特許第6170398号(P6170398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61703982連エアゾール容器体用吐出装置及び2連式エアゾール容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170398
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】2連エアゾール容器体用吐出装置及び2連式エアゾール容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/20 20060101AFI20170713BHJP
   B65D 83/68 20060101ALI20170713BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20170713BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20170713BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   B65D83/20 100
   B65D83/68 100
   B65D47/06
   B65D81/32 U
   B05B9/04
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-205979(P2013-205979)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-67362(P2015-67362A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−326679(JP,A)
【文献】 特開平11−059746(JP,A)
【文献】 特開2003−034374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/20
B05B 9/04
B65D 47/06
B65D 81/32
B65D 83/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のエアゾール容器体の上部を覆うための左右方向に長く形成され、前壁部にノズル挿通口(20)を開口したカバー筒部(12)と、
左右一対の内容物導入口(32)を下面に開口するとともに内部に混合室(C)を形成し、かつ上記ノズル挿通口(20)からノズル筒部(34)を前方へ突出し、かつ上下動が可能にカバー筒部(12)内に配置された本体(30)と、
上記カバー筒部(12)の上面側を覆う蓋体(40)と、を具備し、
上記蓋体(40)とカバー筒部(12)とは別体として形成して、蓋体(40)及びカバー筒部(12)の各後部を、嵌着式のヒンジ機構(H)により、蓋体(40)の回動可能に連結しており、
この蓋体(40)は、上記カバー筒部(12)の上端部内に嵌め込まれ、かつ中央部に下方への押下げ可能な押圧部(42b)を設けた蓋板(42)を有し、かつ当該蓋板(42)の前端部より、左右方向から見て略V字形の板バネ(50)を経て摘み部(54)を突設している
ことを特徴とする、2連エアゾール容器体用吐出装置。
【請求項2】
上記ヒンジ機構(H)は、蓋体(40)及びカバー筒部(12)の各後部の一方に形成した左右方向の軸部(28)を、各後部の他方に形成した、軸挿入口(48)を有する軸受部(46)に嵌着させて構成したことを特徴とする、請求項1記載の2連エアゾール容器体用吐出装置。
【請求項3】
前記蓋板(42)の後部に下方に軸挿入口(48)を開口する軸受部(46)を形成し、
上記カバー筒部(12)の上端部の後壁部分に、少なくとも上方及び後方開口の軸受部収納凹部(26)を形成するとともに、この軸受部収納凹部(26)内に軸部(28)を付設したことを特徴とする、請求項1記載の2連エアゾール容器体用吐出装置。
【請求項4】
上記板バネ(50)は、前板部(50a)及び後板部(50b)を屈曲部(50c)を介して連結してなり、この板バネ(50)の下方に、前方から見て、上記屈曲部(50c)から前板部(50a)及び後板部(50b)の上下方向途中間箇所まで延びる切割り(52)を穿設し、この切割り(52)内に上記ノズル筒部(34)を挿通させたことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の2連エアゾール容器体用吐出容器。
【請求項5】
