特許第6170663号(P6170663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170663
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】フレキシブルな受信器アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/04 20060101AFI20170713BHJP
   H04L 1/22 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H04B3/04 A
   H04L1/22
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-234609(P2012-234609)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2013-98981(P2013-98981A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2015年7月28日
(31)【優先権主張番号】13/289,791
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597154922
【氏名又は名称】アルテラ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Altera Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウェイキ ディン
(72)【発明者】
【氏名】サージェイ シュマライェフ
(72)【発明者】
【氏名】ペン リー
(72)【発明者】
【氏名】スリラム ナラヤン
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−506030(JP,A)
【文献】 特開平07−086995(JP,A)
【文献】 米国特許第04555788(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0240218(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/04−3/18
H04L 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データリンクのための受信器回路であって、
該受信器回路は、
第1の等化回路網を含む第1の信号経路と、
第2の等化回路網を含む第2の信号経路と、
該第1の信号経路および該第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含み、
該受信器回路は、非選択信号経路に対する電力供給をオフにすることにより、受信されたデータに対する等化が該選択された信号経路を用いて実行されるようにするように構成されている、受信器回路。
【請求項2】
前記第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路を含む、請求項1に記載の受信器回路。
【請求項3】
データリンクのための受信器回路であって、
該受信器回路は、
第1の等化回路網を含む第1の信号経路と、
第2の等化回路網を含む第2の信号経路と、
該第1の信号経路および該第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含み、
該第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路を含み、
第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路と直列な連続時間線形推定回路を含む受信器回路。
【請求項4】
前記第2の信号経路は、少なくとも1つのアナログ等化器回路を含む、請求項1に記載の受信器回路。
【請求項5】
データリンクのための受信器回路であって、
該受信器回路は、
第1の等化回路網を含む第1の信号経路と、
第2の等化回路網を含む第2の信号経路と、
該第1の信号経路および該第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含み、
該第2の信号経路は、少なくとも1つのアナログ等化器回路を含み、
第2の信号経路は、可変連続時間線形推定回路を含む受信器回路。
【請求項6】
前記可変連続時間線形推定回路は、周波数の範囲に対して信号振幅をブーストするように構成されている、請求項5に記載の受信器回路。
【請求項7】
データリンクのための受信器回路であって、
該受信器回路は、
第1の等化回路網を含む第1の信号経路と、
第2の等化回路網を含む第2の信号経路と、
該第1の信号経路および該第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含み、
該第2の信号経路は、少なくとも1つのアナログ等化器回路を含み、
第2の信号経路は、少なくとも1つの可変連続時間線形推定回路を含む連続時間線形推定回路の列を含む受信器回路。
【請求項8】
データリンクのための受信器回路であって、
該受信器回路は、
第1の等化回路網を含む第1の信号経路と、
第2の等化回路網を含む第2の信号経路と、
