特許第6170644号(P6170644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6170644
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】抗医薬品抗体の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20170713BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20170713BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   G01N33/53 N
   A61P1/04
   G01N33/543 501Z
   A61K39/395
   A61P19/02
   A61P29/00
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-87003(P2017-87003)
(22)【出願日】2017年4月26日
【審査請求日】2017年5月17日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2016/082135
(32)【優先日】2016年10月28日
(33)【優先権主張国】WO
(31)【優先権主張番号】特願2016-89301(P2016-89301)
(32)【優先日】2016年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153258
【氏名又は名称】株式会社JIMRO
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏木 伸仁
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 史郎
(72)【発明者】
【氏名】金田 健太
(72)【発明者】
【氏名】前川 豪孝
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 裕子
【審査官】 竹中 康浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−224666(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/065425(WO,A1)
【文献】 VULTAGGIO, Alessandra et al.,Anti-infliximab IgE and non-IgE antibodies and induction of infusion-related severe anaphylactic rea,Allergy,2010年,Vol. 65,p. 657-661
【文献】 渡辺一雄 ほか,抗C1q抗体法および抗C3d抗体法のELISAキットを用いた血中免疫複合体測定の臨床的検討,日本臨床免疫学会会誌,日本,1989年,第12巻,第4号,p. 369-378
【文献】 KOPYLOV, Uri et al.,Clinical utility of antihuman lambda chain-based enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) versus do,Inflammatory bowel diseases,2012年,Vol. 18, No. 9,p. 1628-1633
【文献】 YOSHINOYA, Sadayoshi et al.,Circulating immune complex levels measured by new ELISA kits utilizing monoclonal anti-C1q and anti-,Journal of clinical and laboratory immunology,1992年,Vol. 38, No. 4,p. 161-173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/53
A61K 39/395
A61P 1/04
A61P 19/02
A61P 29/00
G01N 33/543
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
Scopus
Wiley Online Library
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(1)〜(4)を含む、被測定検体中のADAsの測定方法。
(1)ADAsの被測定検体を含む試料を準備する工程であって、ADAsの被測定検体に当該医薬品を添加して、医薬品−ADAs免疫複合体が形成された試料を調製することを含む工程
(2)補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固相化した担体に、工程(1)で調製した試料を接触させる工程
(3)工程(2)で作製された固相担体に、前記ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を接触させる工程
(4)補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体を定量する工程
【請求項2】
工程(3)において、カルシウムイオンの存在下、ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)において添加する医薬品の量は、被測定検体中のADAsに比べて多い請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
医薬品が抗TNFα薬である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
医薬品がインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はセルトリズマブ・ペゴールである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
医薬品がインフリキシマブ又はアダリムマブである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(3)において用いる医薬品に対する抗体が、標識抗体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
標識抗体が酵素標識抗体である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
被測定検体が医薬品を投与された患者から採取された検体である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を用いてADAsを測定するためのADAsの測定キットであって、
補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固定化した固相担体、及び当該ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を含む、測定キット。
【請求項11】
医薬品に対する抗体が標識抗体である請求項10に記載の測定キット。
【請求項12】
当該医薬品を更に含む、請求項11に記載の測定キット。
【請求項13】
試料中のADAsを測定する方法であって、
ADAsの被測定検体に当該医薬品を添加して、医薬品−ADAs免疫複合体が形成された試料を調製する工程と、
前記試料と補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を接触させる工程と、
前記補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体を定量する工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記請求項13において、
