(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170498
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】関連する物体の走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブ
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20170713BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20170713BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20170713BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20170713BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20170713BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20170713BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
G02B21/36
G02B23/26 C
G02B23/26 B
G02B23/24 B
A61B1/00 730
G02B26/10 109Z
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-540586(P2014-540586)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2015-504530(P2015-504530A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】IB2012056039
(87)【国際公開番号】WO2013072796
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】61/559,179
(32)【優先日】2011年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ベルナルドス ヘンドリクス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ビールホフ ワルテルス コルネリス ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ミハイロヴィチ ネナド
【審査官】
森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−087804(JP,A)
【文献】
特開2011−099963(JP,A)
【文献】
特表2001−515382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B19/00−21/00
G02B21/06−21/36
G02B23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連する物体の走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブにおいて、
−光学ウィンドウを備える細長いハウジングであり、前記光学ウィンドウは前記ハウジングの遠位端において側面位置に位置決められている、前記ハウジング
−光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ前記光学ガイドであり、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域における光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられる、前記光学ガイド、並びに
−前記プローブの遠位端において前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットであり、前記リレーレンズユニットは第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、前記リレーレンズユニットは、前記ハウジングの光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、前記対物レンズに対して光学的に配列される、前記リレーレンズユニット、
を有するプローブ。
【請求項2】
前記光学顕微鏡プローブのハウジングは、細長い形状であり、前記光学ウィンドウは、光学顕微鏡撮像のために前記プローブの長手方向に略垂直な方向に配されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記光学顕微鏡プローブのハウジングは、先細る遠位端を持つ細長い形状であり、前記光学ウィンドウは、前記プローブの前記先細る遠位端に位置決められている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記光学ガイドは、前記プローブに位置決められる1つ以上のアクチュエータにより横断方向に変位可能である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
