【実施例】
【0154】
[00221] 本発明は以下の実施例においてさらに定義され、別途記載しない限り、ここで全ての部および百分率は重量によるものであり、度はセ氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい態様を示すものであるが、説明としてのみ与えられていることは理解されるべきである。上記の論考およびこれらの実施例から、当業者はこの発明の本質的な特徴を確かめることができ、その精神および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な変更および修正を行ってそれを様々な使用および条件に適応させることができる。この明細書中で言及される特許および非特許文献が含まれる全ての刊行物は、参照により明確に援用される。以下の実施例は本発明の特定の好ましい態様を説明することを意図しており、そのように明記されない限り、特許請求の範囲において定義される通りの本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0155】
[00222]
実施例1
[00223]
材料
同定されたアプタマーは、15bpのアプタマー(APT1):
【0156】
【化3】
【0157】
および34bpのアプタマー(APT2):
【0158】
【化4】
【0159】
を含め、Integrated DNA Technologies(アイオワ州コーラルビル)により合成された。
[00224] トシル基活性化(Tosylactivated)磁性ビーズ(MB)をInvitrogen(カリフォルニア州カールスバッド)から購入した。全ての他の化学物質をSigma Aldrich(カリフォルニア州カールスバッド)から入手可能な最高純度で購入した。アプタマー溶液を1M pH8リン酸緩衝液を用いて調製した。3−メルカプトプロピオン酸(MPA)溶液をエタノール中で調製した。タンパク質試料溶液を5mM KClおよび1mM MgCl
2を含む0.1M pH7.2 PBS緩衝溶液を用いて調製した。用いたリン酸は100mMであった。全ての他の溶液を脱イオン(DI)水中で調製した。
【0160】
[00225]
計測手段
[00226] SPRの測定は、商業グレードのSensiQ Discoveryシステム(ICx Technologies、バージニア州アーリントン)を25℃で用いて実施された。このセンサーはクレッチマン配置に基づいており、ここでプリズムにより統合された発光ダイオード(LED)からの光はまず偏光し、次いで金表面から内部反射される。光反射の角度および相対強度をフォトダイオードアレイを用いて測定した。試料溶液を感知表面に適用した際、SPRプロフィールの最小値(SPR角としても知られている)が装填された試料の屈折率の関数としてシフトし、リアルタイムの屈折率の読みを与えた(しかし、単独ではそのセンサーは所与の標的に一切特異的/選択的ではない)。そのSPR応答プロフィールはSensiQソフトウェアにより記録され、次いでMATLAB(登録商標)内で処理された。
【0161】
[00227] 電気化学インピーダンス分光(EIS)測定を、Gamry Reference 600ポテンシオスタット(ペンシルバニア州ウォーミンスター)をKClを支持電解質として含む5mM Fe(CN)
63−/Fe(CN)
64−溶液中で用いて実施した。全ての実験を室温で実施し、溶液を窒素ガスで15分間パージし、実験の間窒素ブランケット(nitrogen blanket)を維持した。その実験は25℃で実施された。インピーダンススペクトルを0.1Hzから100kHzまでの周波数範囲において5mV rmsの電位振幅で10倍あたり10点で集めた。EISの結果を、実験インピーダンスデータを電気的等価回路モデルに当てはめることにより分析した。その電気的等価回路のパラメーターは、Gamry EIS 300電気化学インピーダンス分光機に組み込まれた複合非線形最小二乗(CNLS)プログラムを用いてインピーダンス関数を測定されたボードおよびナイキストプロットに当てはめることにより得られた。
【0162】
[00228] アプタマーの結合能力は以下のように決定された:10nmolのアミン修飾アプタマーを10mgの洗浄した磁性ビーズ(MB)に、振盪恒温器中で37℃において18時間でカップリングさせた。占有されていない結合部位をウシ血清アルブミン(BSA)によりブロッキングした。そのアプタマーとカップリングしたMBを完全に洗浄し、次いで10nmolのトロンビンをそのアプタマーとカップリングしたMBと振盪器中で室温において2時間混合した。対照群を、アプタマーの非存在を除いて正確に同じ方法により調製した。総タンパク質および未結合のタンパク質を、SensiQにより提供されたカルボキシル官能化SPRセンサーを用いて測定した。
【0163】
[00229] 血液タンパク質を検出するためのアプタマーに基づくSPRセンサーの使用を実証するため、トロンビンおよび抗トロンビンアプタマーを選択した。金スライドを物理蒸着(PVD)により調製し、予め汚れを除いた顕微鏡用カバースライド(cover slides)の上に1nmのチタンの層および50nmの金の層を形成した。次いでこれらを大量のDI水およびエタノールにより洗浄した。それらを使用前に窒素ガス中で乾燥させた。
【0164】
[00230] 金スライドを官能化するため、それらを10mM MPA溶液中に30分間浸漬し、次いでエタノールおよびDI水で洗浄した。そのスライドを乾燥させた後、次いでそれらをN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(NHS 0.2M、EDC 0.05M)の溶液中に30分間浸漬した。次いでそのスライドをDI水で洗浄し、次いで5μMアプタマー溶液中に浸漬した。最後に、そのスライドをPBS緩衝液ですすいで非特異的に吸着されたタンパク質を洗い流した。それでそのスライドは測定の準備ができた。特定の態様において、この2工程表面官能化プロセスはSPRにおいてだけでなくラマンおよび蛍光分光法においても適用可能である。その表面官能化プロセスは
図1において模式的に図説されている。
【0165】
