特許第6170504号(P6170504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170504身体支持複合部材ならびにその製造方法および再利用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170504
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】身体支持複合部材ならびにその製造方法および再利用方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20170713BHJP
   A47C 7/16 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A47C7/40
   A47C7/16
【請求項の数】26
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-546009(P2014-546009)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-500093(P2015-500093A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】US2012067849
(87)【国際公開番号】WO2013085945
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】61/568,348
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591046191
【氏名又は名称】ハーマン、ミラー、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HERMAN MILLER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,ヨハン,バークハード
(72)【発明者】
【氏名】プリカット,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ツヴィック,カローラ,エバ マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ツヴィック,ローランド,ロルフ オットー
(72)【発明者】
【氏名】クラッシュ アンドリュー
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−000181(JP,A)
【文献】 米国特許第07472962(US,B2)
【文献】 特開2007−151582(JP,A)
【文献】 特開2003−199644(JP,A)
【文献】 特開平06−122157(JP,A)
【文献】 特表2000−515451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 5/06
7/02−7/35
7/40−7/48
31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された高分子支持格子であり、三次元成形形状を有し、前記支持格子は複数のランド部により互いに離隔した複数の貫通した開口部を有する身体支持領域を含む、高分子支持格子と、
前記複数のランド部に直接的に接合され、前記複数の開口部を被覆し、身体支持構造物に荷重がかかった場合も前記開口部の形状を維持するファブリック層と、を備え、
前記高分子支持格子は、前記身体支持領域の外周縁によって規定される身体支持領域全体に対する前記ランド部の表面積の比率が0.74以下であると共に、
前記高分子支持格子と前記ファブリック層からなる複合構造物は自立性を有していることを特徴とする身体支持構造物。
【請求項2】
前記開口部の少なくとも一つの対の各開口部の幅が、前記開口部の前記対の間に配置した前記ランド部の幅より大きいことを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項3】
前記高分子支持格子と前記ファブリック層は、同一の高分子材料からなることを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項4】
前記高分子材料がポリプロピレンであることを特徴とする請求項3に記載の身体支持構造物。
【請求項5】
前記身体支持領域が少なくとも背もたれの胸部領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項6】
前記開口部の少なくとも一部は、8mm以上25mm以下の径間長を有することを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項7】
前記比率が0.70以下であることを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項8】
前記比率が0.65以下であることを特徴とする請求項7に記載の身体支持構造物。
【請求項9】
前記身体支持領域が背もたれの一部分を規定することを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項10】
