれている場合も含む(以下同じ)。
一方、ダクト30の排出口に配される積繊用凹部41のうち、上方のものには、フィルター層の上に、パルプ繊維52と吸水性ポリマー53との混合層が堆積する。そのため、積繊用凹部41内には、フィルター層と混合層とが積層してなる積繊体が形成される。これが吸収体5となる。
【0027】
次いで、回転ドラム42の回転により、積繊用凹部41内の吸収体5の離型は、回転ドラム42の回転により離型する吸収体5がバキュームコンベア70側に移動したときに以下のようにして行う。回転ドラム42内の仕切られた空間Dを図示しない加圧手段により陽圧に維持して、積繊用凹部41の底面部の細孔から空気を吹き出させると共に、バキュームコンベア70側から吸引することにより行う。
【0028】
次に、上記吸収体材料付着防止手段35の動作を説明する。繊維の付着を防止するための圧縮空気は、ダクト30内を吸収体材料54が流れ始める直前に孔36より噴出させ、吸収体製造中は圧縮空気の噴出を継続させる。積繊用凹部41内に吸収体材料54を堆積中は、仕切部材33の孔36から圧縮空気が連続して噴出していることが好ましい。そして、吸収体製造が終了した直後に噴出を停止させる。なお、製造装置10の停止中は圧縮空気の供給も停止する。
また、上記圧縮空気の供給は、間欠的に行うこともできる。例えば、数秒ごとに噴出、停止を繰り返すことができる。これにより、圧縮空気の使用量を低減することができるので、コスト削減が図れる。
さらに噴射の強さを変えてもよい。この場合には、通常は弱い噴射で行い、繊維が先端部34に付着したときには、その繊維に他の繊維が絡み合って塊になる前に、強い噴射圧で圧縮空気を噴射して、付着した繊維を吹き飛ばしてもよい。
【0029】
以上の通り、上記吸収性物品の吸収体の製造装置10によれば、吸収体材料付着防止手段35によって仕切部材33の先端部34に吸収体材料54のパルプ繊維52が付着するのを防止でき、結果としてパルプ繊維が塊になるのが防止され、吸収体材料54を回転ドラムの凹部に均一に堆積できるようになり、吸収体5の局所的な坪量のばらつきが抑制され、品質の向上が図れる。
【0030】
特に、仕切部材33の先端部34に吸収体材料付着防止手段35の孔36を配したことによって、仕切部材33の先端部34に付着しようとするパルプ繊維52が孔36から吹き出される圧縮空気の気流によって吹き飛ばされる。また、仕切部材33の断面形状が翼形状になっていて、先端部が曲面形状を有していることによっても、パルプ繊維52が付着しにくくなっている。
このため、仕切部材33の先端部34には、パルプ繊維52の塊の形成を防止できる。また、このため仕切部材33の先端部34から、パルプ繊維52の塊が積繊用凹部41内に堆積することも無い。これらによって、積繊用凹部41内への吸収体材料54が均一に供給されるので、吸収体材料54の堆積が均一に行われるようになる。
【0031】
また、仕切部材33によって、パルプ繊維と吸水性ポリマーとの混合層を多様な組み合わせで形成することができ、吸収体の構成を簡便に変更することができる。
組合せとしては、中高断面形状の吸収体の下層(幅広部分)に吸水性ポリマーが多く、上層(中高部分)に吸水性ポリマーの少ない組合せ、下層に吸水性ポリマーが少なく、上層に吸水性ポリマーが多い組合せ、下層に吸水性ポリマーがなく、上層に吸水性ポリマーが多い組合せ、下層に吸水性ポリマーがなく、上層に吸水性ポリマーが少ない組合せ、下層に吸水性ポリマーが多く、上層に吸水性ポリマーがない組合せ、下層に吸水性ポリマーが少なく、上層に吸水性ポリマーがない組合せ、下層及び上層に吸水性ポリマーがない組合せが挙げられる。
【0032】
上記吸収体材料付着防止手段としては、先端部34を摩擦係数の小さい材料で作製することや先端部34の形状を繊維が引っ掛かりにくい形状として、仕切部材33の幅方向両端で付着が発生しやすい傾向が有ることを考慮し、仕切部材33のダクト30の幅方向中央部が回転ドラム42側に向いやや凹んだ曲面形状にすることがある。また、ダクト33の側壁と先端部34とを曲率半径10mm以上30mm以下の曲面で接続することも好ましい。これらの場合は、先端部34に前記孔36を配する必要はないが配しても差し支えはなく、摩擦係数の小さい材料と先端部34の形状とを組み合わせてもよい。摩擦係数を小さくする加工としては、例えばバフ仕上げのような精密仕上げ研磨を先端部34のみに施すことで作製することができる。
【0033】
本発明の吸収体の製造装置10で製造する吸収体5は、吸収性物品の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
【0034】
上記説明した吸収体の製造装置10を用いて、吸収性物品に配される吸収体5を製造する。この吸収体5を被覆シート9で包んで、所定長さでカットし、液透過性の表面シートの連続体と、液不透過性または難透過性の裏面シートの連続体との間に間欠的に配置及び挟持し、個別の吸収性物品に切断して、吸収性物品が製造される。
【0035】
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収体の製造装置および吸収性物品の製造方法を開示する。
【0036】
<1>
繊維材料を含む吸収体材料を気流とともにダクト内に供給して、該吸収体材料を回転ドラムの周面に配した凹部内に堆積させる吸収体の製造装置であって、
