(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
塵芥収容箱と、当該塵芥収容箱の後方に連接し、塵芥の投入口及び当該投入口から投入された塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させる積込装置を有する塵芥投入箱と、を備えた塵芥収集車であり、
前記積込装置は、
前記塵芥投入箱内に位置し、油圧による駆動力を受けて当該塵芥投入箱の幅方向に延びる支持軸を中心に回転する回転板と、
前記塵芥投入箱内に位置し、前記塵芥投入箱の内部にて前記回転板により押し上げられた塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させるべく、前後方向に移動する押込板と、
少なくとも前記回転板の回転に関する制御を行う制御部と、
前記回転板の暖気運転を行うために作業者が操作する暖気モードスイッチと、を備え、
前記回転板は、前記駆動力を生じさせる油圧回路が有する油圧バルブの流路の切り換えにより、一方の回転方向への回転、他方の回転方向への回転、停止のいずれかの状態とされ、
前記制御部は、作業者による前記暖気モードスイッチの投入後、塵芥の積み込み作業中や、他の指示による前記回転板または前記押込板の移動中である場合を除き、前記回転板が前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する塵芥収集車。
前記制御部は、前記回転板の前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作を、前記塵芥投入箱内における、少なくとも前記投入口の上縁部と下縁部との間の投入口側領域内に前記回転板の先端部が位置しないように前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する請求項1に記載の塵芥収集車。
前記制御部は、前記回転板の、前記対向領域にて前記投入口側領域の周方向における一端から遠ざかる方向への移動の方が、前記一端に近づく方向への移動よりも大きくなるよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する請求項3に記載の塵芥収集車。
前記制御部は、まず、前記対向領域における周方向のいずれか一端に前記回転板を移動させ、前記移動の後に、前記対向領域にて前記投入口側領域の周方向における一端から遠ざかる方向への移動と、前記一端に近づく方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する請求項4に記載の塵芥収集車。
塵芥収容箱と、当該塵芥収容箱の後方に連接し、塵芥の投入口及び当該投入口から投入された塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させる積込装置を有する塵芥投入箱と、を備えた塵芥収集車の、前記積込装置の動作に関する制御を行う制御装置であり、
前記積込装置は、
前記塵芥投入箱内に位置し、油圧による駆動力を受けて当該塵芥投入箱の幅方向に延びる支持軸を中心に回転する回転板と、
前記塵芥投入箱内に位置し、前記塵芥投入箱の内部にて前記回転板により押し上げられた塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させるべく、前後方向に移動する押込板と、
前記回転板の暖気運転を行うために作業者が操作する暖気モードスイッチと、を備え、
前記回転板は、前記駆動力を生じさせる油圧回路が有する油圧バルブの流路の切り換えにより、一方の回転方向への回転、他方の回転方向への回転、停止のいずれかの状態とされ、
前記制御装置は、作業者による前記暖気モードスイッチの投入後、塵芥の積み込み作業中や、他の指示による前記回転板または前記押込板の移動中である場合を除き、前記回転板が前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する塵芥収集車の制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収容箱と、作業者等により後方から投入された塵芥を一時的に保持し、前記塵芥収容箱の内部へと塵芥を移動させる塵芥投入箱(「テールゲート」とも呼ばれる)とを備えた塵芥収集車が備える積込装置が知られている。この積込装置は、例えば特許文献1に示されている。
【0003】
従来の積込装置は、例えば
図9(a)に示すように、油圧による駆動力を受けて塵芥投入箱101内にて回転する回転板102と、
図9(b)に示すように、この回転板102によって前記塵芥投入箱101内にて押し上げられた塵芥Dを前方へ押すべく、前後方向に揺動する押込板103とを備える。回転板102の回転範囲と押込板103の揺動範囲とは一部重なり合っており、前記両者が協働することで、投入された塵芥Dを塵芥収容箱104に移動させ、塵芥を塵芥収容箱104に圧縮して収納できる。
【0004】
作業者等により塵芥投入箱101に投入された塵芥Dは、
図9(b)に示すように、回転する回転板102によって塵芥投入箱101の内部における、支持軸102aを基準とした前部領域内を上昇させられる。塵芥Dを上昇させた状態で、回転板102は
