【文献】
Tiberghien, Arnaud C.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2004年,14(20),5041-5044
【文献】
Jeffrey, S. C. et al,Journal of Medicinal Chemistry ,2005年,48(5),1344-1358
【文献】
Burke, P J. et al,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,19(10),2650-2653
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
薬学的に許容できる陽イオン
薬学的に許容できる一価及び二価陽イオンの例は、Berge外,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)で議論されている。この文献を参照により本明細書に含める。
【0021】
薬学的に許容できる陽イオンは、無機又は有機であることができる。
【0022】
薬学的に許容できる一価の無機陽イオンの例としては、Na
+及びK
+などのアルカリ金属イオンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる二価の無機陽イオンの例としては、Ca
2+及びMg
2+などのアルカリ土類陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる有機陽イオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわちNH
4+)及び置換アンモニウムイオン(例えばNH
3R
+、NH
2R
2+、NHR
3+、NR
4+)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、次のものから誘導されるものである:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸。一般的な第四級アンモニウムイオンの例はN(CH
3)
4+である。
【0023】
置換基
本明細書で使用するときに、「置換されていてよい」という語句は、非置換であってもよく又は置換されていてもよい親基に関連する。
【0024】
特に断らない限り、本発明で使用する「置換された」という用語は、1個以上の置換基を有する親基に関する。用語「置換基」は、ここでは従来の意味で使用され、共有結合している化学的部分又は適切な場合には、親基に融合された化学的部分を意味する。多種多様な置換基がよく知られており、様々な親基へのそれらの形成及び導入方法もよく知られている。
【0026】
C
1-12アルキル:本明細書で使用される用語「C
1-12アルキル」とは、脂肪族又は脂環式であってよくかつ飽和又は不飽和であってもよい(例えば、部分的に不飽和、完全に不飽和)、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を除去することにより得られる一価部分をいう。したがって、用語「アルキル」には、以下に説明するサブクラスのアルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどが含まれる。
【0027】
飽和アルキル基の例としては、メチル(C
1)、エチル(C
2)、プロピル(C
3)、ブチル(C
4)、ペンチル(C
5)、ヘキシル(C
6)及びヘプチル(C
7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
飽和直鎖アルキル基の例としては、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n−プロピル(C
3)、n−ブチル(C
4)、n−ペンチル(アミル)(C
5)、n−ヘキシル(C
6)及びn−ヘプチル(C
7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
飽和分枝鎖アルキル基の例としては、イソプロピル(C
3)、イソブチル(C
4)、s−ブチル(C
4)、t−ブチル(C
4)、イソ − ペンチル(C
5)、及びネオペンチル(C
5)が挙げられる。
【0030】
本明細書で使用する用語「C
2-12アルケニル」とは、1個以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を意味する。
【0031】
不飽和アルケニル基の例としては、エチニル(ビニル、−CH=CH
2)、1−プロペニル(−CH=CH−CH
3)、2−プロペニル(アリル、−CH−CH=CH
2)、イソプロペニル(1−メチルビニル、−C(CH
3)=CH
2)、ブテニル(C
4)、ペンテニル(C
5)及びヘキセニル(C
6)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
C
2-12アルキニル:本明細書で使用する用語「C
2-12アルキニル」は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を意味する。
【0033】
不飽和アルキニル基の例としては、エチニル(−C≡CH)及び2−プロピニル(プロパルギル、−CH
2−C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
C
3-12シクロアルキル:ここで使用するときに、用語「C
3-12シクロアルキル」とは、シクリル基でもあるアルキル基をいう;すなわち、環状炭化水素(炭素環式)化合物の脂環式環原子から水素原子を除去することによって得られる一価の部分であって、該部分が3〜7個の環原子を含めて3〜7個の炭素原子を有するものである。
【0035】
シクロアルキル基の例としては、次のものから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C
3)、シクロブタン(C
4)、シクロペンタン(C
5)、シクロヘキサン(C
6)、シクロヘプタン(C
7)、メチルシクロプロパン(C
4)、ジメチルシクロプロパン(C
5)、メチルシクロブタン(C
5)、ジメチルシクロブタン(C
6)、メチルシクロペンタン(C
6)ジメチルシクロペンタン(C
7)、メチルシクロヘキサン(C
7);
不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C
3)、シクロブテン(C
4)、シクロペンテン(C
5)、シクロヘキセン(C
6)、メチルシクロプロペン(C
4)、ジメチルシクロプロペン(C
5)、メチルシクロブテン(C
5)、ジメチルシクロブテン(C
6)、メチルシクロペンテン(C
6)、ジメチルシクロペンテン(C
7)及びメチルシクロヘキセン(C
7);及び
飽和多環式炭化水素化合物:
ノルカラン(C
7)、ノルピナン(C
7)、ノルボルナン(C
7)。
【0036】
C
3-20ヘテロシクリル:本明細書で使用するときに、用語「C
3-20ヘテロシクリル」とは、複素環式化合物の環原子から水素原子を除去することにより得られる一価部分であって、その部分が3〜20個の環原子を有し、そのうち1〜10個が環ヘテロ原子であるものをいう。好ましくは、各環は3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は環ヘテロ原子である。
【0037】
本明細書において、接頭辞(例えばC
3-20、C
3-7、C
5-6など)は、炭素原子かヘテロ原子かどうかを問わず、環原子の数又は環原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書で使用する用語「C
5-6ヘテロシクリル」とは、5又は6個の環原子を有するヘテロシクリル基をいう。
【0038】
単環式ヘテロシクリル基の例としては、次のものから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:
N
1:アジリジン(C
3)、アゼチジン(C
4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C
5)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C
5)、2H−ピロール又は3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C
5)、ピペリジン(C
6)、ジヒドロピリジン(C
6)、テトラヒドロピリジン(C
6)、アゼピン(C
7);
O
1:オキシラン(C
3)、オキセタン(C
4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C
5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C
5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C
6)、ジヒドロピラン(C
6)、ピラン(C
6)、オキセピン(C
7);
S
1:チイラン(C
3)、チエタン(C
4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C
5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C
6)、チエパン(C
7);
O
2:ジオキソラン(C
5)、ジオキサン(C
6)、及びジオキセパン(C
7);
O
3:トリオキサン(C
6);
N
2:イミダゾリジン(C
5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C
5)、イミダゾリン(C
5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C
5)、ピペラジン(C
6);
N
1O
1:ヒドロオキサゾール(C
5)、ジヒドロオキサゾール(C
5)、テトラヒドロイソオキサゾール(C
5)、ジヒドロイソオキサゾール(C
5)、モルホリン(C
6)、テトラヒドロオキサジン(C
6)、ジヒドロオキサジン(C
6)、オキサジン(C
6);
N
1S
1:チアゾリン(C
5)、チアゾリジン(C
5)、チオモルホリン(C
6);
N
2O
1:オキサジアジン(C
6);
O
1S
1:オキサチオール(C
5)及びオキサチアン(チオキサン)(C
6);並びに
N
1O
1S
1:オキサチアジン(C
6)。
【0039】
置換単環式ヘテロシクリル基の例としては、環状の形態の糖類から誘導されるもの、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース及びキシロフラノースなどのフラノース(C
5)並びにアロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、ガラクトピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース及びタロピラノースなどのピラノース(C
6)が挙げられる。
【0040】
C
5-20アリール:本明細書で使用するときに、用語「C
5-20アリール」とは、芳香族化合物の芳香環原子から水素原子を除去することにより得られる一価部分であって、その部分が3〜20個の環原子を有するものを意味する。好ましくは、各環は5〜7個の環原子を有する。
【0041】
本明細書において、接頭辞(例えばC
3-20、C
5-7、C
5-6など)は、炭素原子又はヘテロ原子かどうかを問わず、環原子の数又は環原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書で使用する用語「C
5-6アリール」とは、5又は6個の環原子を有するアリール基をいう。
【0042】
環原子は、「カルボアリール基」のように、全て炭素原子である。
カルボアリール基の例としては、ベンゼン(すなわちフェニル)(C
6)、ナフタレン(C
10)、アズレン(C
10)、アントラセン(C
14)、フェナントレン(C
14)、ナフタセン(C
18)及びピレン(C
16)から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
複数の縮合環であってそのうちの少なくとも一つが芳香環であるものを有するアリール基の例としては、次のものから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない:インダン(例:2,3−ジヒドロ−1H−インデン)(C
9)、インデン(C
9)、イソインデン(C
9)、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(C
10)、アセナフテン(C
12)、フルオレン(C
13)、フェナレン(C
13)、アセフェナントレン(C
15)及びアセアントレン(C
16)。
【0044】
あるいは、環原子は、「ヘテロアリール基」のように、1個以上のヘテロ原子を含むことができる。単環式ヘテロアリール基の例としては、次のものから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:
N
1:ピロール(アゾール)(C
5)、ピリジン(アジン)(C
6);
O
1:フラン(オキソール)(C
5);
S
1:チオフェン(チオール)(C
5);
N
1O
1:オキサゾール(C
5)、イソオキサゾール(C
5)、イソオキサジン(C
6);
N
2O
1:オキサジアゾール(フラザン)(C
5);
N
3O
1:オキサトリアゾール(C
5);
N
1S
1:チアゾール(C
5)、イソチアゾール(C
5);
N
2:イミダゾール(1,3−ジアゾール)(C
5)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)(C
5)、ピリダジン(1,2−ジアジン)(C
6)、ピリミジン(1,3−ジアジン)(C
6)(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)(C
6);
N
3:トリアゾール(C
5)、トリアジン(C
6);及び
N
4:テトラゾール(C
5)。
【0045】
縮合環を含むヘテロアリールの例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:
次のものから誘導されるC
9(2個の縮合環を有する):ベンゾフラン(O
1)、イソベンゾフラン(O
1)、インドール(N
1)、イソインドール(N
1)、インドリジン(N
1)、インドリン(N
1)、イソインドリン(N
1)、プリン(N
4)(例えば、アデニン、グアニン)ベンズイミダゾール(N
2)、インダゾール(N
2)、ベンゾオキサゾール(N
1O
1)、ベンズイソオキサゾール(N
1O
1)、ベンゾジオキソール(O
2)、ベンゾフラザン(N
2O
1)、ベンゾトリアゾール(N
3)、ベンゾチオフラン(S
1)、ベンゾチアゾール(N
1S
1)、ベンゾチアジアゾール(N
2S);
次のものから誘導されるC
10(2個の縮合環を有する):クロメン(O
1)、イソクロメン(O
1)、クロマン(O
1)、イソクロマン(O
1)、ベンゾジオキサン(O
2)、キノリン(N
1)、イソキノリン(N
1)、キノリジン(N
1)、ベンゾオキサジン(N
1O
1)、ベンゾジアジン(N
2)、ピリドピリジン(N
2)、キノキサリン(N
2)、キナゾリン(N
2)、シンノリン(N
2)、フタラジン(N
2)、ナフチリジン(N
2)、プテリジン(N
4);
ベンゾジアゼピン(N
2)から誘導されるC
11(2個の縮合環を有する);
カルバゾール(N
1)、ジベンゾフラン(O
1)、ジベンゾチオフェン(S
1)、カルボリン(N
2)、ペリミジン(N
2)、ピリドインドール(N
2)から誘導されるC
13(3個の縮合環を有する);及び
次のものから誘導されるC
14(3個の縮合環を有する):アクリジン(N
1)、キサンテン(O
1)、チオキサンテン(S
1)、オキサントレン(O
2)、フェノキサチイン(O
1S
1)、フェナジン(N
2)、フェノキサジン(N
1O
1)、フェノチアジン(N
1S
1)、チアントレン(S
2)、フェナントリジン(N
1)フェナントロリン(N
2)、フェナジン(N
2)。
【0046】
上記の基は、単独か別の置換基の一部かどうかを問わず、それら自体がそれら自体及び以下に示す追加の置換基から選択される1個以上の基で随意に置換されていてもよい。
【0047】
ハロ:−F、−Cl、−Br及び−I。
【0049】
エーテル:−OR、ここで、Rは、エーテル置換基、例えば、C
1-7アルキル基(以下に述べるC
1-7アルコキシ基ともいう)、C
3-20ヘテロシクリル基(C
3-20ヘテロシクリルオキシ基ともいう)又はC
5-20アリール基(C
5-20アリールオキシ基ともいう)であり、好ましくはC
1-7アルキル基である。
【0050】
アルコキシ:−OR、ここで、Rは、アルキル基、例えばC1〜7アルキル基である。C1〜7アルコキシ基の例としては、−OMe(メトキシ)、−OEt(エトキシ)、−O(NPR)(n−プロポキシ)、−O(iPr)(イソプロポキシ)、−O(nBu)(n−ブトキシ)、−O(sBu)(s−ブトキシ)、−O(iBu)(イソブトキシ)及び−O(tBu)(t−ブトキシ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
アセタール:−CH(OR
1)(OR
2)、式中:R
1及びR
2は、独立して、アセタール置換基は、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基であり、或いは、「環状」アセタール基の場合には、R
1及びR
2は、それらが結合している2個の酸素原子及びそれらが結合している炭素原子と一緒になって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アセタール基の例としては、−CH(OMe)
2、−CH(OEt)
2及び−CH(OMe)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
ヘミアセタール:−CH(OH)(OR
1)、式中:R
1は、ヘミアセタールの置換基、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。ヘミアセタール基の例としては、−CH(OH)(OMe)及び−CH(OH)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
ケタール:−CR(OR
1)(OR
2)、ここで、R
1及びR
2は、アセタールについて定義したとおりのものであり、Rは水素以外のケタールの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。ケタールとしては次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(Me)(OMe)
2、−C(Me)(OEt)
2、−C(Me)(OMe)(OEt)、−C(Et)(OMe)
2、−C(Et)(OEt)
2及び−C(Et)(OMe)(OEt)。
【0054】
ヘミケタール:−CR(OH)(OR
1)、ここで、R
1はヘミアセタールについて定義したとおりのものであり、Rは水素以外のヘミケタールの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。ヘミアセタール基の例としては、−C(Me)(OH)(OMe)、−C(Et)(OH)(OMe)、−C(Me)(OH)(OEt)及び−C(Et)(OH)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
イミノ(イミン):=NR、ここで、Rはイミノ置換基、例えば、水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくは水素又はC
1-7アルキル基である。エステル基の例としては、=NH、=NMe、=NEt及び=NPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
ホルミル(カルボアルデヒド、カルボキシアルデヒド):−C(=O)H。
【0059】
アシル(ケト):−C(=O)R、式中:Rは、アシルの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基(C
1-7アルキルアシル若しくはC
1-7アルカノイルともいう)、C
3-20ヘテロシクリル基(C
3-20ヘテロシクリルともいう)又はC
5-20アリール基(C
5-20アリールアシルともいう)、好ましくは、C
1-7アルキル基である。アシル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=O)CH
3(アセチル)、−C(=O)CH
2CH
3(プロピオニル)、−C(=O)C(CH
3)
3(t−ブチリル)及び−C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)。
【0060】
カルボキシ(カルボン酸):−C(=O)OH。
【0061】
チオカルボキシ(チオカルボン酸):−C(=S)SH。
【0062】
チオロカルボキシ(チオロカルボン酸):−C(=O)SH。
【0063】
チオノカルボキシ(チオノカルボン酸):−C(=S)OH。
【0065】
ヒドロキサム酸:−C(=NOH)OH。
【0066】
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、ここで、Rはエステルの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。エステル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=O)OCH
3、−C(=O)OCH
2CH
3、−C(=O)OC(CH
3)
3及び−C(=O)OPh。
【0067】
