(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分割要素の各々は、第1弧状部と、第2弧状部と、第3弧状部とを含み、前記第2弧状部は、前記第1弧状部と前記第3弧状部との間に位置して、放物線状の切り込み領域として構成される、請求項5記載の患者インターフェース装置。
前記流体継手導管は複数の弧状の偏向要素を含み、前記偏向要素は、前記外壁と平行な平面に関して下向きの角度で前記外壁の外部から外向きに伸びている、請求項1記載の患者インターフェース装置。
前記音響減衰構造は複数の反射構造を含み、前記反射構造の各々は前記中央チャンバー部の内面に結合してそこから伸びており、互いに対して或る角度で位置する複数の外面を含む、請求項1記載の患者インターフェース装置。
前記多数の音響減衰構造は、複数の壁を有する分割構造を含み、前記複数の壁は複数の音響チャンバーを形成し、その音響チャンバーを通って前記排出ガスフローは通過してもよく、前記複数の音響チャンバーは前記排出ガスフローに関連する前記音波を反射し回折する、請求項1記載の患者インターフェース装置。
前記音響減衰構造はノイズ消音アセンブリを含み、前記ノイズ消音アセンブリは、長手方向に並んだ複数の半球形バッフル要素を含み、各バッフル要素は前記排出ガスフローを通過させる複数の孔を含む、請求項1記載の患者インターフェース装置。
前記ノイズ消音アセンブリは前記中央チャンバー部の中に供給される弧状の底面壁によって支持され、前記弧状の底面壁は前記出口端部の上端近くに位置する遠心端部を有し、前記排出ガスフローは前記弧状の底面壁の下で前記入口端部から前記出口端部へ流れる、請求項10記載の患者インターフェース装置。
前記多数の音響減衰構造はノイズ消音アセンブリを含み、前記ノイズ消音アセンブリは中空体を含み、前記中空体はバッフルアセンブリの内部に支持されるバルブアセンブリを収容する、請求項1記載の患者インターフェース装置。
【背景技術】
【0002】
呼吸ガスフローを非侵襲的に患者の軌道に供給することが必要である、又は、望ましい多数の状況が存在し、即ち、患者に挿管せず、又は、食道の中に気管チューブを外科的に挿入することがないことが必要である。例えば、非侵襲換気(ベンチレーション)として知られる技術を用いて、患者に酸素を供給することが知られている。また、或る内科的疾患を処置するために陽性気道圧(PAP)治療を供給することが知られており、その疾患の最も有名なものが閉塞性の睡眠時無呼吸(OSA)である。既知のPAP治療は連続的な陽性気道圧(CPAP)を含み、連続的な陽性気道圧は患者の気道に供給されて患者の気道に添え木を施して開き、及び、可変気道圧を含み、患者の気道に供給される圧力は患者の呼吸サイクルと共に変化する。そうした治療は典型的には患者が眠っている間の夜に患者に提供される。
【0003】
ちょうど述べたような非侵襲換気と圧補助治療法は、患者インターフェース装置の配置を含み、その装置は患者の顔の上に柔らかく柔軟なクッションを有するマスク部品を含む。そのマスク部品は、患者の鼻を覆う鼻マスク、患者の鼻孔の内部に受け入れられる鼻プロング(nasal prongs)を有する鼻カニューレ、鼻や口を覆う鼻/口のマスク、又は、患者の顔を覆うフルフェースのマスクであってもよいが、これに限定されない。また、そうした患者インターフェース装置は、例えば前頭部サポート、頬パッド、及び顎パッドのような他の患者接触部品を用いてもよい。患者インターフェース装置はガス供給ホースに結合し、換気又は圧補助装置を患者の気道とインターフェースし、そうして、呼吸ガス流は圧力/フロー発生装置から患者の気道へ供給されることができる。患者の頭の上に/周囲に適合するように構成された1つ以上のストラップを有するヘッドギアによって、そうした装置を着用者の顔の上に保持することが知られている。
【0004】
例えばOSAの治療で使用される患者インターフェース装置に対しては、鍵となる技術課題は排出ガス流と排出ガスノイズとのバランスをとることである。一定量の排出ガス流は、できるだけ多くのCO
2を適切に排出するため、全てのそうした患者インターフェース装置にとって必要とされる。現在、適切な量のCO
2を排出するのに必要な排出ガス流の量は、患者インターフェース装置を幾分うるさく(ノイジー)もしている。このノイズは患者又は一緒に寝ている人を邪魔することがあり、時々、彼又は彼女が寝入ることができない、又は、思わず目が覚めてしまうほどである。
【0005】