図9(c)に示した位置で一旦停止する。そして、この上昇させられた塵芥Dは前方へと揺動する押込板103によって塵芥収容箱104に押し込まれる。
【0005】
前記のように回転板102は、油圧モータ等の、油圧による駆動力を受けて塵芥投入箱101を幅方向に延びる支持軸102aを中心に回転する。前記油圧による駆動力は制御部によって制御される。なお、特許文献1の第1図には押込板用の油圧回路が記載されているが、回転板用の油圧回路も同様の構成である。
【0006】
ここで、前記回転板用の油圧回路は、例えば、前記回転板102を回転させるための前記駆動力を発生させる油圧モータと、作動油を保持できる作動油タンクと、作動油タンクと油圧モータとを接続する油圧配管と、油圧配管に対して圧力をかけて作動油を供給する油圧ポンプと、流路の切り換えを行うことにより、油圧モータへの作動油の供給を調整できる油圧バルブとを備える。前記油圧バルブは、当該油圧バルブ内を移動することで、前記流路の切り換えを行うことのできる弁体(スプール)を備える。
【0007】
ところが、冬期等の寒冷時においては、油圧回路が冷却されているために当該油圧回路内における作動油の粘性が高くなっている。よって、例えば始動時に油圧回路中の油圧バルブ(電磁弁等)の反応も鈍くなっている。このため、制御部が回転板102を
図9(c)に示した位置で停止させるべく、油圧バルブを制御する信号を発しても、温暖時に比べると油圧バルブにおける流路の切り換えがされにくい。具体的には、油圧バルブに内蔵された弁体(スプール)が油圧バルブ内を移動しにくい。このため、当該移動が完了するまでにタイムラグ(遅れ)が生じる。この結果、回転板102が前記一旦停止する本来の位置(
図9(c)に示した位置)を越えた位置まで回転してしまう。そうなると、
図9(d)に示すように、回転板102に対して押込板103が干渉する不都合が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、寒冷時であっても、回転板に対して押込板が干渉することなくスムーズに積込作業を行うことのできる、塵芥収集車及び塵芥収集車の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、塵芥収容箱と、当該塵芥収容箱の後方に連接し、塵芥の投入口及び当該投入口から投入された塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させる積込装置を有する塵芥投入箱と、を備えた塵芥収集車であり、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内に位置し、油圧による駆動力を受けて当該塵芥投入箱の幅方向に延びる支持軸を中心に回転する回転板と、前記塵芥投入箱内に位置し、前記塵芥投入箱の内部にて前記回転板により押し上げられた塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させるべく、前後方向に移動する押込板と、少なくとも前記回転板の回転に関する制御を行う制御部と、
前記回転板の暖気運転を行うために作業者が操作する暖気モードスイッチと、を備え、前記回転板は、前記駆動力を生じさせる油圧回路が有する油圧バルブの流路の切り換えにより、一方の回転方向への回転、他方の回転方向への回転、停止のいずれかの状態とされ、前記制御部は、
作業者による前記暖気モードスイッチの投入後、塵芥の積み込み作業中や、他の指示による前記回転板または前記押込板の移動中である場合を除き、前記回転板が前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する塵芥収集車である。
【0011】
前記構成によれば、前記制御部は、前記回転板が前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する。前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をする際に、油圧回路内の作動油は一方向と他方向とに転換して流れる。よって、時間の経過に伴い作動油の温度を上昇させて作動油の粘性を低くできる。このため前記移動を含む動作を行った後においては、油圧バルブの流路の切り換えがスムーズになるため、従来の油圧バルブのように、タイムラグ(遅れ)発生による回転板と押込板との干渉が生じることを抑制できる。
そして、塵芥の積み込み作業中、つまり、前記塵芥投入箱内に塵芥が存在する状態で前記組み合わされた動作が開始してしまい、塵芥が前記投入口から飛び出るようなことを防止できる。また、前記積み込み作業以外の動作指示による前記回転板の回転中または前記押込板の移動中に前記組み合わされた動作が開始してしまい、前記積み込み作業以外の動作が達成されなくなったり、移動する前記押込板に対し、移動する回転板が干渉したりすることを防止できる。
【0012】
また前記制御部は、前記回転板の前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作を、前記塵芥投入箱内における、少なくとも前記投入口の上縁部と下縁部との間の投入口側領域内に前記回転板の先端部が位置しないように前記油圧バルブの流路の切り換えを制御することができる。この構成によれば、塵芥の積込作業を行う作業者から離れた領域で前記移動を含む動作がなされることから、作業者から近い投入口側領域で前記移動を含む動作がなされるよりも、巻き込み等の危険性を低下させることができ安全である。
