(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
切削加工において切削工具に生じる異常を検出する切削工具の異常検出装置であり、前記切削工具の異常検出に用いられる判定用閾値を設定するティーチングモードと、前記切削加工を実行する加工実行モードとを切り替え可能な切削工具の異常検出装置であって、 前記切削加工中に発生する音波を収音する収音部と、
前記収音部で収音された音波の波形に対してウェーブレット変換を実行し、複数の周波数帯域の音波に分割するウェーブレット変換処理部と、
前記ウェーブレット変換処理部で分割された複数の周波数帯域の音波毎に、実効値を算出する第1演算処理部と、
前記ティーチングモードにおいて、前記第1演算処理部で算出された実効値に基づいて、前記判定用閾値を算出して保存する判定用データ保存部と、
前記加工実行モードにおいて、前記第1演算処理部で算出された実効値と前記判定用データ保存部に保存された判定用閾値とを比較して、前記切削工具の異常の有無を判定する判定処理部と、
を備えた切削工具の異常検出装置。
前記第1演算処理部は、前記ウェーブレット変換処理部で複数の周波数帯域に分割された音波について、前記収音部で収音した時間を複数の時間に区切って、時間毎の実効値を算出する
請求項1に記載の切削工具の異常検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の工具異常検出装置では、上述したように、音波信号からあらかじめ設定した周波数帯域の音波信号をバンドパスフィルタで抽出するとともに、計測した音圧レベルをあらかじめ設定した音圧レベル閾値と比較している。
【0005】
すなわち、切削工具の異常を検出するためには、バンドパスフィルタで音波信号を抽出する周波数帯域と、計測した音圧レベルと比較するための音圧レベル閾値とをあらかじめ設定する必要があるので、周波数帯域および音圧レベル閾値の設定作業があらかじめ必要になるという問題がある。
【0006】
また、ワークの材質や切削工具の種類、加工形状等の変更によって、加工機が加工中に発生する音波の特徴が変化するので、ワークの材質、切削工具の種類および加工形状等の組み合わせの変更に伴って、周波数帯域および音圧レベル閾値の更新作業が必要になるという問題がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、切削工具の異常検出に先立って、あらかじめ閾値等を設定する設定作業や、ワークの材質、切削工具の種類および加工形状等の組み合わせの変更に伴って、閾値等を更新する更新作業を行うことなく、切削工具の異常を検出することができる切削工具の異常検出装置および異常検出方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る切削工具の異常検出装置は、切削加工において切削工具に生じる異常を検出する切削工具の異常検出装置であり、切削工具の異常検出に用いられる判定用閾値を設定するティーチングモードと、切削加工を実行する加工実行モードとを切り替え可能な切削工具の異常検出装置であって、切削加工中に発生する音波を収音する収音部と、収音部で収音された音波の波形に対してウェーブレット変換を実行し、複数の周波数帯域の音波に分割するウェーブレット変換処理部と、ウェーブレット変換処理部で分割された複数の周波数帯域の音波毎に、実効値を算出する第1演算処理部と、ティーチングモードにおいて、第1演算処理部で算出された実効値に基づいて、判定用閾値を算出して保存する判定用データ保存部と、加工実行モードにおいて、第1演算処理部で算出された実効値と判定用データ保存部に保存された判定用閾値とを比較して、切削工具の異常の有無を判定する判定処理部と、を備えたものである。
【0009】
