特許第6170661号(P6170661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170661汚染地盤の浄化方法及び汚染地盤の浄化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170661
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】汚染地盤の浄化方法及び汚染地盤の浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/00 20060101AFI20170713BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   B09B5/00 S
   C02F1/20 AZAB
   C02F1/20 D
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-220519(P2012-220519)
(22)【出願日】2012年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-73426(P2014-73426A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西川 直仁
(72)【発明者】
【氏名】藤井 治彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋二
(72)【発明者】
【氏名】桐山 久
【審査官】 森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−168751(JP,A)
【文献】 特開平09−094558(JP,A)
【文献】 特開平08−309331(JP,A)
【文献】 特表2006−512203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C 1/00
B09B 1/00− 5/00
C02F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された地盤内に空気を注入して浄化する汚染地盤の浄化方法であって、
前記地盤に設けられると共に、単位時間当たりの空気供給量が互いに異なる複数の配管の何れかから前記空気が供給され、何れかの配管から供給された前記空気を注入可能な空気注入井戸から、
前記空気注入井戸に前記空気を供給する配管を切り替えることにより、前記空気を、時間の経過に伴って前記注入量を切り替えながら途切れることなく、前記地盤に注入することを特徴とする汚染地盤の浄化方法。
【請求項2】
前記空気注入井戸からの前記空気の注入量が最も少ない最少注入量は、前記地盤における地下水圧より高い圧力が維持される前記注入量であることを特徴とする請求項1に記載の汚染地盤の浄化方法。
【請求項3】
前記地盤に複数の前記空気注入井戸が設けられ、
前記複数の前記空気注入井戸には、互いに異なる前記注入量の前記空気を注入する前記空気注入井戸が含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の汚染地盤の浄化方法。
【請求項4】
前記複数の空気注入井戸を、単位時間当りに注入される前記空気の量を異ならせた第1系統と第2系統の2つの系統に分け、
前記第1系統の前記空気注入管には、第1の配管又は該第1の配管より供給空気量が小さい第2の配管から空気を供給し、
前記第2系統の前記空気注入管には、第3の配管又は該第3の配管より供給空気量が小さい第4の配管から空気を供給し、
前記第1の配管及び前記第4の配管を第1の主経路から分岐させ、
前記第2の配管及び前記第3の配管を第2の主経路から分岐させ、
ポンプから送出された前記空気を前記第1の主経路又は前記第2の主経路の何れに供給するかを切り替える切替弁を設け、
前記切替弁を切り替えることにより前記複数の空気注入井戸から注入される前記空気の前記注入量を、互いに同期させて切り替えることを特徴とする請求項3に記載の汚染地盤の浄化方法。
【請求項5】
互いに同期させて切り替えられる前記空気注入井戸からそれぞれ注入される、互いに異なる注入量の組み合わせが複数設定されており、
前記注入量の前記組み合わせを、前記時間の経過に伴って変更することを特徴とする請求項4に記載の汚染地盤の浄化方法。
【請求項6】
汚染された地盤内に空気を注入して浄化する汚染地盤の浄化装置であって、
前記地盤に設けられると共に、単位時間当たりの空気供給量が互いに異なる複数の配管の何れかから前記空気が供給され、何れかの配管から供給された前記空気を注入可能な空気注入井戸と、
一つの前記空気注入井戸に空気を供給する前記複数の配管のうち何れか一の配管に前記空気を送出するポンプと、
前記ポンプから送出された前記空気を供給する前記一の配管を切り替えることにより、前記空気を途切れることなく、かつ、時間の経過に伴って前記注入量を切り替えて前記空気注入井戸に送出する注入量切換装置と、
を有することを特徴とする汚染地盤の浄化装置。