【0013】
また更に、前記回転板の回転位置を検出する検知部を備え、前記制御部は、前記塵芥投入箱内にて前記投入口側領域に対して前記支持軸を挟んで対向する対向領域に前記回転板が位置するよう、前記検知部の検知結果を基に前記油圧バルブの流路の切り換えを制御することができる。この構成によれば、塵芥の積込作業を行う作業者から離れた領域である対向領域で前記移動を含む動作がなされることから、作業者から近い投入口側領域で前記移動を含む動作がなされるよりも、巻き込み等の危険性を低下させることができ安全である。
【0014】
また更に、前記制御部は、前記回転板の、前記対向領域にて前記投入口側領域の周方向における一端から遠ざかる方向への移動の方が、前記一端に近づく方向への移動よりも大きくなるよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御することができる。この構成によれば、前記組み合わされた動作に伴い、回転板は順次前記投入口側領域の周方向における一端から遠ざかる方向へ移動していく。このため、作業者から近い投入口側領域に回転板が移動していき難いため、巻き込み等の危険性を確実に低下させることができ安全である。
【0015】
また更に、前記制御部は、まず、前記対向領域における周方向のいずれか一端に前記回転板を移動させ、前記移動の後に、前記対向領域にて前記投入口側領域の周方向における一端から遠ざかる方向への移動と、前記一端に近づく方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御することができる。
【0016】
この構成によれば、前記対向領域における周方向のいずれか一端から前記組み合わされた動作を開始できる。このため、前記のように順次前記投入口側領域の周方向における一端から遠ざかる方向へ移動していく際の前記回転板の移動可能範囲を広く取れるため、対向領域に前記回転板を戻す回数を減らすことができる。よって、効率的に作動油の粘性を低くできる。
【0019】
また本発明は、塵芥収容箱と、当該塵芥収容箱の後方に連接し、塵芥の投入口及び当該投入口から投入された塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させる積込装置を有する塵芥投入箱と、を備えた塵芥収集車の、前記積込装置の動作に関する制御を行う制御装置であり、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内に位置し、油圧による駆動力を受けて当該塵芥投入箱の幅方向に延びる支持軸を中心に回転する回転板と、前記塵芥投入箱内に位置し、前記塵芥投入箱の内部にて前記回転板により押し上げられた塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させるべく、前後方向に移動する押込板と、
前記回転板の暖気運転を行うために作業者が操作する暖気モードスイッチと、を備え、前記回転板は、前記駆動力を生じさせる油圧回路が有する油圧バルブの流路の切り換えにより、一方の回転方向への回転、他方の回転方向への回転、停止のいずれかの状態とされ、前記制御装置は、
作業者による前記暖気モードスイッチの投入後、塵芥の積み込み作業中や、他の指示による前記回転板または前記押込板の移動中である場合を除き、前記回転板が前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する塵芥収集車の制御装置である。
【0020】
この構成によれば、前記制御装置は、前記回転板が前記一方の回転方向への移動と前記他方の回転方向への移動とが組み合わされた動作をするよう前記油圧バルブの流路の切り換えを制御する。回転板が移動することにより、油圧回路内の作動油を一方向と他方向とに繰り返し転換して流すことができ、これに伴い作動油の温度を上昇させて作動油の粘性を低くできる。このため前記移動を行った後においては、油圧バルブの流路の切り換えがスムーズになるため、従来の油圧バルブのように、タイムラグ(遅れ)発生による回転板と押込板との干渉が生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、前記移動を含む動作を行った後においては、油圧バルブの流路の切り換えがスムーズになるため、従来の油圧バルブのように、タイムラグ(遅れ)発生による回転板と押込板との干渉が生じることを抑制できる。このため、寒冷時であっても前記移動を含む動作を行うことにより、従来のような不都合が生じず、スムーズに積込作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明につき一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、以下の方向の説明において、前後の方向は、塵芥収集車の前後を基準とした方向である。また、幅方向とは、塵芥収集車を前方または後方から見た場合の左右方向のことである。
【0024】
図1は、本実施形態に係る積込装置を備えた塵芥収集車1を示す側断面図である。この塵芥収集車1は、回転板式の収容方式を用いている。この塵芥収集車1は、車体1a上に搭載された塵芥収容箱2と、その後部に連接する塵芥投入箱3とを備えている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口部3dが設けられている。