最新の患者インターフェース装置はエルボー導管を使用して、小オリフィスを介して排出ガスフローを制御している。これらのオリフィスはできるだけ多くノイズを低減する方法で成型されている。オリフィスの複雑さのため、多くの呼気/排気ポートは分離した要素として成型され、そして完全なエルボーを形成するようにアセンブリされる。現在、小オリフィスだけを用いて容認できるフローレベルと低ノイズ閾値とを維持することについてはバランスが実現されていない。従って、容認できるフローレベルと低ノイズ閾値とを実現するための重要な機会が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いられるように、単数形“a(1つの)”、“an(1つの)”及び“the(その)”は、文脈が明確に他の意味を示す場合を除き複数の参照を含む。本明細書で用いられるように、2つ又はそれ以上の部分や構成要素が“結合される(coupled)”の記述は、その部分が連結、又は、直接的又は間接的に一緒に動作することを意味するものとし、即ち、リンクが存在する場合は1つ以上の中間的部分や構成要素を介してもよい。本明細書で用いられるように、“直接に結合する(directly coupled)”は2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書で用いられるように、“固定的に結合される(fixedly coupled)”又は“固定される(fixed)”は、2つの構成要素が互いに対して一定の方向を保ちながら1つとして動くように結合されることを意味する。
【0012】
本明細書で用いられるように、単語“単一の(unitary)”は、或る構成要素が一つの部分又は単位として形成されていることを意味する。即ち、分離して形成されてそれから一単位として一緒に結合されている部分を含む或る構成要素は、“単一の”構成要素又は本体ではない。本明細書で使用されるように、2つ又はそれ以上の部分又は構成要素が互いに“係合する(engage)”との記述は、その部分が互いに対向して、直接的又は1つ以上の中間部分若しくは構成要素を介して力を出すことを意味するものとする。本明細書で使用されるように、用語“数(number)”は1又は1よりも大きい整数(即ち複数)を意味するものとする。
【0013】
本明細書で使用される方向に関する用語は、図面中に示されるようその方向に関連し、明確にその中で示されない限り請求項を制限するものではない。例えば、頂点、底面、左、右、上方、下方、前面、背面、及び、それらの派生語等であるが、これらに限定されない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に従った患者インターフェース装置2の正面等角図であり、エルボー導管6に流体的に結合したマスク4を含む。エルボー導管6は適当なホース7と結合するように構成され、そのホースは今度は適当な圧力発生装置9に結合される。圧力発生器は、定圧補助装置(例えば連続的陽性気道圧装置やCPAP装置)、可変圧力装置(例えば、Pennsylvania,Philips Respironics of Murrysvilleにより製造され供給されるBiPAP(R),Bi−Flex(R),C−Flex
TM)、自動滴定圧補助装置、ベンチレーター、又は、患者へ供給するガス流を生成する他の如何なる装置をも含むが、これらに制限されない。エルボー導管6は
図2−8と関連して以下に詳細に説明される。
【0015】
例示の実施形態では、マスク4は鼻マスクである。しかしながら、鼻/口(フルフェース)マスクのような他の種類のマスクがマスク4として使用されてもよく、そうしたマスクは呼吸ガス流を患者へ供給することを容易にするが、これは本発明の適用範囲内にある。マスク4はフレーム10に動作可能に結合するシーリングクッション8を含む。
【0016】
例示の実施形態では、シーリングクッション8は単一のソフトで柔軟な柔らかいエラストマー材料により定義され、例えば、シリコン、適切にソフトな熱可塑性エラストマー、独立気泡フォーム、又は、そうした材料の如何なる組合せでもよいが、これらに限定されない。フレーム10は硬い又は半硬質の材料から作られ、例えば射出成型された熱可塑性材料、又は、シリコンであるが、これらに限定されず、そして、フレーム10はオリフィスを有するフェースプレート部12を含み、そのオリフィスにエルボー導管6が取り付けられる。
【0017】
フレーム10は、フレームのフェースプレート部12の反対側に配置される一組のヘッドギア接続要素14を含む。例示の実施形態では、各ヘッドギア接続要素14はループ16を含み、そのループはヘッドギアアセンブリ(図示しない)の個々の下部ヘッドギアストラップを受け入れるように構成され、患者の頭部に対して患者インターフェース装置2を安定する。ヘッドギア構成要素の他の構成が本発明により意図されることが理解されるべきであり、例えばスナップ、スロット、フック、及び、レセプタクルなどである。