【請求項7】
前記地盤に複数の前記空気注入井戸が設けられ、
前記複数の空気注入井戸は、単位時間当りに注入される前記空気の量を異ならせた第1系統と第2系統の2つの系統に分けられ、
前記第1系統の前記空気注入管には、第1の配管又は該第1の配管より供給空気量が小さい第2の配管から空気が供給され、
前記第2系統の前記空気注入管には、第3の配管又は該第3の配管より供給空気量が小さい第4の配管から空気が供給され、
前記第1の配管及び前記第4の配管は第1の主経路から分岐し、
前記第2の配管及び前記第3の配管は第2の主経路から分岐し、
前記注入量切換装置は、前記ポンプから送出された前記空気を前記第1の主経路又は前記第2の主経路の何れに供給するかを切り替える切替弁を備え、
前記切替弁を切り替えることにより前記複数の空気注入井戸から注入される前記空気の前記注入量を、互いに同期させて切り替えることを特徴とする請求項6に記載の汚染地盤の浄化装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された地盤内に空気を注入して浄化する汚染地盤の浄化方法及びこの汚染地盤の浄化方法に用いられる汚染地盤の浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばベンゼンなど有害物質や油などの揮発性有機物質、シアン化合物などの汚染物質が含まれている地盤を浄化する方法の一つとして、地盤に設置した井戸から空気を送り込む方法(エアスパージング工法)がある。この方法では、送り込んだ空気に汚染物質を揮発させて汚染物質を空気とともに地上に取り出し、地上に設けられた浄化設備により浄化し、あるいは、井戸から地盤内に送り込んだ空気により微生物を活性化し微生物により無害な物質に分解することにより浄化している。このような汚染地盤の浄化方法においては、空気などのガスを連続的に注入するよりも間欠的にガスを注入する方が、ガスの注入開始時及び注入停止時における一時的な地下水面の変動が繰り返し起こされることにより地下水が揺動しガスとの接触率が高まることにより浄化能力が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11―207319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような地下汚染水の浄化方法では、間欠的にガスを注入するので、ガスの注入開始時及び注入停止時に、一時的な地下水面の変動が繰り返し起こされるが、注入されたガスが地上に抜ける際に形成される地盤内の隙間、すなわちガスの抜け道は、ガスの注入が停止される際には、塞がってしまうおそれがある。このため、ガスの注入と停止が繰り返されたとしてもガスの抜け道は広がり難く、地盤の広い領域にガスを供給できないため浄化効率が低いという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い浄化効率が得られる汚染地盤の浄化方法及びこの浄化方法に用いられる汚染地盤の浄化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の地下汚染水の浄化方法は、汚染された地盤内に空気を注入して浄化する汚染地盤の浄化方法であって、前記地盤に設けられると共に、単位時間当たりの空気供給量が互いに異なる複数の配管の何れかから前記空気が供給され、何れかの配管から供給された前記空気を注入可能な空気注入井戸から、前記空気注入井戸に前記空気を供給する配管を切り替えることにより、前記空気を、時間の経過に伴って前記注入量を切り替えながら途切れることなく、前記地盤に注入することを特徴とする汚染地盤の浄化方法である。
【0007】
このような汚染地盤の浄化方法によれば、空気注入井戸からは、空気が途切れることなく注入されるので、たとえ時間の経過に伴って複数種類の注入量の空気が切り替えられて注入されたとしても、空気は常に注入されている状態が維持される。このため、空気の注入量が少なくなるように切り替えられた場合であっても、空気の注入量が多いときに形成された、空気が抜けるための空気道は塞がってしまうおそれがない。したがって、空気の注入が停止されて空気道が塞がってしまうケースに比べて、塞がった空気道を広げる必要がなく、途切れることなく注入される空気によって空気道を徐々に広げていけばよいので、地盤を効率良く浄化することが可能である。
【0008】
かかる汚染地盤の浄化方法であって、前記複数種類の注入量のうち前記注入量が最も少ない最少注入量は、前記地盤における地下水圧より高い圧力が維持される前記注入量であることを特徴とする。
このような汚染地盤の浄化方法によれば、空気注入井戸内が負圧にならないので、空気注入井戸内と地盤と連通する、空気が地盤に注入される部位から空気注入井戸内に砂などが入り込まない。このため、空気注入井戸が砂などの進入によって塞がれることを防止することが可能である。
【0009】
かかる汚染地盤の浄化方法であって、前記地盤に複数の前記空気注入井戸が設けられ、前記複数の前記空気注入井戸には、互いに異なる前記注入量の前記空気を注入する前記空気注入井戸が含まれることを特徴とする。