【0025】
塵芥投入箱3には、投入口3aを開閉可能なカバー部材39が設けられている。このカバー部材39は、投入口3aの上部を開閉する上部カバー40と、投入口3aの下部を開閉する下部カバー41とを備えている。
【0026】
下部カバー41は、投入口3aの下部に回動可能に取り付けられており、起立姿勢と水平姿勢(
図1上の破線位置)とに変化することができる。この下部カバー41は車幅方向のほぼ全長にわたって設けられている。下部カバー41が水平姿勢となると、作業者が塵芥を投入口3aから投入する際に、この下部カバー41に塵芥を一旦載置させることができ、塵芥投入の作業性を高めることができる。
【0027】
塵芥投入箱3内には、回転板52と押込板53とが備えられている。回転板52は、塵芥投入箱3に投入された塵芥を、当該塵芥投入箱3内に形成された円弧状の底部(「ホッパ」ともいう)3eより前方上部に掻き上げるためのもので、幅方向に延びる下部支持軸54と一体であり、かつその軸線回りに回転可能である。前記押込板53は、回転板52上の掻き上げられた塵芥を塵芥投入箱3の前方に連接する塵芥収容箱2内に移動させる(押し込む)ためのもので、幅方向に延びる上部支持軸55と一体であり、かつその軸線回りに前方及び後方揺動可能である。下部・上部支持軸54,55は、塵芥投入箱3内を幅方向に延びるように互いに平行に延びており、その各両端部が塵芥投入箱3の左右両側壁3cにそれぞれ軸受(図示せず)を介して回転自在に貫通支持される。なお、下部・上部支持軸54,55は、1本の軸であることは必須でなく、軸受に支持される部分が左右側に離間した2本の軸とすることができる。
【0028】
回転板52は、
図3に示す回転駆動手段としての油圧モータ56によって360゜正逆転可能に回転駆動され、この油圧モータ56が下部支持軸54を回転駆動することにより、当該下部支持軸54と一体である回転板52が回転する。なお、
図1において矢印で示す時計回り方向が回転板52の正転方向である。後述する暖気運転の際、この回転板52は正転方向の移動r1(
図7(a)参照)と逆転方向の移動r2(
図7(b)参照)との組み合わせが繰り返しなされる。
押込板53は、押込駆動手段として、幅方向に一対設けられた押込シリンダ57の伸縮により、上部支持軸55回りに前方及び後方揺動される。この押込シリンダ57のシリンダ側端部は、ピン58により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン59により、押込板53の上端部に接続されている。後述する暖気運転の際、この押込板53は
図2(a)に示す位置(押込終了位置P)とされる。
【0029】
図2(a)〜(d)は、回転板52、押込板53及び押込シリンダ57のみを抜き出して示した動作説明図である。本実施形態では、矢印方向への円軌跡Rにて示す回転板52の回転動作と、両矢印方向への円弧軌跡Sにて示す押込板53の揺動動作とにより、塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容する。すなわち、回転板52は、
図2(a)に示す回転板52が図示における略9時の位置を原位置として、油圧モータ56が駆動することにより時計回り方向に回転する「回転」工程を開始する。
そして、回転板52が
図2(b)に示す略12時の位置(起立位置)に達すると、押込板53の先端部53aは押込シリンダ57が収縮動作することにより後方(矢印Sr方向)へ揺動する「後退」行程を行い、この先端部53aが
図2(c)に示す位置(後退終了位置)まで後方揺動すると、押込板53の後方揺動が停止する。その際、回転板52は、押込板53の後退中も継続して回転しているため、当該後退中に回転板52と干渉するのを防止することができる。
その後、回転板52が回転を継続し、
図2(d)に示す原位置(略9時の位置)に戻ると、回転板52による回転が停止するとともに、押込シリンダ57が伸長動作することにより、押込板53の先端部53aが前方(矢印Sf方向)へ揺動する「押込」行程を行う。そして、押込板53の先端部53aが
図2(a)に示す位置(押込終了位置P)まで前方揺動すると、押込板53の前方揺動が停止する。このようにして、油圧モータ56及び押込シリンダ57を動作させることにより、回転板52の回転よび押込板53の後退・押込による1サイクルの行程動作が行われる。
したがって、回転・後退・押込による1サイクル工程とは、最初に回転板52が原位置から回転を開始し、その回転途中に押込板53が後退終了位置まで後退し、さらに回転板52が原位置に戻って回転停止した後に、押込板53が後退終了位置から押込終了位置Pまで押込を行う一連の動作を意味する。
【0030】
前記下部支持軸54及び上部支持軸55の近傍には、回転板52及び押込板53の各動作位置をそれぞれ検知する検知部としての近接スイッチ(60,61,62a,62b)が設けられている。第1近接スイッチ60は、回転板52が前記原位置(略9時の位置)から前記起立位置(略12時の位置)へ回転するまで回転板52の基端部に取り付けられたドグ52bを検知することにより、回転板52が前記原位置(略9時の位置)から起立位置(略12時の位置)までの位置にあることを検知する。また、ドグ52bは下部支持軸54の軸中心と略同心の円弧状に形成されており、第1近接スイッチ60は、回転板52の先端部52aが原位置から前記起立位置の時計回りにおける直前位置へ回転するまでドグ12aを検知するようになっている。これにより、第1近接スイッチ60は、前記原位置で非検知状態から検知状態に、前記起立位置で検知状態から非検知となる。