変位可能な前記対物レンズは、前記プローブの横断寸法よりも小さい作動距離を持つ、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記対物レンズの開口数は、少なくとも0.4である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項7】
前記リレーレンズユニットの前記第1のレンズは、前記プローブの長手方向に略平行な光軸を持つように位置決められる、請求項1に記載のプローブ。
【請求項8】
前記リレーレンズユニットの前記第1のレンズは、前記プローブの横断寸法の少なくとも50%の光入射直径を持つ、請求項1に記載のプローブ。
【請求項9】
前記第2のレンズは、前記プローブの外側に顕微鏡撮像の焦点を定める、請求項1に記載のプローブ。
【請求項10】
前記第2のレンズは、前記リレーレンズユニットを通り抜ける顕微鏡撮像のための光路が最初に前記第2のレンズに入り、そして出て、次いで前記ミラーにより反射されるように、前記ミラーに対して光学的に配列される、請求項1又は9に記載のプローブ。
【請求項11】
前記第2のレンズは、前記リレーレンズユニットを通り抜ける顕微鏡撮像のための光路が最初に前記ミラーにより反射され、次いで前記第2のレンズに入り、そして出るように、前記ミラーに対して光学的に配列される、請求項1に記載のプローブ。
【請求項12】
前記第2のレンズは、前記リレーレンズユニットを通り抜ける顕微鏡撮像のための光路が最初に前記第2のレンズに入り、次いで前記第2のレンズに光学的に組み込まれる前記ミラーにより反射され、その後前記第2のレンズを出るように、前記ミラーに対して光学的に配列される、請求項1に記載のプローブ。
【請求項13】
前記プローブは、内視鏡、カテーテル、ニードル又は生検ニードルの一部を形成する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項14】
関連する物体の走査顕微鏡撮像を行うためのシステムにおいて、前記システムは、
−光学顕微鏡プローブ、
−前記光学顕微鏡プローブと光通信するため及び走査顕微鏡撮像するために配される照射源、並びに
−前記光学顕微鏡プローブと光通信するため及び走査顕微鏡撮像を検出するために配される、画像検出器
を有し、前記光学顕微鏡プローブは、
−光学ウィンドウを備える細長いハウジングであり、前記光学ウィンドウは、前記ハウジングの遠位端において側面位置に位置決められるハウジング、
−光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ光学ガイドであり、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域における光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられる光学ガイド、及び
−前記プローブの遠位端において前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットであり、前記リレーレンズユニットは第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、前記ハウジングの前記光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、前記対物レンズに対して光学的に配列されるリレーレンズユニット
を有する、システム。
【請求項15】
光学顕微鏡プローブを用いて関連する物体の走査顕微鏡撮像を行うための方法において、
−細長いハウジングにおいて光学ウィンドウを備える光学顕微鏡プローブを供給するステップであり、前記光学ウィンドウは、前記ハウジングの遠位端において側面位置に位置決められている、前記ステップ、
−光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ光学ガイドを供給するステップであり、前記光学ガイドは、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域における光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられている、前記ステップ、及び
−前記プローブの遠位端において前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットを供給するステップであり、前記リレーレンズユニットは第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、前記リレーレンズユニットは、前記ハウジングの前記光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、前記対物レンズに対して光学的に配列される、ステップ
