特許第6170343号(P6170343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170343
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】電力供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/26 20060101AFI20170713BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20170713BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20170713BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20170713BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   B60W10/26 900
   B60K6/48ZHV
   B60K6/54
   B60W20/00 900
   B60L11/18 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-113606(P2013-113606)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-231324(P2014-231324A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 壮
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−328530(JP,A)
【文献】 特開2008−082275(JP,A)
【文献】 特開2006−194144(JP,A)
【文献】 特開2000−110602(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/143260(WO,A1)
【文献】 特開2007−129799(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0061561(US,A1)
【文献】 特開2009−280096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/50
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
F02D 43/00 − 45/00
F02D 29/00 − 29/06
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両の動力源となる第1モータジェネレータ、および、該第1モータジェネレータで生成された電力を蓄積する第1バッテリを含み、制御機器に電力を供給する第1電源回路と、
前記ハイブリッド車両における前記第1モータジェネレータ以外の動力源であるエンジンに連結された第2モータジェネレータ、および、該第2モータジェネレータで生成された電力を蓄積する第2バッテリを含む第2電源回路と、
前記第1電源回路と前記第2電源回路とを開閉可能に接続するリレー回路と、
前記リレー回路の2つの接点の電圧をそれぞれ検知する2つの電圧センサと、
前記リレー回路の開閉状態の切り替えを要する場合に、前記2つの電圧センサで検知された電圧の差が所定値未満となるように前記第2モータジェネレータの出力電圧を制御した後、前記リレー回路の開閉状態を切り替える電圧制御部と、
を備えることを特徴とする電力供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源としてエンジンと走行用モータを備えたハイブリッド車両の電力供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンと走行用モータといった、独立して動作可能な異なる複数の動力源を持つハイブリッド車両の開発が進められている。ハイブリッド車両では、例えば、エンジンのトルクが得られない低速走行時には走行用モータによって車両の加速を支援したり、制動時や減速時には走行用モータを発電機として機能させエネルギーを回収したりすることで、エネルギーを有効利用し、燃費を抑えることができる。
【0003】
また、このようなハイブリッド車両においてエンジンに不具合が生じると、補機用バッテリの電力(電圧)を昇圧して走行用モータの電力供給源である高電圧バッテリに送電し、走行用モータのみで車両を走行させる技術も開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−129799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車等の車両には、燃費や排気ガスの低減や騒音の抑制を目的として、信号待ちや渋滞などで車両が停止すると自動的にエンジンを停止し、また、エンジンの作動が必要になるとエンジンを再始動する所謂アイドルストップ機能が採用されている場合がある。かかるエンジンの再始動には、ISG(Integrated Starter Generator)が用いられるが、アイドルストップ機能が頻繁に動作すると、エンジンの始動停止も頻繁に生じ得る。このとき、ISGの電力を補機用バッテリから直接受電するとなると、ISGへの電力供給に伴う電圧降下によって他の制御機器に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
