特許第6170503号(P6170503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170503
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】哺乳瓶加温器
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/24 20060101AFI20170713BHJP
   A61J 9/00 20060101ALI20170713BHJP
   A47J 31/54 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A47J36/24
   A61J9/00 T
   A47J31/54
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-545425(P2014-545425)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-500693(P2015-500693A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】IB2012056984
(87)【国際公開番号】WO2013084161
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年12月2日
(31)【優先権主張番号】61/568,663
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11192793.5
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】コーイケル,クラース
(72)【発明者】
【氏名】ストルク,テオドール
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル カンプ,ヘルトルーデ リエッテ
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/128467(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0222075(US,A1)
【文献】 国際公開第93/020735(WO,A1)
【文献】 米国特許第02992316(US,A)
【文献】 実開平04−117639(JP,U)
【文献】 実開昭62−181862(JP,U)
【文献】 米国特許第4321863(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0140304(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0122660(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0139602(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第4409123(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 36/24
A47J 31/54
A61J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳瓶加温器であって、
使用時にテーブルのような水平な支持面上に配置可能なボディを有し、
該ボディは、加温される哺乳瓶を受容可能なチャンバを有し、
該チャンバは、該チャンバに受容される瓶、前記ボディが配置される前記支持面に対して角度をもって支持るように構成され底部壁及び側部壁を更に有し、
当該哺乳瓶加温器は、ヒータを更に有し、
該ヒータは、前記哺乳瓶を加熱することによって該哺乳瓶の内容物が混合されるように、前記チャンバの前記底部壁上又は前記底部壁近傍に配置されていることを特徴とする、
哺乳瓶加温器。
【請求項2】
前記ヒータは、前記哺乳瓶を加熱することによって該哺乳瓶の内容物が混合されるように、前記底部壁と前記側部壁との間の前記チャンバの最下点又は最下点近傍に配置される、請求項1記載の哺乳瓶加温器。
【請求項3】
瓶のさらなる加熱を防止するために、瓶を少なくとも部分的に前記チャンバの外側に持ち上げることが可能な、挙上部材を有する、請求項1又は2に記載の哺乳瓶加温器。
【請求項4】
前記挙上部材は、前記瓶の内容物が所定の温度に到達した場合、又は所定の時間が経過した後に、瓶を少なくとも部分的に前記チャンバの外側に持ち上げるように構成されている、請求項記載の哺乳瓶加温器。
【請求項5】
前記挙上部材を駆動するモータ、及び
該モータを操作するための使用者制御ボタン、
を有する、請求項又は請求項記載の哺乳瓶加温器。
【請求項6】
