(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体から開閉体横幅方向へ突出するとともに該開閉体に回転可能に支持されたローラ部材と、前記ローラ部材を開閉体開閉方向へ導くガイドレールと、開閉体開閉方向へわたって前記ガイドレールを支持する支持部材と、不動部位に固定された被係合部と、前記開閉体に一体的に設けられるとともに前記被係合部に対し制動係合部を係脱するように構成された閉鎖防止装置とを備え、前記閉鎖防止装置により前記制動係合部を前記被係合部に係合させて、前記開閉体の閉鎖動作を制動するようにした開閉装置において、
前記開閉体の横幅方向端面に隣接するとともに開閉体開閉方向へ連続する空間を確保し、この空間を、前記開閉体の横幅方向端面と前記ガイドレールと前記支持部材とによって開閉体開閉方向へわたって囲むとともに、この空間に、前記被係合部と前記制動係合部との係脱箇所を配置しており、
前記被係合部の開閉体開放方向の端部側に、前記制動係合部を受ける受面と、該受面の開閉体厚さ方向の端部側から開閉体開放方向へ突出する突起とを設け、
前記制動係合部の開閉体閉鎖方向の端部側に、前記被係合部に当接される当接面と、該当接面の開閉体幅方向の端部側から開閉閉鎖方向へ突出する突起とを設け、
前記制動係合部の前記当接面が前記被係合部の前記受面に当接して、前記制動係合部の前記突起の突端が前記被係合部の前記受面よりも開閉体閉鎖方向側に位置するとともに、前記被係合部の前記突起の突端が前記制動係合部の前記当接面よりも開閉体開放方向側に位置するようにしたことを特徴とする開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態の第一の特徴は、仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体から開閉体横幅方向へ突出するとともに該開閉体に回転可能に支持されたローラ部材と、前記ローラ部材を開閉体開閉方向へ導くガイドレールと、開閉体開閉方向へわたって前記ガイドレールを支持する支持部材と、不動部位に固定された被係合部と、前記開閉体に一体的に設けられるとともに前記被係合部に対し制動係合部を係脱するように構成された閉鎖防止装置とを備え、前記閉鎖防止装置により前記制動係合部を前記被係合部に係合させて、前記開閉体の閉鎖動作を制動するようにした開閉装置において、前記開閉体の横幅方向端面に隣接するとともに開閉体開閉方向へ連続する空間を確保し、この空間を、前記開閉体の横幅方向端面と前記ガイドレールと前記支持部材とによって開閉体開閉方向へわたって囲むとともに、この空間に、前記被係合部と前記制動係合部との係脱箇所を配置した。
この特徴によれば、開閉体の横幅方向端面に隣接する空間を、開閉体の横幅方向端面とガイドレールと支持部材とによって囲み、この空間に、被係合部と制動係合部を配置したため、被係合部と制動係合部の間に物等が挟まれたり制動係合部が物等に接触したりするのを阻むことができる上、ガイドレールの開閉体厚さ方向側にカバー部材等が突出することがなく、ガイドレール周りを比較的細くすることができる。
【0011】
第二の特徴としては、前記支持部材は、前記開閉体の横幅方向端面に対向するとともに開閉体厚さ方向の一端側に前記ガイドレールを支持固定する支持片部と、該支持片部における開閉体厚さ方向の他端側から前記開閉体側へ突出するカバー片部とからなる断面L字状に形成され、前記被係合部と前記制動係合部との係脱箇所は、前記開閉体の横幅方向端面と前記ガイドレールと前記支持片部と前記カバー片部とによって囲まれていることを特徴とする。
この特徴によれば、制動係合部と被係合部の係合箇所を、より具体的で簡素な構成によって覆うことができる。
【0012】
第三の特徴としては、前記被係合部は、前記ガイドレール又は前記支持部材から前記空間側へ突出するように設けられ、前記制動係合部は、前記空間内で、前記被係合部に対し開閉体開放方向側から当接可能な位置と、同被係合部に対し開閉体開放方向側から当接不能な位置との間を移動するように設けられていることを特徴とする。
この特徴によれば、制動係合部と被係合部を当接させて開閉体の閉鎖動作をより効果的に制動することができる。
【0013】
第四の特徴としては、前記被係合部と前記制動係合部のうちの少なくとも一方は、その他方に対しフック状に被さって係合するように形成されている。
この特徴によれば、制動係合部が被係合部に当接した際の反動で弾かれて、係合状態が確保されないようなことを軽減することができる。
【0014】