このような汚染地盤の浄化方法によれば、地盤に設けられた複数の空気注入井戸のうちの少なくとも1本は、他の空気注入井戸と異なる注入量の空気を注入するので、地盤内において空気の注入量が異なる場所を発生させることが可能である。このため、各空気注入井戸から注入される空気の注入量を、時間の経過に伴って切り替えることにより、地盤内において空気が多く注入される部位と少なく注入される部位とが切り替わるので、地盤がより揺動され易い。したがって、地下水もより揺動され、地盤全体で空気と地下水の接触効率が向上されるので効果的な浄化が可能となる。
【0010】
かかる汚染地盤の浄化方法であって、前記複数の空気注入井戸を、単位時間当りに注入される前記空気の量を異ならせた第1系統と第2系統の2つの系統に分け、前記第1系統の前記空気注入管には、第1の配管又は該第1の配管より供給空気量が小さい第2の配管から空気を供給し、前記第2系統の前記空気注入管には、第3の配管又は該第3の配管より供給空気量が小さい第4の配管から空気を供給し、前記第1の配管及び前記第4の配管を第1の主経路から分岐させ、前記第2の配管及び前記第3の配管を第2の主経路から分岐させ、ポンプから送出された前記空気を前記第1の主経路又は前記第2の主経路の何れに供給するかを切り替える切替弁を設け、前記切替弁を切り替えることにより前記複数の空気注入井戸から注入される前記空気の前記注入量を、互いに同期させて切り替えることを特徴とする。
このような汚染地盤の浄化方法によれば、空気の注入量が増大する部位と、低減する部位とが同時に切り替わるので、地盤全体を規則正しく揺動させ、ある種の共振作用を得ることができる。したがって、地下水もより揺動され、地盤全体で空気と地下水の接触効率が向上されるので、より効果的な浄化が可能となる。
【0011】
かかる汚染地盤の浄化方法であって、互いに同期させて切り替えられる前記空気注入井戸からそれぞれ注入される、互いに異なる注入量の組み合わせが複数設定されており、前記注入量の前記組み合わせを、前記時間の経過に伴って変更することを特徴とする。
このような汚染地盤の浄化方法によれば、互いに同期させて切り替えられる空気注入井戸から注入される空気の注入量の組み合わせが時間に伴って変化するので、注入量の組み合わせが一定の場合と異なり、地盤に与える衝撃の大きさが変化するので、地盤がより大きく揺動されやすい。したがって、地下水もより揺動され、地盤全体で空気と地下水の接触効率が向上されるので、さらに効果的な浄化が可能となる。
【0014】
また、汚染された地盤内に空気を注入して浄化する汚染地盤の浄化装置であって、前記地盤に設けられると共に、単位時間当たりの空気供給量が互いに異なる複数の配管の何れかから前記空気が供給され、何れかの配管から供給された前記空気を注入可能な空気注入井戸と、一つの前記空気注入井戸に空気を供給する前記複数の配管のうち何れか一の配管に前記空気を送出するポンプと、前記ポンプから送出された前記空気を供給する前記一の配管を切り替えることにより、前記空気を途切れることなく、かつ、時間の経過に伴って前記注入量を切り替えて前記空気注入井戸に送出する注入量切換装置と、を有することを特徴とする汚染地盤の浄化装置である。
【0015】
このような汚染地盤の浄化装置によれば、空気注入井戸からは、空気が途切れることなく注入されるので、たとえ時間の経過に伴って、注入量切換装置により複数種類の注入量の空気が切り替えられて注入されたとしても、空気は常に注入されている状態が維持される。このため、空気の注入量が少なくなるように切り替えられた場合であっても、空気の注入量が多いときに形成された、空気が抜けるための空気道は塞がってしまうおそれがない。したがって、空気の注入が停止されて空気道が塞がってしまうケースに比べて、塞がった空気道を広げる必要がなく、途切れることなく注入される空気によって空気道を徐々に広げていけばよいので、地盤を効率良く浄化することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い浄化効率が得られる汚染地盤の浄化方法及びこの浄化方法に用いられる汚染地盤の浄化装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る汚染地盤の浄化装置を示す地盤の縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る汚染地盤の浄化装置を示す平面図である。
図3】注入量の切替制御の一例を示すタイミングチャートである。
図4】空気注入井戸により空気が注入される範囲を示すモデル図である。
図5図5(a)は、本発明の一実施形態に係る汚染地盤の浄化装置を示す平面図であり、図5(b)は、汚染地盤の浄化装置における第1系統の空気注入井戸と第2系統の空気注入井戸の配置の第1変形例を示す平面図であり、図5(c)は、汚染地盤の浄化装置における第1系統の空気注入井戸と第2系統の空気注入井戸の配置の第2変形例を示す平面図である。
図6】空気を間欠的に注入したときと異なる空気量を切り替えて注入したときの浄化効果の違いを示すグラフである。
図7】注入量の切替制御の変形例を示すタイミングチャートである。