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関連する物体の走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブに関する。このプローブは特に患者の診察に適している。本発明は、光学顕微鏡プローブを有する対応する光学顕微鏡システムにも関する。本発明は、走査顕微鏡撮像を行うための対応する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
生体内の生きている組織の顕微鏡撮像は、リアルタイムでの病気の診断を可能する。これは、多くの医療応用に非常に適している。低侵襲手術に適合する小型の顕微鏡を開発するために様々な方法が研究されてきた。これらの方法の多くは、光を送信及び受信するための単一ファイバ又はファイバ束の何れか一方を含んでいる。重要な設計基準は、達成され得るコントラストと同様に、空間分解能、視野(FOV)である。
【0003】
コヒーレントなファイバ束に基づく設計は、高いレベルの小型化及び機械柔軟性の可能性を含んでいる多くの利点を持つが、これらファイバの直径及び間隔により分解能に制限がある。幾つかの設計の場合、これらファイバの遠位端からの照射光のフレネル反射は、ダイナミックレンジに制限を課すことがある、つまりファイバの自己蛍光が交絡効果(confounding effect)を持つこともある。
【0004】
単一ファイバの解決法は、前記プローブの遠位端にあるファイバの先端を動かすための作動方法を必要とする。圧電モータ、微小電気機械システム(MEMS)及びチューニングフォークを用いる方法が研究されてきた。これらの方法の多くにおいて、ファイバの遠位端の前にある対物レンズシステムは作動しない。これは達成可能な開口数(NA)及びスキャナの視野に制約をもたらす。
【0005】
最近、生体組織の共焦点画像を取得する新しい携帯型の顕微鏡プローブがB.H.W Hendriks他著、"High-resolution resonant and nonresonant fiber-scanning confocal microscape", J.Biomed. Optics 16(2011), 026007に示されている。
【0006】
この顕微鏡プローブは、小型の電磁アクチュエータと組み合わせてファイバレンズを走査することにより画像を生成し、このプローブは、共鳴及び非共鳴走査モードで動作することを可能にする。共鳴走査モードにおいて、190μmの直径及び127Hzの角周波数持つ円形の視野が達成される。非共鳴走査モードにおいて、69μmの幅を持つ最大視野が達成される。測定される横及び軸方向分解能は夫々、0.60及び7.4μmである。共鳴モードで取得される生体組織の画像は、リアルタイムでの組織分化に対するこの画像の可能性を実証している。外径が3mmしかない場合、顕微鏡プローブは、幅広い低侵襲手術にわたり生体内の細胞の微細構造を視覚化するのに利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、対物レンズは高い開口数と一緒にサイズを小さくしなければならないという事実は、作動距離(FWD)、すなわち物体に面している最後のレンズの表面から物体がある焦点までの距離が小さくなる。この作動距離は一般に、ニードルの直径よりもかなり小さい。顕微鏡プローブの走査ファイバシステムの結果生じる欠点は、このシステムが前方向の組織だけを検査することであり、この小さな作動距離により他の方向には効果的ではないことである。
【0008】
本発明の発明者は、関連する物体の走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブを改良することが有効であり、その結果、本発明を考案したことが分かる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブに対し得られる視野(FOV)の改善を達成することが有利である。一般的に、本発明は好ましくは上述した1つ又はそれ以上の欠点を一つずつ若しくは何れか組み合わせて和らげる、軽減する又は削除しようとする。特に、従来技術の上述した問題又は他の問題を解決する方法を提供することが本発明の目的とみなされる。
【0010】
これら問題の1つ以上に上手く対処するために、本発明の第1の態様において、関連する物体Oの走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブが示される。このプローブは、
−光学ウィンドウを備えるハウジングであり、この光学ウィンドウはハウジングの遠位端において側面位置に位置決められている、前記ハウジング
−光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ前記光学ガイドであり、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域(ROI)における光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられる、前記光学ガイド、並びに