上記本体(30)は、本体下部(30a)に対して本体上部(30b)を分離可能に取り付けてなることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれかに記載の2連エアゾール容器体用吐出装置。
【請求項6】
管状の吐出口(4b)を上方に開口する左右一対のエアゾール容器体(4)を連結手段で連結した2連エアゾール容器体(2)と、上記一対のエアゾール容器体の上部に取り付けた請求項1から請求項のいずれかに記載の2連エアゾール容器体用吐出装置(10)とで構成される、2連式エアゾール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2連エアゾール容器体用吐出装置及び2連式エアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の2連式エアゾール容器として、上方に吐出口を開口する左右一対のエアゾール容器体の頭部を連結手段で連結した2連容器と、液体吐出装置(アクチュエータ)とからなるものがある。その液体吐出装置は、一対の容器体の頭部を囲むとともに前方に開口部を有するカバー筒と、上記吐出口に接続した内容物導入口を下面に有し、かつ上記開口部を通ってノズル筒を前方へ突出した本体と、カバー筒の上端を閉塞する蓋板を有し、蓋板の中央部に形成した押ボタンを押し下げることで本体を押し下げ、エアゾールを有し、中央部に押ボタンを有し、押ボタンを介して本体を押し下げることで各エアゾール容器体の内容物を本体の内部で混合してノズル筒から吐出可能としたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−315861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の2連エアゾール容器体用吐出装置において、よりコストダウンを図る要望がある。部品点数及び組み立て行程を削減することが一般的な考え方となる。しかし従来の使い勝手を損なわずに部品点数を少なくする場合、例えば各部品の間に連結部を設け、それらを展開状態で型成形し、成形後に折り曲げるなどの手法が取られるが、これでは金型内での個取り数が少なくなり、日産数が落ちる。従来と同程度の日産数を確保するとすれば、金型を大型化したり、或いは増面することが必要となる。
【0005】
本発明の目的は、複数の部品をヒンジ機構で簡易に連結することで廉価に製造することが可能な2連エアゾール容器体用吐出装置及び2連式エアゾール容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、2連エアゾール容器体用吐出装置であり、
左右一対のエアゾール容器体の上部を覆うための左右方向に長く形成され、前壁部にノズル挿通口20を開口したカバー筒部12と、
左右一対の内容物導入口32を下面に開口するとともに内部に混合室Cを形成し、かつ上記ノズル挿通口20からノズル筒部34を前方へ突出し、かつ上下動が可能にカバー筒部12内に配置された本体30と、
上記カバー筒部12の上面側を覆う蓋体40と、を具備し、
上記蓋体40とカバー筒部12とは別体として形成して、蓋体40及びカバー筒部12の各後部を、嵌着式のヒンジ機構Hにより、蓋体40の回動可能に連結しており、
この蓋体40は、上記カバー筒部12の上端部内に嵌め込まれ、かつ中央部に下方への押下げ可能な押圧部42bを設けた蓋板42を有し、かつ当該蓋板42の前端部より、左右方向から見て略V字形の板バネ50を経て摘み部54を突設している。
【0007】
本手段では、図1に示す如く、上記蓋体40とカバー筒部12とは別体として形成して、蓋体40及びカバー筒部12の各後部を、嵌着式のヒンジ機構Hにより、蓋体40の回動可能に連結している。嵌着式であるから簡易に組み立てることができる。
また本手段では、蓋体40が有する蓋板42と摘み部54との間にV字形の板バネ50を設けている。これにより蓋板42を開蓋することが容易となる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記ヒンジ機構Hは、蓋体40及びカバー筒部12の各後部の一方に形成した左右方向の軸部28を、各後部の他方に形成した、軸挿入口48を有する軸受部46に嵌着させて構成した。
【0009】
本手段では、ヒンジ機構Hは、蓋体40及びカバー筒部12の各後部の一方に形成した左右方向の軸部28を、各後部の他方に形成した、軸挿入口48を有する軸受部46に嵌着させている。
【0010】
第3の手段は、第1の手段を有し、かつ前記蓋板42の後部に下方に軸挿入口48を開口する軸受部46を形成し、