また、この発明に係る切削工具の異常検出方法は、切削加工において切削工具に生じる異常を検出する切削工具の異常検出装置で実行される異常検出方法であって、切削加工中に発生する音波を収音する収音ステップと、収音ステップで収音された音波の波形に対してウェーブレット変換を実行し、複数の周波数帯域の音波に分割するウェーブレット変換処理ステップと、ウェーブレット変換処理ステップで分割された複数の周波数帯域の音波毎に、実効値を算出する演算処理ステップと、切削工具の異常検出に用いられる判定用閾値を設定するティーチングモードにおいて、演算処理ステップで算出された実効値に基づいて、判定用閾値を算出して保存する判定用データ保存ステップと、切削加工を実行する加工実行モードにおいて、演算処理ステップで算出された実効値と判定用データ保存ステップで保存された判定用閾値とを比較して、切削工具の異常の有無を判定する判定処理ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る切削工具の異常検出装置および異常検出方法によれば、切削加工中に発生する音波を収音する収音部と、収音部で収音された音波の波形に対してウェーブレット変換を実行し、複数の周波数帯域の音波に分割するウェーブレット変換処理部と、ウェーブレット変換処理部で分割された複数の周波数帯域の音波毎に、実効値を算出する第1演算処理部と、切削工具の異常検出に用いられる判定用閾値を設定するティーチングモードにおいて、第1演算処理部で算出された実効値に基づいて、判定用閾値を算出して保存する判定用データ保存部と、切削加工を実行する加工実行モードにおいて、第1演算処理部で算出された実効値と判定用データ保存部に保存された判定用閾値とを比較して、切削工具の異常の有無を判定する判定処理部と、を備えている。
そのため、切削工具の異常検出に先立って、あらかじめ閾値等を設定する設定作業や、ワークの材質、切削工具の種類および加工形状等の組み合わせの変更に伴って、閾値等を更新する更新作業を行うことなく、切削工具の異常を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係る切削工具の異常検出装置および異常検出方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る切削工具の異常検出装置を加工機とともに示す構成図である。
図1において、加工機本体1に取り付けられた切削工具2がモータにより駆動回転し、加工対象ワーク3を加工する。
【0014】
また、
図1において、この切削工具の異常検出装置は、センサ4、増幅器5、A/D変換部6、ウェーブレット変換処理部7、第1演算処理部8、判定用データ保存部9、判定処理部10および警報出力部11から構成されている。
【0015】
センサ(収音部)4は、加工対象ワーク3の加工中に発生する音波を収音するマイク等である。増幅器5は、センサ4で収音された音波の波形を増幅する。A/D変換部6は、増幅器5から出力されたアナログ信号である音波の波形を、デジタル信号に変換する。ウェーブレット変換処理部7は、A/D変換部6から出力されたデジタル信号の波形に対してウェーブレット変換を実行し、複数の周波数帯域の音波に分割する。
【0016】
第1演算処理部8は、ウェーブレット変換処理部7で分割された複数の周波数帯域の音波毎に、実効値(特徴量)を算出する。判定用データ保存部9は、ティーチングモード(後述する)において、第1演算処理部8で複数の周波数帯域の音波毎に算出された実効値に基づいて、判定用閾値を算出して保存する。
【0017】
判定処理部10は、加工実行モード(後述する)において、第1演算処理部8で複数の周波数帯域の音波毎に算出された実効値と、判定用データ保存部9に保存された判定用閾値とを比較し、実効値が判定用閾値の幅を超えた場合に、異常と判定する。警報出力部11は、判定処理部10で異常と判定された場合に、切削工具の異常検出を表示する。
【0018】
以下、この発明の実施の形態1に係る切削工具の異常検出装置の動作について説明する。まず、ティーチングモードについて説明する。ティーチングモードは、ワークの材質や切削工具の種類、加工形状等が変更され、新しいロットを加工する最初の段階において実行される。
【0019】
最初に、加工機本体1に切削工具2を取り付け、加工対象ワーク3をセットする。続いて、切削工具の異常検出装置のモードをティーチングモードに設定し加工を開始する。加工を開始すると、切削工具2がモータによって駆動回転し、加工対象ワーク3に対して加工が開始される。