図8】汚染地盤の浄化装置の変形例を示す地盤の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る汚染地盤の浄化装置を示す地盤の縦断面図である。
本実施形態の汚染地盤の浄化装置1は、図1に示すように、地盤2の、汚染されて浄化の対象となる領域を、汚染拡散防止壁をなす鋼矢板3にて取り囲まれた状態で設置されている。
【0019】
汚染地盤の浄化装置1は、鋼矢板3にて囲まれた領域内に設けられ地盤2に空気を注入する複数の空気注入井戸10と、空気注入井戸10に空気を送り込むポンプとしてのコンプレッサー11と、空気注入井戸10とコンプレッサー11との間に設けられた注入量切換装置20と、地盤2内を通過した空気を吸引するための吸引管12と、吸引管12と繋がれた空気吸引装置13と、空気吸引装置13により吸引管12から吸引された空気を浄化する浄化装置14と、を有している。
【0020】
空気注入井戸10は、鋼矢板3にて囲まれた領域、すなわち浄化の対象となる領域(以下、浄化領域Sという)内の地表面2aを覆うように施されたアスファルト舗装7を貫通し、鉛直に設けられた塩化ビニル製の管である。空気注入井戸10の下端部側には管の内外を連通する開口(不図示)と、開口を覆い通気性を有するスクリーン(不図示)とが設けられている。この空気注入井戸10の開口からは、コンプレッサー11により空気注入井戸10に送り込まれた空気がスクリーンを介して地盤2に注入される。
【0021】
吸引管12は、地下水層5より上の地層(以下、表層という)6内に埋設された塩化ビニル製の管である。吸引管12の表面には多数の開口(不図示)またはスリットが設けられており、開口またはスリットには、空気注入井戸10と同様にスクリーン(不図示)が設けられている。吸引管12は、浄化領域S内における表層6内に、梯子状または格子状に繋がれており、所定箇所に連結管15が接続されている。連結管15は、アスファルト舗装7より上の空間に引き出されて空気吸引装置13に接続されている。
【0022】
空気吸引装置13は、浄化装置14に繋がれており、空気吸引装置13により吸引管12から吸引された、アスファルト舗装7より下側の空気が浄化装置14に送り込まれる。吸引管12から吸引されて浄化装置14にて浄化された空気は、浄化装置14から外部に排出される。
【0023】
本実施形態の汚染地盤の浄化装置1では、浄化領域Sに設けられた複数の空気注入井戸10が、単位時間当たりに注入される空気の注入量(以下、単に注入量という)を互いに異ならせた2つの系統に分けられている。これら2つの系統の空気注入井戸10は、コンプレッサー11との間に設けられた注入量切換装置20により、予め設定された空気の注入量に、2系統の空気注入井戸10間にて切り替えられるように構成されている。
【0024】
図2は、注入量切換装置を示す概念図である。
注入量切換装置20には、図2に示すように、コンプレッサー11から送出される空気が送り込まれる1本の注入管16と、2つの系統(第1系統、第2系統)の空気注入井戸10にそれぞれ空気を送出する2本の送出管17a、17bとが接続されている。注入管16には、コンプレッサー11から送出される空気の総注入量を変えることなく、2つの経路(A経路21aとB経路21b)に送出することが可能な第1分岐管21が接続されている。また、第1分岐管21には、A経路21aとB経路21bとのいずれか一方のみに空気を送るために、時間の経過に伴って経路を切り替える制御部を備えた切替弁22が設けられている。
【0025】
第1分岐管21にて分岐されたA経路21aとB経路21bの先には、第2分岐管23がそれぞれ接続されている。2つの第2分岐管23は、いずれも第1系統の送出管17aと第2系統の送出管17bとにそれぞれ接続され、第1系統の送出管17aと第2系統の送出管17bとに供給される空気の量が互いに異なるように設定されている。また、第1分岐管21のA経路21aから第1系統の送出管17aに供給される空気の量とB経路21bから第1系統の送出管17aに供給される空気の量とが互いに異なるように、また、A経路21aから第2系統の送出管17bに供給される空気の量とB経路21bから第2系統の送出管17bに供給される空気の量及とが互いに異なるように形成されている。このため、第1分岐管21の切替弁22にてA経路21aとB経路21bとが切り替えられると、第1系統の送出管17aに供給される空気の量、及び、第2系統の送出管17bに供給される空気の量がいずれも異なる空気の量に切り替えられる。このとき、注入管16から第1分岐管21に供給される空気は、切替弁22により経路が切り替えられるだけなので、第1系統の送出管17a及び第2系統の送出管17bのいずれかを通って空気注入井戸10から地盤2に注入される空気が途切れることはない。
【0026】
図3は、注入量の切替制御の一例を示すタイミングチャートである。
本実施形態の場合には、コンプレッサー11から送出された空気を、注入量切換装置20により2:8の割合に振り分けるとともに所定時間、例えば図3に示すように10分毎に切り替えて2つの系統の空気注入井戸10に空気を送出するように構成されている。すなわち、第2分岐管23は、コンプレッサー11から送出される空気を80%と20%とに分配して第1系統の送出管17a、及び、第2系統の送出管17bに供給する。
