(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺のプロファイルを螺旋状に巻回しつつ、先行するプロファイルの嵌合部に後続するプロファイルの嵌合部を内周側から押しつけることにより相互に嵌合させて管状に形成する製管装置であって、
環状のフレーム体と、巻回されたプロファイルの先行部分と後続部分との嵌合領域の内周側に配置される嵌合ローラと、プロファイルを前記嵌合領域の内周側から前記嵌合ローラに向けて供給する駆動ユニットとを有し、
前記駆動ユニットは、プロファイルを挟んで回転駆動する外面ローラと内面ローラとの対からなる少なくとも一組のピンチローラを備え、
前記ピンチローラは、プロファイルに圧接および離間可能に設けられて、プロファイルを当該ピンチローラ間から取り外し自在とされており、
前記フレーム体は、前記嵌合ローラの前段部が、前記嵌合ローラの回転軸の一端方向に開放された形状を有するとともに、前記ピンチローラは前記嵌合ローラの回転軸の前記一端方向に開放可能とされていることを特徴とする製管装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既設管の更生作業中には、管路内の流体を堰き止めたり迂回させたりすることが多く、周辺の建物や地上の交通に影響が出るため、できるだけ短時間で作業を済ませ、精度よくかつ安全に作業することが要求される。
【0008】
例えば、
図12に示した従来の製管装置300にあっては、隣接するリンク体303の連結を外し、屈撓自在な複数個のリンク体303を1本の列にしてマンホールから搬入し、既設管内にて略環状に組み立てることができる。このため、製管装置300の搬入設置作業を短時間で容易に行うことができ、かつ、多様な口径の既設管に製管装置300を対応させることが可能とされている。
【0009】
補修対象となる既設管は、長年の使用によって内面に堆積物があったり、亀裂や凹凸等を生じていたりする。そのため、既設管内の堆積物や凹凸部に製管装置が接触したり、同調回転している各ローラ部材に負荷がかかって円滑に回転しなくなったりすることがあった。このような場合、不具合を生じたローラ部材の回転軸やベアリングが破損し、部品交換や修理等の作業が必要になることがあった。
【0010】
そのため、製管作業を一時中断し、製管途中のプロファイルを製管装置の手前で切断して成形フレームから取り外し、複数人の作業者で支えながら製管装置を分解した上で、必要な作業を行わなければならず、作業手間と時間とを要し、施工期間の長期化を招来するおそれがあった。そのため、既設管内の狭いスペースであっても、分解、修理または交換等の作業手間を軽減し、短時間で製管作業を再開できるようにすることが要望された。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、製管装置の組み立て設置作業だけでなく、必要に応じて修理や交換作業にあっても短時間で簡単に行うことを可能にして、既設管の更生作業に要する期間を短縮化し、精度の高い更生管を効率よく形成することのできる製管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、長尺のプロファイルを螺旋状に巻回しつつ、先行するプロファイルの嵌合部に後続するプロファイルの嵌合部を内周側から押しつけることにより相互に嵌合させて管状に形成する製管装置を前提とする。この製管装置に対し、環状のフレーム体と、巻回されたプロファイルの先行部分と後続部分との嵌合領域の内周側に配置される嵌合ローラと、プロファイルを前記嵌合領域の内周側から前記嵌合ローラに向けて供給する駆動ユニットとを備えさせる。前記駆動ユニットは、プロファイルを挟んで回転駆動する外面ローラと内面ローラとの対からなる少なくとも一組のピンチローラを含み、前記ピンチローラは、プロファイルに圧接および離間可能に設けられて、プロファイルを当該ピンチローラ間から取り外し自在な構成とする。そして、前記フレーム体として、前記嵌合
ローラの前段部を、前記嵌合ローラの回転軸の一
端方向に開放された形状を有する
とともに、前記ピンチローラは前記嵌合ローラの回転軸の前記一端方向に開放可能とされた構成としている。
【0013】
このような特定事項により
、既設管の更生作業中に製管装置の一部に不具合を生じたり、プロファイルの嵌合状態に不良を生じたりした場合には、製管装置を停止させるとともに、前記ピンチローラをプロファイルから離間させ、前記嵌合ローラの回転軸の一
端方向にプロファイルを引き出すことができる。これにより、供給途中にあるプロファイルを切断することなく、製管装置から容易に取り外すことができる。したがって、製管装置の各構成部材を分解せずとも、不具合を生じた箇所の修理作業を効率よく行うことが可能となり、作業手間が軽減されて、短時間で製管作業を再開することが可能となる。
【0014】