アシルオキシ(逆エステル):−OC(=O)R、ここで、Rはアシルオキシの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。アシルオキシ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OC(=O)CH
3(アセトキシ)、−OC(=O)CH
2CH
3、−OC(=O)C(CH
3)
3、−OC(=O)Ph及び−OC(=O)CH
2Ph。
【0068】
オキシカルボイルオキシ:−OC(=O)OR、ここで、Rはエステルの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。エステル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OC(=O)OCH
3、−OC(=O)OCH
2CH
3、−OC(=O)OC(CH
3)
3及び−OC(=O)OPh。
【0069】
アミノ:−NR
1R
2、ここで、R
1及びR
2は独立してアミノ置換基であり、例えば、水素、C
1-7アルキル基(C
1-7アルキルアミノ若しくはジ−C
1-7アルキルアミノともいう)、C
3-20ヘテロシクリル基、若しくはC
5-20アリール基、好ましくはH若しくはC
1-7アルキル基、又は、「環状」アミノ基の場合には、R
1とR
2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アミノ基は、第一級(−NH
2)、第二級(−NHR
1)又は第三級(−NHR
1R
2)であることができ、また、陽イオン形態では、第四級(−
+NR
1R
2R
3)であることができる。アミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NH
2、−NHCH
3、−NHC(CH
3)
2、−N(CH
3)
2、−N(CH
2CH
3)
2及び−NHPh。環状アミノ基の例としては、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及びチオモルホリノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキシアミド):−C(=O)NR
1R
2、ここで、R
1及びR
2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。アミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=O)NH
2、−C(=O)NHCH
3、−C(=O)N(CH
3)
2、−C(=O)NHCH
2CH
3及び−C(=O)N(CH
2CH
3)
2、並びにR
1及びR
2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル及びピペラジノカルボニルのような複素環構造を形成するアミド基。
【0071】
チオアミド(チオカルバミル):−C(=S)NR
1R
2、ここで、R
1及びR
2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。アミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=S)NH
2、−C(=S)NHCH
3、−C(=S)N(CH
3)
2及び−C(=S)NHCH
2CH
3。
【0072】
アシルアミド(アシルアミノ):−NR
1C(=O)R
2、式中、R
1はアミドの置換基であり、例えば、水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは水素又はC
1-7アルキル基であり、R
2は、アシルの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくは水素又はC
1-7アルキル基である。アシルアミド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHC(=O)CH
3、−NHC(=O)CH
2CH
3及び−NHC(=O)Ph。R
1及びR
2は一緒になって、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル、及びフタルイミジルのように環状構造を形成してもよい:
【化17】
【0073】
アミノカルボニル:−OC(=O)NR
1R
2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。アミノカルボニルオキシ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OC(=O)NH
2、−OC(=O)NHMe、−OC(=O)NMe
2及び−OC(=O)NEt
2。
【0074】
ウレイド:−N(R
1)CONR
2R
3、ここで、R
2及びR
3は、独立に、アミノ基について定義したとおりのアミノの置換基であり、R
1は、ウレイドの置換基であり、例えば、水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは水素又はC
1-7アルキル基である。ウレイド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHCONH
2、−NHCONHMe、−NHCONHEt、−NHCONMe
2、−NHCONEt
2、−NMeCONH
2、−NMeCONHMe、−NMeCONHEt、−NMeCONMe
2及び−NMeCONEt
2。
【0075】
グアニジノ:−NH−C(=NH)NH
2。
【0076】
テトラゾリル:4個の窒素原子及び1個の炭素原子を有する芳香族5員環
【化18】
【0077】
イミノ:=NR、ここで、Rは、イミノの置換基であり、例えば水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくはH又はC
1-7アルキル基である。イミノ基の例としては、=NH、=NMe及び=NEtが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
アミジン(アミジノ):−C(=NR)NR
2、ここで、各Rはアミジンの置換基であり、例えば、水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくはH又はC
1-7アルキル基である。アミジン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(=NH)NH
2、−C(=NH)NMe
2及び−C(=NMe)NMe
2。
【0082】
シアノ(ニトリル、ニトリル):−CN。
【0086】
チオシアノ(チオシアナト):−SCN。
【0087】
イソチオシアノ(イソチオシアナト):−NCS。
【0088】
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):−SH。
【0089】
チオエーテル(スルフィド):−SR、ここで、Rはチオエーテルの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基(C
1-7アルキルチオ基ともいう)、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。C
1-7アルキルチオ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−SCH
3及び−SCH
2CH
3。
【0090】
ジスルフィド:−SS−R、ここで、Rは、ジスルフィドの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基(ここでは、C
1-7アルキルジスルフィドともいう)である。C
1-7アルキルジスルフィド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−SSCH
3及び−SSCH
2CH
3。
【0091】
スルフィン(スルフィニル、スルホキシド):−S(=O)R、ここで、Rは、スルフィンの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルフィン置換基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)CH
3及び−S(=O)CH
2CH
3。
【0092】
スルホン(スルホニル):−S(=O)
2R、ここで、Rは、スルホンの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは、フッ素化又は過フッ素化C
1-7アルキル基を含めてC
1-7アルキル基である。スルホン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)
2CH
3(メタンスルホニル、メシル)、−S(=O)
2CF
3(トリフリル)、−S(=O)
2CH
2CH
3(エシル)、−S(=O)
2C
4F
9(ノナフリル)、−S(=O)
2CH
2CF
3(トレシル)、−S(=O)
2CH
2CH
2NH
2(タウリル)、−S(=O)
2Ph(フェニルスルホニル、ベシル)、4−メチルフェニルスルホニル(トシル)、4−クロロフェニルスルホニル(クロシル)、4−ブロモフェニル(ブロシル)、4−ニトロフェニル(ノシル)、2−ナフタレン(ナプシル)及び5−ジメチルアミノナフタレン−1−イルスルホネート(ダンシル)。
【0093】
スルフィン酸(スルフィノ):−S(=O)OH、−SO
2H。
【0094】
スルホン酸(スルホ):−S(=O)
2OH、−SO
3H。
【0095】
スルフィネート(スルフィン酸エステル):−S(=O)OR;ここで、Rは、スルフィネートの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルフィネート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)OCH
3(メトキシスルフィニル;スルフィン酸メチル)及び−S(=O)OCH
2CH
3(エトキシスルフィニル、スルフィン酸エチル)。
【0096】
スルホネート(スルホン酸エステル):−S(=O)
2OR、ここで、Rは、スルホネート置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルホネート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)
2OCH
3(メトキシスルホニル;スルホン酸メチル)及び−S(=O)
2OCH
2CH
3(エトキシスルホニル;スルホン酸エチル)。
【0097】
スルフィニルオキシ:−OS(=O)R、ここで、Rは、スルフィニルオキシ置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルフィニル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OS(=O)CH
3及び−OS(=O)CH
2CH
3。
【0098】
スルホニルオキシ:−OS(=O)
2R、ここで、Rは、スルホニルオキシの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルホニルオキシ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OS(=O)
2CH
3(メシレート)及び−OS(=O)
2CH
2CH
3(エシレート)。
【0099】
スルフェート:−OS(=O)
2OR;ここで、Rは、スルフェートの置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルフェート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OS(=O)
2OCH
3及び−SO(=O)
2OCH
2CH
3。
【0100】
スルファミル(スルファモイル;スルフィン酸アミド、スルフィンアミド):−S(=O)NR
1R
2、ここで、R
1及びR
2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。スルファミル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)NH
2、−S(=O)NH(CH
3)、−S(=O)N(CH
3)
2、−S(=O)NH(CH
2CH
3)、−S(=O)N(CH
2CH
3)
2及び−S(=O)NHPh。
【0101】
スルホンアミド(スルフィナモイル;スルホン酸アミド;スルホンアミド):−S(=O)
2NR
1R
2、ここで、R
1及びR
2は、独立して、アミノ基について定義したアミノ置換基である。スルホンアミド基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−S(=O)
2NH
2、−S(=O)
2NH(CH
3)、−S(=O)
2N(CH
3)
2、−S(=O)
2NH(CH
2CH
3)、−S(=O)
2N(CH
2CH
3)
2及び−S(=O)
2NHPh。
【0102】
スルファミノ:−NR
1S(=O)
2OH、ここで、R
1は、アミノ基について定義したとおりのアミノ置換基である。スルファミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHS(=O)
2OH及び−N(CH
3)S(=O)
2OH。
【0103】
スルホンアミノ:−NR
1S(=O)
2R、ここで、R
1は、アミノ基について定義したとおりのアミノ置換基であり、Rは、スルホンアミノ置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルホンアミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHS(=O)
2CH
3及び−N(CH
3)S(=O)
2C
6H
5。
【0104】
スルフィンアミノ:−NR
1S(=O)R、ここで、R
1は、アミノ基について定義したとおりのアミノ置換基であり、Rはスルフィンアミノ置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基である。スルフィンアミノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−NHS(=O)CH
3及び−N(CH
3)S(=O)C
6H
5。
【0105】
ホスフィノ(ホスフィン):−PR
2、ここで、Rは、ホスフィノ置換基であり、例えば、−H、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは−H、C
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスフィノ基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−PH
2、−P(CH
3)
2、−P(CH
2CH
3)
2、−P(t−Bu)
2及び−P(Ph)
2。
【0107】
ホスフィニル(ホスフィンオキシド):−P(=O)R
2、ここで、Rはホスフィニル置換基であり、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくはC
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスフィニル基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−P(=O)(CH
3)
2、−P(=O)(CH
2CH
3)
2、−P(=O)(t−Bu)
2及び−P(=O)(Ph)
2。
【0108】
ホスホン酸(ホスホノ):−P(=O)(OH)
2。
【0109】
ホスホネート(ホスホノエステル):−P(=O)(OR)
2Rは、ホスホネートの置換基であり、例えば、−H、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは−H、C
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスホネート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−P(=O)(OCH
3)
2、−P(=O)(OCH
2CH
3)
2、−P(=O)(O−t−Bu)
2及び−P(=O)(OPh)
2。
【0110】
リン酸(ホスホノオキシ):−OP(=O)(OH)
2。
【0111】
ホスフェート(ホスホノオキシエステル):−OP(=O)(OR)
2Rは、ホスフェートの置換基であり、例えば、−H、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは−H、C
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスフェート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(=O)(OCH
3)
2、−OP(=O)(OCH
2CH
3)
2、−OP(=O)(O−t−Bu)
2及び−OP(=O)(OPh)
2。
【0113】
ホスファイト:−OP(OR)
2Rは、ホスファイトの置換基であり、例えば、−H、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは−H、C
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスファイト基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(OCH
3)
2、−OP(OCH
2CH
3)
2、−OP(O−t−Bu)
2及び−OP(OPh)
2。
【0114】
ホスホラミダイト:−OP(OR
1)−NR
22、R
1及びR
2は、ホスホラミダイトの置換基であり、例えば、−H、(随意に置換された)C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは−H、C
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスホラミダイト基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(OCH
2CH
3)−N(CH
3)
2、−OP(OCH
2CH
3)−N(i−Pr)
2及び−OP(OCH
2CH
2CN)−N(i−Pr)
2。
【0115】
ホスホラミデート:−OP(=O)(OR
1)−NR
22、R
1及びR
2は、ホスホラミデートの置換基であり、例えば、−H、(随意に置換された)C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは−H、C
1-7アルキル基又はC
5-20アリール基である。ホスホラミデート基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−OP(=O)(OCH
2CH
3)−N(CH
3)
2、−OP(=O)(OCH
2CH
3)−N(i−Pr)
2及び−OP(=O)(OCH
2CH
2CN)−N(i−Pr)
2。
【0116】
アルキレン
C
3-12アルキレン:ここで使用するときに、用語「C
3-12アルキレン」とは、脂肪族又は脂環式であることができ、かつ、飽和、部分的に不飽和又は完全に不飽和であることができる3〜12個の炭素原子を有する炭化水素化合物(特に断らない限り)の2個の水素原子(両方とも同じ炭素原子からのもの又は2個の異なる炭素原子のいずれかからのもの)を除去することにより得られる二座部分をいう。したがって、「アルキレン」という用語には、以下に説明するサブクラスのアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンなどが含まれる。
【0117】
直鎖飽和C
3-12アルキレン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−(CH
2)
n−(ここで、nは3〜12の整数である)、例えば、−CH
2CH
2CH
2−(プロピレン)、−CH
2CH
2CH
2CH
2−(ブチレン)、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−(ペンチレン)及び−CH
2CH
2CH
2CH
2−CH
2CH
2CH
2−(ヘプチレン)。
【0118】
分岐飽和C
3-12アルキレン基の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−及び−CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2−。
【0119】
直鎖部分不飽和C
3-12アルキレン基(C
3-12アルケニレン及びアルキニレン基)の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−CH=CH−CH
2−、−CH
2−CH=CH
2−、−CH=CH−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−CH
2−、−CH=CH−CH=CH−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH
2−CH=CH−、−CH=CH−CH
2−CH
2−CH=CH−及び−CH
2−C≡C−CH
2−。
【0120】
分岐部分不飽和C
3-12アルキレン基(C
3-12アルケニレン及びアルキニレン基)の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:−C(CH
3)=CH−、−C(CH
3)=CH−CH
2−、−CH=CH−CH(CH
3)−及び−C≡C−CH(CH
3)−。
【0121】
脂環式飽和C
3-12アルキレン基(C
3〜C
12シクロアルキレン)の例としては、シクロペンチレン(例えば、1,3−シクロペンチレン)及びシクロヘキシレン(例えば1,4−シクロヘキシレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