【0027】
より具体的には、A経路21aから第1系統の送出管17aに向かう管(A側8割注入管)23aとB経路21bから第2系統の送出管17bに向かう管(B側8割注入管)23dの内径が、A経路21aから第2系統の送出管17bに向かう管(A側2割注入管)23bとB経路21bから第1系統の送出管17aに向かう管(B側2割注入管)23cの内径より大きく形成され、各第2分岐管23にて2:8の割合に振り分けられるように形成されている。そして、A側8割注入管23aとB側2割注入管23cとは、共に第1系統の送出管17aに接続され、A側2割注入管23bとB側8割注入管23dとが第2系統の送出管17bに接続されている。
【0028】
このため、第1分岐管21の切替弁22にてA経路21a側に空気が流れるように切り替えられると、第1系統の空気注入井戸10からは、コンプレッサー11から送出された空気の注入量の80%が注入され、第2系統の空気注入井戸10からは、コンプレッサー11から送出された空気の注入量の20%が注入される。すなわち、切替弁22によりA経路21aとB経路21bとを切り替えることにより、各々の系統の空気注入井戸10から注入される空気の注入量が、互いに同期して切り替えられる。ここで、コンプレッサー11から送出された空気の20%の注入量は、地盤2における地下水圧より高い圧力が維持される注入量となるように設定されており、本実施形態においては、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%が、復種類の注入量のうち注入量が最も少ない最少注入量に相当する。
【0029】
図4は、空気注入井戸により空気が注入される範囲を示すモデル図である。図5(a)は、本発明の一実施形態に係る汚染地盤の浄化装置を示す平面図であり、図5(b)は、汚染地盤の浄化装置における第1系統の空気注入井戸と第2系統の空気注入井戸の配置の第1変形例を示す平面図であり、図5(c)は、汚染地盤の浄化装置における第1系統の空気注入井戸と第2系統の空気注入井戸の配置の第2変形例を示す平面図である。図5(a)〜図5(c)においては、内部の構成を示すため、地表面を覆うアスファルト舗装7及び吸引管12を省略して示している。また、図4図5(a)〜図5(c)においては、○にて第1系統の空気注入井戸10を示し、●にて第2系統の空気注入井戸10を示している。
【0030】
本実施形態においては、空気注入井戸10の配置に際し、予め試験を行うことにより、1本の空気注入井戸10にて空気が注入される範囲S1を特定し、たとえば、図4に示すように各々の空気注入井戸10にて空気が注入される範囲S1が重なり合うような、空気注入井戸10同士の間隔を確認している。この確認された間隔に基づいて、図5(a)のように、空気注入井戸10を、鋼矢板3にて囲まれた浄化領域S内に縦横に整列させて配置している。すなわち、第1系統の空気注入井戸10と第2系統の空気注入井戸10とが交互に位置し、同一系統の空気注入井戸10同士が千鳥状に位置するように配置している。このとき、各空気注入井戸10は、各鋼矢板3に対しても、空気が注入される範囲S1が各鋼矢板3まで達するように配置されている。
【0031】
汚染地盤の浄化装置1における第1系統の空気注入井戸10と第2系統の空気注入井戸10の配置については、適宜変更可能であり図5(a)に示す形態の他に、例えば、図5(b)に示すように、第1系統の空気注入井戸10と第2系統の空気注入井戸10とをそれぞれ1列に配置し、第1系統の空気注入井戸10の列と第2系統の空気注入井戸10の列とを交互に配置する形態、あるいは、図5(c)に示すように鋼矢板3にて囲まれた浄化領域S内を2つの領域に分け、一方の領域に第1系統の空気注入井戸10を配置し、他方の領域に第2系統の空気注入井戸10を配置する形態であっても構わない。
【0032】
汚染地盤の浄化装置1は、まず、第1分岐管21の切替弁22が、A経路21aまたはB経路21bのいずれかに空気が送られるように設定された状態にてコンプレッサー11から空気が送出される。たとえば、まず、切替弁22がA経路21a側に空気を送出するように設定された状態でコンプレッサー11が起動されたとする。この場合には、第1系統の空気注入井戸10には、8割注入管23aから空気が送出され、第2系統の空気注入井戸10には2割注入管23bから空気が送出される。すなわち、第1系統の空気注入井戸10からは、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%が注入され、第2系統の空気注入井戸10からはコンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%が注入される。このとき、各空気注入井戸10から注入された空気により、地盤2には空気の注入量に応じた空気が抜ける空気道が形成される。
【0033】
その後、予め設定された所定の時間、すなわち10分が経過すると、B経路21b側に空気を送出するように切替弁22が切り替わる。