該第1の信号経路および該第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と、
データ信号を受信し、かつ、第1の信号経路および第2の信号経路にデータ信号を出力するための第1のアナログ等化器回路
含む受信器回路。
【請求項9】
前記データ信号を前記第1のアナログ等化器回路に提供するためのバッファ回路と、
前記経路選択器回路から等化されたデータ信号を受信するためのクロックデータリカバリ回路と
をさらに含む、請求項に記載の受信器回路。
【請求項10】
集積回路であって、
複数の信号経路を含むシリアルデータ受信器であって、各信号経路は、少なくとも1つの等化回路を含む、シリアルデータ受信器と、
複数の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含み、
該シリアルデータ受信器は、非選択信号経路に対する電力供給をオフにすることにより、受信されたデータに対する等化が該選択された信号経路を用いて実行されるようにするように構成されている、集積回路。
【請求項11】
第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路を含み、第2の信号経路は、少なくとも1つのアナログ等化器回路を含む、請求項10に記載の集積回路。
【請求項12】
集積回路であって、
複数の信号経路を含むシリアルデータ受信器であって、各信号経路は、少なくとも1つの等化回路を含む、シリアルデータ受信器と、
該複数の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含み、
第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路を含み、第2の信号経路は、少なくとも1つのアナログ等化器回路を含み、
第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路と直列な連続時間線形推定回路を含む集積回路。
【請求項13】
前記第2の信号経路は、可変連続時間線形推定回路を含む、請求項12に記載の集積回路。
【請求項14】
前記集積回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイを含む、請求項10に記載の集積回路。
【請求項15】
受信器等化のための方法であって、
該方法は、
複数経路の受信器等化器を有する集積回路を受信器等化のための選択された信号経路を使用するように構成することと、
非選択信号経路に対する電力供給をオフにすることと、
該選択された信号経路を用いて受信されたデータに対する等化を実行することと
を含む、方法。
【請求項16】
第1の信号経路は、決定フィードバック等化回路を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の信号経路が選択されなかった場合に、前記決定フィードバック等化回路に対する電力供給をオフにすること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
受信器等化のための方法であって、
該方法は、
複数経路の受信器等化器を有する集積回路を受信器等化のための選択された信号経路を使用するように構成することと、
該選択された信号経路を用いて、受信されたデータに対する等化を実行することと
を含み、
第1の信号経路は、決定フィードバック等化回路を含み、
第2の信号経路は、可変連続時間線形推定回路を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、データ通信に関する。より具体的には、本発明は、高速データリンクのための回路網に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術の説明)
高速データリンクは、システム内のデバイス間で通信するために用いられる。シリアルインターフェースプロトコルは、そのような高速リンクのために一層高速化するデータレートにおいて開発された。シリアルインターフェースのための業界標準のプロトコルの例は、PCI Express(R)(Peripheral Component Interconnect Express)、XAUI(X Attachment Unit Interface)、sRIO(serial Rapid IO)等を含む。
【0003】
高速データリンクの動作速度が、毎秒数十ギガビット(Gbps)の速度まで増加するのに伴い、先進的な等化スキームが、高周波数信号損失を補償するために、より必要になってきた。不都合にも、等化回路は、複雑な等化技術を実装するように設計され得、そのような回路網は、典型的には、大量の電力を消費し、概して、様々な異なるタイプのアプリケーションの要求を満たすという観点において、フレキシブルではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
一実施形態は、データリンクのための受信器回路網に関する。受信器回路網は、少なくとも第1の信号経路と、第2の信号経路と、経路選択器回路とを含む。第1の信号経路は、第1の等化回路網を含み、第2の信号経路は、第2の等化回路網を含む。経路選択器回路は、第1の信号経路および第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成される。