前記定量工程は、前記医薬品に対する標識抗体を用いる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の抗医薬品抗体(ADAs:anti-drug antibodies)の存在又はレベルを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体医薬品を含む遺伝子組換体によるタンパク製剤などのバイオ医薬品(以降「医薬品」)は、疾患関連分子や受容体に特異的に反応する抗体や物質を人工的に作製し、医薬品としたものである。近年、病因に関わる標的分子などをピンポイントで制御する医薬品を用いた分子標的治療が普及しており、現在、抗体医薬品については日米欧で47品目が承認されている。そして、その多くは、癌や自己免疫疾患を対象とするもので、治療に欠かせない存在となっている製品も少なくない。
【0003】
しかしながら、抗体医薬品はヒト化した抗体や物質であっても、患者の免疫応答によりADAsが産生され、効果減弱(LOR; Loss of response)が発現し、病勢コントロールが難しくなるという問題がある。したがって、当該技術分野では、患者試料中のADAsの存在を検出して、医薬品による分子標的療法を監視し及び治療決定を誘導する測定系が必要である。抗体医薬品ではない遺伝子組換体などの医薬品、例えばエリスロポエチン(非特許文献1)や他の医薬品においてもADAs産生によるLORなどが問題となっている(非特許文献2)。
【0004】
例えば、TNF−αを標的とする抗体医薬品として代表的なインフリキシマブ(IFX)の場合、投与後にIFXに対する抗体(ATI:antibodies to IFX)が出現するが、このATIの測定については、従来、ELISA法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay、酵素結合免疫吸着法)によるdouble antigen assayによるATI測定法(非特許文献3)や、サンプルを前処理して標識IFXを添加し、HPLCを用いるmobility shift法(非特許文献4)が知られている。
【0005】
しかしながら、double antigen assay法では、固相化したIFXにATIを捕捉し、これを標識IFXで検出・測定するものであり、検体中に存在するIFXの影響を受け正確な測定が困難な場合がある。また、mobility shift法は、高額な機器であるHPLCの導入が必要となり、汎用的ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Casadevall et al., N Engl J Med 2002; 346:469-475
【非特許文献2】Baker et al., Self/Nonself 2010; 1: 314-322
【非特許文献3】Uri Kopylov et al., Inflamm Bowel Dis 2012;18:1628-1633
【非特許文献4】Wang SL et al., J Immunol Methods. 2012 Aug 31;382(1-2):177-88
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、医薬品による分子標的療法ならびに遺伝子組換サイトカインやホルモンなどの維持投与を受けている患者において出現するADAsを、より簡便に且つ正確に測定する方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、斯かる状況に鑑み検討した結果、被測定検体中に存在するADAsを、医薬品−ADAs免疫複合体の形で補体C1q等に捕捉させ、補足された医薬品−ADAs免疫複合体を当該医薬品に対する抗体で検出・測定することにより、検体中のADAsを正確に測定できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔14〕に係るものである。
〔1〕以下の工程(1)〜(4)を含む、被測定検体中のADAsの測定方法。
(1)ADAsの被測定検体を含む試料を準備する工程であって、ADAsの被測定検体に当該医薬品を添加して、医薬品−ADAs免疫複合体が形成された試料を調製することを含む工程
(2)補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固相化した担体に、工程(1)で調製した試料を接触させる工程
(3)工程(2)で作製された固相担体に、前記ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を接触させる工程
(4)補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体を定量する工程
〔2〕工程(1)において添加する医薬品の量は、被測定検体中のADAsに比べて多い〔1〕に記載の方法。
〔3〕(3)工程において、カルシウムイオンの存在下、ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を接触させる、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕医薬品が抗TNFα薬である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕医薬品がインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はセルトリズマブ・ペゴールである〔4〕に記載の方法。
〔6〕医薬品がインフリキシマブ又はアダリムマブである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕工程(3)において用いる医薬品に対する抗体が、標識抗体である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕標識抗体が酵素標識抗体である〔7〕に記載の方法。
〔9〕被測定検体が医薬品を投与された患者から採取された検体である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法を用いてADAsを測定するためのADAsの測定キットであって、
補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固定化した固相担体、及び当該ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を含む、測定キット。
〔11〕医薬品に対する抗体が標識抗体である〔10〕に記載の測定キット。
〔12〕当該医薬品を更に含む、〔11〕の測定キット。
〔13〕試料中のADAsを測定する方法であって、
ADAsの被測定検体に当該医薬品を添加して、医薬品−ADAs免疫複合体が形成された試料を調製する工程と、
前記試料と補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を接触させる工程と、
前記補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体を定量する工程と、
を含む方法。
〔14〕前記〔12〕において、
前記定量工程は、前記医薬品に対する標識抗体を用いる、方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、検体中に存在する医薬品の影響を受けることなく、正確に且つ簡便にADAsを測定することができる。本発明の方法を用いて当該ADAsのモニターを行うことにより、医薬品を用いた分子標的治療などにおける効果減弱発現の有無を確認することができ、より適切な治療が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1-A】抗体医薬品一覧(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 提供資料)。
図1-B】FDAが承認した抗体医薬品以外のバイオ医薬品とそのADAs発現率(Baker et al., Self/Nonself 2010; 1: 314-322, Table 1)。
図2】ATI用量反応曲線(ATI-C1q ELISA)と特異性を示すグラフ。
図3】検体中のATI濃度を示すグラフ。IFX(+):IFX添加、IFX(−+):IFX未添加
図4】ATI用量反応曲線(ATI- Anti C3d MoAb ELISA)と特異性を示すグラフ。
図5】検体中のATI濃度を示すグラフ。IFX(+):IFX添加、IFX(−+):IFX未添加
図6】ATA用量反応曲線(ATA-C1q ELISA)と特異性を示すグラフ。
図7】検体中のATA濃度を示すグラフ;5症例のAdalimumab(ADA)にLORを発現した患者血漿へのADA添加によるATA濃度の上昇。