前記ダクトの内部に前記吸収体材料の供給方向を調整する仕切部材が配され、
前記仕切部材の前記吸収体材料の供給側の先端部に吸収体材料付着防止手段を有する吸収体の製造装置。
<2>
前記吸収体材料付着防止手段は、前記先端部に前記仕切部材の内部から空気を吹き出す手段を有する前記<1>記載の吸収体の製造装置。
<3>
前記仕切部材は、前記先端部側の内部に空洞を有し、前記先端部に前記空洞より外部に貫通している複数の孔が配されている前記<1>または<2>記載の吸収体の製造装置。
<4>
前記凹部内に前記吸収体材料を堆積中は、前記仕切部材の孔から圧縮空気が連続して噴出す前記<3>に記載の吸収体の製造装置。
【0037】
<5>
前記製造装置は、パルプ原反から引き出されたパルプシートを解繊してパルプ繊維を得る解繊機を有し、前記ダクトは、その一端部が前記解繊機の開口部に接続されており、その他端部が前記回転ドラムの外周面の一部を覆っている前記<1>から<4>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<6>
前記ダクトには、その流路の幅方向中央部分で吸水性ポリマーを供給する吸水性ポリマー供給部が配され、前記仕切部材は、供給されたパルプ繊維及び吸水性ポリマーの流れ方向を規制している前記<1>から<5>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<7>
前記仕切部材は、前記ダクトの側壁に固定されている前記<1>から<6>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<8>
前記仕切部材の前記先端部は曲面形状にされている前記<1>から<7>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<9>
前記先端部の曲面の断面形状の半径は、1mm以上、そして、50mm以下、好ましくは30mm以下、より具体的には、1mm以上50mm以下、好ましくは1mm以上30mm以下である前記<8>記載の吸収体の製造装置。
<10>
前記仕切部材の前記先端部の断面形状は、半円形状である前記<8>又は<9>記載の吸収体の製造装置。
<11>
前記仕切部材の先端部側の前記空洞は、該仕切部材内部において他の空洞とは区切られた単独の空間で構成されている前記<3>から<10>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<12>
前記孔の孔径は、0.5mm以上、好ましくは1mm以上、そして、2mm以下、好ましくは1.5mm以下、より具体的には、0.5mm以上2mm以下、好ましくは1mm以上1.5mm以下である前記<3>から<11>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<13>
前記孔は、仕切部材の幅方向に沿って1列または複数列に配されている前記<3>から<12>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<14>
前記孔の断面形状は、流れ方向断面が矩形断面である前記<3>から<13>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<15>
前記孔の断面形状は、空洞側から外部に向かうにしたがって孔径が広くなる台形である前記<3>から<14>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<16>
前記孔の断面形状は、空洞側から外部に向かうにしたがって孔径が狭くなる台形である前記<3>から<15>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<17>
前記仕切部材33の前記先端部34には、供給側と同じ方向に向いている孔と、供給側方向に対して30度より大きい角度で上方を向いている孔と、供給側方向に対して30度より大きい角度で下方を向いている孔とを備える前記<3>から<16>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<18>
前記先端部を摩擦係数の小さい材料で作製する前記<1>から<17>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
<19>
前記仕切部材を、前記ダクトの幅方向中央部が回転ドラム側に向い凹んだ曲面形状にする前記<1>から<18>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置。
【0038】
<20>
前記<1>から<19>のいずれか1に記載の吸収体の製造装置を用い、吸収体を製造する工程を有する吸収性物品の製造方法。
<21>
前記吸収性物品は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド又はパンティライナーである前記<20>記載の吸収性物品の製造方法。
<22>
前記吸収体を被覆シートで包んで、所定長さでカットし、液透過性の表面シートの連続体と、液不透過性または難透過性の裏面シートの連続体との間に間欠的に配置及び挟持し、個別の吸収性物品に切断して、吸収性物品が製造する前記<20>又は<21>に記載の吸収性物品の製造方法。