【0005】
別の実施形態は、少なくとも1つのシリアルデータ受信器および経路選択器回路を含む集積回路に関する。シリアルデータ回路は、複数の信号経路を含み、各信号経路は、少なくとも1つの等化回路を含む。経路選択器回路は、複数の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成される。
【0006】
別の実施形態は、受信器等化のための方法に関する。集積回路は、受信器等化のために複数の信号経路のうちの選択された信号経路を用いるように構成されている。等化は、非選択信号経路に対する電力供給をオフにしている間に、選択された信号経路を用いる受信器データに対して実行され得る。
【0007】
また、その他の実施形態および特徴も、開示される。
【0008】
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
データリンクのための受信器回路であって、
該受信器回路は、
第1の等化回路網を含む第1の信号経路と、
第2の等化回路網を含む第2の信号経路と、
該第1の信号経路および該第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含む、受信器回路。
(項目2)
上記第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路を含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目3)
上記第1の信号経路は、上記決定フィードバック等化器回路と直列な連続時間線形推定回路を含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目4)
上記第2の信号経路は、少なくとも1つのアナログ等化器回路を含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目5)
上記第2の信号経路は、可変連続時間線形推定回路を含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目6)
上記可変連続時間線形推定回路は、周波数の範囲に対して信号振幅をブーストするように構成されている、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目7)
上記第2の信号経路は、少なくとも1つの可変連続時間線形推定回路を含む連続時間線形推定回路の列を含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目8)
上記受信器回路は、非選択信号経路に対する電力供給をオフにするように構成されている、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目9)
データ信号を受信し、かつ、上記第1の信号経路および上記第2の信号経路に上記データ信号を出力するための第1のアナログ等化器回路をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目10)
上記データ信号を上記第1のアナログ等化器回路に提供するためのバッファ回路と、
上記経路選択器回路から等化されたデータ信号を受信するためのクロックデータリカバリ回路と
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の受信器回路。
(項目11)
集積回路であって、
複数の信号経路を含むシリアルデータ受信器であって、各信号経路は、少なくとも1つの等化回路を含む、シリアルデータ受信器と、
上記複数の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成された経路選択器回路と
を含む、集積回路。
(項目12)
第1の信号経路は、決定フィードバック等化器回路を含み、第2の信号経路は、少なくとも1つの等化器回路を含む、上記項目のいずれかに記載の集積回路。
(項目13)
上記第1の信号経路は、上記決定フィードバック等化器回路と直列な連続時間線形推定回路を含む、上記項目のいずれかに記載の集積回路。
(項目14)
上記第2の信号経路は、可変連続時間線形推定回路を含む、上記項目のいずれかに記載の集積回路。
(項目15)
上記シリアルデータ受信器は、非選択信号経路に対する電力供給をオフにするように構成されている、上記項目のいずれかに記載の集積回路。
(項目16)
上記集積回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイを含む、上記項目のいずれかに記載の集積回路。
(項目17)
受信器等化のための方法であって、
該方法は、
複数経路の受信器等化器を有する集積回路を受信器等化のための選択された信号経路を使用するように構成することと、
該選択された信号経路を用いて受信されたデータに対する等化を実行することと
を含む、方法。
(項目18)
第1の信号経路は、決定フィードバック等化回路を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
上記第1の信号経路が選択されなかった場合に、上記決定フィードバック等化回路に対する電力供給をオフにすること
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