【0020】
加工開始のトリガー信号により、センサ4で加工中の音波が収音される。センサ4で収音された音波の波形は、電気信号に変換されて増幅器5で増幅される。A/D変換部6は、増幅器5で増幅された音波の電気信号をデジタル信号に変換する。
【0021】
このデジタル信号に変換された音波の波形に対して、ウェーブレット変換処理部7でウェーブレット変換処理が実行され、複数の周波数帯域の音波に分割される。複数の周波数帯域の音波に分割することで、センサ4で収音された様々な周波数を含む音波の中から、切削工具2の切削音を分離することができる。
【0022】
ウェーブレット変換処理部7で分割された複数の周波数帯域の音波から、第1演算処理部8では、複数の周波数帯域の音波毎に実効値を算出し、この複数の周波数帯域の音波毎に算出された実効値に基づいて算出された判定用閾値が、判定用データ保存部9に保存される。
【0023】
次に、加工実行モードについて説明する。加工実行モードでは、最初に、ティーチングモードで使用したものと同じ加工機本体1に同じ切削工具2を取り付け、同じ材質、加工形状の加工対象ワーク3をセットする。続いて、切削工具の異常検出装置のモードを加工実行モードに設定し加工を開始する。加工を開始すると、切削工具2がモータによって駆動回転し、加工対象ワーク3に対して加工が開始される。
【0024】
加工開始のトリガー信号により、センサ4で加工中の音波が収音される。センサ4で収音された音波の波形は、電気信号に変換されて増幅器5で増幅される。A/D変換部6は、増幅器5で増幅された音波の電気信号をデジタル信号に変換する。このデジタル信号に変換された音波の波形に対して、ウェーブレット変換処理部7でウェーブレット変換処理が実行され、複数の周波数帯域の音波に分割される。
【0025】
ウェーブレット変換処理部7で分割された複数の周波数帯域の音波から、第1演算処理部8では、複数の周波数帯域の音波毎に実効値が算出される。判定処理部10では、第1演算処理部8で複数の周波数帯域の音波毎に算出された実効値と、ティーチングモードにおいて判定用データ保存部9に保存された判定用閾値とが比較される。
【0026】
第1演算処理部8で算出された実効値と、判定用データ保存部9に保存された判定用閾値とを、同じ周波数帯域毎に比較し、第1演算処理部8で算出された実効値が判定用閾値の幅よりも大きいか、または小さい場合に、判定処理部10から警報出力部11にアラーム信号を出力し、警報出力部11からオペレータに切削工具2の異常が通知される。
【0027】
このように、ティーチングモードにおいて収音された音波に基づいて判定用閾値が算出されるので、判定用閾値の設定にかかる様々な手間を省くことができる。また、ウェーブレット変換により、音波の波形を複数の周波数帯域の音波に分割して、周波数帯域毎の実効値を判定に使用するので、信号処理を行わない音波では、検出できないレベルの音圧の差を、精度よく検出することができる。
【0028】
また、加工中に加工径等の加工形状が変化するような加工パターンでは、加工箇所によって、音波の大きさや周波数帯域が変化する。このような場合には、加工開始から加工終了までの間に収音された音波に対して、ウェーブレット変換処理部7において、複数の周波数帯域に分割された音波について、全時間帯の実効値を算出するのではなく、加工開始から加工終了までの時間を短時間で区切って(複数の時間に区切って)、短時間毎の実効値を算出する。
【0029】
ティーチングモードにおいて、複数の周波数帯域の音波毎に、短時間毎に判定用閾値を算出し、加工実行モードにおいても、ティーチングモードで区切った時間と同じ間隔で、短時間毎に複数の周波数帯域の音波毎の実効値を算出するとともに、同じ時間帯の同じ周波数帯域で実効値と判定用閾値とを比較して判定を行うことにより、加工中に加工パターンが変化し、音波の特徴が変化するような場合であっても、切削工具2の異常を精度よく検出することができる。
【0030】
