(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170354
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ボルテージレギュレータ
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
G05F1/56 310C
G05F1/56 310F
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-132965(P2013-132965)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7903(P2015-7903A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】津崎 敏之
(72)【発明者】
【氏名】黒蔵 忠
(72)【発明者】
【氏名】藤村 学
【審査官】
佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−005847(JP,A)
【文献】
特開2005−301439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子の出力電圧を分圧した帰還電圧と第一基準電圧とを比較し、出力トランジスタを制御する第一差動増幅回路と、前記出力電圧のオーバーシュートを抑制するオーバーシュート抑制回路と、を備えたボルテージレギュレータであって、
前記出力トランジスタのゲート電圧と第二基準電圧を比較する第一コンパレータと、前記出力トランジスタのゲート電圧と第三基準電圧を比較する第二コンパレータと、前記第一コンパレータと前記第二コンパレータの検出信号の論理和を検出信号として出力する第一論理回路と、を備え、前記出力トランジスタのゲート電圧から非レギュレート状態を検出する非レギュレート状態検出回路を備え、
前記オーバーシュート抑制回路は、前記非レギュレート状態検出回路が非レギュレート状態を検出していて、オーバーシュートを検出した時に、前記出力電圧のオーバーシュートを抑制する、
ことを特徴とするボルテージレギュレータ。
【請求項2】
前記オーバーシュート抑制回路は、
前記出力電圧のオーバーシュートを検出する第二差動増幅回路と、
前記第二差動増幅回路の検出信号と前記非レギュレート状態検出回路の検出信号の論理積を出力する第二論理回路と、
前記第二論理回路の出力信号で前記出力トランジスタのゲート電圧を制御するトランジスタと、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のボルテージレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電圧を出力するボルテージレギュレータに関し、より詳しくは、出力電圧Voutに発生するオーバーシュートを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルテージレギュレータは、リチウムイオン2次電池やバッテリーなどの高い電源電圧を入力し、マイコンなどのデバイスへ電源電圧よりも低い電圧を出力する。ボルテージレギュレータは、マイコンなどのデバイスを安定動作させるため、出力電圧Voutにオーバーシュートを発生させないことが望ましい。
【0003】
図3は、従来のボルテージレギュレータを示す回路図である。
従来のボルテージレギュレータは、基準電圧回路101と、差動増幅回路102と、出力PMOSトランジスタ104と、分圧抵抗回路106と、差動増幅回路108とPMOSトランジスタ109から成るオーバーシュート抑制回路300と、を備えている。
【0004】
差動増幅回路102は、非反転入力端子に分圧抵抗回路106の出力端子が接続され、反転入力端子に基準電圧回路101が接続され、出力端子は出力PMOSトランジスタ104のゲートに接続される。出力PMOSトランジスタ104は、ソースが電源入力端子10に接続され、ドレインが出力端子12に接続される。分圧抵抗回路は、出力端子12と接地端子11の間に接続される。
【0005】
分圧抵抗回路106は、出力端子12の出力電圧Voutを分圧し帰還電圧Vfbを出力する。基準電圧回路101は、基準電圧Vrefを出力する。差動増幅回路102は、非反転入力端子に帰還電圧Vfbが入力され、反転入力端子に基準電圧Vrefが入力され、出力端子から出力する電圧Vdrvは出力PMOSトランジスタ104のゲートに入力される。これにより、負帰還回路が構成され、出力端子12の出力電圧Voutは設定電圧に制御される。
【0006】
差動増幅回路108は、非反転入力端子に基準電圧回路101が接続され、反転入力端子に分圧抵抗回路106の出力端子が接続され、出力端子はPMOSトランジスタ109のゲートに接続される。PMOSトランジスタ109は、ソースが電源入力端子10に接続され、ドレインは出力PMOSトランジスタのゲート端子に接続される。
【0007】
