(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバーは前記クッション材及び前記保温具を出し入れする開口を開閉可能な開閉手段を備え、前記開閉手段は前記カバーの前記保温具に対応する位置の周辺に設けない請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の姿勢保持具。
前記カバーは前記クッション材と略同形に形成されて前記開口を有する第1のカバーと、前記開口を覆う平板状の第2のカバーと、を備え、前記開閉手段は第1のカバーと第2のカバーとを開閉可能である請求項5に記載の姿勢保持具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1のポジショナーは防水加工が施されているもののポジショナーの表面に水滴が付着することは防げない。この水滴は浴槽内の水であるため付着時には40℃前後の湯水であるが、ポジショナーが浴槽から引き上げられて入浴者の交代作業を行っている間に冷めてしまう。従って、二人目以降の入浴者は入浴前に表面が冷たいポジショナーに接することになり、不快感を与える可能性がある。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑み、使用者に不快感を与えない姿勢保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の姿勢保持具は、クッション材と、前記クッション材を収容するカバーと、前記クッション材と前記カバーとの間に配される保温具と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また上記構成の姿勢保持具において、前記クッション材は透水性を有することが望ましい。
【0009】
また上記構成の姿勢保持具において、前記クッション材は少なくとも2層のクッション材層から構成され、各クッション材層はクッション材層毎に太さの異なる繊維材を主として構成されることが望ましい。
【0010】
また上記構成の姿勢保持具において、前記保温具は太さの細い繊維材を主として構成されるクッション材層と前記カバーとの間に配されることが望ましい。
【0011】
また上記構成の姿勢保持具において、前記カバーは前記クッション材及び前記保温具を出し入れする開口を開閉可能な開閉手段を備え、前記開閉手段は前記カバーの前記保温具に対応する位置の周辺に設けないことが望ましい。
【0012】
また上記構成の姿勢保持具において、前記カバーは前記クッション材と略同形に形成されて前記開口を有する第1のカバーと、前記開口を覆う平板状の第2のカバーと、を備え、前記開閉手段は第1のカバーと第2のカバーとを開閉可能であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
姿勢保持具が保温具を備えているので姿勢保持具に接触した使用者が感じる冷たさを軽減することができ、不快感を与えることがない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施形態の姿勢保持具について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために姿勢保持具の一例を示すものであって、本発明の姿勢保持具を以下の姿勢保持具に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の姿勢保持具にも等しく適応し得るものである。
【0016】
図1〜
図4は夫々本実施形態の姿勢保持具の外観を示す斜視図、平面図、背面図、側面図である。
図5は本実施形態の姿勢保持具の側面断面図である。
図6はクッション材層の積層構造を示す図である。
図7は開閉手段が開状態の姿勢保持具を示す斜視図である。姿勢保持具1は例えば椅子に座る被介護者の体の角度を一定の角度で保持する用途で使用される。具体的な使用例としては背中が曲がっている被介護者と椅子の背もたれとの隙間を埋めて安定して座らせることがある。また、姿勢保持具1は例えばストレッチャーやベッドなどに仰臥する被介護者の体の角度を一定の角度で保持する用途で使用される。具体的な使用例としては入浴者の体を一定の角度で保持して洗いやすくしたり、褥瘡を患う被介護者の患部がベッドやストレッチャーに接触しないような姿勢で保持したりすることがある。
【0017】
姿勢保持具1は略直角三角柱状に形成される。姿勢保持具1はクッション材2、クッション材2を収容するカバー3、及び、クッション材2とカバー3の間に配される保温具4を備える。
【0018】
クッション材2は繊維材が三次元状に絡み合って構成される透水性を有する構造体である。クッション材2は主として細い繊維材である第1の繊維材から構成される第1のクッション材層21と主として第1の繊維材よりも太い第2の繊維材から構成される第2のクッション材層22を有する。
【0019】