[00231] コートされていない(すなわち金ではない)SensiQベースの(base)センサーを、開発した金に基づくSPR感知表面を用いてカスタム改変した。具体的には、新しく調製したアプタマーを固定した金支持体を、その剥がしたセンサーに屈折率整合光学用油を用いて取り付けた(coupled)。これに続いて、次いで100μLの1Mエタノールアミン(EA)を20μL/分の流速で装填してEDC/NHSにより活性化された占有されていないMPA部位をブロッキングし、続いて100μLの100mMリン酸(PPA)を50μL/分で注入して非特異的な結合を除去した。ランニング緩衝液は0.1M pH7.2 PBSであった。そのセンサーをまずその緩衝液で10分間標準化し(normalized)、次いで5nM、25nM、50nM、250nM、500nM、1000nM、2000nMの濃度のトロンビン試料(25μL)を5μL/分で装填した。BSAを含む試料は全て400nM BSAを用いて調製した。全てのデータはその試料注入の290秒、300秒、および310秒後に記録され、平均された。センサーの再生は、100μL PPAの50μL/分での注入、続いてランニング緩衝液を用いた洗浄により実施された。
【0166】
[00232]
実施例1に関する結果
[00233]
EIS測定
[00234] それぞれの官能化された層の固定の成功を、EIS測定により確証した。
図2は、異なる電極でのインピーダンススペクトルのナイキストプロットを示す。むき出しの金の電極は高い周波数において非常に小さいサイクルを表し、これは電解質溶液中で溶解したレドックスプローブへの非常に低い電子移動抵抗を示している(曲線A)。MPAを電極上に固定し、EAおよびPPAで処理した際、電子移動抵抗(R
et)は125Ωに増大した(曲線B)。次いで、5μMのAPT1アプタマーを添加し、SAMと結合させた際、R
etは600Ωに増大した(曲線C)。この態様において、その金電極上の反応部位をEA(エタノールアミン)によりブロッキングしてその金表面上へのアプタマーの非特異的吸着を防ぎ、そうしてそのアプタマーがSAMにのみ付着することを確実にした。そのR
etの増大は、その固定されたアプタマーおよびそのレドックスプローブの間の静電反発により引き起こされ、これは界面の電子移動に関する障壁をもたらす。これらの結果は、そのSAM層のその金表面上への固定の成功およびそのアプタマーのそのSAMへの安定な結合を示している。
【0167】
[00235]
磁性ビーズ(MB)に基づく最大結合能力
[00236] アプタマーとカップリングしたMBを完全に洗浄した後、トロンビンを添加し、濃度変化をカルボキシル修飾SPRセンサーを用いて測定した。屈折率は添加されたトロンビンの濃度変化によってのみ制御される。他の実験変数、例えばタンパク質変性および温度はSPRの結果に小さな影響しか有さず、従ってその結果に影響を及ぼすとは考えられなかった。
【0168】
[00237]
図3において示されるように、トロンビンの濃度変化はそのアプタマーにより官能化されていない対照群に関しては無意味であった(3%未満)。これは、その2つの実験群における濃度変化が主にそのアプタマーおよびトロンビンの間の結合によるものであったことを示している。APT1およびAPT2群に関して、アプタマーで官能化されたMBおよびトロンビン溶液の混合物を18時間反応させ、その反応はMBの製造業者の仕様書に基づいて完了しているとみなされた。従って、最終濃度はアプタマーのトロンビンに対する最大mol/mol結合能力を反映していた。
【0169】
[00238] その結果は、APT1の結合比(57.1%)がAPT2(55.2%)よりも優れた能力を有することを示した。両方のアプタマーはトロンビンに対する50%より大きいmol/mol結合比を有し、これはそれらがトロンビン感知適用に関する優れた受容体候補であることを示している。特定の態様において、全てのアプタマーがMBに結合できるわけではなく、従って結合しているアプタマーの標的化合物(単数または複数)に対する実際の結合能力はわずかに大きい可能性があることは理解されるべきである。
【0170】
[00239] 対照群はアプタマー官能化なしのMBからなり、全ての結合部位はBSAによりブロッキングされた。アプタマー含有群は、それぞれのアプタマーにより官能化され、占有されていない結合部位がBSAによりブロッキングされたAPT1−およびAPT2−MBであった。エラーバーは3つの試料から決定された値の標準偏差を表す。
【0171】
[00240]
SPRの結果
[00241] 2種類の異なるアプタマーを金表面上に固定し、それぞれ1つずつの結合性能を比較した。参照のため、異なるトロンビン濃度(5nM、25nM、50nM、250nM、1000nM、2000nM)の試料を個々に、むき出しのAuのセンサー、APT1センサーおよびAPT2センサーそれぞれの上に装填した。次いで第2の実験を同じトロンビン濃度を用いて実施した;しかし、400nM BSAの混乱させる構成要素がそれぞれのトロンビン試料に比較のために添加された。
図4において“トロンビンのみ”の実験に関して示されているように、SPRシフトはむき出しのAuのセンサー表面に関して比較的高いトロンビン濃度に関してさえも非常に低かった。
【0172】
[00242] 対照的に、アプタマー修飾センサーに関して、SPRシフトは有意に高められ、最適検出範囲は5nM〜1000nM(線形範囲)であった。“トロンビン+400nM BSA”のデータ(
図4において示されている)は、大きな400nM BSAの混乱させる濃度の構成要素がそれぞれのトロンビン試料濃度に追加されたデータを示している。トロンビンのみの群と比較した場合、その応答はほとんど同一であり、これはそのアプタマー修飾APT1およびAPT2センサーがトロンビンのみに高度に特異的であることを示している。
【0173】
[00243] これはさらに
図5において図説されており、それは400nMのBSAを伴う、および伴わない500nMのトロンビン濃度に関するSPRシフトを示している。BSAの試料への添加はアプタマー修飾センサーに関するSPR応答に最小限の作用しか有さず、これはそのセンサーのトロンビンに対する優れた選択性を示している。これはむき出しのAuのセンサーとは対照的であり、それはBSAを含む、および含まないトロンビン試料の間で著しい変化を経験した。APT1修飾センサーは全てのトロンビン濃度に関してAPT2センサーよりもわずかに高いシフトを有していた。APT1に関する当てはめ線の傾きも線形応答範囲においてAPT2よりもわずかに大きく(
