(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
家庭用電化製品や自動車等に用いられる電源装置の1つとして、フライバック型のDC−DCコンバータが知られている。フライバック型のDC−DCコンバータでは、1次側と2次側とを絶縁するためのトランスが用いられる。このような電源に用いられるトランスの構造の一例として、例えばE−E型と呼ばれるコアの中心に位置するコア部の周りに1次側のコイル及び2次側のコイルが絶縁された状態で巻回された構造を挙げることができる。
【0003】
ところで電源装置に用いられるトランスのコイルには所定の周波数でスイッチングされた電流が流れる。このためトランスのコアに発生する磁界は当該周波数に合わせて変動する。この磁界の変動やコイルに流れる電流の変動に起因して、トランスのコアやコイル、或いは、トランス近傍の部品に振動が生じることがあり、この振動が可聴帯域の周波数となる場合がある。この可聴帯域の振動が音として外部に放出されると騒音となる。このことを防止するため、例えば樹脂をトランスの隙間に充填させることが行われている。
【0004】
下記特許文献1には、トランスが用いられる電源用回路ブロックが記載されている。この電源用回路ブロックでは、トランスがケース内に挿入された状態で、ケース内に樹脂が充填されて、ケース内に位置する部品間、巻線の線間まで樹脂が入り込んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の電源用回路ブロックを用いた電源装置では、ケース内に充填された樹脂により、電源装置の外部にトランス等から発生した振動が音として放出され騒音となることに一定の抑制がなされていると考えられる。しかし、騒音がより低減された電源装置が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、騒音を低減することができる電源用モジュール部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の電源用モジュール部品は、ケースと、前記ケース内に配置され、貫通孔が形成されるコア及び前記貫通孔に挿通されて前記コアに巻回されるコイルを有するトランスと、前記ケース内に充填され前記トランスを覆う樹脂と、を備え、前記樹脂は、シリコン及びウレタンの少なくとも一方から成り、前記貫通孔内に前記樹脂が非充填とされることによる空隙が形成されることを特徴とするものである。
【0009】
上記のように電源用モジュール部品の内部では、トランスやコイルの振動が可聴帯域の周波数となる場合がある。しかし、ケース内に充填されてトランスを覆う樹脂がシリコン或いはウレタンであれば、内部で発生した可聴帯域の振動は当該樹脂を伝導しづらい。
【0010】
また、コアの貫通孔内の空隙に音として放出された振動が電源用モジュール部品の外部に放出されるには、空隙内の音が空隙から樹脂やコア等に伝導しなければならない。しかし、一旦空隙に放出された音は、反射等の影響により再び樹脂やコア等に伝導しづらい。このため空隙内に音の多くを閉じ込めることができる。
【0011】
また、空隙がコアの貫通孔内に形成されることにより、空隙の少なくとも一部はコアで囲まれる。従って、コアから発生する振動は、空隙がコアの貫通孔外のみに形成されている場合と比べて、音として空隙に放出され易い。このようにより多くの振動を音として空隙内に放出することで、コアから発生する多くの振動を音として上記のように空隙内に閉じ込めることができる。
【0012】
また、空隙内の音がコアを振動してコアに伝導する場合であっても、コアに伝導する音が電源用モジュール部品の外部に放出されるためには、トランスを覆う樹脂を介して外部に放出される必要がある。ところが磁性体から成るコアは一般的にシリコンやウレタンよりも硬いため、コアから樹脂に振動が伝導しづらい。従って、ここでも振動が外部に向かって伝導することが低減される。
【0013】
以上のような内部で発生した振動が低減される作用により、本発明の電源用モジュール部品によれば、音が外部に放出されることによる騒音を低減することができるのである。
【0014】
また、前記トランスは、前記コアの側面の一部を周回するように覆うボビンを有し、前記コイルは、前記ボビンに巻回されることで前記コアに巻回され、前記空隙は、前記貫通孔内に形成されることが好ましい。
【0015】