【0018】
フレーム10は、フェースプレート12から伸びる延長要素20に取り付けられる前頭部支持部18をさらに含む。前頭部支持部18は支持フレーム24に結合する前頭部クッション22を含む。前頭部クッション22はソフトで柔軟なエラストマー材料で作られ、例えば、シリコンゴム、凡そ柔らかい熱可塑性エラストマー、又はそうした材料の組合せであるが、これらに制限されず、例示の実施形態では、前頭部クッション22は支持フレーム24上にオーバーモールドされる。前頭部支持部18は、患者の前頭部に係合することによって、患者インターフェース装置2を追加的に支持するように構成される。前頭部支持部18と延長要素20とは任意的であって、全体に省略することも可能であることを理解すべきである。加えて、本発明では前頭部支持体18及び/又は延長要素20の多数の他の構成を意図している。例えば、延長要素20は調節機構を含むことができ、それによって前頭部支持部18がフレームに対して移動することが可能になり、その結果、ユーザは個人的な好みに基づいて前頭部支持部18の適切な位置を選ぶことができる。
【0019】
例示の実施形態では、支持フレーム24は、その反対端に供給されるヘッドギア接続要素26を含む。この実施形態では、ヘッドギア接続要素26はループ形態であって、そのループはヘッドギアアセンブリ(図示しない)の個々の上部ヘッドギアストラップを受け入れるように構成され、患者の頭部に対して患者インターフェース装置2を安定化させる。本発明ではヘッドギア接続要素の他の構成も意図されることを理解すべきであり、例えばスナップ、スロット、フック、及び、レセプタクルである。
【0020】
図2は
図1に示されるエルボー導管6の正面図であり、
図3はその正面等角図、
図4はその側面図、
図5はその背面等角図、及び、
図6はその背面図である。さらに、
図7と
図8は、
図2のZ−Zラインに沿って切り取ったエルボー導管6の断面図である。
【0021】
図2−8を参照すると、エルボー導管6は入口開口部30を有する入口端部28を含み、その入口開口部は圧力生成装置9に結合されるホース7と結合するように構成される。また、エルボー導管6は出口開口部34を有する出口端部32を含み、その出口開口部は入口端部28及び入口開口部30と流体的に連通している。出口端部32はフレーム10のフェースプレート部12に着脱可能且つシーリングされて結合するように構成される。例示の実施形態では、エルボー導管6は、例えばプラスチック材料のような硬質の又は半硬質の材料で単一の部分として一体成型されるが、これに制限されない。
【0022】
エルボー導管6は入口端部28と出口端部32との間に中央チャンバー部36(エルボーの曲がりを形成するように)を含む。出口開口部34の正反対に配置される中央チャンバー部36の外壁38は、複数の一体的に成型された排出ガススロット/オリフィス40を含み、その排出ガススロット/オリフィスはその外壁を通っており、患者がマスク4に息を吐くとき大気へのCO
2の適切な消滅を可能にする。例示の実施形態では、排出ガススロット/オリフィス40は卵形である。しかしながら、他の形状も意図され、例えば円形、矩形、四角形等である。さらに、排出ガススロット/オリフィス40は、排出ガスフローの音波回折器として機能し、そうして排出ガスフローにより生ずるノイズを低減する。或る特定の非限定的な実施形態では、卵形の排出ガススロット/オリフィス40の夫々の直径は
0.51ミリメートル(0.020インチ
)であり、卵形の排出ガススロット/オリフィス40の夫々の長さは
1.1ミリメートル(0.042インチ
)である。
【0023】
加えて、
図6−8を参照すると、中央チャンバー部36は複数の分割要素42を含む。各分割要素42は中央チャンバー部36の外壁38の内面に結合され、そこから伸びる。さらに、各分割要素42は複数の弧状部46を有する先端領域44を含む(
図9を参照)。例示の実施形態では、各分割要素42の先端領域44は3つの弧状部46A、46B、46Cを含む。弧状部46Bは、同一線形順序に並ぶ弧状部46Aと46Cとの間に位置する放物線状の切り欠き(ノッチ)のある領域として構成される。分割要素42の複数弧状の配置形状によって、分割要素をマスク4を通過する排出ガス流の音波反射器として機能させる。これは、排出ガス流に関連する音波を、分割要素42によって(詳しくは、弧状部46によって)、複数方向に反射させ、その結果、排出ガスがエルボー導管6を通って周囲大気へ向かうとき、一定のノイズ消去、それ故ノイズ低減がもたらされる。
