(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170491
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】効率が最適化されたタービン
(51)【国際特許分類】
F03D 7/04 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
F03D7/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-510845(P2014-510845)
(86)(22)【出願日】2012年5月3日
(65)【公表番号】特表2014-513776(P2014-513776A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】FR2012000172
(87)【国際公開番号】WO2012156592
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】1101476
(32)【優先日】2011年5月16日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513287288
【氏名又は名称】サーブ イノベーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100140464
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】ペリエール,ベルナルド
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−094936(JP,A)
【文献】
特開昭57−052679(JP,A)
【文献】
特開2009−191835(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3162839(JP,U)
【文献】
特表2010−525216(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/129309(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(X)の周りを回転するように装着されているブレード(2)と、同期電磁機械(6、10、35、65)と、前記同期電磁機械(6、10、35、65)によって、前記ブレード(2)に衝突する入射流体の速度(Vf1、Vf2、Vf3)にしたがって、前記ブレードの機械効率を最適化しかつタービンの機械効率を入射流体の速度または種類に関係なく最適化するための、前記ブレード(2)の回転角速度(ω)の調節手段とを備える、タービン(1、9、20、34、43、63)であって、前記同期機械(6、10、35、65)が、ローター(11、36)と、ステーター(13、37、47)とを含み、前記ローター(11、36)が、前記ブレード(2)の上に装着された調整磁石(12、38)を含み、前記ステーター(13、37、47)が、少なくとも一つの調整コイル(14、15、39)を含み、
前記調節手段が、前記ブレード(2)の回転角速度(ω)、及び関係する入射流体の速度(Vf1、Vf2、Vf3)を測定する手段を含み、前記測定手段が、前記ブレード(2)の機械効率が最大になり、かつタービンのシャフトに伝達される機械動力が最大化される前記ブレード(2)の最適な回転角速度(ω1、ω2、ω3)を、メモリーに記憶されている運転チャートを使用して計算するための処理ユニット(24)に接続されており、前記処理ユニットが、前記同期機械(6、10、35、65)に接続され、前記ブレード(2)の回転角速度を加速または減速することによって最適な回転角速度(ω1、ω2、ω3)に調節するようになっている、タービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項2】
前記同期機械(6、10、35、65)が、前記ブレード(2)の回転角速度(ω)を加速するように構成されたモーターを含む、請求項1に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項3】
前記ステーター(13、37、47)が内部に装着されているケーシング(40、61)を含み、前記ブレード(2)が、前記ケーシング(40、61)によって境界を定められた内部空洞(41、62)の中に配置されており、前記空洞(41、62)が、ベンチュリ効果を使用して、前記ブレード(2)の領域において、流体の速度(Vf1、Vf2、Vf3)を加速するように構成されたプロファイルを含む、請求項1又は2に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項4】