脂環式部分不飽和C
3-12アルキレン基(C
3-12シクロアルキレン)の例としては、シクロペンテニレン(例えば、4−シクロペンテン−1,3−イレン)、シクロヘキセニレン(例えば、2−シクロヘキセン−1,4−イレン;3−シクロヘキセン−1,2−イレン;2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
酸素保護基:用語「酸素保護基」とは、ヒドロキシ基をマスクする部分をいい、これらは当該分野において周知である。多数の適切な基が、グリーン,TW及びウッツ,GM.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の23〜200頁に記載されている。これを参照により本明細書に含める。特に関心のある部類としては、シリルエーテル(例えば、TMS、TBDMS)、置換メチルエーテル(例えばTHP)及びエステル(例えば酢酸エステル)が挙げられる。
【0124】
カルバメート窒素保護基:用語「カルバメート窒素保護基」とは、イミン結合における窒素をマスクする部分をいい、これらは、当該分野において周知である。これらの基は、次の構造を有する:
【化19】
式中、R
’10は、上で定義したRである。多数の好適な基が、グリーン,TW及びウッツ,GM.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の503〜549頁に記載されている。この文献を参照により本明細書に含める。
【0125】
ヘミアミナール窒素保護基:用語「ヘミアミナール窒素保護基」とは、以下の構造を有する基を意味する。
【化20】
式中:R
’10は、上で定義したRである。アミド保護基として多数の好適な基がグリーン,TW及びウッツ,GM.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の63〜647頁に記載されている。この文献を参照により本明細書に含める。
【0126】
結合体
本発明は、リンカー単位を介してリガンド単位に結合されたPBD二量体を含む結合体を提供する。一実施形態では、リンカー単位は、ストレッチャー単位(A)、特異性単位(L
1)及びスペーサー単位(L
2)を含む。リンカー単位は、一方の末端でリガンド単位に結合され、かつ、他方の末端でPBD二量体化合物に結合されている。
【0127】
一態様では、このような結合体は、次式IIIaで示される:
L−(A
1a−L
1s−L
2y−D)
p(IIIa)
式中:
Lはリガンド単位であり;及び
−A
1a−L
1s−L
2y−は、リンカー単位(LU)であり、式中:
−A
1−は、ストレッチャー単位であり、
aは1又は2であり、
−L
1−は、特異性単位であり、
sは1〜12の範囲の整数であり、
−L
2−はスペーサー単位であり、
yは0、1又は2であり;
−DはOBD二量体であり;及び
pは1〜20である。
【0128】
別の態様では、このような結合体を次式IIIbで示す:
【化21】
【0129】
また、次のとおり例示される:
L−(A
1a−L
2y(−L
1s)−D)
p (Ib)
式中:
Lはリガンド単位であり;及び
−A
1a−L
1s(L
2y)はリンカー単位(LU)であり、式中:
−A
1−は、ストレッチャー単位(L2)に結合したストレッチャー単位であり、
aは1又は2であり、
−L
1−は、ストレッチャー単位(L2)に結合した特異性単位であり、
sは0〜12の範囲の整数であり、
−L
2−はスペーサー単位であり、
yは0、1又は2であり;
−DはOBD二量体であり;及び
pは1〜20である。
【0130】
優先
次の優先は、上記本発明の全ての態様に適用される場合もあり又は単一の態様に関連する場合もある。これらの優先事項を任意の組み合わせで互いに組み合わせることができる。
【0131】
一実施形態では、結合体は、次式を有する:
L−(A
1a−L
1s−L
2y−D)
p
式中:L、A
1、a、L
1、s、L
2、D及びpは、上記のとおりである。
【0132】
一実施形態では、リガンド単位(L)は、標的細胞の表面上の標的分子に特異的に結合する細胞結合剤(CBA)である。代表的な式を以下に示す:
【化22】
ここで、アスタリスクは、薬物単位(D)への結合点を示し、CBAは細胞結合剤であり、L
1は特異性単位であり、A
1は、L
1を細胞結合剤に結合させるストレッチャー単位であり、L
2は、共有結合、自壊性基であり又は−OC(=O)−と一緒になって自壊性基を形成するスペーサー単位であり、L
2は随意である。
【0133】
別の実施形態では、リガンド単位(L)は、標的細胞の表面上の標的分子に特異的に結合する細胞結合剤(CBA)である。代表的な式を以下に示す:
CBA−A
1a−L
1s−L
2y−
*
ここで、アスタリスクは、薬物単位(D)への結合点を示し、CBAは細胞結合剤であり、L
1は特異性単位であり、A
1は、L
1を細胞結合剤に結合させるストレッチャー単位であり、L
2は共有結合又は自壊性基であるスペーサー単位であり、aは1又は2であり、sは0、1又は2であり、そして、yは0又は1又は2である。
【0134】
上で例示した実施形態では、L
1は、切断可能特異性単位とすることができ、自壊性基が存在する場合、切断されたときに自壊性基(又は複数の自己犠牲基)L
2を活性化する「トリガー」と呼ぶことができる。特異性単位L
1が切断されると又はL
1とL
2との間の結合(すなわち、共有結合)が切断されると、自壊性基は、薬物単位(D)を放出する。
【0135】
別の実施形態では、リガンド単位(L)は、標的細胞の表面上の標的分子に特異的に結合する細胞結合剤(CBA)である。代表的な式を以下に示す。
【化23】
ここで、アスタリスクは薬剤(D)への結合点を示し、CBAは細胞結合剤であり、L
1は、L
2に結合した特異性単位であり、A
1は、細胞結合剤にL
2を結合させるストレッチャー単位であり、L
2は自壊性基であり、aは1又は2であり、sは1又は2であり、そしてyは1又は2である。
【0136】
本明細書で論じる様々な実施形態では、L
1及びL
2の性質は、広範に変化し得る。これらの基は、結合体が送達される部位での状態によって部分的に必要とされ得るそれらの特性に基づいて選択される。特異性単位L1が切断可能である場合、L
1の構造及び/又は配列は、それが標的部位(例えば、標的細胞)に存在する酵素の作用によって切断されるように選択される。また、pH値(例えば、酸又は塩基に不安定)、温度の変化又は照射により(例えば、光解離性)切断可能なL
1単位を使用することもできる。また、還元又は酸化条件下で切断可能なL1単位も結合体で使用することもできる。
【0137】
いくつかの実施形態では、L
1は、1個のアミノ酸又は複数のアミノ酸の連続配列を含むことができる。アミノ酸配列は、酵素のための標的基質であることができる。
【0138】
一実施形態では、L
1は、酵素の作用によって切断可能である。一実施形態では、酵素は、エステラーゼ又はペプチダーゼである。例えば、L
1は、カテプシンなどのリソソームプロテアーゼにより切断できる。
【0139】
一実施形態では、L
2が存在し、そして−C(=O)O−と一緒になって自壊性基又は複数の自壊性基を形成する。いくつかの実施形態では、−C(=O)O−は自壊性基でもある。
【0140】
一実施形態では、L
1が酵素の作用によって切断可能であり、かつ、L
2が存在する場合、酵素は、L
1とL
2との間の結合を切断し、それによって自壊性基(単数又は複数)が薬物単位を放出する。
【0141】
L
1及びL
2は、存在する場合には、次のものから選択される結合によって結合できる:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH及び
−O−(グリコシド結合)。
【0142】
L
2に結合するL
1のアミノ基は、アミノ酸のN−末端であることができ、又は、アミノ酸側鎖、例えば、リジンアミノ酸側鎖のアミノ基から誘導できる。
【0143】
L
2に結合するL
1のカルボキシル基は、アミノ酸のC末端であることができ、又は、例えば、アミノ酸側鎖、グルタミン酸アミノ酸側鎖のカルボキシル基から誘導できる。
【0144】
L
2に結合するL
1のヒドロキシ基は、アミノ酸側鎖、例えば、セリンアミノ酸側鎖のヒドロキシル基から誘導できる。
【0145】
一実施形態では、−C(=O)O−及びL
2は、一緒になって次の基を形成する:
【化24】
ここで、ここで、アスタリスクは、薬物単位への結合点を示し、波線はL
1への結合点を示し、Yは−N(H)−、−O−、−C(=O)N(H)−又は−C(=O)O−であり、nは0〜3である。フェニレン環は、ここで記載される1、2又は3個の置換基で置換されていてよい。
【0146】
一実施形態では、YはNHである。
一実施形態では、nは0又は1であり、好ましくは、nは0である。
【0147】
YがNHであり、nが0である場合には、自壊性基をp−アミノベンジルカルボニルリンカー(PABC)と呼ぶことができる。
【0148】
自壊性基は、リンカー内のリモート部位が活性化され、以下に示す線に沿って進む(n=0のため)ときに、薬物単位(すなわち、非対称PBD)の放出を可能にする。
【化25】
ここで、アスタリスクは薬物への結合を示し、L
*は、リンカーの残りの部分の活性化形態であり、薬物放出単位は図示しない。これらの基は、薬物から活性化部位を分離するという利点を有する。
【0149】
別の実施形態では、−C(=O)O−及びL
2は、一緒になって次のものから選択される基を形成する:
【化26】
ここで、アスタリスク、波線、Y、及びnは、上で定義したとおりのものである。各フェニレン環は、ここで記載した1個、2個又は3個の置換基で置換されていていよい。一実施形態では、Y置換基を有するフェニレン環は、随意に置換されており、Y置換基を有しないフェニレン環は置換されていない。
【0150】
別の実施形態では、−C(=O)O−及びL
2は、一緒になって次のものから選択される基を形成する:
【化27】
ここで、アスタリスク、波線、Y及びnは上で定義したとおりであり、EはO、S又はNRであり、DはN、CH又はCRであり、FはN、CH又はCRである。
【0151】
一実施形態では、DはNである。
一実施形態では、DはCHである。
一実施形態では、EはO又はSである。
一実施形態では、FはCHである。
【0152】
好ましい実施形態では、L
1とL
2との間の共有結合は、カテプシンの弱い(例えば、切断可能な)結合である。
【0153】
一実施形態では、L
1は、ジペプチドを含む。ジペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、ジペプチドは、天然アミノ酸を含む。リンカーがカテプシン不安定リンカーである場合には、ジペプチドは、カテプシン仲介切断のための作用部位である。この場合、ジペプチドは、カテプシンのための認識部位である。
【0154】
一実施形態では、ジペプチド−NH−X
1−X
2−CO−中の基−X
1−X
2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−,
−Ala−Lys−、
−Val−Cit−、
−Phe−Cit−、
−Leu−Cit−、
−Ile−Cit−、
−Phe−Arg−及び
−Trp−Cit−;
ここで、CITはシトルリンである。このようなジペプチドにおいて、−NH−はX
1のアミノ基であり、COはX
2のカルボニル基である。
【0155】
好ましくは、ジペプチド−NH−X
1−X
2−CO−中の基−X
1−X
2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−及び
−Val−Cit−。
【0156】
最も好ましくは、ジペプチド−NH−X
1−X
2−CO−中における基−X
1−X
2−は、−Phe−Lys−、Val−Cit又は−Val−Ala−である。
【0157】
関心のある他のジペプチドの組み合わせとしては、次のものが挙げられる:
−Gly−Gly−、
−Pro−Pro−及び
−Val−Glu−。
【0158】
Dubowchik外(参照によりここに含める)により記載されたものを含めて、他のジペプチドの組み合わせを使用することができる。
【0159】
一実施形態では、アミノ酸側鎖は、適宜化学的に保護される。この側鎖保護基は、以下に説明するような基であることができる。保護されたアミノ酸配列は、酵素によって切断可能である。例えば、Bocで側鎖保護されたLys残基を含むジペプチド配列はカテプシンにより切断可能である。
【0160】
アミノ酸の側鎖のための保護基は、当技術分野で周知であり、Novabiochem社のカタログに記載されている。追加の保護基戦略が、グリーン及びウッツのOrganic SynthesisにおけるProtective groupsに記載されている。
【0161】
可能な側鎖保護基を、反応性側鎖官能基を有するアミノ酸について以下に示す:
Arg:Z、Mtr、Tos;
Asn:Trt、Xan;
Asp:Bzl、t−Bu;
Cys:Acm、Bzl、Bzl−OMe、Bzl−Me、Trt;
Glu:Bzl、t−Bu;
Gln:Trt、Xan;
His:Boc、Dnp、Tos、Trt;
Lys:Boc、Z−Cl、Fmoc、Z;
Ser:Bzl、TBDMS、TBDPS;
Thr:Bz;
Trp:Boc;
Tyr:Bzl、Z、Z−Br。
【0162】
一実施形態では、−X
2−は、薬物単位に間接的に結合されている。このような実施形態では、スペーサー単位のL
2が存在する。
【0163】
一実施形態では、ジペプチドは、自壊性基(単数又は複数)(スペーサー単位)と組み合わせて使用される。自壊性基は、−X
2−に結合できる。
【0164】
自壊性基が存在する場合には、−X
2−は自壊性基に直接結合している。一実施形態では、−X
2−は、自壊性基の基Yに結合している。好ましくは、基−X
2−CO−はYに結合し、ここで、YはNHである。
【0165】
−X
1−は、A
1に直接結合する。一実施形態では、−X
1−は、A
1に直接結合する。好ましくは、基NH−X
1−(X1のアミノ末端)はA
1に結合する。A
1は、官能基−CO−を含み、それによって−X
1−とアミド結合を形成することができる。
【0166】
一実施形態では、L
1及びL
2は、−OC(=O)−と共に、基−X
1−X
2−PABC−を含む。PABC基は薬物単位に直接結合する。一例では、自壊基及びジペプチドは、一緒になって以下に示す基−Phe−Lys−PABC−を形成する:
【化28】
ここで、アスタリスクは薬物単位への結合点を示し、波線はL
1の残りの部分への結合点又はA
1への結合点を示す。好ましくは、波線はA
1への結合点を示す。
【0167】
或いは、自壊性基及びジペプチドは一緒になって以下に例示する基−Val−Ala−PABC−を形成する。
【化29】
ここで、アスタリスク及び波線は上で定義したとおりである。
【0168】
ここで、別の実施形態では、L
1及びL
2は、−OC(=O)−と共に次のものを表す:
【化30】
ここで、アスタリスクは薬物単位への結合点を示し、波線はA
1への結合点を示し、Yは共有結合又は官能基であり、そして、Eは、切断されやすく、それによって自壊基を活性化しやすい基である。
【0169】
Eは、その基が、例えば光によって又は酵素の作用によって切断に影響を受けやすいように選択される。EはNO
2又はグルクロン酸(例えば、β−グルクロン酸)とすることができる。前者はニトロレダクターゼの作用に影響を受けやすく、後者はβ−ガラクトシダーゼの作用に影響を受けやすい場合がある。
【0171】
基Yは、次のものから選択される官能基であることができる:
−C(=O)−、
−NH−、
−O−、
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH、
−C(=O)NHC(=O)−、
−SO
2及び
−S−。
【0172】
基Yは、好ましくは−NH−、−CH
2−、−O−及び−S−である。
【0173】
いくつかの実施形態では、L
1及びL
2は、−OC(=O)と共に次のものを表す:
【化31】
ここで、アスタリスクは薬物単位への結合点を示し、波線はAへの結合点を示し、Yは共有結合又は官能基であり、Eはグルクロン酸(例えば、β−グルクロン酸)である。Yは、好ましくは−NH−から選択される官能基である。
【0174】
いくつかの実施形態では、L
1及びL
2は一緒になって次のものを表す:
【化32】
ここで、アスタリスクは、L
2の残部又は薬物単位への結合点を示し、波線はA
1への結合点を示し、Yは共有結合又は官能基であり、Eはグルクロン酸(例えば、β−グルクロン酸)である。Yは、好ましくは−NH−、−CH
2−、−O−及び−S−から選択される官能基である。
【0175】
いくつかの追加の実施形態では、Yは、上記の官能基であり、官能基はアミノ酸に結合し、そして、アミノ酸はストレッチャー単位A1に結合する。いくつかの実施形態では、アミノ酸はβ-アラニンである。このような実施形態では、このアミノ酸は、ストレッチャー単位であると同等にみなされる。
【0176】
特異性ユニットL
1及びリガンド単位は、ストレッチャー単位を介して間接的に結合されている。
【0177】
L
1及びA
1は、次のものから選択される結合によって結合できる:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−及び
−NHC(=O)NH−。
【0178】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化33】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0179】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化34】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0180】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化35】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0181】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化36】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0182】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化37】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0183】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化38】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0184】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化39】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0185】
一実施形態では、基A
1は次のとおりである:
【化40】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0186】
一実施形態では、リガンド単位とA
1との間の結合は、リガンド単位のチオール残基とA
1のマレイミド基とを介する。
【0187】
一実施形態では、リガンド単位とA
1との間の結合は、次のとおりである:
【化41】
ここで、アスタリスクは、A
1、L
1、L
2又はDの残りの部分への結合点を示し、そして、波線は、リガンド単位の残りの部分への結合点を示す。この実施形態では、S原子は、典型的にはリガンド単位に由来する。
【0188】
上記各実施形態では、別の官能基を以下に示すマレイミド誘導基の代わりに使用できる:
【化42】
ここで、波線は、前述のようにリガンド単位への結合点を示し、そして、アスタリスクは、A
1基の残りの部分への結合又はL
1、L
2若しくはDへの結合を示す。
【0189】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、次の基で置換される:
【化43】
ここで、波線はリガンド単位への結合点を示し、そして、アスタリスクは、A
1基の残りの部分への結合又はL
1、L
2若しくはDへの結合を示す。
【0190】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、適宜リガンド単位(例えば、細胞結合剤)と共に、次のものから選択される基で置換される:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH−、
−NHC(=O)NH、
−C(=O)NHC(=O)−、
−S−、
−S−S−、
−CH
2C(=O)−、
−C(=O)CH
2−、
=N−NH−及び
−NH−N=。
【0191】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、適宜リガンド単位と共に、次のものから選択される基で置換される:
【化44】
ここで、波線は、リガンド単位との結合点又はA
1基の残りの部分への結合のいずれかを示し、そして、アスタリスクは、リガンド単位への結合点又はA
1基の残りの部分への結合の他のものを示す。
【0192】
L
1を細胞結合剤に結合させるのに好適な他の基は、WO2005/082023に記載されている。
【0193】
一実施形態では、ストレッチャー単位A
1が存在し、特異性単位L
1が存在し、そしてスペーサー単位L
2は存在しない。したがって、L
1と薬物単位とは、結合により直接連結している。同様に、この実施形態では、L
2は結合である。
【0194】
L
1及びDは、以下から選択される結合によって結合できる:
−C(=O)NH−、
−C(=O)O−、
−NHC(=O)−、
−OC(=O)−、
−OC(=O)O−、
−NHC(=O)O−、
−OC(=O)NH−及び
−NHC(=O)NH−。
【0195】
一実施形態では、L
1とDは、好ましくは以下から選択される結合によって結合する:
−C(=O)NH−及び
−NHC(=O)−。
【0196】
一実施形態では、L
1はジペプチドを含み、このジペプチドの一方の末端がDに結合する。上記のように、ジペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、ジペプチドは、天然アミノ酸を含む。リンカーがカテプシン不安定リンカーである場合には、ジペプチドは、カテプシン仲介切断のための作用部位である。この場合、ジペプチドは、カテプシンのための認識部位である。
【0197】
一実施形態では、ジペプチド−NH−X
1−X
2−CO−中の基−X
1−X
2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−、
−Val−Cit−、
−Phe−Cit−、
−Leu−Cit−、
−Ile−Cit−、
−Phe−Arg−及び
−Trp−Cit−;
ここで、CITはシトルリンである。このようなジペプチドにおいて、−NH−はX
1のアミノ基であり、COはX
2のカルボニル基である。
【0198】
好ましくは、ジペプチド−NH−X
1−X
2−CO−中の基−X
1−X
2−は、次のものから選択される:
−Phe−Lys−、
−Val−Ala−、
−Val−Lys−、
−Ala−Lys−及び
−Val−Cit−。
【0199】
最も好ましくは、ジペプチド−NH−X
1−X
2−CO−における基−X
1−X
2−は、−Phe−Lys−又は−Val−Ala−である。
【0200】
関心のある他のジペプチドの組み合わせとしては、次のものが挙げられる:
−Gly−Gly−、
−Pro−Pro−及び
−Val−Glu−。
【0201】
一実施形態では、L
1−Dは次のとおりである:
【化45】
ここで、−NH−X
1−X
2−COはジペプチドであり、−NH−は薬物単位の一部であり、アスタリスクは、薬物単位残りの部分への結合点を示し、そして、波線は、L
1の残りの部分への結合点又はA
1への結合点を示す。好ましくは、波線はA
1への結合点を示す。
【0202】
一実施形態では、ジペプチドはバリン-アラニンであり、そしてL
1−Dは次のとおりである:
【化46】
ここで、アスタリスク、−NH−及び波線は上で定義したとおりである。
【0203】
一実施形態では、ジペプチドはフェニルアラニン-リジンであり、そしてL
1−Dは次のとおりである:
【化47】
ここで、アスタリスク、−NH−及び波線は上で定義したとおりである。
【0204】
一実施形態では、ジペプチドはバリン-シトルリンである。
【0205】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化48】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0206】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化49】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0207】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化50】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0208】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化51】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、そして、mは、0〜10、1〜7、好ましくは3〜7、最も好ましくは3又は7である。
【0209】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化52】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0210】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化53】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0211】
一実施形態では、基A
1−L
1は以下のとおりである:
【化54】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0212】
一実施形態では、基A
1−L
1は次のとおりである:
【化55】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0213】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化56】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、Sはリガンド単位の硫黄基であり、波線はリガンド単位の残りの部分への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0214】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化57】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、Sはリガンド単位の硫黄基であり、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0215】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化58】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、Sはリガンド単位の硫黄基であり、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0216】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化59】
ここで、アスタリスクはDへの結合点を示し、波線は、リガンド単位への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは、0〜10、1〜7、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0217】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化60】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0218】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化61】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0219】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化62】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0220】
一実施形態では、基L−A
1−L
1は次のとおりである:
【化63】
ここで、アスタリスクは、L
2又はDへの結合点を示し、波線はリガンド単位の残部への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0221】
一実施形態では、ストレッチャー単位は次式を有するアセトアミド単位である:
【化64】
ここで、アスタリスクは、ストレッチャー単位、L
1又はDの残りの部分への結合点を示し、そして、波線はリガンド単位への結合点を示す。
【0222】
リンカー・薬剤
他の実施形態では、リンカー・薬剤化合物は、リガンド単位への結合のために提供される。一実施形態では、リンカー・薬剤化合物は、細胞結合剤への結合のために設計される。
【0223】
一実施形態では、薬剤リンカー化合物は次式を有する:
【化65】
ここで、アスタリスクは、薬剤単位(上で定義されるようなD)への結合点を示し、G
1は、リガンド単位への結合を形成するためのストレッチャー基(A
1)であり、L
1は特異性単位であり、L
2(スペーサー単位)は、共有結合であり又は−OC(=O)−と一緒になって自壊性基(単数又は複数)を形成する。
【0224】
別の実施形態では、薬剤リンカー化合物は次式を有する:
G
1-L
1-L
2-
*
ここで、アスタリスクは、薬物単位(D)への結合点を示し、G
1は、リガンド単位への結合を形成するためのストレッチャー単位(A
1)であり、L
1は特異性単位であり、L
2(スペーサー単位)は、共有結合であり又は自壊性基(複数若しくは単数)である。
【0225】
L
1及びL
2は上で定義したとおりである。ここで、A
1への結合に対する参照は、G
1への結合を指すものと解釈できる。
【0226】
一実施形態では、L
1がアミノ酸を含む場合、そのアミノ酸の側鎖は保護されていてもよい。任意の好適な保護基を使用できる。一実施形態では、側鎖保護基は、この化合物中の他の保護基(存在する場合)で除去可能である。他の実施形態では、保護基は、分子中に存在する他の保護基(存在する場合)に対して直角であることができる。
【0227】
アミノ酸側鎖の適当な保護基としては、Novabiochem社のカタログ2006/2007に記載された基が挙げられる。また、カテプシン不安定性リンカーで使用するための保護基もDubowchik外で議論されている。
【0228】
本発明の所定の実施形態では、基L
1は、Lysアミノ酸残基を含む。このアミノ酸の側鎖はBoc又はAlloc保護基で保護できる。Boc保護基が最も好ましい。
【0229】
官能基G
1はリガンド単位(例えば、細胞結合剤)との反応時に結合基を形成する。
【0230】
一実施形態では、官能基G
1は、リガンド単位上の適切な基との反応のためにアミノ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール若しくはマレイミド基であり又はそれを含む。好ましい実施形態では、G
1はマレイミド基を含む。
【0231】
一実施形態では、基G
1はアルキルマレイミド基である。この基は、細胞結合剤中に存在する、例えば抗体中に存在するチオール基、特にシステインチオール基との反応に好適である。
【0232】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化66】
ここで、アスタリスクは、L
1、L
2又はDへの結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0233】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化67】
ここで、アスタリスクは、L
1、L
2又はDへの結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0234】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化68】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは0〜10、1〜2、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0235】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化69】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは、0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0236】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化70】
ここで、アスタリスクは、L
1、L
2又はDへの結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0237】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化71】
ここで、アスタリスクは、L
1、L
2又はDへの結合点を示し、そしてnは0〜6である。一実施形態では、nは5である。
【0238】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化72】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、nは、0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは、0〜10、1〜2、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0239】
一実施形態では、基G
1は次のとおりである:
【化73】
ここで、アスタリスクは、L
1への結合点を示し、nは0又は1であり、そしてmは0〜30である。好ましい実施形態では、nは1であり、mは、0〜10、1〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4又は8である。
【0240】
上記実施形態のそれぞれにおいて、別な官能基を以下に示すマレイミド基の代わりに使用できる:
【化74】
ここで、アスタリスクは、G基の残りの部分への結合を示す。
【0241】
一実施形態では、マレイミド誘導基は、次の基で置換される:
【化75】
ここで、アスタリスクは、G基の残りの部分への結合を示す。
【0242】
一実施形態では、マレイミド基は、次のものから選択される基で置換される:
−C(=O)OH、
−OH、
−NH
2、
−SH、
−C(=O)CH
2X(ここで、XはCl、Br又はIである)、
−CHO、
−NHNH
2、
−C≡CH及び
−N
3(アジド)。
【0243】
一実施形態では、L
1は存在し、そしてG
1は−NH
2、−NHMe、−COOH、−OH又は−SHである。
【0244】
一実施形態では、L
1が存在する場合、G
1は−NH
2又は−NHMeである。いずれかの基がL
1アミノ酸配列のN末端であることができる。
【0245】
一実施形態では、L
1は存在し、G
1は−NH
2であり、L
1は上で定義した−X
1−X
2−アミノ酸配列である。
【0246】
一実施形態では、L
1は存在し、G
1はCOOHである。この基は、L
1アミノ酸配列のC末端であることができる。
【0247】
一実施形態では、L
1は存在し、G
1はOHである。
一実施形態では、L
1は存在し、G
1はSHである。
【0248】
基G
1は、一方の官能基から別方のものに変換可能であることができる。一実施形態では、L
1は存在し、G
1は−NH
2である。この基は、マレイミド基を含む別のグループG
1に変換できる。例えば、基−NH
2を、上で示したマレイミドを含むG
1基の酸又は活性化酸(例えば、N−スクシンイミド形態)と反応させることができる。
【0249】
したがって、基G
1は、リガンド単位との反応により適切な官能基に変換できる。
【0250】
上述したように、一実施形態では、L
1は存在し、G
1は−NH
2、−NHMe、−COOH、−OH又は−SHである。さらなる実施形態では、これらの基は、化学的に保護された形態で与えられる。したがって、化学的に保護された形態は、官能基を備えるリンカーに対する前駆体である。
【0251】
一実施形態では、G
1は、化学的に保護された形態の−NH
2である。この基は、カルバメート保護基で保護できる。カルバメート保護基は、以下のものよりなる群から選択できる:
Alloc、Fmoc、Boc、Troc、Teoc、Cbz及びPNZ。
好ましくは、G
1が−NH
2である場合、このものはAlloc又はFmoc基で保護される。
【0252】
一実施形態では、G
1が−NH
2の場合には、このものはFmoc基で保護される。
【0253】
一実施形態では、保護基は、キャッピング基のカルバメート保護基と同一である。
【0254】
一実施形態では、保護基は、キャッピング基のカルバメート保護基と同一ではない。この実施形態では、保護基は、キャッピング基のカルバメート保護基を除去しない条件下で除去可能であることが好ましい。
【0255】
化学保護基を除去して、リガンド単位への結合を形成するための官能基を与えることができる。任意に、その後、この官能基を上記のような他の官能基に変換することができる。
【0256】
一実施形態では、活性基はアミンである。このアミンは、好ましくはペプチドのN末端アミンであり、かつ、本発明の好ましいジペプチドのN末端アミンであることができる。
【0257】
活性基を反応させて、リガンド単位への結合を形成させることを目的とする官能基を生じさせることができる。
【0258】
他の実施形態では、リンカー単位は、活性基を有するリンカー単位に対する前駆体である。この実施形態では、リンカー単位は、保護基を介して保護される活性基を含む。保護基を除去して、活性基を有するリンカー単位を与えることができる。
【0259】
活性基がアミンである場合、保護基は、グリーン及びウッツが記載するようなアミン保護基とすることができる。
【0260】
保護基は、好ましくは、リンカー単位中の他の保護基(存在する場合)に対して直交する。
【0261】
一実施形態では、保護基は、キャッピング基に対して直交する。したがって、活性基保護基は、キャッピング基を保持しながら除去可能である。他の実施形態では、保護基及びキャッピング基は、キャッピング基を除去するために使用したのと同じ条件下で除去可能である。
【0262】
一実施形態では、リンカー単位は次のとおりである:
【化76】
ここで、アスタリスクは薬物単位への結合点を示し、そして、波線は、場合に応じて、リンカー単位の残りの部分への結合点又はG
1への結合点を示す。好ましくは、波線はG
1への結合点を示す。
【0263】
一実施形態では、リンカー単位は次のとおりである:
【化77】
ここで、アスタリスク及び波線は上で定義したとおりである。
【0264】
L
1及び細胞結合剤との間に結合を形成させる際に使用するのに適した他の官能基は、WO2005/082023に記載されている。
【0265】
リガンド単位
リガンド単位は、いかなる種類のものであることができ、標的分子に特異的に結合するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び非ペプチド剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、リガンド単位は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドであることができる。いくつかの実施形態では、リガンド単位は、環状ポリペプチドであることができる。これらのリガンド単位は、抗体、又は少なくとも一つの標的分子結合部位、リンホカイン、ホルモン、成長因子又は標的に特異的に結合することができる任意の他の細胞結合分子若しくは物質を含有する抗体のフラグメントを含むことができる。
【0266】
用語「特異的に結合する」及び「特異的結合」とは、所定の分子(例えば、抗原)に対する抗体又は他のタンパク質、ポリペプチド又はペプチドの結合をいう。典型的には、抗体又は他の分子は、少なくとも約1×10
7M
-1の親和性で結合し、かつ、所定の分子又は密接に関連する分子以外の非特異的分子(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で所定の分子に結合する。
【0267】
リガンド単位の例としては、WO2007/085930(本明細書に含める)で使用するために記載された薬剤が挙げられる。
【0268】
いくつかの実施形態では、リガンド単位は、細胞上の細胞外標的に結合する細胞結合剤である。このような細胞結合剤は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド又は非ペプチド剤であることができる。いくつかの実施形態では、細胞結合剤は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドであることができる。いくつかの実施形態では、細胞結合剤は、環状ポリペプチドであることができる。また、細胞結合剤は、抗体又は抗体の抗原結合断片であることもできる。したがって、一実施形態では、本発明は、抗体−薬剤結合体(ADC)を提供する。
【0269】
一実施形態では、抗体はモノクローナル抗体;キメラ抗体;ヒト化抗体;完全ヒト抗体;又は一本鎖抗体である。一実施形態では、抗体は、生物学的活性を有するこれらの抗体の一つの断片である。そのような断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片が挙げられる。
【0270】
抗体は二重特異性抗体、ドメイン抗体(DAB)又は一本鎖抗体とすることができる。
【0271】
一実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。
【0272】
本発明で使用するための抗体としては、WO2005/082023(本明細書に含める)に記載された抗体が挙げられる。特に好ましいのは、腫瘍関連抗原に対する抗体である。当技術分野で知られているこれらの抗原の例としては、WO2005/082023示された腫瘍関連抗原が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、41〜55頁を参照されたい。
【0273】
いくつかの実施形態では、結合体は、腫瘍細胞をそれらの細胞表面抗原を介して標的とするように設計される。抗原は、過剰発現又は異常な時間若しくは細胞型で発現される細胞表面抗原とすることができる。好ましくは、標的抗原は、増殖性細胞(好ましくは、腫瘍細胞)上でのみ発現する;しかしながら、これは実際にはほとんど見られない。その結果、標的抗原は、通常、増殖性組織と健康な組織との間の示差的発現に基づいて選択される。
【0274】
抗体は、次のものを含む特異的腫瘍関連抗原を標的とするように作製された:
Cripto、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、糖タンパク質NMB、CanAg、Her2(ErbB2/Neu)、CD56(NCAM)、CD70、CD79、CD138、PSCA、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、BCMA、E−セレクチン、EphB2、メラノトランスフェリン、MUC16及びTMEFF2。
【0275】
リガンド単位は、リンカー単位に結合する。一実施形態では、リガンド単位は、存在する場合には、リンカー単位のAに結合する。
【0276】
一実施形態では、リガンド単位とリンカー単位の間の結合は、チオエーテル結合によるものである。
一実施形態では、リガンド単位とリンカー単位の間の結合は、ジスルフィド結合によるものである。
一実施形態では、リガンド単位とリンカー単位の間の結合は、アミド結合によるものである。
一実施形態では、リガンド単位とリンカー単位の間の結合は、エステル結合によるものである。
【0277】
一実施形態では、リガンド単位とリンカーとの間の結合は、リガンド単位のシステイン残基のチオール基とリンカー単位のマレイミド基との間で形成される。
【0278】
リガンド単位のシステイン残基は、結合を形成するためにリンカー単位の官能基との反応に利用可能とすることができる。他の実施形態では、例えばリガンド単位が抗体である場合には、抗体のチオール基は、鎖間ジスルフィド結合に関与することができる。これらの鎖間結合は、例えば、リンカー単位の官能基との反応前にDTTで抗体を処理することによって遊離チオール基に変換できる。
【0279】
いくつかの実施形態では、システイン残基は、抗体の重鎖又は軽鎖に導入される。抗体の重鎖又は軽鎖における置換によるシステイン挿入のための位置としては、米国特許出願公開第2007−0092940号及び国際特許公開WO2008070593号(これらを本明細書に含める)に記載されているものが挙げられる。
【0280】
治療方法
本発明の化合物は、治療方法に使用できる。また、提供されるのは、治療を必要とする被験体に、治療に有効な量の式Iの化合物を投与することを含む治療方法である。「治療に有効な量」という用語とは、患者に利益を示すのに十分な量のことである。このような利益は少なくとも一つの症状の少なくとも改善であることができる。実際の投与量及び投与の割合と時間経過は、治療されるものの性質及び重症度に依存する。治療の処方、例えば、投与量の決定は、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内である。
【0281】
化合物は、治療される状態に応じて同時に又は連続的に、単独で又は他の治療と組み合わせて投与できる。治療及び療法の例としては、化学療法(例えば薬物を含めた活性剤の投与、手術及び放射線治療)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0282】
本発明に係る医薬組成物及び本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性成分、すなわち式Iの化合物に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤又は当業者に周知の他の材料を含むことができる。このような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨害してはならない。担体その他の材料の正確な性質は、経口又は注射、例えば、皮膚、皮下又は静脈内であることができる投与経路に依存する。
【0283】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末又は液体形態とすることができる。錠剤は、固体担体又はアジュバントを含むことができる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油又は植物油、鉱油又は合成油などの液体担体を含む。生理食塩溶液、デキストロース又は他の糖類溶液又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含むことができる。カプセルは、ゼラチンなどの固体担体を含むことができる。
【0284】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射又は罹患部位での注射について、活性成分は、発熱物質を含まず、かつ、適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容できる水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクル用いて適切な溶液をうまく調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/又は他の添加剤を含むことができる。
【0285】
化合物及び結合体を使用して、増殖性疾患及び自己免疫疾患を治療することができる。用語「増殖性疾患」とは、試験管内か生体内かを問わず、腫瘍性成長又は過形成などの望ましくない過剰又は異常細胞の望ましくない又は制御されない細胞増殖に関係する。
【0286】
増殖性症状の例としては、新生物及び腫瘍(例えば、組織球、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫)、癌(例えば肺癌、細胞肺癌、肺小細胞癌、胃腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性疾患(例えば結合組織)及びアテローム性動脈硬化症(これらに限定されない)を含めて、良性前がん状態及び悪性細胞増殖が挙げられるが、これらに限定されない。関心のある他の癌としては、血液学的なもの;白血病及びリンパ腫、例えば非ホジキンリンパ腫などの悪性腫瘍及びDLBCL、辺縁帯、外套帯、濾胞、ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病などのサブタイプ並びにB又はT細胞由来の他の癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0287】
自己免疫疾患の例としては次のものが挙げられる:関節リウマチ、自己免疫性脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎)、乾癬性関節炎、内分泌性眼症、ブドウ膜網膜炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、グレーブス病、糸球体腎炎、自己免疫性肝疾患、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、アナフィラキシー、アレルギー反応、シェーグレン症候群、1型糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、線維筋痛症、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性内分泌障害、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、悪性貧血、胃萎縮症、慢性肝炎、ルポイド肝炎、アテローム性動脈硬化症、亜急性皮膚エリテマトーデス、副甲状腺機能低下症、ドレスラー症候群、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円形脱毛症、疱瘡、強皮症、進行性全身性硬化症、CREST症候群(石灰沈着、レイノー現象、食道運動障害、強指症、及び毛細血管拡張)、男性及び女性の自己免疫性不妊、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、全身性壊死性血管炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、再発性流産、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形性紅斑、心切開術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、トリ愛好者肺、中毒性表皮壊死症、アルポート症候群、肺胞炎、アレルギー性肺胞炎、線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、高安動脈炎、リウマチ性多発筋痛、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギルス症、Sampter症候群、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、カプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、心内膜心筋線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、胎児赤芽球症、シャルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異虹彩色性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgA腎症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋症、イートン・ランバート症候群、再発性多発性軟骨炎、クリオグロブリン血症、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、エバンス症候群、及び自己免疫性性腺機能不全。
【0288】
いくつかの実施形態では、自己免疫性疾患は、Bリンパ球の疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、関節リウマチ及び1型糖尿病)、Th1−リンパ球の疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス疾患、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、結核又は移植片対宿主病)、又はTh2−リンパ球の疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症若しくは慢性移植片対宿主病)である。一般的には、樹状細胞が関与する疾患は、Th1リンパ球又はTh2リンパ球の障害を伴う。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、T細胞仲介免疫疾患である。
【0289】
いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.01〜約10mg/kgの範囲にある。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.01〜約5mg/kgの範囲内にある。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.05〜約5mg/kgの範囲内にある。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.1〜約5mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.1〜約4mg/kgの範囲内にある。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.05〜約3mg/kgの範囲内にある。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.1〜約3mg/kgの範囲内にある。いくつかの実施形態では、結合体の投与量は、用量当たり約0.1〜約2mg/kgの範囲内にある。
【0290】
他の形態の包含
特に断らない限り、上に含まれるのは、周知のイオン、塩、溶媒和物及びこれらの置換基の保護された形態である。例えば、カルボン酸(−COOH)への言及には、陰イオン性(カルボキシレート)型(−COO
-)、その塩又は溶媒和物のみならず、通常の保護された形態が含まれる。同様に、アミノ基に対する言及には、アミノ基のプロトン化形態(−N
+HR
1R
2)、塩又は溶媒和物、例えば、塩酸塩のみならず、アミノ基の通常の保護形態が含まれる。同様に、ヒドロキシル基に対する言及には、陰イオン形態(−O
-)、塩又は溶媒和物のみならず、従来の保護形態が含まれる。
【0291】
塩
活性化合物の対応する塩、例えば、薬学的に許容される塩を調製し、精製し及び/又は取り扱うことが便利又は望ましい場合がある。薬学的に許容される塩の例は、Berge外,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)で議論されている。
【0292】
化合物が陰イオン性である又は陰イオン性であることができる官能基を有する場合(例えば、−COOHは、−COO
-であることができる)、適切な陽イオンで塩が形成され得る。適切な無機陽イオンの例としては、Na
+及びK
+などのアルカリ金属イオン、Ca
2+及びMg
2+などのアルカリ土類陽イオン、及びAl
+3などの他の陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機カチオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわちNH
4+)及び置換アンモニウムイオン(例えばNH
3R
+、NH
2R
2+、NHR
3+、NR
4+)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、次のものから誘導されるものである:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸。一般的な第四級アンモニウムイオンの例はN(CH
3)
4+である。
【0293】
化合物が陽イオン性である又は陽イオン性であることのできる官能基を有する場合(例えば−NH
2は−NH
3+であることができる)、適切な陰イオンで塩を形成させることができる。好適な無機陰イオンの例としては、以下の無機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸。
【0294】
好適な有機アニオンの例としては、限定以下の有機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸。好適な高分子有機陰イオンの例としては、以下のポリマー酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0295】
溶媒和物
活性化合物の対応する溶媒和物を調製、精製、及び/又は処理することが好都合又は望ましい場合がある。用語「溶媒和物」は、ここでは、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒との複合体をいうために従来の意味で使用される。溶媒が水である場合、溶媒和物は、簡便に水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと呼ぶことができる。
【0296】
カルビノールアミン
本発明は、溶媒が水又はアルコール(R
AOH、ここでR
Aは、C
1-4アルキルである)である場合に、以下に示されるPBD部分のイミン結合にわたって溶媒が付加する化合物を含む:
【化78】
これらの形態は、PBDのカルビノールアミン及びカルビノールアミンエーテル形態と呼ぶことができる。これらの平衡のバランスは、化合物が見出される条件のみならず、その部分自体の性質にも依存する。
【0297】
これらの特定の化合物は、例えば凍結乾燥によって固体状態で単離できる。
【0298】
式Iの化合物の単離
理論に束縛されることを望まないが、式Iの化合物(ここで、R
10及びR
11は、それらが結合している窒素原子と炭素原子との間に窒素−炭素二重結合を形成する。)は、単離中に可逆的に二量体化する傾向があることが分かった。この可逆的二量体化は、別の化合物のイミン結合による1個の分子上のQの可逆的付加のために生じると考えられる。例えば1時間にわたるメタノールでの処理が、式Iの化合物の単量体形態の分離に役立つ場合がある。
【0299】
異性体
所定の化合物は、1種以上の特定の幾何、光学、エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマー、アトロプ、立体異性、互変異性、立体配座又はアノマー形態で存在でき、これらのものとしては限定されないが、シス及びトランス型;E−及びZ型;c、t及びr型;エンド及びエキソ型;R、S及びメソ型;D及びL型;d及びl型;(+)及び(−)型;ケト、エノール及びエノラート型;syn型及びアンチ型;向斜及び背斜型;α及びβ型;軸及び赤道型;舟、椅子、ねじれ、エンベロープ及びいす型;並びにこれらの組み合わせが挙げられ、以下、まとめて「異性体」(又は「異性体型」)と呼ぶ。
【0300】
互変異性型について以下で説明される場合を除き、ここで使用するときに用語「異性体」から具体的に除外されるのは、構造異性体(すなわち、単に空間的な原子の位置ではなく原子間の結合が異なる異性体)であることに注意されたい。例えば、メトキシ基−OCH
3に対する言及は、その構造異性体、ヒドロキシメチル基CH
2OHに対する言及であると解釈すべきではない。同様に、オルト−クロロフェニルに対する言及は、その構造異性体であるメタ−クロロフェニルに対する言及であると解釈すべきではない。しかし、構造の種類に対する言及は、その種類内に入る構造的異性体を含むことができる(例えば、C
1-7アルキルは、n−プロピル及びイソプロピルを含み;ブチルは、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含み;メトキシフェニルは、オルト−、メタ−及びパラ−メトキシフェニルを含む)。
【0301】
上記の除外は、例えば、次の互変異性体対と同様に、互変異性形態、例えばケト、エノール及びエノラート型には関連しない:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ及びニトロ/アシ−ニトロ。
【化79】
用語「異性体」に具体的に含まれるのは、一つ以上の同位体置換を有する化合物である。例えば、Hは
1H、
2H(D)及び
3H(T)を含めた任意の同位体形態であることができ;Cは
12C、
13C及び
14Cを含めた任意の同位体形態であることができ;Oは
16O及び
18Oを含めた任意の同位体形態などであることができる。
【0302】
特に明記しない限り、特定の化合物への言及には、(全体的又は部分的に)そのラセミ体及び他の混合物を含めて、そのようなすべての異性体が含まれる。このような異性体形態の調製(例えば不斉合成)及び分離(例えば分別結晶及びクロマトグラフィー手段)のための方法は、当技術分野で知られており、又はここで教示した方法若しくは既知の方法を既知の態様で適合させることによって容易に得られる。
【0303】
一般的な合成経路
PBD化合物の合成は、次の文献で広く議論されておる。この議論を引用により本明細書に含める:
(a)WO00/12508(第14〜30頁);
(b)WO2005/023814(第3〜10頁);
(c)WO2004/043963(第28〜29頁);及び
(d)WO2005/085251(第30〜39頁)。
【0304】
合成経路
本発明の化合物(R
10及びR
11は、それらが結合している窒素原子と炭素原子との間に窒素−炭素二重結合を形成する)は、次式2の化合物から合成できる:
【化80】
ここで、R
2、R
6、R
7、R
9、R
6’、R
7’、R
9’、R
12、X、X’及びR”は、式Iの化合物について定義した通りであり、Prot
Nは、合成のための窒素保護基であり、そしてProt
Oは、合成のための保護酸素基又は標準的な方法によってイミン結合を脱保護することによるオキソ基である。
【0305】
生成された化合物は、使用する溶媒に応じて、そのカルビノールアミン又はカルビノールアミンエーテルの形態にあることができる。例えば、Prot
NがTrocであり、かつ、Prot
Oが合成のための酸素保護基である場合には、脱保護は、式(I)の化合物を生じさせるためにCd/Pb対を使用して実施される。Prot
NがSEM又は類似の基であり、かつ、Prot
Oがオキソ基である場合には、オキソ基は還元よって除去でき、これにより、保護されたカルビノールアミン中間体が生じ、続いてこのものを処理してSEM保護基を除去し、その後水を除去することができる。式2の化合物の還元は、例えば、superhydride又はリチウムテトラボロヒドリドによって達成できる一方、SEM保護基を除去するのに好適な手段は、シリカゲルによる処理である。
【0306】
C2’とC3’との間に二重結合が存在する式2の化合物は、次式3aの化合物:
【化81】
(ここで、R
2、R
6、R
7、R
9、R
6’、R
7’、R
9’、X、X’及びR”は、式2の化合物について定義した通りである。)から有機ホウ素誘導体などのR
12を含む有機金属誘導体をカップリングさせることによって合成できる。この有機ホウ素誘導体は、ボロネート又はボロン酸とすることができる。
【0307】
式2の化合物は、式3bの化合物から:
【化82】
(ここで、R
12、R
6、R
7、R
9、R
6’、R
7’、R
9’、X、X’及びR”は、式2の化合物について定義した通りである。)次式IIaのアルキンをカップリングさせることによって:
【化83】
ソノガシラカップリングにより合成できる。
【0308】
C2’とC3’との間に二重結合が存在する式3a及び3bの化合物は、次式4の化合物から:
【化84】
(ここで、R
2、R
6、R
7、R
9、R
6’、R
7’、R
9’、X、X’及びR”は、式2の化合物について定義した通りである。)R
12を含む有機ホウ素誘導体などの有機金属誘導体の約単一の当量(0.9又は1〜1.1又は1.2)をカップリングさせて式3bの化合物を作製するか、又は式IIaのアルキンのおよそ単一当量(例えば0.9又は1〜1.1又は1.2)をカップリングさせることにより:
【化85】
ソノガシラカップリングにより式3aの化合物を作製することで合成できる。
【0309】
上記有機ホウ素誘導体などの有機金属誘導体のカップリングは、通常、パラジウム触媒、例えば、Pd(PPh