【0024】
エルボー導管6は、排出ガス流がエルボー導管を出る前に音響圧力波を低減するように排出ガス流を方向転換することが認識でき、それによって、排出ガス流を維持している間中、ノイズを低減し、即ち、排出ガス流に特段の制限を与えない。詳しくは、排出ガススロット/オリフィス40と分割要素42とは組み合わさって、排出ガス流がエルボー導管6を通過するとき、排出ガス流の反射と回折の両方を供給し、音響圧力波を十分に低減するのに役立ち、その結果、CO
2を適切に排出するのに許容できるフローレベルを維持しつつ、低いノイズ閾値が達成されてもよい。例示の実施形態では、排出ガススロット/オリフィス40(音波回折器として機能する)と分割要素42(音波反射器として機能する複数放物線状の幾何構造を有する)とは、中央チャンバー部36の内部部分として一体的に成型される。ここで述べた一体的に成型された内部特徴は、実施形態のエルボー導管6が単一部分として成型されることを可能にし、従って、アセンブリの必要を排除する。
【0025】
図10は本発明の他の実施形態に従ったエルボー導管50の正面図を示し、
図11はその側面図、
図12は正面等角図を示し、
図13はその背面図を示す。加えて、
図14は
図10のA−Aラインに沿って切り取られたエルボー導管50の断面図を示し、
図15は
図11のD−Dラインに沿って切り取られたエルボー導管50の断面図を示す。エルボー導管50は、
図1のエルボー導管6の代わりに、
図1に示されるマスク4と関連して使用されてもよく、又は、他の如何なる適切なマスク構造と関連して使用されてもよい。
【0026】
図10−15を参照すると、エルボー導管50は入口開口部54を有する入口端部52を含み、その入口開口部は、本明細書の他の部分で述べられるように圧力生成装置に結合されるホースに結合される。また、エルボー導管50は出口開口部58を有する出口端部56を含み、その出口開口部は入口端部52及び入口開口部54と流体的に連通している。出口端部56は、例えばフレーム10のフェースプレート部12に対して着脱可能に且つシーリングされて結合されるように構成される。
【0027】
また、エルボー導管50は入口端部52と出口端部56との間に中央チャンバー部60(エルボーの曲がりを形成するように)を含む。出口開口部58の正反対に配置される中央チャンバー部60の外壁62は複数の一体成型された排出ガススロット/オリフィス64を含み、排出ガススロット/オリフィスは外壁を通って伸び、排出ガス流が周囲大気へ適切に消失することを可能にする。このようにして、患者がマスクに息を吐くとき、患者によって吐き出されたCO
2は周囲大気へ排出されることが可能になる。加えて、排出ガススロット/オリフィス64は排出ガス流の音波回折器として機能し、そうして排出ガス流によって生じる排出ガスノイズが低減される。
【0028】
非限定的な或る特定の実施形態では、卵形の各排出ガススロット/オリフィス64の直径は
0.51ミリメートル(0.020インチ
)であり、そして、卵形の各排出ガススロット/オリフィス64の長さは
1.1ミリメートル(0.042インチ
)である。さらに、エルボー導管50は複数の弧状回折要素66を有してもよく、その弧状回折器要素は、外壁62と平行な平面に関して下向きの角度で外壁62から外に向かって伸びる。非限定的な或る特定の実施形態では、その下向きの角度は60度である。回折器要素66は排出ガススロット/オリフィス64を通過する拡散排出ガス流を回折する。
【0029】
加えて、
図13−15を参照すると、中央チャンバー部60は複数の反射構造体68を含む。各反射構造体68は中央チャンバー部60の内面へ結合されてその内面から伸びる。さらに、各反射構造体68は互いに対して或る角度を有して配置される複数の外面を含む。例示の実施形態では、各反射構造体68は三角柱であるが、他の形状も可能であり、例えば角錐や四角柱でもよいが、これらに制限されない。反射構造体68の複数角度表面形状は、反射構造体を、エルボー導管50を通る排出ガス流の音波反射器として機能させる。これにより、排出ガス流に関する音波を、反射構造体68によって複数の方向に反射させ、そうして、排出ガスがエルボー導管50を通過するとき、或る程度のノイズ消失、従ってノイズ低減をもたらす。
【0030】