前記製管装置のより具体的な構成として次のものが挙げられる。つまり、前記製管装置において、前記駆動ユニットには、プロファイルに対して前記ピンチローラを圧接位置と離間位置との間で開閉する開閉機構を備えさせることが好ましい。
【0015】
これにより、前記駆動ユニットを構成する部材を分解することなく、前記ピンチローラをプロファイルに対して圧接または離間させることができ、作業手間が大幅に軽減されて、既設管の更生作業に要する期間を短縮化することが可能となる。
【0016】
より詳細には、前記駆動ユニットとして、外面ローラを保持する外面ユニットと、内面ローラを保持する内面ユニットとを備えさせ、前記開閉機構として、前記外面ユニットと内面ユニットとを、前記外面ローラおよび内面ローラの回転軸の一方の端部側を中心に回動させるヒンジ軸を設けて、前記外面ユニットと内面ユニットとを開閉可能に連結することが好ましい。
【0017】
これにより、前記外面ユニットと内面ユニットとを開閉する作業だけで、前記ピンチローラをプロファイルに対して圧接または離間させることが可能となり、極めて簡単な作業でプロファイルを取り外すことができる。
【0018】
また、前記製管装置において、前記ヒンジ軸を、プロファイルの供給方向と平行に配設することが好ましい。
【0019】
これにより、供給途中にあるプロファイルを、他の構成部材に干渉することなく、前記ピンチローラ間から容易に引き出し、取り外すことが可能となる。
【0020】
また、前記製管装置において、前記フレーム体には、前記嵌合
ローラの前段部に剛性を有する支持フレームを含む構成とし、前記支持フレームを、前記嵌合ローラの回転軸と平行に配設された複数の軸方向フレームに対して交差する方向に配設し、前記軸方向フレームと一体に結合することが好ましい。
【0021】
さらに、前記製管装置において、前記外面ユニットと内面ユニットとは、前記支持フレーム側に回動中心を設けた構成とすることが好ましい。
【0022】
これにより、製管装置の構造を大きく変更することなく、プロファイルの嵌合領域の前段部に位置するフレーム体を、嵌合ローラの回転軸の一方の端部側に片寄せして配置することが可能となり、供給途中にあるプロファイルを容易に取り外すことを可能にする。
【0023】
また、前記製管装置において、前記ピンチローラを、前記外面ユニットまたは内面ユニットに設けた駆動モータに伝動機構を介して連結し、この伝動機構の係合離脱を、前記外面ユニットと内面ユニットとの開閉動作に連動させることが好ましい。
【0024】
これにより、外面ローラと内面ローラとの対からなるピンチローラが、プロファイルを圧接して回転駆動可能とされる一方、プロファイルからの離間も可能な構造とされるので供給途中にあるプロファイルを当該ピンチローラ間から取り外し自在な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、環状のフレーム体と、巻回されたプロファイルの先行部分と後続部分との嵌合領域の内周側に配置される嵌合ローラと、プロファイルを前記嵌合領域の内周側から前記嵌合ローラに向けて供給する駆動ユニットとを備えて、プロファイルをピンチローラ間から取り外し自在な構成とされることから、製管装置の搬入および組み付け作業が容易であるとともに、不具合やプロファイルの嵌合不良等を生じた場合にも迅速に対応することが可能となり、精度の高い更生管を効率よく形成することができ、既設管の更生作業に要する期間の短縮化も図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る製管装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、一実施形態に係る製管装置1の正面図である。
図2は、製管装置1におけるリンク体21を示し、
図2(a)は正面図、
図2(b)はリンクローラ3を一部破断して示した平面図である。
【0029】
なお、以下の説明においては、製管装置1により更生管120を形成する際の既設管200内における製管装置1の進行方向を前方、その反対方向を後方と位置づけて説明する。
【0030】
製管装置1は、長尺帯状のプロファイル100を既設管200内に連続的に引き込み、螺旋状に巻回して管状に形成する装置である。プロファイル100は、その先行する部分と後続する部分とが、製管装置1の外周部に隣接して配置され、プロファイル100に設けられている嵌合部が相互に嵌合される。これにより、プロファイル100は管状となり、既設管200内に残置される。また、製管装置1は、既設管200の内壁に沿って周方向に回転
しながら、既設管200の軸方向へ進行するので、更生管120が付加的に形成される。
【0031】
例示の形態に係る製管装置1は、円形断面の更生管120の施工に用いる自走式の製管装置であって、フレーム体2と、フレーム体2に軸支された複数のリンクローラ3と、フレーム体2の内周側からプロファイル100を供給する駆動ユニット4と、プロファイル100の嵌合部を内周側から押圧する嵌合ローラ8とを備えている。