以上のように、実施の形態1によれば、切削加工中に発生する音波を収音する収音部と、収音部で収音された音波の波形に対してウェーブレット変換を実行し、複数の周波数帯域の音波に分割するウェーブレット変換処理部と、ウェーブレット変換処理部で分割された複数の周波数帯域の音波毎に、実効値を算出する第1演算処理部と、切削工具の異常検出に用いられる判定用閾値を設定するティーチングモードにおいて、第1演算処理部で算出された実効値に基づいて、判定用閾値を算出して保存する判定用データ保存部と、切削加工を実行する加工実行モードにおいて、第1演算処理部で算出された実効値と判定用データ保存部に保存された判定用閾値とを比較して、切削工具の異常の有無を判定する判定処理部と、を備えている。
そのため、切削工具の異常検出に先立って、あらかじめ閾値等を設定する設定作業や、ワークの材質、切削工具の種類および加工形状等の組み合わせの変更に伴って、閾値等を更新する更新作業を行うことなく、切削工具の異常を検出することができる。
【0031】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、収音された音波の波形を、ウェーブレット変換処理部7で複数の周波数帯域の音波に分割し、第1演算処理部8で音波の特徴量を算出した。この実施の形態2では、複数の周波数帯域に分割された音波を音声として再生し、聴官で確認して切削加工と関係のない空調音等含む周波数帯域を削除し、切削加工に必要な周波数帯域だけを選択することにより、判定処理させることができる。
【0032】
図2は、この発明の実施の形態2に係る切削工具の異常検出装置を加工機とともに示す構成図である。
図2において、この切削工具の異常検出装置は、
図1に示した切削工具の異常検出装置に加えて、周波数選択部12、D/A変換部13および音響再生器14を備えている。
【0033】
周波数選択部12は、ウェーブレット変換処理部7で複数の周波数帯域に分割された音波から、音声として再生したい(所望の)周波数帯域を選択する。D/A変換部13は、周波数選択部12で選択された周波数帯域の音波の波形を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。音響再生器14は、例えばスピーカ等であり、D/A変換部13で変換されたアナログ信号の音波の波形を、音声として出力する。その他の構成および機能は、上述した
図1と同様なので、説明を省略する。
【0034】
以下、この発明の実施の形態2に係る切削工具の異常検出装置の動作について説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の動作については、説明を省略する。
【0035】
ティーチングモードにおいて、センサ4で加工中の音波が収音される。収音された音波は、ウェーブレット変換処理部7で、複数の周波数帯域の音波に分割される。分割された複数の周波数帯域の音波は、周波数選択部12で、周波数帯域毎に時間軸波形として表示され、波形として振幅の変化を目視で確認することができる。
【0036】
周波数選択部12の再生周波数選択機能で、任意の周波数帯域を選択することにより、選択された周波数帯域の音波の波形のみが、D/A変換部13で、デジタル信号からアナログ信号に変換され、音声として音響再生器14から出力されて、再生音を聴くことができる。
【0037】
また、周波数選択部12の判定用閾値選択機能で、音声の再生によって判定処理に不要と判断された周波数帯域を選択する。これにより、選択された周波数帯域の判定用閾値は、判定用データ保存部9から削除される。
【0038】
このように、ティーチングモードにおいて、ウェーブレット変換処理部7で複数の周波数帯域に分割された音波を、音声として再生して聴官で確認し、判定処理に不要な周波数帯域を周波数選択部12で選択することにより、判定用データ保存部9に保存される実効値および判定用閾値の周波数帯域を集約し、切削工具2の異常検出と関係がない音波の周波数帯域を排除することで、異常検出の精度を向上させて、演算処理速度を向上させることができる。
【0039】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、加工機が加工中に発生した音波の特徴量に基づいて、切削工具2の異常検出を実行した。この実施の形態3では、切削工具2を駆動回転する主軸モータに流れる電流を測定し、電流の大きさが電流閾値よりも大きくなった場合に、異常と判定することができる。