加えて、例示の実施形態では、反射構造体68は比較的高い吸音係数を有する材料でできており、音圧波を減衰するのに大きな影響を与える。反射構造体68は、例えば、シリコン、TPE、TPU、又は発泡体で作られてもよく、硬質又は半硬質基板材料の吸音率よりも大きい0.01と1.00との間の吸音係数を有してもよいが、これらに制限されない。加えて、一般原則として、その吸音係数は波長が変化するのに伴って変化するだろう。従って、非制限的な一実施形態では、エルボー導管50は、2つの異なる材料から単一部分として一体形成され、例えば、ツーショットの射出成型プロセス又は1つの挿入成型が用いられ、そこでは、入口端部52、出口端部56、及び、中央チャンバー部60が、制限的でなく例えばプラスチック材料のような硬質又は半硬質の材料から作られてもよく、そして、反射構造体68は今述べたような高吸音係数の材料から作られてもよい。また、成型プロセスの間、1つ以上の入口端部52、出口端部56、及び、中央チャンバー部60の残りの内面は吸音に役立つように高吸音係数材料でコーティングされてもよい。
【0031】
さらに、例示的な実施形態では、反射構造体68は十分な構造上の結合性/剛性を有するように形成され、そうして、より高い気圧、例えば40cmH2Oの気圧が反射構造体68による反響を生じず、低ノイズ閾値よりも高い増加音圧波を生じる。
【0032】
従って、排出ガススロット/オリフィス62と反射構造体68とは組み合わさって、反射、吸収、及び、回折を供給し、排出ガス流がエルボー導管50を通過するとき、排出ガス流に関連する音圧波を減衰し、音圧波を十分に低減するのに役立ち、その結果、適切にCO2を排出するのに許容できるフローレベルを維持しつつ、低ノイズ閾値が達成される。
【0033】
図16は本発明の他の実施形態に従ったエルボー導管70の側面図を示し、
図17はその背面図を示し、
図18はその正面図を示す。エルボー導管70はエルボー導管6の代わりに
図1に示されるマスク4と関連して使用されてもよく、又は、他の如何なる適切なマスク構造とも関連して使用されてもよい。例示的な実施形態では、エルボー導管70は左側部72(
図19)と右側部74(
図20)とを含み、下で述べるように、それらは同様に構成されて互いに結合しエルボー導管70を形成する。
【0034】
図19を参照すると、左側部72は入口端部76Aと、出口端部78Aと、入口端部76Aと出口端部78Aとの間に位置する中間壁部80Aとを含む。加えて、中間壁部80Aの外壁部82A(出口端部78Aに形成される半開口部の正反対に位置付けられる)は、その中を通って伸びる複数の一体成型された卵形排出ガススロット/オリフィス84を含む。
図20を参照すると、右側部74は入口端部76Bと、出口端部78Bと、入口端部76Bと出口端部78Bとの間に位置する中間壁部80Bとを含む。加えて、中間壁部80Bの外壁部82B(出口端部78Bに形成される半開口部の正反対に位置付けられる)は、その中を通って伸びる複数の一体成型された卵形排出ガススロット/オリフィス84を含む。
【0035】
従って、
図16−18に示されるように左側部72と右側部74とが互いに結合するとき、入口端部76A、76Bは一体になって入口端部76を形成し、出口端部78A、78Bは一体になって出口端部78を形成し、中間壁部80A、80Bは一体になって、外壁部82A、82Bによって形成される外壁82を有する中央チャンバー部80を形成する。排出ガススロット/オリフィス84は、患者が例えばマスク4のようなマスクに息を吐くとき、CO
2の大気への消滅を可能にし、そのマスクにはエルボー導管70が結合される。加えて、排出ガススロット/オリフィス84は、排出ガス流の音波回折器として機能し、そうして、排出ガス流によって生じるノイズを低減する。非制限的な或る特定の実施形態では、各卵形の排出ガススロット/オリフィス84の直径は
0.51ミリメートル(0.020インチ
)であり、各卵形の排出ガススロット/オリフィス84の長さは
1.1ミリメートル(0.042インチ
)である。
【0036】
加えて、分割構造88Aが左側部72の部分として供給され、中間壁部80Aから伸びる。分割構造88Aは、出口端部78Aの上端近くに位置する遠心端部を有する弧状の底面壁90Aと、底面壁90Aから外周に伸びるが中間壁部80Aの上端には届かない第1部分壁92Aと、中間壁部80Aの上端から下方に伸びるが底面壁90Aには届かない第2部分壁94Aと、中間壁部80Aの上端と底面壁90Aとの間に伸びてその中に切り込み98Aを有する第3壁96Aと、中間壁部80Aの上端と底面壁90Aとの間に伸びてその中に切り込み102Aを有する第4壁100Aとを含む。第4壁100Aは外壁部82Aから離れている。同様に、分割構造88Bは右側部74の部分として供給され、中間壁部80Bから伸びる。分割構造88Bは、出口端部78Bの上端近くに位置する遠心端部を有する弧状の底面壁90Bと、底面壁90Bから外周に伸びるが中間壁部80Bの上端には届かない第1部分壁92Bと、中間壁部80Bから下方に伸びるが底面壁90Bには届かない第2部分壁94Bと、中間壁部80Bの上端と底面壁90Bとの間に伸びてその中に切り込み98Bを有する第3壁と、中間壁部80Bの上端と底面壁90Bとの間に伸びてその中に切り込み102Bを有する第4壁100Bとを含む。第4壁100Bは外壁部82Bから離れている。