【0032】
・リンク体(
図1、
図2)
図1に示すように、フレーム体2は、複数のリンク体21を相互に連結したリンク機構が、プロファイル100を供給する駆動ユニット4、およびプロファイル100を管状に嵌合する嵌合ローラ8等の各部材と相互に連結され、略環状に形成されている。
【0033】
リンク体21は、
図2(a)および
図2(b)に示すように、一組のリンクフレーム22、23が連結軸24を介して回転自在に連結して形成されている。
図2(b)に示すように、一方のリンクフレーム22(第1リンクフレーム22)は、対向する一対の第1リンクプレート221と、これらの第1リンクプレート221を対向させた状態に結合する第1連結プレート222とを備えて構成される。他方のリンクフレーム23(第2リンクフレーム23)は、対向する一対の第2リンクプレート231と、これらの第2リンクプレート231を対向させた状態に結合する第2連結プレート232とを備えて構成される。
【0034】
リンク体21は、第1リンクフレーム22における一対の第1リンクプレート221の各端部に、第2リンクフレーム23における一対の第2リンクプレート231の各端部を、それぞれ重ね合わせ、連結軸24を介して回転自在に連結して形成されている。リンク体21は、一つのリンク体21における第1連結プレート222に、他のリンク体21における第1連結プレート222を突き合わせて接合されている。また、一つのリンク体21における第2連結プレート232に、更に他のリンク体21の第2連結プレート232を突き合わせて接合されている。これにより複数のリンク体21が相互に連結されている。
【0035】
図2(a)に示すように、第1リンクフレーム22におけるリンクプレート221の表面には、連結軸24を中心として回動規制片211が設けられている。第2リンクフレーム23のリンクプレート231の端部には、この回動規制片211に対応する切欠部212が設けられている。切欠部212は、連結軸24の回動中心を中心とする設定半径上の一定範囲にわたって形成されている。これにより、一組のリンクフレーム22、23の相互の回動動作を、回動規制片211と切欠部212とが当接するまでの角度範囲に規制し、リンク体21が内方又は外方へ極端に屈曲することを防止している。
【0036】
隣接するリンク体21は、各リンクフレーム22、23の連結プレート(第1連結プレート222同士、または第2連結プレート232同士)を組み合わせて、ボルトナット等(図示せず)を介して着脱自在に連結されている。フレーム体2を直線状に形成できるように、特定の隣接するリンク体21間において着脱自在となされるならば、残りのリンク体21については溶接などによって着脱不能に形成されてもよい。
【0037】
リンク体21の連結軸24には、リンクローラ3が設けられている。リンクローラ3は、合成樹脂製又は金属製の円筒体であり、軸受25を介して連結軸24の軸回りに回転自在に支持されている。フレーム体2の外周にはプロファイル100が螺旋状に巻回される。リンクローラ3は、更生管120を形成する際に、プロファイル100および更生管120の内面に接触して回転する。
【0038】
・プロファイル(
図10)
ここで、プロファイル100は、
図10(a)に示すように、帯板状の基板101に複数本の断面T字状のリブ102が立設された形状とされている。基板101の一方の側縁部には、嵌合部として嵌合凸部103が立設されている。基板101の他方の側縁部には、基板101の厚み分の段部104が形成され、嵌合部として嵌合凹部105が設けられている。
図10(b)に示すように、段部104には、基板101の嵌合凸部103側の側縁部が納まる。また、嵌合凸部103は、隣り合ったプロファイル100の嵌合凹部105に嵌入される。かかるプロファイル100は、硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材により長尺状に成形される。
【0039】
また、プロファイル100には、金属製の補強材106が装着されている。例示する補強材106は、帯板状の鋼板を断面略W字状に折曲して形成されている。補強材106はプロファイル100の隣り合うリブ102間に嵌め込まれ、左右の傾斜部分の先端がそれぞれリブ102のT字部に係止されている。これにより、補強材106は、プロファイル100の長手方向に連続的に配設されている。
【0040】
プロファイル100は、製管過程で螺旋状に巻回され、
図10(a)に示すように、先行する部分と後続する部分とが互いに隣接する。そして、プロファイル100の先行部分の嵌合凹部105に対し、後続部分の嵌合凸部103が内面側(既に巻回されているプロファイル100の内周側)から嵌め込まれ、相互に接合される。