前記挙上部材は、
バネ、及び
バネキャッチであって、使用者が瓶をチャンバ内に挿入して、付勢力に逆らって瓶を押し込んだ場合に該バネキャッチが係合し、所定の温度に到達した場合又は所定の時間が経過した場合に、該バネキャッチが開放されるように構成された、バネキャッチ、
を有する、請求項乃至のいずれか一項に記載の哺乳瓶加温器。
【請求項7】
前記ヒータは、瓶が前記チャンバ内に挿入された場合に水が該瓶と前記チャンバの壁との間に層を形成するように、加温される瓶の挿入より前に前記チャンバ内に入れられた、所定量の水を加熱する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の哺乳瓶加温器。
【請求項8】
前記チャンバは筒状であり、
前記ヒータは、前記チャンバの長手軸からずらされている、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の哺乳瓶加温器。
【請求項9】
水用リザーバであって、瓶の前記チャンバ内への挿入より前に、前記チャンバ内の水が所定の水準まで到達するまで、前記水用リザーバ内の水が前記チャンバ内に流れるように、前記チャンバに接続された、水用リザーバを更に有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の哺乳瓶加温器。
【請求項10】
前記リザーバは、所定の水準に到達するまで、重力下で前記リザーバから前記チャンバへ水が自由に流れるように、前記チャンバより上に配置されている、請求項記載の哺乳瓶加温器。
【請求項11】
前記水用リザーバを前記チャンバの入口に接続するパイプを有し、
前記チャンバ内の水位が前記入口よりも上方に上がり、前記リザーバへ戻る空気経路が止められるまで、該パイプを介して、水は前記チャンバ内に一方向に流れ、空気は前記リザーバ内に反対方向に流れるように、該パイプを除いて前記水用リザーバは密封されている、
請求項又は請求項10記載の哺乳瓶加温器。
【請求項12】
前記チャンバは、側部壁及び底を有し、
前記入口は、前記底から離間して前記側部壁に形成されている、
請求項11記載の哺乳瓶加温器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳瓶加温器に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児及び幼児は、一般的に母乳の補助又は代替として、哺乳瓶からミルク及びその他の食品を与えられている。母乳を与える場合、母乳は37℃前後の母親の体温で、乳児によって摂取される。そのため、この温度に合わせるために哺乳瓶の中に含まれるミルクを加熱又は加温することが必要であり、さもなければ、ミルクが幼児に拒絶されてしまうかも知れない。ミルクが冷た過ぎる場合は、幼児はミルクを拒絶するかも知れず、又は冷たいミルクを摂取することによっていくらかの不快感を感じる。ミルクが熱すぎる場合は、乳児は火傷をするかも知れない。
【0003】
したがって、授乳に先立って、哺乳瓶及びその内容物はおよそ37℃まで加熱されなければならない。哺乳瓶を受容して、その内容物と一緒に、要求される温度まで加熱する多くの製品が存在する。典型的は例は、米国特許公開US2007/0280657号公報に記載のものである。その製品は二つの加熱区域を有し、タイマー及びサーモスタットシステムを使用して加熱要素を制御し、瓶内に含まれるミルクを加熱する。
【0004】
既存の製品の大多数がもつ課題は、ミルク全体における不均一な熱の分配である。哺乳瓶が直立した姿勢に置かれて下方から加熱される場合、熱いミルクほど浮力が大きく、そのため上端に向かって上昇し、より冷たいミルクは下方に移動する。これは、ミルクのいくつかの部分が他の部分よりも有意に熱いために、乳児に授乳するには危険であり得る、ミルクの熱による層化を引き起こす。この課題に対処するための既知の方法は、加熱の間にミルクを撹拌又は混合すること、又はミルクが加熱されている間にミルクを揺する又は振動させることである。撹拌は、ミルク内へ例えばスパチュラのような何かを挿入することを要し、衛生及び洗浄の課題を生み出す。揺すること又は振動させることは、追加的な哺乳瓶加熱器(又は加温器)の複雑さを要求し、騒々しい、又は不便である可能性がある。
【0005】
例えば国際特許出願公開WO2011/128467A1号公報から、使用時にテーブルのような水平な支持面上に配置可能なボディを有する哺乳瓶加温器を提供することが知られている。ボディは、加温される哺乳瓶を受容可能なチャンバを有し、チャンバは、チャンバに受容される瓶を、ボディが配置される支持面に対して角度をもって支持するように構成された底部壁及び筒状の側部壁を有する。哺乳瓶加温器はまたヒータを有する。
【0006】