図6)、これもよりよい感度を示している。これらの2種類のアプタマーはトロンビンの異なる部位に結合し、従ってその標的への親和性は界面の結合環境においておよび溶液中での両方において異なっている。
【0174】
[00244]
抗体感知
[00245] MB結合試験において、APT1はAPT2よりもわずかに高い結合能力を有し、それはその官能化されたセンサーの感度の点でSPRの結果と一致している。理論により束縛されることを望むわけではないが、この態様において、これはより小さいアプタマーはその標的タンパク質の結合部位に接近するより大きな可能性を有するためである可能性があると信じられている。また、特定の態様において、より複雑な二次構造を有するより大きいアプタマーは標的化合物との結合を形成するために余分な空間的柔軟性を必要とする可能性がある。
【0175】
[00246] 本明細書における実施例1が示すように、MPA層は金上で優秀な被覆率を有し、バイオセンシング目的のための抗体免疫処置のために有用である。これらの結果はまた、そのアミン修飾アプタマーがMPA層上に容易に固定され、そのセンサーの性能は抗体に基づくセンサーと比較可能であったことを示している。
【0176】
[00247] 3個の感知スライドをそれぞれのアプタマーに関して、そして対照群に関しても調製した。そのセンサー対センサー(sensor to sensor)性能は、新しく調製した試料を用いた場合一貫しており、それぞれの測定に関して比較的小さい誤差をもたらし、平均して総シグナルの2%標準偏差未満であった(
図5において示されているエラーバー)。
【0177】
[00248] BSAの添加はわずかに大きい誤差を導入し、流速を低下させる、および試料の装填時間を増大させることによりその誤差を低減することができるが、考慮するのに十分であるほど重要ではないと思われた。その誤差の大部分は温度の変動により引き起こされていると考えられ;従って、一部の態様において、そのセンサーを温度制御された環境に置くことは正確性を増大させるのを助ける可能性がある。
【0178】
[00249] 本明細書で記述される感知表面は5nMから1000nMまでの最適動作範囲を有し、それはトロンビンアプタマーに基づく感知技法に関する最大の報告された動作範囲と比較可能であり、またはそれよりも大きい。ヒトの血液中のトロンビン濃度範囲は低ナノモル濃度〜低マイクロモル濃度の範囲内であることが報告されているため、本明細書で記述される方法はインビボでのトロンビンの定量的検出に十分に適している。
【0179】
[00250]
センサーの可逆性
[00251] そのセンサーの可逆性を試験するため、固定された試料濃度をそのセンサーに10回繰り返し装填した。そのセンサーの再生はPPAによりなされた。50nM、250nMおよび500nMのトロンビン濃度を用いた平均SPR応答を標準偏差に関するエラーバーと共に
図6において示す。全てのデータは新しく調製された感知スライドから得られた。SPR応答は一般に同じ試料濃度に関してそれぞれの装填に関して約0.5%減少した。全ての感知スライドは、10回目の装填後に元のSPRシフト応答の95%より多くを維持していた。また、2回目の試料の装填は通常その後の装填と比較した場合に最大の応答変化を有していた。実験の要求に応じて、より長いPPA注入時間によりそのセンサーの回復率を増大させることができる。BSAの出現はそのセンサーの感度を低下させた(例えば、
図6において、BSAの出現はその応答曲線においてわずかに傾きを低減した)が、それはそのセンサーの可逆性には影響を及ぼさなかった。
図6は、センサーが50nM〜500nMの試料の範囲においてBSAの出現ありおよびなしで線形応答を維持したことも示している。
【0180】
[00252]
実施例2
[00253]
センサーの他の態様
[00254] 別の態様において、そのセンサーには混合された長さのスペーサー層が含まれることができる。1つの限定的でない例において、その混合された長さの層はMPAと組み合わせられた11−メルカプトウンデカン酸(MUA)であることができ、それは特定の態様において感度および特異性を増大させるために用いることができる。
【0181】
[00255] 他の態様において、混合された長さのスペーサーを含ませてその固定されたアプタマーの特定の形状の形成および維持を促進することができる。
[00256] 別の態様において、非特異的なタンパク質結合を低減するために、エチレンオキシドのような親水性の基をそのアプタマーの5
c末端上に挿入することができる。
【0182】
[00257] 本明細書で記述される2工程固定法の特定の態様において、そのアプタマーの間隔をあけることは、MPA SAM密度を調節することにより、またはエタノールアミンおよびそのアプタマーを様々なモル比で同時保温することにより行うこともできる。
【0183】
[00258]
血液タンパク質の検出
[00259] 異なる血液タンパク質の検出に関して、目的の標的タンパク質に特異的に直接結合するアプタマーを見つけるため、SELEX手順を用いることができる。次いで、ほとんどあらゆるタンパク質に関する標的特異的なセンサーを形成するため、その開発されたアプタマーを次いでアミン末端処理し、本明細書で記述される方法の1つを用いて金表面上に固定することができる。従って、アプタマーを抗体を超える利点を伴って特定の化合物を標的とするようにSELEXにより生成することができる。
【0184】
[00260] 本明細書で記述される2工程固定法は、SAMおよびアミン末端アプタマーの金SPR感知表面上への固定のために特に有用である。本明細書で記述されるSPRセンサーは、少ない試料消費、標識の必要がないこと、高い感度、および速い応答時間のような利点を提供する。その2工程固定法の追加の利点には、実証可能な費用効率、優れた可逆性、均一な密度、および頑強かつ特異的な血液タンパク質検出プラットフォームとしての使用が含まれる。
【0185】
[00261]
実施例3
[00262]
SPRアプタマーに基づく糖化アルブミンタンパク質の感知