【0041】
・ピンチローラ(
図3)
フレーム体2には、プロファイル100を引き込み、送り出すための駆動ユニット4が設けられている。
図3は、駆動ユニット4を一部破断して、外面ローラ51と内面ローラ61とを示した側面図である。
【0042】
駆動ユニット4は、プロファイル100を挟んで回転駆動する外面ローラ51と内面ローラ61との対からなる、少なくとも一組のピンチローラ41を備えている。ピンチローラ41として、外面ローラ51はフレーム体2の外周側に配置され、内面ローラ61はその内周側に配置される。また、
図1に示されるように、駆動ユニット4には、ピンチローラ41が2組備えられている。2組のピンチローラ41は、プロファイル100の供給ラインに沿って、フレーム体2の内周側に配設されている。
【0043】
駆動ユニット4には、外面ローラ51と内面ローラ61とを回転駆動させる駆動モータ46が備えられている。外面ローラ51と内面ローラ61とは、減速機(例えば、歯車機構44の各歯車)を介して、互いに反対方向に回転駆動されている。
【0044】
駆動モータ46の駆動力は、歯車機構44を介して各ローラの回転軸に伝動され、外面ローラ51および内面ローラ61を適宜減速して回転させる。ピンチローラ41は、外面ローラ51および内面ローラ61の間にプロファイル100を挟み込んで送り出すように回転方向が設定されている。
【0045】
外面ローラ51は、大径ローラ53、補強材用大径ローラ54、および小径ローラ55を備えている。大径ローラ53は、プロファイル100の隣接するリブ102間に挿入可能な幅で形成されている。また、補強材用大径ローラ54は、複数備えられ、それぞれ、プロファイル100に装着された補強材106の略V字状の溝に挿入可能な鍔状に形成されている。小径ローラ55は、複数備えられ、プロファイル100のリブ102の先端部に接触して回転するよう、大径ローラ53および補強材用大径ローラ54よりも小径にて形成されている。これにより、外面ローラ51は、プロファイル100の外面(リブ102の立設された面)に接触しながら滑ることなく回転する。
【0046】
内面ローラ61は、合成樹脂製又は金属製の円筒体からなり、その軸方向の長さがプロファイル100の幅寸法に相当する長さよりも長くなるように形成されている。内面ローラ61は、プロファイル100の内面(リブ102の立設されていない面)に接触しながら回転する。
【0047】
互いに逆方向に回転するピンチローラ41(外面ローラ51および内面ローラ61)は、プロファイル100を両面から挟み込み、
図1に示すように、フレーム体2の内周側から引き込む。2組のピンチローラ41によって、プロファイル100は、既に巻回されたプロファイル100の先行部分に並列するように、連続的にフレーム体2の外周側へ送り出される。
【0048】
駆動ユニット4は、リンク体21に連結用のリンク部材26を介して設けられている。
図5に示すように、リンク部材26の外面側には、連結軸48の外周部に、回動規制片261と切欠部262とが備えられている。切欠部262は、連結軸48を中心とする設定半径上の一定範囲にわたって形成されている。これにより、駆動ユニット4のケーシング56、63とリンク部材26との相互の回動動作を、回動規制片261と切欠部262とが当接する角度範囲に規制し、内方又は外方へ極端に屈曲することを防止している。
【0049】
駆動ユニット4の連結軸48には、これを回転軸とする段付きローラ49が設けられている。段付きローラ49は、図示しない円筒状の本体部と、本体部よりも大径のローラ部とを備え、螺旋状とされたプロファイル100の経路を規制する。
【0050】
なお、駆動モータ46は、例えば、
図9に示される油圧ユニット93から油圧ホースを介して供給される圧油によって駆動し、油圧ユニット93は、発電機92から供給される電力によって駆動するように構成される。この場合、油圧ユニット93から延びる油圧ホースは、回転継手47を介して駆動モータ46に接続され、製管装置1の回転に影響なく圧油を供給する。
【0051】
・嵌合ローラ(
図4)
駆動ユニット4によるプロファイル100の送り出し方向の先方には、嵌合ローラ8が配設されている。
図4は、
図1に示す製管装置1において、嵌合ローラ8およびその前段部を、フレーム体2の内周側から見た平面図である。なお、
図4において、図中の上方は製管装置1の前方となり、同下方は製管装置1の後方となる。
【0052】
嵌合ローラ8は、フレーム体2における駆動ユニット4の後段部に、回転自在に軸支されている。嵌合ローラ8は、既設管200内において、螺旋状に巻回されたプロファイル100を、先行するプロファイル100の側縁部に押さえつけ、嵌合凸部103と嵌合凹部105とを嵌合させる作用をなす。
【0053】