第2の信号経路は、可変連続時間線形推定回路を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0009】
(摘要)
一実施形態は、データリンクのための受信器回路に関する。受信器回路は、少なくとも第1の信号経路と、第2の信号経路と、経路選択器回路とを含む。第1の信号経路は、第1の等化回路網を含み、第2の信号経路は、第2の等化回路網を含む。経路選択器回路は、第1の信号経路および第2の信号経路のうちの1つの信号経路を選択するように構成されている。また、その他の実施形態および特徴も、開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態にしたがう、通信リンクのハイレベルダイアグラムである。
図2図2は、本発明の実施形態にしたがう、受信器等化器回路を図示している。
図3図3は、本発明の実施形態にしたがう、連続時間線形推定(CTLE)回路を図示している。
図4図4は、本発明の実施形態にしたがう、可変CTLE回路を図示している。
図5図5は、本発明の実施形態にしたがう、経路選択器回路を図示している。
図6図6は、本発明の実施形態にしたがう。シリアルデータ信号を受信するための方法のフローチャートである。
図7図7は、本発明の局面を含み得るフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の単純化された部分ブロックダイアグラムである。
図8図8は、本発明の技術を採用し得る例示的なデジタルシステムのブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
本発明は、上述した問題を克服する革新的な受信器アーキテクチャを提供する。この受信器アーキテクチャは、異なるタイプのアプリケーションと共にフレキシブルに用いられ得る等化回路網のフレキシブルな使用を可能にする。
【0012】
図1は、本発明の実施形態にしたがう、通信リンクのハイレベルダイアグラムである。図1に示されているように、通信リンクは、概して、送信器(TX)120、受信器(RX)140、送信器と受信器との間に配置された通信チャネル(CH)130から構成される。
【0013】
TX120は、パラレル入力シリアル出力(PISO)回路122を含み得る。PISO(シリアライザ)回路122は、パラレルデータ信号を受信し、かつ、それをシリアルデータ信号に変換するように構成されている。例えば、送信器120は、集積回路の一部分であり得、パラレルデータ信号は、集積回路内の通信プロトコルモジュールによって提供され得る。
【0014】
シリアルデータ信号は、送信器等化器(TX EQ)回路124により調整され得る。一実施形態において、TX EQ回路124は、チャネル130内の信号の歪みを補償するために、送信信号を事前変形する有限インパルス応答(FIR)等化を実装し得る。クロック生成器(CLK)回路121は、PISO122回路およびTX EQ124回路にクロック信号を提供するように、位相ロックループ回路を利用し得る。TX EQ124回路からの出力は、ドライバ回路126に提供され得る。ドライバ回路126は、チャネル130を介してシリアルデータ信号を送信するように構成され得る。
【0015】
チャネル130は、送信器120から受信器140にシリアルデータ信号を通信する。チャネル130は、シリアルデータ信号を通信するために複数レーンを用い得る。
【0016】
受信器140は、複数レーンのチャネルからバッファ回路142に送信されたシリアルデータ信号を受信するように構成され得る。バッファ回路142は、受信されたシリアルデータ信号を受信器等化(RX EQ)回路144に出力し得る。本明細書中にさらに記載されているように、RX EQ回路144は、チャネル内の高周波数信号損失を補償するように、1つ以上の等化を実行するように構成され得る。RX EQ回路144は、クロックデータリカバリ(CDR)回路145およびラッチ回路146のデータ入力の両方に「等化された」シリアルデータ信号を出力し得る。
【0017】
CDR回路145は、シリアルデータ信号からクロック信号をリカバするためにPLLを用い得る。リカバされたクロック信号は、RX EQ回路144の入力およびラッチ回路146の入力に提供され得る。
【0018】
ラッチ回路146は、「等化された」シリアルデータ信号をそのデータ入力においてRX EQ回路144から受信し、かつ、リカバされたクロック信号をそのクロック入力においてCDR回路145から受信するように構成されている。ラッチ回路146は、再生成されたシリアルデータ信号をシリアル入力パラレル出力(SIPO)回路148に出力する。SIPO(シリアライザ)回路148は、シリアルデータ信号を受信し、かつ、それをパラレルデータ信号に変換するように構成されている。パラレルデータ信号は、受信デバイスのその他の回路網に提供され得る。例えば、受信デバイスは、集積回路であり得、パラレルデータ信号が、集積回路内の通信プロトコルモジュールに提供され得る。
【0019】
図2は、本発明の実施形態にしたがう、受信器等化器(RX EQ)回路144を図示している。示されているように、RX EQ回路144は、RXバッファ回路142からシリアルデータ信号を受信し、そして、シリアルデータ信号に等化を適用した後に、「等化された」シリアルデータ信号をCDR回路145およびラッチ回路146に出力する。
【0020】