図8】ADAs-C1q ELISAにおけるカルシウム(Ca)添加の影響を示すグラフ。(a)ICs-C1q ELISA測定系、(b)ATI-C1q ELISA測定系、(c)ATI-C1q ELISA用量反応曲線、(d)ATA-C1q ELISA用量反応曲線
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、単に「医薬品」と云う場合、抗体医薬品を含む遺伝子組換体などのバイオ医薬品を指す。
ここで、「抗体医薬品」とは、疾患関連分子に特異的に結合する人工的に作製された抗体を含む医薬品を意味する。その標的分子は、TNF−α、VEGF、CD20等の細胞表面分子等、様々であり特に限定されないが、TNF−αを標的とするものが適する。TNF−αを標的とする抗体医薬品としては、インフリキシマブ(infliximab)、アダリムマブ(adalimumab)、ゴリムマブ(golimumab)、セルトリズマブ・ペゴール(certolizumab pegol)が知られており、このうちインフリキシマブが好適である。
また、抗体の種類は、マウス抗体、キメラ型抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体の何れであっても良いが、ヒト化抗体又はヒト抗体が好ましい。
【0013】
平成28年4月現在で、日米欧で承認されている抗体医薬品を以下に示す。また、その詳細を図1−Aに示す。また、FDAが承認した抗体医薬品以外のバイオ医薬品については、図1−Bに示す。
ムロモナブ−CD3(muromonab-CD3)、イブリツモマブ・チウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、ヨウ素131トシツモマブ(iodine 131 Tositumoma)、カツマキソマブ(catumaxomab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、アブシキシマブ(abciximab)、リツキシマブ(rituximab)、バシリキシマブ(basiliximab)、インフリキシマブ(infliximab)、セツキシマブ(cetuximab)、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin)、シルツキシマブ(siltuximab)、ジヌツキシマブ(dinutuximab)、オビルトキサキシマブ(obiltoxaximab)、ダクリズマブ(daclizumab)、パリビズマブ(palivizumab)、trastuzumab、ゲムツズマブ・オゾガミック(gemtuzumab ozogamic)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、オマリズマブ(omalizumab)、エファリズマブ(efalizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ナタリズマブ(natalizumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、エクリズマブ(eculizumab)、セルトリズマブ・ペゴール(certolizumab pegol)、モガムリズマブ(mogamulizumab)、ペルツズマブ(pertuzumab)、トラスツズマブ・エムタンシン(trastuzumab emtansine)、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、ベドリズマブ(vedolizumab)、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)、イダルシズマブ(idarucizumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、エロツズマブ(elotuzumab)、ダラツムマブ(daratumumab)、イクセキズマブ(ixekizumab)、レスリズマブ(reslizumab)、アダリムマブ(adalimumab)、パニツムマブ(panitumumab)、ゴリムマブ(golimumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、カナキヌマブ(canakinumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、デノスマブ(denosumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ベリムマブ(belimumab)、ラキシバクマブ(raxibacumab)、ラムシルマブ(ramucirumab)、ニボルマブ(nivolumab)、セクキヌマブ(secukinumab)、エボロクマブ(evolocumab)、アリロクマブ(alirocumab)、ネシツムマブ(necitumumab)。
【0014】
本発明において、「ADAs」は、上記抗体医薬品の何れかもしくは図1−Bに列挙する抗体医薬品以外のバイオ医薬品をヒトに投与した場合に産生される、当該医薬品を認識する抗体を意味する。
尚、本発明において、「抗体医薬品」と云う場合、特定された1つの抗体医薬品を意味し、この場合のADAsは、そのように特定された抗体医薬品に対する抗体を意味する。例えば、「インフリキシマブ(IFX)」と、ADAsとしてのインフリキシマブに対する抗体(抗インフリキシマブ抗体(ATI))が挙げられる。
【0015】
以下、本発明のADAsの測定方法における(1)〜(4)の各工程について説明する。
<工程−(1)>
本工程は、ADAsの被測定検体を含む試料を準備する工程である。
ここで、被測定検体は、ADAsを含む可能性がある検体であり、例えば医薬品を投与された患者から採取された検体である。当該被測定検体としては、好適には、血清又は血漿が挙げられる。
当該検体は、患者から採取された後、本発明の測定に影響を与えない範囲で、適宜、希釈、可溶化、濃縮等の処理がされていてもよい。
【0016】
ADAsは、患者の体内において、医薬品とADAsが結合した医薬品−ADAs免疫複合体として、或いは遊離のADAsとして存在し得る。本発明においては、ADAsの被測定検体に当該医薬品を過剰に添加して、医薬品−ADAs免疫複合体が形成された試料が調製される。これにより、遊離のADAsを含めた総ADAsを測定することが可能となる。
試料の調製は、具体的には、水系溶媒(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン等の蛋白質を適宜添加した酸緩衝液(クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩緩衝液、酢酸緩衝液等、pH約5−9程度)中で、医薬品と検体を混合・攪拌することにより行うことができる。
【0017】
ここで、医薬品の使用量は、検体中に存在する当該医薬品に対するADAsを免疫複合体として回収するために十分な量であればよく、例えば、検体(血清又は血漿)100μLに対して2〜10μg、好ましくは3〜5μgを使用することが挙げられる。
【0018】
また、反応時間は、通常、16〜24時間、好ましくは、18〜20時間である。反応時の温度は、好ましくは、4〜10℃である。
【0019】
<工程−(2)>
本工程は、補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固定化した固相担体に、試料中の医薬品−ADAs免疫複合体を捕捉する工程である。
補体C1q、抗C3d抗体及び抗C1q抗体は、何れもヒト流血中の免疫複合体に結合することが知られている分子である。
補体C1qは、18サブユニット(各6分子ずつのA鎖・B鎖・C鎖)より構成される約462kDaのタンパク質で、補体活性化経路の第1因子C1の主要構成因子であり、抗原抗体複合体を認識する(Sunyer,J.O. and Lambris,J.D.(1999). Complement. Encyclopedia of Life Sciences)。
【0020】
C1qは、例えば、血清又は血漿を透析して得られるC1q粗精製物溶液をIgG固定化不溶性担体に接触させた後、当該不溶性担体に吸着したC1qを分離回収する方法(特開平9−178745)等、公知の方法によって調製することができる。また、市販のC1q(例えば、Sigma社のCat.No.C1740を使用することも可能である。
【0021】