[00263] 糖化ヒト血清アルブミン(HSA)の検出および定量化の両方を行った。開発され、用いられたアプタマー(チオール化、非還元)は、
【0186】
【化5】
【0187】
であった。
[00264] 金スライドを物理蒸着(PVD)により調製し、予め汚れを除いた顕微鏡用カバースライド上に1nmのチタンの層および50nmの金の層を形成した。次いでその金スライドを大量のDI水およびエタノールにより洗浄した。その金スライドを使用前に窒素ガス中で乾燥させた。
【0188】
[00265] チオール化されたアプタマーを1Mリン酸緩衝液pH8により希釈し、振盪機中でクリーランド試薬REDUCTACRYL(商標)と2時間混合してアプタマー配列中の二重チオール結合を還元した。システインは金表面に直接結合して自己組織化単分子膜(SAM)を形成することができる水溶性のチオール含有アミノ酸であり、次いでそれをアプタマー溶液に添加して、アプタマーの間隔をあけ、アプタマー間の隙間を埋め、非特異的表面吸光度(absorbance)を低減するのを助けた。この予備実験におけるアプタマーの終濃度は1μMに設定され、アプタマー:システインのモル比は1:10であった。その金スライドをアプタマー/システイン混合物溶液中に37℃で浸漬させた。
【0189】
[00266] その固定プロセスの後、その金スライドを0.01M PBS緩衝液pH7.4で洗浄した。次いでその官能化された表面を対応するSPRセンサーに取り付け、1μg/mL総タンパク質HSA試料(すなわち、総=糖化+非糖化)を所与の糖化パーセント(%)比(糖化/総タンパク質):2、6、10、14、および18%に関して調製した。
【0190】
[00267] SPR応答をそれぞれの試料に関して記録した。官能化された表面に関する結果がむき出しのAuに関する結果と共に
図10において要約されている。アプタマーで官能化されたSPR表面は糖化タンパク質含有量における変化に直接応答する。総タンパク質濃度は試料間で1μg/mLで一定であることは特筆すべきである。
【0191】
[00268] 官能化されていない表面(すなわちむき出しの金)は無視できるほどの応答を示し、これは官能化された表面では感度が高いことをさらに説明している。長さは短いが(40〜60nt)、特定の態様において、アプタマー配列は標的を大きさおよび電荷に基づいて識別することができ、親和性が影響を及ぼされ得る。理論により束縛されることを望むわけではないが、本発明者らは、本明細書においてここで、そのアプタマーの3D構造も役割を果たしている可能性があると信じており;1つの限定的でない例には、シトシンに富むバルジループ構造およびACC(C)または(C)CCAモチーフが含まれる。
【0192】
[00269]
HbA1c、アルブミン、およびIgMに関する非糖化および糖化タンパク質結合部位に関するアプタマー
[00270] アプタマーを自己組織化単分子膜(SAM)に付着するように開発した。特定の態様に関して、タンパク質ヘモグロビン、アルブミン、およびIgMは、それぞれの半減期が血糖管理における短期、中期、および長期の履歴にわたる情報を提供するため、有用である。一部の一般的な血液タンパク質に関する特性の要約を下記の表1において提供する。
【0193】
【表1】
【0194】
[00271] それぞれのタンパク質の糖化は、それぞれのタンパク質の1MグルコースおよびDTPAを含有するpH7.4 PBS中での2日間の保温により実施することができる。次いでその糖化タンパク質に透析プロセスを施し、次いでそれを親和性クロマトグラフィーによりさらに濃縮することができる。この工程において、その糖化タンパク質をそれぞれの非糖化形態から支持カラム中のポリアクリルアミドビーズ上に固定されたボロン酸を用いて分離することができる。このプロセスにより、非結合および結合画分の両方を収集し、さらに濾過法を用いて濃縮することができる。
【0195】
[00272] タンパク質の糖化および非糖化バージョンの両方におけるヘモグロビン、アルブミン、およびIgMに特異的な重要なオリゴヌクレオチド(アプタマー)の単離および同定を達成するため、下記でさらに説明され、
図12において模式的に説明されているような、向上した指数関数的増幅によるリガンドの系統的進化(SELEX)濃縮法を用いることができる。
【0196】
[00273] 向上したSELEX法は、対象のタンパク質に特異であるリガンドのスクリーニングを可能にする。その向上したSELEX法は、ランダム化されたRNA配列の大きなライブラリーを生成することにより実施することができる。このライブラリーは通常10
14〜10
15の異なるRNA種を含有し、それはそれらの個々の配列に応じて異なる構造へと折り畳まれる。次いでこのライブラリーを対象の標的タンパク質と共に保温し、次いでそのタンパク質に結合するライブラリー中に含有されるRNAをそのタンパク質に結合しないRNAから分離する。次いで保持されたRNAをRT−PCRにより増幅し、インビトロで転写してRNAのプールを生成し、それは対象の標的に結合するRNAに関して濃縮されている。この選択および増幅プロセスを、その標的タンパク質に対する最高の親和性を有するRNAリガンドが単離されるまで8〜12ラウンドの間繰り返すことができる。次いでこれらのアプタマーをクローニングし、配列決定する。
【0197】
[00274]
糖化タンパク質の総タンパク質に対する比率の決定
[00275] 糖化タンパク質の総タンパク質に対するパーセント比の測定は、所与の時間窓にわたる平均血中グルコースに関連していた。
【0198】
[00276] その標的タンパク質の糖化部位に特異的なアプタマーを生成することができる。また、そのそれぞれのタンパク質の糖化および非糖化バージョン両方に結合するであろうアプタマーを生成した。1態様において、ヘモグロビン、アルブミン、およびIgMタンパク質の糖化バージョンをSELEXプロトコルにおける標的として用いた。結果として得られた低減したアプタマーのプールは、非糖化部位および糖化部位特異的アプタマーの両方を含有する。この時点で、および後のラウンド(単数または複数)において、次いで非糖化タンパク質(すなわち通常のタンパク質)を導入することができ、ここで糖化部位を認識する既存のアプタマーは結合せず、特性付けのために回収することができる。この方法は、そのタンパク質の糖化/非糖化バージョンの両方に結合することができる別々のアプタマーならびに糖化バージョンにのみ特異的であるアプタマーを提供する。