前記ブレード(2)が、前記中心軸(X)の周りを回転するように装着されているインペラー(8)を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項5】
フィールドシステム(45)及び電機子(47)を含む同期発電装置(44)を含み、前記フィールドシステムが、前記ブレード(2)の上に装着されているパワー磁石(46)を含み、前記電機子が、少なくとも一つのパワーコイル(50、51)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項6】
調整コイル(14、15、39)が、磁気誘導によって、パワーコイル(50、51)に連結されている、請求項5に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項7】
パワー磁石(46)が、調整磁石(12、38)として使用される、請求項5又は6に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)。
【請求項8】
請求項1に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)を作動させる方法であって、
流体の速度(Vf1、Vf2、Vf3)を測定するステップと、
前記ブレード(2)の機械効率を最適化するために、前記測定された流体の速度の関数に応じて、前記ブレード(2)の角速度(ω)を変化させるステップと
を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載のタービン(1、9、20、34、43、63)を含む車両(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンに関し、より詳細には、低速度の流体によって駆動可能なタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、入射流体の運動エネルギーを回転シャフトにおける機械動力へ変換することができる機械である。そして、この機械動力は、例えば、送水ポンプを作動させるために、又は電流を発生させる交流発電装置を回すために、必要に応じて使用される。タービンは、通常、駆動シャフトに取り付けられたいくつかのブレードを含む。ブレードの数、及びブレードの形状は、非常に幅広く変化をもたせることが可能である。流体は、液体又は気体であることが可能である。
【0003】
図1Aは、従来技術による第1のタイプのタービン1を示している。前記タービン1は、例えば、細長い形状の三つのブレード2を含む。それぞれのブレードは、二つの遠位端部を有し、そのそれぞれが、二つの点3及び4において、それぞれシャフト5に取り付けられている。シャフト5は、中心軸Xの周りを回転するように装着されている。ブレードの断面は、例えば、おおよそ航空機翼の形状をしており、それは、速度Vf1で中心軸Xに直交するように方向付けされている入射流体がブレードに衝突するときに、ブレードを回転角速度ωで軸Xの周りを回す合力をブレードに生じさせるように配向されている。
【0004】
図1Bは、従来技術による第2のタイプのタービン1を示している。前記タービンは、インペラー8を形成するブレード2を含み、インペラー8は、インペラーの平面に垂直なシャフト5の上に装着されている。シャフト5は、中心軸Xの周りを回転するように装着されている。速度Vf1で軸Xに沿って配向されている入射流体がインペラーのブレード2に衝突するとき、これが、インペラー8を回転角速度ωで中心軸Xの周りを回す合力をブレードに生じさせる。
【0005】
中心軸の周りを回転する一つ以上のブレードを含む多くの他のタイプのタービンが存在する。所与の入射流体に対して、ブレードの機械効率(それは、ブレード2によって駆動シャフト5に伝達されるエネルギーと流体の運動エネルギーとの比として定義される)が高ければ高いほど、シャフト5における利用可能な機械動力Pmはより大きくなる。タービンの有効性を表すこの機械効率が、最大化されることが有利である。
【0006】
既設のタービンブレードは、所与の速度を有する所与の流体に関する効率についてのみ最適化されている。例えば、風力タービンのインペラーのピッチは、支配的な平均風速にしたがって固定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態の一つの目的は、一つ又は複数のブレードを駆動する入射流体の速度、又はその速度の変動に関わりなく、その機械効率が最適化されるタービンを提案することである。
【0008】