3)
4、Pd(OCOCH
3)
2、PdCl
2、Pd
2(dba)
3の存在下で実施される。カップリングは、標準的な条件下で実施することや、マイクロ波条件下で実施することもできる。
【0310】
ソノガシラカップリングは、次の2つの触媒を使用して実施される:ゼロ価パラジウム錯体及び銅(I)のハロゲン化物塩。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのホスフィン−パラジウム錯体をこの反応のために使用するが、パラジウム(II)錯体を使用することもできる。というのは、これらは、反応媒体中において末端アルキンの消費によりパラジウム(0)種に還元されるからである。また、トリフェニルホスフィンの酸化トリフェニルホスフィンへの酸化も、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドなどの触媒を使用する場合にはその場でのPd(0)の形成をもたらすことができる。対照的に、ハロゲン化銅(I)は、末端アルキンと反応し、そしてカップリング反応のための活性種として作用する銅(I)アセチリドを生成する。
【0311】
反応媒体は、このカップリング反応の副生成物として生成されるハロゲン化水素を中和するために塩基性でなければならず、そのため、トリエチルアミン、ジエチルアミン又はピペリジンなどのアルキルアミン化合物が溶媒として使用される場合があるが、DMF又はエーテルも溶媒として使用することができる。例えば、炭酸カリウム又は炭酸セシウムのような他の塩基が使用される場合もある。
【0312】
2回のカップリング工程は、通常、連続的に実施される。これらの工程は、これら2回の工程間に精製しながら又は精製することなく実施できる。精製が実施されない場合には、2回の工程は、同じ反応容器中で実施できる。精製は、通常、第二のカップリング工程の後に必要となる。望ましくない副生成物からの化合物の精製は、カラムクロマトグラフィー又はイオン交換分離によって実施できる。
【0313】
Prot
Oがオキソ基であり、かつ、Prot
NがSEMである式4の化合物の合成は、参照によりに含められるWO00/12508号に詳細に記載されている。特に、上記の化合物を中間体Pと示している第24頁のスキーム7を参照されたい。この合成方法は、WO2004/043963に記載されている。
【0314】
Prot
Oが合成のための保護酸素基である式4の化合物の合成は、WO2005/085251に記載されており、その合成を引用によりここに含めるものとする。
【0315】
C2’とC3’との間に単結合が存在する式3bの化合物は、次式5aの化合物から:
【化86】
C2ケト基のトリフレート化による式4の化合物の合成のための上記の参考文献に記載された方法の適応によって合成できる。
【0316】
式5aの化合物は、次式6の化合物から:
【化87】
適切なアルケン形成試薬、例えばウィッティヒ試薬(イリドなど)、テッベ試薬及びホーナー・エモンズ・ ワズワース試薬の約単一当量(0.9又は1〜1.1又は1.2)との反応により合成できる。参照により本明細書に組み込まれるWO2010/043877号の第16頁の議論を参照されたい。
【0317】
また、C2’とC3’との間に単結合が存在する式3bの化合物は、式5bの化合物から:
【化88】
上記のような適切なアルケン形成試薬との反応により合成できる。
【0318】
式5bの化合物は、式6の化合物から、トリフレート化剤の単一の当量(例えば0.9又は1〜1.1又は1.2)を用いて選択的トリフレート化によって合成できる。
【0319】
また、式5bの化合物を使用して式3cの化合物:
【化89】
を式IIaのアルキンのソノガシラカップリングによって合成することもできる。続いて、これらの化合物を使用して、上記のような適切なアルケン形成試薬との反応により、C2’とC3’の間に単結合が存在する式2の化合物を合成することができる。
【0320】
R
10及びR
10’がHであり、かつ、R
11とR
11’がSO
zMである式Iの化合物は、式Iの化合物(ここで、R
10及びR
11は、それらが結合している窒素原子と炭素原子との間に窒素−炭素二重結合を形成する。)から、適切な重亜硫酸塩又はスルフィン酸塩の添加、その後の適切な精製工程によって合成できる。さらなる方法は、本明細書中に参照として援用されるGB2053894に記載されている。
【0321】
合成のための窒素保護基
合成のための窒素保護基は当該技術分野でよく知られている。本発明において、特に関心のある保護基は、カルバメート窒素保護基及びヘミアミナール窒素保護基である。
【0322】
カルバメート窒素保護基は、次の構造を有する:
【化90】
式中、R
’10は、上で定義したRである。多数の好適な基が、グリーン,TW及びウッツ,GM.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の503〜549頁に記載されている。この文献を参照により本明細書に含める。
【0323】
特に好ましい保護基としては、Troc、Teoc、Fmoc、BOC、Doc、Hoc、TcBOC、1−Adoc及び2−Adocが挙げられる。
【0324】
可能な他の基は、ニトロベンジルオキシカルボニル(例えば、4−ニトロベンジルオキシカルボニル及び2−(フェニルスルホニル)エトキシカルボニルである。
【0325】
パラジウム触媒を用いて除去することができる保護基、例えばAllocは、好ましくない。
【0326】
ヘミアミナール窒素保護基は、次の構造を有する:
【化91】
式中:R
’10は、上で定義したRである。アミド保護基として多数の好適な基がグリーン,TW及びウッツ,GM.,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の63〜647頁に記載されている。この文献を参照により本明細書に含める。ここで開示された基を本発明の化合物に適用することができる。このような基としては、SEM、MOM、MTM、MEM、BOM、ニトロ又はメトキシ置換BOM、−C
l3CCH
2OCH
2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0327】
合成のための保護酸素基
合成のための保護酸素基は当該技術分野でよく知られている。多数の好適な酸素保護基がグリーン,TW及びウッツ,GM,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社,1999年の第23〜200頁に記載されている。
【0328】
特に関心のある部類としては、シリルエーテル、メチルエーテル、アルキルエーテル、ベンジルエーテル、エステル、アセテート、ベンゾエート、カーボネート及びスルホネートが挙げられる。
【0329】
好ましい酸素保護基としては、アセテート、TBS及びTHPが挙げられる。
【0330】
薬剤結合体の合成
結合体は先に記載したように調製できる。マレイミジル基(A)、ペプチド基(L
1)と自壊性基(L
2)を有するリンカーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6214345号に記載のように調製できる。マレイミジル基(A)及びペプチド基(L
1)を有するリンカーは、参照により本明細書に組み込まれるWO2009/0117531号に記載されるように調製できる。他のリンカーは、ここで引用した参考文献に従って又は当業者に知られているように調製できる。
【0331】
リンカー・薬剤化合物は、当技術分野に公知の方法に従って調製できる。リンカー単位の活性基への(PDB二量体薬物単位の)アミン系X置換基の結合は、米国特許第6214345号及び同7498298号並びにWO2009−0117531号に一般的に記載された方法に従って、又はさもなければに当業者に知られている方法に従って実施できる。
【0332】
抗体は、Doronina外,Nature Biotechnology,2003,21,778−784に記載されるようにリンカー・薬剤化合物に結合できる。簡単にいうと、pH7.4の50mMのホウ酸ナトリウムを含有するPBS中の抗体(4〜5mg/mL)を、37℃でトリス(カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)により還元させる。鎖間ジスルフィドを減少させる反応の進行を、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)との反応によって監視し、そしてチオール/mAbの所望のレベルが達成されるまで進行させる。次いで、還元された抗体を0℃に冷却し、そして抗体のチオール当たり1.5当量のマレイミド薬剤・リンカーでアルキル化する。1時間後、反応を5当量のN−アセチルシステインの添加によりクエンチする。クエンチされた薬剤リンカーを、PD−10カラムによるゲル濾過によって除去する。続いて、ADCを0.22μmのシリンジフィルターを通して滅菌濾過する。タンパク質濃度を、それぞれ280nm及び329nmでのスペクトル分析により、280nmでの薬物吸光度の寄与を補正して決定することができる。サイズ排除クロマトグラフィーを使用して抗体の凝集の程度を決定することができ、また、RP−HPLCを使用して、NAC−クエンチ薬剤・リンカーの残留レベルを決定するができる。
【0333】
追加の優先
次の優先は、上記本発明の全ての態様に適用される場合もあり又は単一の態様に関連する場合もある。これらの優先事項を任意の組み合わせで互いに組み合わせることができる。
【0334】
いくつかの実施形態では、R
6’、R
7’、R
9’、R
10’、R
11’及びY’は、好ましくは、それぞれR
6、R
7、R
9、R
10、R
11及びYと同一である。
【0335】
二量体結合
Y及びY’は、好ましくはOである。
【0336】
R”は好ましくは置換基を有しないC
3-7アルキレン基である。より好ましくは、R”は、C
3、C
5、又はC
7アルキレンである。最も好ましくは、R”はC
3又はC
5アルキレンである。
【0337】
R6〜R9
R
9は、好ましくはHである。
【0338】
R
6は、好ましくは、OH、H、OR、SH、NH
2、ニトロ及びハロから選択され、より好ましくは、H又はハロであり、最も好ましくはHである。
【0339】
R
7は、好ましくはOH、H、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’及びハロから選択され、より好ましくは独立して、H、OH及びORから選択され、ここで、Rは、好ましくは、置換されていてよいC
1-7アルキル、C
3-10ヘテロシクリル及びC
5-10アリール基から選択される。Rは、より好ましくは、置換されていても置換されていなくてもよいC
1-4アルキル基であることができる。関心のある置換基は、C
5-6アリール基(例えばフェニル)である。7位での特に好ましい置換基はOMe及びOCH
2Phである。特に関心のある他の置換基は、ジメチルアミノ(すなわち、−NMe
2);−(OC
2H
4)
qOMe(ここで、qは0〜2である。);モルホリノ、ピペリジニル及びN−メチル−ピペラジニルを含めた窒素含有C
6ヘテロシクリルである。
【0340】
これらの優先は、それぞれ、R
9’、R
6’及びR
7’に適用される。
【0341】
R2
R
2は、式IIのものである:
【化92】
ここで、Qは、OH、SH及びNRNから選択され、RNは、H、メチル及びエチルから選択される。
【0342】
いくつかの実施形態では、QはNRNであることが好ましい。他の実施形態では、QはOHである。さらなる実施形態では、RはSHである。
【0343】
R
Nは、好ましくは、H及びメチルから選択される。ある種の実施形態では、R
NはHである。他の実施形態では、R
Nはメチルである。
【0344】
R12
C2’とC3’との間に二重結合が存在する場合には、R
12は次のものから選択される:
(a)ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル及びビスオキシ−C
1-3アルキレンよりなる群から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC
5-10アリール基;
(b)C
1-5飽和脂肪族アルキル;
(c)C
3-6飽和シクロアルキル;
(d)
【化93】
(ここで、R
21、R
22及びR
23の各々は、独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R
12基における炭素原子の総数は5以下である);
(e)
【化94】
(ここで、R
25a及びR
25bの一方はHであり、他方はフェニル(該フェニルは、ハロ、メチル、メトキシで置換されていてよい)、ピリジル及びチオフェニルから選択される);及び
(f)
【化95】
(ここで、R
24は、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、シクロプロピル、フェニル(このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により置換されていてよい)、ピリジル及びチオフェニルから選択される)。
【0345】
R
12がC
5-10のアリール基である場合には、このものはC
5-7のアリール基であることができる。C
5-7アリール基は、フェニル基又はC
5-7ヘテロアリール基、例えば、フラニル、チオフェニル及びピリジルであることができる。いくつかの実施形態では、R
12は、好ましくはフェニルである。他の実施形態では、R
12は、好ましくチオフェニル、例えば、チオフェン−2−イル及びチオフェン−3−イルである。
【0346】
R
12がC
5-10のアリール基の場合には、このものは、C
8-10アリール、例えば、キノリニル又はイソキノリニル基であることができる。キノリニル又はイソキノリニル基は、任意の利用可能な環位置を介してPBDコアに結合できる。例えば、キノリニルは、キノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−7−イル及びキノリン−8−イルであることができる。これらのうち、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イルが好ましい場合がある。イソキノリニルは、イソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、イソキノリン−6−イル、イソキノリン−7−イル及びイソキノリン−8−イルであることができる。これらのなかでは、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イルが好ましい場合がある。
【0347】
R
12がC
5-10のアリール基である場合には、このものは任意の数の置換基を有することができる。このものは、好ましくは1〜3個の置換基を保持し、1〜2個がより好ましく、単独で置換された基が最も好ましい。置換基は任意の位置であることができる。
【0348】
R
12がC
5-7アリール基である場合には、単一の置換基は、好ましくは、化合物の残部への結合に隣接していない環原子上にある、すなわち、このものは、好ましくは、化合物の残部への結合に対してβ又はγである。したがって、C
5-7アリール基がフェニルの場合には、その置換基は、好ましくはメタ又はパラ位にあり、より好ましくはパラ位にある。
【0349】
R
12がC
8-10のアリール基、例えばキノリニル又はイソキノリニルである場合には、このものは、キノリン又はイソキノリン環の任意の位置に任意の数の置換基を保持できる。いくつかの実施形態では、このものは、1個、2個又は3個の置換基を保持し、これらのものは、近位及び遠位の環又は両方(1個以上の置換基の場合)にあることができる。
【0350】
R12がC5-10のアリール基である場合の置換基R12
R
12がC
5-10のアリール基であるR
12の置換基がハロである場合には、このものは、好ましくF又はCl、より好ましくはClである。
【0351】
R
12がC
5-10のアリール基であるR
12上の置換基がエーテルである場合には、このものは、いくつかの実施形態では、アルコキシ基、例えば、C
1-7アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)であることができ、又はいくつかの実施形態では、C
5-7アリールオキシ基(例えばフェノキシ、ピリジルオキシ、フラニルオキシ)であることができる。アルコキシ基は、例えばアミノ基(例えばジメチルアミノ)によってそれ自体さらに置換されていてもよい。
【0352】
R
12がC
5-10のアリール基である場合のR
12上の置換基がC
1-7アルキルである場合には、このものは、好ましくはC
1-4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)であることができる。
【0353】
R
12がC
5-10のアリール基であるR
12上の置換基がC
3-7ヘテロシクリルである場合には、このものは、いくつかの実施形態ではC
6窒素含有ヘテロシクリル基、例えば、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルであることができる。これらの基は、窒素原子を介して、PBD部分の残部に結合できる。これらの基は、例えばC
1-4アルキル基によってさらに置換されていてもよい。C
6窒素含有ヘテロシクリル基がピペラジニルである場合には、該さらなる置換基は、第2の窒素環原子上にあることができる。
【0354】
R
12がC
5-10のアリール基である場合のR
12上の置換基がビスオキシC
1-3アルキレンである場合には、このものは、好ましく、ビスオキシメチレン又はビスオキシエチレンである。
【0355】
R
12がC
5-10アリール基であるときの特に好ましい置換基としては、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、ビスオキシメチレン、メチルピペラジニル、モルホリノ及びメチルチオフェニルが挙げられる。R
12についての特に好ましい別の置換基はジメチルアミノプロピルである。
【0356】
R
12がC
5-10のアリール基である場合に特に好ましい置換R
12基としては、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ビスオキシメチレンフェニル、4−メチルチオフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、キノリン−3−イル及びキノリン−6−イル、イソキノリン−3−イル及びイソキノリン−6−イル、2−チエニル、2−フラニル、メトキシナフチル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。別の可能な置換基R
12は、4−ニトロフェニルである。特に関心のあるR
12基としては、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル及び3,4−ビスオキシメチレンフェニルが挙げられる。
【0357】
R
12がC
1-5飽和脂肪族アルキルである場合には、このものは、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルであることができる。いくつかの実施形態では、このものは、メチル、エチル又はプロピル(n−ペンチル又はイソプロピル)であることができる。これらの実施形態のいくつかでは、このものはメチルであることができる。他の実施形態では、このものは、直鎖状又は分岐状であることができるブチル又はペンチルであることができる。
【0358】
R
12がC
3-6飽和シクロアルキルである場合には、これは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであることができる。いくつかの実施形態では、これはシクロプロピルであることができる。
【0359】
R
12が
【化96】
の場合には、R
21、R
22及びR
23のそれぞれは、独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R
12基中における炭素原子の総数はせいぜい5にすぎない。いくつかの実施形態では、R
12基中の炭素原子の総数は4以下又3以下である。
【0360】
いくつかの実施形態では、R
21、R
22及びR
23の一つはHであり、他の2つの基は、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択される。
【0361】
他の実施形態では、R
21、R
22及びR
23の二つはHであり、他の基は、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル及びシクロプロピルから選択される。
【0362】
いくつかの実施形態では、Hではない基は、メチル及びエチルから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、Hではない基はメチルである。
【0363】
いくつかの実施形態では、R
21はHである。
【0364】
いくつかの実施形態では、R
22はHである。
【0365】
いくつかの実施形態では、R
23はHである。
【0366】
いくつかの実施形態では、R
21及びR
22はHである。
【0367】
いくつかの実施形態では、R
21及びR
23はHである。
【0368】
いくつかの実施形態では、R
22及びR
23はHである。
【0369】
特に関心のあるR
12基は次のものである:
【化97】
【0370】
R
12が
【化98】
である場合には、R
25a及びR
25bの一方はHであり、他方は、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により置換されていてよいフェニル;ピリジル;及びチオフェニルから選択される。いくつかの実施形態では、Hでない基は、置換されていてよいフェニルである。任意のフェニル置換基がハロである場合には、これは好ましくはフルオロである。ある種の実施形態では、フェニル基は、非置換である。
【0371】
R
12が
【化99】
の場合には、R