【0199】
[00277]
表面プラズモン共鳴自己組織化単分子膜アプタマーに基づく官能化された表面の最適化
[00278] 次いで同定されたアプタマーを最初に結合特性、感度、特異性、および選択性が含まれる一般的な性能に関して特性付けることができる。下記の表2において示されているのは、性能レベルに基づく標的の明細(specifications)の例である。
【0200】
【表2】
【0201】
[00279] 特に、結合親和性を特性付けるための1つの方法は、SPR法の使用である。同定されたアプタマー候補に基づいて、SPRはそれぞれの結合応答曲線を生成するために有用である。例えば、特定の装置(例えばSensiQ、iCx Nomatics)は二重マイクロ流体チャンネルを備えており、制御可能な流速を有する。その試験は、
図1に関して記述された固定法と類似の固定法を用いて実施することができる。
【0202】
[00280]
固定を促進するための修飾
[00281] また、特定の態様において、その糖化および非糖化特異的アプタマー候補をCOOHで修飾された金SPR表面上への固定を促進するための5’−NH
2−C
6アタッチメントを用いて修飾することができる。次いでSPR測定を用いてアプタマー候補に関するそれぞれの親和性定数を特性付ける。
【0203】
[00282] 親和性試験に加えて、SPRチップに固定されたアプタマーを用いて、特異性および選択性の両方を評価することができる。そのような態様において、それぞれのアプタマーチップを糖化および非糖化形態の両方のそれぞれの標的タンパク質に曝露した。所与のタンパク質に関する、ならびに異なるタンパク質(例えばHbA1cアプタマーチップに関するアルブミン)に関するその2形態の間の交差反応性がそうして決定された。特定の好ましい態様において、その標的交差反応性は約6%未満であることが望ましい。この基準が満たされないことが決定された場合、交差反応性の性能をさらに向上させるために、そのSELEXプロトコルを向上した選択条件(例えば排除ラウンドの頻度を増大させる)を用いて繰り返すことができる。
【0204】
[00283] 優れた標的認識は固定のために用いられるアプタマー連結プロセスによっても影響を受け得ることも理解されている。特定の態様において、その方法にはそのアプタマーの1つ以上の代わりの連結法の使用が含まれることができる。特定の態様において、その連結は3’−アミノ、チオール、または他の可能性のある連結によることができる。
【0205】
[00284] そのような連結を例えば特定のパラメーター、例えば密度および長さを調節することにより修正することができることも、意図される範囲内である。従って、最大限の所望の性能を提供するためにアプタマーおよび連結法を最適化することができる。加えて、官能化された表面を作り出すための本明細書で記述される方法を最適化して、その表面における所望のレベルの均一性を提供する、ならびにそのアプタマーセンサー応答を最適化することができる。
【0206】
[00285]
自己組織化単分子膜(SAM)連結
[00286] 上記で記述された連結法に加えて、用いることができる別の方法には、二成分自己組織化単分子膜(SAM)および還元脱着プロセスによる連結が含まれる。SAMの充填密度およびSAMの長さはSPRシグナルに影響を及ぼすため、その二成分SAMの密度および長さを還元脱着プロセスを用いて調節することができる。
【0207】
[00287] 特定の態様において、混合型SAMを適合させる(tailoring)ために、合成されたジチオビス−N−スクシンイミジルプロピオネート(DTSP)を(1−メルカプト−11−ウンデシル)トリ(エチレングリコール)(PEG3)と共に用いることができる。タンパク質吸着に耐性であるPEG3を用いてタンパク質の非特異的吸着を防ぐことができる。加えて、DTSP中のカルボキシル基はそのアプタマーと安定な結合を形成するであろう。
【0208】
[00288] 特定の態様において、ジチオビス−N−スクシンイミジルプロピオネート(DTSP)を用いるチオールSAM固定法をリン酸緩衝溶液中で用いた。DTSPは、少なくとも部分的にはその独特の表面特性、例えば親水性、水和性、化学反応性、およびヘモグロビンおよびシトクロムcのようなタンパク質に対する親和性のため、SAMに関して有用である。
【0209】
[00289] 二成分SAM固定に関して、3−メルカプトプロピオン酸(MPA)および(1−メルカプト−11−ウンデシル)トリ(エチレングリコール)(PEG3)を用いることができる。特定の態様において、MPAが選択され、これはそれがPEG3よりも低い酸化還元電位を有するためであり、それはMPAを還元脱着により容易に排除してPEG3を未変化のままにすることができることを意味する。DTSPはアプタマーのアミノ基と共有結合を形成することができ、一方でPEG3はできず、従ってアプタマーはDTSPのみに付着するであろう。
【0210】
[00290] 2構成要素チオール溶液はMPAおよびPEG3の1mMエタノール溶液を様々な比率で混合し、一方で二成分SAMの総濃度を1mMで維持することにより調製することができる。次いでMPAおよびPEG3(その比率は20:80、50:50および80:20である)の二成分SAMを金電極上で、その電極をその混合されたチオール溶液中に1時間浸すことにより形成することができる。
【0211】
[00291] ここで、二成分SAMの形成および還元脱着手順が示されている
図11a〜11eにおける模式図を参照する。最初に、3−メルカプトプロピオン酸(MPA)およびPEG3の二成分をエタノール溶液中で金表面上に吸着させる(
図11a)。MPAの金電極からの還元脱着を0.5M KOH溶液中で実施する。相分離したMPAおよびPEG3の二成分SAM中の吸着されたMPAを、−1.2Vの電位を30分間かけることにより選択的に還元する(
図11b)。
【0212】
[00292] MPAの還元脱着後、PEG3層を有する試料を1mM DTSP溶液中に浸漬してDTSP層を形成する(
図11c)。
図11dはアプタマーの固定を示し、