【0037】
図16−18に示されるように、左側部72と右側部74とが互いに結合するとき、分離構造88Aと分離構造88Bとは一体になって複数の音響チャンバーを形成し、そのチャンバーを通って、患者の排気を含む排出ガス流が通過してもよい。第1音響チャンバーが第1部分壁92A、92Bと第2部分壁94A、94Bとの間に形成され(フローは第1部分壁92A、92Bの上方で、第2部分壁94A、94Bの下にある)、第2音響チャンバーが第2部分壁94A、94Bと第3壁96A、96Bとの間に形成され(フローは切り込み98A、98Bを通る)、そして、第3音響チャンバーが第3壁96A、96Bと第4壁100A、100Bとの間に形成される(フローは切り込み102A、102Bを通る)。複数の音響チャンバーは排出ガス流に関する音圧波を反射し回折し、その方法では、CO
2を適切に排出するのに許容可能なフローレベルを維持しつつ、低いノイズ閾値が達成されてもよい。陽圧呼吸ガスがエルボー導管70を通って患者に供給され、弧状の底面壁90A、90Bの下で入口端部76から出口端部78へ流れる。
【0038】
例示の実施形態では、
図19及び20に見られるように、左側部72の外縁は奥まっていて、右側部74の隆起した外縁を受け入れるように構成され、そうして、左側部72を右側部74に結合する。
【0039】
図21は本発明の更に他の実施形態に従ったエルボー導管104の側面図を示し、
図22はその背面図を示し、そして、
図23はその正面図を示す。エルボー導管104は、エルボー導管6の代わりに
図1に示されるマスク4と関連して使用されてもよく、又は、他の如何なる適切なマスク構造とも関連して使用されてもよい。例示の実施形態では、エルボー導管104は右側部106(
図24−26)と左側部108とを含み、以下で述べるように、それらは同様に構成され、互いに結合されてエルボー導管104を形成する。
【0040】
図24−26を参照すると、右側部106は入口端部110Aと出口端部112Aと、入口端部110Aと出口端部112Aとの間に位置付けられる中間壁部114Aとを含む。加えて、中間壁部114Aの外壁部116A(出口端部112Aに形成された半開口部の正反対に位置付けられる)は、その中を通る複数の一体成型された卵形の排出ガススロット/オリフィス118を有する。また、右側部106は弧状の底面壁120Aを含み、その底面壁は、出口端部112Aの上端近くに位置する遠心端部を有する。下でより詳しく述べるように、右側部106は、底面壁120Aと中間壁部114Aの上端の間に消音アセンブリ122を支持する。左側部108は右側部106と同様の構造を有する。従って、左側部108は、入口端部110Bと、出口端部112Bと、中間壁部114Bと、外壁部116Bと、卵形の排出ガススロット/オリフィス118と、弧状の底面壁120Bとを含む。
【0041】
従って、
図21−23に示されるように、右側部106と左側部108とが互いに結合するとき、入口端部110A、110Bは一体になって入口端部110を形成し、出口端部112A、112Bは一体になって出口端部112を形成し、中間壁部114A、114Bは一体になって外壁部116A、116Bによって形成される外壁116を有する中央チャンバー部124を形成する。排出ガススロット/オリフィス118は、患者が例えばマスク4のようなマスクに息を吐き出すとき、CO2を大気に適切に消失させることを可能にし、そのマスクにはエルボー導管104が結合されている。加えて、排出ガススロット/オリフィス118は、排出ガス流の音波分散器として機能し、そうして、排出ガス流により生じるノイズを低減する。非制限的な或る特定の実施形態では、各卵形の排出ガススロット/オリフィス118の直径は0.020インチであり、各卵形の排出ガススロット/オリフィス118の長さは0.042インチである。
【0042】
加えて、上記のように、消音アセンブリ122は中央チャンバー部124の内部に供給される。