24は、H;C
1-3飽和アルキル;C
2-3アルケニル;C
2-3アルキニル;シクロプロピル;ハロ、メチル、メトキシから選択される基で置換されていてよいフェニル;ピリジル及びチオフェニルから選択される。任意のフェニル置換基がハロである場合には、これは好ましくはフルオロである。ある種の実施形態では、フェニル基は、非置換である。
いくつかの実施形態では、R
24はH、メチル、エチル、エテニル及びエチニルから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、R
24はH及びメチルから選択される。
【0372】
C2’とC3’との間に単結合が存在する場合には、
R
12は
【化100】
であり、ここで、R
26a及びR
26bは、独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択され、このアルキル及びアルケニル基は、C
1-4アルキルアミド及びC1〜4アルキルエステルから選択される基で置換されていてよく;又はR
26a及びR
26bの一方がHである場合、他方はニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択される。
【0373】
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bが両方ともHであることが好ましい。
【0374】
他の実施形態では、R
26a及びR
26bが両方ともメチルであることが好ましい。
【0375】
さらなる実施形態では、R
26a及びR
26bの一方がHであり、他方がC
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択されることが好ましく、このアルキル及びアルケニル基は置換されていてよい。これらのさらなる実施形態では、Hではない基がメチル及びエチルから選択されることがさらに好ましい場合がある。
【0376】
M及びz
M及びM’は、一価の薬学的に許容できる陽イオンであり、好ましくはNa
+であることが好ましい。
【0378】
本発明の特に好ましい化合物は、次式Iaのものである:
【化101】
ここで、
nは1又は3であり;
R
1aはメチル又はフェニルであり;
R
NはH、メチル又はエチルであり;
R
12aは次のものから選択される:
(a)
【化102】
(b)
【化103】
(c)
【化104】
(d)
【化105】
(e)
【化106】
(f)
【化107】
。
【0379】
R
12aについての追加の基は次のものであることができる:
(g)
【化108】
;及び
(h)
【化109】
。
【0380】
本発明の特に好ましい他の化合物は、式Ibのものである:
【化110】
ここで、
nは1又は3であり;
R
1bはメチル又はフェニルであり;及び
R
NはH、メチル又はエチルである。
【0381】
第3の態様
第1の態様について上記した優先は適宜この態様の化合物にも適用できる。
【0382】
R
10がカルバメート窒素保護基である場合には、これは、好ましくはTeoc、Fmoc及びTrocであることができ、より好ましくはTrocであることができる。
【0383】
R
11がO−Prot
O(ここで、Prot
Oは酸素保護基である)である場合には、Prot
Oは、好ましくはTBS又はTHPであることができ、より好ましくはTBSであることができる。
【0384】
R
10がヘミアミナール窒素保護基である場合には、これは、好ましくはMOM、BOM又はSEMであることができ、より好ましくはSEMであることができる。
【0385】
式Iの化合物についての優先は、適宜、本発明の第6の態様におけるDにも適用される。
【実施例】
【0386】
実施例
例1のための一般的な実験方法
旋光度は、ADP220旋光計(スタンリー・ベーリング社)で測定し、濃度(c)はg/100mLで与える。融点はデジタル融点装置(電熱)を用いて測定した。IRスペクトルは、パーキン − エルマー・スペクトラム100FT IR分光計で記録した。
1H及び
13C NMRスペクトルは、ブルカーアバンスNMR分光計をそれぞれ400及び100MHzで用いて300Kで得た。化学シフトをTMS(δ=0.0ppm)に対して報告し、そしてシグナルを、S(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、DT(二重三重項)、dd(二重項の二重項)、DDD(二重項の二重二重項)又はm(多重項)として示し、カップリング定数をヘルツ(Hz)で与える。質量分析(MS)データは、Waters2996 PDAを有するWaters2695 HPLCに連結されたWaters Micromass ZQ装置を用いて収集した。使用したWaters Micromass ZQパラメーターは、毛細管(kV)、3.38;コーン(V)、35;エクストラクター(V)、3.0;源温度(℃)、100;脱溶媒和温度(℃)、200;コーン流量(L/h)、50;脱溶媒和流量(L/h)、250であった。高分解能質量分析(HRMS)データを、器具にサンプルを導入するために金属被覆されたホウケイ酸ガラスのチップを用いてWaters Micromass QTOFグローバルによりポジティブWモードで記録した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲルアルミニウムプレート(メルク60、F
254)上で実施し、そしてフラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(メルク60、230〜400メッシュASTM)を用いた。HOBt(NovaBiochem社)及び固体担持試薬(アルゴノート社)を除き、他の全ての化学物質及び溶媒は、Sigma−Aldrich社から購入し、さらに精製することなく供給されたまま使用した。無水溶媒を、適切な乾燥剤の存在下に乾燥窒素雰囲気下で蒸留することによって調製し、4Åモレキュラーシーブ又はナトリウムワイヤを通して保存した。石油エーテルとは、40〜60℃で沸騰する留分をいう。
【0387】
化合物1を、WO2010/043880号(化合物17)に記載されたとおりに合成した。この文献を引用によりここに含める。
【0388】
一般的なLC/MS条件:HPLC(ウォーターズ・アライアンス2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を用いて行った。勾配:1.0分にわたり初期組成5%、続いて3分以内に5%Bから95%B。この組成を95%Bで0.5分間保持し、次いで0.3分で5%Bに戻した。総勾配実行時間は5分に相当する。流速は3.0mL/分であり、400μLを、質量分析計に入るゼロのデッドボリュームのティーピースを介して分割した。波長検出範囲:220〜400nm。機能種別:ダイオードアレイ(535スキャン)。カラム:Phenomenex(商標)オニキスモノリシックC1850×4.60mm。
【0389】
例1
【化111】
(a)(S)−7−メトキシ−8−(3−(((S)−7−メトキシ−2−(3−(メチルアミノ)−1−プロピン−1−イル)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−2−(4−メトキシフェニル)−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5,11(10H,11aH)−ジオン(2)
1(0.433g、0.40mmol)と、CuI(0.008g、0.04mmol、0.1当量)と、N−メチル−N−(2−プロピニル)アミン(0.10mL、1.20mmol、3当量)と、PPh
3(0.021g、0.08mmol、0.2当量)との混合物を、アルゴン雰囲気下でモレキュラーシーブの存在下に無水ピペリジン(5mL)に溶解させた。Pd(PPh
3)
4(0.046g、0.04mmol、0.1当量)をこの混合物に添加し、そして反応物を60℃に温め、一晩撹拌した。溶媒を減圧下で回転蒸発により除去し、得られた褐色の固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配96%DCM−4%メタノール)により精製した。化合物2を褐色の固体(0.213グラム、53%)として得た;Rf0.32[DCM中10%メタノール];LC−MS(5分)3.35分、ES
+995.35。
【0390】
(b)(S)−2−((Z)−(((E)−4−メトキシ−3−(3−(((S)−7−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イル)オキシ)プロポキシ)−2−ブテン−1−イル)イミノ)メチル)−4−(3−(メチルアミノ)−1−プロピン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルバルデヒド(3)
化合物2(0.041g、0.04mmol)をアルゴン雰囲気下で無水THF(3.8mL)に溶解し、そしてアセトン−ドライアイス浴中で−78℃に冷却した。LiEt
3BH(THF中1M溶液の0.25mL、0.35mmol、6当量)をこの混合物に添加し、そして反応物を40分間にわたり−78℃で撹拌した。反応物を、H
2O(3mL)でクエンチし、そしてブライン(3mL)を添加した後、水相を抽出し(DCM、9mL−メタノール1mL)、乾燥させ(MgSO
4)、そして溶媒を減圧下で回転蒸発により除去した。この粗生成物をエタノール(3mL)と、DCM(1.5mL)と、H
2O(1.5mL)との混合物に溶解し、そしてシリカゲルをこの混合物に添加した。この反応物をアルゴン雰囲気下において室温で4日間撹拌した。この混合物を、DMC(140mL)とメタノール(15mL)との混合物で洗浄して焼結漏斗で濾過した。有機相をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO
4)させ、そして溶媒を減圧下で回転蒸発により除去した。得られた褐色の固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配90%DCM−10%メタノール)によって精製した。化合物3を褐色の固体(0.029g、59%)として得た;Rf0.11[DCM中8%メタノール];LC−MS(5分)2.47分、ES
+702.28。
【0391】
次の例のための一般的な実験法
LCMSデータを、エレクトロスプレーイオン化と共にAgilent6110四重極MSを備えたAgilent1200シリーズLC/MSを用いて得た。移動相A−水中0.1%酢酸。移動相B−アセトニトリル中0.1%。1.00mL/分の流量。勾配を3分かけて5%Bから95%Bに上昇させ、1分間にわたって95%Bで保持し、次いで6秒間で5%Bまで落とす。総実行時間は5分である。カラム:フェノメネックスジェミニ−NX3μmC18、30X2.00mm。クロマトグラムは254nmでのUV検出に基づく。質量スペクトルを、MSをポジティブモードで用いて達成した。プロトンNMR化学シフト値を、Bruker AV400を用いて400MHzでデルタスケールで測定した。以下の略語を用いた:sは一重項、dは二重項、tは三重項、qは四重項、mは多重項;brはブロードである。カップリング定数はHzで報告する。特に明記しない限り、(フラッシュ法による)カラムクロマトグラフィーは、Merck Kieselgelシリカ(Art.9385)で行った。質量分析(MS)データは、Waters2795 HPLC分離モジュールに連結されたWatersマイクロマスLCT機器を用いて収集した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲルアルミニウムプレート(メルク60、F
254)で行った。他の全ての化学物質及び溶媒は、シグマ・オルドリッチ社又はフィッシャーサイエンティフィック社から購入し、さらに精製することなく供給されたまま使用した。
【0392】
旋光度は、ADP220旋光計(スタンリー・ベーリング社)で測定し、濃度(c)はg/100mLで与える。融点はデジタル融点装置(電熱)を用いて測定した。IRスペクトルは、パーキン−エルマー・スペクトラム100FT IR分光計で記録した。
1H及び
13C NMRスペクトルは、ブルカーアバンスNMR分光計をそれぞれ400及び100MHzで用いて300Kで得た。化学シフトをTMS(δ=0.0ppm)に対して報告し、そしてシグナルを、S(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、DT(二重三重項)、dd(二重項の二重項)、DDD(二重項の二重二重項)又はm(多重項)として示し、カップリング定数をヘルツ(Hz)で与える。質量分析(MS)データは、Waters2996 PDAを有するWaters2695 HPLCに連結されたWaters Micromass ZQ装置を用いて収集した。使用したWaters Micromass ZQパラメーターは、毛細管(kV)、3.38;コーン(V)、35;エクストラクター(V)、3.0;源温度(℃)、100;脱溶媒和温度(℃)、200;コーン流量(L/h)、50;脱溶媒和流量(L/h)、250であった。高分解能質量分析(HRMS)データを、器具にサンプルを導入するために金属被覆されたホウケイ酸ガラスのチップを用いてWaters Micromass QTOFグローバルによりポジティブWモードで記録した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲルアルミニウムプレート(メルク60、F
254)上で実施し、そしてフラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(メルク60、230〜400メッシュASTM)を用いた。HOBt(NovaBiochem社)及び固体担持試薬(アルゴノート社)を除き、他の全ての化学物質及び溶媒は、Sigma−Aldrich社から購入し、さらに精製することなく供給されたまま使用した。無水溶媒を、適切な乾燥剤の存在下に乾燥窒素雰囲気下で蒸留することによって調製し、4Åモレキュラーシーブ又はナトリウムワイヤを通して保存した。石油エーテルとは、40〜60℃で沸騰する留分をいう。
【0393】
一般的なLC/MS条件:HPLC(ウォーターズ・アライアンス2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を用いて行った。勾配:1.0分にわたり初期組成5%、続いて3分以内に5%Bから95%B。この組成を95%Bで0.5分間保持し、次いで0.3分で5%Bに戻した。総勾配実行時間は5分に相当する。流速は3.0mL/分であり、400μLを、質量分析計に入るゼロのデッドボリュームのティーピースを介して分割した。波長検出範囲:220〜400nm。機能種別:ダイオードアレイ(535スキャン)。カラム:Phenomenex(商標)オニキスモノリシックC1850×4.60mm。
【0394】
重要な中間体の合成
化合物4をWO2010/043880(化合物6a)に記載されたとおりにを合成した。この文献を引用により本明細書に含める。
【化112】
(a)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス[(11aS)−11−スルホ−7−メトキシ−2−オキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]](5)
ジオール4(25.60g、29.9mmol、1.0当量)、NaOAc(6.90g、84.1mmol、2.8当量)及びTEMPO(188mg、1.2mmol、0.04当量)を窒素下でDCM(326mL)に溶解した。これを−8℃に冷却し、そしてTCCA(9.70g、41.7mmol、1.40当量)を20分かけて少しずつ添加し、その間に、溶液は濃い褐色に変化し、これは反応が進行するにつれて明るくなった。30分後、冷DCM(200mL)を添加し、そして混合物をセライトを通して濾過し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム/チオ硫酸ナトリウムの溶液(1:1v/v、200mL×2)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して橙色/黄色のスポンジ(25.5g、100%)としてのビスケトン5を得た。LC/MS(3.173分(ES
+))。m/z:854.20[M]
+。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.32(s,2H)、7.25(s,2H)、5.50(d,2H,J=10.1Hz)、4.75(d,2H,J=10.1Hz)、4.60(dd,2H,J=9.9,3.1Hz)、4.31−4.18(m,6H)、3.89−3.84(m,8H)、3.78−3.62(m,4H)、3.55(dd,2H,J=19.3,3.0Hz)、2.76(dd,2H,J=18.6,10.2Hz)、2.42(p,2H,J=5.8Hz)、0.98−0.91(m,4H)、0.00(s,18H)。
【0395】
(b)1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS)−7−メトキシ−2−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ]−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,10,11,11a−テトラヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン] (6)
無水2,6−ルチジン(1.984g、17.864mmol、6.22当量)を、ビスケトン5(2.45g、2.977mmol、1.00当量)の乾燥DCM(90mL)への激しく攪拌した溶液に窒素雰囲気下において−45℃(ドライアイス/アセトニトリル)で一度に注入した。無水2,6−ルチジン(1.984g、17.864mmol、6.22当量)を、ビスケトン5(2.45g、2.977mmol、1.00当量)の乾燥DCM(90mL)への激しく攪拌した溶液に窒素雰囲気下において−45℃(ドライアイス/アセトニトリル)で一度に注入した。反応混合物を1時間にわたって−45℃で撹拌し、この時点で、TLC(50/50v/vのn−ヘキサン/EtOAc)及びLCMSにより出発物質の完全な消費が明らかになった。この冷却反応混合物を直ちにDCM(100mL)で希釈し、そして激しく振盪しながら、水(1×50mL)、5%クエン酸溶液(1×100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濾過し、濃縮して粗生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出90:10のn−ヘキサン/EtOAc(v/v)〜60:40のn−ヘキサン/EtOAc(v/v))により精製して、ビスエノールトリフレート6を黄色の泡状物として得た(2.097g、63%)。LC/MS(3.916分(ES
+))。m/z:1117.24[M]
+。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.33(s,2H)、7.26(s,2H)、7.14(t,2H,J=2.0Hz)、5.51(d,2H,J=10.1Hz)、4.76(d,2H,J=10.1Hz)、4.62(dd,2H,J=11.0,3.6Hz)、4.32−4.23(m,4H)、3.94−3.90(m,8H)、3.81−3.64(m,4H)、3.16(ddd,2H,J=16.4,11.1,2.3Hz)、2.43(p,2H,J=5.9Hz)、1.23−0.92(m,4H)、0.02(s,18H)。
【0396】
例2
【化113】
【0397】
(a)化合物7a〜e
(i)化合物7c−dの一般的調製
ボロン酸(1.0当量)、トリエチルアミン(4.0当量)及び(11aS,11a’S)−8,8’−(プロパン−1,3−ジイルビス(オキシ))ビス(7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8,2−ジイル)ビス(トリフルオロメタンスルホネート)(6)(1.0当量)を、窒素雰囲気下でエタノール、トルエン及び水の混合物[3:6:1](0.01M)に溶解させた。この反応混合物を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.04当量)を添加したときに5分間にわたって窒素下で脱気した。この反応混合物を1時間にわたって60℃〜70℃で撹拌した。ジクロロメタンを添加し、そして水で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残留物をシリカに吸着させ、そしてフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出、80/20〜20/80v/vのヘキサン/酢酸エチル)で精製して、回収した出発物質と、生成物と、ビス置換不純物との混合物を得た。
【0398】
(S)−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−2−((E)−1−プロペニル)−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(7c)
6の2.06g(1.84mmol)は次の混合物を与えた:
褐色の固体として7cの0.446g(24%)。LC/MS(3.885分(ES
+))。m/z:1009.31[M]
+。
6の0.057グラム。LC/MS(3.920分(ES
+))。m/z:1117.24[M]
+。
褐色の固体としてのビス置換不純物の0.504g。LC/MS(3.854分(ES
+))。m/z:901.41[M]
+。
【0399】
(S)−8−(3−((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート (7d)
6の0.200g(0.179mmol)は次の混合物を与えた:
褐色の固体としての7dの0.075g(38%)。LC/MS(3.851分(ES
+))。m/z:1089.28[M]
+.