RXバッファ回路142からのシリアルデータ信号は、第1の連続時間線形推定(CTLE)回路202によって受信される。第1のCLTE回路202は、初期の概して線形な補償を信号に適用する。第1のCTLE回路202の一実施形態は、図3に関連して以下に記載される。第1のCTLE回路202は、その出力信号を2つの信号経路に提供し得る。
【0021】
第1の信号経路は、図中の下部に示されており、第2のCTLE回路204につながり得る。第2のCTLE回路204は、さらなる概して線形な補償を信号に対して適用する。一実施形態において、第2のCTLE回路204は、また、図3に関連して以下に記載されるように実装され得る。第2のCTLE回路204は、その出力信号を決定フィードバック等化器(DFE)回路206に提供し得る。DFE回路206は、現在のデータビットのロジック状態を決定する目的のために、以前に送信されたデータビットのロジック状態に関するフィードバックを用いる非線形等化回路である。DFE回路206の様々な実施形態が利用され得る。例えば、一実施形態において、DFE回路206は、米国特許7,697,603(2010年4月13日にWang等に付与)に記載されているように実装され得、当該米国特許の開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される。別の実施形態において、DFE回路206は、“A 20Gb/s 40mW Equalizer in 90nm CMOS Technology”、Sameh A.lbrahimおよびBehzad Razavi、Digest of Technical Papers、IEEE International Solid−State Circuits Conference(ISSCC)、February 2010、pp170−171に開示されているものと同様の態様で実装され得る。その他の実施形態において、DFE回路206は、その他の従来の設計を用いて実装され得る。
【0022】
第2の信号経路は、図中の上部に示されており、直列の1つ以上のアナログ等化器回路を含み得る。図2に図示されているように、第2の信号経路は、N個のCTLE回路(208−1から201−N)の列を含み、Nは少なくとも1である。一実施形態において、各CTLE回路208−nは、可変CTLE回路であり得る。可変CTLE回路の一実施形態は、図4に関連して以下に記載される。また、その他の実施形態も、(例えば、図3に示されているように)直列の可変CTLE回路および非可変CTLE回路を含み得る。
【0023】
第1の信号経路のDFE回路206の出力は、経路選択器回路210の入力(1)に提供され得、第2の信号経路の最後のCTLE回路208−Nの出力は、経路選択器回路210の第2の入力(0)に提供され得る。経路選択器回路210は、第1の入力または第2の入力のいずれかから「等化された」シリアルデータ信号を選択するように構成され得る。経路選択器回路210の一実施形態は、図5に関連して以下に記載される。
【0024】
図3は、本発明の実施形態にしたがう、CTLE回路300を図示している。図示されているように、CTLE回路300は、2つのドレインレジスタRd1およびRd2、トランジスタM1およびM2、ソースレジスタRs、ソースキャパシタCs、2つのソース電流シンクls1およびls2を含み得る。ドレインレジスタRd1は、トランジスタM1のドレインと電圧源Vddとの間に接続され得、ドレインレジスタRd2は、トランジスタM2のドレインと電圧源Vddとの間に接続され得る。電流シンクls1は、トランジスタM1のソースと接地との間に接続され得、電流シンクls2は、トランジスタM2のソースと接地との間に接続され得る。
【0025】
差動入力信号Vinが、トランジスタM1およびM2のゲートに提供され得、差動出力信号Voutが、2つの出力ノードにおいて生成され、第1の出力ノードは、トランジスタM1のドレインとドレインレジスタRd1との間に存在し、第2の出力ノードは、トランジスタM2のドレインとドレインレジスタRd2との間に存在する。ソースキャパシタCsおよびソースレジスタRsは、2つのトランジスタM1およびM2のソースの間にパラレル様式で接続され得る。ソースキャパシタCsは、共振周波数において生成されるゲインの量を調整するために用いられ得るピーキングキャパシタとして機能する。ソースレジスタRsは、CTLE回路300の低周波数ゲインの量を調整するために用いられ得るソース退化レジスタとして機能する。
【0026】
図4は、本発明の実施形態にしたがう、可変CTLE回路400を図示している。図4の可変CTLE回路400は、図3のCTLE回路300vと類似している。相違は、可変CTLE回路400においては、ソースキャパシタが可変キャパシタCvであり、ソースレジスタが可変レジスタRvであるという点である。可変キャパシタCvおよび可変レジスタRvは、等化目的のために、回路400の周波数およびゲイン特性の調整を可能にする。
【0027】