抗C1q抗体は、上記C1qを認識する抗体であり、本発明においてはモノクローナル抗体であるのが好ましい。抗C1qモノクローナル抗体は、例えばAbD Serotec社からMCA2603として販売されている。
【0022】
抗C3d抗体は、補体C3dを認識する抗体であり、本発明においてはモノクローナル抗体であるのが好ましい。抗C3dモノクローナル抗体は、例えばAbD Serotec社からCat.No.MCA2648として販売されている。
【0023】
C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体の担体への固相化は、C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を通常使用される不溶性、不活性の担体上に固定化することにより行われる。
斯かる担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試験管、スティック又は試験片等の形状の不溶性担体を挙げることができる。
【0024】
固相化は、担体にC1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法を用いて結合させることにより達成することができる。例えば、PBS(リン酸緩衝液)のような緩衝液で5〜20μg/mLの濃度に調製したC1q溶液、抗C3d抗体溶液又は抗C1q抗体溶液を担体と接触させ、4〜10℃で、16〜24時間反応させることにより、C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を担体へ固相化することができる。
また、上記反応終了後、通常、担体上の非特異的な結合を抑制するため、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン等の蛋白質やTween20等の界面活性剤を含むブロッキング溶液でブロッキング処理を行うことが好ましい。
【0025】
試料の上記固相担体への接触は、たとえば、4〜10℃で、16〜24時間、反応させることにより行うことができる。
反応終了後は、Tween 20等の界面活性剤を含む緩衝液等を用いて洗浄し、未反応物体が除去される。
【0026】
<工程−(3)>
本工程は、前工程で作製された固相担体に、前記ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体(検出用ADAs)を接触させ、C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体と反応させる工程である。
ここで、ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体としては、医薬品(測定対象であるADAsに対応する医薬品)を認識する抗体であれば、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよく、これらの抗体は、通常の抗体の作成方法により取得することができる。また、抗体としては、IgGだけでなく、抗体の断片(例えば、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント等)を使用してもよい。
【0027】
例えば、ポリクローナル抗体は、医薬品を抗原として哺乳動物を免疫感作し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離・精製することにより得ることができる。例えば、マウス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の哺乳動物を免疫することができる。抗原投与の方法は当業者に公知であり、投与経路も特に限定されず、皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができる。また、必要に応じてアジュバントを使用することもできる。免疫感作した哺乳動物を適当な期間飼育した後、該哺乳動物の血清を耳静脈等から少量サンプリングし、抗体価を測定する。抗体価が上昇してきたら、状況に応じて抗原を投与して追加免疫を行なってもよい。最後の投与から1〜2ケ月後に免疫動物から通常の方法により血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の通常の方法によって分離・精製することにより、ポリクローナル抗血清として、ポリクローナルADAsを得ることができる。
【0028】
また、モノクローナル抗体は、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細胞融合によりハイブリドーマを作製することにより取得することができる。抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、B リンパ球等を使用することができる。
例えば、免疫動物から抗体産生細胞として脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞と公知の方法(G. Kohler e t al., Nature, 256, 495(1975))により融合することにより、ハイブリドーマを作製することができる。細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選抜にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地を常法に従って使用することができる。細胞融合により得られたハイブリドーマは限界希釈法等によりクローニングする。
更に、医薬品を用いた酵素免疫測定法によりスクリーニングを行なうことにより、所望の医薬品を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得ることができる。ハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
【0029】
尚、下記表1に示す抗体医薬品については、当該抗体医薬品に対するモノクローナル抗体がAbD Serotec社(Oxford,UK)から市販されており、本発明においては、当該市販品を用いることもできる。
【0030】
【表1】
【0031】
上記検出用ADAsとして、標識体(標識ADAs)を用いる場合の標識子としては、免疫測定法において慣用の各種酵素類、放射性同位元素類、蛍光物質類等を使用することができるが、酵素類を用いるのが好ましい。ここで、酵素類としては、アルカリホスファターゼ(ALP)、ペルオキシダーゼ(HRP)、β-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、マイクロパーオキシダーゼ、キモトリプシノーゲン、プロカルボキシペプチダーゼ、グリセロアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、アミラーゼ、ホスホリラーゼ、D−ナーゼ、P−ナーゼなどが挙げられる。
また、放射性同位元素類としては、トリチウム、ヨウ素125又はヨウ素131等が挙げられ、蛍光物質類としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)、置換ローダミンイソチオシアネート、ジクロロトリアジンイソチオシアネート、Alexa又はAlexaFluoro等が挙げられる。
これらの標識物質による標識は、公知の方法に従って実施できる。
【0032】
固相担体への標識ADAsの添加は、標識ADAsを、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン等の蛋白質、Tween 20等の界面活性剤を含むバッファー(例えば、Can Get Signal Solution 2(Cat.No.NKB-301,Toyobo)で希釈して加えるのが好ましい。また、ADAsによる免疫複合体中の抗原分子(医薬品)検出感度向上の点から、当該バッファーには、CaCl等のカルシウムイオンを添加することが好ましい。
【0033】
反応(結合)条件は、特に制限はなく、一般にこの種の測定法で用いられる通常の条件が採用される。一般には45℃以下、好ましくは室温で、約1−5時間程度行えばよい。
反応終了後は、Tween 20等の界面活性剤を含む緩衝液等を用いて洗浄し、未反応の標識ADAsが除去される。
【0034】
<工程−(4)>
本工程は、医薬品−ADAs免疫複合体に結合した、医薬品に対する抗体の量を測定することにより、C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体を定量する工程である。