出力端子12の電圧が制御されるべき所定の電圧よりも高くなると、すなわちオーバーシュートが発生すると、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefより高くなる。差動増幅回路108の出力電圧Voutは低くなるため、PMOSトランジスタ109はオンしていく。これにより、出力PMOSトランジスタのゲート電圧Vdrvは、電源入力端子10の入力電圧Vinに近づいていくので、出力PMOSトランジスタ104はオフするように制御される。従って、オーバーシュート抑制回路300は、出力電圧Voutのオーバーシュートを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−301439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ボルテージレギュレータは、昇圧することができないため、入力電圧Vinが出力電圧Voutの設定電圧よりも低い場合、出力電圧Voutは設定電圧よりも低くなっている。このとき、基準電圧Vrefが所定の電圧を出力していると、帰還電圧Vfbは基準電圧Vrefよりも低いので、差動増幅回路102の出力電圧は接地電圧Vss(0V)になる。出力PMOSトランジスタ104は、ゲート電圧Vdrvが0Vになるのでオンする。この状態を非レギュレート状態と称する。
【0010】
非レギュレート状態では、出力PMOSトランジスタは非飽和領域でオンしているので、出力電圧Voutは入力電圧Vinとほぼ等しい。ここで、入力電圧Vinが急峻に上昇すると、出力電圧Voutも同様に上昇する。出力電圧Voutが設定電圧を越えたとき、ゲート電圧Vdrvは入力電圧Vin基準でVth以上の電圧(Vdrv>Vin−Vth)でなければならない。しかし、0Vからその電圧まで上昇するのに時間がかかるため、出力電圧Voutは設定電圧を超えて、オーバーシュートが発生する。従って、非レギュレート状態から入力電圧Vinが急峻に上昇すると、最も大きいオーバーシュートが発生する。
【0011】
オーバーシュートを抑制するためには、入力電圧Vinの急峻な上昇に素早く応答してゲート電圧Vdrvを上昇させることが必要であり、この動作をオーバーシュート抑制回路300が行っている。
【0012】
入力電圧Vinが出力電圧Voutの設定電圧よりも高い時はレギュレート状態であり、出力電圧Voutは設定電圧に制御され、ゲート電圧Vdrvは入力電圧Vin基準で出力PMOSトランジスタ104の閾値電圧Vth程度下がった電圧(Vdrv≒Vin−Vth)となっている。レギュレート状態から入力電圧Vinが急峻に上昇する場合は、ゲート電圧VdrvはVin−Vthから入力電圧Vin基準でVth以上の電圧(Vdrv>Vin−Vth)まで変化すれば良く、負帰還回路による制御が出来るので、オーバーシュートは小さい。
【0013】
従って、レギュレート状態でオーバーシュート防止回路300が動作し、ゲート電圧Vdrvを入力電圧Vinまで上昇させ出力PMOSトランジスタ104を完全にオフさせてしまうと、逆に出力電圧Voutがアンダーシュートを引き起こしてしまうという課題があった。
【0014】
従来のボルテージレギュレータは、レギュレート状態においても、オーバーシュート防止回路300が機能してしまい、オーバーシュートを強く抑制するあまり、逆に出力端子12の電圧が設定電圧よりも低くなるアンダーシュートを引き起こしてしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のボルテージレギュレータは上記課題を解決するために、非レギュレート状態を検出する非レギュレート検出回路を備え、非レギュレート検出回路が非レギュレート状態を検出しているときにオーバーシュート抑制回路が動作するように構成した。
【発明の効果】
【0016】
本発明のボルテージレギュレータによれば、非レギュレート状態のときにオーバーシュート抑制回路が動作するように構成したので、出力電圧をアンダーシュートさせることなく、オーバーシュートの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【
図2】本実施形態のボルテージレギュレータの動作図である。
【
図3】従来のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
本実施形態のボルテージレギュレータは、基準電圧回路101と、差動増幅回路102と、出力PMOSトランジスタ104と、分圧抵抗回路106と、オーバーシュート抑制回路100と、非レギュレート検出回路200と、を備えている。オーバーシュート抑制回路100は、NAND回路107と、差動増幅回路108と、PMOSトランジスタ109と、を備えている。非レギュレート検出回路200は、コンパレータ202と、基準電圧回路203、コンパレータ205、基準電圧回路206、OR回路208を備えている。
【0019】