本発明の別の実施形態の一つの目的は、一つ又は複数のブレードを駆動することが意図されている流体が低い速度であるときでさえ、その機械効率がゼロでないタービンを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の一実施形態は、中心軸の周りを回転するように装着されているブレードと、同期電磁機械と、同期電磁機械によって、前記ブレードに衝突する入射流体の速度にしたがって、前記ブレードの機械効率を最適化するための、ブレードの回転角速度の調節手段とを含む、タービンを提供する。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、タービンの同期機械が、ローターとステーターとを含み、ローターが、ブレードの上に装着された調整磁石を含み、ステーターが、少なくとも一つの調整コイルを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、タービンが、ケーシングを含み、ケーシングの中にステーターが装着されており、ブレードが、ケーシングによって境界を定められた内部空洞の中に配置されており、前記空洞が、ベンチュリ効果を使用して、ブレードの領域において、流体の速度を加速するように構成されたプロファイルを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、タービンのブレードが、中心軸の周りを回転するように装着されているインペラーを形成する。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、タービンの調節手段が、ブレードの回転角速度、及び関係する入射流体の速度を測定する手段を含み、前記測定手段が、ブレードの機械効率が最大になるブレードの最適な回転角速度を計算するための処理ユニットに接続されており、処理ユニットが、同期機械に接続され、ブレードの回転角速度を最適な角速度に調節するようになっている。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、タービンが、フィールドシステム(field system)及び電機子を含む同期発電装置を含み、フィールドシステムが、前記ブレードの上に装着されているパワー磁石(power magnet)を含み、電機子が、少なくとも一つのパワーコイル(power coil)を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、タービンの調整コイルが、磁気誘導によって、パワーコイルに連結されている。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、タービンのパワー磁石が、調整磁石として使用される。
【0017】
本発明の別の実施形態は、タービンを作動させる方法を提供し、方法は、流体の速度を測定するステップと、前記ブレードの機械効率を最適化するように、測定された流体の速度に応じて、ブレードの角速度を変化させるステップとを含む。
【0018】
本発明の別の実施形態は、タービンを含む車両を提供し、タービンは、中心軸の周りを回転するように装着されているブレードと、同期電磁機械と、同期電磁機械によって、前記ブレードに衝突する入射流体の速度にしたがって、前記ブレードの機械効率を最適化するための、ブレードの回転角速度の調節手段とを含む。
【0019】
これらの目的、特徴、及び利点は、他のものとともに、いくつかの特別な実施形態の以下の説明において、詳細に述べられることとなり、その実施形態は、添付の図を参照して、非限定的な例として与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは、上述した従来技術による第1のタイプのタービンの概略図である。
【
図1B】
図1Bは、上述した従来技術による第2のタイプのタービンの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるタービンの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、ブレードによってタービンのシャフトに伝達される機械動力を、回転角速度の関数として示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態によるタービンの正面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による、制御システムを含むタービンのブロック図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるタービンの断面図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による、同期発電装置に関係するタービンの正面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態による電気三輪車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
明確化にする目的で、本発明を理解するのに有効なエレメントだけが、示されており、説明されることとなる。明確化にする目的で、同様のエレメントが、様々な図において、同様の参照記号によって表示されており、そのうえ、様々な図は、原寸で描かれてはいない。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態による、