【0031】
第2近接スイッチ61は、同じく前記ドグ52bを検知することにより、回転板52が略6時の位置にあることを検知する。また第2近接スイッチ61は、回転板52が略6時の位置から前記原位置(略9時の位置)の直前位置へ回転するまでドグ52bを検知するようになっている。これにより、第2近接スイッチ61は、前記原位置で検知状態から非検知となる。
【0032】
第3近接スイッチ62aは、上部支持軸55に取り付けられたドグ55aを検知することにより、押込板53が前記後退終了位置(
図2(c))に達したことを検知する。押込終了検知手段としての第4近接スイッチ62bは、前記ドグ55aを検知することにより、押込板53が前記押込終了位置(
図2(a))に達したことを検知する。なお、前記第1〜第4近接スイッチは、塵芥投入箱3の側壁3cの外側面に固定的に取り付けられている。
【0033】
図3は、前記油圧モータ56及び押込シリンダ57に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、タンク63、ポンプ64、圧力制御弁65、油圧バルブとしてのモータ用電磁弁66、押込シリンダ用電磁弁67、逆止弁68,69、及びフィルタ70を図示のように接続して構成されている。本実施形態のモータ用電磁弁66及び押込シリンダ用電磁弁67には、電磁操作される子弁(スプール)により当該子弁に接続された親弁(スプール)を操作するパイロット形電磁弁が用いられている。回転板52が原位置(
図2(a))に停止しているとき、油圧モータ56は駆動停止状態にあり、モータ用電磁弁66は中立位置にある。また、押込板53が押込終了位置(
図2(a))に停止しているとき、押込シリンダ57は伸長状態にあり、押込シリンダ用電磁弁67は中立位置にある。なお、各電磁弁66,67は、親弁(スプール)が直接電磁操作される直動形電磁弁とすることもできる。
【0034】
前述の1サイクルの行程動作を油圧回路構成要素の動作として説明すると、モータ用電磁弁66のソレノイド66nを励磁すると、ポンプ64により逆止弁68及びモータ用電磁弁66を介して油圧モータ56に油圧が供給され、油圧モータ56が正転駆動することにより回転板52の回転(正転)動作が行われる。回転板52が略12時の位置まで回転すると、前記ソレノイド66nを励磁状態に保持しながら、押込シリンダ用電磁弁67のソレノイド67sを励磁し、油圧モータ56から排出される油圧を逆止弁69及び押込シリンダ用電磁弁67を介して押込シリンダ57のポート57sに油圧を供給する。これにより、押込シリンダ57は収縮動作し、押込板53の後退動作が行われる。後退終了後は、ソレノイド67sが励磁オフとなり、押込シリンダ用電磁弁67は中立位置に戻り、押込シリンダ57の両ポート57e,57sは封止された状態となる。その際、モータ用電磁弁66のソレノイド66nは依然として励磁状態を保持している。
【0035】
その後、回転板52が原位置まで回転すると、モータ用電磁弁66のソレノイド66nは励磁オフとなり、モータ用電磁弁66は中立位置に戻り、油圧モータ56の正転駆動が停止する。続いて、押込シリンダ用電磁弁67のソレノイド67eを励磁すると、ポンプ64によりモータ用電磁弁66及び逆止弁69を介して押込シリンダ57のポート57eに油圧を供給する。これにより、押込シリンダ57は収縮動作し、押込板53の押込動作が行われる。押込終了後は、ソレノイド67eが励磁オフとなり、押込シリンダ用電磁弁67は中立位置に戻り、押込シリンダ57の両ポート57e,57sは封止された状態となる。なお、回転板52の回転中に回転板52の先端部52aと底部3eとの間で塵芥を噛み込むことにより回転板52の回転が停止する場合がある。この場合には、モータ用電磁弁66のソレノイド66rを励磁し、ポンプ64により逆止弁68及びモータ用電磁弁66を介して油圧モータ56に油圧が供給され、油圧モータ56は逆転駆動し、回転板52は逆転する。これにより、前記噛み込んだ塵芥を除去することができる。
【0036】
塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB1,SB2が設けられている。スイッチボックスSB1の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択する操作指令を出力するための動作選択スイッチ42が、正面には、前記各動作モードで動作を開始させる操作指令を出力するための開始スイッチ43、連続サイクル動作を押込板8が前記押込終了位置Pで停止させる操作指令を出力するための停止操作手段としての停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。停止スイッチ44は、スイッチボックスSB2にも設けられている。また、このスイッチボックスSB1には、寒冷時等に回転板52の暖気運転を行うための暖気モードスイッチ45(暖気運転指示手段)が設けられている。
【0037】