前記複数の開口部の少なくとも一つは前記背もたれの胸部領域から骨盤領域まで延設されていることを特徴とする請求項9に記載の身体支持構造物。
【請求項11】
前記身体支持領域がシートの一部分を規定することを特徴とする請求項1に記載の身体支持構造物。
【請求項12】
成形された高分子支持格子であり、三次元成形形状を有し、前記支持格子は複数のランド部により互いに離隔した複数の貫通した開口部を有する身体支持領域を含む、高分子支持格子と、
前記複数のランド部に直接的に接合され、前記複数の開口部を被覆し、身体支持構造物に荷重がかかった場合も前記開口部の形状を維持するファブリック層と、を備え、
前記高分子支持格子は、前記身体支持領域の外周縁によって規定される身体支持領域全体に対する前記複数のランド部の表面積の比率が0.70以下であり、
前記開口部の少なくとも一つの径間長が8mm以上25mm以下であると共に、
前記高分子支持格子と前記ファブリック層からなる複合構造物は自立性を有していることを特徴とする身体支持構造物。
【請求項13】
前記高分子支持格子と前記ファブリック層とが化学的混和性を有することを特徴とする請求項12に記載の身体支持構造物。
【請求項14】
前記高分子支持格子と前記ファブリック層は、同一の材料からなることを特徴とする請求項13に記載の身体支持構造物。
【請求項15】
前記高分子支持格子がポリプロピレン製であることを特徴とする請求項14に記載の身体支持構造物。
【請求項16】
身体支持構造物の製造方法であって、
支持格子を高分子材料から三次元形状に、前記支持格子が複数のランド部により互いに離隔した複数の貫通した開口部を有する身体支持領域を含み、かつ、前記支持格子が前記身体支持領域の外周縁によって規定される身体支持領域全体に対する前記ランド部の表面積の比率が0.74以下となるように、成形することと、
前記支持格子の溶融させる表層に隣接する固体の基板を維持しつつ前記支持格子の前記表層のみを溶融させることと、
前記支持格子の前記複数のランド部の溶融された前記表層に対して、前記複数の開口部を被覆し、前記身体支持構造物に荷重がかかった場合も前記開口部の形状を維持するファブリックを、前記支持格子と前記ファブリックからなる複合構造物が自立性を有するように、直接的に圧着することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記支持格子表層の前記溶融が前記表層を赤外線放射器に対し所定の期間暴露することを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
溶融された前記表層に対する前記ファブリックの前記圧着が流体ブラダーを前記ファブリックに対し圧着することを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ファブリックの縁部をトリミングすることを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
トリミングした縁部を前記支持格子に対しオーバーモールドすることにより前記ファブリックの前記トリミングした縁部を被覆することを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記支持格子と前記ファブリックとが化学的混和性を有することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記高分子材料がポリプロピレンであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
身体支持構造物の製造方法であって、
支持格子を高分子材料から三次元形状に、前記支持格子が複数のランド部により互いに離隔した複数の貫通した開口部を有する身体支持領域を含み、かつ、前記支持格子が前記身体支持領域の外周縁によって規定される身体支持領域全体に対する前記ランド部の表面積の比率が0.74以下となるように、成形することと、
前記支持格子の表面を加熱することと、
前記支持格子の前記加熱表面に接着剤を塗布することと、
前記接着剤を溶融させることと、
前記接着剤が溶融されている前記支持格子の前記複数のランド部の表層に対して、前記複数の開口部を被覆し、前記身体支持構造物に荷重がかかった場合も前記開口部の形状を維持するファブリックを、前記支持格子と前記ファブリックからなる複合構造物が自立性を有するように、直接的に圧着することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記接着剤の溶融が前記接着剤を赤外線放射器に対し所定の期間暴露することを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記接着剤の溶融および前記ファブリックの圧着は、熱を前記ファブリックから前記接着剤へと伝導させることにより同時に行うことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