そこで、補機用バッテリや、走行用モータの電力を制御機器で受電可能な電力に変換するコンバータ等で構成される補機用電源回路と別に、ISG専用のISG用バッテリを設け、ISGやISG用バッテリ等で構成されるISG用電源回路を上記補機用電源回路と電気的に切り離すことで、他の制御機器への影響を回避することが可能となる。
【0007】
ところで、ハイブリッド車両における各種制御機器は、その制御機器の電力供給源である補機用バッテリやコンバータが不調の場合であっても、動作し続けなければならない。すなわち、制御機器は、電力を受電し続けなければならない。そこで、補機用バッテリやコンバータが不調の場合に、普段、補機用電源回路とは電気的に切り離されたISG用電源回路を一時的に補機用電源回路に接続することで、制御機器は、ISG用電源回路の電力を補助的に受電することが可能となる。
【0008】
しかし、補機用バッテリやコンバータの電力が有効な間に、補機用電源回路とISG用電源回路とを、リレー回路を通じて単純に開閉すると、リレー回路の可動接点と固定接点との間の電位差によってアークが生じ、接点同士が溶着したり、ISG側でロードダンプが生じたりして、リレー回路を正常に動作させることができない等の問題が生じ得る。だからといって、制御機器とISG用電源回路とを接続する前に、予め補機用電源回路を電気的に切り離すと、制御機器への電力供給が途切れてしまう。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、リレー回路を適切に開閉することでISG用電源回路の有効利用が可能な電力供給ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の電力供給ユニットは、ハイブリッド車両の動力源となる第1モータジェネレータ、および、第1モータジェネレータで生成された電力を蓄積する第1バッテリを含み、制御機器に電力を供給する第1電源回路と、ハイブリッド車両における第1モータジェネレータ以外の動力源であるエンジンに連結された第2モータジェネレータ、および、第2モータジェネレータで生成された電力を蓄積する第2バッテリを含む第2電源回路と、第1電源回路と第2電源回路とを開閉可能に接続するリレー回路と、リレー回路の2つの接点の電圧をそれぞれ検知する2つの電圧センサと、リレー回路の開閉状態の切り替えを要する場合に、2つの電圧センサで検知された電圧の差が所定値未満となるように第2モータジェネレータの出力電圧を制御した後、リレー回路の開閉状態を切り替える電圧制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リレー回路を適切に開閉することでISG用電源回路の有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電力供給ユニットの駆動系統を示した機能ブロック図である。
図2】電力供給ユニットの電気系統を示した機能ブロック図である。
図3】リレー回路を閉状態に切り替える場合の電圧制御部の動作を説明したフローチャートである。
図4】リレー回路を開状態に切り替える場合の電圧制御部の動作を説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
自動車等の車両では、エンジン等の駆動機構により動力が得られ、ステアリングホイールやブレーキペダルを通じた運転者の操作により車両の操舵や制動が実行される。さらに、ハイブリッド車両では、エンジンと走行用モータといった、独立して動作可能な異なる複数の動力源が用いられ、両者の特性を活かして車両を効率的に走行させることができる。以下、このようなハイブリッド車両1を制御する電力供給ユニット2の駆動系統と電気系統とをその順に説明する。
【0016】
(電力供給ユニット2の駆動系統)
図1は、電力供給ユニット2の駆動系統を示した機能ブロック図である。電力供給ユニット2には、エンジン10と、出力軸12と、走行用モータ(第1モータジェネレータ)14と、クラッチ16と、変速機18とが含まれる。本実施形態のハイブリッド車両1は、所謂パラレルハイブリッドに相当し、主としてエンジン10を動力源として出力軸12を回動し、三相交流式の走行用モータ14は、動力源ではあるものの、あくまでエンジン10を補助する役割を担う。
【0017】
ただし、発進時や加速時等、エンジン10の回転数が高まらない低速走行時には、エンジン10のパワーやトルクが上がらないため、クラッチ16が解放され、走行用モータ14のみが動力源として用いられる。また、発進時や加速時等以外であっても、ハイブリッド車両1の走行モードをEVモードに設定し、クラッチ16を解放することで、走行用モータ14のみで走行することが可能となる。
【0018】
変速機18は、クラッチ16を介してエンジン10と連結され、エンジン10の動力を、回転速度やトルクを変換しつつ出力軸12に伝達する。
【0019】
本実施形態の電力供給ユニット2は、このようなハイブリッド車両1に搭載されることを前提に、車両内に配されたバッテリ同士の接続関係を工夫することで、各制御機器の電力供給源が不調の場合であっても、制御機器に安定的に電力を供給することが可能となる。
【0020】
(電力供給ユニット2の電気系統)
