【文献】
CHEN. C. et al.,"Generation and Analysis of Random Point Mutations in an Antibody CDR2 Sequence: Many Mutated Antibodies Lose Their Ability to Bind Antigen",J. Exp. Med.,1992年,Vol. 176,pp. 855-866
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
SEQ ID NO:42の位置249および288に対応する位置にアミノ酸置換を有する第1のヒトIgG2定常領域であって、アミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートで置き換えられている、第1のヒトIgG2定常領域、ならびにSEQ ID NO:42の位置236および278に対応する位置にアミノ酸置換を有する第2のヒトIgG2定常領域であって、アミノ酸がリジンで置き換えられている、第2のヒトIgG2定常領域を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、219R45-MB-21R75および219R45-MB-21R83からなる群より選択される二重特異性抗体であって、
219R45-MB-21M18が、SEQ ID NO:75を含むDNAによってコードされる重鎖、SEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、およびSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含み、
219R45-MB-21R79が、SEQ ID NO:31を含むDNAによってコードされる重鎖、SEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、およびSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含み、
219R45-MB-21R75が、SEQ ID NO:72を含むDNAによってコードされる重鎖、SEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、およびSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含み、
219R45-MB-21R83が、SEQ ID NO:74を含むDNAによってコードされる重鎖、SEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、およびSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含む、
二重特異性抗体。
がんが、結腸直腸がん、結腸がん、卵巣がん、膵臓がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、腎臓がん、前立腺がん、胃腸がん、黒色腫、子宮頚がん、膀胱がん、グリア芽細胞腫、頭頸部がん、リンパ腫および白血病からなる群より選択される、請求項22記載の抗体の使用。
腫瘍が、結腸直腸腫瘍、結腸腫瘍、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、肝臓腫瘍、乳腺腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、黒色腫、子宮頚部腫瘍、膀胱腫瘍、グリア芽細胞腫および頭頸部腫瘍からなる群より選択される、請求項24記載の抗体の使用。
【発明を実施するための形態】
【0050】
発明の詳細な説明
本発明は、VEGFおよび/またはDLL4を結合する、抗体のようなポリペプチドを含むがこれに限定されない、新規の結合剤(例えば、VEGF/DLL4結合剤)を提供する。関連したポリペプチドおよびポリヌクレオチド、VEGF/DLL4結合剤を含む組成物、ならびにVEGF/DLL4結合剤を作出する方法も提供される。腫瘍成長を阻害する方法、がんを処置する方法、腫瘍の腫瘍形成性を低減する方法、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減する方法、および/または血管新生を調節する方法のような、新規のVEGF/DLL4結合剤を使用する方法がさらに提供される。
【0051】
ヒトVEGFを特異的に結合するモノクローナル抗体219R45が特定された。この抗体は、約0.67 nMの、ヒトVEGFに対する結合親和性、および約23 nMの、マウスVEGFに対する結合親和性を有する。ヒトDLL4を特異的に結合するいくつかのモノクローナル抗体21R79、21R75および21R83が特定された。抗体21R79は、0.1 nM未満の、ヒトDLL4に対する結合親和性を有する。ヒトVEGFおよびヒトDLL4の両方を特異的に結合する二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、219R45-MB-21R75および219R45-MB-21R83 (
図1中のCDR配列)が産生された。本明細書において用いられる場合、抗体名のなかの「MB」は、「一価/二重特異性」をいう。二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、1.0 nM未満の、ヒトVEGFに対する結合親和性および約16 nMの、ヒトDLL4に対する結合親和性を有する。二重特異性抗体219R45-MB-21R79は、1.0 nM未満の、ヒトVEGFに対する結合親和性および1.0 nM未満の、ヒトDLL4に対する結合親和性を有する。二重特異性抗体219R45-MB-21R75は、約5 nMの、ヒトDLL4に対する結合親和性を有するが、二重特異性抗体219R45-MB-21R83は、約1 nMの、ヒトDLL4に対する結合親和性を有する。二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79は、マウスVEGFを結合する(実施例1、表3)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を同時に結合する(実施例2、
図2)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、VEGF誘導性のHUVEC細胞増殖を阻害する(実施例3、
図3)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、DLL4誘導性のNotchシグナル伝達を阻害する(実施例4、
図4)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、腫瘍成長を阻害する(実施例5、9、11および
図5、9、11)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、腫瘍形成性を阻害する(実施例6および10ならびに
図6、10)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、二重特異性ELISAにおいてVEGFおよびDLL4の両方を結合する(実施例7、
図7)。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、少なくとも90%のヘテロ二量体抗体を含む産物にまで単離および精製される(実施例8、表7)。
【0052】
I. 定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する。
【0053】
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖質、ポリヌクレオチド、脂質または前記の組み合わせのような標的を、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原識別部位によって認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子をいう。本明細書において用いられる場合、この用語は、抗体が所望の生物学的活性を示す限り、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、一本鎖抗体、抗体断片(Fab、Fab'、F(ab')2およびFv断片のような)、一本鎖Fv (scFv)抗体、二重特異性抗体のような多重特異性抗体、単一特異性抗体、一価抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原結合部位を含む融合タンパク質、および抗原認識部位(すなわち、抗原結合部位)を含む改変されたその他任意の免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれα、δ、ε、γおよびμといわれる重鎖定常ドメインの同一性に基づき、5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ) (例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかでありうる。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および三次元構造を有する。抗体はありのままでも、または毒素および放射性同位体を含むが、これらに限定されない、他の分子に結合されていてもよい。
【0054】
「抗体断片」という用語は、無傷の抗体の一部をいい、無傷の抗体の抗原決定可変領域をいう。抗体断片の例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片、直鎖状抗体、一本鎖抗体、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されることはない。本明細書において用いられる「抗体断片」は、抗原結合部位またはエピトープ結合部位を含む。
【0055】
抗体の「可変領域」という用語は、単独または組み合わせのいずれかの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域をいう。重鎖および軽鎖の可変領域は各々、「超可変領域」としても知られる、3つの相補性決定領域(CDR)によって連結された、4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖中のCDRは、フレームワーク領域によって近接してともに保持され、そして他の鎖由来のCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するには少なくとも2つの技術がある: (1) 種間配列変動に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Edition, National Institutes of Health, Bethesda, MD)、および(2) 抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273:927-948)。さらに、CDRを決定するために当技術分野においてこれらの2つのアプローチの組み合わせが用いられることもある。
【0056】
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、1つの抗原決定基またはエピトープの極めて特異的な認識および結合に関わる、均質な抗体集団をいう。これは、種々の異なる抗原決定基に対して作製された異なる抗体の混合物を典型的に含むポリクローナル抗体と対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷のかつ全長のモノクローナル抗体と抗体断片(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv)、一本鎖(scFv)抗体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位(抗原結合部位)を含む改変されたその他任意の免疫グロブリン分子の両方を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ産生、ファージ選択、組み換え発現、およびトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない、任意のいくつかの技法によって作出されたそのような抗体をいう。
【0057】
本明細書において用いられる「ヒト化抗体」という用語は、最小限の非ヒト配列を含む特異的な免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはその断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態をいう。典型的には、ヒト化抗体は、CDRの残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはハムスター)のCDR由来の残基に置き換えられているヒト免疫グロブリンである(Jones et al., 1986, Nature, 321 :522-525; Riechmann et al., 1988, Nature, 332:323-327; Verhoeyen et al., 1988, Science, 239: 1534-1536)。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域の残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する非ヒト種由来の抗体において対応する残基と置き換えられる。ヒト化抗体を、Fvフレームワーク領域中のおよび/または置き換えられた非ヒト残基内のさらなる残基の置換によりさらに改変して、抗体の特異性、親和性および/または結合能を改良および最適化してもよい。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDRの全てまたは実質的に全てを含有する少なくとも1つの、および典型的には2つまたは3つの可変ドメインの実質的に全てを含む一方で、フレームワーク領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれ、の少なくとも一部分を含むこともできる。ヒト化抗体を作出するために用いられる方法の例は、例えば、米国特許第5,225,539号に記述されている。
【0058】
本明細書において用いられる「ヒト抗体」という用語は、ヒトによって産生された抗体、またはヒトによって産生された抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体をいう。ヒト抗体は、当技術分野において公知の技法のいずれかを用いて作出されうる。ヒト抗体のこの定義は、非ヒトCDRを含むヒト化抗体を明確に排除する。
【0059】
本明細書において用いられる「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つまたはそれ以上の種に由来する抗体をいう。典型的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する、1つの哺乳動物種(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に対応するが、定常領域は、別の種(通常はヒト)に由来する抗体中の配列に対応する。
【0060】
本明細書において用いられる「親和性成熟抗体」という語句は、抗体の1つまたは複数のCDRにおける1つまたは複数の改変を有する抗体であって、それらの改変を保有していない親抗体と比べて、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす該抗体をいう。この定義には、CDR残基に対する改変と併せて作出された非CDR残基における改変も含まれる。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはさらにピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野において公知の手順によって産生される。例えば、Marks et al., 1992, Bio/Technology 10:779-783には、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟が記述されている。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異導入法は、Barbas et al., 1994, PNAS, 91:3809-3813; Schier et al., 1995, Gene, 169: 147-155; Yelton et al., 1995, J. Immunol. 155: 1994-2004; Jackson et al., 1995, J. Immunol, 154:3310-9; およびHawkins et al., 1992, J. Mol. Biol, 226:889-896によって記述されている。部位特異的突然変異誘発法を用いて、親和性成熟抗体を得てもよい。
【0061】
「エピトープ」および「抗原決定基」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、特定の抗体により認識され特異的に結合されうる抗原のその部分をいう。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは連続的なアミノ酸からも形成され、タンパク質の三次元的折り畳みによって近接して並べられた非連続的なアミノ酸からも形成されうる。連続的なアミノ酸から形成されたエピトープ(直鎖状エピトープともいわれる)は、タンパク質が変性した場合にも典型的には維持されるが、三次元的折り畳みによって形成されたエピトープ(立体配座エピトープともいわれる)は、タンパク質が変性すると典型的には失われる。エピトープは、典型的には、独特の空間的配置の中に少なくとも3アミノ酸、より一般的には、少なくとも5アミノ酸または8〜10アミノ酸を含む。
【0062】
「ヘテロ多量体分子」または「ヘテロ多量体」または「ヘテロ多量体複合体」または「ヘテロ多量体ポリペプチド」という用語は、第2のポリペプチドが少なくとも1つのアミノ酸残基だけ第1のポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる、少なくとも第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む分子をいうように本明細書において互換的に用いられる。ヘテロ多量体分子は、第1および第2のポリペプチドによって形成された「ヘテロ二量体」を含むことができ、またはさらなるポリペプチドが存在するさらに高次の三次構造を形成することができる。
【0063】
本明細書において用いられる「アンタゴニスト」および「アンタゴニストの」という用語は、標的および/またはシグナル伝達経路(例えば、Notch経路)の生物学的活性を部分的にまたは完全に遮断する、阻害する、低減する、または無力化する任意の分子をいう。「アンタゴニスト」という用語は、タンパク質の活性を部分的にまたは完全に遮断する、阻害する、低減する、または無力化する任意の分子を含むように本明細書において用いられる。適当なアンタゴニスト分子は特に、アンタゴニスト抗体または抗体断片を含むが、これらに限定されることはない。
【0064】
本明細書において用いられる「調節」および「調節する」という用語は、生物学的活性の変化または改変をいう。調節は、活性の刺激または阻害を含むが、これらに限定されることはない。調節は、活性の増加もしくは減少(例えば、血管新生の減少もしくは血管新生の増加)、結合特性の変化、またはタンパク質の活性、経路もしくは関心対象の他の生物学的要点(biological point)と関連した生物学的、機能的もしくは免疫学的特性の任意の他の変化でありうる。
【0065】
「選択的に結合する」または「特異的に結合する」という用語は、結合剤または抗体が、関連のないタンパク質を含む別の物質とよりも、エピトープ、タンパク質または標的分子と、より高頻度に、より迅速に、より長い持続時間で、より高い親和性で、または前記のいくつかの組み合わせで反応または結合することを意味する。ある種の態様において、「特異的に結合する」とは、例えば、抗体が約0.1 mMまたはそれ以下、しかし、より通常には、約1 μM未満のK
Dでタンパク質を結合することを意味する。ある種の態様において、「特異的に結合する」とは、抗体が、時には、少なくとも約0.1 μMまたはそれ以下、またある時には、少なくとも約0.01 μMまたはそれ以下、またある時には、少なくとも約1 nMまたはそれ以下のK
Dで標的を結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のため、特異的結合は、2種以上の種におけるタンパク質(例えば、ヒトVEGFおよびマウスVEGF)を認識する抗体を含むことができる。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列のある種の領域内の相同性のため、特異的結合は、2種以上のタンパク質(例えば、ヒトVEGF-AおよびヒトVEGF-B)を認識する抗体(または他のポリペプチドもしくは結合剤)を含むことができる。ある種の態様において、第1の標的を特異的に結合する抗体または結合部分は、第2の標的を特異的に結合してもしなくてもよいことが理解されよう。したがって、「特異的な結合」とは、排他的な結合、すなわち単一の標的との結合を(含むことができるが)必ずしも必要としない。かくして、抗体は、ある種の態様において、2種以上の標的を特異的に結合することができる。ある種の態様において、複数の標的が抗体上の同じ抗原結合部位によって結合されうる。例えば、抗体は、場合によっては、それぞれが2種またはそれ以上のタンパク質上の同じエピトープを特異的に結合する2つの同一の抗原結合部位を含むことができる。ある種の代替的な態様において、抗体は多重特異性であることができ、異なる特異性を有する少なくとも2つの抗原結合部位を含むことができる。非限定的な例として、二重特異性抗体は、1つのタンパク質(例えば、ヒトVEGF)上のエピトープを認識する1つの抗原結合部位を含むことができ、第2のタンパク質(例えば、ヒトDLL4)上の異なるエピトープを認識するもう1つの、異なる抗原結合部位をさらに含むことができる。一般的に、しかし必ずというわけではないが、結合への言及は特異的な結合を意味する。
【0066】
「ポリペプチド」および「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、任意の長さのアミノ酸の重合体をいう。この重合体は直鎖または分岐鎖であってよく、修飾アミノ酸を含んでよく、非アミノ酸によって中断されてよい。これらの用語は同様に、天然によりあるいは介入により、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合などの、その他任意の操作もしくは修飾により改変されたアミノ酸重合体を包含する。例えば、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、非天然アミノ酸を含む)、ならびに当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも、この定義のなかに含まれる。本発明のポリペプチドは、ある種の態様において、抗体に基づきうるので、ポリペプチドは一本鎖または結合した鎖として生じてもよいことが理解されよう。
【0067】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、任意の長さのヌクレオチドの重合体をいい、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはその類似体、あるいはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼによって重合体に組み込むことができる任意の基質でもよい。
【0068】
「高ストリンジェンシーの条件」は、(1) 洗浄のために低いイオン強度および高い温度、例えば50℃で15 mM塩化ナトリウム/1.5 mMクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを利用する; (2) ハイブリダイゼーションの間に5×SSC (0.75 M NaCl、75 mMクエン酸ナトリウム)中、変性剤、例えばホルムアミド、例えば、50% (v/v)ホルムアミド+0.1%ウシ血清アルブミン/0.1% Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50 mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5を42℃で利用する; または(3) ハイブリダイゼーションの間に5×SSC中50%ホルムアミド、50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理済みサケ精子DNA (50 μg/ml)、0.1% SDS、および10%硫酸デキストランを42℃で利用し、42℃で0.2×SSCおよび50%ホルムアミド中にて洗浄し、その後、EDTAを含有する0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を55℃で行うものによって特定されうる。
【0069】
2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチドという文脈において、「同一の」または「同一性」の割合という用語は、保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部として全く考慮することなく、最大一致を得るように比較されアライメントされた場合に(必要であれば、ギャップを導入して)、同じであるか、または特定の割合の同じヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有するかの、2つまたはそれ以上の配列または部分配列をいう。同一性の割合は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを用いて、または目視検査によって測定することができる。アミノ酸またはヌクレオチド配列のアライメントを得るために使用できるさまざまなアルゴリズムおよびソフトウェアが当技術分野において公知である。これらにはBLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Packageおよびそのバリエーションが含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、本発明の2つの核酸またはポリペプチドは実質的に同一であり、それらが、最大一致を得るように比較されアライメントされ、配列比較アルゴリズムを用いてまたは目視検査によって測定された場合に、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、およびいくつかの態様において少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有することを意味する。いくつかの態様において、同一性は、長さが少なくとも約10残基、少なくとも約20残基、少なくとも約40〜60残基、少なくとも約60〜80残基またはその間の任意の整数値である配列の領域にわたって存在する。いくつかの態様において、同一性は、少なくとも約80〜100残基のような、60〜80残基よりも長い領域にわたって存在し、いくつかの態様において、配列はヌクレオチド配列のコード領域のような、比較されている配列の全長にわたって実質的に同一である。
【0070】
「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換されるものである。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当技術分野において定義されている。例えば、チロシンをフェニルアラニンで置換するのが保存的置換である。本発明のポリペプチドおよび抗体の配列における保存的置換は、アミノ酸配列を含有するポリペプチドまたは抗体と、ポリペプチドまたは抗体が結合する抗原との結合を阻止しないことが好ましい。抗原結合を妨げない、ヌクレオチドおよびアミノ酸の保存的置換を特定する方法は当技術分野において周知である。
【0071】
本明細書において用いられる「ベクター」という用語は、宿主細胞において関心対象の1つまたは複数の遺伝子または配列を送達できる、通常は、発現できる構築体を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と結合したDNAまたはRNA発現ベクター、およびリポソーム中にカプセル封入されたDNAまたはRNA発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0072】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、天然では見られない形態にあるポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物には、天然で見られる形態にはない程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの態様において、単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は実質的に純粋である。
【0073】
本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、少なくとも50%純粋である(すなわち、夾雑物を含まない)、少なくとも90%純粋である、少なくとも95%純粋である、少なくとも98%純粋である、または少なくとも99%純粋である材料をいう。
【0074】
本明細書において用いられる「がん」および「がん性」という用語は、無秩序な細胞増殖を特徴とする細胞集団を含む哺乳動物における生理的状態をいい、または記述する。がんの例としては、がん腫、芽細胞腫、肉腫、ならびにリンパ腫および白血病のような血液がんが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0075】
本明細書において用いられる「腫瘍」および「新生物」という用語は、過度の細胞成長または増殖に起因する、前がん病変を含む良性(非がん性)病変または悪性(がん性)病変の任意の組織塊をいう。
【0076】
本明細書において用いられる「転移」という用語は、身体の出現部位から他の領域にがんが拡散または移動し、新たな場所での類似のがん性病変の発生を伴う過程をいう。「転移」または「転移性」細胞は、隣接する細胞との接着性接触を失い、疾患の原発部位から血流またはリンパを介して移動し、隣接する身体構造に浸潤する細胞である。
【0077】
「がん幹細胞」および「CSC」および「腫瘍幹細胞」および「腫瘍開始細胞」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、(1) 高い増殖能を有し; 2) 非対称細胞分裂を行って、増殖能力または発生能力の低下した1つまたは複数のタイプの分化した細胞子孫を作出でき; かつ(3) 自己複製または自己維持のための対称細胞分裂を行うことができる、がんまたは腫瘍由来の細胞をいう。これらの特性によって、がん幹細胞には、免疫不全宿主(例えば、マウス)に累代移植されると、腫瘍を形成できない大多数の腫瘍細胞と比較して腫瘍またはがんを形成または樹立する能力が付与される。がん幹細胞は、分化に対して無秩序な様式で自己複製を起こし、変異が生じるにつれて経時変化しうる異常細胞型を含む腫瘍を形成する。
【0078】
「がん細胞」および「腫瘍細胞」という用語は、がん細胞集団の大部分を構成する非腫瘍形成性細胞および腫瘍形成性幹細胞(がん幹細胞)の両方を含む、がんまたは腫瘍または前がん病変に由来する細胞の全集団をいう。本明細書において用いられる場合、「がん細胞」または「腫瘍細胞」という用語は、再生および分化する能力が無い腫瘍細胞のみをいう場合に、腫瘍細胞とがん幹細胞を区別するために「非腫瘍形成性の」という用語で修飾される。
【0079】
本明細書において用いられる「腫瘍形成性の」という用語は、(さらなる腫瘍形成性がん幹細胞を生じる)自己複製の特性、および(分化した、したがって、非腫瘍形成性の腫瘍細胞を生じる)他の全ての腫瘍細胞を発生する増殖を含む、がん幹細胞の機能的特徴をいう。
【0080】
本明細書において用いられる「腫瘍形成性」という用語は、腫瘍由来細胞の無作為サンプルが、免疫不全宿主(例えば、マウス)に累代移植されると、触診可能な腫瘍を形成する能力をいう。この定義には、免疫不全宿主(例えば、マウス)に累代移植されると、触診可能な腫瘍を形成するがん幹細胞の濃縮されたおよび/または単離された集団も含まれる。
【0081】
「対象」という用語は、特定の処置のレシピエントとなるべき、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、げっ歯類などを含むが、これに限定されない任意の動物(例えば、哺乳動物)をいう。典型的には、ヒト対象に関して、本明細書では「対象」および「患者」という用語が互換的に用いられる。
【0082】
「薬学的に許容される」という用語は、ヒトを含めて、動物での使用が、連邦政府もしくは州政府の監督官庁によって承認された(もしくは承認可能な)または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されている製品もしくは化合物をいう。
【0083】
「薬学的に許容される賦形剤、担体もしくは補助剤」または「許容される薬学的な担体」という用語は、少なくとも1つの本開示の結合剤(例えば、抗体)とともに、対象に投与でき、かつその結合剤の活性を破壊しない賦形剤、担体または補助剤をいう。賦形剤、担体または補助剤は、治療効果を送達するのに十分な用量で結合剤とともに投与された場合に無毒でなければならない。
【0084】
「有効量」または「治療的有効量」または「治療的効果」という用語は、対象または哺乳動物における疾患または障害を「処置する」のに有効な、結合剤、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機低分子または他の薬物の量をいう。がんの場合、薬物(例えば、抗体)の治療的有効量は、治療的効果を有し、したがってがん細胞の数を減らす; 腫瘍形成性、腫瘍形成頻度もしくは腫瘍形成能を下げる; がん幹細胞の数もしくは頻度を減らす; 腫瘍サイズを減らす; がん細胞集団を減らす; 例えば、軟組織もしくは骨へのがんの拡散を含む末梢臓器へのがん細胞の浸潤を阻むおよび/もしくは止める; 腫瘍もしくはがん細胞転移を阻むおよび/もしくは止める; 腫瘍もしくはがん細胞成長を阻むおよび/もしくは止める; がんと関連する症状の1つもしくは複数をある程度まで和らげる; 有病率および死亡率を減らす; 生活の質を良くする; またはこのような効果の組み合わせをもたらすことができる。薬剤、例えば抗体が既存のがん細胞の成長を抑止する、かつ/または既存のがん細胞を死滅化する程度まで、それを、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性ということができる。
【0085】
「処置する」もしくは「処置」もしくは「処置するため」または「緩和する」もしくは「緩和するため」という用語は、1) 診断された病理学的状態もしくは障害の症状を治癒する、減速する、軽減する、および/または診断された病理学的状態もしくは障害の進行を食い止める治療的手段、ならびに2) 標的化された病理学的状態または障害の発生を阻止するまたは遅延する予防的または防止的手段の両方をいう。したがって、処置を必要とする者には、障害を既に有する者; 障害を有する傾向がある者; および障害が予防されるべき者が含まれる。いくつかの態様において、患者が以下の1つまたは複数を示すなら、対象は本発明の方法によって成功裏に「処置されて」いる: がん細胞の数の低下もしくはがん細胞の完全な非存在; 腫瘍サイズの低下; 軟組織および骨へのがん細胞の拡散を含む末梢臓器へのがん細胞浸潤の阻害もしくは非存在; 腫瘍もしくはがん細胞転移の阻害もしくは非存在; がん成長の阻害もしくは非存在; 特異的ながんと関連する1つもしくは複数の症状の緩和; 有病率および死亡率の低下; 生活の質の改善; 腫瘍形成性の低下; がん幹細胞の数もしくは頻度の低下; またはこのような効果のいくつかの組み合わせ。
【0086】
本開示および特許請求の範囲において用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈上明らかに他の指示がない限り、複数形を含む。
【0087】
本明細書において「含む」という言い回しで態様が記述された場合はいつでも、「からなる」および/または「から本質的になる」によって記述される他の類似する態様も提供されることが理解されよう。本明細書において「から本質的になる」という言い回しで態様が記述された場合はいつでも、「からなる」によって記述される他の類似する態様も提供されることも理解されよう。
【0088】
本明細書において「Aおよび/またはB」のような語句において用いられる「および/または」という用語は、AおよびBも; AまたはBも; A (のみ)も; およびB (のみ)も含むことが意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」のような語句において用いられる「および/または」という用語は、以下の態様のそれぞれを含むことが意図される: A、BおよびC; A、BまたはC; AまたはC; AまたはB; BまたはC; AおよびC; AおよびB; BおよびC; A (のみ); B (のみ); ならびにC (のみ)。
【0089】
II. 抗体
本発明は、ヒトVEGFタンパク質および/またはヒトDLL4タンパク質を特異的に結合する薬剤を提供する。これらの薬剤は、本明細書において「VEGF/DLL4結合剤」といわれる。「VEGF/DLL4結合剤」という語句は、VEGFだけを結合する薬剤、DLL4だけを結合する薬剤、ならびにVEGFおよびDLL4の両方を結合する二重特異性薬剤を包含する。ある種の態様において、VEGFおよび/またはDLL4を特異的に結合することに加えて、VEGF/DLL4結合剤はさらに、少なくとも1つのさらなる標的または抗原を特異的に結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤はポリペプチドである。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はヒトVEGFを特異的に結合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はヒトDLL4を特異的に結合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は二重特異性抗体である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を特異的に結合する二重特異性抗体である。ヒトVEGF (VEGF-A)およびヒトDLL4に対する全長アミノ酸(aa)配列は、当技術分野において公知であり、本明細書においてSEQ ID NO:27 (VEGF)およびSEQ ID NO:23 (DLL4)として提供されている。
【0090】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約1 μMもしくはそれ以下、約100 nMもしくはそれ以下、約40 nMもしくはそれ以下、約20 nMもしくはそれ以下、約10 nMもしくはそれ以下、約1 nMもしくはそれ以下または約0.1 nMもしくはそれ以下の解離定数(K