上記カバー筒部12の上端部の後壁部分に、少なくとも上方及び後方開口の軸受部収納凹部26を形成するとともに、この軸受部収納凹部26内に軸部28を付設した。
【0011】
本手段では、カバー筒部12の上端部の後壁部分に、少なくとも上方及び後方開口の軸受部収納凹部26を形成するとともに、この軸受部収納凹部26内に軸部28を付設した。これにより、ヒンジ機構Hを簡易に構成することができる。
【0014】
の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ
上記板バネ50は、前板部50a及び後板部50bを屈曲部50cを介して連結してなり、この板バネ50の下方に、前方から見て、上記屈曲部50cから前板部50a及び後板部50bの上下方向途中間箇所まで延びる切割り52を穿設し、この切割り52内に上記ノズル筒部34を挿通させた。
【0015】
本手段では、板バネ50に形成した切割り52内にノズル筒部34を挿通させている。これにより、板バネ50の上下長さを十分に大きくとることができる。
【0016】
の手段は、第1の手段から第の手段の何れかを有し、かつ
上記本体30は、本体下部30aに対して本体上部30bを分離可能に取り付けてなる。
【0017】
本手段では、本体30の本体下部30aに対して本体上部30bを分離可能としたから、本体30の内部を洗浄することが容易である。
【0018】
の手段は、2連式エアゾール容器であり、
管状の吐出口4bを上方に開口する左右一対のエアゾール容器体4を連結手段で連結した2連エアゾール容器体2と、上記一対のエアゾール容器体の上部に取り付けた第1の手段から第の手段の何れか記載の2連エアゾール容器体用吐出装置10とで構成される。
【0019】
本手段では、2連エアゾール容器体2に上記エアゾール容器体用吐出装置10を装着したから、2連式エアゾール容器を廉価に提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
第1の手段及び第の手段に係る発明によれば、別体である蓋体40及びカバー筒部12の各後部を、嵌着式のヒンジ機構を介して簡易に連結したから、蓋体40とカバー筒部12とを展開状態で一体成形した場合と比較して金型が大型化することがなく、効率的に生産できる。
また第1の手段に係る発明によれば、前記蓋体40が有する蓋板42の前端部と摘み部54との間に板バネ50を介在させたから、板バネ50の弾性変形により摘み部54を後方に引っ張り易い。
第2の手段に係る発明によれば、ヒンジ機構Hは、蓋体40及びカバー筒部12の各後部の一方に形成した左右方向の軸部28を、各後部の他方に形成した、軸挿入口48を有する軸受部46に嵌着させて構成したから、簡易な構造でありながら、確実にヒンジ機能を発揮できる。
第3の手段に係る発明によれば、蓋体40が有する蓋板42をカバー筒部12の上端部内に嵌め込み、蓋板42の後部に、下方開口の軸挿入口48を有する軸受部46を付設し、この軸受部46に、カバー筒部12の軸受部収納凹部26内に付設した軸部28を嵌着させたから、簡易なヒンジ構造でありながら、不意の外力の作用により蓋体40が脱落しにくい。
の手段に係る発明によれば、板バネ50に穿設した切割り52にノズル筒部34を挿入したから、板バネ50の上下長さを十分に確保することができ、バネの弾性力を確保し易い。
の手段に係る発明によれば、本体30は、本体下部30aに対して本体上部30bを分離可能に取り付けたから、内部を洗浄することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る2連式エアゾール容器の半断面正面図である。
図2図1の容器の平面図である。
図3図1の容器の後面図である。
図4図1の容器の側方から見た縦断面図である。
図5図1の容器が有する2連エアゾール容器体用吐出装置の斜視図である。
図6図5の2連エアゾール容器体用吐出装置が有するカバー部材及び蓋体の斜視図である。
図7図1の容器を、2連エアゾール容器体および2連エアゾール容器体用吐出装置に分解して示す側面図である。
図8図5の2連エアゾール容器体用吐出装置のカバー部材を側方から見た縦断面図である。
図9図5の2連エアゾール容器体用吐出装置の本体を側方から見た縦断面図である。
図10図9の本体の作用説明図である。
図11図5の2連エアゾール容器体用吐出装置の蓋体を側方から見た縦断面図である。
図12図5の2連エアゾール容器体用吐出装置の蓋体を開蓋する操作の第1段階を示す説明図である。