【0034】
B経路21b側に空気を送出するように切り替わると、第1系統の空気注入井戸10からは、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%が注入され、第2系統の空気注入井戸10からはコンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%が注入されるように、注入量が急激に切り替わる。そして、第1系統の空気注入井戸10から注入される空気量は、切り替える前の、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%から20%に急激に低減され、第2系統の空気注入井戸10から注入される空気量は、切り替える前の、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%から80%に急激に増大される。
【0035】
この空気量の変化により、第1系統の空気注入井戸10の周りでは、多量の空気により形成されていた多数の空気道が大幅に減少し、第2系統の空気注入井戸10の周りでは、少量の空気により形成されていたわずかな空気道が大幅に増加する。このとき、切替弁22が切り替えられても、第1系統の空気注入井戸10から排出される空気は途切れることなく、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%が注入されているので、その空気が抜けるための空気道は、切替弁22が切り替えられた後も塞がってしまうおそれがない。このとき、コンプレッサー11から送出された空気の20%の注入量は、地盤2における地下水圧より高い圧力が維持される注入量以上となるように設定されているので、地盤2の砂などが空気注入井戸10内に入り込むことはない。
【0036】
また、第2系統の空気注入井戸10の周りでは、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%の空気により形成されていた空気道を広げるように、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%の空気が注入されている。このため、空気の注入が停止されて空気道が塞がってしまうケースに比べて、塞がった空気道を再び広げる必要がなく、途切れることなく注入される空気によって空気道が徐々に浄化領域内に広がっていけばよい。このため、より多くの空気道を形成して、より広い領域に空気が注入される。
【0037】
その後、再び10分が経過すると、A経路21a側に空気を送出するように切替弁22が切り替わる。
【0038】
A経路21a側に空気を送出するように再び切り替わると、第1系統の空気注入井戸10からは、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%が注入され、第2系統の空気注入井戸10からはコンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%が注入されるように、注入量が急激に切り替わる。
【0039】
この空気量の変化により、第1系統の空気注入井戸10の周りでは、空気道が大幅に増加し、より多くの空気道が形成されて、より広い領域に空気が注入され、第2系統の空気注入井戸10の周りでは、コンプレッサー11から送出される空気が抜けるための空気道が確保される。このように、切替弁22を切り替えるごとに、第1系統の空気注入井戸10と第2系統の空気注入井戸10から注入される空気の量が急激に変化して地盤2がより揺動される。これにより、地下水もより揺動されて地盤全体で空気と地下水との接触効率が向上する。
【0040】
本願の発明者は、上記の作用効果を確認するために、従来技術のように、2系統の空気注入井戸10の一方の系統から空気を注入するときには、他方の系統からの空気の注入を停止し、他方の系統から空気を注入するときには、一方の系統からの空気の注入を停止する、所謂間欠的に空気を注入する場合と、本願のように、2系統の空気注入井戸10から、互いに異なる空気量を注入するように切り替えて空気を注入する場合とで、浄化効果の違い、及び、空気注入井戸10の砂詰まりの違いを確認する実験を実施した。以下の実験においては、1:9、2:8、3:7の三種類の空気の割合を一定間隔毎に切替ながら空地の注入を実施した。
【0041】
この実験では、空気の注入方法の違いによる浄化効果の違いを確認するために、空気を間欠的に注入したときと、異なる空気量を切り替えて注入したときとにおいて、それぞれエアースパージング中に地上で回収したガス中のベンゼン濃度を検知管で測定した。
【0042】
図6は、空気を間欠的に注入したときと異なる空気量を切り替えて注入したときの浄化効果の違いを示すグラフである。
図6に示すように、異なる空気量に切り替えて注入した本願の発明(切替注入)の方が、間欠的に空気を注入する従来の技術(間欠注入)より、ベンゼン濃度の低下速度が大きく、従って、切替注入の方が、ベンゼンの揮発を促進して浄化効果が優れていることが確認された。このため、切替注入の方が、空気の注入が停止されて空気道が塞がってしまう間欠注入に比べて、塞がった空気道を再び広げる必要がなく、途切れることなく注入される空気によって空気道が徐々に浄化領域内に広げられていると考えられる。