図11eはアプタマーのPEG3からの除去を示す。
【0213】
[00293] アプタマーは、−COOH末端基を露出しているDTSPのSAMに共有結合的にカップリングされる。共有結合の形成のため、PBS中のアプタマー(50μg/ml)を新しく調製したNHSおよびEDCと一緒に注入する。N末端においてアミノ基を有するアプタマーを、CO−NHアミド結合形成によりDTSP SAM上に固定することができる。DTSPおよびPEG3の比率を変動させてSAMの充填を調節し、結果として、次いで最適なSPRシグナルを与えるタンパク質の結合を得ることができる。
【0214】
[00294]
表面被覆の測定
[00295] サイクリックボルタンメトリー(CV)および電気化学インピーダンス分光法(EIS)を用いて固定されたSAMの表面被覆およびその試料の酸化還元応答を測定することができる。その表面組成物を吸着されたチオールに関するサイクリックボルタモグラムのピーク面積から概算することができる。修飾された電極上に沈着した二成分SAMの応答を、未修飾の電極の応答と比較することができる。
【0215】
[00296] 還元脱着のサイクリックボルタモグラムは、0.5mol dm
−3リン酸緩衝溶液中で、Ag−AgCl飽和KCl電極を参照電極として、白金線を対電極として用いて記録することができる。SAM+アプタマーでコートされた金電極(Au+SAM+アプタマー)ならびに金電極上の還元脱離したSAMおよびアプタマー(Au+RD SAM+アプタマー)のCV曲線をそうして比較することができる。CV曲線は還元脱離に関して100mV/sの走査速度で記録することができる。それぞれのボルタモグラムにおいて、SAMの還元脱着のダウンピーク(down peak)はおよそ50mVに見られると予想される。
【0216】
[00297] 最適なSPR応答を得るために、SAMの長さおよび密度両方を調節することができる。リンカーの長さが長い場合、より多くのアプタマーを固定することができるが、アプタマーがその表面からさらに離れるため、SPRのディップはより広くなり得る。同様に、リンカーの密度が高い場合、より多くのアプタマーをSAMに付着させることができるが、SPRのディップはより狭くなり、検出がより困難になり得る。これらのアプタマーで修飾された表面は、5’−NH
2−C
6/−COOH法と共に用いられる方法により特性付けることができる。
【0217】
[00298]
開発された官能化されたSPR感知表面の較正および検証
[00299] HbA1c、アルブミン、およびIgMの糖化/非糖化タンパク質の検出のためのSPR感知プラットフォームは、最初に既知の標的タンパク質比率を有する生理食塩水緩衝液を用いる試験において較正することができる。それぞれの試料溶液を、固定されたレベルの総タンパク質に関して、血液中で見られる比率レベルと比較して妥当な比率レベルで調製することができる(表1参照)。
【0218】
[00300] それぞれの試料に関して、タンパク質の総量に対する糖化タンパク質の比率は所望の範囲にわたって変動させることができる(例えば、HbA1cに関して6〜15%の%レベルはそれぞれ60〜360mg/dLの平均血糖レベルに相当する)。そのような態様において、1から25%v/vまでの範囲が適切であろう。次いでそれぞれの試料におけるSPR応答を評価することができ、%糖化に関して較正モデルを決定することができ、較正の標準誤差を計算することができる。開発されたSPRアッセイの正確さをさらに評価するため、無関係な試料(すなわち、較正において用いられていない試料)を用いてそれぞれの較正モデル(単数または複数)に基づいてアッセイ性能を評価することができる。相対および絶対誤差の両方を決定することができ、有用な診断の目的に必要であろう範囲と比較することができる。
【0219】
[00301]
血清の試験
[00302] 実際の血清における性能を評価するため、糖尿病でない源からの血清を利用することができる。その血清試料を分析して、標準的な臨床試験により(両方のタンパク質標的に関する)糖化対総タンパク質のそれぞれの割合を決定することができる。
【0220】
[00303] これらの値を参照値として用いて、個々の試料に特定の量のそれぞれの糖化タンパク質(登録商標)をドープする(doped)ことができる。生理食塩水試験で利用された試験評価と類似の試験評価を繰り返すことができる。血清中の特定の標的タンパク質(例えば表1において示されるようなヘモグロビン)の高い濃度のため、その試験を運転する前に試料を希釈することが望ましい可能性があることは理解されている。加えて、血清の複雑な化学組成のために問題が生じ得るため、他の可能性のある混乱させる作用、例えば糖化タンパク質の変動以外での試料組成における変動の導入を試験することができる。
【0221】
[00304]
実施例4
[00305]
糖化および/または非糖化タンパク質部位に対して標的化されたアプタマーの同定のための向上したSELEX法
[00306] 糖化タンパク質部位への親和性を有するアプタマーの同定を可能にするため、SELEXプロトコルを向上させた。この向上したSELEXプロトコルは、糖化タンパク質の総タンパク質に対するパーセント比の決定を可能にした。
【0222】
[00307] 標的タンパク質(単数または複数)の糖化部位に特異的なアプタマーを、それぞれのタンパク質の糖化および非糖化バージョンの両方に結合するであろうアプタマーに加えて生成した。それぞれのタンパク質(例えばヘモグロビン、アルブミン、IgM等)に関してそのようなアプタマーを生成するため、増幅の第1ラウンドにおいて、それぞれのタンパク質の糖化バージョンにSELEXプロトコルを適用した。そのSELEXプロトコルのこの第1ラウンドは結果として、“非糖化部位特異的”アプタマーおよび“糖化部位特異的”アプタマーの両方を含有する低減したアプタマーのプールをもたらした。
【0223】
