(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサン、いわゆるシリコーン類は、水中油型のエマルジョンとして、各種用途に用いられている。シリコーン類を水中油型のエマルジョンとするのは、シリコーン類を適用する対象が、消泡剤用途や化粧品等のように適用対象が水系媒体である場合や、シリコーン類を直接に、あるいは有機溶剤に溶解して用いることが適当でない場合があることによる。このようなシリコーン類の水中油型エマルジョンでは、乳化にイオン性あるいは非イオン性の界面活性剤を用いることが一般的である。しかしながら、シリコーン類の水中油型エマルジョンを、化粧品、食品等の用途や、排水処理用途に用いる場合には、人や環境に対する影響や負荷の小さい物質を界面活性剤として用いることが求められている。
【0003】
シクロデキストリンは、環状オリゴ糖であることから、人や環境に対する影響、負荷がないかあっても極めて小さい化合物として、食品や化粧品等の用途に用いられており、シクロデキストリンを用いたシリコーン類の乳化組成物の提案もされている。例えば、特許文献1には、α、β及びγ型の3種のシクロデキストリン混合物と、ポリエチレングリコール及び各種の油性成分とからなる乳化組成物が開示されており、油性成分としてシリコーンを用いた水中油型のエマルジョンも開示されている。この組成物では、ポリエチレングルコールを必須とするために配合上の制限があり、また、ポリエチレングリコールは水中油型エマルジョンに安定性を付与する効果はあるが、増粘剤としても作用することにより、得られる組成物はクリーム状となっており、使用上の制限がある。
【0004】
一方、特許文献2には、γ−シクロデキストリンとジメチルポリシロキサンとを水に乳化させた組成物が開示されている。ここでは、ジメチルポリシロキサンをγ−シクロデキストリンに内包した化合物を水に分散させたエマルジョンとなっている。したがって、ジメチルポリシロキサンの配合量はγ−シクロデキストリンよりもはるかに少ない量であることが好ましいとされており、γ−シクロデキストリンにより、シリコーン類を乳化するものとはなっていない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。本発明の(A)成分のオルガノポリシロキサンは、平均組成が一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである。
R
1aSiO
(4−a)/2 (1)
式(1)におけるR
1は、分子中で同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の置換または非置換の1価の炭化水素基、もしくは水素原子、水酸基、アルコキシ基から選択され、aは、1.0〜3.0の自然数である。
【0010】
一般式(1)のR
1は、非置換の1価の炭化水素基であることが好ましいが、この場合の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル等のアラルキル基をあげることができる。これらの中ではアルキル基が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0011】
R
1が、置換の1価の炭化水素基である場合の炭化水素の置換基の例としては、アミノ基、アミノアルキル基、ハロゲン原子、ニトリル基、ポリオキシアルキレン基等をあげることができる。アルコキシ基としては、炭素数1〜3のメトキシ基、エトキシ基、プロピル基をあげることができる。
【0012】
一般式のaは、ポリシロキサンのケイ素原子に結合するR
1の平均数を示すもので、1.0〜3.0である。平均組成が一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの分子構造は直鎖のみならず、分岐する構造を有していても良いが、好ましくは、直鎖型の構造を有するものである。本発明のオルガノポリシロキサンは、当業者にとって公知の方法で製造することができる。好ましいオルガノポリシロキサン、すなわちシリコーンの具体例として、トリメチルシロキシ末端ジメチルシリコーン、ヒドロキシ末端ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシロキサンをあげることができ、トリメチルシロキシ末端ジメチルシリコーン、及びまたはヒドロキシ末端ジメチルシリコーンが好ましい。
【0013】
一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、0.65〜1×10
4mPa・sである。(A)成分の25℃における粘度が、0.65mPa・sであるのは、ジメチルポリシロキサンとしての最小単位であるヘキサメチルジシロキサンの場合である。粘度が1×10
4mPa・sを超えると、乳化が困難となり、安定なエマルジョンを得ることが難しい。(A)成分の25℃における粘度は、好ましくは、5〜8×10
3mPa・sである。一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、粘度が前記の範囲にある限り、高粘度のオルガノポリシロキサンと低粘度のオルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。むしろ、混合物とすることにより、単一の分子量分布を有する
オルガノポリシロキサンを用いる場合よりも、高重合度で高粘度の
オルガノポリシロキサン成分を多量に含むこととなるために、用途によっては好ましい場合がある。
【0014】
本発明の(A)成分の含有量は、本発明のエマルジョン中で、
40〜70質量%である。
40質量%未満では安定性
かつ保存安定性のあるエマルジョンとすることができず、70質量%を超えると、粘度が上昇し、
保存安定性が低下するので好ましくない。
【0015】