記表層に対する前記圧着が熱したブラダープレスを前記ファブリックに対して圧着することを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は「Composite Body Support Member and Methods for the Manufacture and Use Thereof」(身体支持複合部材ならびにその製造方法および利用方法)と題し、その全開示内容が参照により本願に組み込まれる、2011年12月8日に出願された米国仮出願第61/568,348号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して背もたれやシートなどの身体支持部材に関し、特に、ファブリック層と高分子格子層とを含む身体支持複合構造物ならびにその製造方法および再利用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
例えば木製または金属製のベンチなどの固定剛構造物や、ハンモックなどの全体的に柔構造物であるものといった、種々の身体支持構造物が開発されている。身体支持構造物の一つに、例えば本願の譲受人であるミシガン州ジーランド市所在のHerman Miller社の開発および販売に係る製品名Aeron(登録商標)というチェアにおいて実施された背もたれ及びシートなどの、フレーム上あるいはフレーム間にメンブレンを懸架したものがある。メンブレンの懸架により高い適合性と通気性とが得られ、これら特性はユーザの快適性を得るために主に貢献するものとなる。一般に、この種の懸架構造物における撓みのパターンに関しては、フレームがメンブレンを支持する支持面の縁部における可撓性よりも、支持面中央部における可撓性の方が高い。身体支持面の形状の形成にあたり、例えばフレーム部材間の所定の断面に沿った形状とすることは困難である。また、フレームは支持領域周辺部において相対的に高い剛性を有した構造を備える。
【0004】
他の種類の身体支持構造物として、Herman Miller社の開発および販売に係るMirra(登録商標)という製品名のチェアにおいて実施された背もたれなどの成形高分子構造物がある。このような構造物は、多くの場合ユーザの身体に適合するよう三次元成形形状の構造物として予め成形した単体構造物であり、これによりユーザにより印加される負荷の分散を補助している。構造物の可撓性は、構造物の材料、材料の厚さ、孔の有無などの多数の変数を制御することにより予め設定可能である。このような構造物はファブリックで被覆して良く、このファブリックは通常、構造物の可撓性に対し悪影響を及ぼさないように、成形した背部の周辺部に対してのみ固定される。通常、負荷が印加された場合におけるこのような成形背部の適合性は、上述の懸架メンブレン構造物に比べ低い。また、このような成形品は支持フレームを必要としないため、適合性はその縁部においてより高くなっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明は以下の特許請求の範囲により定義され、本書のいかなる部分もこれら特許請求の範囲を限定するものと解されてはならない。
【0006】
本発明の一つの態様によれば、身体支持構造物の一実施形態は、三次元成形形状を有する成形高分子支持格子を含む。前記支持格子は、複数のランド部により離隔した複数の貫通開口部を有する身体支持領域を含む。前記開口部の面積は前記ランド部の面積より大きい。ファブリック層は複数のランド部に接合されており、前記複数の開口部を被覆している。
【0007】
他の態様によれば、前記身体支持構造物の一実施形態では、周縁部が規定する身体支持領域全体に対する前記ランド部の表面積の比率N:Mは0.74以下とし、また一実施形態では0.65以下とする。
【0008】
他の態様によれば、前記身体支持構造物の一実施形態では、開口部を備えていないこと以外は開口部を備えた身体支持構造物と同一の構造を有する身体支持構造物の材料の体積(Vm)に対するランド部の材料の体積(Vl)の比(Vl:Vm)は0.74以下とし、また一実施形態では0.65以下とする。
【0009】
また更に他の態様によれば、身体支持構造物を製造する方法の一実施形態は、支持格子を高分子材料から三次元形状に成形することと、前記溶融表層に隣接する固体の基板を維持しつつ前記支持格子の表層のみを溶融させることとを含む。前記方法は、前記支持格子の前記溶融表層に対してファブリックを圧着することを更に含む。一実施形態において、前記表層は赤外線放射器を用いて溶融させる。別の実施形態では、前記支持格子の表面に接着剤を塗布し、赤外線放射器を用いて、あるいは前記ファブリックを前記接着剤に対して圧着することにより前記ファブリックを介して熱を伝導することにより、前記接着剤を加熱する。
【0010】
また更に他の態様によれば、身体支持構造物の再利用方法は、ファブリックと成形高分子支持格子とを接合したものを用意することを含み、前記ファブリックと前記支持格子とは化学的混和性を有し、また一実施形態において前記ファブリックと前記支持格子とは同一の高分子材料より成る。前記方法は、前記ファブリックと前記支持格子とを接合したものを溶融させることにより溶融材料を形成することと、前記溶融材料を回収することとを更に含む。
【0011】