当該医薬品に対する抗体すなわちADAsの量の測定は、公知の免疫学的測定法を用いて行うことができる。免疫学的測定法としては、代表的には酵素免疫測定法(ELISA法)が挙げられるが、この他に以下の測定法を例示できる。
1.化学発光法:MSD:Electrochemiluminescence was measured on the Sector Imager 6000 instrument (Meso Scale Discovery,Rockville, MD, United States).
2.イムノクロマト: HMSA(homogeneous mobility shift assay): Agilent Technologies 1200 series HPLC system (Santa Clara, CA). BioSep SEC-3000 column (Phenomenex, Torrance, CA).
3.BIAcore (Plasmon Resonance): Biacore T100 Immunogenicity Package (GE Healthcare Bio-Sciences GyrosAB, Uppsala Sweden).
4.蛍光法:
4-1 Gyrolab. Fluorescence was measured on the Gyrolab Workstation with the Gyrolab Control software (v5.4.0)(GyrosAB, Uppsala, Sweden).
4-2 AlphaLISA. Fluorescence was measured on the Synergy NEO instrument (Biotek, Luzern, Switzerland).
5.ラジオイムノアッセイ(RIA)
6.イムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)
7.蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA;fluorescence polarization immunoassay)
8.免疫比濁法(イムノネフェロメトリー)
9.ラテックス凝集比濁法
10.ラテックス凝集抑制イムノアッセイ
11.時間分解蛍光イムノアッセイ(TR-FIA;time-resolved fluorescence immunoassay)
【0035】
例えば、医薬品に対する抗体として標識抗体を用いる場合は、標識体の量が測定され、標識体の測定は、標識に応じた方法、すなわち、酵素標識であれば酵素活性、放射性標識であれば放射活性、蛍光標識であれば蛍光強度を測定することにより行われる。
例えば標識酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合は、基質としてTMB(3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン)を用いて、またアルカリホスファターゼを用いる場合は、基質としてp-ニトロフェニルホスフェートを用い、各基質の分解を、分光光度計等を用いて測定することができる。
【0036】
検体中のADAsの量は、標準試料において形成された医薬品−ADAs免疫複合体の測定値を基に作成された検量線に基づき、試料中に含まれる医薬品−ADAs免疫複合体の定量値から計算される。
本発明の方法によれば、検体中に存在する、医薬品と結合した状態のADAs及び/又は医薬品と結合していない遊離のADAsの何れも測定することができる。
【0037】
本発明のキットは、少なくともC1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固定化した固相担体、及び当該医薬品に対する標識抗体を含むADAsの測定キットである。当該キットは、好適には上述したADAsの測定方法を行うためのキットであり得る。
本発明のキットには、さらに本発明の医薬品を含むことができ、必要に応じて、さらに標識物質を検出するための基質他、測定の実施に必要な試薬類、希釈液、緩衝液、洗浄液などが含まれていてもよい。
【0038】
以上のとおり、本発明は、試料中のADAsを、医薬品−ADAs免疫複合体として補足し、検出用のADAsを用いて目的の患者由来のADAsを定量することを測定原理とする。以下の実施例では、補体C1q又は抗C3d抗体を固相化して医薬品−ADAs免疫複合体を補足し、ELISA法よってADAsを定量することを示すが、C1qもしくは同等の免疫複合体を補足する能力を有する遺伝子組み換え体、補体受容体やモノクローナル抗体などを用いることも可能である。また、免疫学的測定法は、ELISA法の他に上述した多岐にわたる免疫測定法、自動分析装置などが使用可能であり、本発明は当該実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
実施例1 インフリキシマブ(IFX)に対する抗体(ATI)の測定<1>
<試薬の調製>
1)PBS(Phosphate buffered saline、リン酸緩衝生理食塩水);
・PBS(-):NaCl 137mmol/l, KCl 2.68mmol/l, KHPO4 2mmol/l, NaH2PO4・12H2O 10mmol/l, pH.7.4
・PBS(+):PBS(-)にCaCl2を0.9mM, MgCl212H2Oを0.33mM加えて調製した。
2)blocking buffer;
PBS(-)に0.5% boiled(5分間煮沸) Casein(Cat.No.C7078, Sigma), 1% Tween20および 0.01% Thimerosalを添加した。
【0040】
1.固相化C1q プレートの作製
(1)96 ウエル ELISA用プレート(MaxisorpF8 x12 ,Cat.No.468667,Nunc)にPBS(-)で10μg/mLの濃度に調製したC1q(Cat.No.C1740, Sigma)を100μLずつ各ウエルに分注し、4℃で一晩静置した。
(2)プレートのC1q溶液を捨て、300μL の0.5%Tween20を含むPBS(-)で、各ウエルを1回洗浄した。
(3)洗浄後、300μLのblocking bufferを加え、室温で1時間反応させる。反応後、液を捨て2時間風乾させて固相化C1qプレートとした。
【0041】
2.試料の調製
(1)標準試料の調製
1)抗ヒトIgG抗体を抗IFX抗体(ATI)標準試料として代用した。
ウサギ 抗ヒト IgG (H+L) 抗体(Cat.No.ab7155, abcam)を0.1%BSA(Cat.No.A-3803,Sigma)を含有するPBS(+)により5μg/mLの濃度に調製し、さらに0.1%BSA 含有PBS(+)で段階希釈して0.078、0.156、0.312、0.625、1.25、2.5μg/mLの濃度の標準物質を作製した。
2)各濃度の標準物質を200μLずつマイクロチューブに入れ、さらに0.1%BSA 含有PBS(+)で希釈したIFX (62.5μg/mL;田辺三菱製薬)を50μLずつ添加して混和後、4℃で一晩反応させ標準物質(IFX- ATI免疫複合体)とした。
【0042】
(2)IFX溶液の調製
1mg/mLで凍結保存しているIFXを溶解し、0.1%BSA 含有PBS(+)で段階希釈して12.5、25、50、100μg/mLの濃度のIFX溶液を作製した。
【0043】
(3)凝集ヒトIgG溶液(HAG-IgG)の調製
ヒトIgG 5mg/mL(I4506、Sigma)を63℃で20分間加温し、10000xgで5分間遠心した上清をとり、凝集ヒトIgGを作製した。この凝集ヒトIgGを0.1%含有PBS(+)で10μg/mLに希釈し、さらに段階希釈して1.25、2.5、5.0、10μg/mLの濃度の凝集ヒトIgG溶液を作製した。
【0044】
3.免疫学的測定(ATI-C1q ELISA)
(1)固相化C1qプレートのウエルに上記2(1)で調製した標準物質、上記2(2)で調製したIFX溶液、上記2(3)で調製した凝集ヒトIgG溶液をそれぞれ100μLずつ分注し、室温で1時間、プレートミキサーにて撹拌しながら反応させた。
(2)次に反応液を捨て、300μL の0.5%Tween 20(Cat.No. 1706531, BioRad)含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(3)HRP標識Human 抗IFX モノクローナル抗体(Cat.No.HCA216P,AbD Serotec)をCan Get Signal Solution 2(Cat.No.NKB-301,Toyobo)で1000倍希釈して100μLずつ各ウエルに加え、室温で1時間、プレートミキサーで撹拌しながら反応させた。