例示の形態では、嵌合ローラ8は、円筒状の本体部81と、円板状の鍔部82と、本体部81よりも外径が大きい円筒状の大径部83とを有する。嵌合ローラ8の本体部81は、フレーム体2に設けられたリンクローラ3とほぼ同等の外径により形成されている。これに対し、大径部83は、リンクローラ3よりも外径が大きい円筒状に形成されている。
【0054】
大径部83は、後続するプロファイル100の嵌合部、または少なくとも先行するプロファイル100と後続するプロファイル100との嵌合部に接触しうる範囲に形成されている。
図4に示すように、大径部83は、嵌合ローラ8の軸方向の略中央部に配設され、プロファイル100の側縁部同士が並列する部分に対応して設けられている。
【0055】
嵌合ローラ8の鍔部82は、大径部83とほぼ同等の外径を有する円板状に形成され、嵌合ローラ8の軸方向の端部に一体に配設されている。嵌合ローラ8は、プロファイル100の内面に接触して回転する。そのため、鍔部82は、プロファイル100の一方の側縁部に当接して、プロファイル100の経路を規制する。
【0056】
嵌合ローラ8は、更生管120を構成するプロファイル100の長手方向またはプロファイル100の供給方向に対して、直交する向きとなるように配設されている。嵌合ローラ8をかかる直交方向に配設する方法としては、例えば、
図4に示すように、フレーム体2の隣接するリンク体21とリンク部材26との連結部において、一方のリンク体21またはリンク部材26を、他方のリンク体21またはリンク部材26に対して、管軸方向に移動させて、その移動させた状態で固定することが好ましい。
【0057】
・支持フレーム(
図4〜
図6)
図5は、製管装置1における駆動ユニット4および嵌合ローラ8を示す拡大正面図であり、
図6は
図5の反対側を示す拡大背面図である。
【0058】
本実施形態において、フレーム体2として、駆動ユニット4の連結軸48に回転自在に設けられた段付きローラ49の周囲には、第1の軸方向フレーム27が配設されている。
図4に示すように、第1の軸方向フレーム27は、段付きローラ49を支持するリンク部材26に対して一体に接合されている。第1の軸方向フレーム27は、前後のリンク部材26間に架設されるとともに、段付きローラ49と平行な方向に配設されている。第1の軸方向フレーム27は、剛性を有する金属板材からなり、段付きローラ49の外周を取り囲むように複数配設されている。
【0059】
また、嵌合ローラ8の回転軸を支持するリンク部材26には、第2の軸方向フレーム28が一体に接合されている。第2の軸方向フレーム28は、剛性を有する金属板材からなり、前後のリンク部材26間に架設され、嵌合ローラ8の回転軸と平行に配設されている。
【0060】
これらの第1、第2の軸方向フレーム27、28には、重量の軽減化を図るため、多数の丸孔が穿設されていることが好ましい。
【0061】
嵌合ローラ8の前段部には、前記複数の軸方向フレーム27、28に対して直交する方向に、1本の支持フレーム29が配設されている。
図6に示すように、支持フレーム29は、矩形断面の金属管材等により構成されて剛性を有し、前記複数の軸方向フレーム27、28の一端部に一体に接合され、第1の軸方向フレーム27、および第2の軸方向フレーム28の間に架け渡すように配設されている。また、支持フレーム29は、フレーム体2の背面側に周方向に架設されている。
【0062】
図4に示すように、これらの第1、第2の軸方向フレーム27、28と、支持フレーム29とは、フレーム体2の内周側から見て、一方向(
図4における図中の上方向)に開放した略コ字状のフレームを構成している。これにより、フレーム体2は、
嵌合ローラ8の前段部が、嵌合ローラ8の回転軸の前端側に開放された配置形態となされている。プロファイル100は、第1の軸方向フレーム27の内周側から供給されて、駆動ユニット4を通過し、第2の軸方向フレーム28の外周側へ導かれる。
【0063】
・開閉機構(
図3、
図7〜
図9)
前記のとおり、駆動ユニット4は、2組のピンチローラ41を備えている。具体的には、駆動ユニット4は、これらのローラのうち、2つの外面ローラ51を内側に保持した外面ユニット5と、2つの内面ローラ61を内側に保持した内面ユニット6とが組み合わされて構成されている。
【0064】
図3に示すように、外面ユニット5は、外面ローラ51と、剛性を有するケーシング56とを備える。ケーシング56には、外面ローラ51の回転軸52が、軸受を介して回転自在に支持されている。また、外面ユニット5には、歯車機構44を構成する歯車の一部が収容され、外面ローラ51の回転軸52に固定されている。
【0065】
内面ユニット6は、内面ローラ61と、剛性を有するケーシング63とを備える。ケーシング63には、内面ローラ61の回転軸62が、軸受を介して回転自在に支持されている。また、内面ユニット6には、歯車機構44を構成する歯車の一部が収容され、内面ローラ61の回転軸62に固定されている。
【0066】