前記身体支持構造物の種々の実施形態およびその製造方法は、このようなその他の構造物と方法とに対して顕著な利点を有する。非限定的な例として、前記身体支持構造物は三次元の外形を備えていて良く、ユーザの身体に対する高い適合性を有する。前記複合構造物は自立性を有し、その形状を維持するために、例えば構造物の周辺部に一体フレーム構造を設けることを必要としない。前記複合材料は適宜選択可能であり、高い可撓性を有する種々の領域を提供するよう構成されている。また同時に、前記複合構造物は温度に対して中立であり、通気性を備え、かつファブリックとして望ましい美観およびユーザの身体に対する望ましい触感的特質を備える。前記ファブリックは、前記高分子格子と滑らかに接合されており、ユーザが前記格子に当たったり接触したりしないよう保護し、また前記格子には大きな開口部を形成可能であり、このような特徴を有する前記ファブリックを張架することにより前記開口部の形状を維持する。これにより、ユーザまたはその他の人の指もしくはその他の身体部位が開口部に嵌まったり挟まれたりすることを防止するための適切な防護を提供する。また更に、前記開口部がより大きな寸法を有するため、材料コストが低減され、前記構造物の可撓性を向上させ、かつその構成の美学的自由度を向上させる。一実施形態において、前記格子の材料の量は、最大で40%低減可能となる。
【0012】
接合工程は、前記格子構造物とファブリックとに同種の材料を用いることを可能とするため、プラスチックと前記ファブリックとのいずれにも色泣きによる変色が発生しない。また、前記ファブリックと前記格子構造物との接合部は、前記ファブリックに印加される張力に対する十分な耐荷重を有する。前記ファブリックと前記格子構造物とが同一の化学的組成を有するため、前記ファブリックと前記格子構造物との組合せはまた、これを溶融させ回収することにより、他の製造工程における原材料として用いることができる。
【0013】
以上の段落における記載は概説であり、本発明の特許請求の範囲を限定するためのものではない。種々の好ましい実施形態は、更なる効果と共に、以下の詳細な説明を添付の図面と組み合わせて参照することにより最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】身体支持構造物の一実施形態の正面斜視図である。
【0015】
図2】身体支持構造物の変形例の正面図である。
【0016】
図3図1に示す身体支持構造物の上面斜視図である。
【0017】
図4A図1に示す身体支持構造物の4A−4A断面図である。
図4B図1に示す身体支持構造物の4B−4B断面図である。
【0018】
図5】入れ子(ネスト)構造物により支持される成形支持格子の斜視図である。
【0019】
図6】赤外線放射に対し暴露した成形支持格子の斜視図である。
【0020】
図7】溶融表層を有する成形支持格子に対し圧着されたファブリック層の斜視図である。
【0021】
図8】成形支持格子に接合したファブリック層の上面図である。
【0022】
図9】ファブリック層に接合した成形支持格子の下面図である。
【0023】
図10】支持格子を成形し支持格子にファブリック層を接合する工程を示す模式図である。
【0024】
図11】身体支持構造物を再利用する工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本書において、「複数」という文言は2以上の数を意味するものと理解されるべきである。また、本書において「長手方向」という文言は、長さの方向、もしくは長さに関する方向、あるいは図1に示す長手方向2を意味する。また、本書において「横方向」という文言は、身体支持構造物の側面間の方向に向けたもしくは側面に向けた(または側面に直交する方向に向けた)状態、すなわち図1に示す横方向4を意味する。また本書において「接合する(した)」という文言は、直接的であるか、あるいは例えば介在部材を用いて間接的であるかを問わず、接続または嵌合する(した)ことを意味し、この接合または嵌合は必ずしも固定的あるいは永続的なものであることを要しないが、固定的あるいは永続的な接続または嵌合でも良い。また、本書において「交差(する)」という文言は、軸上または面上に延びていることを意味し、これは軸または面に対し略直交することを含むがこれに限らない。また本書において「第1」、「第2」、「第3」などの序数を用いた場合、それらはいずれも構成要素の特定の配列や順番(例えば連続的であること)を示すものではなく;例えば「第1の」「第2の」支持部材は、別段の記載無き限り、特定の構成を備えるあらゆる構成要素部材を意味すると理解されるべきである。
【0026】
図1ないし図4Bを参照し、オフィスチェアとして示す身体支持構造物6は背もたれ8とシート10とを含む。他の身体支持構造物として以下の用途の構造物(これらに限らない)を含んで良いことが理解されるべきである:すなわち、自動車用、航空機用、大量輸送機関用、ヘルスケア製品用、教育用品用、公会堂用の座席、および/またはこれらに類するもの、ならびにラウンジチェア、ソファ、ベッドを含むがこれらに限らない屋外用もしくは屋内用調度品、ならびにこれらの組合せなどである。シート10および背部8はそれぞれ成形高分子格子構造物14、12およびそれを被覆するファブリック層18、16を含む。本書において、「ファブリック」という文言は、織物、編物、プレス成形品などであって、その材料が単体では三次元の外形を維持し得ない一切の薄い可撓材料を指すものと理解されるべきである。種々の実施形態において、このファブリックはポリプロピレン製であって良く、またこのポリプロピレンは非常に軽量でかつ放湿性(吸湿性)、速乾性、放熱性/放冷性、防汚性、防摩性、および塩素漂白耐性を有し、安価でかつ高い紫外線安定性を有するものであって良い。好適なファブリックの例としては、例えば100%PERFENTEX(ポリプロピレン)製のCITADELファブリックや、100%PERFENTEX PLUS(繊維が成分として難燃性塩を含むポリプロピレン)製のCHATEAU PLUSファブリック、ポリオレフィン製のZETAファブリックといった、Camira Fabrics社より市販のものがある。