−前記プローブの遠位端において前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットであり、このリレーレンズユニットは第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、ここで前記リレーレンズユニットは前記ハウジングの光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、対物レンズに対して光学的に配列される、前記リレーレンズユニット、
を有する。
【0011】
本発明は特に、これらに限られないが、変位可能な対物レンズとリレーレンズユニットとの間の連携が対物レンズの比較的制限される作動距離を少なくとも部分的に補うので、プローブの得られる視野の改善を得ることが利点である。本発明はこの欠点を和らげ、光学顕微鏡プローブを用いて走査顕微鏡撮像をすることにより、これまでアクセスできなかった場所及び/又は向きの撮像を可能にする。例えば、血管における不安定プラークを決めるために、血管の壁が撮像されるべきであり、これは例えば本発明の教えにより可能であるような横向きの顕微鏡ファイバの走査撮像を必要とする。故に、本発明は、顕微鏡プローブの周りの走査顕微鏡撮像に利用可能である関心領域(ROI)に関してより柔軟性を持たせること可能にする。
【0012】
従って、本発明は、以前はできなかった特に有利な顕微鏡撮像の可能性を容易にする及び本発明は、診断及び治療の改善を可能にする情報を医療従事者に与えると信じられている。
【0013】
最適性能のためにリレーレンズユニットが対物レンズの開口数(NA)に適合する開口数を持つべきであることを考慮すれば、プローブの遠位位置にリレーレンズユニットを持つことは実際に可能であることは驚きであることにさらに注意されたい。従って、リレーレンズユニットがプローブの遠位位置にあるために、かなりコンパクトな設計が必要とされる。光学において、リレーレンズは一般的に、画像を反転させる及び光路を延長させる1枚のレンズ又はレンズの集合と定められる。
【0014】
本発明の文脈において、"プローブ"という概念は、それらに限定されないが、接近が限られる物質又は環境内を探査するための器具又は装置、すなわち患者の医療検査のための細長い器具又は装置を含む広い意味で考えられる及び理解されるべきである。従って、前記プローブは、アプリケーションに依存して最大1、2、3、4又は5mmの横断寸法、例えば直径を持ってよい。
【0015】
本発明の文脈において、"光学ガイド"という言葉は、それらに限定されないが、光ファイバ(マルチモード及びシングルモード)、薄膜の光路、フォトニック結晶ファイバ、フォトニックバンドギャップファイバ(PBG)、偏光保持ファイバ等を含むと理解されるべきである。プローブは、2つ以上の光学ガイド、例えば複数のファイバ若しくはファイバ束を有してもよい。
【0016】
本発明の文脈において、顕微鏡撮像という概念は、観察される関連する物体の一部を拡大するためのレンズの利用を含むとさらに理解されるべきである。幾つかの実施例において、光学顕微鏡プローブは、共焦点顕微鏡に適しているが、他の光学顕微鏡モードも考えられる。特に、本発明は、少なくとも40倍、好ましくは少なくとも60倍、さらに好ましくは少なくとも80倍の倍率を提供する。
【0017】
有利なことに、光学顕微鏡プローブのハウジングは細長い形状であり、光学ウィンドウは、光学顕微鏡撮像のためにプローブの長手方向に略垂直な方向に配される、すなわち光学顕微鏡撮像は、少なくともプローブの遠位部又は遠位端から見て、このプローブの長手方向に対し横方向に行われる。横方向に向いている実施例の中心光路は、所望する撮像方向に依存して、前記垂直な方向から(両方向に)約5、10、20、30°外れてもよいと理解すべきである。
【0018】
他の有利な実施例において、光学顕微鏡プローブのハウジングは、遠位端が先細る細長い形状であり、光学ウィンドウはこのプローブの先細る遠位端に位置決められる。従って、前記プローブは、光学ウィンドウがこのプローブの先細る又は先端の部分に位置決められているニードルのような形状でもよい。この形状において、光学ウィンドウは一般的に、プローブの細長い形状に対し、正面方向と垂直方向との間の方向に見るのに適し、この方向は通例、プローブの先端部分の角度に依存している。
【0019】
好ましくは、光学ガイドは、走査顕微鏡撮像を可能にするために、プローブに位置決められる1つ以上のアクチュエータにより横断方向に変位可能でもよい。
【0020】
通例、光学レンズは、プローブの横断寸法よりもかなり小さい作動距離を持ち、これは、本発明の利用をより望ましくさせる。前記作動距離は、プローブの横断寸法、例えばプローブの最大直径又は平均直径の0.1%、1%又は10%より下でもよい。
【0021】
有益には、対物レンズの開口数(NA)は、十分な光学分解能及び撮像のために、少なくとも約0.4、好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.8である。