第五の特徴としては、前記閉鎖防止装置は、前記開閉体側に固定された固定部材と、該固定部材に支持されるとともに前記制動係合部を一体的に有する可動部材とを具備し、前記可動部材は、前記被係合部に対し前記制動係合部を係合させることが可能な係合可能位置と、前記被係合部に対し前記制動係合部を係合させることが不能な係合不能位置との間で回動可能であるとともに、開閉体開放方向側から牽引部材により引っ張られることで前記係合不能位置に維持され、前記牽引部材の張力が失われた際に自重によって前記係合可能位置側へ回動するように設けられていることを特徴とする。
この特徴によれば、牽引部材の張力が失われた際に可動部材を自重によって回動させて、制動係合部を被係合部に係合させることができる。
【0015】
ここで、好ましい具体例としては、前記牽引部材は、開閉体厚さ方向の一方側から前記可動部材を斜めに引っ張るように設けられ、前記可動部材は、前記牽引部材の張力が失われた際に自重によって前記一方側から他方側へ回動するように設けられている(
図7〜
図10参照)。
また、他の好ましい具体例としては、前記牽引部材は、開閉体厚さ方向の一方側から前記可動部材を斜めに引っ張るように設けられ、前記可動部材は、前記牽引部材の張力が失われた際に自重によって、前記一方側に対する他方側から前記一方側へ回動するように設けられている(
図15〜
図21参照)。
【0016】
第六の特徴としては、前記開閉体と前記支持部材との間に、前記空間と外部空間とが連通するのを阻む気密手段を設けた。
この特徴によれば、気密手段により開閉体内外の気密性を向上することができるのは勿論のこと、開閉体と支持部材との間に物体等が挿入されて、該物体等が制動係合部や被係合部に接触するようなことを防ぐことができる。
【0017】
第七の特徴としては、前記被係合部と前記制動係合部との係脱箇所を、前記開閉体の厚み内に対応する空間に配置した。
この特徴によれば、制動係合部に物等が接触するのをより効果的に防ぐことができる上、ガイドレール周りをより細身にすることができる。
【0018】
第八の特徴としては、前記被係合部を第一の被係合部とし、不動部位に固定された第二の被係合部と、前記開閉体に一体的に設けられるとともに第二の被係合部に対し施錠係合部を係脱するように構成された施錠機構とを備え、前記施錠機構により前記施錠係合部を第二の被係合部に係合させて、前記開閉体を開放不能に施錠するようにした開閉装置であって、前記空間に、第二の被係合部と前記施錠係合部との係脱箇所を配置した。
この特徴によれば、施錠係合部と第二の被係合部との間に物等が挟まれたり、施錠係合部が物等に接触したりするのを阻むことができる上、施錠係合部と第二の被係合部との係脱箇所を、開閉体の横幅方向端面に隣接する空間に配置しているため、開閉体厚さ方向へ突出する部材等を少なくすることができる。
【0019】
第九の特徴としては、第一の被係合部と第二の被係合部とを共通の部位とし、該部位に対し、前記可動係合部と前記施錠係合部の双方が係脱するようにした。
この特徴によれば、第一の被係合部と第二の被係合部とを共通化して、当該開閉装置の生産性を向上することができる。
【0020】
また、本実施の形態は、上記特徴の一部を構成要件に含まない独立した発明も開示している。すなわち、この発明の一つは、仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体から開閉体横幅方向へ突出するとともに該開閉体に回転可能に支持されたローラ部材と、前記ローラ部材を開閉体開閉方向へ導くガイドレールと、開閉体開閉方向へわたって前記ガイドレールを支持する支持部材と、不動部位に固定された被係合部と、前記開閉体に一体的に設けられるとともに前記被係合部に対し施錠係合部を係脱するように構成された施錠機構とを備え、前記施錠機構により前記施錠係合部を前記被係合部に係合させて、前記開閉体を開放方向及び/又は閉鎖方向へ移動しないように施錠する開閉装置において、前記開閉体の横幅方向端面に隣接するとともに開閉体開閉方向へ連続する空間を確保し、この空間を、前記開閉体の横幅方向端面と前記ガイドレールと前記支持部材とによって開閉体開閉方向へわたって囲むとともに、この空間に、前記被係合部と前記施錠係合部との係脱箇所を配置したことを特徴とする。
この発明によれば、開閉体の横幅方向端面に隣接する空間を、開閉体の横幅方向端面とガイドレールと支持部材とによって囲み、この空間に、被係合部と施錠係合部を配置したため、被係合部と施錠係合部の間に物等が挟まれたり施錠係合部が物等に接触したりするのを阻むことができる上、ガイドレールの開閉体厚さ方向側に突出する部材等を少なくすることができ、ひいては、ガイドレール周りを比較的細くすることができる。
【0021】
なお、本明細書中、「開閉体開閉方向」とは、当該開閉装置により開閉される開口部において、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。また、本明細書中、「開閉体厚さ方向」とは、全閉状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、本明細書中、「開閉体幅方向」又は「開閉体横幅方向」とは、開閉体開閉方向と略直交する方向であって、前記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