ヒータから哺乳瓶への熱伝達を補助するため、加熱中に哺乳瓶を取り囲む水を使用することが知られている。この方法を用いる既存の製品が持つ課題は、要求された温度に到達してヒータがオフになった場合に、哺乳瓶を取り囲む水はなお有意な量の熱を保っているものであり、そのため哺乳瓶の温度が上昇を続け得ることである。米国特許第2,992,316号公報から知られる哺乳瓶加温器は、要求された温度が達成された時点で哺乳瓶を水から持ち上げ、加熱領域から離して更なる加熱を防止し、使用者に加熱プロセスが終了したことを示す装置を提供することによって、この課題を軽減することを試みる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公開US2007/0280657号公報
【特許文献2】国際特許出願公開WO2011/128467A1号公報
【特許文献3】米国特許第2,992,316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、先に言及された課題を克服又は実質的に軽減し、哺乳瓶の内容物全体に渡って効果的な熱分配及び正確な温度の制御を提供することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、哺乳瓶加温器であって、使用時にテーブルのような水平な支持面上に配置可能なボディを有し、ボディは、加温される哺乳瓶を受容可能なチャンバを有し、チャンバは、チャンバに受容される瓶が、ボディが配置される支持面に対して角度をもって支持されるように構成され、チャンバは、底部壁及び側部壁を更に有し、哺乳瓶加温器はヒータを更に有し、ヒータは、哺乳瓶を加熱することによって哺乳瓶の内容物が混合されるように、チャンバの底部壁上又は底部壁近傍に配置されていることを特徴とする、哺乳瓶加温器が提供される。
【0010】
一つの実施形態において、ヒータは、哺乳瓶を加熱することによって哺乳瓶の内容物が混合されるように、底部壁と側部壁との間のチャンバの最下点又は最下点近傍に配置される。
【0011】
一つの実施形態において、チャンバは、チャンバ内に受容された瓶を角度をもって支持するように構成された瓶支持要素を有してもよい。
【0012】
好ましくは、瓶支持要素に加えて、又は、瓶支持要素の代わりに、底部壁及び側部壁は、チャンバ内に受容された瓶を角度をもって支持するように構成されている。
【0013】
瓶を傾斜した姿勢に置いて加熱することの利点は、瓶の液体の内容物内における対流が混合を促進することである。この傾斜した姿勢は、加熱領域のすぐ上側に角度をもった(又は斜めの)面(哺乳瓶の側面)が存在することを意味する。この構成は、内容物が加熱され液体の層別化を防ぐ、自然な混合効果を生み出す。
【0014】
哺乳瓶加温器は、瓶の加熱を防止するために、瓶を少なくとも部分的にチャンバの外側に持ち上げることが可能な、挙上部材を有してもよい。
【0015】
この実施形態において、挙上部材は、瓶の内容物が所定の温度に到達した場合、又は所定の時間が経過した場合に、瓶を少なくとも部分的にチャンバの外側に持ち上げるように構成されている。
【0016】
加熱サイクルが完了した時点で、瓶を少なくとも部分的にチャンバの外側に持ち上げることの利点は、瓶の過熱が防止されることである。また、瓶の位置は、加熱サイクルが完了したことの使用者への合図としても機能することができる。最も好ましくは、挙上部材は、少なくとも、ヒータから瓶及びその内容物への熱の伝達を媒介するチャンバ内の水から、瓶を取り除くために十分な距離の分、瓶を持ち上げる。瓶が水に浸かっていない場合は、その結果瓶はそれ以上ヒータによって加熱されず、瓶の内容物の過熱が実質的に防止される。
【0017】
モータが挙上部材を駆動してもよく、モータを操作するための使用者制御ボタンを有してもよい。
【0018】
他の実施形態において、挙上部材は、バネ、及びバネキャッチであって、使用者が瓶をチャンバ内に挿入して、付勢力に逆らって瓶を押し込んだ場合にバネキャッチが係合し、所定の温度に到達した場合又は所定の時間が経過した場合に、バネキャッチが開放されるように構成された、バネキャッチ、を有する。
【0019】
好ましくは、ヒータは、瓶がチャンバ内に挿入された場合に水が瓶とチャンバの壁との間に層を形成するように、瓶の挿入より前にチャンバ内に入れられた、所定量の水を加熱する。
【0020】
他の実施形態において、哺乳瓶加温器は、水用リザーバであって、瓶のチャンバ内への挿入より前に、チャンバ内の水が所定の水準まで到達するまで、水用リザーバ内の水がチャンバ内に流れるように、チャンバに接続された、水用リザーバを有してもよい。この特徴は既に上述した哺乳瓶加温器にとって好ましい特徴であると考えられるが、使用者が哺乳瓶加熱器(又は加温器)の使用ごとにチャンバに水を補充する必要がないため、この特徴は単独でも既知の哺乳瓶加温器を上回る利点を提供する。その上に、この特徴は、チャンバが、ヒータから瓶及びその内容物への所望の熱伝達を提供するための正確に正しい量の水を包含することを確かにする。したがって、本発明の別の態様によれば、加熱される哺乳瓶を受容するチャンバを有する哺乳瓶加温器であって、水用リザーバであって、瓶のチャンバ内への挿入より前に、チャンバ内の水が所定の水準まで到達するまで、水用リザーバ内の水がチャンバ内に流れるように、チャンバに接続された、水用リザーバを有する、哺乳瓶加温器が提供される。