【0022】
通例、リレーレンズユニットの第1のレンズは、プローブのコンパクトな光学設計を容易にするために、このプローブの長手方向に略平行な光学軸に位置決められる。加えて、このリレーレンズユニットの第1のレンズは、プローブの横断寸法、例えばプローブの最大直径又は平均直径の少なくとも50%の光入射直径を持つ。通常は、対物レンズと光学的に一致するために、前記リレーレンズユニットにおいて大きい第1のレンズが望まれる。
【0023】
多くの形状において、第2のレンズは、プローブの外側における顕微鏡撮像の焦点を定める。
【0024】
幾つかの実施例において、リレーレンズユニットの機能は、単独のレンズ、すなわち第1及び第2のレンズを組み合わせて行われてもよいと考えられる。
【0025】
リレーレンズユニットのある設計において、リレーレンズユニットを通り抜ける顕微鏡撮像のための光路が最初に第2のレンズに入り、そして出て、次いでミラーにより反射されるように、すなわち光は最初に第2のレンズに届き、次いでミラーに届くように、第2のレンズはミラーに対して光学的に配列される。
【0026】
リレーレンズユニットの他の設計において、リレーレンズユニットを通り抜ける顕微鏡撮像のための光路が最初にミラーにより反射され、次いで第2のレンズに入り、そして出るように、すなわち光は最初にミラーに届き、次いで第2のレンズに届くように、第2のレンズはミラーに対して光学的に配列される。
【0027】
リレーレンズユニットのさらに他の設計において、リレーレンズユニットを通り抜ける顕微鏡撮像のための光路が最初に第2のレンズに入り、次いで第2のレンズに光学的に組み込まれたミラーにより反射され、第2のレンズから出るように、すなわち光は最初に第2のレンズに届き、次いで第2のレンズに組み込まれたミラーにより反射され、最後に第2のレンズから外に出て行くように、第2のレンズはミラーに対して光学的に配列される。この第2のレンズは好ましくは、このレンズ内に位置決められる折り畳みミラー(fold mirror)を持ってもよい。
【0028】
幾つかの応用に対し、光学プローブは、内視鏡、カテーテル、ニードル、生検ニードル又は例えば癌の診断、創傷治療の監視、組織の分子処理の研究と関連して同業者が容易に達成されるような他の同様な応用の一部を形成する。
【0029】
本発明の第2の態様は、関連する物体Oの走査顕微鏡撮像を行うためのシステムに関し、このシステムは、
−光学顕微鏡プローブ
−前記光学顕微鏡プローブと光通信するために及び走査顕微鏡撮像するために配される照射源、並びに
−前記光学顕微鏡プローブと光通信するために及び走査顕微鏡撮像を検出するために配される画像検出器
を有し、前記プローブは、
−光学ウィンドウを備えるハウジングであり、この光学ウィンドウはハウジングの遠位端において側面位置に位置決められている、前記ハウジング、
−光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ光学ガイドであり、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域(ROI)における光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられる光学ガイド、及び
−前記プローブの遠位端において前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットであり、前記リレーレンズユニットは、第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、前記リレーレンズユニットは、前記ハウジングの光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、対物レンズに対して光学的に配列されるリレーレンズユニット
を有する。
【0030】
第3の態様において、本発明は、光学顕微鏡プローブを用いて関連する物体Oの走査顕微鏡撮像を行うための方法に関する。この方法は、
−ハウジングにおいて光学ウィンドウを備える光学顕微鏡プローブを供給するステップであり、前記光学ウィンドウは前記ハウジングの遠位端において側面位置に位置決められている、ステップ、
−光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ前記光学ガイドを供給するステップであり、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域(ROI)における光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられる、ステップ、並びに
−前記プローブの遠位端において、前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットを供給するステップであり、前記リレーレンズユニットは第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、前記リレーレンズユニットは、前記ハウジングの光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、前記対物レンズに対して光学的に配列される、ステップ