【0022】
次に、上記特徴を有する本実施の形態の好ましい具体例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態の開閉装置1は、開閉体10をその開放方向側(図示例によれば上方側)へスライドさせて開放し、更に該開閉体10を前記開放方向と交差する方向(図示例によれば、斜め上方)へスライドさせ収納するようにしたオーバーヘッドドアに適用した一例について説明する。
【0024】
この開閉装置1は、
図1〜
図13に示すように、仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体10と、該開閉体10から開閉体横幅方向へ突出するとともに該開閉体10に回転可能に支持されたローラ部材20と、前記ローラ部材20を開閉体厚さ方向の一方側から転動可能に受けて(
図3参照)開閉方向へ導くガイドレール30と、開閉体開閉方向へわたり連続して前記ガイドレール30を支持する支持部材40と、不動部位(図示例によれば支持部材40)に固定された第一の被係合部51(
図3参照)及び第二の被係合部52(
図11参照)と、開閉体10に一体的に設けられるとともに第一の被係合部51に対し制動係合部62bを係脱するように構成された閉鎖防止装置60と、開閉体10に一体的に設けられるとともに第二の被係合部52に対し施錠係合部71を係脱するように構成された施錠機構70と、閉鎖防止装置60を介して開閉体10を開閉体開放方向側から引張る牽引機構80とを備える。
【0025】
そして、この開閉装置1は、牽引機構80の不具合等に起因して、該牽引機構80の張力が失われて開閉体10が急閉鎖した場合に、閉鎖防止装置60の制動係合部62bを第一の被係合部51に係合させて、開閉体10の閉鎖動作を制動する。
また、この開閉装置1は、開閉体10が所定位置(本実施の形態の一例によれば全開位置と全閉位置)にある際に、施錠機構70の施錠係合部71を第二の被係合部52に係合させて、開閉体10を開放方向及び/又は閉鎖方向へ移動しないように施錠する。
【0026】
そして、この開閉装置1は、開閉体10の幅方向端面に隣接するとともに開閉体開閉方向へ連続する空間Sであって、且つ開閉体10の厚みt内に対応する空間Sを確保し(
図3参照)、この空間Sを、開閉体10の横幅方向端面とガイドレール30と支持部材40とによって開閉体開閉方向へわたり連続して囲むとともに、この空間Sに、第一の被係合部51と制動係合部62bとの係脱箇所を配置し(
図3参照)、さらに、同空間Sに、第二の被係合部52と施錠係合部71との係合箇所も配置している(
図12参照)。
【0027】
開閉体10は、横幅方向に長尺な略矩形状のパネル状部材11を、隣接するパネル状部材11,11間で回動するように開閉方向に複数接続してなる。
この開閉体10は、その横幅方向の両端部の各々に支持されたローラ部材12を介し、ガイドレール30に沿って開閉動作する。
【0028】
ローラ部材20は、開閉体10の横幅方向の端部側に、開閉体開閉方向へわたって所定間隔置きに複数配置され、回転自在に支持されている。
開閉体開閉方向へ並ぶ複数のローラ部材20のうち、最も下側のローラ部材20は、後述する閉鎖防止装置60によって回転自在に支持される。
各ローラ部材20は、開閉体横幅方向へわたる軸部21の先端側に、略ドーナツ状の転動体22を支持してなる。このローラ部材20は、図示例によれば、前記軸部21と前記転動体22とを一体的に回転するように構成しているが、他例としては、軸部21に対し転動体22を回転可能に支持した態様とすることも可能である。
なお、
図3〜
図4によれば、ローラ部材20を閉鎖防止装置60によって支持するようにしているが、
図2に示す上側のローラ部材20のように開閉体10における閉鎖防止装置60以外の部分に設けたり、図示例以外の部分に設けることが可能である。
【0029】
ガイドレール30は、開閉体10の開閉方向へわたる開閉レール部31と、開放した際の開閉体10を開閉方向に交差する方向(図示例によれば斜め上方向)へ収納する収納レール部32と、これら開閉レール部31と収納レール部32を滑らかな湾曲状に接続するコーナーレール部33とから一体に構成され、これらレール部31,33,32が、その延設方向へわたって、ローラ部材20の転動体22を回動可能に覆う断面略凹状(
図3参照)に形成されている。
このガイドレール30の内側における、開閉体厚さ方向の屋外側(
図3の上側)の面は、ローラ部材20の転動体22を転動可能に受ける平坦状の受面30aとなっている。また、同ガイドレール30の内側における、開閉体厚さ方向の屋内側(