外面ユニット5および内面ユニット6の双方に備えられた歯車は、互いに噛み合って歯車機構44を構成し、外面ローラ51と内面ローラ61との同期回転を図る。ケーシング56、63は、剛性を有する鋼材等により形成されて十分な強度を備える。
【0067】
駆動モータ46の出力軸は、内面ローラ61の回転軸62とともに、内面ユニット6のケーシング63に回転自在に支持されている。また、駆動モータ46の出力軸に固定された歯車は、2つの内面ローラ61の回転軸62に固定された各歯車に互いに噛み合うように配設されている。内面ローラ61の回転軸62に固定された歯車は、外面ユニット5に備えられた2つの外面ローラ51の回転軸52の歯車に、それぞれ噛み合うように配設されている。歯車機構44は、これらの歯車の歯数を調整することにより、外面ローラ51および内面ローラ61の回転軸52、62の回転数を調整可能とされている。
【0068】
駆動ユニット4に設けられた、これらのピンチローラ41は、プロファイル100に圧接および離間可能とされている。例示の形態では、駆動ユニット4は、プロファイル100に対してピンチローラ41を圧接位置と離間位置との間で開閉するための開閉機構を有する。開閉機構の一例として、例えば、外面ユニット5と内面ユニット6とを、開閉可能に連結するヒンジ軸42を備えている。
【0069】
図3および
図8に示すように、ヒンジ軸42は、外面ユニット5と内面ユニット6における背面側の側面に設けられている。外面ユニット5と内面ユニット6と回動中心は、フレーム体2の背面側に設けられている。また、ヒンジ軸42は、プロファイル100の供給方向と平行に配設されている。
【0070】
これにより、内面ユニット6は、外面ユニット5に対して、ヒンジ軸42を中心に回動可能に連結されている。両ユニット5、6内部の外面ローラ51と内面ローラ61とは、回転軸52、62における背面側(
図6に示す支持フレーム29側)の端部を中心に、開閉動可能とされている。駆動ユニット4内部の歯車機構44の係合離脱は、外面ユニット5と内面ユニット6との開閉動作に連動される。
【0071】
駆動ユニット4には、外面ユニット5と内面ユニット6との閉止状態を保持する閉合部材7が設けられている。
図7および
図8に示すように、外面ユニット5には、閉合部材7として、コイルばね721と抜け止めリングとを装着した連結ボルト72が備えられている。連結ボルト72の一端部は、外面ユニット5の正面部に回動自在に取り付けられている。連結ボルト72の他端部は、コイルばね721を押圧して圧縮させるためのナット722を螺合している。
【0072】
一方、内面ユニット6の正面部には、閉合部材7として、連結ボルト72の受け部74が突設されている。受け部74には、連結ボルト72の軸部を保持する凹部741が形成されている。連結ボルト72の軸部は、受け部74の凹部741に嵌挿されて、ナット722が締め込まれることにより、軸方向付勢力が付与されて閉合固定される。また、ナット722を緩めることで軸方向付勢力が解除されて、受け部74から連結ボルト72の軸部が外れ、内面ユニット6が外面ユニット5に対して回動されて開放される。
【0073】
図4および
図7に示すように、外面ユニット5と内面ユニット6の側面には、内部のピンチローラ41へと、プロファイル100を引き込むための導入口43が設けられている。外面ユニット5側に設けられる導入口43は、内周方向に開放された凹状の切欠部とされ、内面ユニット6側に設けられる導入口43は、外周方向に開放された凹状の切欠部とされている。
【0074】
これにより、導入口43は、外面ユニット5と内面ユニット6とが組み合わされて閉合されたとき、プロファイル100の幅よりも大きい一つの開口部を形成するように設けられている。各ユニット5、6における導入口43の手前には、一対のガイドローラ431が回転自在に設けられている(
図5参照)。ガイドローラ431は、プロファイル100を駆動ユニット4の内部へ円滑に導く。また、
図3に示すように、外面ユニット5と内面ユニット6との他方の側面には、プロファイル100の導出口45が、前記導入口43と同様に設けられている。
【0075】
製管装置1は、このような開閉機構を備えることにより、駆動ユニット4において、内面ユニット6を外面ユニット5に対して、ヒンジ軸42を介して回動させることができる。これにより、駆動ユニット4を開放することができる。また、プロファイル100を挟み込んで回転している外面ローラ51と内面ローラ61とを、プロファイル100から離間させることができる。
図8に示すように、ピンチローラ41間から離間されたプロファイル100は、そのまま正面側へ引き出して、駆動ユニット4から容易に取り外すことができる。
【0076】
・外面ガイド(
図1、
図5)
駆動ユニット4と嵌合ローラ8との間には、プロファイル100が外周側へ必要以上に膨らまないように押さえる外面ガイド85が設けられている。