D)でVEGFおよび/またはDLL4を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約20 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよび/またはDLL4を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約10 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよび/またはDLL4を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約1 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよび/またはDLL4を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約0.1 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよび/またはDLL4を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約100 nMまたはそれ以下のK
DでヒトVEGFおよびマウスVEGFの両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約50 nMまたはそれ以下のK
DでヒトVEGFおよびマウスVEGFの両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約100 nMまたはそれ以下のK
DでヒトDLL4およびマウスDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約50 nMまたはそれ以下のK
DでヒトDLL4およびマウスDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、VEGFに対する結合剤(例えば、抗体)の解離定数は、Biacoreチップ上に固定化されている少なくともVEGFの一部分を含んだVEGF融合タンパク質を用いて決定された解離定数である。いくつかの態様において、DLL4に対する結合剤(例えば、抗体)の解離定数は、Biacoreチップ上に固定化されている少なくともDLL4の一部分を含んだDLL4-融合タンパク質を用いて決定された解離定数である。
【0091】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位およびDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約100 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよびDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約50 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよびDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約20 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよびDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約10 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよびDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、約1 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFおよびDLL4の両方を結合する。いくつかの態様において、抗原結合部位の1つの親和性は、他の抗原結合部位の親和性よりも弱くてよい。例えば、1つの抗原結合部位のK
Dは約1 nMであってよく、かつもう1つの抗原結合部位のK
Dは約10 nMであってよい。いくつかの態様において、2つの抗原結合部位間の親和性の差異は、約2倍もしくはそれ以上、約3倍もしくはそれ以上、約5倍もしくはそれ以上、約8倍もしくはそれ以上、約10倍もしくはそれ以上、約15倍もしくはそれ以上、約20倍もしくはそれ以上、約30倍もしくはそれ以上、約50倍もしくはそれ以上、または約100倍もしくはそれ以上であってよい。2つの抗原結合部位の親和性の調節は、二重特異性抗体の生物学的活性に影響を与えうる。例えば、DLL4またはVEGFに対する抗原結合部位の親和性を低下させることは、所望の効果、例えば結合剤の毒性の低下または治療指数の増加を及ぼしうる。
【0092】
非限定的な例として、二重特異性抗体は、(a) 約0.1 nM〜約1.0 nMのK
DでヒトVEGFを結合する第1の抗原結合部位、および(b) 約0.1 nM〜約20 nM、約0.5 nM〜約20 nM、約1.0 nM〜10 nMのK
DでヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含みうる。ある種の態様において、二重特異性抗体は、2つの同一の軽鎖を含む。
【0093】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は約1 μMもしくはそれ以下、約100 nMもしくはそれ以下、約40 nMもしくはそれ以下、約20 nMもしくはそれ以下、約10 nMもしくはそれ以下、約1 nMもしくはそれ以下または約0.1 nMもしくはそれ以下の半最大有効濃度(EC
50)でVEGFおよび/またはDLL4を結合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は約1 μMもしくはそれ以下、約100 nMもしくはそれ以下、約40 nMもしくはそれ以下、約20 nMもしくはそれ以下、約10 nMもしくはそれ以下、約1 nMもしくはそれ以下または約0.1 nMもしくはそれ以下の半最大有効濃度(EC
50)でVEGFおよび/またはDLL4を結合する。
【0094】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗体である。いくつかの態様において、抗体は組み換え抗体である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はキメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト化抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト抗体である。いくつかの態様において、抗体はIgA、IgD、IgE、IgGまたはIgM抗体である。ある種の態様において、抗体はIgG1抗体である。ある種の態様において、抗体はIgG2抗体である。ある種の態様において、抗体は、抗原結合部位を含む抗体断片である。いくつかの態様において、抗体は二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗体は一価、単一特異性、二価または多重特異性である。いくつかの態様において、抗体は細胞傷害性部分に結合される。いくつかの態様において、抗体は単離される。いくつかの態様において、抗体は実質的に純粋である。
【0095】
本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、当技術分野において公知の任意の方法により特異的結合についてアッセイすることができる。使用できるイムノアッセイ法には、例えば、Biacore分析、FACS分析、免疫蛍光、免疫細胞化学、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ法、ELISA法、「サンドイッチ」イムノアッセイ法、免疫沈降アッセイ法、沈殿反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ法、凝集アッセイ法、補体固定アッセイ法、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ法、均一時間分解蛍光アッセイ(HTRF)法およびプロテインAイムノアッセイ法などの技法を用いた、競合的アッセイ系および非競合的アッセイ系が含まれるが、これらに限定されることはない。このようなアッセイ法は日常的なものであり、当技術分野において周知である(例えば、Ausubel et al., Editors, 1994-present, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照のこと)。
【0096】
例えば、抗体とヒトVEGFおよび/またはヒトDLL4との特異的結合は、ELISA法を用いて決定されうる。ELISAアッセイ法には抗原を調製する段階、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングする段階、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)基質などの検出可能な化合物を結合させた抗体または他の結合剤をウェルに添加する段階、一定時間インキュベートする段階、および抗原に結合した結合剤の存在を検出する段階が含まれる。いくつかの態様において、結合剤または抗体に検出可能な化合物を結合させないが、その代わりに、結合剤または抗体を認識する第2の抗体(例えば、抗Fc抗体)であって、検出可能な化合物を結合させた該抗体がウェルに添加される。いくつかの態様において、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、結合剤または抗体をウェルにコーティングしてもよく、コーティングされたウェルに抗原を添加した後に、検出可能な化合物を結合させた第2の抗体を添加してもよい。当業者であれば、検出されたシグナルを増加させるためにパラメータを変えられること、および当技術分野において公知のELISAの他のバリエーションに精通しているであろう。
【0097】
別の例において、抗体とヒトVEGFおよび/またはヒトDLL4との特異的結合は、FACSを用いて決定されうる。FACSスクリーニングアッセイ法には、融合タンパク質として抗原を発現するcDNA構築体を作出する段階、構築体を細胞にトランスフェクションする段階、細胞の表面に抗原を発現させる段階、結合剤または抗体とトランスフェクションされた細胞とを混合する段階、および一定時間インキュベートする段階が含まれうる。結合剤または抗体が結合した細胞は、検出可能な化合物を結合させた二次抗体(例えば、PE結合抗Fc抗体)およびフローサイトメーターを用いることによって特定されうる。当業者であれば、検出されたシグナルを最適化するためにパラメータを変えられること、およびスクリーニング(例えば、ブロッキング抗体のスクリーニング)を増強しうるFACSの他のバリエーションに精通しているであろう。
【0098】
抗原(例えばVEGFまたはDLL4)に対する抗体または他の結合剤の結合親和性および抗体-抗原相互作用のオフ速度は、競合的結合アッセイ法によって決定することができる。競合的結合アッセイ法の一例は、漸増量の非標識抗原の存在下で、標識された抗原(例えば、
3Hもしくは
125I)またはその断片もしくは変種と関心対象の抗体とをインキュベーションした後に、標識された抗原に結合した抗体を検出する段階を含む、ラジオイムノアッセイ法である。抗原に対する抗体の親和性および結合オフ速度は、スキャッチャードプロット分析によってデータから決定することができる。いくつかの態様において、Biacore動態解析を用いて、抗原(例えばVEGFまたはDLL4)を結合する抗体または薬剤の結合オンオフ速度を決定する。Biacore動態解析は、その表面に固定化された抗原(例えばVEGFまたはDLL4)を有するチップからの抗体の結合および解離を解析する段階を含む。
【0099】
ある種の態様において、本発明は、抗体219R45のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、および/または6つを含む、ヒトVEGFを特異的に結合するVEGF結合剤(例えば、抗体)を提供する(表1参照)。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、219R45のCDRの1つもしくはそれ以上、219R45のCDRの2つもしくはそれ以上、219R45のCDRの3つもしくはそれ以上、219R45のCDRの4つもしくはそれ以上、219R45のCDRの5つもしくはそれ以上、または219R45のCDRの6つ全てを含む。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、ヒトVEGFおよびマウスVEGFを結合する。
【0100】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0101】
ある種の態様において、本発明は、ヒトVEGFを特異的に結合するVEGF結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記VEGF結合剤が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0102】
ある種の態様において、本発明は、ヒトVEGFを特異的に結合するVEGF結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記VEGF結合剤が、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (c)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (d)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (e)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; および(f)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種を含む。ある種の態様において、アミノ酸置換は保存的置換である。
【0103】
ある種の態様において、本発明は、VEGFを特異的に結合するVEGF結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記VEGF結合剤が、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:11を含んだ重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含んだ軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:11から本質的になる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12から本質的になる軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:49を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む。いくつかの態様において、VEGF結合抗体または他の薬剤は、SEQ ID NO:7を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む。
【0104】
いくつかの態様において、VEGF結合剤は、約10 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合する。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、約1 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合する。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、約0.1 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合する。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、約0.01 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合する。いくつかの態様において、VEGF結合剤の少なくとも1つのCDRにおける少なくとも1つのアミノ酸残基は、VEGFに対するVEGF結合剤の親和性が改変されるように、異なるアミノ酸で置換される。いくつかの態様において、VEGF結合剤の親和性は増加する。いくつかの態様において、VEGF結合剤の親和性は減少する。いくつかの態様において、VEGF結合剤はヒトVEGFを結合する。いくつかの態様において、VEGF結合剤はヒトVEGFおよびマウスVEGFを結合する。
【0105】
ある種の態様において、VEGF結合剤は、219R45抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は、(リーダー配列を有するまたは有しない) 219R45抗体の重鎖および軽鎖を含む。ある種の態様において、VEGF結合剤は219R45抗体である。
【0106】
ある種の態様において、VEGF結合剤は、抗体219R45を含むか、抗体219R45から本質的になるか、または抗体219R45からなる。
【0107】
ある種の態様において、VEGF結合剤(例えば、抗体)は、本発明の抗体と同じVEGF上のエピトープまたは本質的に同じVEGF上のエピトープに結合する。別の態様において、VEGF結合剤は、本発明の抗体が結合するVEGF上のエピトープと重複するVEGF上のエピトープに結合する抗体である。ある種の態様において、VEGF結合剤(例えば、抗体)は、抗体219R45と同じVEGF上のエピトープまたは本質的に同じVEGF上のエピトープに結合する。別の態様において、VEGF結合剤は、抗体219R45が結合するVEGF上のエピトープと重複するVEGF上のエピトープに結合する抗体である。
【0108】
いくつかの態様において、VEGF結合剤は、VEGFと少なくとも1つのVEGF受容体との結合を阻害する。ある種の態様において、VEGF結合剤は、ヒトVEGFとVEGFR-1またはVEGFR-2との結合を阻害する。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、VEGFを特異的に結合し、血管新生を調節する。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、VEGFを特異的に結合し、血管新生を阻害する。いくつかの態様において、VEGF結合剤は、VEGFを特異的に結合し、腫瘍成長を阻害する。
【0109】
ある種の態様において、本発明は、抗体21R79のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、および/または6つを含む、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供する(表2参照)。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、21R79のCDRの1つもしくはそれ以上、21R79のCDRの2つもしくはそれ以上、21R79のCDRの3つもしくはそれ以上、21R79のCDRの4つもしくはそれ以上、21R79のCDRの5つもしくはそれ以上、または21R79のCDRの6つ全てを含む。ある種の態様において、本発明は、抗体21R75のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、および/または6つを含む、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供する(表2参照)。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、21R75のCDRの1つもしくはそれ以上、21R75のCDRの2つもしくはそれ以上、21R75のCDRの3つもしくはそれ以上、21R75のCDRの4つもしくはそれ以上、21R75のCDRの5つもしくはそれ以上、または21R75のCDRの6つ全てを含む。ある種の態様において、本発明は、抗体21R83のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、および/または6つを含む、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供する(表2参照)。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、21R83のCDRの1つもしくはそれ以上、21R83のCDRの2つもしくはそれ以上、21R83のCDRの3つもしくはそれ以上、21R83のCDRの4つもしくはそれ以上、21R83のCDRの5つもしくはそれ以上、または21R83のCDRの6つ全てを含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、ヒトDLL4およびマウスDLL4を結合する。
【0110】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0111】
ある種の態様において、DLL4結合抗体の重鎖CDR1は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ最小限のHC CDR1である。
【0112】
いくつかの態様において、結合剤は、ヒトDLL4を結合する抗体であり、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、配列中でX
1がセリンまたはアラニンであり、X
2がセリン、アスパラギンまたはグリシンであり、X
3がアスパラギンまたはリジンであり、かつX
4がグリシン、アルギニンまたはアスパラギン酸である
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3; ならびに
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0113】
ある種の態様において、本発明は、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0114】
ある種の態様において、本発明は、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (c)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (d)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (e)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; および(f)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種を含む。ある種の態様において、アミノ酸置換は保存的置換である。
【0115】
ある種の態様において、本発明は、DLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、SEQ ID NO:10と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:10と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:10と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:10を含んだ重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含んだ軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:10から本質的になる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12から本質的になる軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:48を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む。いくつかの態様において、DLL4結合抗体または他の薬剤は、SEQ ID NO:6を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む。いくつかの態様において、抗体は二重特異性抗体である。
【0116】
ある種の態様において、本発明は、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0117】
ある種の態様において、本発明は、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (c)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (d)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (e)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; および(f)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種を含む。ある種の態様において、アミノ酸置換は保存的置換である。
【0118】
ある種の態様において、本発明は、DLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、SEQ ID NO:58と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:58と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:58を含んだ重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含んだ軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:58から本質的になる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12から本質的になる軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:56を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む。
【0119】
ある種の態様において、本発明は、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0120】
ある種の態様において、本発明は、ヒトDLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (c)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (d)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (e)
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を含んだ軽鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; および(f)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種を含む。ある種の態様において、アミノ酸置換は保存的置換である。
【0121】
ある種の態様において、本発明は、DLL4を特異的に結合するDLL4結合剤(例えば、抗体)を提供し、前記DLL4結合剤が、SEQ ID NO:64と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:64と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:64を含んだ重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含んだ軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:64から本質的になる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12から本質的になる軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:62を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む。いくつかの態様において、薬剤は二重特異性抗体である。
【0122】
いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:5を含んだ重鎖、およびSEQ ID NO:8を含んだ軽鎖を含む抗体である。いくつかの態様において、抗体は二重特異性抗体である。
【0123】
いくつかの態様において、DLL4結合剤は、25 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、10 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、約1 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、約0.1 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、約0.01 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤の少なくとも1つのCDRにおける少なくとも1つのアミノ酸残基は、DLL4に対するDLL4結合剤の親和性が改変されるように、異なるアミノ酸で置換される。いくつかの態様において、DLL4結合剤の親和性は増加する。いくつかの態様において、DLL4結合剤の親和性は減少する。
【0124】
ある種の態様において、DLL4結合剤は、21R79抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、(リーダー配列を有するまたは有しない) 21R79抗体の重鎖および軽鎖を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は21R79抗体である。
【0125】
ある種の態様において、DLL4結合剤は、抗体21R79を含むか、抗体21R79から本質的になるか、または抗体21R79からなる。
【0126】
ある種の態様において、DLL4結合剤は、21R75抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、(リーダー配列を有するまたは有しない) 21R75抗体の重鎖および軽鎖を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は21R75抗体である。
【0127】
ある種の態様において、DLL4結合剤は、抗体21R75を含むか、抗体21R75から本質的になるか、または抗体21R75からなる。
【0128】
ある種の態様において、DLL4結合剤は、21R83抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は、(リーダー配列を有するまたは有しない) 21R83抗体の重鎖および軽鎖を含む。ある種の態様において、DLL4結合剤は21R83抗体である。
【0129】
ある種の態様において、DLL4結合剤は、抗体21R83を含むか、抗体21R83から本質的になるか、または抗体21R83からなる。
【0130】
いくつかの態様において、DLL4結合剤は、ヒトDLL4のN末端断片(SEQ ID NO:24のアミノ酸1〜191)を結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:25のアミノ酸40〜47を含んだエピトープを結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:25のアミノ酸113〜120を含んだエピトープを結合する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:25のアミノ酸40〜47およびSEQ ID NO:25のアミノ酸113〜120を含んだエピトープを結合する。
【0131】
ある種の態様において、DLL4結合剤(例えば、抗体)は、本発明の抗体と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じ、DLL4上のエピトープに結合する。別の態様において、DLL4結合剤は、本発明の抗体が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。ある種の態様において、DLL4結合剤(例えば、抗体)は抗体21R79と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じDLL4上のエピトープに結合する。別の態様において、DLL4結合剤は、抗体21R79が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。ある種の態様において、DLL4結合剤(例えば、抗体)は、抗体21R75と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じDLL4上のエピトープに結合する。別の態様において、DLL4結合剤は、抗体21R75が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。ある種の態様において、DLL4結合剤(例えば、抗体)は、抗体21R83と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じDLL4上のエピトープに結合する。別の態様において、DLL4結合剤は、抗体21R83が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。
【0132】
いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4と少なくとも1つのNotch受容体との結合を阻害する。ある種の態様において、Notch受容体はNotch1、Notch2、Notch3またはNotch4である。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4を特異的に結合し、DLL4活性を阻害する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4を特異的に結合し、Notchシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4を特異的に結合し、血管新生を調節する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4を特異的に結合し、腫瘍成長を阻害する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4を特異的に結合し、腫瘍形成を阻害する。いくつかの態様において、DLL4結合剤は、DLL4を特異的に結合し、腫瘍中のCSCの数または頻度を低減する。
【0133】
ある種の態様において、本発明は、二重特異性抗体であるVEGF/DLL4結合剤を提供する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位および腫瘍関連標的を結合する第2の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体であり、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体であり、第1の抗原結合部位が、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0134】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、SEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をさらに含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0135】
ある種の態様において、本発明は、二重特異性抗体であるVEGF/DLL4結合剤を提供する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を特異的に結合する第1の抗原結合部位および腫瘍関連標的を結合する第2の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体であり、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、配列中でX
1がセリンまたはアラニンであり、X
2がセリン、アスパラギンまたはグリシンであり、X
3がアスパラギンまたはリジンであり、かつX
4がグリシン、アルギニンまたはアスパラギン酸である
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3; ならびに
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体であり、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む第1の抗原結合部位を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む第1の抗原結合部位を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む第1の抗原結合部位を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含む第1の抗原結合部位を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を特異的に結合する第1の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体であり、第1の抗原結合部位が、(a)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0136】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:58またはSEQ ID NO:64と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、SEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をさらに含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:58もしくはSEQ ID NO:64と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域; および/またはSEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0137】
ある種の態様において、本発明は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を特異的に結合するVEGF/DLL4結合剤(例えば、二重特異性抗体)を提供する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、a) ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびb) ヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み; 第2の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、配列中でX
1がセリンまたはアラニンであり、X
2がセリン、アスパラギンまたはグリシンであり、X
3がアスパラギンまたはリジンであり、かつX
4がグリシン、アルギニンまたはアスパラギン酸である
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3; ならびに