【0021】
本発明のいずれの態様においても、リザーバは好ましくは所定の水準に到達するまで、重力下でリザーバからチャンバへ水が自由に流れるように、チャンバより上に配置されている。
【0022】
哺乳瓶加温器は、水用リザーバをチャンバの入口に接続するパイプを有してもよく、チャンバ内の水位が入口よりも上方に上がり、リザーバへ戻る空気経路が止められるまで、パイプを介して、水はチャンバ内に一方向に流れ、空気はリザーバ内に反対方向に流れるように、パイプを除いて水用リザーバは密封されていてもよい。この構成は、(水用リザーバが水を含んでいることを確かにする以上の)使用者による相互作用の必要なく、動作が自動的に実行され、常に同じ量の水をチャンバ内に提供するという利点を有する。
【0023】
チャンバは、側部壁及び底を有してもよく、入口は、底から離間して側部壁に形成されていてもよい。哺乳瓶と加熱チャンバとの間のこの水の層は、効果的な熱伝達媒体を生み出す。加熱チャンバ内に供給される水の量は、加熱領域の大きさを決定し、それ故に加熱プロセスの速度を決定する。水は、熱伝達のために空気よりはるかに効率的な媒体であり、費用、健康及び安全、又は衛生の観点において負の副作用を持たない。
【0024】
これから、添付の図面を参照しつつ、単なる例として、複数の好ましい実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の第一の実施形態の断面図を示す。
図2a図2aは、本発明の第二の実施形態の断面図を示す。
図2b図2bは、図2aの実施形態を示す。
図2c図2cは、図2a及び図2bの実施形態を示す。
図3図3は、ボトルを含む図1の実施形態の断面図を示す。
図4a図4aは、本発明の第三の実施形態の断面図を示す。
図4b図4bは、図4aの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照すると、図1は、少なくともメインボディ2、加熱チャンバー3及び加熱要素4を有する哺乳瓶加熱器(又は加温器)1を示す。
【0027】
加熱チャンバ3は、二つの壁で形成された筒状の凹部によって形成される。二つの壁は、円形の底部壁5、及び底部壁5の周縁から直角に延びて筒状の凹部を形成する、筒状の側部壁6である。
【0028】
加熱チャンバ3は、哺乳瓶加熱器(又は加温器)1の上端側からアクセス可能であるようにメインボディ2の一部分を形成する。メインボディ2は、哺乳瓶加熱器(又は加温器)1に関する制御部7、表示部及び電気回路(図示なし)を収納する。
【0029】
加熱チャンバ3は、筒状凹部の主要な長手軸8は、メインボディ2が水平な面上に置かれた場合に、鉛直方向に対して角度を有するようにメインボディ2内に配置される。
【0030】
図2a、図2b及び図2cは、哺乳瓶加熱器(又は加温器)に取り付けられた水供給アセンブリ10を示す。水供給アセンブリ10は、例えば気密で着脱可能な蓋を有する水タンクのような、密閉された水貯蔵領域すなわちリザーバ11を有する。リザーバ11は、パイプ12を介して、入口15において加熱チャンバ3に接続されている。パイプ12は、水が水タンク11から加熱チャンバ3内へ通過することを許容する。水は、加熱チャンバ3内において、自然に底部壁5及び筒状の側部壁6によって形成された加熱チャンバ3の最下点13に向かって流れる。加熱チャンバ内の水位がパイプ12の出口15よりも低い場合は、空気は、大気に対して開いている加熱チャンバ3から接続パイプ12を上がり、水タンク11はパイク12を介する以外は大気から密閉されているというように、水タンク11へ流れる。
【0031】
図2bに示されているように、加熱チャンバ3内の水位が、加熱チャンバ3から水タンク11内への空気の移動が阻まれるような水準まで到達した場合は、水の流れが止められ、加熱チャンバ3内の水位14は一定にとどまる。パイプ12の出口15は、加熱チャンバ3内に常に適切な量の水が存在するように構成されることができる。
【0032】
図2cは、哺乳瓶20が加熱チャンバ3内に挿入されたときの哺乳瓶加熱器(又は加温器)1を示す。哺乳瓶20は、実質的に筒状の本体を有しており、したがって加熱チャンバ3の筒状凹部に接近して適合するが、ぴったりとは適合しない。哺乳瓶20は、加熱チャンバ3内の水を押しのけ、水が哺乳瓶20と壁5,6との間に薄い層21を形成するようにする。この水の層21は、加熱チャンバ3の壁5,6と哺乳瓶20との間の効率的な熱伝達を可能にする。
【0033】