図5は、本発明の実施形態にしたがう、経路選択器回路210を図示している。図示されているように、経路選択器回路210は、2つのレジスタRd1およびRd2、第1のペアのトランジスタM1およびM2、第2のペアのトランジスタM3およびM4、2つの電流シンクls0、ls1を含み得る。レジスタRd1は、電圧源VddとトランジスタM1のドレインとの間に接続され得、また、電圧源VddとトランジスタM3のドレインとの間に接続され得る。レジスタRd2は、電圧源VddとトランジスタM2のドレインとの間に接続され得、また、電圧源VddとトランジスタM4のドレインとの間に接続され得る。電流シンクls0は、トランジスタM1のソースと接地との間に接続され得、また、トランジスタM2のソースと接地との間に接続され得る。電流シンクls1は、トランジスタM3のソースと接地との間に接続され得、また、トランジスタM4のソースと接地との間に接続され得る。
【0028】
第1の差動入力信号Vin0は、第1のペアのトランジスタM1およびM2のゲートに提供され得、第2の差動入力信号Vin1は、第2のペアのトランジスタM3およびM4のゲートに提供され得る。差動出力信号Voutは、2つの出力ノードにおいて生成される。第1の出力ノードは、レジスタRd1とトランジスタM1のドレインとの間に存在し、また、レジスタRd1とトランジスタM3のドレインとの間に存在する。第2の出力ノードは、レジスタRd2とトランジスタM2のドレインとの間に存在し、また、レジスタRd2とトランジスタM4のドレインとの間に存在する。
【0029】
出力信号Voutを駆動するために、第1の差動入力信号Vin0を選択するために、第1の電流シンクls0がオンにされ、その一方で、第2の電流シンクls1がオフにされる。出力信号Voutを駆動するために、第2の差動入力信号Vin1を選択するために、第2の電流シンクls1がオンにされ、その一方で、第1の電流シンクls0がオフにされる。
【0030】
図6は、本発明の実施形態にしたがう、受信器等化のための方法600のフローチャートである。複数経路の受信器等化器を有する集積回路が、提供される602。図2に関連して上述されたように、一実施形態において、複数経路の受信器は、2つの信号経路を有し得る。その後、集積回路が、受信器等化のために選択された信号経路を利用するように構成(プログラムされ)され得る604。その後、非選択信号経路(単数または複数)に対する電流供給をオフにしている間に、選択された信号経路を用いることにより、受信されたデータに対して等化が実行され得る606。
【0031】
図2に関連して上述された等化回路網200を参照すると、図2の下部の(CTLE204およびDFE206を有する)第1の経路の選択は、シンボル間干渉(ISI)を低減しながらもクロックジッタに対する感応性が低いというDFE回路206の能力に起因して、特定のアプリケーションにおいては有利であり得る。しかしながら、DFE回路206は、概して、動作のために比較的大量の電力を要求する。
【0032】
他方で、図2の上部の(CTLE回路208−1から208−Nの列を有する)第2の経路の選択は、特定のアプリケーションにおいては十分であり得、そして、有利にも第1の経路よりも少量の電力を消費し得る。第1の経路の回路を不活性化する(当該回路に対する電力供給をオフにする)ことにより、より少量の電力消費の消費が達成される。
【0033】
このようにして、本開示は、リンクアプリケーションに依存して有利にも構成され得る受信器等化のためのフレキシブルなアーキテクチャを提供する。例えば、25Gbps〜28Gbpsのバックプレーンアプリケーション等の長距離アプリケーションをサポートするためには、(DFEを含む)第1の経路が選択され得る。
【0034】
他方で、28Gbpsチップ・トゥ・チップアプリケーション等の短距離アプリケーションをサポートするためには、実質的な電力量を節約するために、第2の経路(CTLEの列)が選択され得る。この場合、第2の経路の回路は、ACブーストなしで広帯域幅をサポートするように構成され得る。
【0035】
また、第2の経路は、低速度10〜16Gbpsアプリケーションをサポートするように選択され得る。この場合、第2の経路の回路は、低周波数において信号振幅をブーストする(すなわち、低周波数においてACブーストを提供する)ように構成され得る。
【0036】
図7は、本発明の局面を含み得るフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)10の単純化された部分ブロックダイアグラムである。本発明の実施形態は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)等の多数のタイプの集積回路において用いられ得るということが理解されるべきである。
【0037】
FPGA10は、その「コア」内に、可変長および可変速度の行および列の相互接続コンダクタのネットワークによって相互接続されたプログラマブルロジックアレイブロック(またはLAB)12の2次元アレイを含む。LAB12は、複数の(例えば、10個の)ロジック要素(またはLE)を含む。
【0038】
LEは、ユーザ定義のロジック機能の効率的な実装を提供するプログラマブルロジックブロックである。FPGAは、様々な組み合わせ的機能およびシーケンシャル機能を実装するように構成され得る多数のロジック要素を有する。ロジック要素は、プログラマブル相互接続構造に対するアクセスを有する。プログラマブル相互接続構造は、ほぼ任意の所望の構成においてロジック要素を相互接続するようにプログラムされ得る。
【0039】
また、FPGA10は、アレイ全体にわたって提供される可変サイズのランダムアクセスメモリ(RAM)ブロックを含む分散メモリ構造を含み得る。RAMブロックは、例えば、ブロック14、ブロック16、ブロック18を含む。また、これらのメモリブロックは、シフトレジスタおよびFIFOバッファを含み得る。