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み、ならびに第2の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み; かつ第1および第2の抗原結合部位の両方が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0138】
いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み、ならびに第2の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み; かつ第1および第2の抗原結合部位の両方が、
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を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、219R45-MB-21R79である。
【0139】
いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み、ならびに第2の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み; かつ第1および第2の抗原結合部位の両方が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、219R45-MB-21M18である。
【0140】
いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み、ならびに第2の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み; かつ第1および第2の抗原結合部位の両方が、
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を含んだ軽鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、219R45-MB-21R75である。
【0141】
いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み、ならびに第2の抗原結合部位が、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR1、
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR2、および
[この文献は図面を表示できません]
を含んだ重鎖CDR3を含み; かつ第1および第2の抗原結合部位の両方が、
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を含んだ軽鎖CDR1、
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を含んだ軽鎖CDR2、および
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を含んだ軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、219R45-MB-21R83である。
【0142】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、二重特異性抗体)は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:58またはSEQ ID NO:64と少なくとも約80%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域; SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:58またはSEQ ID NO:64と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域; ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:9と少なくとも約95%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:10と少なくとも約95%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:58と少なくとも約95%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:64と少なくとも約95%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも約95%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11を含んだ第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:9を含んだ第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12を含んだ第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11を含んだ第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:10を含んだ第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12を含んだ第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11を含んだ第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:58を含んだ第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12を含んだ第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11を含んだ第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:64を含んだ第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12を含んだ第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11から本質的になる第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:9から本質的になる第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12から本質的になる第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11から本質的になる第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:10から本質的になる第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12から本質的になる第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11から本質的になる第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:58から本質的になる第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12から本質的になる第1および第2の軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、二重特異性VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:11から本質的になる第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:64から本質的になる第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12から本質的になる第1および第2の軽鎖可変領域を含む。
【0143】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗VEGF抗体219R45由来の重鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗DLL4抗体21M18由来の重鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗DLL4抗体21R79由来の重鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗DLL4抗体21R75由来の重鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗DLL4抗体21R83由来の重鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗VEGF抗体219R45由来の重鎖可変領域、抗DLL4抗体21R79由来の重鎖可変領域および2つの同一の軽鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗VEGF抗体219R45由来の重鎖可変領域、抗DLL4抗体21M18由来の重鎖可変領域および2つの同一の軽鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗VEGF抗体219R45由来の重鎖可変領域、抗DLL4抗体21R75由来の重鎖可変領域および2つの同一の軽鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗VEGF抗体219R45由来の重鎖可変領域、抗DLL4抗体21R83由来の重鎖可変領域および2つの同一の軽鎖可変領域を含む二重特異性抗体である。
【0144】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、各々がヘテロ多量体の形成を促進するように修飾されている第1のCH3ドメインおよび第2のCH3ドメインを含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、第1および第2のCH3ドメインは、ノブ・イントゥ・ホール(knobs-into-holes)技法を用いて修飾される。いくつかの態様において、第1および第2のCH3ドメインは、静電相互作用の改変を引き起こすアミノ酸の変化を含む。いくつかの態様において、第1および第2のCH3ドメインは、疎水性/親水性相互作用の改変を引き起こすアミノ酸の変化を含む。
【0145】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(a) 位置253および292のアミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートで置換されている第1のヒトIgG1定常領域、ならびに位置240および282のアミノ酸がリジンで置換されている第2のヒトIgG1定常領域; (b) 位置249および288のアミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートで置換されている第1のヒトIgG2定常領域、ならびに位置236および278のアミノ酸がリジンで置換されている第2のヒトIgG2定常領域; (c) 位置300および339のアミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートで置換されている第1のヒトIgG3定常領域、ならびに位置287および329のアミノ酸がリジンで置換されている第2のヒトIgG3定常領域; かつ(d) 位置250および289のアミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートで置換されている第1のヒトIgG4定常領域、ならびに位置237および279のアミノ酸がリジンで置換されている第2のIgG4定常領域からなる群より選択される重鎖定常領域を含む二重特異性抗体である。
【0146】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、アミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートであるアミノ酸の置換を、位置253および292に有する第1のヒトIgG1定常領域、ならびにアミノ酸がリジンであるアミノ酸の置換を、位置240および282に有する第2のヒトIgG1定常領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、アミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートであるアミノ酸の置換を、位置249および288に有する第1のヒトIgG2定常領域、ならびにアミノ酸がリジンであるアミノ酸の置換を、位置236および278に有する第2のヒトIgG2定常領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、アミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートであるアミノ酸の置換を、位置300および339に有する第1のヒトIgG3定常領域、ならびにアミノ酸がリジンであるアミノ酸の置換を、位置287および329に有する第2のヒトIgG2定常領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、アミノ酸がグルタメートまたはアスパルテートであるアミノ酸の置換を、位置250および289に有する第1のヒトIgG4定常領域、ならびにアミノ酸がリジンであるアミノ酸の置換を、位置237および279に有する第2のヒトIgG4定常領域を含む二重特異性抗体である。
【0147】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、アミノ酸がグルタメートであるアミノ酸の置換を、位置249および288に有する第1のヒトIgG2定常領域、ならびにアミノ酸がリジンであるアミノ酸の置換を、位置236および278に有する第2のヒトIgG2定常領域を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、アミノ酸がアスパルテートであるアミノ酸の置換を、位置249および288に有する第1のヒトIgG2定常領域、ならびにアミノ酸がリジンであるアミノ酸の置換を、位置236および278に有する第2のヒトIgG2定常領域を含む二重特異性抗体である。
【0148】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:7の重鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:5の重鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:56の重鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:62の重鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、SEQ ID NO:12の軽鎖をさらに含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:7の重鎖、SEQ ID NO:5の重鎖およびSEQ ID NO:8の2つの軽鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:7の重鎖、SEQ ID NO:6の重鎖およびSEQ ID NO:8の2つの軽鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:7の重鎖、SEQ ID NO:56の重鎖およびSEQ ID NO:8の2つの軽鎖を含む二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:7の重鎖、SEQ ID NO:62の重鎖およびSEQ ID NO:8の2つの軽鎖を含む二重特異性抗体である。
【0149】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約50 nMもしくはそれ以下、約25 nMもしくはそれ以下、約10 nMもしくはそれ以下、約1 nMもしくはそれ以下または約0.1 nMもしくはそれ以下のK
DでVEGFを結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約50 nMもしくはそれ以下、約25 nMもしくはそれ以下、約10 nMもしくはそれ以下、約1 nMもしくはそれ以下または約0.1 nMもしくはそれ以下のK
DでDLL4を結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、約50 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合し、かつ約50 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、約25 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合し、かつ約25 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、約10 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合し、かつ約10 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、約1 nMまたはそれ以下のK
DでVEGFを結合し、かつ約1 nMまたはそれ以下のK
DでDLL4を結合する。
【0150】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、もう1つの抗原結合部位の結合親和性よりも弱い結合親和性を有する1つの抗原結合部位を含む二重特異性抗体である。例えば、いくつかの態様において、二重特異性抗体は、約0.1 nMから1 nMに及ぶK
DでVEGFを結合することができ、約1 nMから10 nMに及ぶK
DでDLL4を結合することができる。あるいは二重特異性抗体は、約1 nMから10 nMに及ぶK
DでVEGFを結合することができ、約0.1 nMから1 nMに及ぶK
DでDLL4を結合することができる。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、約0.1 nMから1 nMに及ぶK
DでDLL4を結合することができ、約1 nMから10 nMに及ぶK
DでVEGFを結合することができる。あるいは二重特異性抗体は、約1 nMから10 nMに及ぶK
DでDLL4を結合することができ、約0.1 nMから1 nMに及ぶK
DでVEGFを結合することができる。いくつかの態様において、2つの抗原結合部位間の親和性の差異は、約2倍もしくはそれ以上、約3倍もしくはそれ以上、約5倍もしくはそれ以上、約8倍もしくはそれ以上、約10倍もしくはそれ以上、約15倍もしくはそれ以上、約30倍もしくはそれ以上、約50倍もしくはそれ以上、または約100倍もしくはそれ以上であってよい。いくつかの態様において、VEGFに対する抗原結合部位の少なくとも1つのCDRにおける少なくとも1つのアミノ酸残基は、VEGF結合部位の親和性が改変されるように、異なるアミノ酸で置換される。いくつかの態様において、VEGF結合部位の親和性は増加する。いくつかの態様において、VEGF結合部位の親和性は減少する。いくつかの態様において、DLL4に対する抗原結合部位の少なくとも1つのCDRにおける少なくとも1つのアミノ酸残基は、DLL4結合部位の親和性が改変されるように、異なるアミノ酸で置換される。いくつかの態様において、DLL4結合部位の親和性は増加する。いくつかの態様において、DLL4結合部位の親和性は減少する。いくつかの態様において、VEGFおよびDLL4の両方の抗原結合部位の親和性が改変される。
【0151】
本発明は、VEGFおよび/またはDLL4を特異的に結合する、抗体を含むが、これに限定されない、ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、ポリペプチドはヒトVEGFを結合する。いくつかの態様において、ポリペプチドはヒトDLL4を結合する。いくつかの態様において、ポリペプチドはヒトVEGFおよびマウスVEGFを結合する。いくつかの態様において、ポリペプチドはヒトDLL4およびマウスDLL4を結合する。
【0152】
いくつかの態様において、VEGF結合剤は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:47およびSEQ ID NO:49からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドを含む。
【0153】
いくつかの態様において、DLL4結合剤は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ NO ID:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63およびSEQ ID NO:64からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドを含む。
【0154】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63およびSEQ ID NO:64からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドを含む。
【0155】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63およびSEQ ID NO:64からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドを含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:47およびSEQ ID NO:49からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドをさらに含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:12からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドをさらに含む。
【0156】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:47およびSEQ ID NO:49からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドを含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID N0:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63およびSEQ ID NO:64からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドをさらに含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:12からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドをさらに含む。
【0157】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、VEGFとの特異的結合について、SEQ ID NO:11を含んだ重鎖可変領域およびSEQ ID NO:12を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFとの特異的結合について、抗体219R45と競合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、インビトロ競合的結合アッセイ法においてVEGFとの特異的結合について競合する。いくつかの態様において、VEGFはヒトVEGFである。いくつかの態様において、VEGFはマウスVEGFである。
【0158】
ある種の態様において、VEGF-DLL4結合剤(例えば、抗体)は、本発明の抗体と同じVEGF上のエピトープまたは本質的に同じVEGF上のエピトープに結合する。別の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、本発明の抗体が結合するVEGF上のエピトープと重複するVEGF上のエピトープに結合する抗体である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、抗体219R45と同じVEGF上のエピトープまたは本質的に同じVEGF上のエピトープに結合する。別の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45が結合するVEGF上のエピトープと重複するVEGF上のエピトープに結合する抗体である。
【0159】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) VEGFとの特異的結合について、抗体219R45と競合する薬剤である。
【0160】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、DLL4との特異的結合について、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:58またはSEQ ID NO:64を含んだ重鎖可変領域およびSEQ ID NO:12を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4との特異的結合について、抗体21R79と競合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4との特異的結合について、抗体21R75と競合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4との特異的結合について、抗体21R83と競合する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、インビトロ競合的結合アッセイ法においてDLL4との特異的結合について競合する。いくつかの態様において、DLL4はヒトDLL4である。いくつかの態様において、DLL4はマウスDLL4である。
【0161】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、本発明の抗体と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じ、DLL4上のエピトープに結合する。別の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、本発明の抗体が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R79と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じDLL4上のエピトープに結合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R75と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じDLL4上のエピトープに結合する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R83と同じDLL4上のエピトープまたは本質的に同じDLL4上のエピトープに結合する。別の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R79が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。別の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R75が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。別の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R83が結合するDLL4上のエピトープと重複するDLL4上のエピトープに結合する抗体である。
【0162】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) DLL4との特異的結合について、抗体21R79と競合する薬剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) DLL4との特異的結合について、抗体21R75と競合する薬剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) DLL4との特異的結合について、抗体21R83と競合する薬剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) DLL4との特異的結合について、抗体21M18と競合する薬剤である。
【0163】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) VEGFおよび/またはDLL4との特異的結合について、二重特異性抗体219R45-MB-21M18と競合する薬剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) VEGFおよび/またはDLL4との特異的結合について、二重特異性抗体219R45-MB-21M79と競合する薬剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) VEGFおよび/またはDLL4との特異的結合について、二重特異性抗体219R45-MB-21M75と競合する薬剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、(例えば、競合的結合アッセイ法において) VEGFおよび/またはDLL4との特異的結合について、二重特異性抗体219R45-MB-21M83と競合する薬剤である。
【0164】
ある種の態様において、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、VEGFを結合し、VEGF活性を調節する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFアンタゴニストであり、VEGF活性を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFアンタゴニストであり、血管新生を調節する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFアンタゴニストであり、血管新生を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFアンタゴニストであり、腫瘍成長を阻害する。
【0165】
ある種の態様において、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、ヒトDLL4を結合し、DLL4活性を調節する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4アンタゴニストであり、DLL4活性を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4アンタゴニストであり、Notch活性を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4アンタゴニストであり、Notchシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4アンタゴニストであり、血管新生を調節する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4アンタゴニストであり、異常な血管新生を促進する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4アンタゴニストであり、腫瘍成長を阻害する。
【0166】
ある種の態様において、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、ヒトVEGFを結合し、かつVEGF活性を調節する二重特異性抗体である。ある種の態様において、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、ヒトDLL4を結合し、かつDLL4活性を調節する二重特異性抗体である。ある種の態様において、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を結合し、かつVEGFおよびDLL4の両方の活性を調節する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、VEGF活性およびDLL4活性の両方を阻害する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、VEGF活性およびNotch活性を阻害する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、VEGF活性およびNotchシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、血管新生を調節する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、異常な血管新生を促進する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、血管新生を阻害する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、VEGFアンタゴニストかつDLL4アンタゴニストであり、腫瘍成長を阻害する。
【0167】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体または二重特異性抗体)は、VEGFのアンタゴニストである。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFのアンタゴニストであり、VEGF活性を阻害する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はVEGF活性を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または約100%だけ阻害する。ある種の態様において、ヒトVEGF活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45である。ある種の態様において、ヒトVEGF活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、219R45の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトVEGF活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18である。ある種の態様において、ヒトVEGF活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79である。ある種の態様において、ヒトVEGF活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75である。ある種の態様において、ヒトVEGF活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83である。
【0168】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、DLL4のアンタゴニストである。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4のアンタゴニストであり、DLL4活性を阻害する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はDLL4活性を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または約100%だけ阻害する。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R79である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R75である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R83である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R79の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R75の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R83の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75である。ある種の態様において、ヒトDLL4活性を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83である。
【0169】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、Notchシグナル伝達のアンタゴニストである。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はNotchシグナル伝達を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または約100%だけ阻害する。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R79である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R75である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R83である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R79の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R75の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R83の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75である。ある種の態様において、Notchシグナル伝達を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83である。