を有する。
【0031】
本出願の範囲は、これらに限定されないが、小型の撮像装置が例えば小型の装置の検査等と関連して有用である分野を含むことも考えられる。
【0032】
一般的に、本発明の様々な態様は、本発明の範囲内で可能な如何なる方法で組み合わせ及び結合されてもよい。本発明のこれら及び他の態様、特徴及び/又は利点は、以下に記載の実施例から明らかであり、これら実施例を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】本発明による顕微鏡プローブの実施例の概略的な断面図。
【
図3】本発明による顕微鏡プローブの実施例のより詳細な断面図。
【
図4A】本発明による顕微鏡プローブの行われる光学モデリング。
【
図4B】本発明による顕微鏡プローブの行われる光学モデリング。
【
図4C】本発明による顕微鏡プローブの行われる光学モデリング。
【
図4D】本発明による顕微鏡プローブの行われる光学モデリング。
【
図5】本発明による顕微鏡プローブの他の実施例の概略的な断面図。
【
図6】本発明による顕微鏡プローブの他の実施例の概略的な断面図。
【
図7】本発明による顕微鏡プローブの他の実施例の概略的な断面図。
【
図8A】本発明による顕微鏡プローブの遠位端の形状の概略的な断面図。
【
図8B】本発明による顕微鏡プローブの遠位端の形状の概略的な断面図。
【
図9】本発明による顕微鏡プローブを用いて光学顕微鏡撮像を行うためのシステムの実施例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施例は、図面を参照して、単に例として説明される。
【0035】
図1は、(本出願の発明者の1人でもある)B. H. W. Hendriks他による"High-resolution resonant and nonresonant fiber-scanning confocal microscope", J. Biomed. Optics 16(2001), 026007において説明される従来知られる走査顕微鏡プローブ5であり、これは参照することにより全てをここに含まれるものとする。熟練した読み手は、光学ガイド2、例えば光ファイバがその遠位端において堅く取り付けられる対物レンズ6を持つ走査顕微鏡プローブを実施するためにこの参考文献に言及される。レンズ6は、光学ガイド2の側面に取り付けられる磁石と連携して、アクチュエータ8、例えば電磁コイルにより移動する。プローブ5は、ニードルの先端において顕微鏡を用いた組織の検査を可能にする、及び様々な医療応用に利用されることができる。この顕微鏡を用いた検査を達成するために、スキャナのプローブ5に用いられる対物レンズ6は、高い開口数(NA)を持たなければならない。この対物レンズは高い開口数と一緒にサイズを小さくしなければならないという事実が作動距離を小さくしてしまう。
【0036】
現在の走査ファイバプローブ5の欠点は、このプローブが前方向の組織だけを検査することが可能であり、前記作動距離が小さいので、横方向には効果的ではないことである。この作動距離は一般的にニードル又はプローブ5の直径Dよりも小さい。例えば血管内に前記装置5を使用するとき、他の方向を監視する機能は重要である。例えば血管における不安定プラークを決めるために、この血管の壁が撮像されるべきであり、これは横向きの顕微鏡を用いた撮像を必要とする。
【0037】
本発明を説明するために、上記参考文献の教え及び原理が分かり、理解したと仮定し、同様の参照が以下に適用される。
【0038】
図2は、本発明による顕微鏡プローブ10の実施例の概略的な断面図を示す。走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブは、このプローブの遠位端の近くにある関連する物体Oを撮像することが可能である。明確にするために、プローブ10の端部だけが示され、本発明の教え及び原理を説明するための要素及び特徴だけを選んでいる。
【0039】
プローブ10は、光学ウィンドウ22を備えるハウジング21を有し、この光学ウィンドウは、前記ハウジングの遠位端23の側面位置に位置決められている。
【0040】
光学ガイド2は、この光学ガイド2の端部に堅く結合される対物レンズを持ち、この光学ガイドは、光学ウィンドウ22の外側にある関心領域(ROI)における光学走査を可能にするために、双頭の矢印Tにより示されるように、ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられている。従って、関心領域は横断走査及びプローブ10の光学により定められる。
【0041】