本実施形態の制御部は、少なくとも、回転板52が一方の回転方向(正転)の移動と他方の回転方向(逆転)の移動との組み合わせが繰り返しなされる制御を行う。これにより、寒冷時等にモータ用電磁弁66における流路の切り換えをスムーズにするための、回転板52の暖気運転がなされる。
図4は、前記制御部を含む制御装置71の構成を示すブロック図である。この制御装置71は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の一部であって、CPUやメモリ等を有する。前述の第1〜第4近接スイッチの出力は、この制御装置71に入力される。また、スイッチボックスSB1の動作選択スイッチ42、開始スイッチ43、停止スイッチ44、暖気モードスイッチ45の操作指令と、スイッチボックスSB2の計量スイッチ46及び風袋引きスイッチ47の操作指令とが制御装置71に入力される。モータ用電磁弁66及び押込シリンダ用電磁弁67は、制御装置71によって励磁される。
【0038】
次に、前記のように構成された塵芥収集車の、制御装置71側から見た暖気運転に関する動作について、
図5のフローチャートを参照して説明する。なお、作業者が暖気モードスイッチ45を投入すると以下のように暖気運転が開始するが、塵芥の積み込み作業中や、他の指示による回転板52または押込板53の移動中には、作業者が暖気モードスイッチ45を投入しても暖気運転が開始されないよう設定されている。
【0039】
図5において、処理開始により制御装置71のCPU(以下単にCPUという。)は、暖気モードスイッチ45がオンになるのを待つ(ステップS1)。次に、塵芥の積込中であるか否かを判断する(ステップS2)。積込中の場合は処理を終了する。積込中でない場合は回転板52の位置合わせを行う。この位置合わせにより、回転板52は押込板53から離れつつ、略6時の位置となるように回転する。具体的には、第2近接スイッチ61が検知オンの場合、つまり、回転板52が略6時に一致した位置から時計回りで前記原位置(略9時の位置)直前までにある場合には、CPUは回転板52を
図6(a)に示す方向T1へと逆転させる(ステップS3、S4)。ただし、回転板52が略6時に一致した位置にある場合は、当然ながら前記逆転はなされない。
また、第2近接スイッチ61が検知オフでかつ第1近接スイッチ60が検知オンの場合、つまり、回転板52が前記原位置(略9時の位置)から時計回りで前記起立位置(略12時の位置)にある場合、CPUは回転板52を
図6(b)に示す方向T1へと逆転させる(ステップS3、S5、S4)。
また、第2近接スイッチ61が検知オフでかつ第1近接スイッチ60も検知オフの場合、つまり、回転板52が前記起立位置(略12時の位置)を越えた位置から時計回りで略6時の位置直前までにある場合、CPUは
図6(c)に示す方向T2へと回転板52を正転させる(ステップS3、S5、S6)。
次にCPUは、
図6(d)に示すように、押込板53を押込終了位置Pまで前方揺動させる(ステップS7)。なお、以降押込シリンダ57の伸長を継続することで、暖気運転中に押込板53が後退し回転板52と接触してしまうことを防ぐ。
【0040】
次にCPUは、
図7(a)に示す回転板52の正転方向の移動r1を行う(ステップS8〜S11)。この際、まず回転板52が正転する(ステップS8)。次に、第1近接スイッチ60の検知を判断する(ステップS9)。検知オフの場合は正転開始後0.9秒経過したか否か判断する(ステップS10)。0.9秒経過していない場合はステップS8に戻り、0.9秒経過した場合は回転板52の正転を停止する(ステップS11)。
一方、ステップS9にて検知オンの場合、つまり、回転板52が前記原位置(略9時の位置)に至った場合、CPUは回転板52を停止させた後に逆転させて略6時の位置まで戻す(ステップS12、S13)。この場合は、次に下記ステップS20に進む。
【0041】
ステップS11の次に、CPUは
図7(b)に示す逆転方向の移動r2を行う(ステップS14〜S17)。この際、まず回転板52が逆転する(ステップS14)。次に、第2近接スイッチ61の検知を判断する(ステップS15)。検知オンの場合は逆転開始後0.8秒経過したか否か判断する(ステップS16)。0.8秒経過していない場合はステップS14に戻り、0.8秒経過した場合は回転板52の逆転を停止する(ステップS17)。
一方、ステップS15にて検知オフの場合、つまり、回転板52が略6時の位置に至った場合、CPUは回転板52を停止させた後に正転させて略6時の位置まで戻す(ステップS18、S19)。この場合は、次に下記ステップS20に進む。
【0042】
続いて、暖気モードスイッチ45のオン状態が継続されている場合には(ステップS20)、前記移動等の動作が再度行われる(ステップS7〜S10)。この時点で暖気モードスイッチ45のオン状態が継続されていない場合には処理を終了する。
【0043】
前記一連の処理により、CPUは、
図7(a)に示す回転板52の正転方向の移動r1及び停止と、
図7(b)に示す逆転方向の移動r2及び停止とを行わせる。
図8に示すように、この回転板52の移動は、塵芥投入箱3の内部における下部支持軸54を基準とした前部領域(下部支持軸54の軸心を通る仮想垂直面よりも前方の領域、つまり6時〜12時の領域)のうち、略6時から略9時までの暖気領域X内で行われる。この暖気領域Xは、塵芥投入箱3内における、少なくとも投入口3aの上縁部3a1及び下縁部3a2(本実施形態では、水平姿勢とされた下部カバー41(