図1Bに関連して上述のように定義されている第2のタイプのタービン1の概略図である。例は、任意のタイプのタービンに、とりわけ、
図1Aに関連して上記で説明されているような第1のタイプのタービンに、容易に置き換えられることが可能である。タービン1は、少なくとも一つのブレード2を含み、少なくとも一つのブレード2は、インペラー8を形成することが可能であり、インペラー8は、好ましくは固定されて、シャフト5に接続され、シャフト5は、中心軸Xの周りを回転するように装着される。モーター6(好ましくは、可逆式モーターである)は、ブレード2を回すようにブレード2とともに配置され、例えば、このことは、シャフト5を回すことができるようにシャフト5にモーター6を連結することによって、行われることが可能である。好ましくは、モーター6は、同期電磁機械である。速度Vf1の入射流体を受けるブレード2の機械効率は、
図3に関連して以下に教示されることとなるように、ブレード2が回転する速度に依存する。モーター6は、ブレードの回転速度が、最良の機械効率を得るように加速又は減速させられることを可能にする。したがって、驚くべきことに、駆動シャフト5を駆動するよう意図されたタービン1の効率を向上させるために、ブレードの回転速度を増加させること、又はそれを減少させることのいずれかのために、前記ブレード2が、電気モーターを使用して駆動させられることが有利である。換言すれば、タービンは、中心軸Xの周りを回転するように装着されている少なくとも一つのブレード2と、同期電磁機械と、同期電磁機械によって、ブレード2に衝突する入射流体の速度Vf1にしたがって、前記ブレードの機械効率を最適化するための、ブレード2の回転角速度ωの調節手段とを含む。
【0023】
図3は、ブレードによってタービンのシャフトに伝達される機械動力Pmを、ブレードの回転角速度の関数として示すグラフであり、入射流体の速度によってパラメーター化されている。回転角速度ωが、ωとラベル付けされた横軸に示されており、回転シャフトに伝達される機械動力Pmが、Pmとラベル付けされた縦軸に示されている。三つの曲線V1、V2、V3が、三つの増加する入射流体速度Vfa、Vfb、Vfcに関してプロットされている。グラフは、三つの領域A、B、及びCを有している。第1の領域Aは、低いブレード回転角速度ωに対応している。シャフトに伝達される機械動力Pmは、ブレードの回転角速度ωに応じて非常にゆっくりと増加し、流体速度が低減させられている場合(グラフの曲線V1及びV2の場合)には、ゼロに維持され得る。この第1の領域Aでは、タービンの静止摩擦が支配し、さらに、ぎりぎりのところで、ブレードが回ることを防止することが可能である。第2の領域Bは、中程度のブレード角速度に対応している。回転シャフトに伝達される機械動力Pmは、ブレード回転角速度ωとともに均等に増加する。この領域Bでは、静止摩擦はもはや存在せず、運動摩擦が低く維持されている。ブレードの回転速度が増加すると、動いているブレードに対する流体の相対速度の方向の変化の効果によって、流体の中のブレードの入射の角度が減少する。流体の中のブレードの抗力が減少し、その揚力が増加し、空気力学的効率が向上する。回転シャフトに伝達される機械動力Pmが、それぞれのブレードの回転角速度ω1、ω2、ω3に対応する最適な回転PMax1、PMax2、PMax3まで、シャフトの回転速度とともに増加する。第3の領域Cは、高いブレード回転角速度に対応している。ブレードの角速度がω1、ω2、ω3を超えて増加すると、ブレードに衝突する入射流体の入射の角度は、もはや、ブレードのプロファイルに適した最良のものではないので(揚力の低減、及び抗力の増加を引き起こす)、シャフトに伝達される駆動動力Pmは減少する。さらには、運動摩擦力が、急激に増加する。
【0024】
要約すれば、例として、
図3のグラフは、所与のブレード及び所与の入射流体速度に関して、ブレードの最適な回転角速度ω1、ω2、ω3が存在し、回転角速度ω1、ω2、ω3に対して、機械動力PMax1、PMax2、PMax3、ひいては、ブレードの機械効率、又はタービンの機械効率が最大化されるということを説明している。低いブレード回転角速度ωと組み合わせられた、十分に低い入射流体の速度について、ブレードによってシャフトに伝達される動力はゼロである。そのような場合、シャフトは、補助システムがなければ回すことが可能でない。加えて、十分に高い回転角速度ωに関して、ブレードの機械効率は降下する。この観察結果が、タービン効率を最適化させるために、逆説的に、ブレードの回転角速度ωを減少させることが好ましい可能性があるということの理由である。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態によるタービンの正面からの図である。
図4に示されているタービン9は、特に同期機械6のための、