被介護者の姿勢を保持するためには弾力性を有するクッション材にする必要がある。そこで第2のクッション材層22は太い繊維材である第2の繊維材により構成することで弾力性及び耐久力を確保している。一方で本実施形態の姿勢保持具1は自力で体の姿勢を変えたり、姿勢保持具1の位置を動かしたりすることが困難或いは不可能な者に使用されることが想定される。従って、介護者が被介護者のどの部分に姿勢保持具1を当てたとしても痛さを感じることがないように弾力性及び耐久性と共に柔軟性が必要となる。そこで細い繊維材である第1の繊維材から構成される第1のクッション材層21を第2のクッション材層22の上方に配して被介護者の背中が第1のクッション材層21に接触するように構成する。これによりクッション材2は被介護者の姿勢を保持する弾力性を有すると共に被介護者に対して不快感を与えないクッション材となる。
【0020】
第1の繊維材と第2の繊維材の素材及び太さは特に限られるものではないが、本実施形態では第1の繊維材及び第2の繊維材の素材として弾力性のあるポリエステル繊維材を用いており、各繊維材の太さは第1の繊維材の太さが0.3〜0.4mm、第2の繊維材の太さが0.8〜1.0mm程度である。
【0021】
なお、本実施形態では略直角三角柱状に形成した第2のクッション材層22の上面に鈍角を有する三角形を底面とする三角柱状に形成した第1のクッション材層21を接着剤で貼付することによりクッション材2全体の形状を略直角三角柱状に形成しているが、各クッション材層の形状はこれに限られるものではなく適宜変更することとしてもよい
【0022】
また、クッション材2及び各クッション材層は複数の層から構成されることとしてもよく、例えばクッション材2は3層のクッション材層から構成され、各クッション材層が夫々太さの異なる繊維材を主と構成されることとしてもよい。また、
図6に示すように第2のクッション材層22が略台形柱状に形成した下側クッション材層221と下側クッション材層221の上方に貼付される略直角三角柱状に形成した上側クッション材層222とから構成されることとしてもよい。
【0023】
クッション材2における第1のクッション材層21と第2のクッション材層22の占める割合は反発力を確保するために第2のクッション材層22のほうが多くなるように形成される。具体的に例示すれば
図6に示すクッション材2において第1のクッション材層21の最も高い部分の高さH1は2cm、傾斜辺の長さL1は24cmに形成される。また
、第2のクッション材層22の高さH2は11cm、奥行D1は21cmに形成される。さらに、クッション材層2の横幅D2(
図2、
図3参照)は34cmに形成される。
【0024】
つまり、第1のクッション材層21の底面である三角形OPQの面積と第2のクッション材層22の底面である三角形QPRの面積の比は2:11である。また、横幅方向の長さは同一の長さ(横幅D2)に形成されるので、第1のクッション材層21と第2のクッション材層の体積比も2:11となり、クッション材層2において第2のクッション材層22が占める割合が第1のクッション材層21が占める割合よりも大きい。
【0025】
カバー3はクッション材2と略同形に形成される袋部材である。本実施形態のカバー3はクッション材2及び保温具4を出し入れするための開口3aを有してクッション材2と略同形に形成される第1のカバー31と、開口3aを覆う平面状の第2のカバー32から構成される。第1のカバー31と第2のカバー32の縁部には線ファスナー5が取り付けられて線ファスナー5が閉められることで第2のカバー32が開口3aを蓋し、線ファスナー5が開けられることで開口3aが開放される。つまり線ファスナー5は開口3aを第2のカバー32によって開閉するための開閉手段を構成する。
【0026】
線ファスナー5はカバー3の底面(姿勢保持具1において被介護者が接触する面とは反対側の面)であって、前辺(姿勢保持具1において被介護者が接触する下端の辺)以外の三辺(3b、3c、3d。なお、各図において側辺3cは図示していないがカバー3において側辺3bと横幅方向(
図7に示す矢印A方向)に対向する辺である)に沿って略コ字状に設けられる。また、線ファスナー5において側辺3b及び3cに沿って設けられる部分は側辺3b、3cの前端よりもやや後方(
図7の点S)から底面の後辺3dに向かって設けられる。当該構成により被介護者が姿勢保持具1を使用する際に金具である線ファスナー5が被介護者の背中にあたることによる不快感の発生を防止することができる。
【0027】
また、線ファスナー5の位置を上述したようにカバー3の底面の前辺以外の辺に沿って設けることで、クッション材2及び保温具4の出し入れが行いやすくなる。
【0028】
なお、線ファスナー5を設ける位置はこれに限られるものではなく被介護者に不快感を与えない範囲に設けることとすればよい。被介護者はクッション材2の上面(傾斜面)上に配される保温具4に対応する位置に接触するため、カバー3において保温具4に対応する位置の周辺に設けないこととすればよい。
【0029】
本実施形態では開口3aを開閉可能な開閉手段を線ファスナー5としたが開閉手段はこれに限られるものではない。例えば、スナップボタン等で構成される点ファスナーとしてもよいし、面的に着脱可能な面ファスナーとしてもよい。
【0030】
カバー3の素材は特に限られるものではないが、複数人に連続して使用されることを考慮して抗菌性、抗ウイルス性、臭いを抑制する機能を有する素材から構成することが望ましい。
【0031】