図8に破線で示す)における上面前端部に一致)と支持軸54とを結ぶ扇形の範囲である投入口側領域Yを除いた領域の一部である。
【0044】
また、この暖気領域Xは、
図8に示す、塵芥投入箱3内に形成された円弧状の底部3eと支持軸54とを結ぶ扇形の範囲である底部領域Z(つまり、回転板52の先端部52aが前記底部3eに沿う領域)の一部でもある。暖気領域Xを含む底部領域Zでは、回転板52の移動時に回転板52の先端部52aは底部3eにより覆われているため、移動する先端部52aと作業者とが接触する恐れがない。また、この暖気領域Xは、前記投入口側領域Yに対して下部支持軸54を挟んで対向する対向領域の一部でもある。前記「下部支持軸54を挟んで対向する対向領域」とは、下部支持軸54(の軸心)を基準とした軸対称の関係にある領域だけに限定されるものではなく、少なくとも当該領域を含み当該領域から更に時計回り方向または反時計回り方向に拡張された領域を言う。例えば、前記前方領域も前記対向領域に該当する。
【0045】
ここで、下部支持軸54(の軸心)と略9時の位置とを結ぶ線(
図8に一点鎖線で示す)を「正転境界線」とし、下部支持軸54(の軸心)と略6時の位置とを結ぶ線(
図8に一点鎖線で示す)を「逆転境界線」とする。回転板52が正転して前記正転境界線を越えた場合には、前記ステップS9、S12、S13のように、CPUは回転板52を逆転させて略6時の位置まで戻す。一方、回転板52が逆転して前記逆転境界線を越えた場合には、前記ステップS15、S18、S19のように、CPUは回転板52を正転させて略6時の位置まで戻す。このため、回転板52の移動は常に暖気領域X内で行われる。
【0046】
本実施形態では、正転方向の移動が0.9秒(角度では約35°)なされ(ステップS8〜S11)、続いて逆転方向の移動が0.8秒(角度では約30°)なされる(ステップS14〜S17)。つまり、この移動につきCPUは、前記暖気領域Xにて、回転板52の先端部52aが上昇する方向、つまり、投入口側領域Yの時計回りにおける先端部(
図8に示した下側端部)から遠ざかる方向への移動距離(
図7(a)に示した正転方向の移動r1に対応する距離)の方が、同先端部52aが下降する方向、つまり、投入口側領域Yに近づく方向への移動距離(
図7(b)に示した逆転方向の移動r2に対応する距離)よりも大きくなるよう制御する。
このように正転方向の移動が逆転方向の移動よりも大きく行われるよう設定されているため、寒冷時における暖気運転開始当初でモータ用電磁弁66に内蔵されたスプール(前記親弁及び子弁)がスムーズに移動しないことにより、特に逆転方向の移動停止にタイムラグが生じた(停止が遅れた)場合であっても、回転板52の逆転方向への位置ずれが正転方向の移動で吸収されるため(
図7(b)に実線及び破線で示した回転板52の軌跡を参照)、回転板52が正転した分逆転方向に引き返す回転量よりも多い回転量で逆転方向にはずれ難くなる。このため、
図8に示す、回転板52が塵芥投入箱3の内部における下部支持軸54を基準とした後部領域内、特に、投入口3aに対応した投入口側領域Y内で移動することにより、移動する回転板52に作業者が接触してしまい、作業者の身体の一部または全部が塵芥投入箱3に巻き込まれるようなことが発生する可能性があるが、本実施形態では、この投入口側領域Yに一致しない暖気領域Xで回転板52が移動するため、前記作業者の巻き込みの可能性を小さくできる。このときの正転方向の移動が“投入口側領域Yの周方向における一端から遠ざかる方向の移動”に相当する。なお、作業者にとって危険な領域であり、暖気運転時に回転板52が移動することを避けるべき領域としては、前記投入口側領域Yのほか、下部支持軸54の後方(下部支持軸54を基準とした投入口3a側)にて180°の広がりを持った半円形状である12時〜6時の領域(つまり、下部支持軸54の軸心を通る仮想の垂直面よりも後方の領域)、180°未満の広がりを持った扇形状である12時〜5時の領域(つまり、前記12時〜6時の領域よりも、下部支持軸54の下方が更に後方に拡張した領域)、同1時〜6時の領域(つまり、前記12時〜6時の領域よりも、下部支持軸54の上方が更に後方に拡張した領域)、同1時〜5時の領域(つまり、前記12時〜6時の領域よりも、下部支持軸54の上方及び下方が更に後方に拡張した領域)が例示できる。暖気領域Xはこれら領域に重ならないように設定されることが望ましい。
【0047】
前記フローチャート(
図5)に示すように暖気運転がなされることにより、
図3に示す油圧回路のうち、油圧モータ56とタンク63との間の区間に存在する作動油が、配管要素との摩擦によって温度上昇し、粘性が低下する。そして、正転方向の移動r1及び停止と、反転方向の移動r2及び停止とを繰り返すことにより、モータ用電磁弁66の内部にあるスプール(親弁や子弁)の周囲やパイロット油路、油圧モータ56の内部機構の周囲に前記温度上昇した作動油が循環する。よって、この暖気運転の後には、制御装置71が回転板52を停止するべくモータ用電磁弁66を制御する信号を発した場合、モータ用電磁弁66に内蔵された弁体(スプール)がスムーズに移動するため、当該移動が完了するまでにタイムラグがほとんど生じない。このため、従来、寒冷時に発生していた、回転板52と押込板53とが干渉する不都合が生じることを抑制できる。