図1および
図5に示されるように、外面ガイド85は、プロファイル100の内面を案内する小径のガイドローラ86と、プロファイル100の外面より外周側に配設されたガイド板87とを備える。ガイドローラ86はフレーム体2に回転自在に支持されて、プロファイル100の内面に接触して回転する。ガイド板87は、フレーム体2にボルト固定された支持アーム88を介して固定されている。
【0077】
ガイドローラ86とガイド板87とはプロファイル100を挟んで対向配置され、駆動ユニット4から嵌合ローラ8へと送られるプロファイル100の経路を円滑に規制する。外面ガイド85は、支持アーム88のボルト固定を解除して、プロファイル100の外周側のガイド板87をフレーム体2から容易に取り外すことができる。
【0078】
(既設管の更生方法)
次に、上述の製管装置1を用いて既設管200を更生する施工手順について説明する。
図9は、既設管200の更生方法を示す説明図である。
【0079】
既設管200の更生に用いるプロファイル100は、ドラム91に巻き取られて施工現場に搬送される。既設管200の更生に際しては、所定スパンごとに設けられたマンホール201、202を利用し、プロファイル100等を既設管200内に導入して製管していく。更生管120の施工は、既設管200の上流側から下流側に向けて行う。
【0080】
図9に示すように、上流側マンホール201の地上には、プロファイル100を巻き重ねた回転台付きドラム91を設置する。下流側マンホール202の地上には、発電機92を設置する。既設管200内には、製管装置1および油圧ユニット93を搬入する。
【0081】
製管装置1は、フレーム体2が分解可能かつ組み立て可能であることから、上流側マンホール201内へ容易に搬入し、組み立てることができる。形成する更生管120の口径に合わせて、製管装置1の周長をリンク体21の個数を増減することにより調整しておく。また、製管装置1のフレーム体2を、既設管200の内径および使用するプロファイル100の幅に対応するように調整する。駆動ユニット4や外面ガイド85はリンク体21に後付け可能であるので、リンク体21とは別体でマンホール201内へ搬入した後、リンク体21に組み付けてもよい。
【0082】
製管装置1の組み立て作業が完了すると、地上のドラム91からプロファイル100をマンホール201内へ引き込む。そして、プロファイル100を、製管装置1のフレーム体2の内周側から、駆動ユニット4のピンチローラ41(外面ローラ51および内面ローラ61)に挟み、挿通させる。
【0083】
次いで、プロファイル100をフレーム体2の外周側へ送り出す。また、製管装置1を軸心回りに回転させ、送り出したプロファイル100をフレーム体2の外周面に2〜3周分、巻回する。これにより、製管開始用の更生管120を形成する。
【0084】
次いで、製管装置1の駆動ユニット4を駆動し、ピンチローラ41を回転させる。ピンチローラ41は、プロファイル100を挟み込んで引き込む。プロファイル100は、ピンチローラ41の外面ローラ51および内面ローラ61に挟まれて、フレーム体2の内周側から引き込まれ、送り出される。プロファイル100には、その送り出し方向とは逆向きの力(バックテンション)が作用する。また、ピンチローラ41にてプロファイル100を送り込んだ際の反力によって、製管装置1は既に巻かれた更生管120の内周面に沿って、送り込み方向とは逆方向に周回移動(公転)する。
【0085】
ピンチローラ41により駆動ユニット4に引き込まれたプロファイル100は、外面ガイド85を経て、プロファイル100の嵌合領域に配設された嵌合ローラ8に到達する。ここで、既に巻回され張力が付与されているプロファイル100の先行部分に対し、プロファイル100の後続部分が嵌合ローラ8の外周面に接触し、内周側から押しつけられる。プロファイル100の後続部分の嵌合凸部103は、プロファイル100の先行部分の嵌合凹部105に隣接して配置され、嵌合ローラ8の大径部83に押圧される。これにより、プロファイル100の先行部分と後続部分とが嵌合されて管状となる(
図10参照)。
【0086】
駆動ユニット4は、フレーム体2に巻かれたプロファイル100の内周を周回移動しつつ、プロファイル100の嵌合凹部105に、後続するプロファイル100の嵌合凸部103を送り込む。また、嵌合ローラ8の押圧作用によってこれらを順次嵌合して、更生管120を付加的に形成する。駆動ユニット4は、プロファイル100を常に巻き絞るように螺旋状に供給する。
【0087】
製管装置1は、フレーム体2の外周側にローラ部材を有していないため、既設管200の内周面に隙間なく更生管120を付加形成することができる。また、製管装置1は略環状の構造を有しているので、製管装置1が既設管200の内部を塞いでしまうことがなく、既設管200が通水状態であっても更生管120を形成することができる。
【0088】