【0170】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、VEGFと少なくとも1種の受容体との結合を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFとVEGFR-1またはVEGFR-2との結合を阻害する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも約95%だけ阻害する。ある種の態様において、ヒトVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45である。ある種の態様において、ヒトVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、219R45の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18である。ある種の態様において、ヒトVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79である。ある種の態様において、ヒトVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75である。ある種の態様において、ヒトVEGFと少なくとも1種のVEGF受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83である。
【0171】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、DLL4タンパク質と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4とNotch1、Notch2、Notch3および/またはNotch4との結合を阻害する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも約95%だけ阻害する。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R79である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R75である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、抗体21R83である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R79の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R75の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、21R83の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75である。ある種の態様において、ヒトDLL4と少なくとも1種のNotch受容体との結合を阻害するVEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83である。
【0172】
VEGF/DLL4結合剤(または候補VEGF/DLL4結合剤)がVEGFを阻害するか、または血管新生に影響を与えるかどうかを判定するためのインビボおよびインビトロでのアッセイ法は、当技術分野において公知である。血管新生のインビトロでのアッセイ法には、HUVEC増殖アッセイ法、内皮細胞管腔形成アッセイ法、発芽(または芽形成)アッセイ法、HUVEC細胞移動アッセイ法、および浸潤アッセイ法が含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、VEGFの存在下かつVEGF/DLL4結合剤の存在下での細胞を、VEGFの存在下、VEGF/DLL4結合剤の非存在下での細胞と比較し、血管新生に及ぼす効果(または血管新生に関連した生物学的効果)について評価する。血管新生のインビボでのアッセイ法には、マトリゲル・プラグ・アッセイ法、角膜マイクロポケット・アッセイ法、およびニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイ法が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0173】
VEGF/DLL4結合剤(または候補VEGF/DLL4結合剤)がNotch活性化またはシグナル伝達を阻害するかどうかを判定するためのインビボおよびインビトロでのアッセイ法は、当技術分野において公知である。例えば、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に複数コピーのTCF結合ドメインを含有するTCF/Lucレポーターベクターを利用した、細胞に基づくルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いて、インビトロでNotchシグナル伝達レベルを測定することができる(Gazit et al., 1999, Oncogene, 18; 5959-66; TOPflash, Millipore, Billerica MA)。いくつかの態様において、ホタルルシフェラーゼレポーター(report)遺伝子の上流に複数コピーのCBF結合ドメインを含有するCBF/Lucレポーターベクターを利用した、細胞に基づくルシフェラーゼレポーターアッセイ法が用いられうる。1種または複数種のNotchリガンド(例えば、トランスフェクション細胞の表面に発現されたDLL4または可溶性DLL4-Fc融合タンパク質)の存在下でのかつVEGF/DLL4結合剤の存在下でのNotchシグナル伝達のレベルを、VEGF/DLL4結合剤の非存在下でのNotchシグナル伝達のレベルと比較する。
【0174】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、腫瘍細胞の増殖を阻害する、腫瘍成長を阻害する、腫瘍の腫瘍形成性を低減する、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減する、腫瘍細胞の細胞死を誘発する、腫瘍細胞の転移を抑止する、腫瘍細胞の生存を低下させる、血管新生を調節する、血管新生を阻害する、非生産的血管新生を阻害する、または異常な血管新生を促進するという効果の1つまたは複数を有する。
【0175】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、腫瘍成長を阻害することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、インビボで(例えば、異種移植マウスモデルで、および/またはがんを有するヒトで)腫瘍成長を阻害することができる。ある種の態様において、腫瘍成長は非処置腫瘍と比べて少なくとも約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約50倍、約100倍、または約1000倍阻害される。
【0176】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、腫瘍の腫瘍形成性を低減することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、マウス異種移植モデルのような、動物モデルにおいてがん幹細胞を含む腫瘍の腫瘍形成性を低減することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度を減少させることにより腫瘍の腫瘍形成性を低減することができる。ある種の態様において、腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度は、少なくとも約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約50倍、約100倍、または約1000倍だけ低減される。ある種の態様において、がん幹細胞の数または頻度の低減は、動物モデルを用いた限界希釈アッセイ法によって判定される。腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度の低減を判定するために限界希釈アッセイ法を用いることに関するさらなる例および手引きは、例えば、国際公開番号WO 2008/042236; 米国特許出願公開第2008/0064049号; および米国特許出願公開第2008/0178305号において見出すことができる。
【0177】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、血管新生を調節することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、インビボで(例えば、異種移植マウスモデルで、および/またはがんを有するヒトで)血管新生を調節することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、血管新生を阻害することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、異常な血管新生を促進することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、血管新生を阻害しおよび/または異常な血管新生を促進し、非生産的脈管化をもたらしうる。
【0178】
ある種の態様において、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤は、少なくとも約2時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約3日、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間の、マウス、カニクイザルまたはヒトでの循環血中半減期を有する。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、少なくとも約2時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約3日、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間の、マウス、カニクイザルまたはヒトでの循環血中半減期を有するIgG (例えば、IgG1またはIgG2)抗体である。ポリペプチドおよび抗体のような薬剤の半減期を増加させる(または減少させる)方法は、当技術分野において公知である。例えば、IgG抗体の循環血中半減期を増加させる公知の方法には、pH 6.0で抗体と新生児型Fc受容体(FcRn)とのpH依存的な結合を増加させるFc領域における変異の導入が含まれる(例えば、米国特許出願公開第2005/0276799号、同第2007/0148164号および同第2007/0122403号を参照のこと)。Fc領域を欠く抗体断片の循環血中半減期を増加させる公知の方法には、PEG化のような技法が含まれる。
【0179】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗体である。ポリクローナル抗体は任意の公知の方法によって調製することができる。いくつかの態様において、ポリクローナル抗体は、複数回の皮下注射または腹腔内注射により関心対象の抗原(例えば、精製されたペプチド断片、完全長組み換えタンパク質または融合タンパク質)で動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ロバ)を免疫することによって産生される。抗原は任意で、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または血清アルブミンのような担体に結合されてもよい。抗原(担体タンパク質ありまたはなしの)を滅菌食塩水中に希釈し、通常、アジュバント(例えば、完全フロイントアジュバントまたは不完全フロイントアジュバント)と組み合わせて安定な乳濁液を形成させる。十分な時間の後、免疫した動物から、通常は血液または腹水からポリクローナル抗体を回収する。ポリクローナル抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および透析を含むが、これらに限定されない、当技術分野において標準的な方法にしたがって血清または腹水から精製することができる。
【0180】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は当業者に公知のハイブリドーマ法を用いて調製することができる(例えば、Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495-497を参照のこと)。いくつかの態様において、ハイブリドーマ法を用いて、マウス、ハムスターまたは他の適切な宿主動物を上述のように免疫して、免疫用の抗原を特異的に結合する抗体のリンパ球による産生を誘発させる。いくつかの態様において、リンパ球はインビトロで免疫することができる。いくつかの態様において、免疫用の抗原はヒトタンパク質またはその部分であることができる。いくつかの態様において、免疫用の抗原はマウスタンパク質またはその部分であることができる。
【0181】
免疫の後、リンパ球を単離し、例えば、ポリエチレングリコールを用いて適当な骨髄腫細胞株と融合させる。当技術分野において公知のように特殊培地を用いてハイブリドーマ細胞を選択するが、融合していないリンパ球および骨髄腫細胞はこの選択過程を生き延びられない。選択された抗原に対して特異的に作製されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、免疫沈降法、免疫ブロッティング法およびインビトロ結合アッセイ法(例えば、フローサイトメトリー、FACS、ELISAおよびラジオイムノアッセイ法)を含むが、これらに限定されない、さまざまな技法によって特定することができる。ハイブリドーマは標準的な方法(J.W. Goding, 1996, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 3
rd Edition, Academic Press, San Diego, CA)を用いるインビトロの培養で、またはインビボで動物中の腹水腫瘍として増殖することができる。モノクローナル抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および透析を含むが、これらに限定されない、当技術分野において標準的な方法にしたがって培地または腹水から精製することができる。
【0182】
いくつかの態様において、モノクローナル抗体は当業者に公知であるように組み換えDNA技法を用いて作出することができる。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から、例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを用いるRT-PCRによって単離し、それらの配列を、標準的な技法を用いて決定する。重鎖および軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを次いで、トランスフェクションされていなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌(E. coli)、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞のような宿主細胞へトランスフェクションされた場合にモノクローナル抗体を産生する適当な発現ベクターへクローニングする。
【0183】
ある種の他の態様において、組み換えモノクローナル抗体またはその断片を、所望の種の可変ドメインまたはCDRを発現するファージディスプレイライブラリから単離することができる(例えば、McCafferty et al., 1990, Nature, 348:552-554; Clackson et al., 1991, Nature, 352:624-628; およびMarks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581-597を参照のこと)。
【0184】
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、例えば、組み換えDNA技術を用いることによって改変し、代わりの抗体を作製することができる。いくつかの態様において、例えば、マウスモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の定常ドメインを、例えば、ヒト抗体のそれらの領域に置き換えてキメラ抗体を作製することができ、または非免疫グロブリンポリペプチドに置き換えて融合抗体を作製することができる。いくつかの態様において、定常領域を切断または除去してモノクローナル抗体の望ましい抗体断片を作製する。可変領域の部位特異的変異誘発または高密度変異誘発を用いて、モノクローナル抗体の特異性、親和性などを最適化することができる。
【0185】
いくつかの態様において、VEGFおよび/DLL4に対するモノクローナル抗体はヒト化抗体である。典型的には、ヒト化抗体は、CDR由来の残基が当業者に公知の方法を用いて、所望の特異性、親和性および/または結合能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターなど)のCDR由来の残基により置き換えられている、ヒト免疫グロブリンである。いくつかの態様において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能力を有する非ヒト種由来の抗体における対応残基で置き換えられる。いくつかの態様において、ヒト化抗体を、Fvフレームワーク領域中および/または置き換えられた非ヒト残基内のさらなる残基の置換によりさらに改変して、抗体の特異性、親和性および/または能力を改良および最適化することができる。一般に、ヒト化抗体は、フレームワーク領域の全て、または実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであるのに対して、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDRの全て、または実質的に全てを含んだ少なくとも1つ、および典型的には2つまたは3つの可変ドメイン領域の実質的に全てを含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含むことができる。ある種の態様において、そのようなヒト化抗体は、ヒト対象に投与された時に抗原性およびHAMA (ヒト抗マウス抗体)反応を低減しうるので治療的に用いられる。当業者は、公知の技法にしたがって免疫原性の低下した機能的なヒト化抗体を得ることができるであろう(例えば、米国特許第5,225,539号; 同第5,585,089号; 同第5,693,761号; および同第5,693,762号を参照のこと)。
【0186】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はヒト抗体である。ヒト抗体は当技術分野において公知のさまざまな技法を用いて直接調製することができる。いくつかの態様において、ヒト抗体は、インビトロで免疫された不死化ヒトBリンパ球から、または免疫個体から単離されたリンパ球から作製されうる。どちらの場合にも、標的抗原に対して作製された抗体を産生する細胞を、作製かつ単離することができる(例えば、Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77; Boemer et al., 1991, J. Immunol., 147:86-95; ならびに米国特許第5,750,373号; 同第5,567,610号; および同第5,229,275号を参照のこと)。いくつかの態様において、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから、ヒト抗体を選択することができる(Vaughan et al., 1996, Nature Biotechnology, 14:309-314; Sheets et al., 1998, PNAS, 95:6157-6162; Hoogenboom and Winter, 1991, J. Mol. Biol, 227:381; Marks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581)。あるいは、ファージディスプレイ技術を用いて、非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体および抗体断片を産生してもよい。抗体ファージライブラリの作出および使用のための技法は同様に、米国特許第5,969,108号; 同第6,172,197号; 同第5,885,793号; 同第6,521,404号; 同第6,544,731号; 同第6,555,313号; 同第6,582,915号; 同第6,593,081号; 同第6,300,064号; 同第6,653,068号; 同第6,706,484号; および同第7,264,963号; ならびにRothe et al., 2008, J. Mol. Bio., 376: 1182-1200に記述されている。抗体が特定されたら、鎖シャッフリング(Marks et al., 1992, Bio/Technology, 10:779-783)および部位特異的突然変異誘発法を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の親和性成熟戦略を利用して、高親和性ヒト抗体を作製してもよい。
【0187】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含む遺伝子導入マウスにおいて作出することができる。免疫によって、これらのマウスは、内因性免疫グロブリンを産生せずに、ヒト抗体の全レパートリーを産生することができる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号; 同第5,545,806号; 同第5,569,825号; 同第5,625,126号; 同第5,633,425号; および同第5,661,016号に記述されている。
【0188】
本発明は二重特異性抗体も包含する。二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なる抗原またはエピトープを特異的に認識かつ結合することができる。異なるエピトープは、同じ分子内(例えば、単一のタンパク質上に2種のエピトープ)であってよく、または異なる分子上(例えば、1つのタンパク質上に1種のエピトープかつもう1つのタンパク質上に1種のエピトープ)であってよい。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、個別の抗体と比べてまたは2種以上の抗体の組み合わせと比べて効力の増強を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、個別の抗体と比べてまたは2種以上の抗体の組み合わせと比べて毒性の低減を有する。いずれの結合剤(例えば、抗体)も特有の薬物動態(PK) (例えば、循環血中半減期)を持ちうることが当業者には公知である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2種の個別の結合剤が異なるPKプロファイルを有する2種の活性な結合剤のPKを同調させる能力を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2種の結合剤(例えば、抗体)の作用を共通の領域(例えば、腫瘍および/または腫瘍環境)中に集中させる能力を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2種の結合剤(例えば、抗体)の作用を共通の標的(例えば、腫瘍または腫瘍細胞)へ集中させる能力を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2種の結合剤(例えば、抗体)の作用を2種以上の生物学的経路または機能へ標的化する能力を有する。
【0189】
ある種の態様において、二重特異性抗体は、VEGFおよび第2の標的を特異的に結合する。ある種の態様において、二重特異性抗体は、DLL4および第2の標的を特異的に結合する。ある種の態様において、二重特異性抗体は、VEGFおよびDLL4を特異的に結合する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を特異的に結合する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、モノクローナルヒト抗体またはヒト化抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、血管新生を阻害し、がん幹細胞数または頻度を低減する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、血管成長を阻害し、血管成熟を阻害する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、内皮過剰増殖を抑止する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、毒性および/または副作用の減少を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2種の個別の抗体の混合物または単剤としての抗体と比べて毒性および/または副作用の減少を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、治療指数の増加を有する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2種の個別の抗体の混合物または単剤としての抗体と比べて治療指数の増加を有する。
【0190】
いくつかの態様において、二重特異性抗体は、第1の抗原標的を発現する細胞に細胞防御機構を集中させるために第1の抗原標的(例えば、DLL4)を特異的に認識かつ結合することができるだけでなく、白血球上のエフェクタ分子(例えば、CD2、CD3、CD28もしくはB7)またはFc受容体(例えば、CD64、CD32もしくはCD16)のような、第2の抗原標的も特異的に認識かつ結合することができる。いくつかの態様において、二重特異性抗体を用いて、特定の標的抗原を発現する細胞に細胞傷害剤を向けることができる。これらの抗体は抗原結合部位(例えば、ヒトDLL4に対する)、および細胞傷害剤または放射性核種キレート剤、例えばEOTUBE、DPTA、DOTAもしくはTETAを結合する第2の部位を保有する。
【0191】
二重特異性抗体を作出するための技法は当業者によって知られており、例えば、Millstein et al., 1983, Nature, 305:537-539; Brennan et al., 1985, Science, 229:81; Suresh et al., 1986, Methods in Enzymol., 121: 120; Traunecker et al., 1991, EMBO J., 10:3655-3659; Shalaby et al., 1992, J. Exp. Med., 175:217-225; Kostelny et al., 1992, J. Immunol, 148: 1547-1553; Gruber et al., 1994, J. Immunol, 152:5368; 米国特許第5,731,168号; 国際公開番号WO 2009/089004; および米国特許出願公開第2011/0123532号を参照されたい。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2つの重鎖間の界面の一部であるアミノ酸の改変を有する重鎖定常領域を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、「ノブ・イントゥ・ホール」戦略を用いて作製することができる(例えば、米国特許第5,731,168号; Ridgway et. al., 1996, Prot. Engin., 9:617-621を参照のこと)。時には、「ノブ」および「ホール」という専門用語は、「突起」および「空洞」という用語に置き換えられる。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、重鎖間でジスルフィド結合を形成できない可変蝶番領域を含みうる(例えば、WO 2006/028936参照)。いくつかの態様において、改変は、静電相互作用の改変を引き起こすアミノ酸の変化を含みうる。いくつかの態様において、改変は、疎水性/親水性相互作用の改変を引き起こすアミノ酸の変化を含みうる。
【0192】
二重特異性抗体は、無傷の抗体または抗原結合部位を含む抗体断片であることができる。三価以上の結合価を有する抗体も企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tutt et al., 1991, J. Immunol., 147:60)。したがって、ある種の態様において、VEGFおよび/またはDLL4に対する抗体は多重特異性である。
【0193】
ある種の態様において、本明細書において記述される抗体(または他のポリペプチド)は単一特異性であってよい。ある種の態様において、抗体が含む1つまたは複数の抗原結合部位のそれぞれが、異なるタンパク質上の相同なエピトープを結合することができる(または結合する)。
【0194】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗体断片である。抗体断片は無傷の抗体とは異なる機能または能力を有することができ; 例えば、抗体断片は増大した腫瘍浸透性を有することができる。無傷の抗体のタンパク質分解消化を含むが、これに限定されない、さまざまな技法が抗体断片の産生で公知である。いくつかの態様において、抗体断片は抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab')2断片を含む。いくつかの態様において、抗体断片は、F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって作出されたFab断片を含む。他の態様において、抗体断片はパパインおよび還元剤による抗体分子の処理によって作出されたFab断片を含む。ある種の態様において、抗体断片は組み換えにより産生される。いくつかの態様において、抗体断片はFvまたは一本鎖Fv (scFv)断片を含む。Fab、FvおよびscFv抗体断片は大腸菌または他の宿主細胞内で発現させ、大腸菌または他の宿主細胞から分泌させることができ、したがって、これらの断片の大量産生が可能である。いくつかの態様において、抗体断片は、本明細書において論じられるように抗体ファージライブラリから単離される。例えば、Fab発現ライブラリの構築(Huse et al., 1989, Science, 246: 1275-1281)のための方法を用いて、VEGFおよび/もしくはDLL4、またはその誘導体、断片、類似体もしくは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ有効な特定を可能にすることができる。いくつかの態様において、抗体断片は直鎖状の抗体断片である。ある種の態様において、抗体断片は単一特異性または二重特異性である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤はscFvである。VEGFまたはDLL4に特異的な一本鎖抗体の産生のためにさまざまな技法を用いることができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。
【0195】
さらに、とりわけ抗体断片の場合には、その血清中半減期を変化させる(例えば増加または減少させる)ために抗体を改変することが望ましい場合がある。これは、例えば、抗体断片中の適切な領域の変異による、抗体断片中へのサルベージ受容体結合エピトープの組み込みにより、またはペプチドタグにエピトープを組み込み、これを次いで抗体断片のいずれかの端にもしくは真ん中に(例えば、DNAもしくはペプチド合成によって)融合することにより行うことができる。
【0196】
ヘテロ結合体抗体も本発明の範囲内である。ヘテロ結合体抗体は2種類の共有結合した抗体から構成される。例えば、免疫細胞を不必要な細胞に標的化するために、そのような抗体が提案されている(例えば、米国特許第4,676,980号を参照のこと)。ヘテロ結合体抗体は、架橋剤が関与する方法を含む、合成タンパク質化学における公知の方法を用いてインビトロで調製できることも企図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いてまたはチオエーテル結合を形成させることによって構築することができる。この目的に適した試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチリミデートが挙げられる。
【0197】
本発明の目的のためには、改変抗体が、抗体と標的(すなわち、ヒトVEGFまたはヒトDLL4)との会合を提供する任意のタイプの可変領域を含みうることを理解されたい。この点で、可変領域は、液性反応の開始および所望の抗原に対する免疫グロブリンの作出を誘導できる、任意のタイプの哺乳動物のものを含んでもまたはそれに由来してもよい。したがって、改変抗体の可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、マカクなど)またはウサギ由来であってよい。いくつかの態様において、改変された免疫グロブリンの可変領域および定常領域の両方がヒトのものである。他の態様において、結合特性を改善するように、または分子の免疫原性を低減するように、適合性を有する抗体(通常、非ヒト供給源に由来する)の可変領域を遺伝子操作することができ、または特異的に調整することができる。この点に関して、移入アミノ酸配列を含めることにより、本発明において有用な可変領域をヒト化することができ、または他の方法で改変することができる。
【0198】
ある種の態様において、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインを、1つまたは複数のCDRの少なくとも一部の置き換えによって、必要な場合には、部分的なフレームワーク領域の置き換えならびに配列の変更および/または改変によって改変する。CDRは、フレームワーク領域が得られた抗体と同じクラス、さらには同じサブクラスの抗体に由来しうるが、CDRが、異なるクラスの抗体、多くの場合、異なる種からの抗体に由来することが想定される。ある可変ドメインの抗原結合能を別の可変ドメインに移すためには、CDRの全てを、供与側の可変領域からのCDRの全てで置き換えることは必要でない場合がある。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するのに必要な残基を移すことのみが必要な場合がある。
【0199】
可変領域への変化にもかかわらず、当業者であれば、本発明の改変抗体は、天然のまたは変化していない定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の抗体と比較して、望ましい生化学的特徴が得られるように、例えば、腫瘍局在性が増大または血清中半減期が増大するように、定常領域ドメインの1つまたは複数の少なくとも一部が欠失されている、または他の方法で変えられている抗体(例えば、完全長抗体またはその免疫反応性断片)を含むことを理解するだろう。いくつかの態様において、改変抗体の定常領域はヒト定常領域を含む。本発明に適合する定常領域への改変は、1つまたは複数のドメイン内の1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換を含む。本明細書において開示された改変抗体は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2もしくはCH3)の1つまたは複数へのおよび/または軽鎖定常ドメイン(CL)への改変または修飾を含んでもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数のドメインが改変抗体の定常領域から部分的または全体的に欠失される。いくつかの態様において、改変抗体は、CH2ドメイン全体が除去されているドメイン欠失構築体または変種(ΔCH2構築体)を含む。いくつかの態様において、除かれた定常領域ドメインは、典型的には、存在しない定常領域によって付与される、ある程度の分子可撓性をもたらす短いアミノ酸スペーサー(例えば、10アミノ酸残基)により置換される。
【0200】
いくつかの態様において、改変抗体は、CH3ドメインを抗体の蝶番領域へ直接融合するように遺伝子操作される。他の態様において、蝶番領域と改変されたCH2および/またはCH3ドメインの間にペプチドスペーサーが挿入される。例えば、CH2ドメインが欠失され、かつ残りのCH3ドメイン(改変または未改変)が蝶番領域に5〜20個のアミノ酸スペーサーを用いて連結された、構築体を発現させることができる。このようなスペーサーを付加して、定常ドメインの調節エレメントを遊離状態でアクセス可能に保つこと、または蝶番領域の可撓性を保つことを確実にすることができる。しかしながら、アミノ酸スペーサーは、場合によっては、免疫原性を有することが判明しており、構築体に対する望ましくない免疫反応を誘発しうることに留意すべきである。したがって、ある種の態様において、構築体に付加されるどのスペーサーも、改変抗体の望ましい生化学的特質を維持するように、比較的、非免疫原性であろう。
【0201】
いくつかの態様において、改変抗体は定常ドメインの部分的欠失または少数のもしくは単一のアミノ酸の置換だけを有することができる。例えば、CH2ドメインの選択域における単一のアミノ酸の変異は、Fc結合を大幅に低減し、それによって腫瘍局在性および/または腫瘍浸透性を増大させるのに十分でありうる。同様に、調節しようとする特定のエフェクタ機能(例えば、補体C1q結合)を制御する1つまたは複数の定常領域ドメインの部分を単純に欠失させることが望ましい場合がある。定常領域のこのような部分的欠失は、この定常領域ドメインに関連する他の望ましい機能をそのままにしておく一方で、抗体の選択的特徴(血清中半減期)を改善しうる。さらに、上にも示唆したように、開示された抗体の定常領域は、得られる構築体のプロファイルを向上させる、1つまたは複数のアミノ酸の変異または置換によって改変されてもよい。この点で、改変抗体の構成および免疫原性プロファイルを実質的に維持する一方で、保存された結合部位(例えば、Fc結合活性)によって提供される活性を妨害することが可能な場合がある。ある種の態様において、改変抗体は、エフェクタ機能の減少もしくは増加などの望ましい特徴を増強するように、またはさらに多くの細胞毒素もしくは糖鎖の付着部位をもたらすように、定常領域への1つまたは複数のアミノ酸の付加を含んでもよい。
【0202】
定常領域がいくつかのエフェクタ機能を媒介することが当技術分野において公知である。例えば、補体のC1成分と(抗原に結合した) IgGまたはIgM抗体のFc領域が結合すると補体系が活性化される。補体活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解において重要である。補体活性化はまた炎症反応を刺激し、自己免疫過敏にも関与する場合がある。さらに、抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現している細胞を結合することができる。IgG (γ受容体)、IgE (ε受容体)、IgA (α受容体)およびIgM (μ受容体)を含む、異なるクラスの抗体に特異的ないくつかのFc受容体がある。抗体と、細胞表面上のFc受容体が結合すると、貪食および抗体コーティング粒子の破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体コーティング標的細胞の溶解(抗体依存性細胞傷害またはADCCと呼ばれる)、炎症メディエータの放出、胎盤通過および免疫グロブリン産生の制御を含む、いくつかの重要かつ多様な生物学的反応が誘発される。
【0203】
ある種の態様において、改変抗体は変化したエフェクタ機能をもたらし、これが、今度は、投与された抗体の生物学的プロファイルに影響を与える。例えば、いくつかの態様において、定常領域ドメインの(点変異または他の手段を通じた)欠失または不活性化は、血中改変抗体のFc受容体結合を低減し、それによってがん細胞局在性および/または腫瘍浸透性を増大しうる。他の態様において、定常領域の修飾は抗体の血清中半減期を増大する。他の態様において、定常領域の修飾は抗体の血清中半減期を低減する。いくつかの態様において、定常領域を修飾して、ジスルフィド結合またはオリゴサッカライド部分を除去する。本発明による定常領域に対する修飾は、当業者に知られる周知の生物化学工学または分子工学の技法を用いて容易に作出されうる。