図2は、電力供給ユニット2の電気系統を示した機能ブロック図である。電力供給ユニット2には、上述した駆動系統に属する構成に加え、高電圧インバータ30と、高電圧バッテリ32と、DCDCコンバータ34と、補機用バッテリ(第1バッテリ)36と、制御機器38と、ISG(第2モータジェネレータ)40と、ISGインバータ42と、ISG用バッテリ(第2バッテリ)44と、リレー回路46と、電圧制御部48と、第1電圧センサ50と、第2電圧センサ52とが含まれる。ここで、DCDCコンバータ34と補機用バッテリ36とは、制御機器38に電力を供給する補機用電源回路(第1電源回路)60として機能し、ISG40とISG用バッテリ44とはISG用電源回路(第2電源回路)62として機能する。
【0021】
高電圧インバータ30は、走行用モータ14を動力源として用いている間、高電圧バッテリ32の高電圧(例えば200V)の直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を走行用モータ14に供給する。高電圧バッテリ32は例えばリチウムイオンバッテリで構成される。
【0022】
また、ハイブリッド車両1の制動時や減速時には、走行用モータ14が発電機として機能し、高電圧インバータ30は、走行用モータ14から出力された交流電力を高電圧の直流電力に変換する。変換された電気エネルギーは、高電圧バッテリ32に蓄電されるか、さらに、DCDCコンバータ34を介して例えば電圧が12Vに降圧され(補機用バッテリ36に蓄積可能な電力に変換し)、補機用バッテリ36に蓄電される。ここで、補機用バッテリ36は鉛蓄電池で構成される。補機用バッテリ36に蓄積された電力は、DCDCコンバータ34から出力される電力とともに制御機器38に供給される。ここで、制御機器38は、走行用モータ14、エンジン10、各バッテリ(高電圧バッテリ32、補機用バッテリ36、ISG用バッテリ44等)、ISG40、および、車両全体等、ハイブリッド車両1を統括的に制御する制御回路や、電動パワーステアリング、補機類等の各機器を含む。
【0023】
本実施形態では、高電圧バッテリ32と別体に補機用バッテリ36を設けることで、DCDCコンバータ34の出力の変動に拘わらず、補機用バッテリ36から制御機器38に安定して電力を供給することができる。
【0024】
ISG40は、エンジン10の回転軸10aに直接またはプーリ機構を介して連結され、電動機として機能させることで、エンジン10を始動するスタータモータの役を担う。また、ISG40は、エンジン10が始動した後はエンジン10の回転エネルギーを電気エネルギーとして回収する発電機として機能する。
【0025】
ISG40を発電機として機能させる場合、ISG40のフィールドコイルに界磁電流を供給し、三相交流の誘起電流を生じさせる。そして、フィールドコイルの界磁電流を、レギュレータ等を通じて調整することで、ISG40の発電電圧、すなわち、ISGインバータ42の出力電圧を可変することができる。こうして、回収された電気エネルギーは、ISGインバータ42を介して電圧が12Vに降圧され、ISG用バッテリ44に蓄電される。ISG用バッテリ44は鉛蓄電池である。
【0026】
ここでは、ISG40やISG用バッテリ44を含むISG用電源回路62と、制御機器38や補機用バッテリ36を含み制御機器38に電力を供給する補機用電源回路60とを電気的に切り離すことで、ISG40への電力供給に伴う電圧降下によって、補機用電源回路60に接続された制御機器38に影響を及ぼすことを回避することが可能となる。
【0027】
リレー回路46は、補機用電源回路60とISG用電源回路62とを開閉可能に接続する。ここでは、電気的に切り離されたISG用電源回路62と補機用電源回路60とを、リレー回路46を通じて電気的に接続することで、ISG用電源回路62の電力を制御機器38に補助的に供給することが可能となる。こうして、補機用バッテリ36やDCDCコンバータ34が不調の場合であっても制御機器38には電力を供給し続けることができる。
【0028】
ただし、補機用バッテリ36やDCDCコンバータ34の電力が有効な間に、補機用電源回路60とISG用電源回路62とを、リレー回路46を通じて単純に開閉すると、リレー回路46を正常に動作させることができない等の問題が生じ得る。例えば、補機用電源回路60とISG用電源回路62との電気的接続を開状態(OFF)から閉状態(ON)に単純に切り替えると、リレー回路46の可動接点と固定接点との間の電位差によってアークが生じ、接点同士が溶着するおそれがある。また、補機用電源回路60とISG用電源回路62との電気的接続を閉状態から開状態に単純に切り替えると、ISG40の負荷が急激に減り、リレー回路46のISG40側で所謂ロードダンプが生じ得る。そこで、本実施形態では、以下の電圧制御部48を設けている。
【0029】
電圧制御部48は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、各種センサの値を読み出して電力供給ユニット2全体を制御する。例えば、電圧制御部48は、リレー回路46の開閉状態の切り替えを要する機会が生じると、リレー回路46の補機用電源回路60側の接点の電圧を検知する第1電圧センサ50や、リレー回路46のISG用電源回路62側の接点の電圧を検知する第2電圧センサ52の電圧値を読み出す。そして、電圧制御部48は、第1電圧センサ50と第2電圧センサ52で検知された電圧の差(リレー回路46の2つの接点の電位差)が所定値(例えば0.2V)未満となるように制御する。その後、電圧制御部48は、リレー回路46の開閉状態を切り替える。以下、リレー回路46を開状態から閉状態に切り替える場合と、閉状態から開状態に切り替える場合とに分けて、電圧制御部48の詳細な動作を説明する。