図2に示されているタービン1の一つの例示的な実施形態である。電磁同期機械の運転は、当業者によく知られており、本明細書では詳細を説明しない。
図4に示されているもののような電磁同期機械10は、ローター11を含み、ローター11には、少なくとも一つの調整磁石12と、ステーター13とが装備されており、前記ステーターは、固定された基準として見なされる。ローター11は、少なくとも一つのブレード2、例えばインペラー8から構成されており、調整磁石12がインペラー8に取り付けられている。当然ながら、インペラーはいくつかのブレードを含むことが可能であるので、調整磁石12は、インペラーのブレードのそれぞれに、又はインペラーのブレードのいくつかに取り付けられてもよい。調整磁石12は、永久磁石、又は直流電流によって電力を供給される電磁石であることが可能である。好ましくは、調整磁石12は、ブレード2の先端部に固定されるか、又はその目的のために設けられたブレード2の突出部分に固定されている。調整磁石12は、磁石の磁極によって配向された平行六面体として記号的に示されている。調整磁石がインペラー8のブレード2に固着されているのであれば、同期回転機械のローターの磁石の任意の通例の構成が、使用され得る。ステーター13は、少なくとも一つの調整コイル14又は15を装備している。二つの調整コイル14、15が、
図4に象徴的に示されている。例えば、磁心及びエアギャップとともに、回転電磁機械で従来から使用されている調整コイルの任意の構成が、本明細書で使用され得る。同期機械の運転の既知の方法にしたがって、ステーター14、15の調整コイルは、交流電流I1、I2で電力を供給され、中心軸Xの周りを回転する磁界Bを作り出すようになっている。ローター11は、ステーター13によって発生させられた回転磁界Bを受ける調整磁石12を装備しており、ステーターの磁界Bに同期化された回転運動で駆動される。同期機械10の回転速度は、ステーター13の調整コイル14、15に電力を供給する交流電流I1、I2の周波数によって決定される。そのような同期機械は、ローター位置センサーを装備しており、ローター11が停止された位置から、所定の回転速度にすることが可能であるということが知られている(ブラシレスモーター)。調整コイル14、15の電流I1、I2の振幅及び位相は、同期機械が、モーターとしての役割を果たすか、又は発電装置としての役割を果たすかを決定する。一般的に、モーターモードは、調整コイルの中で電力を消費することによって、中心軸Xの周りのブレード2の回転速度ωを加速させる傾向を有する。一般的に、発電装置モードは、調整コイル電力供給部に電流を供給することによって、中心軸Xの周りのブレード2の回転速度ωを減速させる傾向を有する。
【0026】
タービンインペラーと共生して作動するそのような同期機械は、中心軸の周りを回転するブレードを有する任意のタイプのタービンに、とりわけ、
図1Aに関連して定義されているような第1のタイプのタービンに、適合され得る。そのために必要なのは、少なくとも一つの調整磁石が、少なくとも一つの回転ブレードに固定され、次いで、これらが、同期機械のローターのように一緒に作動するということだけである。ステーターは、少なくとも一つのブレードの周りに配置され、ローターを回すために必要な回転磁界を発生させるようになっている。必須ではないが、調整磁石が、回転中心軸Xから最も遠位にある位置に固定され、調整磁石に加えられる力が、ブレードの回転軸Xに対して最大トルクを有することが可能であることが好ましい。同期機械10は、単一のブレードとともに作動することが可能であり、且つ単一の調整磁石12及び単一の調整コイル14を有することが可能である。同期機械10のその特別な構成では、ブレード2の各回転に対して、駆動パルス又は減速パルスが、単一の調整コイル14によって単一の調整磁石12に加えられることが可能である。
【0027】
図5は、本発明の別の実施形態による、上述の調節手段の少なくとも一部を構成することが可能な制御システム21を含むタービン20のブロック図である。例として、
図4に関連して上述されているタービン9は、
図5に関連して説明されているタービン20の一部を形成するように使用されている。同期機械6に関係する任意の他のタービンが、使用され得る。タービン20は、インペラー8を含み、インペラー8は、中心軸Xの周りを回転するように装着されており、同期回転機械10のローターを形成している。この回転機械のステーター13は、調整コイル14、15を含む。制御システム21は、センサー22のセット、処理ユニット24、及び調整制御回路25を含む。センサー22のセットは、少なくとも、ブレード2の角速度ωを感知するセンサー26、流体速度センサー27、並びに、随意的に及び不可欠ではないが、ブレード位置センサー28を含む。そのようなセンサーを具現化する実用的な方策は、当業者に知られており、詳細説明しない。制御システム21は、処理ユニット、例えばマイクロコントローラーを含むことが可能であり、処理ユニットは、様々なセンサー26、27、28によって供給された値を考慮する。処理ユニットは、例えば、メモリーに記憶されている運転チャートを使用して、ブレードの機械効率を向上させるために、ブレードの回転速度ωが加速される必要があるか、又は減速される必要があるかについて決定する。次いで、処理ユニットは、電流I1、I2をステーター13の調整コイル14、15に供給する調整制御回路を作動させる。これらの電流の周波数、振幅、及び位相は、同期機械10が、モーターとしての役割を果たすか、又は発電装置としての役割を果たすかについて決定付けることとなる。同期機械10を作動させるために必要な電流は、蓄電池29によって、又はタービンの外部の電気回路網によって、供給又は吸収される。