図13図5の2連エアゾール容器体用吐出装置の蓋体を開蓋する操作の第2段階を示す説明図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る2連式エアゾール容器の要部の作用説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1から図13は、本発明の第1の実施形態に係る2連式エアゾール容器を示しているこの2連式エアゾール容器は、2連エアゾール容器体2と、エアゾール容器体用吐出装置10とからなる。
【0023】
2連エアゾール容器体2は、左右一対のエアゾール容器体4と、連結手段6とで構成されている。
【0024】
上記エアゾール容器体4は、胴部から括れ部(首部)を介して頭部4aを起立しており、この頭部から管状の吐出口4bを起立している。吐出口4bを押し下げ、或いは傾動させると液体が吐出される。
【0025】
上記連結手段6は、図7に示す如く、エアゾール容器体4の頭部4aを連結している。図示の連結手段6は、少なくとも頭部4aを囲み、頭部4aに対して上下方向に延びる周壁6aを有する。この周壁6aの内面には、頭部4aの下側に係合する第1係止リブ6bが、周壁6aの外面には、カバー筒部12に係合可能な第2係止リブ6cがそれぞれ付設されている。
【0026】
エアゾール容器体用吐出装置10は、カバー筒部12と、本体30と、蓋体40とで構成されている。
【0027】
上記カバー筒部12は、左右方向に長い、上方から見て長円形の筒体である。図示例のカバー筒部12は、基筒部14の上端から内向きフランジ状頂壁部16を介して垂下壁部18を垂下した2重筒構造をしている。上記カバー筒部12の前部の左右方向中間部を凹ませて、上方開口のノズル挿通口20を形成する。またカバー筒部12の後部の左右両側には、左右一対の浅い軸受部収納凹部26を、これら軸受部収納凹部の間に深い補助凹部22をそれぞれ凹設している。軸受部収納凹部26内に、その凹部の下面と間隔を存して左右方向の軸部28を横設している。またカバー筒部12の左右両面には縦長の係合用凹部24を形成している。上記ノズル挿通口20の左右側面後部には、図6に示すように上面及び後面の切欠き21を形成する。
【0028】
上記本体30は、左右方向に長く内部に混合室Cを形成する中空の筐体を有し、その筐体の下面から、左右一対の筒状の内容物導入口32を垂下するとともに、その前面からノズル筒部34を前方吐出している。本実施形態では、本体30を、上記筐体の底部から内容物導入口32に亘る部分(本体下部30a)と、残りの部分(本体上部30b)とを分離可能に形成し、これら各部分の後部を一体ヒンジ38により一体成形している。本体下部30aは、本体上部内に液密に嵌合する上面開放のシール筒部36aを有し、かつ本体下部30aの前端部から本体上部30bの前部に係止する係止片3bを起立する。また本体下部30aの前側部からは指当て片39を垂下している。
【0029】
上記蓋体40は、上記カバー筒部12の上端部12a内に嵌合させた蓋板42を有する。この蓋板42は、上記上端部12aに嵌合した周辺部42aから分離して中央側を押し下げ可能な押圧部42bに形成し、この押圧部42bの下面から、上記本体30を押し下げるための押圧用突片Pを垂下している。図示例では、図2に示す如く、蓋板42の後端部の2箇所から前方へ延び、次に左右外方へ分かれて、蓋板の外周縁から一定距離を存して前側へ延びる2本のスリット44を穿設して、周辺部42aと押圧部42bとを区分している。2本のスリット44の前端部は、一定の距離を離して対峙しており、この両端部の間の蓋板部分(連結部45)を介して周辺部42aと押圧部42bとが連続している。蓋板42は弾性を有する材料で形成されており、押圧部42bを指で押し下げた後に当該押し下げを解放すると、連結部45の弾性復元力により押圧部42bが元の位置に戻る。
【0030】
図示例では、図1に示す如く、上記周辺部42aに対して押圧部42bを低く設けて、周辺部42aの内端から嵌合筒部43を垂下している。この嵌合筒部43は、上記カバー筒部12の上端部12aに嵌合されている。
【0031】
上記蓋板42の後部には、左右一対の軸受部46を付設する。各軸受部46と上述の軸部28とはヒンジ機構Hを構成する(図6参照)。すなわち、これら軸受部46は、上記軸受部収納凹部26内に収納され、軸部28に枢着されることで、蓋体40が軸部28の回りを回転可能に設ける。図示の軸受部46は、下方に軸挿入口48を開口する略逆U字形に形成しているが、その形状は適宜変更することができる。なお、図示例と異なり、蓋体側に軸部及び軸受部収納凹部を、カバー筒部側に軸受部をそれぞれ形成しても構わない。
【0032】