【0027】
ファブリック層18、16は格子構造物14、12に形成した種々の開口部22、20を被覆する。ファブリック層18、16は、開口部22、20の間に設けた前記開口部を規定するランド部26、24に対し好ましくは接着により接続されている。図4Aおよび4Bに例示するように、格子構造物14、12は所定の三次元形状を備えるように形成されている。この形状は、横方向および長手方向4、2にそれぞれ形成されて良い。一実施形態において、前記格子構造物14、12は例えばポリプロピレンなどのファブリック層18、16の材料と化学的に同族の材料から成る。前記格子構造物とファブリック層とは一実施形態において化学的相溶性を有しており、また一実施形態において化学的混和性を有しており、これにより前記格子構造物と前記ファブリック層とから成る複合構造物の再利用を容易としている。ランド部26、24とファブリック18、16とが接続されており、例えばファブリックに張力が印加され身体支持構造物に荷重がかかった場合にもファブリックが開口部の形状を維持するので、格子構造物の開口部22、20は幅、直径および/または長さを比較的大きなものとして良い。ファブリックが開口部を被覆しており、かつ、ランド部に接続されているために、一実施形態において、開口部の幅、長さ、直径その他の寸法により定義される前記開口部の径間長は8mm以上とし、また一実施形態においてこれを25mm以下とし、更に英国標準BS EN 1335−2:2009に適合するものと定義する。例えば、図2の実施形態に示すように、開口部30は、背もたれの略全長に渡り例えば胸部領域34から骨盤領域38まで延設されており、ランド部32により離隔されている。
【0028】
帯状の部分として示されているように、ファブリックがランド部に対して接着されており、そのため前記帯状部分は、横方向と前後方向のいずれにおいても拡がってしまわないよう構成されている。同様に、図1に示すように、比較的寸法の大きな開口部22、20により高い通気性を確保しつつ構造物の外形形状およびフレームレス構造を維持する。また同時に、複合構造物(格子構造物およびファブリック層)は、所望の位置において高い可撓性を有する。構造物の可撓性は、ランド部26、24の材料の厚さを異なるものとする、あるいは開口部22、20の寸法を変更するなどにより更に調整可能である。ファブリック層18、16は快適な触り心地をもたらし、かつ格子構造物の開口部とランド部との間の移行を滑らかなものとし、前記構造物は、構造物の縁部が好ましくない圧覚点とならないように、格子構造物がユーザに直接接触しないよう構成されている。複合構造物はまた、ユーザが知覚する温度が中立温度となるよう構成されている。
【0029】
一態様において、格子構造物14、12および特にランド部26、24は格子構造物の(例えば葉における)葉脈部として、特に孔を形成した基板として機能するよう意図されており、ファブリック層18、16は葉脈部をつなぐ葉材として機能する。ランド部がファブリックに接合されていなければ、格子構造物14、12はユーザを適切に支持することができなくなってしまい、むしろその可撓性が過度に高くなり脆弱になってしまう。このようにファブリック層18、16は格子構造物14、12の位置および張力を維持し、かつユーザの身体を支持する接触面となる構造的構成要素として機能する。本実施形態において、開口部は葉脈部間に形成した空間である。本発明のいくつかの実施形態においては、「開口部」は全側面において閉じられていなくて良く、2つの側面のみにおいて閉じられている構成として良いことが理解されるべきである。
【0030】
図1および2を参照して、身体支持構造物6、特に背もたれ8は、例えば胸部領域34、腰部領域36および骨盤領域38といった種々の身体支持領域を含む。一実施形態において、開口部20、30またはそれぞれ離隔して設けたランド部24、32(これらの間には空間20、30が形成されている)が少なくとも胸部領域34に形成される。一実施形態において、複数の開口部20、30のうち少なくとも一部は延設されており、胸部領域から腰部領域までまたは骨盤領域まで延設されていて良く、あるいは骨盤領域から腰部領域まで延設されていて良い。別の実施形態では、開口部を備えていないこと以外は開口部を備えた身体支持構造物と同一の構造を有する身体支持構造物の材料の体積(Vm(in3))に対するランド部の材料の体積(Vl(in3))の比(Vl:Vm)は約0.74以下とし、更に別の実施形態では0.70以下、また更に別の実施形態では0.65以下とする。一実施形態において、格子構造物の材料全体の体積は32in3(約524.4cm3)であり、一方、接合ファブリック層を用いずに同一の負荷に対し支持可能とする場合の背部の体積は約53in3(約868.5cm3)であって、すなわち、この構成により、背部格子構造物の形成に要する高分子材料の五分の二を削減可能としている。更に別の実施形態では、開口部の幅は、開口部間に設けたランド部の幅より大きく、また、一実施形態において、開口部の面積は開口部間に設けたランド部の面積より大きい。一実施形態では、身体支持構造物において、背もたれ8またはシート10が規定する身体支持領域全体に対するランド部の表面積の比率N:Mは0.74以下とし、別の実施形態では0.70以下、更に別の実施形態では0.65以下とする。