[00308] 非糖化タンパク質(すなわち通常のタンパク質)を、第1ラウンドのSELEX増幅プロセスで得られたプール中に導入する。少なくとも1回の第2ラウンドの増幅において、そのような非糖化タンパク質に結合するプール中のアプタマーはこの特定のSELEXラウンドにおいて溶離されず、従ってそのプールから除去される。この向上したSELEXプロトコルは、糖化部位に特異的なアプタマーが進行中のプール中に留まるであろう機会を向上させる。次いでそのような残っているアプタマーを、標準的なSELEXプロセスの一部としてのそれに続くSELEXラウンドにおいて特性付けのために回収することができる。他の態様において、“糖化”タンパク質および“非糖化”タンパク質の使用を逆にすることができることは理解されるべきであり;例えばここで“糖化”タンパク質が第1ラウンドのSELEX増幅プロセスで得られたプール上に導入される。
【0224】
[00309]
高親和性糖化および/または非糖化タンパク質アプタマーの決定
[00310] タンパク質分子(例えばアルブミン)は糖化に関して利用可能な多数の部位を有する。糖化レベルは通常総タンパク質レベルに関する糖化されている所与のタンパク質の濃度の百分率を指し、一方で糖化率は単一のタンパク質分子内のどれだけ多くの部位がグルコースまたはグルコース誘導体に結合しているかを指す。3D立体構造および電荷分布は高度に糖化されたタンパク質分子および非糖化タンパク質分子の間で著しく異なっているが、軽度に糖化されたタンパク質分子(すなわち単一の糖化点)および非糖化タンパク質分子の間では非常に類似している。従って、非糖化形態に対して低い親和性を有する高親和性単一部位特異的糖化タンパク質結合アプタマーを開発することは非常に挑戦的である。
【0225】
[00311] 向上したSELEXインビトロ選択プロトコルの1つの例が
図12において示されており、ここで大きなランダムDNAのプールを最初に磁性ビーズ(MB)上に固定された糖化タンパク質標的と混合する;すなわち一次または“糖化タンパク質標的MB”複合体。
【0226】
[00312] その糖化タンパク質標的に対して高い親和性を有するアプタマーは結合して“アプタマー−糖化タンパク質標的MB複合体”を形成するであろう。
[00313] その“アプタマー−糖化タンパク質標的MB”複合体を最初のDNAプールから分離する。
【0227】
[00314] それに続く工程において、その結合したアプタマーをその“糖化タンパク質標的MB”複合体(すなわち、そのタンパク質の単一または軽度に糖化された形態)から溶離する。
【0228】
[00315] この時点において、MBの第2セットにカップリングさせた対照タンパク質(すなわちそのタンパク質の非糖化形態)(第2または“非糖化タンパク質標的MB”複合体)をこの第1溶離液に添加する。
【0229】
[00316] その“非糖化タンパク質標的MB”複合体を用いて、その非糖化タンパク質形態に対する親和性も有する第1溶離液中の“選択的な”アプタマーを除去する。
[00317] それに続く工程において、その“選択的な”アプタマーをその“非糖化タンパク質標的MB”複合体から溶離する。
【0230】
[00318] その“非糖化タンパク質標的MB”複合体を除去したら、残っている“選択的な”アプタマーは単一のまたは標的化された糖化部位に対して高い親和性を有するアプタマーである。
【0231】
[00319] この時点で、標準的なSELEX法を用いて、所望の糖化タンパク質部位に対して非常に高い親和性を有するこれらの残っている“選択的な”アプタマーを増幅することができる。
【0232】
[00320] 具体的には、この向上したSELEX法は、そのタンパク質の非糖化形態に対して低い親和性を有する高親和性単一糖化部位アプタマーの開発を可能にする。この向上したSELEX法は、分析物/非常に類似した化学構造を有する分子を識別する能力を有するアプタマーを生成するためにも有用である。
【0233】
[00321]
糖化および非糖化アプタマーの例
[00322] 有用なアプタマーの例が下記に示されており、ここでXXXおよびYYYは追加の結合基、例えばビオチン、チオール、アミン等のいずれか1つ以上を指し、それは所与の自己組織化単分子膜(SAM)の開発を促進するために用いることができる。
【0234】
[00323]
糖化ヘモグロビンアプタマー
【0235】
【化6】
【0236】
;および
【0237】
【化7】
【0238】
。
[00324]
非糖化ヘモグロビンアプタマー
【0239】
【化8】
【0240】
;および
【0241】
【化9】
【0242】
。
[00325]
糖化:ヒト血清アルブミン(HSA)アプタマー
【0243】
【化10】
【0244】
;および
【0245】
【化11】
【0246】
。
[00326]
非糖化:ヒト血清アルブミン(HSA)アプタマー
【0247】
【化12】
【0248】
;および
【0249】
【化13】
【0250】
。
[00327]
実施例5
[00328]
標的特性に基づいて感度および選択性を最適化するためのSAMを用いる表面官能化法
[00329] アプタマーの可動化のための二成分SAM形成の感度および選択性はさらに高めることができる。例えば、連結の間隔ならびにアプタマーおよびSPR表面の間の距離を調節するため、2つの異なるタイプの自己組織化チオール分子をその表面上に沈着させる。11−メルカプトウンデカン酸(SH−(CH
2)
5−COOH、MUA)およびメルカプトプロパノール(SH−(CH
2)
2−OH、MPL)の1mMエタノール溶液を別々に調製する。それぞれの溶液を、その2つの構成要素の総濃度を1mMで維持しながら1:1の体積比で混合する。MUAおよびMPLの二成分SAMが金表面上に、その金表面をその混合されたチオール溶液中に1時間浸すことにより形成される。次いで、その金表面を続いてエタノールおよびDI水を用いてすすぐ。
【0251】
[00330] MPLの密度は、その金表面に0.5M KOH溶液(pH13)中で電位をかけることにより、最適なシグナル伝達のために調節することができる。−0.5〜−1.0Vで30分間かけられた電位はMPLの一部を脱離させ、結果としてより低密度のMPL層をもたらし、それはシグナル伝達を増進する。次いで、その表面をすぐにDI水により洗浄する。
【0252】
[00331] その表面を乾燥させた後、次いでそれをN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)の溶液(NHS 0.2M、EDC 0.05M)で30分間処理してMUAのカルボキシル基を活性化させる。次いでその表面をDI水で洗浄し、次いで5μMアプタマー溶液中に浸漬する。アプタマーはその活性化されたMUAに共有結合する。最後に、その表面をPBS緩衝液ですすぐ。