(4)反応後、液を捨て、300μL の0.5%Tween 20含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(5)TMB Blue基質液(Cat.No.S1601,Dako)を100μLずつ加え、撹拌し遮光して室温で30分間静置した。
(6)発色後、1N-H2SO4を50μLずつ各ウエルに加えて反応を停止させ、プレートリーダー(96穴プレート用吸光度計)で450nm/650nmの波長で吸光度を測定した。
(7)標準試料の検量線(用量反応曲線)を作成した。
【0045】
4.結果
ATI 2.5 μg/mLで、吸光度(O.D.)は1.99を示し用量反応曲線はプラトーに達した(図2)。一方、C1qに捕捉される加熱処理して凝集したヒトIgG(HAG-IgG)を10μg/mL、又はIFXを100μg/mLまで添加してもO.D.の明らかな上昇は認められなかった。
よって、当該用量反応曲線(検量線)より、検体の吸光度値から検体中のATI量を特異的に算出することができる。
【0046】
実施例2 患者血漿中の抗インフリキシマブ抗体(ATI)の測定<1>
1.試料の調製
(1)抗体医薬品の効果減弱(LOR)を発現した患者から採取された血漿をPBS(+)で4倍希釈し、その200μLをマイクロチューブに分注し、さらに0.1%BSA 含有PBS(+)で希釈したIFX (62.5μg/mL) を50μL、又は0.1%BSA 含有PBS(+)を50μLずつ添加して混和後、4℃で一晩反応させた(最終希釈倍率は5倍)。
【0047】
(2)5例の健常者の血漿を混和して作製した健常血漿検体を患者検体の調製と同様にPBS(+)で4倍希釈し、その200μLをマイクロチューブに分注し、さらに0.1%BSA 含有PBS(+)で希釈したIFX (62.5μg/mL) を50μL、又は0.1%BSA 含有PBS(+)を50μLずつ添加して混和後、4℃で一晩反応させた(最終希釈倍率は5倍)。
【0048】
2.免疫学的測定
実施例1と同様にして作製した固相化C1qプレートのウエルに、上記1(1)及び(2)で調製した試料を100μLずつ分注し、実施例1の3(免疫学的測定)で示した方法に従って反応させ、図2で示した検量線より、試料中のATI量を測定した。
【0049】
3.結果
患者血漿においてはIFX添加により更にIFX-ATI免疫複合体が形成され測定値は上昇し、希釈率に従い測定値は低下した。一方、健常血清検体ではIFX添加・無添加に関わらず、ATIは検出されなかった(図3)。
これより、IFX添加による本発明の方法によれば、患者の血漿中に含まれるIFXと結合しているATI量及び/又はIFXと非結合のATI量を測定することができる。
【0050】
実施例3 インフリキシマブ(IFX)に対する抗体(ATI)の測定<2>
<試薬の調製>
1)PBS(Phosphate buffered saline、リン酸緩衝生理食塩水);
・PBS(-):NaCl 137mmol/l, KCl 2.68mmol/l, KHPO4 2mmol/l, NaH2PO4・12H2O 10mmol/l, pH.7.4
・PBS(+):PBS(-)にCaCl2を0.9mM, MgCl212H2Oを0.33mM加えて調製した。
2)blocking buffer;
PBS(-)に0.5% boiled(5分間煮沸) Casein(Cat.No.C7078, Sigma), 1% Tween20および 0.01% Thimerosalを添加した。
【0051】
1. 固相化抗Cd3モノクローナル抗体プレートの作製
(1)96 ウエル ELISA用プレート(MaxisorpF8 x12 ,Cat.No.468667,Nunc)にPBS(-)で1μg/mLの濃度に調製した抗Cd3モノクローナル抗体(Anti-C3d MoAb;Cat.No.MCA2648,AbD Serotec)を100μLずつ各ウエルに分注し、4℃で一晩静置した。1回洗浄した。
(2)洗浄後、300μLのblocking bufferを加え、室温で1時間反応させた。反応後、液を捨て2時間風乾させて固相化抗Cd3モノクローナル抗体プレートとした。
【0052】
2.試料の調製
(1)標準物質(IFX-ATI免疫複合体(ATI-IFX/Sera))の調製
1)凍結保存のIFX 100μg/100μL/tubeと ウサギ抗ヒトIgG(H+L) 抗体 (ATIの代用として)100μg/100μLを混ぜ、4℃で18時間反応させた。
2)反応後、62%の健常者プール血清(生食で希釈)を800μL加えて100μg/mLとし、37℃で60分間反応させた。
3)反応終了後、0.1%BSA/0.01% Thimerosal/PBS(+)で20倍希釈して、5μg/mLの濃度にし、ATI標準液とした。500μL/tubeで分注して-80℃にて凍結保存した。
4)凍結保存のATI標準液(5μg/mL)を融解し、その40μLを取り0.1%BSA/0.01% Thimerosal/PBS(+)を960μL加えて200ng/mLを作製し、さらに段階希釈を繰り返して、0, 3.125, 6.25, 12.5, 25, 50, 100, 200ng/mL濃度の標準物質(ATI-IFX/Sera)を作製した。
【0053】
(2)IFX溶液の調製
1mg/mLで凍結保存しているIFXを溶解し、0.1%BSA 含有PBS(+)で段階希釈して0.1、0.5、1、5、10μg/mLの濃度のIFX溶液を作製した。
【0054】
(3)凝集ヒトIgG(HAG-IgG)溶液の調製
ヒトIgG 5mg/mL(I4506、Sigma)を63℃で20分間加温し、10000xgで5分間遠心した上清をとり、凝集ヒトIgGを作製した。この凝集ヒトIgGを0.1%含有PBS(+)で10μg/mLに希釈し、さらに段階希釈して0.1、0.5、1、5、10μg/mLの濃度の凝集ヒトIgG溶液を作製した。
【0055】
3.免疫学的測定(ATI- Anti C3d MoAb ELISA)
(1)固相化抗Cd3モノクローナル抗体プレートのウエルに標準物質を100μL分注し、室温で1時間、プレートミキサーにて撹拌しながら反応させた。
(2)次に反応液を捨て、300μL の0.5%Tween 20(Cat.No. 1706531, BioRad)含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てた。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(3)HRP標識Human 抗IFX モノクローナル抗体(Cat.No.HCA216P,AbD Serotec)をCan Get Signal Solution 2(Cat.No.NKB-301,Toyobo)で1000倍希釈して100μLずつ各ウエルに加え、室温で1時間、プレートミキサーで撹拌しながら反応させた。
(4)反応後、液を捨て、300μL の0.5%Tween 20含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てた。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(5)洗浄後、100μLのTMB Blue基質液(Cat.No.S1601,Dako)を各ウエルに加え、室温で15~30分間、遮光して反応させた。
(6)発色後、50μLの1.0M H2SO4を加えて反応を停止し、プレートリーダー(96穴プレート用吸光度計)で450nm/650nmの2波長で吸光度を測定した。
(7)標準物質の検量線(用量反応曲線)を作成した。
【0056】
4.結果
ATI 200ng/mLで吸光度(O.D.)は2.1と最大値となる用量反応曲線を示した。一方、C3dが結合する加熱処理して凝集したヒトIgG(HAG-IgG)を10μg/mLもしくは、IFXを10μg/mLまで添加してもO.D.の明らかな上昇を認めなかった(図4)。
【0057】
実施例4 患者血漿中の抗インフリキシマブ抗体(ATI)の測定<2>
1.試料の調製