リレーレンズユニット25は、プローブ10の遠位端23において、前記ハウジング21に対して堅く取り付けられ、故にこのユニットはレンズ6を用いた走査中は固定されている。リレーレンズユニット25は、第1のレンズ25a、第2のレンズ25b及びミラー25cを有し、ここでリレーレンズユニット25は、ハウジング21の光学ウィンドウを介して走査顕微鏡撮像を可能にするために、対物レンズ6に対して光学的に配列される。従って、レンズ6、第1のレンズ25a及び第2のレンズ25bを通り、ミラー25cにより反射される、破線で描かれる外に進む光路により示されるように、物体Oは顕微鏡プローブにより撮像されることができる。
【0042】
ハウジング21及びリレーレンズユニット25は、別々の要素(entity)とすることもできる又はこれらは同じ要素の一部とすることもできる。
図2に概略的に示されるように、ハウジング21の外径は、リレーレンズユニット25の外径よりも大きくすることができるが、その反対にすることもできる、若しくは外径をほぼ同じにすることもできる。低侵襲性の医療検査のために、もちろん両方の直径が小さいことが重要である。
【0043】
図3は、本発明による顕微鏡プローブ10の実施例のより詳細な断面図を示す。リレーレンズユニットは、2つのレンズ25a及び25bから構成される。第1のレンズ25aは、ファイバスキャナ10の略外径である直径を持つ。このレンズ25aは、この本来のファイバスキャナの焦点面を略平行なビームに変換する。この平行なビームは次いで、第2のレンズ25bにより横方向に集束される。これを行うために、折り畳みミラー25cは、作動距離が小さいという問題を処理するために、第2のレンズに組み込まれる。
図3に見られるように、この本来のファイバスキャナの焦点を前記ファイバスキャナ10の側壁の向こう側の横位置にリレーすることが確かに可能である。
【0044】
ファイバスキャナの外形寸法と同様の大きさを持つレンズをリレーレンズシステム25において利用することは、2つの理由、
(1)より大きいサイズは、撮像領域のファイバスキャナのリレーを扱うのに必要とされる大きな視野(FOV)を持つことを可能にする、
(2)画像を横方向にリレーすることを可能にする、すなわちスキャナの外側にある画像に焦点を合わせるのに十分な空間が横方向にあること、
により有益である。リレーレンズ要素25a、25b及び25cは、前記ファイバスキャナプローブ10の外形寸法を持つ取り付け具(マウント)に固定される。最適性能のために、リレーレンズユニット25のNAは、対物レンズ6のNAに合わせられる、すなわちリレーユニット25のNAは、対物レンズ6のNAと同様の大きさである。前記リレーレンズ要素が完全に前記取り付け具に封入されるように、折り畳みミラーを含む第2の要素の前に薄いガラス窓31がある。これは、前記要素の損傷を防ぎ、前記システムの清掃を簡単にする。
【0045】
図4は、本発明による顕微鏡プローブ10の行われる光学モデリングの4つの図を示す。このモデリングは、
図3に示される実施例に対応し、
図3に示されるように、折り畳みミラー25cが第2のレンズ25bに組み込まれているレンズリレーユニット10の光学設計のいわゆる光線追跡図からなる。
【0046】
図4Aにおいて、対物レンズ6によりスキャナのすぐ前の焦点に合わせられる前記ファイバ(図示せず)から出たビームの平面図を示す。リレーレンズユニット25は次いで、レンズ25a及び一体化した折り畳みミラー25cを備える25bを用いることによりこの画像を横に再び焦点を合わせる。
【0047】
図4B及び
図4Cにおいて、対物レンズ6、リレーレンズユニット25及び夫々の光線追跡図の行われる光学モデリングからなるより近い図が与えられる。
【0048】
図4Dは、対物レンズ6及びリレーレンズユニット25からなる光学モデリングの斜視図である。この図において、第2のレンズ25bの一部を形成している一体化した折り畳みミラー25cも示されている。
【0049】
図5、6及び7は、本発明による顕微鏡プローブ10の他の実施例の概略的な断面図である。
【0050】
図5において、光学顕微鏡プローブ10のハウジング21は細長い形状であり、光学ウィンドウ22は、光学顕微鏡撮像のためにプローブの長手方向に略垂直な方向に配される、すなわちこれは横の顕微鏡撮像を可能にする。前記ウィンドウ22の反対側において、プローブは、医療検査に適したニードルのような鋭い先端のような端部51で終わっている内側に先細る輪郭を持つ。
【0051】
図6において、内側に先細る輪郭上に前記ウィンドウ22が位置決められている他の実施例が示される。この輪郭は、前記先細る輪郭が51で終わっているニードルのような設計を可能にする。この実施例は、(
図5の実施例のように)厳密に横方向と前方向との間の方向における顕微鏡撮像を可能にする。
【0052】
図7は、
図6の実施例と類似しているが、この実施例において、リレーレンズユニット25を通り抜ける顕微鏡撮像のための光路71が最初にミラー25cにより反射され、その後第2のレンズ25bに入り、そして出るように、第2のレンズ25bがミラー25cに対して光学的に配列されることを容易にするように、リレーレンズユニット25は設計される。
【0053】
図8は、本発明による顕微鏡プローブの2つの異なる遠位端形状の概略的な断面図である。
図8Aにおいて、プローブは鋭い先端のような端部51に向けて内側に先細る。