【0028】
そのような制御システムの効率は最適である。何故なら、同期機械が発電装置として作動している局面の間に、それは、回転ブレードの運動エネルギーを電流に変換することによって、この運動エネルギーを回復させることが可能であるからである。最後に、
図4に関連して明示されたように、選ばれた実施形態にとって、非常に低い入射流体速度Vf1における機械効率を最適化する目的で、同期機械10が、ブレードを、ブレード2が静止している静止状態(流体が、単独で、ブレードを強制的に軸Xの周りを回転する状態にさせるのに十分でない場合)から、回転状態に設定する必要がない場合には、位置センサー28は必須ではない。
【0029】
図6は、本発明の別の実施形態によるタービンの断面図である。
図6は、タービン34が、同期機械35を含み、同期機械35が、ローター36及びステーター37を含む実施形態を図示している。ローター36は、好ましくは回転中心軸Xから最も遠位にある位置において、少なくとも一つのブレード2の上に装着されている少なくとも一つの調整磁石38を含む。ローター36を取り囲むステーター37は、少なくとも一つの調整コイル39を含む。この実施形態では、ステーターが、内部空洞41の境界を定めるケーシング40の中に装着されており、内部空洞41の中に、前記少なくとも一つのブレード2が配置されている。内部空洞41は、好ましくは、ベンチュリ効果を使用して、ブレード2の領域において、流体の速度を加速させるように構成されたプロファイルを有する。好ましくは、空洞は、両端部において開口されており、流体が、第1の端部において突入し、次いで、第2の端部を介して空洞を離れることが可能である。したがって、ブレードの回転が内接する平面は、その端部において空洞の開口部を通過する流体の方向に本質的に垂直であることが可能である。
図3に関係する教示にしたがって、ケーシング40は、特に、低い初期入射流体速度Vf2に関して、ブレード2における流体Vf3の速度を増加させることによって、タービンの機械効率を向上させる追加的な手段である。好ましくは、調整磁石38は、ブレードの先端部に固定されている。調整磁石38は、その目的のために設けられたブレードの突出部分に固定され得る。
【0030】
図6の実施形態を実施する一つの特別な方策によれば、ケーシング40は、内部空洞の領域において、ブレード2の回転が内接する平面に形成されている環状溝部42を含む。この環状溝部42は、ブレード2の先端部に配置されている調整磁石38を収容するように構成されており、調整磁石38を支えるブレード2が回っているときに、調整磁石38が溝部42の中を移動することを可能にする。この配置は、調整磁石38の存在が入射流体の流れを妨害しないことを確実にするために、とりわけ好ましい。
【0031】
図7は、本発明の別の実施形態によるタービン43の正面からの図である。
図4に関連して説明されており、ブレード2の回転速度ωを調節及び調整するように意図された同期回転機械10は、電磁気的な第2の同期機械44によって補充されており、第2の同期機械44は、電力を供給するための発電装置として構成されている。
【0032】
電磁気的な同期発電装置44は、フィールドシステム45を含み、フィールドシステム45は、好ましくはブレード2の上に装着された少なくとも一つのパワー磁石46と、少なくとも一つのパワーコイルを含む電機子47とを装備している。電機子は、固定された基準として考えられている。
図7の実施形態によるフィールドシステム45は、インペラー8のブレード2によって形成されており、それに、パワー磁石46が固定されている。このパワー磁石46は、永久磁石、又は直流電流によって電力を供給される電磁石であることが可能である。好ましくは、パワー磁石46は、ブレードの先端部に固定されるか、又はその目的のために設けられたブレードの突出部分に固定されている。パワー磁石46は、
図7の磁石の磁極によって配向された平行六面体の形態で示されているが、パワー磁石46がインペラー8のブレード2に固着されているのであれば、同期発電装置のフィールドシステムの磁石の任意の通例の構成が、使用され得る。同期発電装置44の電機子47は、パワーコイル50、51を装備している。パワーコイルは、