製管作業中に、製管装置1のいずれかの構成部材において不具合を生じたり、プロファイル100の嵌合状態に不良を生じたりした場合には、製管装置1の駆動モータ46を停止させる。特に、プロファイル100の嵌合領域において不具合等を生じている場合には、円滑に修理作業または調整作業を行うために、供給途中のプロファイル100を一旦、除去することが好ましい。
【0089】
この場合、駆動ユニット4の外面ユニット5と内面ユニット6との正面に備えられた閉合部材7のナット722を緩める。これにより、閉合部材7の連結ボルト72を受け部74から取り外すことができる。
【0090】
図8に示すように、連結ボルト72を、外周側端部を中心として回動させ、連結ボルト72を内面ユニット6の受け部74から離し、駆動ユニット4の正面から退避させる。次いで、内面ユニット6を、ヒンジ軸42を中心に回動させて、外面ユニット5に対して開く。外面ユニット5と内面ユニット6との開放動作に連動して、これらのユニット5、6内の歯車機構44の歯車が離脱する。外面ローラ51と内面ローラ61とは、プロファイル100から離間する。
【0091】
また、外面ガイド85の支持アーム88のボルト固定を解除して、プロファイル100の外周側に配設されているガイド板87を取り外す。
【0092】
このように駆動ユニット4を開くことで、プロファイル100に作用していたピンチローラ41の接触圧を容易に開放することができる。また、
図4に示すように、フレーム体2は、
嵌合ローラの前段部において、製管装置1の前方(正面側)に開放した略コ字状のフレームを構成している。これらの構成により、駆動ユニット4に供給されていたプロファイル100の部分を前方へ引き出し、フレーム体2の外周側へ送り込まれていたプロファイル100の部分を、フレーム体2の前方へ引き出して、プロファイル100を容易に取り出すことができる。
【0093】
したがって、既設管200内の狭いスペースであっても、フレーム体2や各ローラ部分等の構成部材の修理や交換作業を行いやすく、プロファイル100の嵌合不良を修正したり、不具合を直したりすることを短時間で容易に行うことができる。
【0094】
修理又は交換作業が終われば、内面ユニット6を外面ユニット5に対して閉じ、閉合部材7の連結ボルト72を受け部74に係止させ、ナット722を締め付ける。これにより、再び、ピンチローラ41をプロファイル100に圧接することができ、直ちに製管作業を再開することが可能となる。したがって、従来のようにプロファイル100を切断した上で、各構成部材を分解する、という煩雑な作業工程が不要となり、施工期間の長期化を招くことなく、精度の高い更生管10を効率よく形成することが可能となる。
【0095】
更生管120の前端部が下流側マンホール202に到達すると、製管装置1の駆動を停止する。そして、製管装置1を解体し、フレーム体2を分解した状態で下流側マンホール202から搬出する。更生管120と既設管200との間隙には、硬化性モルタル等の裏込め材を注入し、硬化させることで、既設管200の更生が完了する。
【0096】
・その他の形態
なお、本発明に係る製管装置1は、上記実施形態以外にも他の様々な形で実施することができる。そのため、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0097】
例えば、ピンチローラ41は、プロファイル100に圧接および離間可能に設けられて、プロファイル100をピンチローラ41間から取り外し自在な構成であれば、どのような構成であってもよい。また、フレーム体2は、
嵌合ローラの前段部が、嵌合ローラ8の回転軸の一方の端部側に開放された形状であれば、他のどのような形状であってもよい。駆動ユニット4にあっては、2組のピンチローラ41を備える構成に限らず、少なくとも1組のピンチローラ41を備えるものであればよい。ピンチローラ41を回転させる駆動源は、油圧モータのほか、電動モータ、エアモータ、又は水圧モータ等であってもよく、減速機としては、歯車以外に、チェーンスプロケット等を利用してもよい。
【0098】
また、本発明において、更生管120を構成するプロファイル100は、
図10(a)および
図10(b)に示したプロファイル100に限定されず、補強材106が装着されないプロファイルであっても、また他の形状の補強材が装着された構成であってもよい。また、
図11(a)および
図11(b)に示すように、隣接する主部材111を、長尺帯状の嵌合部材115により接合し、更生管120を形成する構成のプロファイル110であってもよい。主部材111は、基板112に複数の断面T字状のリブ113を有し、基板112の両端部に嵌合溝114が形成されている。嵌合部材115は、隣接した主部材111双方の嵌合溝114に嵌め込まれる2条の凸部116を有する。このようなプロファイル110にあっても、上記と同様の金属製の補強材が装着されてもよい。