図8Bにおいて、プローブは外側に広がり、そこにウィンドウ22及び22'が位置決められている。これは、プローブの長手方向に対する外側に広がる角度に依存して、ある程度の後向きを可能にする。これらの実施例において、2つのウィンドウ22及び22'が示されているが、本発明の教え及び原理内においてもっと多くのウィンドウが考えられてもよい。それでもなお、低侵襲的検査に対する全体的な制約はもちろん、プローブ10の全体的な外形寸法であり、これは可能なウィンドウ数をそれ相応に制限もする。
【0054】
図9は、本発明による顕微鏡プローブ10を用いた光学顕微鏡撮像を行うためのシステム100の実施例の概略図を示す。プローブ10は、例えばカプセル化した光学ガイドのような光学接続90により示されるように、例えばカテーテル又は同様の装置のような撮像モジュール110と機能的及び光学的に伝達している。光学顕微鏡プローブ10は、検査される物体Oの前に示される。さらに、例えば可視レーザー光のような、顕微鏡撮像に適切な電磁型式の照射を出力するため、及び双頭の矢印により概略的に示されるように、前記光学顕微鏡プローブ10と光通信するために配される、故に走査顕微鏡撮像するために配される照射源IS 111も示される。加えて、例えばCCD画像センサのような、物体Oから結果生じる反射光を光学検出するため、及び他の双頭の矢印により概略的に示されるように、前記光学顕微鏡プローブ10と光通信するために配される、並びに走査顕微鏡撮像を検出するために配される、画像検出器ID 112が配される。他の詳細に対し、熟練した読み手は、(本発明の発明者の1人でもある)B. H. W. Hendriks他による"High-resolution resonant and nonresonant fiber-scanning confocal microscope", J. Biomed. Optics 16(2001), 026007を参照されたい。これは参照することにより全てをここに含まれるものとする。
【0055】
図10は、本発明による方法のフローチャートである。光学顕微鏡プローブ10を用いた関連する物体Oの走査顕微鏡撮像を行うための方法は、
ハウジングにおいて光学ウィンドウを備える光学顕微鏡プローブを供給するステップS1であり、この光学ウィンドウは、前記ハウジングの遠位端の側面位置に位置決められている、ステップS1
光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズを持つ光学ガイドを供給するステップS2であり、この光学ガイドは、前記光学ウィンドウの外側にある関心領域ROIにおける光学走査を可能にするために、前記ハウジングの横断方向に変位可能なように取り付けられている、ステップS2、並びに
前記プローブの遠位端において前記ハウジングに対し堅く取り付けられるリレーレンズユニットを供給するステップS3であり、このリレーレンズユニットは、第1のレンズ、第2のレンズ及びミラーを有し、このリレーレンズユニットは、ハウジングの光学ウィンドウを介した走査顕微鏡撮像を可能にするために、対物レンズに対して光学的に配列される、ステップS3
を有する。
【0056】
要するに、本発明は、物体Oの走査顕微鏡撮像のための光学顕微鏡プローブを開示している。このプローブは、光学ウィンドウ22と、光学ガイドの端部に堅く結合される対物レンズ6を持つ光学ガイド2とを持つ。この光学ガイドは、関心領域(ROI)における光学走査を可能にするために、ハウジング21の横断方向に変位可能なように取り付けられている。リレーレンズユニット25は、プローブの遠位端23に堅く取り付けられ、このリレーレンズユニットは、第1のレンズ25a、第2のレンズ25b及びミラーを持ち、このリレーレンズユニットは、ハウジングの光学ウィンドウを介した走査顕微鏡撮像を可能にするために、対物レンズに対して光学的に配列される。本発明は、変位可能な対物レンズとリレーレンズユニットとの間の連携が対物レンズの比較的制限される作動距離を少なくとも部分的に補うので、利用可能なプローブの視野において改善を得ることが利点である。
【0057】
本発明は、図面及び上記記載において詳細に説明及び記載されている一方、このような説明及び記載は、説明又は例示であると考え、限定とは考えるべきではない、つまり本発明は開示される実施例に限定されない。開示した実施例以外の変更例は、図面、本開示及び付随する特許請求の範囲を学ぶことにより、請求する本発明を実施する当業者により理解及びもたらされることができる。請求項において、"有する"という言葉は、他の要素又はステップを排除するものではなく、複数あると述べていなくても、それらが複数あることも含む。単独の処理器又は他のユニットが請求項に挙げられる幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。ある方法が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に用いられないことを示しているのではない。請求項における如何なる参照符号もこの範囲を制限するとは考えるべきではない。