図21−26に示される実施形態では、消音アセンブリ122は準放物線状のディスクアレイの形態であり、圧力波の消失のため、排出ガス流に関連する圧力波を後部に実質的に等しく拡散する。詳しくは、消音アセンブリ122は長手方向に並んだ半球状のバッフル要素126A、126B、126Cを含み、各々が中央孔128と、その縁の近く、即ち、半球状のバッフル要素126の周辺領域に位置する孔130とを有する(
図22)。また、消音アセンブリ122はフランジ要素132を含み、そのフランジ要素は長手方向に半球状のバッフル要素126A、126B、126Cと整列され排出ガススロット/オリフィス118に隣接する。フランジバッフル要素132は、先端で開口部を有する中央の先端部が切り取られた円錐部を含み、即ち、その先端は、バッフル要素126A、126B、126Cに向き、且つ、出口端部112によって形成される開口部に向いている円錐部の切り取り平面である。
【0043】
動作中、排出ガス流及び関連する音波はバッフル要素126Cの孔128,130を強制的に通過し、それらは反射/偏向されて、バッフル要素126Bの孔128、130を通過し、更なる反射/偏向がそれらをバッフル要素126Aの孔128、130を通過させる。そして、排出ガス流及び関連する音波はフランジバッフル要素132の中央孔を通過し、排出ガススロット/オリフィス118を通って外へ出る。バッフル要素126A、126B、126Cの孔130を通る排出ガス流と音波の通過の遅延のため、それらは、バッフル要素126A、126B、126Cの中央孔128を直接通過するガス及び音波に関して位相が異なる。各半球状のバッフル要素126A、126B、126Cでは、それらはキャンセルする傾向があり、それらがフリンジバッフル要素132を通過した後に出会うとき、ノイズの低減が実現される。陽圧呼吸ガスはエルボー導管104を通って患者に供給され、弧状底面壁120A、120Bの下で入口端部110から出口端部112へ流れる。
【0044】
従って、排出ガススロット/オリフィス118と消音アセンブリ122とは組み合わさって、反射及び分散を供給し、排出ガス流がエルボー導管104を通過するとき、排出ガス流に関連する音圧波を減衰し、そのエルボー導管は音圧波を十分に低減するのに役立ち、その結果、CO
2を適切に排出するのに許容可能なフローレベルを維持しつつ、低ノイズ閾値が達成されてもよい。
【0045】
図27は本発明の更に他の実施形態に従ったエルボー導管134の側面図を示し、
図28はその背面図を示し、
図29はその正面図を示す。エルボー導管134は、エルボー導管6に代わって、
図1に示されるマスク4と関連して使用されてもよく、又は、如何なる他の適切なマスク構造とも関連して使用されてもよい。例示の実施形態では、エルボー導管134は右側部136(
図30−32)と、左側部138とを有し、下で述べるように、それらは同様に構成され、互いに結合してエルボー導管134を形成する。
【0046】
図30−32を参照すると、右側部136は入口端部140A、出口端部142A、及び、入口端部140Aと出口端部142Aとの間に位置する中間壁部144Aを含む。加えて、中間壁部144Aの外壁部146A(出口端部142Aで形成される半開口部と正反対に位置する)は、そこを通って伸びる複数の一体的に成型された卵形の排出スロット/オリフィス148を含む。また、右側部136は弧状の底面壁150Aを含み、その底面部は出口端部142Aの上端近くに位置する遠心端部を含む。右側部136は底面壁150Aと中間壁部144Aとの間で消音アセンブリ152を支持し、その消音アセンブリは下でより詳細に説明される。左側部138は右側部136と同様の構造を有する。従って、左側部138は入口端部140B、出口端部142B、中間壁部144B、外壁部146B、卵形排出ガススロット/オリフィス148、及び弧状底面壁150Bを含む。
【0047】
従って、
図27−29に示されるように、右側部136と左側部138とが互いに結合すると、入口端部140A、140Bは一体になって入口端部140を形成し、出口端部142A、140Bは一体になって出口端部142を形成し、中間壁部144A、144Bは一体になって中央チャンバー部155を形成し、その中央チャンバー部は外壁部156A、156Bによって形成される外壁156を有する。排出ガススロット/オリフィス148は、エルボー導管104が結合されたマスク4のようなマスクに患者が息を吐くとき、CO
2の大気への適切な消失を可能にする。加えて、排出ガススロット/オリフィス148は排出ガス流の音波回折として作用し、そうして排出ガス流により生じるノイズを低減する。非限定的な或る特定実施形態では、卵形排出ガススロット/オリフィス118の各々の直径は