差動増幅回路102は、非反転入力端子に分圧抵抗回路106の出力端子が接続され、反転入力端子に基準電圧回路101が接続され、出力端子は出力PMOSトランジスタ104のゲートに接続される。出力PMOSトランジスタ104は、ソースが電源入力端子10に接続され、ドレインが出力端子12に接続される。分圧抵抗回路は、出力端子12と接地端子11の間に接続される。差動増幅回路108は、非反転入力端子に基準電圧回路101が接続され、反転入力端子に分圧抵抗回路106の出力端子が接続され、出力端子はNAND回路107の一方の入力端子に接続される。NAND回路107の出力端子は、PMOSトランジスタ109のゲートに接続される。PMOSトランジスタ109は、ソースが電源入力端子10に接続され、ドレインは出力PMOSトランジスタのゲート端子に接続される。コンパレータ202は、非反転入力端子に基準電圧回路203に接続され、反転入力端子に差動増幅回路102の出力端子が接続される。コンパレータ205は、非反転入力端子に基準電圧回路206に接続され、反転入力端子に差動増幅回路102の出力端子が接続される。OR回路208は、入力端子にコンパレータ202とコンパレータ205の出力端子が接続され、出力端子はNAND回路107の他方の入力端子に接続される。
【0020】
分圧抵抗回路106は、出力端子12の出力電圧Voutを分圧し帰還電圧Vfbを出力する。基準電圧回路101は、基準電圧Vrefを出力する。差動増幅回路102は、非反転入力端子に帰還電圧Vfbが入力され、反転入力端子に基準電圧Vrefが入力され、出力端子から出力する電圧Vdrvは出力PMOSトランジスタのゲートに入力される。これにより、負帰還回路が構成され、出力端子12の出力電圧Voutは設定電圧に制御される。
【0021】
差動増幅回路108は、非反転入力端子に帰還電圧Vfbが入力され、反転入力端子に基準電圧Vrefが入力され、出力端子から出力する電圧はNAND回路107を介してPMOSトランジスタ109のゲートに入力される。オーバーシュート抑制回路100は、差動増幅回路108が出力端子のオーバーシュートを検出して、PMOSトランジスタ109がオンすることによって、オーバーシュートを抑制する。
【0022】
コンパレータ202は、非反転入力端子に基準電圧回路203が出力する入力電圧Vin基準の基準電圧V1が入力され、反転入力端子にPMOSトランジスタ104のゲート電圧Vdrvが入力される。従って、コンパレータ202は、電圧(Vin−V1)がゲート電圧Vdrvより高い間はHighの検出信号Vdet1を出力する。コンパレータ205は、非反転入力端子に基準電圧回路206が出力する接地電圧Vss基準の基準電圧V2が入力され、反転入力端子にゲート電圧Vdrvが入力される。従って、コンパレータ205は、基準電圧V2がゲート電圧Vdrvより高い間はHighの検出信号Vdet2を出力する。OR回路208は、コンパレータ202の出力する検出信号Vdet1とコンパレータ205の出力する検出信号Vdet2が入力され、出力信号VdetはNAND回路107に入力される。OR回路208は、検出信号Vdet1と検出信号Vdet2のどちらかがHighの時に、Highの検出信号Vdetを出力する。従って、NAND回路107は、検出信号VdetがHighの間、すなわち非レギュレート状態の間、差動増幅回路108が出力端子のオーバーシュートを検出して出力するHigh信号によって、PMOSトランジスタ109のゲートにLowの信号を出力する。
【0023】
図2は、非レギュレート検出回路200の動作を示す動作図である。
図2の上の図は、入力電圧Vinを立ち上がっているときの、ゲート電圧Vdrv、電圧(Vin−V1)、基準電圧V2の関係を示した。入力電圧Vinが立ち上がると、時間T1において基準電圧V2が所定の電圧になる。次に、時間T2において、電圧(Vin−V1)が立ち上がる。そして、時間T3において、ゲート電圧Vdrvが立ち上がる。
【0024】
図2の下の図は、コンパレータ出力202の検出電圧Vdet1とコンパレータ205の検出電圧Vdet2とOR回路208の出力電圧Vdetを示した。コンパレータ202は、ゲート電圧Vdrvが電圧(Vin−V1)以下の時(時間T0〜T3)に非レギュレートと検出し、Highの検出信号Vdet1を出力する。コンパレータ205は、ゲート電圧Vdrvが基準電圧V2以下の時(時間T2〜T4)に非レギュレートと検出し、Highの検出信号Vdet2を出力する。OR回路208は、検出信号Vdet1と検出信号Vdet2のどちらかがHighの時に、Highの検出信号Vdetを出力する。従って、非レギュレート状態の全領域(時間T0〜T4)を検出することが可能となる。
【0025】
以上説明したように、非レギュレート検出回路200が非レギュレート状態を検出して、OR回路208回路がHighの検出信号Vdetを出力している時において、差動増幅回路108がオーバーシュートを検出すると、オーバーシュート抑制回路100のNAND回路107からPMOSトランジスタ109がオンする信号が出力され、出力端子12のオーバーシュートを抑制する。従って、レギュレート状態にオーバーシュート抑制回路100が動作することないので、出力電圧をアンダーシュートさせることなく、オーバーシュートの発生を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
101、203、206 基準電圧回路
102、108 差動増幅回路
106 分圧抵抗回路
200 非レギュレート検出回路
202、205 コンパレータ
100、300 オーバーシュート抑制回路