空隙がボビンの貫通孔内に形成されることで、空隙に放出された音のうち電源用モジュール部品の外部に放出される音の少なくとも一部は、空隙からコアやボビンに振動として伝導して、コアやボビンから樹脂を介して外部に放出される。しかし、空隙に放出された音は、上記のように空隙からコアやボビンに伝導しづらい。また、上記のように振動はコアやボビンから樹脂に伝導しづらい。このため空隙に放出された音の多くは、電源用モジュール部品の外部まで伝導しづらい。従って、空隙がコアの貫通孔内におけるボビンの貫通孔内に形成されることで、電源用モジュール部品の内部で発生した振動が外部へ音として放出されることをより一層低減することができる。
【0016】
さらに、前記コアには、前記ボビンに覆われる領域にギャップが形成され、前記空隙の少なくとも一部は、前記ギャップ内に形成されることが好ましい。この場合、前記樹脂は、前記ギャップ内に非充填とされることがより好ましい。
【0017】
一般的にコアにギャップが形成される場合、ギャップに面するそれぞれのコア面の幅は、ギャップ幅(互いに対向するコア面同士の距離)よりも大きい。従って、ギャップ内の空隙内の音がコアに伝導する場合、その多くは、コア面からコアに伝導する傾向にある。しかし、空隙に放出された音は上記のようにコアに伝導しづらい。また、コアに音が伝導する場合であっても、上記のように当該振動はコアからトランスを覆う樹脂へ伝導しづらい。従って、電源用モジュール部品の内部で発生した振動がギャップ内の空隙に音として放出される場合、騒音をより抑制することができる。また、樹脂がギャップ内に非充填とされることで、コア面が空隙に最大限に露出されることとなる。この場合、コア面による音の反射等により、空隙内の音がコアに伝導することをより抑制することができる。従って、騒音をより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、騒音を低減することができる電源用モジュール部品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電源用モジュール部品の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る電源用モジュール部品の断面図である。本実施形態の電源用モジュール部品1は、DC−DCコンバータに用いられるモジュール部品である。
図1に示すように本実施形態の電源用モジュール部品1は、ケース2と、ケース2内に配置されるトランスTrと、ケース2内に充填される樹脂6と、回路基板7と、を主な構成として備える。
【0022】
ケース2は、天板部21と、天板部21を囲むようにして天板部21と接続される側壁部22とから構成されている。天板部21は、特に図示しないが天板部21を平面視する場合に略矩形状の形状をしている。また、天板部21には、側壁部22と離れた部位に外側に向かって突出する凸部21aが形成されており、ケース2の内側における凸部21aに対応する部位は凹部とされている。側壁部22は、複数の平板状の部材が互いに接続された筒状の形状をしている。そして、天板部21側が天板部21により塞がれており、天板部21側と反対側に開口25が形成されている。また、側壁部22は、天板部21側が小径部22aとされ、開口25側が大径部22bとされ、小径部22aと大径部22bとが、傾斜部22cにより結合されている。なお、本実施形態では、ケース2は例えば厚みが1mm程度の樹脂から構成されている。ただし、ケース2は例えばアルミニウム等の金属や他の材料から形成されていても良い。
【0023】
トランスTrは、コア3と、ボビン4と、コイル5とから構成されている。
【0024】
コア3は、フェライトや珪素鋼板等の磁性体から形成されている。また、コア3は、本実施形態では、E−E型と呼ばれる形状をしており、2つのコア部3a,3bから構成される。コア部3aは、E型の形状をしており、一対の側方部33aと、一対の側方部33aで挟まれる中心部31aとを有する。また、コア部3bは、コア部3aと同様の形状をしており、一対の側方部33bと、一対の側方部33bで挟まれる中心部31bとを有する。そして、