【0043】
また、空気の注入方法の違いによる砂詰まり防止効果を確認するために、同じ敷地内の別の浄化工事を、間欠注入と切替注入にて実施し、空気注入井戸10の砂詰まりによる閉塞本数を比較した。
【0044】
表1は、空気を間欠注入したときと切替注入したときの砂詰まり防止効果を示している。
【0045】
表1に示すように、間欠注入では、砂詰まりにより閉塞した空気注入井戸10の発生割合が12.1%であり、異なる空気量に切り替えて注入した本願の発明の切替注入では、砂詰まりにより閉塞した空気注入井戸10の発生割合は0である。すなわち、異なる空気量を切り替えて注入すると砂詰まり防止効果が高いことが確認された。
【0046】
本実施形態の汚染地盤の浄化方法によれば、空気注入井戸10からは、時間の経過に伴って空気の注入量が、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%または20%に切り替えられて注入される。すなわち、空気の注入量が少なくなるように切り替えられた場合であっても、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%以上の空気は常に注入されている状態が維持される。このため、空気の注入量が20%になるように切り替えられた場合であっても、空気の注入量が80%ときに形成された空気道が、少なくとも20%の空気が抜けるための空気道は塞がるおそれがない。したがって、空気の注入が停止されて空気道が塞がってしまうケースに比べて、塞がった空気道を広げる必要がなく、途切れることなく注入される20%の空気によって維持された空気道を、注入量を80%と20%とで切り替えつつ徐々に広げていけばよいので、地盤2を効率良く浄化することが可能である。
【0047】
また、最少注入量である、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の20%を、地盤2における地下水圧より高い圧力が維持される注入量としたので、空気注入井戸10内は負圧にならない。このため、空気注入井戸10内と地盤2と連通する、空気が地盤に注入される開口から砂などが入り込まないので、空気注入井戸10が砂などの進入によって塞がれることを防止することが可能である。
【0048】
また、地盤2に埋設された空気注入井戸10を2系統に分け、2系統の空気注入井戸10から、コンプレッサー11から送出される空気を80%と20%とに分配して地盤2に注入するので、地盤2内において空気の注入量が異なる場所を発生させることが可能である。このため、各空気注入井戸10から注入される空気の注入量を、時間の経過に伴って切り替えることにより、地盤2内においてコンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%が注入される場所と20%が注入される場所とが切り替わるので、地盤2がより揺動され易い。よって、空気道をより広い範囲に至らせることが可能である。
【0049】
また、2系統の空気注入井戸10から注入される空気の注入量を、互いに同期して切り替えるので、空気の注入量が、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%の場所と20%の場所とが同時に変化する。このため、地盤2をより揺動させて空気道をより広げて形成することが可能である。
【0050】
そして、互いに同期して注入量が切り替えられる空気注入井戸10から同時に注入される空気の総注入量を、予め設定され地盤2の浄化に必要な空気の注入量としたので、地盤2内に注入する空気の注入量を、場所により異ならせて増減させつつも、浄化に必要な量の空気を地盤2に注入することが可能である。
【0051】
また、空気注入井戸10から同時に注入される空気の総注入量をコンプレッサー11による最大注入量としたので、コンプレッサー11をより効率良く使用して地盤2を浄化することが可能である。
【0052】
本実施形態の汚染地盤の浄化装置1によれば、コンプレッサー11と空気注入井戸10との間に注入量切換装置20を備え、コンプレッサー11から送出される空気を、注入量切換装置20が備える第1分岐管21の切替弁22を切り替えることにより2系統の空気注入井戸10から注入される空気の注入量を切り替えることとしたので、簡単な構造にて空気の供給量を急激に切り替えることが可能である。このため、地盤2に衝撃を与えて空気道がより形成されやすい汚染地盤の浄化装置1を安価にて実現することが可能である。
【0053】
上記実施形態においては、互いに同期させて切り替えられる2系統の空気注入井戸10から注入する空気の注入量を、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%と20%として切り替える例について説明したが、空気の注入量の割合は、これに限るものではなく、互いに異なる注入量であれば構わない。ただし、異なる注入量の差が大きい方が、注入量を切り替えた際の地盤2に与える衝撃が大きくなるため、地盤2をより揺動させて空気道をより広げて形成することが可能である。