【0204】
ある種の態様において、抗体であるVEGF/DLL4結合剤は、1つまたは複数のエフェクタ機能を有しない。例えば、いくつかの態様において、抗体は、ADCC活性を有さず、および/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有しない。ある種の態様において、抗体は、Fc受容体および/または補体因子を結合しない。ある種の態様において、抗体はエフェクタ機能を有しない。
【0205】
本発明は、本明細書において記載される、キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体、またはその抗体断片に実質的に相同な変種および等価体をさらに包含する。これらは、例えば、保存的置換変異、すなわち、類似のアミノ酸による1つまたは複数のアミノ酸の置換を含みうる。例えば、保存的置換は、例えば、もう1つの酸性アミノ酸との1つの酸性アミノ酸の置換、もう1つの塩基性アミノ酸との1つの塩基性アミノ酸の置換またはもう1つの中性アミノ酸による1つの中性アミノ酸の置換のような、同じ一般的クラス内の別のアミノ酸とのアミノ酸の置換をいう。保存的アミノ酸置換によって意図されているものは、当技術分野において周知であり、本明細書において記述されている。
【0206】
したがって、本発明は、VEGFおよびDLL4の両方を特異的に結合する二重特異性抗体を含めて、VEGFおよび/またはDLL4を結合する抗体を産生するための方法を提供する。いくつかの態様において、VEGFおよび/またはDLL4を結合する抗体を産生するための方法は、ハイブリドーマ技法を使用する段階を含む。いくつかの態様において、VEGFもしくはDLL4を結合する抗体またはVEGFおよびDLL4を結合する二重特異性抗体を作製する方法は、ヒトファージライブラリをスクリーニングする段階を含む。本発明は、VEGFおよび/またはDLL4を結合する抗体を特定する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、抗体は、VEGFまたはその一部分との結合のFACSスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、DLL4またはその一部分との結合のFACSスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、VEGFまたはその一部分およびDLL4またはその一部分の両方との結合のFACSスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、VEGFとの結合を、ELISAを用いてスクリーニングすることにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、DLL4との結合を、ELISAを用いてスクリーニングすることにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、VEGFおよびDLL4との結合を、ELISAを用いてスクリーニングすることにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、ヒトVEGFとヒトVEGF受容体との結合の遮断のFACSスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、ヒトDLL4とヒトNotch受容体との結合の遮断のFACSスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、Notchシグナル伝達の阻害または遮断のスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、VEGF活性(例えば、HUVEC増殖の誘導)の阻害または遮断のスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、血管新生の調節のスクリーニングにより特定される。
【0207】
いくつかの態様において、ヒトVEGFに対する抗体を作製する方法は、ヒトVEGFのアミノ酸27〜232を含むポリペプチドで哺乳動物を免疫する段階を含む。いくつかの態様において、ヒトVEGFに対する抗体を作製する方法は、ヒトVEGFのアミノ酸27〜232の少なくとも一部分を含むポリペプチドで哺乳動物を免疫する段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、哺乳動物から抗体または抗体産生細胞を単離する段階をさらに含む。いくつかの態様において、VEGFを結合するモノクローナル抗体を作製する方法は、ヒトVEGFのアミノ酸27〜232の少なくとも一部分を含むポリペプチドで哺乳動物を免疫する段階、および免疫された哺乳動物から抗体産生細胞を単離する段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、抗体産生細胞を骨髄腫細胞株の細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、VEGFを結合する抗体を発現するハイブリドーマ細胞を選択する段階をさらに含む。ある種の態様において、哺乳動物はマウスである。いくつかの態様において、抗体は、ヒトVEGFのアミノ酸27〜232の少なくとも一部分を含むポリペプチドを用いて選択される。
【0208】
いくつかの態様において、ヒトDLL4に対する抗体を作製する方法は、ヒトDLL4のアミノ酸27〜529を含むポリペプチドで哺乳動物を免疫する段階を含む。いくつかの態様において、ヒトDLL4に対する抗体を作製する方法は、ヒトDLL4のアミノ酸27〜529の少なくとも一部分を含むポリペプチドで哺乳動物を免疫する段階を含む。いくつかの態様において、DLL4を結合するモノクローナル抗体を作製する方法は、ヒトDLL4のアミノ酸27〜529の少なくとも一部分を含むポリペプチドで哺乳動物を免疫する段階、および免疫された哺乳動物から抗体産生細胞を単離する段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、抗体産生細胞を骨髄腫細胞株の細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる段階をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、DLL4を結合する抗体を発現するハイブリドーマ細胞を選択する段階をさらに含む。ある種の態様において、哺乳動物はマウスである。いくつかの態様において、抗体は、ヒトDLL4のアミノ酸27〜529の少なくとも一部分を含むポリペプチドを用いて選択される。
【0209】
いくつかの態様において、ヒトVEGFに対する抗体を作製する方法は、ヒトVEGFを結合する抗体について抗体発現ライブラリをスクリーニングする段階を含む。いくつかの態様において、ヒトDLL4に対する抗体を作製する方法は、ヒトDLL4を結合する抗体について抗体発現ライブラリをスクリーニングする段階を含む。いくつかの態様において、ヒトVEGFおよび/またはヒトDLL4に対する抗体を作製する方法は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を結合する二重特異性抗体について抗体発現ライブラリをスクリーニングする段階を含む。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリはファージライブラリである。いくつかの態様において、スクリーニングする段階はパンニングする段階を含む。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリ(例えば、ファージライブラリ)は、ヒトVEGFのアミノ酸27〜232の少なくとも一部分を用いてスクリーニングされる。いくつかの態様において、第1のスクリーニングにおいて特定された抗体を、ヒトDLL4のアミノ酸27〜529の少なくとも一部分を用い再度スクリーニングして、VEGFおよびDLL4を結合する二重特異性抗体を特定する。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリ(例えば、ファージライブラリ)は、ヒトDLL4のアミノ酸27〜529の少なくとも一部分を用いてスクリーニングされる。いくつかの態様において、第1のスクリーニングにおいて特定された抗体を、ヒトVEGFのアミノ酸27〜232の少なくとも一部分を用い再度スクリーニングして、VEGFおよびDLL4を結合する二重特異性抗体を特定する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、VEGFアンタゴニストである。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、VEGFにより誘導される生物学的活性を阻害する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、DLL4アンタゴニストである。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、DLL4により誘導されるNotchシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、ヒトVEGFおよびマウスVEGFの両方を結合する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、ヒトDLL4およびマウスDLL4の両方を結合する。
【0210】
ある種の態様において、本明細書において記述される抗体は単離される。ある種の態様において、本明細書において記述される抗体は、実質的に純粋である。
【0211】
本発明のいくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤はポリペプチドである。ポリペプチドは、VEGFおよび/またはDLL4を結合する、抗体またはその断片を含む組み換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであることができる。タンパク質の構造または機能にほとんど影響を与えずに本明細書において記述される結合剤のいくつかのアミノ酸配列を変化させられることが当技術分野において認識されよう。したがって、本発明は、ヒトVEGFおよび/またはDLL4に対する実質的な活性を示すか、または抗体もしくはその断片の領域を含む、ポリペプチドのバリエーションをさらに含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合ポリペプチドのアミノ酸配列のバリエーションは欠失、挿入、逆位、繰り返し、および/または他のタイプの置換を含む。
【0212】
いくつかの態様において、本明細書において記述されるポリペプチドは単離される。いくつかの態様において、本明細書において記述されるポリペプチドは、実質的に純粋である。
【0213】
ポリペプチド、その類似体および変種は、通常、タンパク質の部分にはない、さらなる化学的部分を含有するようにさらに改変することができる。誘導体化部分は、ポリペプチドの溶解度、生物学的半減期および/または吸収を改善するまたは他の方法で調節することができる。この部分はまた、ポリペプチドおよび変種の任意の望ましくない副作用を低減または除外することもできる。そのような化学的部分の概説は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences, Philadelphia, PAにおいて見出すことができる。
【0214】
本明細書において記述されるポリペプチドは、当技術分野において公知の任意の適当な方法によって産生することができる。そのような方法は、直接的なタンパク質合成法から、ポリペプチド配列をコードするDNA配列の構築と、適当な宿主におけるこれらの配列の発現に及ぶ。いくつかの態様において、DNA配列は、組み換え技術を用いて、関心対象の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによって構築される。任意で、この配列は、その機能的類似体を得るために、部位特異的変異誘発によって変異誘発されてもよい。例えば、Zoeller et al., 1984, PNAS, 81:5662-5066および米国特許第4,588,585号を参照されたい。
【0215】
いくつかの態様において、関心対象のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成機を用いた化学合成によって構築されうる。オリゴヌクレオチドは、望ましいポリペプチドのアミノ酸配列と、関心対象の組み換えポリペプチドが産生される宿主細胞に好ましいコドンを選択することに基づいて設計することができる。標準的な方法を適用して、関心対象の単離ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列を用いて、逆翻訳(back-translate)した遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、望ましいポリペプチドの一部をコードする、いくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いで、核酸連結することができる。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的なアッセンブリのための5'または3'突出部を含有する。
【0216】
(合成、部位特異的変異誘発または別の方法によって)アセンブルされたら、関心対象の特定のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、望ましい宿主におけるタンパク質の発現に適した発現制御配列に機能的に連結することができる。適切なアッセンブリは、ヌクレオチド配列決定、制限酵素マッピング、および適当な宿主での生物学的に活性なポリペプチドの発現によって確認することができる。当技術分野において周知のように、宿主におけるトランスフェクションされた遺伝子の高い発現レベルを得るために、遺伝子は、選択された発現宿主において機能する転写発現制御配列および翻訳発現制御配列に機能的に連結されなければならない。
【0217】
ある種の態様において、ヒトVEGFおよび/またはDLL4に対する、抗体またはその断片をコードするDNAを増幅および発現するために、組み換え発現ベクターが用いられる。例えば、組み換え発現ベクターは、哺乳動物遺伝子、微生物遺伝子、ウイルス遺伝子または昆虫遺伝子に由来する適当な転写調節エレメントおよび/または翻訳調節エレメントに機能的に連結された、抗VEGF抗体もしくは抗DLL4抗体またはその断片のような、VEGF/DLL4結合剤のポリペプチド鎖をコードする合成DNA断片またはcDNAに由来するDNA断片を有する複製可能なDNA構築体であることができる。転写単位は、一般的に、(1) 遺伝子発現において調節的な役割を果たす遺伝的エレメント、例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー、(2) mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される構造配列またはコード配列、ならびに(3) 適切な転写および翻訳の開始配列および終結配列のアッセンブリを含む。調節エレメントは、転写を制御するためのオペレーター配列を含むことがある。通常、複製起点によって付与される、宿主において複製する能力、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子をさらに組み込むことができる。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連している場合に、「機能的に連結され」ている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、ポリペプチド分泌に関与する前駆体としてポリペプチドが発現されるのであれば、ポリペプチドDNAに機能的に連結されており; プロモーターは、コード配列の転写を制御すれば、コード配列に機能的に連結されており; またはリボソーム結合部位は、コード配列が翻訳されるように配置されていれば、コード配列に機能的に連結されている。いくつかの態様において、酵母発現系における使用を目的とした構造エレメントには、宿主細胞により翻訳されるタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列が含まれる。他の態様において、組み換えタンパク質がリーダー配列も輸送配列もなく発現される状況では、N末端メチオニン残基を含むことがある。この残基は任意で、最終産物を得るために、発現された組み換えタンパク質から後に切断されてもよい。
【0218】
発現制御配列および発現ベクターの選択は宿主の選択に依る。多種多様の発現宿主/ベクターの組み合わせを利用することができる。真核生物宿主に有用な発現ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルスに由来する発現制御配列を含んだベクターが含まれる。細菌宿主に有用な発現ベクターには、公知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9およびその誘導体を含む大腸菌に由来するプラスミド、さらに広い宿主域のプラスミド、例えば、M13、ならびに他の繊維状一本鎖DNAファージが含まれる。
【0219】
本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、ポリペプチド)は、1つまたは複数のベクターから発現させることができる。例えば、いくつかの態様において、1つの重鎖ポリペプチドは1つのベクターにより発現され、もう1つの重鎖ポリペプチドはもう1つのベクターにより発現され、かつ軽鎖ポリペプチドは第3のベクターにより発現される。いくつかの態様において、第1の重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、1つのベクターにより発現され、かつ第2の重鎖ポリペプチドはもう1つのベクターにより発現される。いくつかの態様において、2つの重鎖ポリペプチドは1つのベクターにより発現され、かつ軽鎖ポリペプチドはもう1つのベクターにより発現される。いくつかの態様において、3つのポリペプチドが1つのベクターから発現される。したがって、いくつかの態様において、第1の重鎖ポリペプチド、第2の重鎖ポリペプチド、および軽鎖ポリペプチドは単一のベクターにより発現される。
【0220】
VEGF/DLL4結合ポリペプチドもしくは抗体(または抗原として使用するVEGFもしくはDLL4タンパク質)の発現に適した宿主細胞には、適切なプロモーターの制御下にある、原核生物、酵母細胞、昆虫細胞または高等真核細胞が含まれる。原核生物には、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌または杆菌(Bacillus)が含まれる。高等真核細胞には、下記に記述の哺乳動物に由来する樹立細胞株が含まれる。無細胞翻訳系も利用されうる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物の細胞宿主で用いるのに適したクローニングおよび発現ベクターは、Pouwels et al., 1985, Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, New York, NYに記述されている。抗体産生を含む、タンパク質産生の方法に関するさらなる情報は、例えば、米国特許出願公開第2008/0187954号; 米国特許第6,413,746号; 同第6,660,501号; および国際特許公開番号WO 04/009823において見出すことができる。
【0221】
組み換えポリペプチドを発現させるために、さまざまな哺乳動物培養系または昆虫細胞培養系が用いられうる。哺乳動物細胞における組み換えタンパク質の発現は、これらのタンパク質がおおむね正しく折り畳まれ、適切に修飾され、かつ生物学的に機能するので望ましいこともある。適当な哺乳動物宿主細胞株の例としては、COS-7 (サル腎臓由来)細胞株、L-929 (マウス線維芽細胞由来)細胞株、C127 (マウス乳腺腫瘍由来)細胞株、3T3 (マウス線維芽細胞由来)細胞株、CHO (チャイニーズハムスター卵巣由来)細胞株、HeLa (ヒト子宮頸がん由来)細胞株、BHK (ハムスター腎臓線維芽細胞由来)細胞株、HEK-293 (ヒト胎児腎臓由来)細胞株およびこれらの細胞株の変種が挙げられるが、これらに限定されることはない。哺乳動物発現ベクターは、非転写エレメント、例えば、複製起点、発現させようとする遺伝子に連結される適当なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに他の5'または3'隣接非転写配列、ならびに5'または3'非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびスプライスアクセプター部位、ならびに転写終結配列を含んでもよい。バキュロウイルスにおける組み換えタンパク質の発現も、正しく折り畳まれ、生物学的に機能的なタンパク質を産生するための確固たる方法を供与する。昆虫細胞において異種タンパク質を産生するためのバキュロウイルス系は、当業者には周知である(例えば、Luckow and Summers, 1988, Bio/Technology, 6:47を参照のこと)。
【0222】
したがって、本発明は、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤を含んだ細胞を提供する。いくつかの態様において、細胞は、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤を産生する。ある種の態様において、細胞は抗体を産生する。いくつかの態様において、細胞は、抗VEGF抗体のような、VEGF結合剤を産生する。いくつかの態様において、細胞は、VEGFを結合する二重特異性抗体を産生する。いくつかの態様において、細胞は、抗DLL4抗体のような、DLL4結合剤を産生する。いくつかの態様において、細胞は、DLL4を結合する二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、VEGFおよびDLL4を結合する二重特異性抗体のような、二重特異性VEGF/DLL4結合剤を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体219R45を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体21R79を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体21R75を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体21R83を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体219R45由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体21R79由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体21R75由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体21R83由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体219R45由来の抗原結合部位および抗体21R79由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体219R45由来の抗原結合部位および抗体21M18由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体219R45由来の抗原結合部位および抗体21R75由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、抗体219R45由来の抗原結合部位および抗体21R83由来の抗原結合部位を含む二重特異性抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18を産生する。ある種の態様において、細胞は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79を産生する。ある種の態様において、細胞は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75を産生する。ある種の態様において、細胞は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83を産生する。
【0223】
形質転換宿主により産生されたタンパク質は、任意の適当な方法にしたがって精製することができる。標準的な方法には、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質精製のための他の任意の標準的な技法が含まれる。適切なアフィニティーカラム上での通過による容易な精製を可能にするために、アフィニティータグ、例えば、ヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼをタンパク質に付着させることができる。免疫グロブリンを精製するために用いられるアフィニティークロマトグラフィーは、プロテインA、プロテインGおよびプロテインLクロマトグラフィーを含むことができる。単離されたタンパク質は、タンパク質分解、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、質量分析(MS)、核磁気共鳴(NMR)、等電点電気泳動(IEF)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびx線結晶構造解析のような技法を用いて物理的に特徴付けることができる。単離されたタンパク質の純度は、SDS-PAGE、SEC、キャピラリーゲル電気泳動、IEF、およびキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の技法を用いて判定することができる。
【0224】
いくつかの態様において、最初に、市販のタンパク質濃縮フィルタ、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて、組み換えタンパク質を培地に分泌する発現系からの上清を濃縮することができる。濃縮段階後に、濃縮物を適当な精製マトリックスに適用することができる。いくつかの態様において、陰イオン交換樹脂、例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基材を利用することができる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製において一般に利用される他のタイプでもよい。いくつかの態様において、陽イオン交換段階を利用することができる。適当な陽イオン交換体には、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含むさまざまな不溶性のマトリックスが含まれる。いくつかの態様において、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)を含むがこれに限定されない、ハイドロキシアパタイト媒体を利用することができる。ある種の態様において、組み換えタンパク質(例えば、VEGF/DLL4結合剤)をさらに精製するために、疎水性RP-HPLC媒体、例えば、ペンダントメチル基または他の脂肪族基を有するシリカゲルを利用した、1つまたは複数の逆相HPLC段階を利用することができる。均一な組み換えタンパク質を得るために、前記の精製段階の一部または全部を、さまざまな組み合わせで、利用することができる。
【0225】
いくつかの態様において、二重特異性抗体のようなヘテロ二量体タンパク質は、本明細書において記述される方法のいずれかにしたがって精製される。いくつかの態様において、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、少なくとも1つのクロマトグラフィー段階を用いて単離および/または精製される。いくつかの態様において、少なくとも1つのクロマトグラフィー段階は、アフィニティークロマトグラフィーを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのクロマトグラフィー段階は、陰イオン交換クロマトグラフィーをさらに含む。いくつかの態様において、単離および/または精製された抗体産物は、少なくとも90%のヘテロ二量体抗体を含む。いくつかの態様において、単離および/または精製された抗体産物は、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%のヘテロ二量体抗体を含む。いくつかの態様において、単離および/または精製された抗体産物は、約100%のヘテロ二量体抗体を含む。
【0226】
いくつかの態様において、細菌培養において産生された組み換えタンパク質は、例えば、最初に、細胞ペレットから抽出し、その後に、1回または複数回の濃縮、塩析、水性イオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィー段階を行うことによって単離することができる。最後の精製段階にはHPLCを利用することができる。組み換えタンパク質の発現において利用される微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む任意の従来法によって破壊することができる。
【0227】
抗体および他のタンパク質の精製のための当技術分野における公知の方法にはまた、例えば、米国特許出願公開第2008/0312425号; 同第2008/0177048号; および同第2009/0187005号に記述の方法が含まれる。
【0228】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体ではないポリペプチドである。高親和性で、タンパク質標的に結合する非抗体ポリペプチドを特定および産生するためのさまざまな方法が当技術分野において公知である。例えば、Skerra, 2007, Curr. Opin. Biotechnol., 18:295-304; Hosse et al., 2006, Protein Science, 15: 14-27; Gill et al., 2006, Curr. Opin. Biotechnol, 17:653-658; Nygren, 2008, FEBS J., 275:2668-76; およびSkerra, 2008, FEBS J., 275:2677-83を参照されたい。ある種の態様において、ファージまたは哺乳動物細胞ディスプレイ技術を用いて、抗体ではないVEGF/DLL4結合ポリペプチドを産生および/または特定することができる。ある種の態様において、ポリペプチドは、プロテインA、プロテインG、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサス反復ドメインおよびチオレドキシンからなる群より選択されるタイプのタンパク質足場を含む。
【0229】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体は、いくつかの結合型(例えば、免疫結合体もしくは放射性結合体)または非結合型のいずれか1つで用いることができる。ある種の態様において、抗体は、悪性細胞またはがん細胞を排除するために、補体依存性細胞傷害および抗体依存性細胞毒性を含む対象の天然の防御機構を生かすために非結合型で用いることができる。
【0230】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体またはポリペプチド)は細胞傷害剤に結合される。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、メトトレキセート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤を含むが、これらに限定されない、化学療法剤である。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、アメリカヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ニガウリ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン(enomycin)、ならびにトリコテセンを含むが、これらに限定されない、細菌、真菌、植物もしくは動物に由来する酵素活性を有する毒素、またはその断片である。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、放射線結合体または放射線結合抗体を産生するための放射性同位体である。放射性結合抗体の産生のために、
90Y、
125I、
131I、
123I、
111In、
131In、
105Rh、
153Sm、
67Cu、
67Ga、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Reおよび
212Biを含むが、これらに限定されない、さまざまな放射性核種を利用することができる。抗体と1つまたは複数の低分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコテンおよびCC1065、ならびにこれらの毒素の毒素活性を有する誘導体との結合体も用いることができる。抗体と細胞傷害剤の結合体は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジジチオール(pyridyidithiol))プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能基誘導体(例えば、ジメチルアジプイミダートHCl)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベラート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を含むが、これらに限定されない、さまざまな二官能基性タンパク質カップリング剤を用いて作出されうる。
【0231】
III. ポリヌクレオチド
ある種の態様において、本発明は、VEGF、DLL4、VEGFおよびDLL4の両方を特異的に結合するポリペプチド(またはポリペプチドの断片)をコードするポリヌクレオチドを含んだポリヌクレオチドを包含する。「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのコード配列だけを含むポリヌクレオチド、ならびにさらなるコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。例えば、いくつかの態様において、本発明は、ヒトVEGFに対する抗体をコードする、またはこのような抗体の断片(例えば、抗原結合部位を含んだ断片)をコードするポリヌクレオチド配列を含んだポリヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、本発明は、ヒトDLL4に対する抗体をコードする、またはこのような抗体の断片(例えば、抗原結合部位を含んだ断片)をコードするポリヌクレオチド配列を含んだポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドはRNAの形態であってもよく、DNAの形態であってもよい。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含み、二本鎖または一本鎖でもよく、一本鎖ならコード鎖または非コード(アンチセンス)鎖でもよい。
【0232】
ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63およびSEQ ID NO:64からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:62およびSEQ ID NO:64からなる群より選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77およびSEQ ID NO:78からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0233】
ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77およびSEQ ID NO:78からなる群より選択される配列を含んだポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一の、少なくとも約85%同一の、少なくとも約90%同一の、少なくとも約95%同一の、およびいくつかの態様において、少なくとも約96%、97%、98%または99%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77およびSEQ ID NO:78からなる群より選択される配列を含んだポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一の、少なくとも約85%同一の、少なくとも約90%同一の、少なくとも約95%同一の、およびいくつかの態様において、少なくとも約96%、97%、98%または99%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID N0:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77およびSEQ ID NO:78とハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドも提供される。ある種の態様において、ハイブリダイゼーションは高ストリンジェンシーの条件下である。
【0234】
ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、例えば、宿主細胞からのポリペプチドの発現および分泌を補助するポリヌクレオチド(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)と同じ読み枠で融合した、成熟ポリペプチドのコード配列を含む。リーダー配列を有するポリペプチドはプレタンパク質であり、成熟型のポリペプチドを形成させるために宿主細胞によって切断されるリーダー配列を有する場合がある。ポリヌクレオチドはまた、成熟タンパク質とさらなる5'アミノ酸残基であるプロタンパク質をコードすることもできる。プロ配列を有する成熟タンパク質がプロタンパク質であり、不活性型のタンパク質である。プロ配列が切断されると、活性のある成熟タンパク質が残る。
【0235】
ある種の態様において、ポリヌクレオチドは、例えば、コードされるポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列と同じ読み枠で融合した、成熟ポリペプチドのコード配列を含む。例えば、細菌宿主の場合、マーカー配列は、マーカーと融合した成熟ポリペプチドを精製するための、pQE-9ベクターによって供給されるヘキサヒスチジンタグでもよく、または哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)が用いられる場合、マーカー配列は、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来する血球凝集素(HA)タグでもよい。いくつかの態様において、マーカー配列はFLAGタグ、つまり配列
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のペプチドであり、これを他のアフィニティータグとともに用いてもよい。