IFX維持療法にLORを発現した潰瘍性大腸炎患者の血漿120μLに0.1%BSA/0.01% Thimerosal/PBS(+)を360μL加えて4倍希釈し、その200μLずつ2本のマイクロチューブに分注、さらに0.1%BSA/0.01% Thimerosal/PBS(+)で調製したIFX (125μg/mL) を50μL、又は0.1%BSA/0.01% Thimerosal/PBS(+)を50μL添加して混和し、4℃で一晩反応させた(希釈倍率10〜40倍)。
【0058】
2.免疫学的測定
実施例3と同様にして作製した固相化抗Cd3モノクローナル抗体プレートのウエルに、上記1で調製した試料を100μLずつ分注し、実施例3の3(免疫学的測定)で示した方法に従って反応させ、図4で示した検量線より、試料中のATI量を測定した。
【0059】
3.結果
患者血漿はIFX添加により更にIFX免疫複合体形成が促進され測定値は上昇し、希釈率に従い測定値は低下した(図5)。
【0060】
実施例5 アダリムマブに対する抗体(ATA)の測定<1>
<試薬の調製>
1)PBS(Phosphate buffered saline、リン酸緩衝生理食塩水);
・PBS(-):NaCl 137mmol/l, KCl 2.68mmol/l, KHPO4 2mmol/l, NaH2PO4・12H2O 10mmol/l, pH.7.4
・PBS(+):PBS(-)にCaCl2を0.9mM, MgCl212H2Oを0.33mM加えて調製した。
2)blocking buffer;
PBS(-)に0.5% boiled(5分間煮沸) Casein(Cat.No.C7078, Sigma), 1% Tween20および 0.01% Thimerosalを添加した。
3)Diluent ;
PBS(+)に0.1%BSAと0.01% Thimerosalを添加して調製した。
【0061】
1.固相化C1q プレートの作製
(1)96 ウエル ELISA用プレート(MaxisorpF8 x12 ,Cat.No.468667,Nunc)にPBS(-)で10μg/mLの濃度に調製したC1q(Cat.No.C1740, Sigma)を100μLずつ各ウエルに分注し、4℃で一晩静置した。
(2)プレートのC1q溶液を捨て、300μL の0.5%Tween20を含むPBS(-)で、各ウエルを1回洗浄した。
(3)洗浄後、300μLのblocking bufferを加え、室温で1時間反応させる。反応後、液を捨て2時間風乾させて固相化C1qプレートとした。
【0062】
2.試料の調製
(1)標準試料の調製
1)抗ヒトIgG抗体を抗ADA抗体(ATA)標準試料として代用した。
ウサギ 抗ヒト IgG (H+L) 抗体(Cat.No.ab7155, abcam)をDiluentにより400ng/mLの濃度に調製し、さらにDiluentで段階希釈して6.25, 12.5, 25, 50, 100, 200, 400ng/mLの濃度の標準物質を作製した。
2)各濃度の標準物質を200μLずつマイクロチューブに入れ、さらにDiluentで希釈したAdalimumab (ADA,125μg/mL;エーザイ)を50μLずつ添加して混和後、4℃で一晩反応させ標準物質(ATA-ADA免疫複合体)とした。
(2)Adalimumab溶液及びIFX溶液の調製
1mg/mLで凍結保存しているIFX及びAdalimumabを溶解し、Diluentで段階希釈して1.25, 2.5, 5, 10, 20, 40μg/mLの濃度のIFX溶液とAdalimumab溶液を作製した。
(3)凝集ヒトIgG溶液(HAG-IgG)の調製
ヒトIgG 5mg/mL(I4506、Sigma)を63℃で20分間加温し、10000xgで5分間遠心した上清をとり、凝集ヒトIgGを作製した。この凝集ヒトIgGをDiluentで40μg/mLに希釈し、さらに段階希釈して1.25, 2.5, 5, 10, 20, 40μg/mLの濃度の凝集ヒトIgG溶液を作製した。
【0063】
3.免疫学的測定(ATA-C1q ELISA)
(1)固相化C1qプレートのウエルに上記2(1)で調製した標準物質をそれぞれ100μLずつ分注し、25℃で2時間、プレートミキサーにて撹拌しながら反応させた。
(2)次に反応液を捨て、300μL の0.5%Tween 20(Cat.No. 1706531, BioRad)含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(3)HRP標識Human抗Adalimumab モノクローナル抗体(Cat.No.HCA204P,AbD Serotec)をCanGet Signal Solution 2(Cat.No.NKB-301,Toyobo)で2000倍希釈して100μLずつ各ウエルに加え、室温で1時間、プレートミキサーで撹拌しながら反応させた。
(4)反応後、液を捨て、300μL の0.5%Tween 20含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(5)TMB Blue基質液(Cat.No.S1601,Dako)を100μLずつ加え、撹拌し遮光して室温で30分間静置した。
(6)発色後、1N-H2SO4を50μLずつ各ウエルに加えて反応を停止させ、プレートリーダー(96穴プレート用吸光度計)で450nm/650nmの波長で吸光度を測定した。
(7)標準試料の検量線(用量反応曲線)を作成した。
【0064】
4.結果
ATA 200ng/mLで、吸光度(O.D.)は1.863 を示し用量反応曲線はプラトーに達した(図6)。一方、C1qに捕捉される加熱処理して凝集したヒトIgG(HAG-IgG)を40μg/mL、又はIFXもしくはAdalimumabを40μg/mLまで添加してもO.D.の明らかな上昇は認められなかった。
よって、当該用量反応曲線(検量線)より、検体の吸光度値から検体中のATA量を特異的に算出することができる。
【0065】
実施例6 患者血漿中の抗Adalimumab抗体(ATA)の測定<2>
1.試料の調製
Adalimumab(ADA)維持療法に対しLORを発現した炎症性腸疾患患者(5例)の血漿120μLにDiluentを360μL加えて4倍希釈し、その200μLずつ2本のマイクロチューブに分注、さらにDiluentで調製したAdalimumab (125μg/mL) を50μL、又はDiluentを50μL添加して混和し、4℃で一晩反応させた(最終希釈倍率:5倍)。
【0066】
2.免疫学的測定
実施例5と同様にして作製した固相化C1qプレートのウエルに、上記1で調製した試料を100μLずつ分注し、実施例5の3(免疫学的測定)で示した方法に従って反応させ、図6で示した検量線より、試料中のATA量を測定した。
【0067】
3.結果
5例のADAに対しLORを発現した患者血漿においてはADA添加により更にADA-ATA免疫複合体が形成され、非添加に比べ測定値は有意(P=0.0063)に上昇した(図7)。
これより、Adalimumab添加による本発明の方法によれば、患者の血漿中に含まれるADAと結合しているATA量及び/又はADAと非結合のATA量を測定することができる。
【0068】
実施例7 ADAs-C1q ELISAにおけるカルシウム(Ca)添加の影響
7−1.ADAs-C1q ELISA測定系におけるカルシウム添加の影響
<試薬の調製>
1)PBS(Phosphate buffered saline、リン酸緩衝生理食塩水);
・PBS(-):NaCl 137mmol/l, KCl 2.68mmol/l, KHPO4 2mmol/l, NaH2PO4・12H2O 10mmol/l, pH.7.4
2)blocking buffer;
PBS(-)に0.5% boiled(5分間煮沸) Casein(Cat.No.C7078, Sigma), 1% Tween20および 0.01% Thimerosalを添加した。
3)Diluent ;
PBS(-)に0.1%BSAと0.01% Thimerosalを添加して調製した。
4)CaCl2添加Diluent ;
CaCl2をDiluentに0.3、0.6、0.9mMになるように添加して調製した。
【0069】
1.固相化C1q プレートの作製
(1)96 ウエル ELISA用プレート(MaxisorpF8 x12 ,Cat.No.468667,Nunc)にPBS(-)で10μg/mLの濃度に調製したC1q(Cat.No.C1740, Sigma)を100μLずつ各ウエルに分注し、4℃で一晩静置した。これをATIおよびATA測定用ELISAプレートとした。一方、比較対照としてHeyらの方法(非特許文献5)に従う固相化C1q プレートを用いる免疫複合体の測定には5μg/mLの濃度のC1qを同様に固相化した。