【0040】
FPGA10は、例えば、加算または減算特徴を有するマルチプライヤを実装し得るデジタル信号処理(DSP)ブロック20をさらに含み得る。この例においては、チップ周辺に配置される入力/出力要素(IOE)22は、多数のシングルエンドおよび差動の入力/出力標準をサポートする。各IOE22は、FPGA10の外部端子(すなわち、ピン)に結合される。送信器(TX/RX)チャネルアレイは、例えば、各TX/RXチャネル回路30がいくつかのLABに結合されて示されているように配置され得る。TX/RXチャネル回路30は、他の回路網のうちでもとりわけ、本明細書中に記載されているような受信器回路網を含み得る。
【0041】
本明細書中では、FPGA10は、例示目的のみのために記載されており、本発明は、多くの異なるタイプのPLD、FPGA、ASICにおいて実装され得ることが理解されるべきである。
【0042】
また、本発明は、いくつかの構成要素のうちの1つとしてFPGAを有するシステム内に実装され得る。図8は、本発明の技術を具現化し得る例示的なデジタルシステム50のブロックダイアグラムを示している。システム50は、プログラムされたデジタルコンピュータシステム、デジタル信号処理システム、特殊デジタルスイッチングネットワーク、または、その他の処理システムであり得る。さらに、そのようなシステムは、例えば、遠隔通信システム、自動車用システム、制御システム、消費者電子機器、パーソナルコンピュータ、インターネット通信およびネットワーキング等の多種多様なアプリケーションのために設計され得る。さらに、システム50は、単一の基板上、複数の基板上、または、複数のエンクロージャ内に提供され得る。
【0043】
システム50は、1つ以上のバスによって互いに相互接続された、処理ユニット52、メモリユニット54、入力/出力(I/O)ユニット56を含む。この例示的な実施形態にしたがうと、FPGA58は、処理ユニット52内に実現され得る。FPGA58は、システム50内の多くの異なる目的を担い得る。FPGA58は、例えば、処理ユニット52のロジカルなビルディングブロックであり得、その内部動作および外部動作をサポートし得る。FPGA58は、システム動作内のその特定の役割を実行するために必要なロジカル機能を実装するようにプログラムされる。FPGA58は、特別に、接続60を介してメモリ54に結合され得、接続62を介してI/Oユニット56に結合され得る。
【0044】
処理ユニット52は、処理または格納のための適切なシステム構成要素にデータを向け得、メモリ54内に格納されたプログラムを実行し得、I/Oユニット56を介してデータを送受信し得、または、同様の機能を行い得る。処理ユニット52は、コントローラ、ネットワークコントローラ、または、任意のタイプのプロセッサまたはコントローラとしての使用のためにプログラムされた、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、浮動小数点コプロセッサ、グラフィックスコプロセッサ、ハードウェアコントローラ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイであり得る。さらに、多くの実施形態において、これらは、CPUを必要としないことがしばしばある。
【0045】
例えば、CPUの代わりに、1つ以上のFPGA58が、システムのロジカル動作を制御し得る。別の例として、FPGA58は、特定のコンピューティングタスクを扱うために必要に応じて再プログラムされ得る再構成可能プロセッサとして機能する。あるいは、FPGA58は、それ自体が、埋め込まれたマイクロプロセッサを含み得る。メモリユニット54は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、固定またはフレキシブルディスク媒体、フラッシュメモリ、テープ、または、任意のその他の格納手段、あるいは、これらの格納手段の任意の組み合わせであり得る。
【0046】
上述の記載において、多数の特定の詳細が、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために与えられてきた。しかしながら、本発明の例示的な実施形態の上述した説明は、排他的であること、または、開示されたままの形式に本発明を限定することを意図されていない。当業者は、本発明は、1つ以上の特定の詳細なしに実施され得ること、または、その他の方法、構成要素等を用いて実施され得ることを認識し得る。
【0047】
その他の場合において、周知の構造または動作は、本発明の局面を曖昧にすることを回避するために、示されたり、または、記載されたりしていない。本発明のための特定の実施形態および例は、本明細書中では、例示目的のために記載されているが、当業者であれば認識し得るように、様々な均等な改変が、本発明の範囲内で可能である。これらの改変は、上述した詳細を考慮して、本発明に対してなされ得る。
【符号の説明】
【0048】
50 デジタルシステム
52 処理ユニット
54 メモリユニット
56 入力/出力(I/O)ユニット
58 FPGA
60 接続
62 接続
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8