【0054】
また、2つの系統の空気注入井戸10から注入する空気の注入量は、常に一定の割合を保って切り替えられている必要はなく、2つの系統の空気注入井戸10から注入する、異なる注入量の組み合わせを時間の経過に伴って変更されればよい。
【0055】
図7は、注入量の切替制御の変形例を示すタイミングチャートである。
例えば、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の80%と20%とする第1の組み合わせの他に、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の90%と10%とする第2組み合わせが設定されており、図7に示すように、第1の組み合わせにて10分毎に5回切り替えて50分間注入した後に、第2の組み合わせにて10分毎に5回切り替えて空気を注入してもよい。
【0056】
また、空気注入量の組み合わせは、上記80%と20%、90%と10%のとは異なる複数の組み合わせが設定されており、それら複数の組み合わせを一回毎または複数回毎に周期的またはランダムに、時間の経過に伴って適宜切り替えて空気を注入してもよい。例えば、第3の組み合わせとして、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の70%と30%とする組み合わせが設定されており、第1の組み合わせ、第2の組み合わせ、第3の組み合わせの順にて、または、3種類の組み合わせの順序を入れ替えた順にて繰り返し、あるいは、第1の組み合わせにて複数回切り替え、第2の組み合わせにて複数回切り替え、第3の組み合わせにて複数回切り替える動作を1ユニットとして、このユニットを繰り返し、あるいはユニット内の順序を入れ替えた別のユニットを繰り返してもよい。
【0057】
この場合には、注入量の組み合わせが一定の場合と異なり、地盤2に与える衝撃の大きさが変化するので、地盤2がより大きく揺動されやすくなる。したがって、地下水もより揺動され、地盤全体で空気と地下水の接触効率が向上されるので、さらに効果的な浄化が可能である。このとき、互いに同期させて切り替えて空気注入井戸10から注入する空気の注入量は、コンプレッサー11から送出される空気の総注入量全てを分けるだけでなく、例えば、コンプレッサー11から送出される空気の総注入量一部を、例えば80%と10%とに分けて注入してもよい。
【0058】
また、空気注入井戸10を、互いに異なる2種類の注入量をなる2系統に分ける例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、空気注入井戸10から注入する空気の注入量を、コンプレッサー11から送出される空気の注入量の50%、30%、20%等の3種類以上に分け、各注入量に対応するように3系統以上の空気注入井戸10を備えていてもよく、また、その他の割合や互いに異なる注入量で複数種類に分け、注入量の種類の数に応じて上記2つの系統の場合と同様に、注入量の組み合わせを時間の経過に伴って適宜切り替えて複数系統に空気注入井戸を分けても良い。
【0059】
図8は、汚染地盤の浄化装置の変形例を示す地盤の縦断面図である。
図8に示すように、1系統の送出管17と接続された空気注入井戸10のみを有する構成として、各空気注入井戸10から、時間の経過に伴って切り替えて、注入される空気の注入量を切り替えても構わない。
【0060】
上記実施形態においては、空気注入井戸10に空気を送出するコンプレッサー11を1台としたが、各系統に各々設けて、コンプレッサーにより注入量を適宜切り替えても構わない。
【0061】
上記実施形態においては、互いに異なる2種類の注入量を切り替える時間間隔を10分としたが、これに限るものではない。
【0062】
上記実施形態においては、A側8割注入管23a及びB側8割注入管23dと、A側2割注入管23b及びB側2割注入管23cとの内径を異ならせることにより、各第2分岐管23にて空気を所定の割合で振り分けられるようにしたが、これに限るものではない。例えば、内径の同一の管を用い、一方に絞り加工を施すなどして、各第2分岐管にて空気を所定の割合で振り分けられるようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 汚染地盤の浄化装置、2 地盤、2a 地表面、3 鋼矢板、4 不透水層、
5 地下水層、6 表層、7 アスファルト舗装、10 空気注入井戸、
11 コンプレッサー、12 吸引管、13 空気吸引装置、14 浄化装置、
15 連結管、16 注入管、17 送出管、17a 第1系統の送出管、
17b 第2系統の送出管、20 注入量切換装置、21 第1分岐管、
21a A経路、21b B経路、22 切替弁、23 第2分岐管、
23a A側8割注入管、23b B側2割注入管、23c A側2割注入管、
23d B側8割注入管、S 浄化領域、S1 空気が注入される範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8