図1に示すように、それぞれのコア部3a,3bは、互いに逆向きとされて、それぞれの側方部33aと側方部33bとが接した状態とされて、組み合わされている。側方部33aと側方部33bとの各組み合わせにより、コア3の一対の側方コア部33が形成されている。また、コア部3a,3bが組み合わされた状態で、コア部3aの中心部31aとコア部3bの中心部31bとが、所定の間隔を空けて互いに対向している。これら中心部31aと中心部31bとの組み合わせにより、コア3の中心コア部31が形成されている。また、中心部31aと中心部31bとが所定の間隔をあけて対向することにより、ギャップGが形成されている。また、一方の側方コア部33と中心コア部31との間にコア3の一方の貫通孔35が形成され、他方の側方コア部33と中心コア部31との間にコア3の他方の貫通孔35が形成されている。それぞれの貫通孔35は、ギャップGでつながっている。従って、ギャップGは、コア3に形成された貫通孔の一部として認識することができる。
【0025】
ボビン4は、コイル5となる導線が巻回された状態で、コア3の中心コア部31の側面を囲むように形成されている。具体的には、ボビン4は、コア部3a,3bのそれぞれの中心部31a,31bを挿入可能な貫通孔45が形成された筒部41と、筒部41の両端に接続され筒部41の外側に向かって延在する一対の板状の鍔部42とを有している。そして、ボビン4は、筒部41の外周面及び一対の鍔部42の互いに対向する面により、凹部が形成されている。また、ボビン4の筒部41及び各鍔部42は、一体成型された樹脂からなる。なお、鍔部には、アウトサート成型により鍔部と一体とされた、導体からなる不図示の複数の絡げ部や、絡げ部と導通する端子が設けられている。
【0026】
コイル5は、互いに絶縁された2つの導線からなり、一方の導線は一次側のコイルとされ、他方の導線は2次側のコイルとされる。それぞれの導線は、ボビン4の上記凹部内において、筒部41の外周面に巻回されている。こうしてコイル5は、コア3の貫通孔35に挿通されてコア3に巻回されている。また、特に図示しないが、それぞれの導線の端部は、ボビン4の上記の絡げ部に絡げられることで、ボビン4に固定されている。なお、
図1においてコイル5は省略された記号で記載されている。
【0027】
上記のようにボビン4に導線が巻回されてコイル5とされた状態で、ボビン4の貫通孔45に一方側からコア部3aの中心部31aが挿入され、他方側からコア部3bの中心部31bが挿入される。そして、上記のようにそれぞれのコア部3a,3bは互いに組み合わされてコア3とされ、トランスTrが構成される。
【0028】
回路基板7は、基板71と、基板71に搭載される電子部品72と、複数の端子73とを有する。電子部品72としては、例えば、FET(Field Effect Transistor)や、キャパシタ、抵抗等を挙げることができる。また、基板71には、ボビン4に設けられ絡げ部と導通する不図示の端子が、電子部品72と所定の状態で電気的に接続された状態で固定されている。また、複数の端子73は、基板71の電子部品72側と反対側に延在するように設けられて、電源用モジュール部品1の端子とされている。なお、本電源用モジュール部品1は、直流が外部で所定の周波数でスイッチングされ、当該周波数で電流のオンとオフとを繰り返す電流が入力し、略直流化された電流が出力する部品である。
【0029】
上記のようにボビン4に設けられる端子が基板71に固定された状態で、トランスTr及び回路基板7はケース2内に挿入されている。本実施形態では、トランスTrは、一部がケース2の小径部22a内に位置し他の一部が大径部22b内に位置するように、ケース2内に挿入されている。また、回路基板7は、ケース2の大径部22b内に位置するようにケース2内に挿入されている。
【0030】
樹脂6は、シリコン及びウレタンの少なくとも一方から成る。樹脂6は、磁性体であるコア3よりも硬度が小さく、更に、ボビン4、ケース2を構成する材料よりも小さい硬度であることが好ましい。更に樹脂6は、電源用モジュール部品1の中で最も小さい硬度であることが好ましい。そして、樹脂6の硬度は、ショアAで示す場合にA30〜A80であることが好ましく、A40〜A70であることがより好ましい。
【0031】
この樹脂6は、
図1に示すようにトランスTr及び回路基板7がケース2内に挿入された状態でケース2内に充填されている。従って、樹脂6は、トランスTrと回路基板7の隙間や、トランスTrとケース2の隙間や、回路基板7の電子部品72とケース2やトランスTrの隙間等に充填されている。また、ケース2の凸部21aの内側の部位である凹部は、樹脂溜りとして機能し、当該凹部にも樹脂6が充填されている。このようにして、トランスTrは、樹脂6により覆われている。更に樹脂6は、基板71よりも開口25側まで充填されケース2を封止している。このため、開口25側から電源用モジュール部品1を見ても、基板71の視認が樹脂6により妨げられている。ただし、端子73は、樹脂6により一部が覆われておらず、樹脂6からケース2の外側まで突出している。