(2)プレートのC1q溶液を捨て、300μL の0.5%Tween20を含むPBS(-)で、各ウエルを1回洗浄した。
(3)洗浄後、300μLのblocking bufferを加え、室温で1時間反応させる。反応後、液を捨て2時間風乾させて固相化C1qプレートとした。
【0070】
2.試料の調製
(1)標準試料の調製
抗ヒトIgG抗体を抗IFX抗体(ATI)標準試料として代用した。
ウサギ 抗ヒト IgG (H+L) 抗体(Cat.No.ab7155, abcam)を50μLとり、IFX(1mg/mL)を100μL加えてさらにPBS(-)を850μL加えて1mLとし、4℃で一晩反応させた。反応後、その5μLずつを各濃度のCaClを添加したDiluentを995μL加えて200倍してATI 500ng/mLの濃度を作製した。
(2)加熱凝集ヒトIgG溶液(HAG-IgG)の調製
ヒトIgG 4mg/mL(I4506、Sigma)を63℃で20分間加温し、10000xgで5分間遠心した上清をとり、凝集ヒトIgGを作製した。この凝集IgGを10μLとり、PBS(-)を990μL加えて40μg/mLの濃度を作製する。これを5μLずつとり、
各濃度のCaCl2添加Diluentを995μL加えて200倍して200ng/mLのHAG-IgGを調製した。
【0071】
3.免疫学的測定
(A)固相化C1q法による免疫複合体(Immune Complexes:ICs)ELISAとCa濃度
(1)固相化C1qプレートのウエルに上記2(2)で調製したHAG-IgG溶液(200ng/mL)それぞれ100μLずつ分注し、25℃で1時間、プレートミキサーにて撹拌しながら反応させた。
(2)次に反応液を捨て、300μL の0.5%Tween 20(Cat.No. 1706531, BioRad)含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(3)HRP標識抗ヒトIgGヤギ抗体(ab81202, abcam)を0.5%Tween 20含有PBS(-)に0.5% Caseinを添加した溶液で16000倍希釈して100μLずつ各ウエルに加え、25℃で1時間、プレートミキサーで撹拌しながら反応させた。
(4)反応後、液を捨て、300μL の0.5%Tween 20含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(5)TMB Blue基質液(Cat.No.S1601,Dako)を100μLずつ加え、撹拌し遮光して室温で30分間静置した。
(6)発色後、1N-H2SO4を50μLずつ各ウエルに加えて反応を停止させ、プレートリーダー(96穴プレート用吸光度計)で450nm/650nmの波長で吸光度を測定した。
【0072】
(B)ATI-C1q ELISAとCa濃度
(1)固相化C1qプレートのウエルに上記2(1)で調製したATI標準物質(500ng/mL)をそれぞれ100μLずつ分注し、25℃で2時間、プレートミキサーにて撹拌しながら反応させた。
(2)次に反応液を捨て、300μL の0.5%Tween 20(Cat.No. 1706531, BioRad)含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(3)HRP標識Human抗Infliximab モノクローナル抗体(Cat.No.HCA216P,AbD Serotec)をCan Get Signal Solution 2(Cat.No.NKB-301,Toyobo)で1000倍希釈して100μLずつ各ウエルに加え、25℃で1時間、プレートミキサーで撹拌しながら反応させた。
(4)反応後、液を捨て、300μL の0.5%Tween 20含有PBS(-)を各ウエル加えた後、液を捨てる。これを4回繰り返してウエルを洗浄した。
(5)TMB Blue基質液(Cat.No.S1601,Dako)を100μLずつ加え、撹拌し遮光して室温で30分間静置した。
(6)発色後、1N-H2SO4を50μLずつ各ウエルに加えて反応を停止させ、プレートリーダー(96穴プレート用吸光度計)で450nm/650nmの波長で吸光度を測定した。
【0073】
4.結果
HAG-IgG 200ng/mLの測定にCaCl2を添加しても、吸光度の上昇はあまり明らかではなかった(図8−A)。一方、標準試料500ng/mLとするATI-C1q ELISAの測定系にCaCl2を添加すると濃度依存的に吸光度が上昇し、0.6mMの濃度でプラトーに達した(図8−B)。よって、ATI-C1q ELISAの測定系にCaCl2を添加することで、測定系の高感度化および安定化が期待された。
【0074】
7−2.ADAs-C1q ELISA用量反応曲線に対するCa添加の影響
<1>ATI-C1q ELISA用量反応曲線とCa添加
1.試料の調製
標準試料の調製
ウサギ 抗ヒト IgG (H+L) 抗体(2mg/mL,Cat.No.ab7155, abcam)を10μLとり、IFX(1mg/mL)を20μL加えてさらにDiluentもしくは0.6mM CaCl2添加Diluentを470μL加えて、2種類のDiluentの溶液を4℃で一晩反応させた。
反応後、500μLの各Diluentを加えて、20μg/mLの濃度を作製し、その100μLをとり、900μLの各Diluentを加えて、2μg/mLの濃度を作製した。これを500μLとり、各Diluentで段階希釈して31.25, 62.5, 125, 250, 500, 1000, 2000ng/mLの濃度の標準物質を作製した。
【0075】
2.免疫学的測定
前述の「7−1」の「1.固相化C1qプレートの作成」と同様に作製した固相化C1qプレートのウエルに、上記1で調製した試料を100μLずつ分注し、実施例7の3(免疫学的測定)で示した方法に従って反応させ、標準試料の吸光度を測定した。
【0076】
3.結果
測定系のDiluentに0.6mM CaCl2の添加によって非添加に比べ、用量反応曲線の吸光度が1.5〜4倍の値を示し、感度が上昇した(図8−C)。
【0077】
<2>ATA-C1q ELISA用量反応曲線とCa添加
1.試料の調製
標準試料の調製
抗ヒトIgG抗体を抗adalimumab抗体(ATA)標準試料として代用した。
ウサギ 抗ヒト IgG (H+L) 抗体(2mg/mL,Cat.No.ab7155, abcam)を10μLとり、adalimumab(1mg/mL)を20μL加えてさらにDiluentもしくは0.6mM CaCl2添加Diluentを470μL加えて、2種類のDiluentの溶液を4℃で一晩反応させた。
反応後、500μLの各Diluentを加えて、20μg/mLの濃度を作製し、その10μLをとり、990μLの各Diluentを加えて、200ng/mLの濃度を作製した。これを500μLとり、各Diluentで段階希釈して1.56, 3.125, 6.25, 12.5, 25, 50, 100ng/mLの濃度の標準物質を作製した。
【0078】
2.免疫学的測定
前述の「7−1」の「1.固相化C1qプレートの作成」と同様に作製した固相化C1qプレートのウエルに、上記1で調製した試料を100μLずつ分注し、実施例5の3(免疫学的測定)で示した方法に従って反応させ、標準試料の吸光度を測定した。
【0079】
3.結果
測定系のDiluentに0.6mM CaCl2の添加によって非添加に比べ、吸光度が2〜4倍の値を示し、感度が上昇した(図8−D)。
【要約】
医薬品による分子標的療法などを受けている患者において出現するADAsを、より簡便に且つ正確に測定する方法の提供。
以下の工程(1)〜(4)を含む、被測定検体中のADAsの測定方法。
(1)ADAs体の被測定検体を含む試料を準備する工程であって、ADAsの被測定検体に当該医薬品を添加して、医薬品−ADAs免疫複合体が形成された試料を調製することを含む工程
(2)補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体を固相化した担体に、工程(1)で調製した試料を接触させる工程
(3)工程(2)で作製された固相担体に、前記ADAsに対応する医薬品に対する標識又は非標識抗体を接触させる工程
(4)補体C1q、抗C3d抗体又は抗C1q抗体に結合した医薬品−ADAs免疫複合体を定量する工程
【選択図】なし
図1-A】
図1-B】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8