【0236】
本発明はさらに、例えば、断片、類似体および/または誘導体をコードする前記ポリヌクレオチドの変種に関する。
【0237】
ある種の態様において、本発明は、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)またはその断片を含んだポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一の、少なくとも約85%同一の、少なくとも約90%同一の、少なくとも約95%同一の、およびいくつかの態様において、少なくとも約96%、97%、98%または99%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含んだポリヌクレオチドを提供する。
【0238】
本明細書において用いられる場合、参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一の」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドという語句は、参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり点変異を5個までポリヌクレオチド配列が含むことができる以外は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意味するように意図される。言い換えると、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列のヌクレオチドの5%までが欠失されても、または別のヌクレオチドで置換されてもよく、あるいは参照配列における全ヌクレオチドの5%までのいくつかのヌクレオチドが参照配列中に挿入されてもよい。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5'もしくは3'末端の位置または末端位置間の任意の場所で行われてもよく、参照配列の中のヌクレオチドの間に個々に、あるいは参照配列内の1つもしくは複数の近接するグループの中に分散されてもよい。
【0239】
ポリヌクレオチド変種は、コード領域、非コード領域、またはその両方の変化を含有してもよい。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、サイレントな置換、付加、または欠失を生じるが、コードされるポリペプチドの性質または活性を変えない変化を含有する。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、(遺伝暗号の縮重によって)ポリペプチドのアミノ酸配列に対する変化を生じさせないサイレントな置換を含む。ポリヌクレオチド変種は、さまざまな理由で、例えば、特定の宿主に向けてコドン発現を最適化するように産生することができる(すなわち、ヒトmRNAのコドンを大腸菌のような細菌宿主に好まれるコドンに変える)。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、配列の非コード領域またはコード領域において少なくとも1つのサイレントな変異を含む。
【0240】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、コードされるポリペプチドの発現(または発現レベル)を調節するようにまたは変化させるように産生される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、コードされるポリペプチドの発現を増加させるように産生される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、コードされるポリペプチドの発現を減少させるように産生される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、親のポリヌクレオチド配列と比べてコードされるポリペプチドの発現の増加を有する。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変種は、親のポリヌクレオチド配列と比べてコードされるポリペプチドの発現の減少を有する。
【0241】
いくつかの態様において、少なくとも1つのポリヌクレオチド変種は、ヘテロ多量体分子の産生を増加させるように(コードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなく)産生される。いくつかの態様において、少なくとも1つのポリヌクレオチド変種は、二重特異性抗体の産生を増加させるように(コードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなく)産生される。
【0242】
ある種の態様において、ポリヌクレオチドは単離される。ある種の態様において、ポリヌクレオチドは実質的に純粋である。
【0243】
本明細書において記述されるポリヌクレオチドを含んだベクターおよび細胞も提供される。いくつかの態様において、発現ベクターはポリヌクレオチド分子を含む。いくつかの態様において、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含んだ発現ベクターを含む。いくつかの態様において、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含む。
【0244】
IV. 使用方法および薬学的組成物
VEGFおよび/またはDLL4を結合する(例えば、特異的に結合する)本発明の(ポリペプチドおよび抗体を含む)結合剤は、がんの処置のような、治療的処置方法を含むが、これに限定されない、さまざまな用途において有用である。ある種の態様において、この薬剤は、VEGF活性を阻害するのに、DLL4誘導性のNotchシグナル伝達を阻害するのに、腫瘍成長を阻害するのに、腫瘍容積を低減するのに、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減するのに、腫瘍の腫瘍形成性を低減するのに、血管新生を調節するのに、および/または血管新生を阻害するのに有用である。使用方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボのものであってよい。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFのアンタゴニストである。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4のアンタゴニストである。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFおよびDLL4の両方のアンタゴニストである。
【0245】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、血管新生に関連した、すなわち、血管新生の増加および/または異常な血管新生に関連した疾患の処置において用いられる。ある種の態様において、疾患は、血管新生に依存する疾患である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、幹細胞および/または前駆細胞のレベルの上昇によって特徴付けられる障害の処置において用いられる。
【0246】
本発明は、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤または抗体を用いて腫瘍の成長を阻害するための方法を提供する。ある種の態様において、腫瘍の成長を阻害する方法は、インビトロで腫瘍細胞をVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)と接触させる段階を含む。例えば、不死化細胞株またはがん細胞株を、腫瘍細胞成長を阻害するように抗VEGF抗体、抗DLL4抗体、または抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が添加されている培地中で培養する。いくつかの態様において、腫瘍細胞を、例えば、組織生検、胸水または血液サンプルのような患者サンプルから単離し、腫瘍細胞成長を阻害するようにVEGF/DLL4結合剤が添加されている培地中で培養する。
【0247】
いくつかの態様において、腫瘍の成長を阻害する方法は、インビボで腫瘍または腫瘍細胞をVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)と接触させる段階を含む。ある種の態様において、腫瘍または腫瘍細胞をVEGF/DLL4結合剤と接触させる段階は、動物モデルにおいて行われる。例えば、抗VEGF抗体、抗DLL4抗体、または抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、腫瘍異種移植片を有する免疫不全宿主動物(例えば、NOD/SCIDマウス)に投与されうる。いくつかの態様において、腫瘍細胞および/またはがん幹細胞を、例えば、組織生検、胸水または血液サンプルのような患者サンプルから単離し、免疫不全宿主動物(例えば、NOD/SCIDマウス)に注射し、次いで、腫瘍細胞成長を阻害するようにこのマウスにVEGF/DLL4結合剤を投与する。いくつかの態様において、腫瘍成長を抑止するように、VEGF/DLL4結合剤は、動物への腫瘍形成性細胞の導入と同時に、またはその直後(「予防モデル」)に投与される。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、腫瘍が特定の大きさに成長した後(「治療モデル」)に、治療用物質として投与される。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を特異的に結合する二重特異性抗体である。
【0248】
ある種の態様において、腫瘍の成長を阻害する方法は、VEGF/DLL4結合剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。ある種の態様において、対象はヒトである。ある種の態様において、対象は、腫瘍を有するか、または除去された腫瘍を有していた。ある種の態様において、腫瘍はがん幹細胞を含む。ある種の態様において、腫瘍内のがん幹細胞の頻度は、VEGF/DLL4結合剤の投与によって低減される。本発明は同様に、腫瘍をVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体)の有効量と接触させる段階を含む、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減する方法を提供する。いくつかの態様において、対象において腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減する方法は、VEGF/DLL4結合剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。
【0249】
いくつかの態様において、腫瘍は固形腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は、結腸直腸腫瘍、結腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、乳腺腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、黒色腫、子宮頚部腫瘍、膀胱腫瘍、グリア芽細胞腫および頭頸部腫瘍からなる群より選択される腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は結腸直腸腫瘍または結腸腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は卵巣腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は肺腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は膵臓腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は乳腺腫瘍である。
【0250】
本発明は、VEGF/DLL4結合剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、がんを処置するための方法をさらに提供する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤はVEGFを結合し、がんの成長を阻害または低減する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤はDLL4を結合し、がんの成長を阻害または低減する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFおよびDLL4を結合する二重特異性抗体であり、がんの成長を阻害または低減する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFを結合し、VEGF/VEGF受容体相互作用を妨害し、がんの成長を阻害または低減する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4を結合し、DLL4/Notch相互作用を妨害し、がんの成長を阻害または低減する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、VEGFおよびDLL4の両方を結合し、VEGF/VEGF受容体相互作用を妨害し、DLL4/Notch相互作用を妨害し、がんの成長を阻害または低減する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、DLL4を結合し、がん内のがん幹細胞の頻度を低減する。
【0251】
本発明は、VEGF/DLL4結合剤の治療的有効量を対象(例えば、処置を必要としている対象)に投与する段階を含む、がんを処置する方法を提供する。ある種の態様において、対象はヒトである。ある種の態様において、対象はがん性腫瘍を有する。ある種の態様において、対象は、腫瘍が除去されている。
【0252】
対象のがん/腫瘍は、いくつかの態様において、ある種の処置に対して抵抗性でありうる。非限定的な例として、対象のがん(または腫瘍)は、化学療法抵抗性でありうる。ある種の態様において、対象のがんは抗VEGF療法もしくは抗DLL4療法、またはその両方に抵抗性でありうる。
【0253】
ある種の態様において、がんは、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、肝臓がん、乳がん、腎臓がん、前立腺がん、胃腸がん、黒色腫、子宮頚がん、膀胱がん、グリア芽細胞腫および頭頸部がんからなる群より選択されるがんである。ある種の態様において、がんは卵巣がんである。ある種の態様において、がんは結腸直腸がんまたは結腸がんである。ある種の態様において、がんは膵臓がんである。ある種の態様において、がんは乳がんである。ある種の態様において、がんは前立腺がんである。ある種の態様において、がんは肺がんである。いくつかの態様において、がんは白血病またはリンパ腫のような血液がんである。いくつかの態様において、白血病またはリンパ腫はB細胞白血病またはリンパ腫である。いくつかの態様において、白血病またはリンパ腫はT細胞白血病またはリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、皮膚T細胞性リンパ腫、またはT細胞性急性リンパ芽球性白血病である。
【0254】
本発明は同様に、血管新生に関連している疾患または障害を対象において処置する方法を提供する。いくつかの態様において、疾患または障害は、異常な血管新生に関連している。いくつかの態様において、疾患または障害は、血管新生の増加に関連している。したがって、本発明は、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤のいずれかの治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象において血管新生を調節するための方法を提供する。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFを結合する抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を結合する抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFを結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトDLL4を結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を結合する二重特異性抗体である。
【0255】
幹細胞および/または前駆細胞のレベルの増加によって特徴付けられる疾患または障害を対象において処置する方法がさらに提供される。いくつかの態様において、処置方法は、VEGF/DLL4結合剤、ポリペプチドまたは抗体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。
【0256】
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、ヒトVEGFおよびヒトDLL4を特異的に結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、ヒトVEGFを特異的に結合する第1の抗原結合部位、およびヒトDLL4を特異的に結合する第2の抗原結合部位を含み、第1の抗原結合部位が、
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を含んだ軽鎖CDR2、および
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を含んだ軽鎖CDR3を含む。
【0257】
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、VEGF/DLL4二重特異性抗体は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:58またはSEQ ID NO:64と少なくとも約80%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する第1および軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4二重特異性抗体は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:9と少なくとも約80%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4二重特異性抗体は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:10と少なくとも約80%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4二重特異性抗体は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:58と少なくとも約80%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、VEGF/DLL4二重特異性抗体は、SEQ ID NO:11と少なくとも約80%の配列同一性を有する第1の重鎖可変領域、SEQ ID NO:64と少なくとも約80%の配列同一性を有する第2の重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO:12と少なくとも80%の配列同一性を有する第1および第2の軽鎖可変領域を含む。
【0258】
本明細書において記述される方法のいずれかのいくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗VEGF抗体である。いくつかの態様において、抗VEGF抗体は抗体219R45である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は抗DLL4抗体である。いくつかの態様において、抗DLL4抗体は抗体21R79である。いくつかの態様において、抗DLL4抗体は抗体21R75である。いくつかの態様において、抗DLL4抗体は抗体21R83である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45由来の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R79由来の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R75由来の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体21R83由来の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45由来の第1の抗原結合部位および抗体21R79由来の第2の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45由来の第1の抗原結合部位および抗体21M18由来の第2の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45由来の第1の抗原結合部位および抗体21R75由来の第2の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、抗体219R45由来の第1の抗原結合部位および抗体21R83由来の第2の抗原結合部位を含んだ二重特異性抗体である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21M18である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R79である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R75である。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、二重特異性抗体219R45-MB-21R83である。
【0259】
本発明は、本明細書において記述される結合剤を含んだ薬学的組成物をさらに提供する。ある種の態様において、薬学的組成物はさらに、薬学的に許容される媒体を含む。これらの薬学的組成物には対象(例えば、ヒト患者)における腫瘍成長の阻害および/またはがんの処置において用途がある。
【0260】
ある種の態様において、本発明は、組成物中の抗体の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%が二重特異性抗体またはヘテロ二量体抗体である、二重特異性抗体を含んだ薬学的組成物を提供する。ある種の態様において、二重特異性抗体はIgG (例えば、IgG2またはIgG1)抗体である。ある種の態様において、組成物中の全抗体の約10%未満、約5%未満、約2%未満または約1%未満が単一特異性抗体またはホモ二量体抗体である。ある種の態様において、組成物中の抗体は少なくとも約98%ヘテロ二量体性である。
【0261】
ある種の態様において、本発明の精製された抗体または薬剤と薬学的に許容される媒体(例えば、担体または賦形剤)を組み合わせることによって、保管および使用のための製剤が調製される。適当な薬学的に許容される媒体には、無毒の緩衝液、例えば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、および他の有機酸緩衝液; 塩、例えば、塩化ナトリウム; アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質; 防腐剤、例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えばメチルパラベンまたはプロピルパラベン、カテコール、ゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾール; 低分子量ポリペプチド(例えば、約10未満のアミノ酸残基); タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン; 親水性重合体、例えば、ポリビニルピロリドン; アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン; 炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、またはデキストリン; キレート剤、例えば、EDTA; 糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール; 塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム; 金属錯体、例えばZn-タンパク質錯体; および非イオン界面活性剤、例えばTWEENまたはポリエチレングリコール(PEG)が含まれるが、これらに限定されることはない。(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences, Philadelphia, PA)。
【0262】
本発明の薬学的組成物は、局所処置または全身処置のための多様な手法で投与することができる。投与は表皮パッチもしくは経皮パッチ、軟膏、ローション剤、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレイ、液剤および散剤による局所投与; 噴霧器による投与を含む、散剤もしくはエアロゾル剤の吸入もしくはガス注入による肺投与、気管内投与および鼻腔内投与; 経口投与; または静脈内投与、動脈内投与、腫瘍内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与(例えば、注射もしくは注入)もしくは頭蓋内投与(例えば、くも膜下腔内投与もしくは脳室内投与)を含む、非経口投与でもよい。
【0263】
治療用製剤は単位剤形でもよい。このような製剤には、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒剤、水もしくは非水性媒体に溶解した溶液もしくは懸濁液、または坐剤が含まれる。錠剤などの固形組成物では、主要な有効成分が薬学的担体と混合されている。従来の錠剤化成分には、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴム、および他の希釈剤(例えば、水)が含まれる。本発明の化合物またはその無毒な薬学的に許容される塩の均一混合物を含む固体の予備処方組成物を形成するために、これらを用いることができる。次いで、固体予備処方組成物を、上述の型の単位剤形へ細分する。持効性の長所を与える剤形を提供するために、製剤または組成物の錠剤、丸剤などをコーティングするか、他の方法で調合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、外部成分によって覆われた内部組成物を含むことができる。さらに、崩壊に抵抗するよう働いて、内部成分にそのまま胃を通過させるかまたはその放出を遅らせることができる腸溶層によって、二つの成分を分離することができる。このような腸溶層またはコーティングにはさまざまな材料を用いることができる。このような材料は、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸と、セラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含む。
【0264】
本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤または抗体をマイクロカプセル中に封入することもできる。このようなマイクロカプセルは、例えば、コアセルベーション技術または界面重合法によって、それぞれ、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルが、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences in Philadelphia, PAに記述されているマクロエマルジョン中に調製される。
【0265】
ある種の態様において、薬学的製剤には、リポソームと複合体化された本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)が含まれる。リポソームを作出するための方法は、当業者に公知である。例えば、いくつかのリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発によって生成することができる。規定の孔径のフィルタに通してリポソームを押し出すことにより、所望の直径を有するリポソームが得られる。
【0266】
ある種の態様において、徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適当な例には、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)を含む、固体疎水性重合体の半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは、成形された物品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形をしている。徐放性マトリックスのさらなる例には、ポリエステル、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)などのヒドロゲル、ポリラクチド、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートの共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標) (乳酸-グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸共重合体、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、およびポリD-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0267】
ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)を投与する段階に加えて、前記の方法または処置は、少なくとも一種のさらなる治療剤を投与する段階をさらに含む。さらなる治療剤はVEGF/DLL4結合剤の投与の前に、VEGF/DLL4結合剤の投与と同時に、および/またはVEGF/DLL4結合剤の投与の後に投与することができる。VEGF/DLL4結合剤およびさらなる治療剤を含む薬学的組成物も提供される。いくつかの態様において、少なくとも一種のさらなる治療剤は1種、2種、3種またはそれ以上のさらなる治療剤を含む。
【0268】
少なくとも2種の治療剤による併用療法では、異なる作用機序によって働く薬剤を用いることが多いが、これは必要とされない。異なる作用機序を有する薬剤を用いた併用療法は、相加効果または相乗効果をもたらしうる。併用療法は単剤療法において用いられるよりも各薬剤の用量を低くすることを可能にし、それによって毒性副作用を低減しおよび/または少なくとも1種の薬剤の治療指数を増大しうる。併用療法は、耐性がん細胞が発現する可能性を減らしうる。いくつかの態様において、併用療法は、非腫瘍形成性細胞に主に影響を与える(例えば、阻害または死滅化する)治療剤、および腫瘍形成性CSCに主に影響を与える(例えば、阻害または死滅化する)治療剤を含む。
【0269】
治療剤の有用なクラスには、例えば、抗チューブリン剤、アウリスタチン、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、白金錯体、例えば、シスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)およびトリ-核白金錯体、ならびにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗物質、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗物質、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが含まれる。ある種の態様において、第2の治療剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗有糸分裂剤、トポイソメラーゼ阻害剤または血管新生阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、カルボプラチンまたはシスプラチンのような白金錯体である。いくつかの態様において、さらなる治療剤は、タキサンと組み合わせた白金錯体である。
【0270】
VEGF/DLL4結合剤と組み合わせて投与されうる治療剤には、化学療法剤が含まれる。したがって、いくつかの態様において、前記の方法または処置は、化学療法剤または複数の異なる化学療法剤のカクテルと組み合わせた本発明の抗VEGF結合剤または抗体の投与を伴う。いくつかの態様において、前記の方法または処置は、化学療法剤または複数の異なる化学療法剤のカクテルと組み合わせた本発明の抗DLL4結合剤または抗体の投与を伴う。いくつかの態様において、前記の方法または処置は、化学療法剤または複数の異なる化学療法剤のカクテルと組み合わせた、VEGFおよびDLL4を結合する本発明の二重特異性抗体の投与を伴う。
【0271】
本発明において有用な化学療法剤には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(シトキサン(CYTOXAN)); アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン; アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa); アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamime)を含む、エチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine); ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード; ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン; 抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ユベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン; 代謝拮抗物質、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU); 葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート; プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン; ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シトシンアラビノシド、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU; アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン; 抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン; 葉酸補充剤、例えば、フォリン酸; アセグラトン; アルドホスファミドグリコシド; アミノレブリン酸; アムサクリン; ベストラブシル; ビサントレン; エダトレキサート(edatraxate); デフォファミン(defofamine); デメコルチン; ジアジクオン; エルフォルミチン(elformithine); 酢酸エリプチニウム; エトグルシド; 硝酸ガリウム; ヒドロキシウレア; レンチナン; ロニダミン; ミトグアゾン; ミトキサントロン; モピダモール; ニトラクリン; ペントスタチン; フェナメット; ピラルビシン; ポドフィリニック酸; 2-エチルヒドラジド; プロカルバジン; PSK; ラゾキサン; シゾフラン(sizofuran); スピロゲルマニウム; テヌアゾン酸; トリアジクオン; 2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン; ウレタン; ビンデシン; ダカルバジン; マンノムスチン; ミトブロニトール; ミトラクトール; ピポプロマン; ガシトシン(gacytosine); アラビノシド(Ara-C); タキソイド、例えば、パクリタキセル(タキソール)およびドセタキセル(タキソテール); クロランブシル; ゲムシタビン; 6-チオグアニン; メルカプトプリン; メトトレキセート; 白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン; ビンブラスチン; 白金; エトポシド(VP-16); イホスファミド; マイトマイシンC; ミトキサントロン; ビンクリスチン; ビノレルビン; ナベルビン; ノバントロン; テニポシド; ダウノマイシン; アミノプテリン; イバンドロン酸; CPT11; トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000; ジフルオロメチルオルニチン(DMFO); レチノイン酸; エスペラミシン; カペシタビン(ゼローダ); および前記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれるが、これらに限定されることはない。化学療法剤にはまた、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように働く抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(FARESTON)を含む抗エストロゲン、ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン、ならびに前記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体も含まれる。ある種の態様において、第2の治療剤はシスプラチンである。ある種の態様において、第2の治療剤はカルボプラチンである。ある種の態様において、第2の治療剤はパクリタキセルである。
【0272】
ある種の態様において、化学療法剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(例えば、トポイソメラーゼIまたはII)の作用を妨害する化学療法剤である。トポイソメラーゼ阻害剤には、ドキソルビシンHCl、クエン酸ダウノルビシン、ミトキサントロンHCl、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCl、テニポシド(VM-26)およびイリノテカン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれるが、これらに限定されることはない。ある種の態様において、第2の治療剤はイリノテカンである。
【0273】
ある種の態様において、化学療法剤は、代謝拮抗物質である。代謝拮抗物質は、正常な生化学反応に必要な代謝産物に似ているが、細胞の1つまたは複数の正常機能、例えば、細胞分裂を妨害するのに十分に異なる構造を有する化学物質である。代謝拮抗物質には、ゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキセートナトリウム、ラリトレキセド、ペメトレキセド、テガフール、シトシンアラビノシド、チオグアニン、5-アザシチジン、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれるが、これらに限定されることはない。ある種の態様において、第2の治療剤はゲムシタビンである。