6の0.024g。LC/MS(3.920分(ES
+))。m/z:1117.24[M]
+.
褐色の固体としてのビス置換不純物の0.052g。LC/MS(3.774分(ES
+))。m/z:1061.38[M]
+。
【0400】
(ii)(S)−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(7e)
(11aS,11a’S)−8,8’−(プロパン−1,3−ジイルビス(オキシ))ビス(7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8,2−ジイル)ビス(トリフルオロメタンスルホネート)(6)(2.00g、1.790mmol、1.0当量)、(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニルボロン酸(0.394g、1.790mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.574 mL、4.117mmol、2.3当量)を窒素雰囲気下でトルエン/エタノール/H
2O混合物(6:3:1)(100mL)に溶解させた。この反応物を窒素でフラッシュし、そしてパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(20.7mg、0.0179mmol、0.01当量)を添加した。反応物を窒素でフラッシュし、16時間にわたって30℃で攪拌した。その後、すべての揮発物を減圧下で除去し、そして固体残留物をH
2O(200 mL)と酢酸エチル(200mL)とで分配した。水性層を酢酸エチル(2×200mL)でさらに2回抽出してから、一緒にした有機物をブライン(200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして揮発分を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl
3 100〜95:5v/vのCHCl
3/MeOH)で精製して、回収した出発物質と、生成物と、ビス置換不純物との混合物を得た。
【0401】
褐色の固体としての7eの0.669g(33%)。LC/MS(2.751分(ES
+))、m/z:1144.2[M+H]
+。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.37(s,1H)、7.33−7.28m,4H)、7.12(m,1H)、6.88(d,J=8.8Hz,2H)、5.51−5.49(d,J=10.0Hz,2H)、4.76−4.73(dd,J=10.0,4.0Hz,2H)、4.62−4.56(m,2H)、4.30−4.22(m,4H)、3.94−3.86(m,9H)、3.81−3.71(m,3H)、3.70−3.62(m,2H)、3.26−3.22(m,4H)、3.17−3.07(m,2H)、2.66−2.55(m,4H)、2.46−2.38(m,2H)、2.35(s, 3H)、0.99−0.93(m,4H)、0.00(s,18H)。
6の1.093g。LC/MS(3.917分(ES
+))。
褐色の固体としてのビス置換不純物の0.094g。LC/MS(2.150分(ES
+))。m/z:1061.38[M]
+。
【0402】
(b)化合物8a〜eの一般的調製
工程(a)からの適切なモノトリフレート(1.0当量)とトリフェニルホスフィン(0.2当量)との混合物を窒素雰囲気下で4Åモレキュラーシーブの存在下に無水ピペリジン(0.05M)に溶解させた。その後、プロパルギルアミン(6.0当量)、ヨウ化銅(0.1当量)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1当量)をこの混合物に添加し、そして反応物を0.5時間〜1時間にわたって50℃〜60℃に温めた。混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で回転蒸発により除去した。得られた褐色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(DCM100〜90:10v/vのDCM/メタノール〜85:15v/vのDCM/メタノール)。
【0403】
(i)(S)−2−(3−アミノ−1−プロピニル)−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−2−((E)−1−プロペニル)−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5,11(10H,11aH)−ジオン(8c)
7cの0.418g(0.414ミリモル)は、生成物0.150g(40%)を褐色固体として生じさせた。LC/MS(2.576分(ES
+))。m/z:914.42[M]
+。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.35−7.32(m,3H)、6.84(s,1H)、6.25−6.21(d,J=14.9Hz,1H)、5.72−5.65(m,1H)、5.50−5.48(d,J=9.9Hz,2H)、4.73−4.71(m,2H)、4.51−4.48(m,2H)、4.31−4.23(m,4H)、3.93−3.86(m,7H)、3.81−3.72(m,3H)、3.70−3.60(m,5H)、3.49−3.42(m,1H)、2.95−2.83(m,2H)、2.46−2.38(m,2H)、1.83(d,J=6.7Hz,3H)、1.76−1.69(m,2H)、1.00−0.92(m,4H)、0.00(s,18H)。
【0404】
(ii)(S)−2−(3−アミノ−1−プロピニル)−8−(3−((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5,11(10H,11aH)−ジオン(8d)
7dの1.120g(1.03mmol)は生成物0.507g(50%)を褐色固体として生じさせた。LC/MS(2.596分(ES
+))。m/z:944.2[M]
+。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.38(s,1H)、7.34(s,1H)、7.30(m,1H)、7.09(m,1H)、6.94(d,J=1.6Hz,1H)、6.89(dd,J=8.1, 1.6Hz,1H)、6.78(d,J=8.1Hz,1H)、5.97(s,2H)、5.52−5.49(dd,J=10.0,4.3Hz,2H)、4.77−4.73(dd,J=10.1, 6.1Hz,2H)、4.61−4.58(dd,J=10.6, 3.4Hz,1H)、4.53−4.49(dd,J=10.6,3.4Hz,1H)、4.31−4.24(m,4H)、3.91−3.86(m,9H)、3.81−3.74(m,2H)、3.73−3.57(m,5H)、3.14−3.07(m,1H)、2.94−2.87(m,1H)、2.46−2.39(m,2H)、1.85−1.68(m,2H)、1.02−0.93(m,4H)、0.00(s,18H)。
【0405】
(iii)(S)−2−(3−アミノ−1−プロピニル)−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5,11(10H,11aH)−ジオン(8e)
7eの0.812g(0.710mmol)は生成物0.227g(30%)を褐色固体として生じさせた。LC/MS(2.109分(ES
+))。m/z:1049.48[M+H]
+。
【0406】
(c)化合物9a〜eの一般的調製
工程(b)からの適切なSEMのジラクタム(1.0当量)をTHF(0.02M)に溶解し、そして窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。スーパーハイドライド溶液(THF中1M、2.04当量)を5分間かけて滴下した。20分後、アリコートをLCMS及びTLC分析のために水で洗浄した。30分後、水を加え冷浴を除去した。有機層をEtOAcで抽出し(2×)、そして一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をMeOH/ DCM/水(6:3:1)(0.01M)及び濃厚攪拌懸濁液を形成するのに十分なシリカゲルに溶解した。
【0407】
5日後、懸濁液を焼結漏斗を通して濾過し、生成物が完全に溶出するまでDCM/MeOH9:1で洗浄した。有機層をブライン(2×)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl
3の100〜90:10v/vのCHCl
3/MeOH)による精製によって生成物を得た。
【0408】
(i)(S)−2−(3−アミノ−1−プロピニル)−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−5−オキソ−2−((E)−1−プロペニル)−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5(11aH)−オン(9c)
8cの0.150g(0.164mmol)は生成物0.29g(28%)を褐色の固体として生じさせた。LC/MS(2.759分(ES
+))。m/z:1243.50[2M]
+。
【0409】
(ii)(S)−2−(3−アミノ−1−プロピニル)−8−(3−((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5(11aH)−オン(9d)
8dの0.250g(0.251mmol)は生成物0.026g(15%)を暗褐色固体として生じさせた。LC/MS(2.758分(ES
+))。m/z:1402.79[2M]
+。
【0410】
(iii)(S)−2−(3−アミノ−1−プロピニル)−7−メトキシ−8−(3−((S)−7−メトキシ−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5(11aH)−オン(9e)
8eの0.227g(0.217mmol)は生成物0.028g(17%)を生じさせた。LC/MS(2.759分(ES
+))。m/z:657.4[M−ピペラジン]
+ 。
【0411】
これらの化合物は、概して、単離されたときに二量体の形態であることが分かった(上記の議論を参照のこと)。メタノール中で1時間にわたって攪拌することによる処理により、化合物の単量体型の検出が可能になった。9c:LC/MS(1.52分(ES
+))。m/z:622.4[M+H]
+;9d:LC/MS(1.51分(ES
+))。m/z:702.5[M+H]
+。
【0412】
例3
【化114】
【0413】
(a)化合物10a〜e
(i)(9H−フルオレン−9−イル)メチル(S)−1−((S)−1−(3−((S)−8−(3−((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5,11−ジオキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5,10,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)−2−プロピニルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(10d)
1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.0193g、0.101mmol、1.0当量)を、8d(0.100g、0.101mmol、1.0当量)及びHO−Ala−Val−Fmoc(0.0415g、0.101mmol、1.0当量)の乾燥ジクロロメタン(6mL)への溶液に室温で添加した。30分後、反応物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、水(10mL)及びブライン(10mL)で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして過剰のジクロロメタンを減圧下で回転蒸発により除去した。得られた残留物にフラッシュカラムクロマトグラフィーを施した(シリカゲル;70:1v/vのDCM/MeOH〜50:1v/vのDCM/MeOH)。純粋な画分を集めて一緒にし、そして過剰な溶離液を減圧下で回転蒸発により除去して生成物を黄色固体として得た(0.043g、31%)。
LC/MS(3.785分(ES
+))。m/z:1385.01[M−H]
+。
【0414】
(b)化合物11a〜e
(i)(9H−フルオレン−9−イル)メチル(R)−1−((S)−1−(3−((S)−8−(3−((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)−2−プロピニルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメート(11d)
SEMジラクタム10D(0.063g、0.0455mmol、1.0当量)をTHF(2.7)に溶解し、そして窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。スーパーハイドライド溶液(THF中1M、0.093mL、2.04当量)を5分間かけて滴下した。20分後、アリコートをLCMS及びTLC分析のために水で洗浄した。30分後、水を加え冷浴を除去した。有機層をEtOAc(2×10mL)で抽出し、そして一緒にした有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をMeOH/DCM/水(6:3:1)(0.01M)及び濃厚攪拌懸濁液を形成するのに十分なシリカゲルに溶解した。
【0415】
5日後、懸濁液を焼結漏斗を通して濾過し、生成物が完全に溶出するまでDCM/MeOH9:1で洗浄した。有機層をブライン(2×)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl
3の100〜90:10v/vのCHCl
3/MeOH)による精製によって生成物を得た。
【0416】
(c)化合物12a〜e
(i)(S)−2−アミノ−N−((S)−1−(3−((S)−8−(3−((S)−2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−8−イルオキシ)プロポキシ)−7−メトキシ−5−オキソ−5,11a−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−2−イル)−2−プロピニルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−メチルブタンアミド(12d)
過剰のピペリジン(0.01mLの、0.1mmol)をSEM−ジラクタム11d(1mg、0.0009mmol)のDMF(0.1 mL)への溶液に加えた。この混合物を20分間室温で撹拌させ、この時点で反応が完了した(LC/MSにより監視した)。反応混合物をCH
2Cl
2(1 mL)で希釈し、そして有機相をピペリジンの完全除去までH
2O(3×)で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして過剰の溶媒を減圧下で回転蒸発により除去して粗製材料12dを得た。LC/MS(1.917分(ES
+))。m/z:872.2[M+H]
+。
【0417】
例4:試験管内での細胞毒性の決定
K562ヒト慢性骨髄性白血病細胞を、5%CO
2を含む加湿雰囲気中において37℃で10%ウシ胎児血清及び2mMグルタミンを補充したRPM11640培地中で保持し、そして37℃で96時間にわたり暗所で特定の用量の薬物と共にインキュベートした。インキュベーション(5分間300g)を遠心分離により終了させ、そして細胞を薬物を含まない培地で1回洗浄した。適切な薬剤処理後に、細胞を96ウェルマイクロタイタープレート(ウェル当たり104細胞、サンプル当たり8ウェル)に移した。次いで、プレートを5%CO
2を含む加湿雰囲気中において37℃で暗所に保存した。このアッセイは、黄色の水溶性テトラゾリウム塩である3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT、シグマアルドリッチ社)を、不溶性の紫色のホルマザン沈殿物に還元させる生存細胞の能力に基づくものである。4日にわたるインキュベーション後(対照細胞数を約10倍増加させるため)、20μLのMTT溶液(リン酸緩衝生理食塩水中5mg/mL)を各ウェルに加え、そしてプレートをさらに5時間インキュベートした。次いで、プレートを300gで5分間遠心分離し、そして培地の大部分をウェル当たり10〜20μLを残して細胞ペレットからピペットで移した。DMSO(200μL)を各ウェルに添加し、そしてサンプルを完全な混合を確実にするために攪拌した。その後、光学密度をタイターテックマルチスキャンELISAプレートリーダーにより550nmの波長で読み取り、そして用量応答曲線を作成した。それぞれの曲線について、IC
50値を、最終光学密度を対照値の50%に減少させるのに必要な用量として読み取った。
【0418】
化合物13は、このアッセイでは0.5nMのIC
50を有する。