上記蓋板42の前部からは、図4に示す如く、板バネ50を介して摘み部54を突出しており、板バネ50の変形により摘み部54の後退が可能に形成する。上記板バネ50は、側方から見てV字形であって、前板部50a及び後板部50bの各下端部を屈曲部50cで連結してなる。なお、図示例では、前板部50aを前傾斜板部(前から後下方への傾斜板部)に、また後板部50bを後傾斜板部(前から後上方への傾斜板部)に形成しているが、その一方を垂直板部にしても構わない。摘み部54は、図12に2点鎖線で示す、軸部28の中心軸の高さと同じかやや上側に配置するとよく、そうすることにより、摘み部54を後方に引いたときに軸部28が軸受部から不意に離脱しにくい。
【0033】
上記前板部50aの上端部後側には、上記切欠き21に係合可能な左右一対の抜止め用凸部56を付設する。これら抜止め用凸部56を切欠き21に係合することで、蓋体の抜け出しが規制されている。摘み部54を後方に押すと、抜止め用凸部56が切欠き21から後方へ離脱する。
【0034】
上記板バネ50の下方には、図6の如く、前方から見て、上記屈曲部50cから前板部50a及び後板部50bの上下方向途中間箇所まで延びる切割り52を穿設する。この切割り52内に上記ノズル筒部34を挿通させている。
【0035】
上記構成において、図1に示すように、蓋体40はカバー筒部12の上端部12a内に嵌合されているので、不意の外力により上端部12a内から離脱することがない。図1の状態から押圧部42bを押し下げると、本体30とともに一対のエアゾール容器体4の吐出口4bが下降し、各吐出口4bからの内容物が混合室C内に混合し、ノズル筒部34より吐出される。本体30の内部を洗浄するときには、摘み部54を摘まんで後上方へ引っ張ればよい。そうすると、図12に示すようにV字形の板バネ50が縮んで、蓋体40とカバー筒部12の前部との間に隙間が生ずる。これにより蓋体40とカバー筒部12との抵抗が小さくなるため、容易に蓋体40を後方へ回動させることができる。次に本体30を取り出し、本体上部30bを本体下部30aに対して回動して、本体内部を洗えばよい。このように蓋体を開き、本体30を取り出す簡単な操作で本体を線状することができる。なお、本発明の本体は上部及び下部に分離できる構造に限定されないが、分離可能とすることで、洗浄がより容易となる。
【0036】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において、第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0037】
図14は、本発明の第2実施形態を示している。この実施形態では、第1実施形態のヒンジ機構に代えて差込みタイプのヒンジ構造を提案する。まずカバー筒部12は、上記軸受部挿入凹部26に代えて左右一対の上面及び前後両面開放の腕部挿入凹部60Aを形成し、この腕部挿入凹部60Aの底面にそれぞれ爪部差込口56をカバー筒部の外面に形成する。また蓋体40の後部から左右一対の腕部64を後方突出する。図14で想像線で示す各腕部64の後端部からは下方へ爪部66が突出している。腕部64の長手方向中間部には下面側から逆V字形の切り込みを入れてなるヒンジ68を形成する。そして図14に実線で示す如く、ヒンジ68より前方の腕部分を下方に回動させ、爪部66を上記爪部差込口60Bへ差し込む。これにより爪部66付きの腕部64を、カバー筒部12に対して簡易に嵌着させることができる。
【符号の説明】
【0038】
2…2連エアゾール容器体 4…エアゾール容器体 4a…頭部 4b…吐出口
6…連結手段 6a…周壁 6b…第1係止リブ 6c…第2係止リブ
10…エアゾール容器体用吐出装置
12…カバー筒部 12a…上端部 14…基筒部 16…内向きフランジ状頂壁部
18…垂下壁部 20…ノズル挿通口 21…切欠き
24…係合用凹部
26…軸受部収納凹部 28…軸部 29…補助凹部
30…本体 30a…本体下部 30b…本体上部 32…内容物導入口
34…ノズル筒部 36a…シール筒部 36b…係止
38…一体ヒンジ 39…指当て片
40…蓋体 42…蓋板 42a…周辺部 42b…押圧部
43…嵌合筒部 44…スリット 45…連結部
46…軸受部 48…軸挿入口
50…板バネ 50a…前板部 50b…後板部 50c…屈曲部
52…切割り 54…摘み部 56…抜止め用凸部
60A…腕部挿入凹部 60B…爪部差込口
64…腕部 66…爪部 68…ヒンジ
C…混合室 H…ヒンジ機構 P…押圧用突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14