本発明の(A)成分のオルガノポリシロキサンは、シリカを含有していてもよい。本発明において、シリカを含有するオルガノポリシロキサンは、いわゆるシリコーン消泡剤コンパウンドとして当業者に知られているものであって、(A)成分のすべてあるいは一部をこのシリコーン消泡剤コンパウンドとすることができる。
【0016】
シリコーン消泡剤コンパウンドは、当業者にとって公知の方法で製造されたものであればよく、通常、オルガノポリシロキサンとしてジアルキルポリシロキサンを用い、これにシリカを混合して、水酸化カリウム等のアルカリの存在下あるいは不存在下に、加熱、混合して製造される。用いるジアルキルシロキサンは、トリメチルシロキシ末端ジメチルシリコーンまたはヒドロキシ末端ジメチルシリコーン、炭素数6〜22の長鎖アルキル基を含有するジメチルシリコーンであり、これらの混合物も用いられる。
【0017】
(A)成分がシリカを含有する場合のシリカとしては、ヒュ−ムドシリカ、焼成シリカ、沈降性シリカ、シリカアエロゲル、石英、溶融シリカ等の微紛体をあげることができる。この中ではヒュームドシリカまたは沈降性シリカ、シリカアエロゲルの微紛体であることが好ましく、これらは、シリカ表面をトリメチルシリル基等で疎水化したものであってもよい。このようなシリカは、表面積が、5〜300m
2/gの微粉末であることが必要で、50〜300m
2/gであることが好ましい。シリカの含有量は、(A)成分中で、1〜50質量%、好ましくは、2〜20質量%である。
【0018】
本発明の(B)成分である、γ−シクロデキストリンは、でんぷんを素原料として、酵素反応により合成される、8個のグルコースが結合した環状オリゴ糖である。シクロデキストリンとして、γ型以外に、6個のグルコースが結合したα型、7個のグルコースが結合したβ型が知られているが、γ型は、3種の中では水への溶解性に最も優れ、消化性であることから、人、環境に対する影響、負荷がないかあっても極めて小さいシクロデキストリンを用いてシリコーン類を乳化するという本発明の目的に照らして、好ましいものである。本発明において、γ−シクロデキストリンとして一般に製造、販売されているものを用いることが出来る。
【0019】
本発明の(B)成分は、組成物全体で1〜10質量%であることを要し、(C)成分の水に対して、(B)/(C)の質量比で、1/50〜1/5の範囲で用いることが好ましい。(B)/(C)の質量比が1/50未満であると、安定なエマルジョンとすることが困難であり、1/5を超える量とすることは、シクロデキストリンを用いてシリコーン類を乳化するという本発明の目的にそぐわないものとなる。好ましい(B)/(C)の質量比は、1/20〜1/10である。
【0020】
本発明における(C)水は、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましく、好ましくはpH2〜12、特に好ましくはpH4〜10である。鉱水を用いることは推奨されないが、用いる時は金属不活性化剤等と合わせて用いることが望ましい。
【0021】
本発明のエマルジョン組成物の製造方法は特に限定されないが公知の方法で作製することができ、エマルジョンの製造のために適当な常用の混合機、例えばホモジナイザー、コロイドミル、ホモミキサー、高速ステーターローター攪拌装置等を用いて上記成分を混合、乳化することにより製造することが出来る。乳化は、(A)〜(C)成分すべてを混合、攪拌して水中油型エマルジョンを調製する方法、または、(A)オルガノポリシロキサンに、(B)γ−シクロデキストリンと少量の(C)水とを混合、攪拌して油中水型エマルジョンを調製し、更に残部の水を添加して混合、攪拌し、水中油型エマルジョンとする方法のいずれでも採用することができる。いったん、油中水型エマルジョンとしてから、水中油型エマルジョンとする方法が、エマルジョン粒子径の調整が容易である点、及びエマルジョンの安定性の点で好ましい。
【0022】
本発明のエマルジョン組成物は、更に(D)界面活性剤を併用することができる。界面活性剤を併用することにより、γ−シクロデキストリンを用いて乳化したエマルジョンの安定性を更に向上させることができ、その効果は、(A)成分の配合量が少ない場合に特に大きい。(A)成分としてシリカを含有するシリコーン消泡剤コンパウンドを用いる場合には、(A)成分の配合量が少ない場合が多く、(D)界面活性剤の併用は効果が特に大きい。また、(A)成分としてシリコーン消泡剤コンパウンドを用いたエマルジョンを排水処理等で消泡剤用途に用いる場合には、希釈して用いることが多く、(D)界面活性剤の併用は希釈安定性を向上させる点でも効果がある。用いる界面活性剤の量は、(B)成分のγ−シクロデキストリンに対して等量以下であり、γ−シクロデキストリン100
質量部に対して、5〜100
質量部である。界面活性剤の量がγ−シクロデキストリンに対して、5質量部未満では、(A)成分としてシリコーン消泡剤コンパウンドを用いた場合の希釈安定性の向上効果は十分ではなく、100質量部を超える場合には、界面活性剤によらず、γ−シクロデキストリンによりシリコーンを乳化するという本発明の目的にそぐわないこととなる。
【0023】
併用する(D)界面活性剤は、シリコーン類を乳化できるものであれば特に制限はなく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれであっても用いることができる。シリコーンエマルジョンの用途によってはイオン系界面活性剤の使用の制限があり得ることから、ノニオン系界面活性剤を用いることにより、本発明のエマルジョンの汎用性を上げることができ、好ましい。
【0024】
アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩類、アルケニル硫酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、オレフィンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、飽和又は不飽和高級脂肪酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩類、α−スルホ脂肪酸エステル塩類、アミノ酸型界面活性剤類、リン酸アルキルエステル型界面活性剤類及びそのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、スルホコハク酸型界面活性剤類、タウリン型界面活性剤類、アマイドエーテルサルフェート型界面活性剤類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類、ポリスチレンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物類、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物類、カルボン酸高分子類、スチレンオキシアルキレン酸無水物共重合体類等が例示される。これらの中で好ましいものは、アルキル硫酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類である。
【0025】
カチオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルコキシプロピルトリメチルアンモニウム塩類、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩類、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩類、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩類、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩類、アルキルピリジ
ニウム塩類、モノアルキルアミン塩類、モノアルキルアミドアミン塩類、スルホニウム塩類、ホスホニウム塩類等が例示される。両性界面活性剤としては、イミダゾリン化合物類、アルキルジメチルアミンオキシド類、アルキルジメチルカルボキシベタイン類、アルキルアミドプロピルベタイン類、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン類、アルキルヒドロキシスルホベタイン類、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン類等が例示される。
【0026】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ひまし油あるいは硬化ひまし油のポリオキシエチレン付加物、高級脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド類、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン類等が例示される。これらの中で好ましいものは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類である。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類として、ポリオキシアルキレン基が炭素数2及びまたは3のアルキレンであり、アルキル基がとして炭素数8〜20の直鎖または分岐のアルキルからなるものが好ましい。このようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル類の具体例として、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン
ウンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル等をあげることができ、これらのポリオキシエチレン基がポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体となったものであってもよい。
【0027】
本発明のエマルジョン組成物においては、本発明の目的が損なわれない限り、用途、目的に応じ、化粧品やトイレタリー製品、食品や食品添加物、消泡剤に通常用いられる各種の添加剤、例えば、pH調整剤、清涼剤、保湿剤、防腐剤を添加してもよい。pH調整剤の具体例としては、酢酸、乳酸等の有機酸類、2-ヒドロキシエチルアミン、2-ヒドロキシプロピルアミン等の有機アミン類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩類があげられる。清涼剤の具体例としては、l―メントール、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー(樟脳)、チモール、スピラントール、サリチル酸メチル等があげられる。保湿剤の具体例としては、アルキルグリシン類、ソルビトール、ラフィノース、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類、セラミド類、トレハロース、キシロビオース、マルトース、ショ糖、ブドウ糖、植物性粘質多糖類及びその誘導体、水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コンドロイチン硫酸及びその塩等のグリコサミノグリカン及びその塩、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、グルタミン、プロリン酸等のアミノ酸及びその塩等、アミノカルボニル反応物等の糖アミノ酸化合物、アロエ、マロニエ等の植物抽出液、尿素、尿酸、アンモニア、グルコサミン等があげられる。防腐剤の具体例としては、次亜塩素酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベン類、イソチアゾリン化合物、フェノキシエタノール等があげられる。