【0030】
(リレー回路46開状態→閉状態)
図3は、リレー回路46を閉状態に切り替える場合の電圧制御部48の動作を説明したフローチャートである。補機用バッテリ36やDCDCコンバータ34の不調を検知すると、電圧制御部48は、DCDCコンバータ34の出力電圧を現在設定されている値(例えば、12V)に固定し(S200)、第1電圧センサ50の電圧値を読み出す(S202)。
【0031】
そして、電圧制御部48は、ISGインバータ42の出力電圧が第1電圧センサ50で読み出した電圧値となるように、ISG40の出力電圧の目標値を設定する(S204)。そして、電圧制御部48は、第1電圧センサ50および第2電圧センサ52のその時点の電圧値を読み出し(S206)、その電位差が所定値未満であるか否か判定する(S208)。その結果、所定値以上であれば(S208におけるNO)、ISG40の出力電圧を電位差が小さくなる方向に予め定められた値だけ増減し(S210)、センサ読み出しステップ(S206)からを繰り返す。
【0032】
第1電圧センサ50および第2電圧センサ52の電位差が所定値未満であれば(S208におけるYES)、接点間に大電流が流れるのを回避できたとして、リレー回路46を開状態から閉状態に切り替え、補機用電源回路60とISG用電源回路62とを電気的に接続し(S212)、DCDCコンバータ34の出力を停止する(S214)。こうして、接点同士が溶着することなく、ISG用電源回路62から制御機器38に電力を供給することができる。
【0033】
(リレー回路46閉状態→開状態)
図4は、リレー回路46を開状態に切り替える場合の電圧制御部48の動作を説明したフローチャートである。リレー回路46が閉状態となっている間に、補機用バッテリ36やDCDCコンバータ34の不調が解消されると、以下の手順でリレー回路46が開状態に切り替えられる。
【0034】
まず、リレー回路46を開状態に切り替え得る条件が整うと、電圧制御部48は、ISG40の出力電圧を現在設定されている値(例えば、12V)に設定し(S250)、第2電圧センサ52の電圧値を読み出す(S252)。
【0035】
そして、電圧制御部48は、DCDCコンバータ34の出力電圧が第2電圧センサ52で読み出した電圧値となるように、DCDCコンバータ34の出力電圧の目標値を設定し、DCDCコンバータ34の動作を開始して電圧を固定する(S254)。そして、電圧制御部48は、第1電圧センサ50および第2電圧センサ52のその時点の電圧値を読み出し(S256)、その電位差が所定値未満であるか否か判定する(S258)。その結果、所定値以上であれば(S258におけるNO)、電位差が小さくなる方向にISG40の出力電圧を予め定められた値だけ増減し(S260)、センサ読み出しステップ(S256)からを繰り返す。
【0036】
第1電圧センサ50および第2電圧センサ52の電位差が所定値未満であれば(S258におけるYES)、制御機器38の電源を補機用バッテリ36もしくはDCDCコンバータ34で賄える、すなわち、制御機器38の電源をISG40から供給しなくてよい(電流0)として、リレー回路46を閉状態から開状態に切り替え、補機用電源回路60とISG用電源回路62とを電気的に切り離す(S262)。
【0037】
こうして、ロードダンプが生じることなく、ISG用電源回路62を補機用電源回路60から切り離し、ISG40への電力供給に伴う電圧降下に拘わらず、DCDCコンバータ34や補機用バッテリ36による制御機器38の安定稼働を実現することが可能となる。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態では、リレー回路46を適切に開閉することで、リレー回路46の溶着やロードダンプ等を回避しつつ、制御機器38に対するISG用電源回路62を有効利用することが可能となる。
【0039】
また、コンピュータを、電力供給ユニット2として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、補機用バッテリ36やDCDCコンバータ34が不調に陥った場合に、ISG用電源回路62の電力を補助的に制御機器38に供給する例を挙げて説明しているが、ISG用バッテリ44が不調な場合のエンジン10の始動時に、補機用電源回路60の電力を補助的にISG40に供給してもよい。
【0042】
なお、本実施形態のリレー回路46の開閉に関する各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、動力源としてエンジンと走行用モータを備えたハイブリッド車両の電力供給ユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ハイブリッド車両
2 電力供給ユニット
10 エンジン
14 走行用モータ(第1モータジェネレータ)
34 DCDCコンバータ
36 補機用バッテリ(第1バッテリ)
38 制御機器
40 ISG(第2モータジェネレータ)
44 ISG用バッテリ(第2バッテリ)
46 リレー回路
48 電圧制御部
50 第1電圧センサ
52 第2電圧センサ
60 補機用電源回路(第1電源回路)
62 ISG用電源回路(第2電源回路)
図1
図2
図3
図4