保温具4は蓄熱材と蓄熱材を包容し耐熱性を有する材質からなる扁平な袋体とから構成される。蓄熱材としては顕熱や潜熱を蓄える物質であればよく、常温における状態が固体・気体・液体のいずれであってもよい。本実施形態の保温具4は蓄熱材として、酢酸ナトリウム水溶液を主成分とする蓄熱材が使用される。酢酸ナトリウム水溶液を主成分とする蓄熱材は例えば室温20℃の環境下で40℃の湯に10分浸けておくことで、30℃程度の温度を10分程度維持することが可能である。
【0032】
従って一人目の被介護者を入浴させた後に一人目の被介護者をストレッチャーから移動させ、二人目の被介護者をストレッチャーに仰臥させるまでの時間、蓄熱材は30℃程度の温度を維持しているので、二人目の被介護者が姿勢保持具1に接触した際に感じる冷たさが軽減される。また、保温具4はクッション材2の上面に配されるものであって、クッション材2の上面の大きさは上述したように34cm×24cmであるため、蓄熱材を包容する袋体を同程度の大きさ(厚さは1cm程度)として酢酸ナトリウム水溶液を主成分とする蓄熱材を注入すると保温具4の重量は350g程度となる。
【0033】
クッション材2は透水性を有して繊維材から構成される軽いものであり、クッション材2単独では水に沈みにくいが、クッション材2の上面に約350gの保温具4が配されることにより水に沈むため入浴時に使用される姿勢保持具として好適に使用可能である。また、姿勢保持具1全体の重量としても1kg未満に抑えることができるため、介護者は被介護者の体型等に応じて容易に姿勢保持具1の位置を調整することが可能になる。
【0034】
なお、本実施形態では姿勢保持具1が入浴時に使用されることとして、湯温を利用した蓄熱材を有する保温具4とした。これにより被介護者を入浴させながら蓄熱材の温度を上昇させることができるので手間がかからず効率がよい。しかしながら蓄熱材としては湯温を利用して温度を上昇させるもの以外の蓄熱材を使用してもよい。例えば無極性分子からなるパラフィンに乳化剤を混合してゲル化した蓄熱材は電子レンジにより数分加熱することで温度が上昇して長時間の保温が可能となる。当該保温具4によれば湯に浸けることなく電子レンジにより人の体温程度の温度に温めることができ、一人目の被介護者が使用するときから温かい。従って冬場など室内環境下の温度が低い環境において入浴前から被介護者の体を温めることができる。
【0035】
本実施形態によれば、姿勢保持具が保温具を備えているので姿勢保持具に接触した被介護者が感じる冷たさを軽減することができ、不快感を与えることがない。
【0036】
また、クッション材は透水性を有するので、入浴時に好適に使用可能である。また、水を吸って重くなることがない。
【0037】
また、クッション材はクッション材は少なくとも2層のクッション材層から構成され、各クッション材層はクッション材層毎に太さの異なる繊維材を主として構成される。太さの太い繊維材を主として構成されるクッション材層は弾力性及び耐久性を有し、太さの細い繊維材を主として構成されるクッション材層は柔軟性を有する。従って弾力性及び耐久性を有して姿勢保持具として好適に使用できる上に、柔軟性により被介護者に柔らかさを感じさせることができるので被介護者に不快感を与えることがない。
【0038】
また、保温具は太さの細い繊維材を主として構成されるクッション材層とカバーとの間に配されるので、被介護者に対して温かさをより直接的に感じさせることができる。
【0039】
また、カバーはクッション材及び保温具を出し入れする開口を開閉可能な開閉手段を有しており、その開閉手段がカバーの保温具に対応する位置の周辺に設けられないので、被介護者が開閉手段に接触することが防がれるので被介護者に不快感を与えることがない。
【0040】
また、カバーはクッション材と略同形に形成されて開口を有する第1のカバーと、開口を覆う平板状の第2のカバーと、を備えている。第1のカバーをクッション材と略同形でとすることで特にクッション材(及び保温具)を第1のカバー内に収容する際にクッション材がしっかりと第1のカバー内に嵌るので収容しやすい。
【0041】
<補足>
上記実施形態で姿勢保持具1の形状を略直角三角柱状としたが、姿勢保持具1の形状はこれに限られるものではなく、傾斜面を有する立体形状であればよい。例えば、直角を有しない三角形を底面とする三角柱状であってもよいし、
図8に示すように略台形柱状であってもよい。すなわち人の背中は脊柱(背骨)部分が最も突出して側方(横腹方向)に向かって傾斜する形状を有している。また、脊椎は頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎からなるが、このうち脊椎の中で大きな割合を占める胸椎は後彎に相当するカーブを有している。また高齢者は胸椎が生理的な曲がりよりも大きく曲がった、いわゆる円背の人が多く、背中の中央部が最も突出して上方(首方向)に向かって傾斜する形状を有していることが多い。従って、姿勢保持具1が傾斜面を有する立体形状であれば被介護者の負担を最小限に留めた上で被介護者の姿勢を保持することが可能となる。
【0042】
この場合クッション材2を構成する第1のクッション材層21と第2のクッション材層22は例えば
図9に示すように、略直角三角柱状に形成した第2のクッション材層22の上面に平行四辺形を底面とする角柱状に形成した第1のクッション材層21を接着剤で貼付することによりクッション材2全体の形状を略台形柱状に形成する。