図7で象徴的に示されている。例えば、磁心及びエアギャップとともに、電磁気的な同期発電装置で従来から使用されているパワーコイルの任意の構成が、使用され得る。そのように説明されているフィールドシステム45及び電機子47が、同期発電装置44を形成し、同期発電装置44は、
図4に関連して説明されている同期機械10に重ね合わせられ、且つそれと協調することが可能である。フィールドシステム45がいくつかのパワー磁石46を含む事例では、これらのパワー磁石46のうちのいくつかが、例えば、調整コイル14、15のコアの中に可変の磁気誘導を作り出す調整磁石12として使用され得る。特定の調整コイル14(又は15)は、例えば、磁気誘導によって、パワーコイル50、51に連結され得る。
図7は、パワーコイル50、51の構成を図示している。パワーコイル51は、調整コイル14を取り囲み、調整コイル14は、二つのパワーコイル及び調整コイル51及び14の間に相互インダクタンスを作り出し、そして、それらは、それぞれ、変圧器の一次側及び二次側の役割を果たす。したがって、同期発電装置44によって発生させられたパワー電流のうちのいくらかが、調整コイル14によって取り出され、他の全ての調整コイルに電力を供給し、軸Xの周りのブレード2の回転角速度ωを変化させるようになっている。そして、タービン43は、タービンによって発生されられた電力のうちのいくらかが、機械効率が最大化される最適な回転速度に急速に到達するように、前記タービンの回転速度を加速するために使用され得るという点で、ターボタービンとしての役割を果たす。ブレード2の角速度を制御し、且つ
図5に関連して説明されている制御システムは、当業者によって、上記に定義されたターボタービン43に対して容易にプログラムされ、且つ適合され得る。
【0033】
本発明は、車両に搭載された1つ以上の風力タービンに適合されることが、特に有利である可能性がある。とりわけ、
図8は、本発明の別の実施形態による電気三輪車の側面図である。
図8の三輪車60は、ケーシング61を含み、ケーシング61は、屋根を形成し、且つ内部空洞62の境界を定めており、内部空洞62は、車両の進行方向に開口されており、且つベンチュリ効果を使用して空気速度を加速するように形状付けされている。内部空洞62の内側に配置されているのは、本発明による少なくとも一つのタービン(風力発電装置)63であり、それは、三輪車が低速で及び非常に変化する速度で動いているときでさえ、電流を供給することが可能である。三輪車は、風力発電装置63によって生成された電気エネルギーを貯蔵することが可能な電気式蓄電池64を装備している。三輪車は、電気モーター65、例えば可逆式モーターを含み、例えば、それは、後部ホイールの軸の上に装着されている。三輪車が静止しているときに、風力発電装置は、気象条件に応じて、蓄電池64を再充電することが可能である。三輪車が坂を下るときに、二重ブレーキ効果が得られる。第1のブレーキは、風力発電装置63によって実行される空気力学的ブレーキであり、したがって、それは、蓄電池64を再充電する。第2のブレーキ効果は、発電装置として作動し、同様に電池を再充電する可逆式モーター65によって与えられる。三輪車が向かい風の中へ前方に動いているときに、風力発電装置63は、電流を発生させ、電流の強度は、増加する相対的な風速とともに増加する。したがって、生成される電気エネルギーは、例えば、可逆式モーター65によって、三輪車を前方へ動かすことを助けるために使用され得る。全ての事例では、タービン63によって生成される電気エネルギーは、電気三輪車を前方へ移動させるために、又は任意の他の目的のために、使用され得る。
【0034】
本発明のいくつかの特別な実施形態が、説明されてきた。様々な代替的な形態、及び修正例が、当業者には明らかであろう。とりわけ、タービンの機械的な運転の形状及びモードは、非限定的である。とりわけ、説明されている全ての実施形態は、一つだけのブレードを有し、且つ一つだけの調整コイルを備えて作られたタービンに適合され得る。本発明は、入射流体が液体又は気体であるタービンに適用され得、タービンの特別なケースである風力発電装置に適用され得る。タービンの出力及び寸法は、任意的である。例えば、本発明は、数メートルの直径及び数十メートルの高さの、インペラーを有する風力発電装置に適用され得るが、同様に、携帯式のローミング装置の中で使用され得る小型風力発電装置に適用され得る。
【0035】
本発明のタービンによって発生させられた機械動力を使用する全ての種類の機械的なデバイスは、このタービンに接続され得る。本発明のタービンは、その運転に対する電気的又は機械的な任意のエネルギー源と協調することが可能である。
【0036】
図5に関連して説明されてきた制御システム及び蓄電池は、全く同一の電子チップの上に組み込まれることが可能である。
【0037】
様々な代替的な形態を備えた様々な実施形態が、上述されてきた。当業者は、発明的な能力を働かせることなく、これらの様々な実施形態の様々なエレメントと代替的な形態を組み合わせることが可能であろうということに留意されたい。