【0028】
本発明のエマルジョン組成物に増粘剤を併用すると、得られるエマルジョンの粘度を調整すると共に、エマルジョンの安定性や希釈安定性を向上させることができる。増粘剤として、カルボキシメチルセルロースやポリオキシエチレングリコールのような合成の水溶性高分子、あるいは天然物由来の水溶性高分子を用いることができるが、人、環境に対して影響、負荷がないと考えられているγ−シクロデキストリンを用いてシリコーン類を乳化するという本発明の目的からすると、天然物そのものあるいは天然物からの発酵法による水溶性高分子で、食品や化粧品に用いることが認められているものを用いることが好ましい。このような天然物由来の水溶性高分子としては、でんぷん、ゼラチン、キサンタンガム、グアーガムやカラギーナンガム等をあげることができる。本発明のエマルジョンにこのような増粘剤を用いる場合には、乳化工程中で水相に溶解して用いてもよいし、乳化後に増粘剤水溶液として添加してもよい。増粘剤は、(C)水100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部用いられる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例中の乳化物の調製方法及び評価方法は以下のとおりである。また、部は質量部を表し、すべての粘度の数値は、25℃の温度のものである。
【0030】
<乳化物の調製方法、乳化性の評価>
オルガノポリシロキサン成分とγ-シクロデキストリン、並びに必要に応じて界面活性剤、更にγ-シクロデキストリンと同量程度の精製水を加え、4枚羽根プロペラを用い500rpmで5分間攪拌を行なって油中水型エマルジョンとした後、IKA製、ウルトラタラックスT50ベーシック、シャフトジェネレーターG45Gを使用し、回転数3000rpmにて5分間攪拌し、更に、精製水の残分を加えて5分間攪拌することにより希釈して乳化物を調製した。乳化操作によって水中油型エマルジョンとなっており、調製後に分離が見られないものを乳化性良好と、調製後に直ちに、水の分離やエマルジョン固形分の濃度分布が目視で確認できるものを乳化性不良と判定した。
【0031】
<保存安定性試験>
調製した水中油型エマルジョンの乳化物を50mlスクリュー管瓶に入れ、1ヶ月静置後にオイル浮きが見られないか目視で確認した。オイル浮きが見られなければ良好、オイル浮きが見られれば不良と判定した。
<希釈安定性試験>
精製水180gに調
製した水中油型エマルジョンの乳化物20gを加えてよく撹拌し、1時間静置後に固形分と精製水の分離が見
られないか目視で確認した。分離が見られなければ良好、分離が見られれば不良と判定した。
【0032】
<消泡効果>
調
製した水中油型エマルジョンの乳化物0.2g、アルキルスルホン酸ナトリウム8g、精製水200gの混合液を作製し、1分間泡立て器で泡立出せた後、泡立ちが消えるまでの時間を測定した。泡立ちが消えるまでの時間が、2分以上で弱い、1分以上2分未満でやや強い、1分未満で強いと判定した。
【0033】
<実施例1〜4、比較例1>
粘度の異なるジメチルポリシロキサンあるいはこれらの混合物50部、γ−シクロデキストリン(ワッカーケミカルコーポレーション社製、CAVAMAX(登録商標) W8)3部、精製水47部を用いて乳化を行った。用いたジメチルポリシロキサンは、表1に示されるものであり、実施例4はジメチルポリシロキサンの混合物であって、粘度は8000mPa.sである。粘度100000mPa.sのジメチルポリシロキサンの場合(比較例1)を除き、いずれも水中油型のエマルジョンとなり、保存安定性を有していた。
【0034】
【表1】
【0035】
<実施例5、比較例2>
粘度350mPa.sのジメチルポリシロキサン50部を用い、γ−シクロデキストリンの濃度を代えて乳化を行った。表2の組成と安定性評価結果に示すように、γ−シクロデキストリン1.5部では安定な水中油型エマルジョンとなったが、0.5部では水中油型エマルジョンとならなかった。
【0036】
<実施例6、比較例3>
粘度350mPa.sのジメチルポリシロキサン用い、実施例3の水中油型エマルジョンを調製した後に、そのまま、精製水を加えて撹拌を行い、固形分濃度が実施例3よりも低いエマルジョンを調製した。得られたエマルジョンの組成と安定性の評価結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
<比較例4、5>
粘度350mPa.sのジメチルポリシロキサン50部を、α−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリン3部、精製水47部を用いて乳化を行った。α−シクロデキストリンの場合は、油中水型エマルジョンであって、目的とする水中油型エマルジョンとはならず、β−シクロデキストリンの場合にはエマルジョンとはならなかった。
【0039】
<実施例7〜9、比較例6>
ジメチルポリシロキサン95質量%とシリカ5質量%とからなり、粘度3500mPa.sのシリコーン消泡剤コンパウンドを、γ−シクロデキストリン単独あるいはノニオン系界面活性剤と併用して乳化した。ノニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのいずれかであり、表3に、併用したノニオン系界面活性剤と各成分の組成、評価結果を示した。γ−シクロデキストリンのみで消泡剤コンパウンドを乳化すると(比較例6)、水中油型のエマルジョンは得られるが、保存安定性は十分ではなかった。γ−シクロデキストリンと等量のノニオン系界面活性剤を併用すると(実施例7〜9)、安定なエマルジョンが得られ、希釈安定性もあり、消泡効果もやや強いものであった。
【0040】
【表3】