【0048】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、押込板53は前記実施形態では上部支持軸55を中心に揺動するものとしたが、これに限られず、例えば押込板53が直線方向や円弧方向に往復動したり、回転移動したりするように構成することもできる。
【0049】
また、制御部は通常、塵芥収集車全体の制御を司る制御装置の一部であるが、積込装置専用の制御部を別個に設けることもできる。また、既存の制御部に対してプログラム書き換えを行うことにより、本発明の制御部を実現することもできる。
【0050】
また検知部について、前記実施形態では、前記暖気領域Xに回転板52が存在するか否かを第1近接スイッチ60で検知しその範囲内で暖気運転を行うようにしていたがこれに限定されない。例えば検知部が投入口側領域Yに回転板52が存在するか否かを検知し、この検知結果を基に制御部が、投入口側領域Yの範囲では暖気運転を止めるよう制御したり、回転板52を投入口側領域Yから外すよう制御したりしてもよい。また、前記実施形態では、各領域(例えば、暖気領域Xや投入口側領域Y)内に回転板52が存在することを1個の近接スイッチにより検知するようにしていたがこれに限定されない。例えば、2以上の複数の近接スイッチを用いて検知するようにしてもよい。また、近接スイッチ以外の種々のスイッチを検知部としてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、手動投入される暖気運転指示手段としての暖気モードスイッチ45により暖気運転が開始されるものであったがこれに限定されない。例えば、作動油の温度や塵芥収集車の周囲の気温を検知する温度センサと連動させることで、暖機運転が必要な場合に、操作指令を出力するための開始スイッチ43の投入に伴い自動的に暖気運転が開始されるよう構成することができる。また、暖気運転の終了についても、作動油の温度または粘度を検知することや、暖気運転の開始から所定時間経過後(例えば1分)に自動的に終了されるよう構成することができる。
【0052】
また、前記実施形態では、
図7(a)に示す回転板52の正転方向の移動r1と、
図7(b)に示す逆転方向の移動r2とを1回ずつ交互に繰り返すよう構成されているがこれに限定されず、暖気運転時において、正転方向の移動r1と逆転方向の移動r2とが組み合わされた動作をなすよう構成できる。例えば、正転方向の移動r1を1回した後に回転板52が一時停止し、その後更に正転方向の移動r1を1回することの繰り返しを1回以上行った後に、逆転方向の移動r2を1回した後に回転板52が一時停止し、その後更に逆転方向の移動r2を1回することの繰り返しを1回以上行うよう構成することもできる(正転−停止−正転…正転−停止の後に逆転−停止−逆転…逆転−停止)。この場合、正転方向の移動r1だけの繰り返し回数と、逆転方向の移動r2だけの繰り返し回数とは任意に組み合わせることができる。
【0053】
また、前記実施形態では、回転板52の正転方向の移動が0.9秒なされ、逆転方向の移動が0.8秒なされている。つまり、正転方向の移動を逆転方向の移動に比べて長時間行うよう構成されているがこれに限定されない。例えば、正転方向の移動と逆転方向の移動とを等しい時間で行うよう構成することができ、また、正転方向の移動に比べて逆転方向の移動を長時間行うよう構成することもできる。正転方向の移動に比べて逆転方向の移動を長時間行う場合、暖気運転を原位置(略9時の位置)から開始するようにすれば投入口に近づき難くなる。この場合、逆転方向の移動が“投入口側領域Yの周方向における一端から遠ざかる方向の移動”に相当する。
【0054】
また「移動」には、最大で、回転板52の暖気領域X分の回転まで該当する(前記実施形態では、角度で90°、時間で約2.3秒の回転である)。
【0055】
また、前記実施形態では、暖気運転時の回転板52の移動を略6時から略9時までの暖気領域X(
図8参照)で行うものとしているが、塵芥投入箱3の内部における下部支持軸54を基準とした前部領域のうち、前記暖気領域Xを含む前記実施形態よりも広い領域や、前記暖気領域Xを含まない前記実施形態とは別の領域で行うこともできる。
【0056】
また、前記実施形態では、正転方向の移動中に当該移動が0.9秒経過するまでに第1近接スイッチ60が検知オンになった場合(ステップS)、直ちにCPUは回転板52を逆転させて略6時の位置まで戻し(ステップS)、逆転方向の移動中に当該移動が0.8秒経過するまでに第2近接スイッチ61が検知オフになった場合、直ちにCPUは回転板52を正転させて略6時の位置まで戻すよう構成されているがこれに限定されない。例えば、回転板52が前記正転境界線(
図8参照)を越えたことに関係なく、逆転方向の移動が0.8秒なされた後に第1近接スイッチ60が検知オンになった場合(回転板52が前記原位置(略9時の位置)に至った場合)にのみ、CPUが回転板52を逆転させて略6時の位置まで戻すよう構成することもできる。
【0057】
また、暖気運転中であることを示す手段(例えば、LEDランプやディスプレイ等の視覚表示手段、または、ブザーや音声アナウンス装置等の聴覚表示手段)を備えることにより、作業者等に報知するようにしてもよい。