【0040】
図3は、この発明の実施の形態3に係る切削工具の異常検出装置を加工機とともに示す構成図である。
図3において、この切削工具の異常検出装置は、
図2に示した切削工具の異常検出装置に加えて、電流測定器21および第2演算処理部22を備えている。なお、
図1に示した切削工具の異常検出装置に、電流測定器21および第2演算処理部22を追加してもよい。
【0041】
電流測定器21は、切削工具2と接続された主軸を駆動回転させる主軸モータに流れる電流を測定する。第2演算処理部22は、電流測定器21で測定された電流の波形から実効値を算出する。その他の構成および機能は、上述した
図2と同様なので、説明を省略する。
【0042】
以下、この発明の実施の形態3に係る切削工具の異常検出装置の動作について説明する。なお、上述した実施の形態1、2と同様の動作については、説明を省略する。
【0043】
まず、ティーチングモードについて説明する。ティーチングモードは、ワークの材質や切削工具の種類、加工形状等が変更され、新しいロットを加工する最初の段階において実行される。
【0044】
最初に、加工機本体1に切削工具2を取り付け、加工対象ワーク3をセットする。続いて、切削工具の異常検出装置のモードをティーチングモードに設定し加工を開始する。加工を開始すると、切削工具2がモータによって駆動回転し、加工対象ワーク3に対して加工が開始される。
【0045】
加工開始のトリガー信号により、電流測定器21で主軸モータに流れる電流が測定される。電流測定器21で測定された電流の波形から、第2演算処理部22で実効値が算出される。第2演算処理部22で算出された電流波形の実効値に基づいて算出された電流閾値が、判定用データ保存部9に保存される。
【0046】
次に、加工実行モードについて説明する。加工実行モードでは、最初に、ティーチングモードで使用したものと同じ加工機本体1に同じ切削工具2を取り付け、同じ材質、加工形状の加工対象ワーク3をセットする。続いて、切削工具の異常検出装置のモードを加工実行モードに設定し加工を開始する。加工を開始すると、切削工具2がモータによって駆動回転し、加工対象ワーク3に対して加工が開始される。
【0047】
加工開始のトリガー信号により、電流測定器21で加工開始から加工終了までの主軸モータに流れる電流が測定される。電流測定器21で測定された電流の波形から、第2演算処理部22で実効値が算出される。判定処理部10では、第2演算処理部22で算出された電流波形の実効値と、ティーチングモードにおいて判定用データ保存部9に保存された電流閾値とが比較される。
【0048】
第2演算処理部22で算出された実効値が、判定用データ保存部9に保存された電流閾値の幅よりも大きいか、または小さい場合に、判定処理部10から警報出力部11にアラーム信号を出力し、警報出力部11からオペレータに切削工具2の異常が通知される。
【0049】
また、加工中に加工径等の加工形状が変化するような加工パターンでは、加工形状の変化によって、負荷電流が変化することがある。このような場合には、音波と同様に、加工開始から加工終了までの間に測定された電流の波形に対して、第2演算処理部22において、加工開始から加工終了までの時間を短時間で区切って、短時間毎の電流波形の実効値を算出する。
【0050】
ティーチングモードにおいて、算出された短時間毎の電流波形の実効値に基づいて電流閾値を算出し、加工実行モードにおいても、ティーチングモードで区切った時間と同じ間隔で、短時間毎の電流波形から実効値を算出するとともに、同じ時間帯の実効値と電流閾値とを比較して判定を行うことにより、加工中に加工パターンが変化し、負荷電流が変化するような場合であっても、切削工具2の異常を精度よく検出することができる。
【0051】
このように、切削工具2を駆動回転する主軸モータに流れる電流を測定し、電流の大きさが電流閾値よりも大きくなった場合に、異常と判定することにより、切削工具2の磨耗に伴って増大するモータ電流で、切削工具2の異常判定を行うことができるので、音圧のみで判定するよりも、切削工具2の異常を精度よく検出することができる。