【0253】
[00332] この表面官能化法はSPRに適用可能であるだけでなく、他の感知様式、例えばラマンおよび蛍光分光法の感度および選択性を最適化するためにも適用可能である。その方法は、既存のモニタリング技術の性能を向上させるために用いることができる。
【0254】
[00333]
実施例6
[00334]
試料中に存在する混乱させる物質の作用を低減するための方法
[00335] その官能化プロセスの一部として、MPL層は本質的に親水性である。この特性は、タンパク質のその表面への非特異的吸着を防ぐことができる。別の態様において、そのアプタマー認識要素は、伸長された連結のアプローチにより、(なお所望の感度を維持しながら)通常のSPR感知範囲を超えて伸ばすことができる。この態様において、チオール類に関するような終結(terminations)により多数の連結を得ることができる。その終結の間で、その表面を金ナノ粒子溶液に曝露することにより金ナノ粒子界面を作ることができる。このナノ粒子カップリングは、そのアプタマー結合応答をSPRセンサーにより通常のSPR検出限界を超えた分離距離において検出することを可能にすることができる。
【0255】
[00336] 非アプタマー部位におけるように、金属粒子カップリングを欠いた、密に充填されたSPR範囲外の長さの連結を作ることができることは特筆すべきである。従って、これらの部位において非特異的タンパク質吸着または他の混乱させる構成要素に直面した場合、対応するSPR応答は生じず、それによりそのセンサーに関する選択性の性能を向上させるであろう。
【0256】
[00337] 別の態様において、二次物理蒸着(PVD)をそれに続くMPA層の上に形成し、続いて熱処理して類似の構造を得てそのアプタマーを伸ばしてSPR基礎表面から離し、一方でその金属カップリング連結により感度を維持することができる。
【0257】
[00338]
実施例7
[00339]
バイオマーカーの検出
[00340] 本明細書で記述される方法およびプラットフォームは、疾患の診断および評価のためのバイオマーカーの検出の分野においても有用である。
【0258】
[00341] 例えば、本明細書で記述されるタンパク質(例えば糖化タンパク質)に関して、正確な検出は糖尿病の処置を促進し、数多くの関係する健康管理条件、例えば心血管疾患、失明、腎不全、および多くの他のものの増大する危険性を最小限にするのを助けることができる。
【0259】
[00342] 本明細書における方法およびプラットフォームは、手持ち式の装置中に容易に組み込むために小型化し、そうしてその方法および/またはプラットフォームが医師の診療室において、家庭において、または野外で直接用いられることを可能にすることができる。
【0260】
[00343] 従って、(糖血症のコンプライアンスの尺度である)糖化タンパク質の測定は、タイミングの悪いオフサイト分析(offsite analysis)による医師の検査の間にのみ利用可能であるのではなく、患者または健康管理提供者により容易に評価できる方法で容易に利用可能である。これらのより広く利用可能な測定は、今度は、自己監視血中グルコース測定の情報に対する補足的な情報を提供して、糖尿病患者が彼らの状態をよりよく管理し、可能性のある長期の健康問題を緩和するのをさらに助けるであろう。
【0261】
[00344] さらに、そのような情報が拡張された歴史的時間窓でより高頻度な方式で入手可能である場合、これは糖尿病コミュニティの内外でグルコース調節の理解に著しく影響を与える可能性があり、それは糖尿病に対する新規のおよび/または最適化された療法アプローチの開発、教育、および訓練により血糖管理のよりよい理解につながる可能性がある。
【0262】
[00345]
実施例8
[00346]
キット
[00347] 本明細書で記述されるセンサーは、部品のキットの形態で提供することができる。そのようなキットには、診断キット、バイオマーカー発見キット、環境試験キット、生物災害または生物兵器検出キット、および医学または分析化学の適用において標的を検出するためのキットが含まれるが、それらに限定されない。限定的でない例として、そのアミン末端アプタマーは単独の分子として含まれることができ、または既に支持体に付着していることができる。追加の構成要素が含まれることもでき、それはマイクロ流体チップ、参照標準、および当業者が本開示を読めば同定可能である追加の構成要素を含むことができる。また、そのキットの構成要素は、本明細書で開示される方法を実施するため、適切な説明書および他の必要な試薬と共に提供することができる。一部の態様において、そのキットは別々の容器中にその組成物を含有することができる。そのアッセイを実施するための紙または電子支持体、例えばテープまたはCD−ROM上の説明書、例えば書面の説明書または音声の説明書もそのキット中に含まれることができる。そのキットは、用いられる個々の方法に応じて、他の包装された試薬および物質(例えば洗浄緩衝液等)も含有することができる。
【0263】
[00348] 本発明は様々な好ましい態様に関連して記述されてきたが、当業者は、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく様々な変更を行ってよく、その要素の代わりに均等物を用いてよいことを理解するべきである。加えて、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことができる。
【0264】
[00349] 従って、本発明は本明細書で開示されたこの発明を実施するために熟慮された特定の態様に限定されるのではなく、本発明には特許請求の範囲内に入る全ての態様が含まれるであろうことが意図されている。
【0265】
[00350] 本明細書で列挙された文書のいずれの引用も、前記のいずれかが関連する先行技術であるという自認として意図されているわけではない。その日付に関する全ての記載またはこれらの文書の内容に関する表現は出願者に入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関する自認を構成することは一切ない。