0.51ミリメートル(0.020インチ
)であり、卵形排出ガススロット/オリフィス118の各々の長さは
1.1ミリメートル(0.042インチ
)である。
【0048】
加えて、上述のように、消音アセンブリ152は中央チャンバー部145の内部に供給される。
図27−32に示される実施形態では、消音アセンブリ152は、バッフル配置内部のバルブアセンブリの形態であり、ノイズ減衰のため排出ガス流に関する音圧波を反射する。詳しくは、消音アセンブリ152は円柱状の中空体154を含み、その中空体は、複数の開口部160を有する出口要素156に結合された出口開口部158を含む。
【0049】
図33を参照すると、中空体154の内面はバッフルリング162を含み、そのバッフルリングは外周を有し、その外周は中空体154の内周に沿って中空体154に取り付けられる。バッフルチューブ164が、バッフルリング162の内周に沿ってバッフルリング162に取り付けられる。バッフルチューブ164と中空体154とは実質的に円柱状であり、実質的に同じ中心軸に対して方向付けられる。ピストンアセンブリ166がバッフルチューブ164の内部に移動可能に供給され、中空ピストンチューブ168を含み、その中空ピストンチューブには反対端部に停止リング170を有し、その中空ピストンチューブに取り付けられた末端キャップ172を有する前端が備えられている。加えて、ピストンチューブ168の前端には多数のオリフィスがその中に含まれ、ピストンチューブが排出ガスフローの力によってバッフルチューブ164の外側に押し出されるとき、半径流体フローがピストンチューブ168の外へ出ることを可能にする(“オープン位置”)。
【0050】
音を減衰するため、消音アセンブリ152に入る排出ガスフローは、中空体154の中でバッフルリング162に反射する。バッフルリング162は、消音アセンブリ152を通る流体フローと実質的に垂直な面を含む。排出ガスフローがバッフルリング162に反射すると、少なくとも幾らかのノイズ減衰が達成される。ピストンアセンブリ166を通過する排出ガスフローは、消音アセンブリ152を出る前にピストンキャップ172と出口要素156とに反射してもよい。ピストンキャップ172と出口要素156との反射は、追加的なノイズ減衰を供給してもよい。陽圧呼吸ガスはエルボー導管134を通って患者に供給され、弧状底面壁150A、150Bの下で入口端部140から出口端部142へ流れる。
【0051】
代替的な一実施形態では、中空体154は省略されてもよく、代わりに上述したようなバッフルリング162、バッフルチューブ164、及びピストンアセンブリ166が、消音アセンブリとして中央チャンバー部145の内部に直接供給されてもよい。
【0052】
従って、排出ガススロット/オリフィス148と消音アセンブリ152とは組み合わさって、排出ガスフローがエルボー導管134を通過するとき、排出ガスフローに関する音圧波を減衰するように、反射と回折を供給し、音圧波を低減するのに十分に役立ち、そうして、CO
2を適切に排出するのに許容可能なレベルのフローを維持しつつ、低ノイズ閾値が達成される。
【0053】
請求項では、括弧内の如何なる参照符号も当該請求項を限定するものとして解釈されない。“comprising(含む)”又は“including(含む)”の語は、或る請求項の中に列挙されたもの以外の要素やステップの存在を排除しない。複数の手段を列挙する装置クレームでは、そうした手段の幾つかは同一のハードウエアアイテムによって実施されてもよい。或る要素の前の“a(1つの)”や“an(1つの)”の語は、そうした要素の複数形の存在を排除しない。複数の手段を列挙する如何なる装置クレームでも、そうした手段の幾つかは同一のハードウエアアイテムによって実施されてもよい。所定の要素が相互に異なる従属請求項中に記載されているという単なる事実は、こうした要素が組み合わされて使用され得ないということを示すものではない。
【0054】
本発明は、最も実際的で好適な実施形態であると現時点で考えられるものに基づいて、例示を目的として詳細に説明したが、そうした詳細は単に例示を目的とし、本発明はその開示された実施形態に限定されないということを理解すべきであるが、反対に、本発明は、付属の特許請求の範囲の精神と適用範囲に含まれる変形例及び均等物をカバーするものと理解すべきである。例えば、本発明は可能な範囲内で、如何なる実施形態の1つ以上の特徴が他の如何なる実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることも意図している。