【0274】
ある種の態様において、化学療法剤は、チューブリンに結合する薬剤を含むが、これに限定されない、有糸分裂阻害剤である。いくつかの態様において、薬剤はタキサンである。ある種の態様において、薬剤は、パクリタキセルもしくはドセタキセル、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体である。ある種の態様において、薬剤は、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、アルブミン結合パクリタキセル(アブラキサン)、DHA-パクリタキセル、またはPG-パクリタキセルである。ある種の代替的な態様において、有糸分裂阻害剤は、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、もしくはビンデシン、またはその薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体を含む。いくつかの態様において、有糸分裂阻害剤は、キネシンEg5の阻害剤または有糸分裂キナーゼ、例えば、AuroraAもしくはPlk1の阻害剤である。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤と組み合わせて投与される化学療法剤が有糸分裂阻害剤を含む場合、処置されているがんまたは腫瘍は、乳がんまたは乳腺腫瘍である。
【0275】
いくつかの態様において、第2の治療剤は、低分子等の薬剤を含む。例えば、処置は、本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)と、EGFR、ErbB2、HER2および/またはVEGFを含むが、これらに限定されない、さらなる腫瘍関連タンパク質に対する阻害剤として作用する低分子との併用投与を伴ってもよい。ある種の態様において、第2の治療剤は、がん幹細胞経路を阻害する低分子である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、Notch経路の低分子阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、Wnt経路の低分子阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、BMP経路の低分子阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、β-カテニンシグナル伝達を阻害する低分子である。
【0276】
いくつかの態様において、第2の治療剤は、抗体のような、生体分子を含む。例えば、処置は、本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)と、EGFR、ErbB2、HER2および/またはVEGFを結合する抗体を含むが、これらに限定されない、さらなる腫瘍関連タンパク質に対する他の抗体との併用投与を伴ってもよい。ある種の態様において、第2の治療剤は、抗がん幹細胞マーカー抗体である抗体である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、Notch経路の構成成分を結合する抗体である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、Wnt経路の構成成分を結合する抗体である。ある種の態様において、第2の治療剤は、がん幹細胞経路を阻害する抗体である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、Notch経路の抗体阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、Wnt経路の抗体阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、BMP経路の抗体阻害剤である。いくつかの態様において、第2の治療剤は、β-カテニンシグナル伝達を阻害する抗体である。ある種の態様において、第2の治療剤は、血管新生の阻害剤または調節剤である抗体(例えば、抗VEGF抗体または抗VEGF受容体抗体)である。ある種の態様において、第2の治療剤は、ベバシズマブ(アバスチン)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、パニツムマブ(ベクチビックス)またはセツキシマブ(エルビタックス)である。併用投与は、1種類の薬学的製剤での、もしくは別個の製剤を用いた同時投与を含んでもよく、またはどちらの順番でもよいが、活性剤の全てがその生物学的活性を同時に発揮できるように、一般的にある期間内で行われる、連続投与を含んでもよい。
【0277】
さらに、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤による処置は、1つまたは複数のサイトカイン(例えば、リンホカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子および/または増殖因子)のような、他の生体分子による併用処置を含んでもよく、あるいは腫瘍、がん細胞の外科的除去によって、または処置を行っている医師により必要とみなされた他の任意の療法によって達成されてもよい。
【0278】
ある種の態様において、処置は、放射線療法と組み合わせた本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)の投与を伴う。VEGF/DLL4結合剤による処置は、放射線療法の施行の前に、放射線療法の施行と同時に、または放射線療法の施行の後に行ってもよい。当業者は、このような放射線療法の投薬計画を決定することができる。
【0279】
VEGF/DLL4結合剤およびさらなる治療剤の組み合わせを、任意の順番で、または同時に投与できることが理解されよう。VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)による処置は、化学療法の施行の前に、化学療法の施行と同時に、または化学療法の施行の後に行ってもよい。併用投与は、1種類の薬学的製剤での、もしくは別個の製剤を用いた同時投与を含んでもよく、またはどちらの順番でもよいが、活性剤の全てがその生物学的活性を同時に発揮できるように、一般的にある期間内で行われる、連続投与を含んでもよい。そのような化学療法剤の調製および投薬計画は、製造業者の指示にしたがってまたは当業者により実験的に決定されるように用いられうる。そのような化学療法剤の調製および投薬計画はまた、The Chemotherapy Source Book, 4
th Edition, 2008, M. C. Perry, Editor, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PAに記述されている。
【0280】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、第2の治療剤による処置を以前に受けたことがある患者に投与される。ある種の他の態様において、VEGF/DLL4結合剤および第2の治療剤は、実質的に同時にまたは時を同じくして投与される。例えば、対象は、第2の治療剤(例えば、化学療法)による一連の処置を受けると同時に、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)を投与されることができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、第2の治療剤による処置の1年以内に投与される。ある種の代替的な態様において、VEGF/DLL4結合剤は、第2の治療剤による任意の処置の10ヶ月以内、8ヶ月以内、6ヶ月以内、4ヶ月以内または2ヶ月以内に投与される。ある種の他の態様において、VEGF/DLL4結合剤は、第2の治療剤による任意の処置の4週間以内、3週間以内、2週間以内または1週間以内に投与される。いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤は、第2の治療剤による任意の処置の5日以内、4日以内、3日以内、2日以内または1日以内に投与される。さらに、数時間または数分のうちに(すなわち、実質的に同時に)、2種(またはそれ以上)の薬剤または処置を対象に投与できることが理解されよう。
【0281】
疾患の処置のために、本発明のVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)の適切な投与量は、処置されている疾患のタイプ、疾患の重篤度および経過、疾患の応答性、VEGF/DLL4結合剤または抗体が治療目的または予防目的で投与されているかどうか、以前の療法、患者の病歴などに依り、全て、処置を行っている医師の自由裁量で決まる。VEGF/DLL4結合剤または抗体は、一回で投与されてもよく、または数日〜数ヶ月に及ぶ一連の処置として投与されてもよく、あるいは治癒が達成され、または疾患状態の減退が達成される(例えば、腫瘍のサイズが縮小する)まで投与されてもよい。最適な投薬計画は、患者の体内の薬物蓄積の測定から計算することができ、個々の抗体または薬剤の相対効力に依って変化するであろう。投与を行っている医師は、最適な投与量、投薬方法および反復率を決定することができる。ある種の態様において、VEGF/DLL4結合剤または抗体の投与量は、約0.01 μg〜約100 mg/kg体重、約0.1 μg〜約100 mg/kg体重、約1 μg〜約100 mg/kg体重、約1 mg〜約100 mg/kg体重、約1 mg〜約80 mg/kg体重、約10 mg〜約100 mg/kg体重、約10 mg〜約75 mg/kg体重、または約10 mg〜約50 mg/kg体重である。ある種の態様において、抗体または他のVEGF/DLL4結合剤の投与量は、約0.1 mg〜約20 mg/kg体重である。ある種の態様において、投与量は、1日に、1週間に、1ヶ月にまたは1年に1回または複数回与えることができる。ある種の態様において、抗体または他のVEGF/DLL4結合剤は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回または月に1回与えられる。
【0282】
いくつかの態様において、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)は、初回の、より高い「負荷」用量で投与され、その後に1回または複数回の、より低い用量で投与されうる。いくつかの態様において、投与の頻度は変化してもよい。いくつかの態様において、投薬レジメンは、初回用量の投与、その後に週に1回、2週間に1回、3週間に1回または月に1回のさらなる用量(または「維持」用量)の投与を含みうる。例えば、投薬レジメンは、初回負荷用量の投与、その後に、例えば初回用量の2分の1の、週1回の維持用量の投与を含みうる。あるいは投薬レジメンは、初回負荷用量の投与、その後に、例えば隔週に初回用量の2分の1の、維持用量の投与を含みうる。あるいは投薬レジメンは、3週間3回の初回用量の投与、その後に、例えば隔週に同量の、維持用量の投与を含みうる。あるいは投薬レジメンは、初回用量の投与、その後に3週ごとまたは月に1回のさらなる用量の投与を含みうる。処置を行っている医師は、測定された滞留時間および体液または組織中の薬物濃度に基づいて、投薬のための反復率を評価することができる。治療の経過は、従来の技法およびアッセイ法によってモニターすることができる。
【0283】
当業者には公知であるように、いずれかの治療剤の投与は、副作用および/または毒性をもたらしうる。場合によっては、副作用および/または毒性は、治療的に有効な用量での特定の薬剤の投与を妨げるほど重篤である。場合によっては、薬物治療を中断しなければならず、他の薬剤を試さなければならない。しかしながら、同じ薬効分類内の多くの薬剤は、類似の副作用および/または毒性を示すことが多く、このことは、患者が治療を止めるか、または可能なら、治療剤に関連した不快な副作用に苦しむのを止めるかしなければならないことを意味している。
【0284】
治療剤由来の副作用には、じんましん、皮膚発疹、そう痒、吐き気、嘔吐、食欲減退、下痢、悪寒、発熱、疲労、筋肉の痛みおよび疼痛、頭痛、低血圧、高血圧、低カリウム血症、低血球数、出血、ならびに心臓障害が含まれうるが、これらに限定されることはない。
【0285】
したがって、本発明の1つの局面は、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の投与に関連した副作用および/または毒性を低減しうる間欠投薬レジメンを用いて、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体を投与する段階を含む、患者においてがんを処置する方法を対象とする。本明細書において用いられる場合、「間欠投薬」は、週1回超の投薬間隔を用いた投薬レジメン、例えば、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回などの投薬をいう。いくつかの態様において、ヒト患者においてがんを処置するための方法は、間欠投薬レジメンにしたがって抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の有効な用量を患者に投与する段階を含む。いくつかの態様において、ヒト患者においてがんを処置するための方法は、間欠投薬レジメンにしたがって抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の有効な用量を患者に投与する段階、および抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の治療指数を増加させる段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、患者に抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を投与する段階、および約2週間に1回、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、患者に抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を投与する段階、および約3週間に1回、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、患者に抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を投与する段階、および約4週間に1回、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の後続用量を投与する段階を含む。
【0286】
いくつかの態様において、間欠投薬レジメンにおける後続用量は、初回用量とほぼ同じ量であるか、または初回用量よりも少ない。他の態様において、後続用量は、初回用量よりも多い量である。当業者によって知られるように、用いられる用量は、達成されるべき臨床目標に依って変化するであろう。いくつかの態様において、初回用量は、約0.25 mg/kg〜約20 mg/kgである。いくつかの態様において、初回用量は、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約0.5 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約1 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約2.5 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約5 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約7.5 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約10 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約12.5 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約15 mg/kgである。ある種の態様において、初回用量は、約20 mg/kgである。いくつかの態様において、後続用量は、約0.25 mg/kg〜約15 mg/kgである。ある種の態様において、後続用量は、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15 mg/kgである。ある種の態様において、後続用量は、約0.5 mg/kgである。ある種の態様において、後続用量は、約1 mg/kgである。ある種の態様において、後続用量は、約2.5 mg/kgである。ある種の態様において、後続用量は、約5 mg/kgである。いくつかの態様において、後続用量は、約7.5 mg/kgである。いくつかの態様において、後続用量は、約10 mg/kgである。いくつかの態様において、後続用量は、約12.5 mg/kgである。
【0287】
いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a) 約2.5 mg/kgの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を患者に投与する段階、および(b) 2週間に1回、約2.5 mg/kgの後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a) 約5 mg/kgの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を患者に投与する段階、および(b) 2週間に1回、約5 mg/kgの後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a) 約2.5 mg/kgの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を患者に投与する段階、および(b) 3週間に1回、約2.5 mg/kgの後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a) 約5 mg/kgの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を患者に投与する段階、および(b) 3週間に1回、約5 mg/kgの後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a) 約2.5 mg/kgの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を患者に投与する段階、および(b) 4週間に1回、約2.5 mg/kgの後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a) 約5 mg/kgの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の初回用量を患者に投与する段階、および(b) 4週間に1回、約5 mg/kgの後続用量を投与する段階を含む。ある種の態様において、初回用量および維持用量は異なり、例えば、初回用量は約5 mg/kgであり、かつ後続用量は約2.5 mg/kgである。ある種の態様において、間欠投薬レジメンは、負荷用量を含んでよく、例えば、初回用量は約20 mg/kgであり、かつ後続用量は、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回投与される約2.5 mg/kgまたは約5 mg/kgである。
【0288】
本発明の別の局面は、間欠投薬レジメンを用いて抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体を患者に投与する段階を含む、ヒト患者において抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の毒性を低減するための方法を対象とする。本発明の別の局面は、間欠投薬レジメンを用いて抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体を患者に投与する段階を含む、ヒト患者において抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の副作用を低減するための方法を対象とする。本発明の別の局面は、間欠投薬レジメンを用いて抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体を患者に投与する段階を含む、ヒト患者において抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の治療指数を増加させるための方法を対象とする。
【0289】
初回用量および後続用量のための送達方法の選択は、動物またはヒト患者が、体内への抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の導入を許容できることにしたがって行われる。したがって、本明細書において記述される局面および/または態様のいずれかにおいて、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の投与は、静脈内注射または静脈内によるものでありうる。いくつかの態様において、投与は静脈内注入によるものである。本明細書において記述される局面および/または態様のいずれかにおいて、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の投与は、非静脈内経路によるものでありうる。
【0290】
V. VEGF/DLL4結合剤を含むキット
本発明は、本明細書において記述されるVEGF/DLL4結合剤(例えば、抗体)を含み、かつ本明細書において記述される方法を実施するのに使用可能な、キットを提供する。ある種の態様において、キットは、1つまたは複数の容器に入れられた、VEGFおよび/またはDLL4に対する少なくとも1種類の精製された抗体を含む。いくつかの態様において、キットは、全ての対照を含む、検出アッセイ法を行うのに必要および/または十分な成分の全て、アッセイ法を行うための説明書、ならびに分析および結果の表示に必要な任意のソフトウェアを含む。当業者であれば、本発明の開示されたVEGF/DLL4結合剤を、当技術分野において周知の確立されたキット形式の1つに容易に組み込むことができることを容易に認識するであろう。
【0291】
さらに、VEGF/DLL4結合剤(例えば、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体)、および少なくとも1つのさらなる治療剤を含むキットが提供される。ある種の態様において、もう1つ(またはそれ以上)の治療剤は、化学療法剤である。ある種の態様において、もう1つ(またはそれ以上)の治療剤は、血管新生阻害剤である。
【0292】
本開示の態様を、以下の非限定的な実施例を参照してさらに明確にすることができる。実施例は、本開示のある種の抗体の調製および本開示の抗体を用いるための方法を詳述する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料と方法の両方に多くの変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0293】
実施例1 抗VEGF/抗DLL4抗体の結合親和性
親抗体である抗VEGF 219R45 (IgG形式)抗体、抗DLL4 21R79 (IgG形式)抗体、抗DLL4 21M18 (IgG形式)抗体、ならびに二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79のK
Dを、Biacore LifeSciences (GE Healthcare)のBiacore 2000システムを用いて決定した。組み換えヒトDLL4-FcまたはマウスDLL4-Fcタンパク質を、標準的なアミンに基づく化学(NHS/EDC)を用いてCM5カルボキシルチップ上に固定化し、エタノールアミンでブロッキングした。組み換えヒトVEGF
165またはマウスVEGF
165をビオチン化し、ストレプトアビジンチップ上に固定化した。抗体をHBS-P (0.01 M HEPES pH 7.4、0.15 M NaCl、0.005% v/v Polysorbate 20)中に100 nMから0.78 nMまで連続的に2倍希釈した。抗体ごとに、全8種の希釈液を特定のチップに連続注入した。動的データを経時的に集め、同時全体適合式を用いて適合させ、各二重特異性抗体の親和性定数(K
D値)を得た。
【0294】
【表3】
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【0295】
表3に示されるように、二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、ヒトVEGFに対して0.36 nMの親和性定数(K
D)およびヒトDLL4に対して16 nMのK
Dを有していた。二重特異性抗体219R45-MB-21R79は、ヒトVEGFに対して0.68 nMの親和性定数(K
D)およびヒトDLL4に対して0.53 nMのK
Dを有していた。どちらの二重特異性抗体も、ヒトVEGFと比べて、マウスVEGFとの弱い結合を示し、どちらの抗体もマウスDLL4を結合しなかった。このように、どちらの二重特異性抗体も、ヒトVEGFに対する類似の結合親和性を示し、219R45-MB-21R79は219R45-MB-21M18よりも、ヒトDLL4に対しておよそ30倍強い結合を示した。さらに、二重特異性抗体219R45-MB-21R79は、二価の親抗体と比べた場合、二重特異性抗体がVEGFに対して一価であるという事実にもかかわらず、ヒトVEGFに対する類似の結合親和性を有していた。
【0296】
21M18および21R79のK
Dに対して中間の結合親和性を有していた、いくつかのさらなる抗DLL4抗体を特定した。これらの抗DLL4抗体の2つを用いて、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R75および219R45-MB-21R83を作出した。上記のようにBiacore 2000システムを用いて、ヒトDLL4に対する二重特異性抗体219R45-MB-21R75および219R45-MB-21R83のK
Dを決定した。これらの4種の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体の、ヒトDLL4に対する結合親和性の比較を表4に示す。
【0297】
図1Aに、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、219R45-MB-21R75および219R45-MB-21R83のCDRを示す。重鎖および軽鎖可変領域のSEQ ID NOを
図1Bに示し、重鎖および軽鎖可変領域のSEQ ID NO (シグナル配列を有するおよび有しない)を
図1Cに示す。
【0298】
抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、(a) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(13B13B), 10801 University Boulevard, Manassas, VA, USAに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:75を含むDNAによってコードされる重鎖、(b) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、および(c) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含む。
【0299】
抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R79は、(a) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:31を含むDNAによってコードされる重鎖、(b) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、および(c) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含む。
【0300】
抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R83は、(a) ブダペスト条約の条件の下、
でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:72を含むDNAによってコードされる重鎖、(b) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、および(c) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含む。
【0301】
抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R75は、(a) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:74を含むDNAによってコードされる重鎖、(b) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:33を含むDNAによってコードされる重鎖、および(c) ブダペスト条約の条件の下、2012年9月21日付でATCCに寄託され、指定番号PTA-
を割り当てられたSEQ ID NO:34を含むDNAによってコードされる軽鎖を含む。
【0302】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0303】
実施例2 ヒトVEGFおよびヒトDLL4との二重特異性抗体の同時結合のHTRFアッセイ法
VEGFおよびDLL4の両方に対する特定の抗体および/または抗体混合物の結合能を特徴付けるため、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ法を行った。試験した抗体は、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79、親抗体219R45 (抗VEGF)、21M18 (抗DLL4)、21R79 (抗DLL4)、219R45および21M18の組み合わせ、または219R45および21R79の組み合わせであった。抗体または抗体混合物を結合用緩衝液(1×PBS、0.1%ゼラチン、0.1% Polysorbate 20、400 mMフッ化カリウム)中に3000 nMから2.9 nMまで連続的に2倍希釈し、白色の96ウェルプレート中に入れた。4 μg/mlのd2標識hDLL4-Fcおよび21.4 ng/mlのユウロピウムクリプテート標識hVEGF
165を含有する等容量の溶液を、終容量100 μlとなるように各ウェルに加えた(アクセプターおよびドナー・フルオロフォアの終濃度は、それぞれ、2 μg/mlおよび10.7 ng/mlであった)。アッセイプレートを2時間〜終夜インキュベートし、SpectraMax M5eマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale CA)にて励起波長314 nmで読み取った。
【0304】
図2に示されるように、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79は、hVEGFおよびhDLL4の両方を同時に結合することができた。重要なことには、親抗体の組み合わせ(すなわち、219R45および21M18または219R45および21R79)のどちらも、VEGFおよびDLL4を同時に結合することができなかった。これらの結果は、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79が、2種の個々の抗体の単なる混合物とは異なるように機能できることを明らかに実証している。
【0305】
実施例3 抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体によるHUVEC増殖の阻害
HUVEC細胞は、Lonza (Walkersville MD)から入手し、成長培地(M199、10%熱不活化FBS (HI-FBS)、50 μg/ml EGS、1×ヘパリン、1 mM L-グルタミン)中で培養した。HUVEC増殖アッセイ法のため、96ウェルプレートを10 μg/mlのラット尾部コラーゲンI型溶液(0.02 N酢酸中のコラーゲンI) 50 μlで予めコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。インキュベーション後、プレートを十分に吸引して、未結合のコラーゲンI溶液を除去し、DPBS 200 μlで1回洗浄した。内皮細胞サブクローン試薬を用いて成長用フラスコの表面からHUVEC細胞を除去し、これを4℃で5分間1200 rpmで遠心分離した。細胞を、細胞10
5個/mlの密度で飢餓/アッセイ培地(M199および2% HI-FBS、1×ヘパリン、5 U/mlヘパリン-グルタミン)に再懸濁した。細胞を、コラーゲンでコーティングしたアッセイプレートの中に、細胞5000個/ウェル、50 ul/ウェルで播種した。細胞を37℃で3時間インキュベートし、1回洗浄し、アッセイ培地100 ulを再供給し、37℃で終夜インキュベートした。翌日、二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、親抗体219R45または対照抗体LZ1をヒトVEGF (R&D Biosystems, Minneapolis MN)との混合物として調製した。抗体をhVEGF (終濃度5 ng/ml)と組み合わせてアッセイ用緩衝液中に20 μMから0.25 nMまで連続的に5倍希釈した。混合物を2時間37℃でプレインキュベートした。培地をアッセイプレートから除去し、抗体/hVEGF混合物100 μlを各ウェルに加えた。3〜4日のインキュベーション後、培地を除去し、抗体/hVEGF混合物の新鮮なアリコットを各ウェルに加え、さらに4日間インキュベートさせた。7日目に、アラマーブルー(Alamar Blue)試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA) 20 μlを各ウェルに加え、5〜6時間37℃でインキュベートした。プレートをSpectraMax M5eマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale CA)で、励起波長539 nmおよび放出波長590 nmを用いて読み取った。
【0306】
図3に示されるように、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79、ならびに親抗VEGF抗体219R45は、HUVEC増殖を阻害した。これらの結果から、二重特異性抗体が、VEGF誘導性のHUVEC細胞増殖を阻害可能であったことが実証された。
【0307】
実施例4 二重特異性抗体によるDLL4誘導性のNotchシグナル伝達の阻害
完全長ヒトNotch2受容体をコードする発現ベクター、およびNotchシグナル伝達に応答するホタル・ルシフェラーゼレポーターベクター(8×CBFルシフェラーゼレポーター)をヒトPC3細胞にトランスフェクションした。また、トランスフェクション効率の内部対照としてウミシイタケ・ルシフェラーゼレポーター(Promega, Madison WI)を細胞にトランスフェクションした。96ウェルプレートに精製ヒトDLL4タンパク質を100 ng/ウェルでコーティングし、ウェルにNotch2発現PC3-luc細胞を加えた。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、親抗DLL4抗体21M18、21R79または対照抗体LZ1を20 ug/mlから0.064 ug/mlまで連続的に5倍希釈し、適切なウェルに加え、終夜インキュベートした。デュアル・ルシフェラーゼアッセイキット(Promega, Madison, WI)を用い、ホタル・ルシフェラーゼ活性をウミシイタケ・ルシフェラーゼ活性に対し規準化して、ルシフェラーゼ活性を決定した。
【0308】
図4に示されるように、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R79ならびに親抗DLL4抗体21M18および21R79は、DLL4誘導性のNotchシグナル伝達を阻害した。二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、高い抗体濃度でのみ、DLL4誘導性のNotchシグナル伝達を阻害した。これらの結果から、二重特異性抗体219R45-MB-21R79、およびそれほどではないが、二重特異性抗体219R45-MB-21M18がDLL4誘導性のNotchシグナル伝達を阻害しうることが実証された。このように、実施例3において提示した結果と組み合わせて、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R79および219R45-MB-21M18は、VEGF誘導性およびDLL4誘導性の両方のシグナル伝達および/または増殖機能を阻害する能力を実証した。
【0309】
実施例5 ヒト皮膚移植片モデルにおける二重特異性抗体によるインビボでの腫瘍成長の阻害
ヒト皮膚移植片およびヒト腫瘍細胞を含むヒト皮膚移植片モデルが報告されている。ヒト皮膚移植片を樹立し、その後、ヒト腫瘍細胞を皮膚移植片へ移植し、ヒト間質および脈管構造を有する環境中で腫瘍細胞を成長させる(Tahtis et al., 2003, Mol. Cancer Ther. 2:229-737)。ヒト皮膚サンプルを新生児包皮組織から得て、NOD-SCIDマウスの側腹部に移植した。皮膚移植片の樹立後、ルシフェラーゼ標識OMP-C8結腸腫瘍細胞(細胞20,000個)をヒト皮膚に皮内注射した。IVIS画像システム(Caliper Life Sciences, Mountain View, CA)を用いて生物発光画像法により腫瘍成長をモニターした。腫瘍を、光子1.2×10
6個/秒に達するまで、成長させた。腫瘍担持マウス(n = 6マウス/群)を無作為に選び、対照Ab、抗hDLL4抗体21M18、抗VEGF抗体ベバシズマブ、または抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18で処置した。動物を週1回処置し、抗体を25 mg/kgの用量で腹腔内に投与した。表示した日に生物発光画像法により腫瘍成長をモニターした。
【0310】
図5に示されるように、抗hDLL4抗体21M18も抗VEGF抗体ベバシズマブもともに、このヒト皮膚移植片/ヒト腫瘍モデルにおいて腫瘍成長を阻害した。さらに、二重特異性の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、抗DLL4抗体または抗VEGF抗体のいずれかのみよりも効果的であった。これらのデータから、二重特異性抗体でDLL4およびVEGFを同時に標的化することの有用性が実証される。
【0311】
実施例6 抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体による処置後のOMP-PN8膵臓腫瘍細胞の腫瘍形成性
OMP-PN8膵臓腫瘍を担持するマウスを対照抗体(15 mg/kg)、抗hDLL4抗体21M18 (15 mg/kg)、抗VEGF抗体ベバシズマブ(15 mg/kg)、または抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18もしくは219R45-MB-21R79 (30 mg/kg)により、ゲムシタビン(70 mg/kg)ありまたはなしで処置した。4週の処置後、腫瘍を収集し、単個細胞浮遊液へ処理し、ヒト腫瘍細胞をマウス細胞の免疫磁性枯渇によって精製した。各処置群由来のヒト腫瘍細胞90個を新しいコホートのマウス(n = 10マウス/群)へ移入した。腫瘍を、いずれの処置もなしに、55日間成長させ、腫瘍容積を電子キャリパで測定した。