【0032】
図2は、コア3に形成されたギャップGの近傍の様子を示す図である。
図2に示すように、ボビン4の貫通孔45の径は、コア3の中心コア部31の径よりも大きく、貫通孔45におけるボビン4の内周面と中心コア部31の外周面との間に隙間が形成されている。樹脂6は、当該隙間の一部にまで充填されているが、ギャップG及びボビン4の内周面と中心コア部31の外周面との間に隙間のうちギャップGと繋がるギャップG近傍には充填されていない。つまり、コア3の貫通孔35の一部には樹脂6が非充填とされており、空隙ASが形成されている。従って、本実施形態では、空隙ASにコア3やボビン4の表面が露出している。
【0033】
なお、
図2に示すように、コア部3a,3bの中心部31a,31bのギャップGに面するコア面32a,32bの幅CWは、小型の電源用モジュール部品の場合、例えば3mm〜6mmとされる。また、コア面32a,32bの幅CWが上記の大きさである場合、ギャップGのギャップ幅GW、すなわち互いに対向するコア面32a,32b同士の距離は、例えば0.3mm程度とされる。このように、一般的なトランスでは、コア3にギャップGが形成される場合、ギャップGに面するそれぞれのコア面32a,32bの幅は、ギャップ幅GWよりも大きくされる。
【0034】
次に上記で説明した電源用モジュール部品1の作用について説明する。
【0035】
電源用モジュール部品1が動作する際、所定の周波数でスイッチングされた電流が入力する。この電流がコイル5に入力することで、コイル5は電流が流れる状態と流れない状態とが周期的に繰り返される。従って、コア3に生じる磁界もコイル5に流れる電流と同期して変化する。このコイル5に流れる電流の周期的な変化や、コア3に生じる磁界の周期的な変化に起因して、コア3やコイル5、或いは、周辺の電子部品72等に可聴帯域の振動が生じることがある。
【0036】
しかし本実施形態の電源用モジュール部品1によれば、ケース2内に充填されてトランスTrを覆う樹脂6がシリコンやウレタンから成るため、発生した振動の伝導が樹脂6により抑制される。
【0037】
また、コア3の貫通孔35内の空隙ASに放出された音が電源用モジュール部品1の外部に放出される場合、空隙AS内の音が空隙から樹脂6やコア3等に振動として伝導する必要がある。しかし、一旦空隙AS内に放出された音は、反射等の影響により再び樹脂6やコア3等に伝導しづらい。このため空隙内に音の多くを閉じ込めることができる。
【0038】
また、空隙ASが形成される部位がコア3の貫通孔35内に形成されることにより、空隙ASの少なくとも一部はコア3で囲まれる。従って、コア3から発生する振動は、空隙ASがコア3の貫通孔35外のみに形成されている場合と比べて、空隙ASに音として放出され易い。このため、コア3から発生する多くの振動を上記のように音として空隙AS内に閉じ込めることができる。
【0039】
また、空隙AS内の音がコア3を振動してコア3に伝導する場合、コア3に伝導する音が電源用モジュール部品の外部に放出されるためには、トランスTrを覆う樹脂を介して外部に放出される必要がある。ところが磁性体から成るコア3はシリコンやウレタンといった樹脂6よりも硬いため、コア3から樹脂6に振動が伝導しづらい。従って、ここでも振動が外部に向かって伝導することが低減される。
【0040】
こうして本実施形態の電源用モジュール部品1によれば、騒音を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態の電源用モジュール部品1では、
図2を用いて説明したように、空隙ASは、貫通孔35内におけるボビン4とコア3との間に形成されている。このため、空隙ASに放出された音のうち電源用モジュール部品1の外部に放出される音の少なくとも一部は、空隙ASからコア3やボビン4に振動として伝導して、さらにコア3やボビン4から樹脂6を介して外部に放出される。しかし、空隙ASに放出された音は、上記のように空隙ASからコア3やボビン4に伝導しづらい。また、上記のように振動はコア3やボビン4から樹脂6に伝導しづらい。このため空隙ASに放出された音の多くは、電源用モジュール部品1の外部まで伝導しづらい。従って、空隙ASがボビン4とコア3との間に形成されることで、電源用モジュール部品1の内部で発生した振動が外部へ音として放出されることをより一層低減することができる。