加熱要素4は、全ての図面に示されるように、加熱チャンバ3の底部壁5に隣接して配置されるが、この近傍の如何なる位置にも配置され得る。加熱要素4は、電気的にパワーを与えられてもよく、加熱チャンバの壁5,6の温度上昇をもたらす熱を生み出す。壁5,6の温度上昇は、今度は哺乳瓶20と加熱チャンバの壁5,6との間の水の層21を介した哺乳瓶20への熱伝達をもたらす。水の層21は、熱を伝達する効率が、空気の隙間が熱を伝達するであろう効率よりも有意に高い。
【0034】
加熱要素4の配置、加熱チャンバ3の角度及び哺乳瓶20と加熱チャンバ3の壁5,6との間の水の層21は、水の層21の範囲によって規定されるように、哺乳瓶20が主に一方の側面及び哺乳瓶の底部を越えて加熱されることをもたらす。
【0035】
図3は、加熱プロセスの結果としての哺乳瓶20内の液体24の内部での熱対流23を示す。対流23は、水平方向において不均一な液体20の浮力を生み出し、自然な混合効果を生み出し、それによって熱による層化を防止し、液体20全体に渡って大部分が均一な熱分配を確かにする。上述の哺乳瓶加熱器(又は加温器)1の特徴は、例えば加熱時間又は要求される温度のいずれかの設定、及び加熱素子4の自動的なスイッチオン/オフを可能にするサーモスタットのような、哺乳瓶加熱器(又は加温器)のより従来的な要素を用いて実現される可能性がある
図4a及び図4bは、加熱チャンバ3を有する哺乳瓶加熱器(又は加温器)1を示す。この哺乳瓶加熱器(又は加温器)1は、加熱要素4が取り付けられる固定部材25、及び哺乳瓶20を保持し、加熱チャンバ3の固定部材25に対してスライド可能なスライド部材26を更に有する。図4aは、スライド部材26が哺乳瓶20が水21に接触し、故に加熱され得るように下げられた、加熱プロセス中の哺乳瓶加熱器(又は加温器)1を示す。図4bは、加熱プロセスの終了時の哺乳瓶加熱器(又は加温器)1を示す。加熱プロセスの終了時において、スライド部材26は、哺乳瓶20が水21又は加熱要素4に接触せず、よって加熱されないようにスライドされている。この構成は、ひとたび液体24が要求された温度に到達すると、哺乳瓶20が加熱領域から取り除かれ、水の外にスライドされることを可能にする。この構成は、液体24の過剰な加熱を防止し、加熱プロセスの最終部分において加熱要素4の温度を下げる必要を無くし、そして使用者に加熱プロセスが完了したときの明確な表示を与えることができる。
【0036】
一つの実施形態において、このスライドする設計を実現するためにサーモスタット及び作動(actuation)アセンブリが要求されるであろう。サーモスタットは、液体が要求された温度に到達した場合にアクチュエータに対して信号を与える。そして、アクチュエータは、スライド部材26をスライドさせ、よって哺乳瓶20を持ち上げて加熱要素4から離す。しかしながら、スライド機構は手動で操作されてもよい。
【0037】
アクチュエータは、例えばギアセットシステムのような伝達システムをもつ電動モータ又はスライド部材26を移動可能にスライドさせるリニアアクチュエータを有してもよい。アクチュエータは、代わりにバネ及びキャッチアセンブリを有してもよい。バネ及びキャッチアセンブリを用いる場合は、使用者は、哺乳瓶20及びスライドアセンブリを加熱要素に向かって押し下げ、バネを圧縮してキャッチに係合させる必要がある。サーモスタットは、適切な温度でキャッチの係合を外し、よってバネはスライド部材を作動させて哺乳瓶20を加熱要素4から離れるように持ち上げる。
【0038】
用語“有する”又は“含む”は、他の要素又はステップを排除しないこと、及び不定冠詞“一つ”又は“ある”は複数であることを排除しないことが、理解されるであろう。ある複数の手段が、互いに異なる従属請求項に列挙されたという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示唆しない。特許請求の範囲中の如何なる符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0039】
本出願において、特許請求の範囲は、特徴の具体的な複数の組合せについて策定されてはいるが、本発明の開示の範囲はまた、請求項において現に請求された同一の発明に関するものであるかによらず、本発明が軽減する同一の技術的課題のいくらか又は全てを軽減するものであるかに関わらず、本明細書において明示的又は黙示的に開示された如何なる新たな特徴又は如何なる新たな特徴の組み合わせ、又はそれらの如何なる一般化をも含むことが理解されるべきである。出願人はこれによって、本出願又は本出願に由来する更なる出願の審査経過の間に、そのような特徴及び/又は特徴の組み合わせについて新たな請求項が策定され得ることができるという通知を与える。
【0040】
以下の特許請求の範囲に含まれる他の改良及び変形が、当業者にとって明らかになるであろう。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b