【0312】
図6は、各群における個々のマウス由来の腫瘍容積を示す。抗hDLL4抗体21M18で処置したマウスから単離された細胞は、マウス10匹中9匹が腫瘍を有していた、対照抗体で処置したマウスから単離された細胞と比べて、大きく減少した腫瘍形成性を有し、マウス10匹中5匹が腫瘍を有していた。腫瘍成長頻度の低減は、がん幹細胞頻度の低減を示す。対照的に、ベバシズマブ処置は、腫瘍成長頻度の低減をもたらさず、マウス10匹中10匹が腫瘍を有していた。ベバシズマブと同様に、単剤としてのゲムシタビンによる処置は、マウス10匹中10匹が腫瘍を有していたように、腫瘍成長頻度に効果を及ぼさなかった。抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79はともに、腫瘍成長頻度を低減した(それぞれ、マウス10匹中5匹が腫瘍を有し、マウス10匹中4匹が腫瘍を有していた)。ゲムシタビンとの併用処置は、腫瘍成長頻度に効果を及ぼさないように思われた。これらのデータから、DLL4の標的化はがん幹細胞頻度を低減するが、VEGFのみの標的化ではそうならないことが示唆される。重要なことには、これらのデータから、抗DLL4抗体の抗CSC活性が二重特異性抗体において保持されていることが示唆される。
【0313】
実施例7 二重特異性抗体ELISA
VEGF (ATGEN, South Korea)を2 ug/ml (100 μl/ウェル)でNunc maxisorbプレート上にコーティングし、2〜8℃で終夜インキュベートした。二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、219R45-MB-21R75および219R45-MB-21R83を、2 μg/mlのビオチン-DLL4-hFcを含有するブロッキング用緩衝液(1×PBS、0.1%ゼラチン、0.1% Polysorbate-20, pH 7.4)中に希釈した。抗体を500 ng/mlから0.008 ng/mlまで連続的に3倍希釈した。抗体サンプルを、ビオチン-DLL4-hFcを含有するブロッキング用緩衝液中で2時間インキュベートした。インキュベーション後、抗体サンプルを、VEGFでコーティングしたアッセイプレート(100 ul/ウェル)へ移入し、2時間インキュベートした。ストレプトアビジン-HRP (Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)を各ウェルに加え、1時間インキュベートした。TMB基質をウェルに加え、10分発色させ、反応を2 M硫酸で停止させた。吸光度を450〜650 nmで読み取り、Softmax Pro分析プログラム(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)内の4-パラメータフィットを用いてデータを分析した。
【0314】
図7は、参照の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体(黒丸)との比較で二重特異性抗体219R45-MB-21M18 (白丸)、219R45-MB-21R79 (白四角)、219R45-MB-21R75 (白三角)および219R45-MB-21R83 (白菱形)の滴定曲線を示す。参照の二重特異性抗体と比べて二重特異性抗体の相対効力を表5に示す。
【0315】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0316】
二重特異性抗体219R45-MB-21R79は最も強力であって、219R45-MB-21M18よりも約7倍強力であったが、これは21R79抗原結合部位の、より高い親和性を反映していた。
【0317】
実施例8 二重特異性抗体産生
二重特異性抗体は、GS-CHO細胞株を用いて産生された。選択可能なマーカーとしてグルタミン合成酵素(GS)とカップリングされた関心対象の遺伝子をエレクトロポレーションによってCHOK1SV細胞(Lonza Biologics)にトランスフェクションした。トランスフェクタントおよびサブクローンを抗体産生性についてスクリーニングし、高産生株を大規模産生のために選択した。流加培養過程および流加培養バイオリアクタを用いて細胞を増殖させた。クロマトグラフィー技法を用いて、収集細胞培養液(HCCF)中に貯留した抗体を単離および精製した。
【0318】
14日間、5 Lのかくはん槽型バイオリアクタの中で二重特異性抗体細胞株の219R45-MB-21M18.010.017および219R45-MB-21R79.017.003を培養した。細胞株の219R45-MB-21M18.010.017は、3.0 g/Lの最終の抗体価をもたらし、細胞株の219R45-MB-21R79.017.003は、0.8 g/Lの最終の抗体価をもたらした。0.4 g/Lの最終の抗体価を達成した流加培養過程を用いて細胞株の219R45-MB-21R75.101および219R45-MB-21R83.113を25 L WAVEバイオリアクタシステム(GE Healthcare)の中で培養した。14〜15日間、5 Lのかくはん槽型バイオリアクタの中で二重特異性抗体細胞株の219R45-MB-21M18AG.138.007、219R45-MB-21M18AG.038.009、219R45-MB-21M18AG.142.002、219R45-MB-21R79AG.072.014および219R45-MB-21R83AG.129.003を培養した。細胞株の219R45-MB-21M18AG.138.007は14日後、1.0 g/Lの最終の抗体価をもたらした。細胞株の219R45-MB-21M18AG.038.009は14日後、1.6 g/Lの最終の抗体価をもたらした。細胞株の219R45-MB-21M18AG.142.002は14日後、2.6 g/Lの最終の抗体価をもたらした。細胞株の219R45-MB-21R79AG.072.014は15日後、2.1 g/Lの最終の抗体価をもたらした。細胞株の219R45-MB-21M18AG.038.009は15日後、2.4 g/Lの最終の抗体価をもたらした。これらの4種の細胞株の各々からろ過によって培養液を収集し、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーに供した。プロテインAカラムを一連の緩衝液で洗浄し、低pHの溶出緩衝液を用いて抗体を溶出させた。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC-HPLC)および等電点電気泳動(IEF)を用いて二重特異性抗体の純度の初期特性化を行った。
【0319】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて抗体産物の純度を決定した。SECは、溶液中の分子(例えば、抗体)がそのサイズによって分離される周知のクロマトグラフィー法である。SECを用いて、抗体産物を凝集体および/または不純物から区別することができ、全混合物と比べて抗体産物の割合を決定することができる。本明細書において用いられる場合、SECでは、ホモマー抗体とヘテロ二量体二重特異性抗体とが区別されない。
【0320】
画像化キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)を用いて、二重特異性抗体ヘテロ二量体の同一性および純度を決定した。icIEFを用いて、抗体の荷電アイソフォームをそのpIにしたがい分離するが、その結果が抗体の電荷分布の「フィンガープリント」である。icIEF法はまた、二重特異性抗体ヘテロ二量体をその異なるpIにより、任意のホモ二量体産物または不純物から分離することによって純度の決定法にもなりうる。
【0321】
二重特異性抗体サンプルをProteinSimple ICE280機器(ProteinSimple, Santa Clara, CA)にてicIEFにより分析した。この分析のため、タンパク質混合物をキャピラリーへ導入し、高電圧をキャピラリーの全体に加えると、両性電解質がキャピラリーの全長に沿って直線pH勾配を作り出す。電界の影響下で、pIマーカーおよびタンパク質混合物はともに、正味荷電がゼロになるところにpH値が到達するまで、キャピラリーの全長を移動する。フォーカスされたら、ICE280機器により280 nm UVカメラでの全カラム画像化検出を使って、キャピラリー内のタンパク質アイソフォームのパターンがモニターされる。得られた電気泳動図を、内部pIマーカーを用いて較正し、統合して、タンパク質混合物のさまざまな荷電アイソフォームの各面積率を確立する。いくつかの抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体由来の電荷プロファイルを
図8に示す。この実験のため、プロテインA溶出液を6.6 mg/mlの濃度までミリQ水で希釈した。サンプル計18 μlを終容量200 μlとなるように8 M尿素100 μL、0.5%メチルセルロース70 μl、3-10 Pharmalyte 8 μL、高pIマーカー2 μlおよび低pIマーカー2 μlと混合した。表6は、SEC-HPLCによって決定された、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー後の細胞株219R45-MB-21M18.010.017、219R45-MB-21R79.017.002、219R45-MB-21R75.101、219R45-MB-21R83.113、219R45-MB-21M18.138.007、219R45-MB-21M18AG.038.009、219R45-MB-21M18AG.142.002、219R45-MB-21R79AG.072.014および219R45-MB-21R83AG.129.003由来の抗体産物の割合を示す。表6はまた、icIEFによって分析された、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー後の細胞株219R45-MB-21M18.010.017、219R45-MB-21R79.017.002、219R45-MB-21R75.101、219R45-MB-21R83.113、219R45-MB-21M18.138.007、219R45-MB-21M18AG.038.009、219R45-MB-21M18AG.142.002、219R45-MB-21R79AG.072.014および219R45-MB-21R83AG.129.003由来のヘテロ二量体抗体の割合を示す。
【0322】
【表6】
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【0323】
二重特異性抗体産物の純度は、さらなるクロマトグラフィー段階によってさらに、増加させることができる。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーの後、溶出液の画分をウイルス不活性化のために室温で60分以上の間、低pHに維持した。抗体溶液(プロテインAカラム溶出液、pH調整済み)を強力な陰イオン交換カラムに負荷した。陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂に結合した、産物関連およびプロセス関連の不純物、ならびに素通り画分(抗体産物)が回収された。場合によっては、純度はセラミックヒドロキシアパタイトのようなマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂の使用によってさらに改善された。場合によっては、抗体産物の緩衝液交換を、限外ろ過および血液透析ろ過の技法を用いて行い、その後に賦形剤を加えた。処方された抗体を滅菌容器の中に滅菌ろ過し、冷蔵保存または凍結保存した。SEC-HPLCおよびIEFを用いて二重特異性抗体産物の純度を再評価した。
【0324】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0325】
表7に示されるように、プロテインAの後にさらなるクロマトグラフィー段階を用いて抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体を精製すると、SECによって分析した場合に95%〜約99%純粋であった抗体産物の単離が得られた。IEFによる分析から、精製された、細胞株219R45-MB-21M18.010.017由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が98.5%ヘテロ二量体であり、細胞株219R45-MB-21R79.017.002由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が99.3%ヘテロ二量体であり、細胞株219R45-MB-21R75.101由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が98.2%ヘテロ二量体であり、細胞株219R45-MB-21R83.113由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が91.4%ヘテロ二量体であり、細胞株219R45-MB-21M18.138.007由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が100%ヘテロ二量体であり、細胞株219R45-MB-21M18AG.142.002由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が100%ヘテロ二量体であり、細胞株219R45-MB-21R79AG.072.014由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が100%ヘテロ二量体であり、および細胞株219R45-MB-21R83AG.129.003由来の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体が100%ヘテロ二量体であることが実証された。これらの結果から、陰イオン交換クロマトグラフィー段階がプロテインAクロマトグラフィーのみでの精製と比べてヘテロ二量体抗体の割合を大幅に増加させることが実証された。セラミックヒドロキシアパタイトのようなマルチモーダルクロマトグラフィー段階を加えることで、(SEP-HPLCによって決定される)単量体の純度を改善させることもできる。
【0326】
実施例9 インビボ腫瘍再発モデルでのOMP-C8結腸腫瘍成長の阻害
OMP-C8結腸腫瘍異種移植片の単個細胞浮遊液(細胞20,000個)を6〜8週齢のNOD/SCIDマウスの側腹部に皮下注射した。腫瘍を、240 mm
3の平均容積に達するまで33日間成長させた。マウス(1群あたりn = 10)を無作為に選び、抗hDLL4抗体21M18、抗VEGF抗体ベバシズマブ、抗体21M18およびベバシズマブの組み合わせ、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R79、または対照抗体により、全てイリノテカンとの組み合わせで処置した。抗体およびイリノテカンを、腹腔内への注射により毎週投薬した。抗体21M18およびベバシズマブは7.5 mg/kgで投薬し、二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79は15 mg/kgで投薬し、イリノテカンは45 mg/kgで投薬した。イリノテカンは4週間投薬し、その時点で、それを中断し、抗体の投与を継続した。腫瘍成長をモニターし、表示した時点で電子キャリパにより腫瘍容積を測定した。データは平均±S.E.Mとして表されている。
【0327】
図9に示されるように、抗hDLL4抗体21M18は、イリノテカンによる処置を停止した後も、腫瘍成長を阻害し続けた。対照的に、抗VEGF抗体ベバシズマブは、イリノテカンを停止した後、腫瘍の再成長を阻害することができなかった。抗DLL4抗体21M18および抗VEGF抗体ベバシズマブの組み合わせでは、どちらかの薬剤のみよりも大きな、腫瘍再成長の阻害が得られた。さらに、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、2種の抗体の混合物よりも腫瘍再成長の阻害で効果的であった。
【0328】
実施例10 OMP-C8結腸腫瘍の腫瘍形成性の低減
OMP-C8結腸腫瘍異種移植片の単個細胞浮遊液(細胞20,000個)を6〜8週齢のNOD/SCIDマウスの側腹部に皮下注射した。腫瘍を、300 mm
3の平均容積に達するまで33日間成長させた。マウス(1群あたりn = 5)を無作為に選び、抗DLL4抗体21M18、抗VEGF抗体ベバシズマブ、抗体21M18およびベバシズマブの組み合わせ、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21R79、または対照抗体により、イリノテカンとの組み合わせでまたはイリノテカンなしで処置した。抗体およびイリノテカンを、腹腔内への注射により毎週投薬した。抗体21M18およびベバシズマブは7.5 mg/kgで投薬し、二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79は15 mg/kgで投薬し、イリノテカンは45 mg/kgで投薬した。腫瘍を4週後に収集し、単個細胞浮遊液へ処理し、ヒト腫瘍細胞を単離した。各実験群由来の腫瘍細胞150個を新しいコホートのマウス(n = 10マウス/群)へ皮下注射し、腫瘍を処置なしに成長させた。腫瘍成長をモニターし、腫瘍容積を電子キャリパで測定した。
【0329】
68日目の時点の個々の腫瘍容積を
図10に示す。抗DLL4抗体21M18、21M18と抗VEGF抗体ベバシズマブとの組み合わせ、二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R79、ならびにイリノテカンは全て、単剤として腫瘍成長頻度を低減した。対照的に、単剤としての抗VEGFベバシズマブは、対照抗体と比べて腫瘍成長頻度に効果を及ぼさなかった。イリノテカンおよび抗体の組み合わせで処置された群において、二重特異性抗体219R45-MB-21M18は、腫瘍成長頻度の低減で最も大きな効果を及ぼした。
【0330】
実施例11 インビボでのOMP-C8結腸腫瘍成長の阻害
OMP-C8結腸腫瘍異種移植片の単個細胞浮遊液(細胞50,000個)を6〜8週齢のNOD/SCIDマウスの側腹部に皮下注射した。腫瘍を、80 mm
3の平均容積に達するまで21日間成長させた。マウス(1群あたりn = 8)を無作為に選び、抗DLL4抗体21M18、抗VEGF抗体ベバシズマブ、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R75、219R45-MB-21R79、219R45-MB-21R83、または対照抗体により、単独でまたはイリノテカンとの組み合わせで処置した。抗体およびイリノテカンを、腹腔内への注射により毎週投薬した。ベバシズマブ、ならびに二重特異性抗体219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R75、219R45-MB-21R79および219R45-MB-21R83は15 mg/kgで投薬し、イリノテカンは7.5 mg/kgで投薬した。腫瘍成長をモニターし、表示した時点で電子キャリパにより腫瘍容積を測定した。データは平均±S.E.Mとして表されている。
【0331】
単剤として、全4種の抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体は、抗VEGF抗体ベバシズマブと比べて増強された抗腫瘍活性を示した。イリノテカンとの組み合わせで、抗VEGF/抗DLL4二重特異性抗体219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R83による処置は、腫瘍成長の、最も大きな阻害をもたらした(
図11)。
【0332】
処置期の後、腫瘍切片を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色で分析した。イリノテカンと組み合わせて219R45-MB-21M18および219R45-MB-21R83で処置された腫瘍は、広範な石灰化の証拠となる濃いピンク色の染色域を示した。これは高壊死性腫瘍組織に特有である。
【0333】
実施例12 カニクイザルにおける二重特異性抗体の非GLP毒性試験
二重特異性抗体のいくつかの毒性プロファイルを評価および比較するために、カニクイザルにおける非GLP毒性試験を開始した。動物に、静注によって2週間ごとに抗DLL4/抗VEGF二重特異性抗体(219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R83または219R45-MB-21R79) 0 mg/kg (対照)、5 mg/kg (低用量)または30 mg/kg (高用量)を投薬した。各群において雄3匹および雌3匹に投薬した。15週後、平均体重は、高用量の219R45-MB-21R18または219R45-MB-21R83のいずれかを投与された動物におけるよりも高用量の219R45-MB-21R79を投与されていた動物において低かった。さらに、平均血清アルブミンレベルは、219R45-MB-21R18または219R45-MB-21R83のいずれかを投与された動物におけるよりも219R45-MB-21R79を投与された動物において低かった。事実上、予備的ではあるが、これらの初期データから、219R45-MB-21R18および219R45-MB-21R83が219R45-MB-21R79と比べて優れた毒性プロファイルを持ちうることが示唆される。
【0334】
本明細書において記述された実施例および態様は例示する目的のためだけのものであると、ならびにそれらを踏まえてさまざまな修正または変更が当業者に示唆されるであろうが、それらは本出願の趣旨および範囲内に含まれるものと理解される。
【0335】
本明細書において引用された、全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、ならびにアクセッション番号/ポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の両方を含むデータベース配列は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベース配列が参照により本明細書に組み入れられるように詳細かつ個々に示されるのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0336】
配列
シグナル配列(下線)を有する21M18重鎖(SEQ ID NO:1)
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シグナル配列(下線)を有する21R79重鎖(SEQ ID NO:2)
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シグナル配列(下線)を有する219R45重鎖(SEQ ID NO:3)
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シグナル配列(下線)を有する軽鎖(SEQ ID NO:4)
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予測されるシグナル配列を有しない21M18重鎖(SEQ ID NO:5)
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予測されるシグナル配列を有しない21R79重鎖(SEQ ID NO:6)
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予測されるシグナル配列を有しない219R45重鎖(SEQ ID NO:7)
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予測されるシグナル配列を有しない軽鎖(SEQ ID NO:8)
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21M18重鎖可変領域(SEQ ID NO:9)
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21R79重鎖可変領域(SEQ ID NO:10)
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219R45重鎖可変領域(SEQ ID NO:11)
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軽鎖可変領域(SEQ ID NO:12)
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21R75、21R79、21R83および21M18重鎖CDR1 (SEQ ID NO:13)
TAYYIH
別の21R75、21R79、21R83および21M18重鎖CDR1 (SEQ ID NO:79)
AYYIH
21R79重鎖CDR2 (SEQ ID NO:14)
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21M18重鎖CDR2 (SEQ ID NO:15)
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21R75、21R79、21R83および21M18重鎖CDR3 (SEQ ID NO:16)
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219R45重鎖CDR1 (SEQ ID NO:17)
NYWMH
219R45重鎖CDR2 (SEQ ID NO:18)
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219R45重鎖CDR3 (SEQ ID NO:19)
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軽鎖CDR1 (SEQ ID NO:20)
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軽鎖CDR2 (SEQ ID NO:21)
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軽鎖CDR3 (SEQ ID NO:22)
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シグナル配列(下線)を有するヒトDLL4 (SEQ ID NO:23)
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予測されるシグナル配列を有しないヒトDLL4 (SEQ ID NO:24)
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ヒトDLL4 N末端領域(SEQ ID NO:25)
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ヒトDLL4 DSLドメイン(SEQ ID NO:26)
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シグナル配列(下線)を有するヒトVEGF-A (SEQ ID NO:27)
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予測されるシグナル配列を有しないヒトVEGF-A (SEQ ID NO:28)
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21M18重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン1) (SEQ ID NO:29)
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21R79重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン1) (SEQ ID NO:30)
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21R79重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:31)
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219R45重鎖ヌクレオチド配列(13Aバージョン1) (SEQ ID NO:32)
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219R45重鎖ヌクレオチド配列(13Aバージョン2) (SEQ ID NO:33)
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軽鎖ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:34)
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21M18重鎖可変領域ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:35)
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21R79重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13B) (SEQ ID NO:36)
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21R79重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:37)
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219R45重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Aバージョン1) (SEQ ID NO:38)
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219R45重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Aバージョン2) (SEQ ID NO:39)
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軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:40)
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ヒトIgG1重鎖定常領域(SEQ ID NO:41)
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ヒトIgG2重鎖定常領域(SEQ ID NO:42)
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ヒトIgG3重鎖定常領域(SEQ ID NO:43)
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ヒトIgG4重鎖定常領域(SEQ ID NO:44)
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FLAGペプチド(SEQ ID NO:45)
DYKDDDDK
シグナル配列に下線を引いた親21R79重鎖 非修飾鎖(SEQ ID NO:46)
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シグナル配列に下線を引いた親219R45重鎖(SEQ ID NO:47)
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予測されるシグナル配列を有しない親21R79重鎖(SEQ ID NO:48)
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シグナル配列を有しない親219R45重鎖(SEQ ID NO:49)
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親21R79重鎖可変領域ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:50)
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親219R45重鎖可変領域ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:51)
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シグナル配列を有する親21R79重鎖ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:52)
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シグナル配列を有する親219R45重鎖ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:53)
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親21R79および219R45軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:54)
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親21R79および219R45軽鎖ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:55)
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予測されるシグナル配列を有しない21R75重鎖(SEQ ID NO:56)
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予測されるシグナル配列(下線)を有する21R75重鎖(SEQ ID NO:57)
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21R75重鎖可変領域(SEQ ID NO:58)
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21R75重鎖CDR2 (SEQ ID NO:59)
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シグナル配列を有する21R75重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン1) (SEQ ID NO:60)
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シグナル配列を有する21R75重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン1T) (SEQ ID NO:77)
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シグナル配列を有する21R75重鎖ヌクレオチド配列(13BバージョンS1-2) (SEQ ID NO:61)
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予測されるシグナル配列を有しない21R83重鎖(SEQ ID NO:62)
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予測されるシグナル配列(下線)を有する21R83重鎖(SEQ ID NO:63)
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21R83重鎖可変領域(SEQ ID NO:64)
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21R83重鎖CDR2 (SEQ ID NO:65)
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シグナル配列に下線を引いた21R83重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン1) (SEQ ID NO:66)
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シグナル配列に下線を引いた21R83重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン1T) (SEQ ID NO:78)
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シグナル配列に下線を引いた21R75重鎖ヌクレオチド配列(13BバージョンS1-2) (SEQ ID NO:67)
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21R75重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Bバージョン1) (SEQ ID NO:68)
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21R75重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:69)
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21R83重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Bバージョン1) (SEQ ID NO:70)
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21R75重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:71)
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シグナル配列に下線を引いた21R83重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:72)
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21R83重鎖可変領域ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:73)
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シグナル配列に下線を引いた21R75重鎖ヌクレオチド配列(13Bバージョン2) (SEQ ID NO:74)
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21M18重鎖ヌクレオチド配列(バージョン2) (SEQ ID NO:75)
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21M18重鎖可変領域(バージョン2) (SEQ ID NO:76)
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抗DLL4重鎖CDR2コンセンサス配列(SEQ ID NO:80):
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配列中でX
1がセリンまたはアラニンであり、X
2がセリン、アスパラギンまたはグリシンであり、X
3がアスパラギンまたはリジンであり、かつX
4がグリシン、アルギニンまたはアスパラギン酸である。