【0031】
図3を参照して、シート10はファブリック層18を備え、このファブリック層18はシートの一方の領域40(例えば臀部領域)の懸架材料としても機能し、かつ格子構造物14(ランド部26)に対し接合されているので、他方領域42(例えば大腿部領域)の外形構造を形成する機能をも有する。臀部領域40において、ファブリックは大径の開口部全体に対し張設され、かつ開口部の周辺部に沿ってフレームに固定されており、懸架メンブレンとして機能する。
【0032】
図4を参照して、縁部50は、ファブリック縁部を覆い隠して完全に被覆するように複合構造物(格子構造物およびファブリック層)の周辺部に沿って成形し、あるいはこれに適合するよう設けて良い。
【0033】
図4ないし図10を参照して、組立工程において、格子構造物12は所定の三次元外形形状に成形される。格子構造物12を、アルミニウムにより構成しても良いネスト部70に対し組み付ける。一実施形態において、ネスト部70は、赤外線放射がネスト部から格子構造物の背面へ反射されないように、格子構造物12の孔に適合する孔を備えていても良い。格子構造物12を被覆するために十分な領域を備えるファブリック16の一部または所定の部分を、加圧カセット82に組み付ける。ネスト部70は、赤外線放射器アレイ80の下方において移動させるか、あるいは、アレイをネスト部の上方において移動させる。一実施形態において、アレイ80は、格子構造物12の表面から約3インチ(約7.6センチ)の位置に設けた2200ワットの赤外線放射器を複数備える。アレイ80を所定の期間、例えば15秒間通電させることにより格子構造物12の表層62を溶融させるが、この時、溶融層の下方においてこれに隣接する下層60または基板は固体のまま(溶融せずに)維持される。表面を均一に溶融させるため、ネスト部がアレイの下方を移動している間、アレイを順に通電して良い。次いで、加圧部の下方でカセット82を移動しつつ、ネスト部70を加圧部(例えばブラダープレス)86の位置まで移動する、あるいは加圧部86をネスト部70上にまたはネスト部70の隣に移動する。加圧部86を起動すると、ファブリック層16を格子構造物12の溶融層62に対し所定の期間(例えば16秒間)所定圧力(例えば3psi(約0.21kgf/cm2))にて圧着し、ファブリック層16を支持格子のランド部24に接着する。次いで、ネスト部70をトリミング部へ移動させ、あるいはナイフ(以下「ホットナイフ90」とする。)をネスト部上方に移動させ、あるいはレーザーナイフ、超音波ナイフ、水噴射ナイフなどの他の切断装置を用いて、格子構造物12の縁部と面一となるように、あるいは格子構造物の部分に対し面一となるように、ファブリック層16に対しトリミングを行う。次いでこのトリミングした部分を射出成形用金型94内に載置し、トリミング縁部50をファブリックのトリミングした縁部に沿って、例えば格子構造物の周辺部に沿って成形する。ネスト部の加圧部とトリミング部間における移動は自動でもしくは手動でまたはこれらの組合せにより行って良い。
【0034】
また図10を参照し、変形例においては、格子構造物を粒状ホットメルト接着剤206の融点まで加熱し、該接着剤を接着剤アプリケータ204を用いて格子構造物の熱せられた表面に塗布する。該接着剤206の格子構造物に付着した部分以外は開口部20から下方へ流出させる。一実施形態において、赤外線放射器アレイ80を用いて格子構造物12に塗布した該接着剤を再加熱し、その後加工動作を上述のように行う。あるいは、この接着剤206に対する加熱は、熱したブラダープレス86を用いファブリック層16を該接着剤と格子構造物とに対し圧着してファブリック層16を介し熱を伝導することにより実施しても良い。その後更に上述のように加工動作を行って良い。
【0035】
図11を参照して、身体支持構造物の寿命が尽きた場合、ファブリック層16と格子構造物12とが同一の化学的組成を有するため、ファブリック層16と格子構造物12とを含む該構造物全体を溶融炉98内にて溶融させることができる。身体支持構造物を溶融する前にシュレッダ/グラインダ202を用いて細断または粉砕しても良い。溶融後、溶融した複合材料を、例えば前記複合材料のペレット100の形で押し出すことにより回収する。例えばペレット材の形で回収したこの材料は、次いで他の構成要素の製造に用いることができ、この場合例えば該ペレット材を溶融させ成形工程に用いる。
【0036】
上述のように好ましい各実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者は、本発明の趣旨および範囲を逸脱すること無く形式上および細部における種々の変更をなし得ると認識するであろう。このように、上述の詳細な説明は非限定的な例示のためのものであることが意図されており、また本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそのあらゆる均等物によりこれを定義することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11