【0042】
また、本実施形態のように、ギャップG内に空隙ASが形成される場合、空隙AS内の音がコア3に伝導する場合、その多くは、コア面32a,32bからコア3に伝導する傾向にある。しかし、上記のように空隙ASからコア3に音は伝導しづらい。また、コア3に音が伝導する場合であっても、上記のように振動はコア3から樹脂6伝導しづらい。従って、電源用モジュール部品1の内部で発生した振動がギャップG内の空隙ASに音として放出される場合、騒音をより抑制することができる。また、本実施形態のように樹脂6がギャップG内に非充填とされることで、コア面32a,32bが空隙ASに最大限に露出されることとなる。この場合、コア面32a,32bによる音の反射等により、空隙AS内の音がコア3に伝導することをより抑制することができる。従って、電源用モジュール部品1の外に音が放出されることをより一層抑制することができる。
【0043】
以上、本発明について実施形態を例に説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されない。
【0044】
例えば、上記実施形態では、コア3はE−E型のコアとされたが、例えばE−I型のコアや他の形状のコアであっても良い。
【0045】
また、上記実施形態では、空隙ASがボビン4の貫通孔45内に形成されたが、例えば、コア3の貫通孔35内のボビン4とコイル5との間に形成されても良い。また、上記実施形態では、ギャップG内のすべての領域が空隙ASの一部とされたが、ギャップGの一部に樹脂6が充填され、ギャップGの一部が空隙ASとされても良い。また、ギャップG内に空隙ASが形成される場合であっても、コア面32a,32bが露出していなくともよい。
【0046】
また、上記実施形態では、DC−DCコンバータ用の電源用モジュール部品を例に説明したが、本発明はこれに限らず、例えばインバータ用の電源用モジュール部品にも適用可能である。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0048】
(実施例1)
図1に示す電源用モジュール部品における樹脂がケース内に充填される前の状態の半製品を準備した。準備した半製品に所定の外部回路を付加してDC−DCコンバータとした。そして、このDC−DCコンバータに付加240mAの負荷を接続して、340Vの電圧を加えた。このDC−DCコンバータは、30kHzのスイッチング周波数が約9kHzでバーストする動作とした。
【0049】
このとき半製品から発生する騒音を測定した。測定は、暗騒音22dB以下の防音室内で、半製品から5cm離れた場所にマイクを設置することで行った。このときの周波数ごとの騒音を
図3に示す。なお、ノイズレベルが騒音の大きさを示す。
【0050】
図3に示すように、9kHz付近、及び、18kHz〜20kHz付近に騒音が確認された。
【0051】
次に、半製品のケース内にウレタン樹脂を充填して、
図1に示す電源用モジュール部品とした。ただし、
図2に示すように、少なくとも、コア3のギャップ内にウレタン樹脂が充填されないようにした。そして、上記半製品の騒音の測定と同様にして騒音を測定した。その結果を
図4に示す。
【0052】
図4に示す通り、9kHz付近、及び、18kHz〜20kHz付近の騒音が大幅に低減され、可聴帯域の全体にわたって騒音が小さくなることが確認できた。
【0053】
(比較例1)
実施例1と同様の半製品を準備し、実施例1と同様にして、半製品の騒音の測定を行った。その結果を
図5に示す。
【0054】
図5に示す通り、8.5kHz付近、及び、17kHz〜19kHzに騒音のが確認された。実施例1の半製品との差は、異なるサンプルであることによる誤差と考えられる。
【0055】
次に、当該半製品をワニスに含浸した後、半製品を覆うワニスを固化させ電源用モジュール部品とした。そして、実施例1と同様にして、電源用モジュール部品の騒音の測定を行った。その結果を
図6に示す。
【0056】
図6に示す通り、8.5kHz付近の騒音は低減されず、また、17kHz付近の騒音が低減されない結果となった。
【0057】
以上の結果より、本発明の電源用モジュール部品によれば、可聴帯域の騒音を低減できることが確認された。