図3の下側)の面は、転動体22の外周側を断面略凹曲状に覆って転動体22の脱落を防ぐ凹曲部30bとなっている。
そして、このガイドレール30は、溶接等の固定手段により、後述する支持部材40に固定支持されている。
【0030】
なお、屋内側、屋外側とは説明上分かりやすくするための便宜上の表現であって、屋内側とは、開閉体厚さ方向における、閉鎖防止装置60が開閉体10に固定されている側を意味し、屋外側とは、開閉体厚さ方向における、屋内側とは反対側を意味する。勿論、閉鎖防止装置60を設ける位置は屋内側に限定されるものでなく、開閉装置1の利用目的等によっては部屋や家屋の外側に閉鎖防止装置60を配置してもよいことは当然である。さらには、閉鎖防止装置60を、部屋や家屋に設けるのでなく、例えば単なる通路の仕切りや外部空間における門等の代替のように、部屋等の概念がない箇所に設けてもよい。
【0031】
支持部材40は、当該開閉装置1の設置対象となる建造物や支柱等に対し不動に固定される部材であり、開閉体開閉方向へわたり連続してガイドレール30を支持する。
この支持部材40は、開閉体10の横幅方向端面に対向する開閉体厚さ方向の一端側にガイドレール30を支持固定する平坦面状の支持片部41と、該支持片部41における開閉体厚さ方向の他端側から開閉体10側(
図3によれば右方向側)へ突出する平坦面状のカバー片部42とからなる断面L字状に形成される。
【0032】
前記支持部材40と開閉体10との間には、気密手段90が設けられる。
この気密手段90は、基端側が支持部材40に固定されるとともに、自由端部を開閉体10の屋外側の表面に接触させて、支持部材40内の空間Sと外部空間とが連通するのを阻む。
より詳細に説明すれば、この気密手段90は、支持部材40に止着固定された断面略L字状の金属製の固定片91と、該固定片91の開閉体幅方向の突端側に嵌合固定された合成樹脂製の接続部材92と、該接続部材92によって支持された合成樹脂製の弾性気密部材93とから構成される。そして、これら固定片91、接続部材92及び弾性気密部材93は、開閉体開閉方向へ連続している。
この気密手段90によれば、固定片91の撓み方向の弾発力により、弾性気密部材93が開閉体10に押し付けられ、弾性気密部材93は、弾性変形して、開閉体10面との接触面積を増大する。
したがって、開閉体10の横幅方向の端部と支持部材40との間の気密性を向上することができる。
しかも、支持部材40と開閉体10の隙間を塞ぐため、該隙間から空間Sに物等が挿入されるようなことを阻むことができる。
【0033】
また、空間Sは、開閉体10の横幅方向の端部と、ガイドレール30の受面30aを有する部分と、支持部材40とによって四方を囲まれた、開閉体開閉方向へ連続する空間である。この空間Sは、開閉体10の横幅方向の端面に隣接し、且つ、開閉体10の厚みtに対応する範囲に設けられる。より具体的に説明すれば、この空間Sは、開閉体10の屋外側の表面と屋内側の裏面を支持部材40側へ延長した二つの仮想面A1,A2の間に確保される。
【0034】
第一の被係合部51は、制動係合部62bによって係脱される部位であり、詳細に説明すれば、
図5及び
図6に示すように、支持部材40内面に固定されるL字アングル状の固定片部51aと、該固定片部51aに接続されるとともに該固定片部51aよりも開閉体開放方向側へ突出するように設けられた突片部51bとからなり、図示例によれば平面視略凹状に形成される。
この第一の被係合部51は、上下方向に間隔を置いて複数設けられ、そのそれぞれが支持片部41に固定されている。
【0035】
固定片部51aを支持部材40に対し止着する手段は、図示例によれば、リベット止め又はネジ止めとされるが、溶接や嵌合等の他の止着手段とすることも可能である。また、固定片部51aは、不動部位に固定されていればよく、他例としては、固定片部51aを、ガイドレール30や図示しない他の不動部材に固定するようにしてもよい。
【0036】
突片部51bは、開閉体厚さ方向に(
図6によれば固定片部51aと)略平行に配置されるとともに屋外側へ延設された板状の部位であり、その開閉体開放方向側の端部に、後述する制動係合部62bを受ける受面51b1と、該受面51b1から開閉体開放方向へ突出する突起51b2とを有し、略フック状に形成される。そして、この突片部51bは、制動係合部62bが受面51b1に当接した際に、制動係合部62bに対し下方側から突起51b2をフック状に被せるようにして係合する(
図8参照)。
【0037】
また、閉鎖防止装置60は、開閉体10側に固定された固定部材61と、該固定部材61に支持されるとともに制動係合部62bを一体的に有する可動部材62とを具備する(
図3及び
図4参照)。
【0038】
固定部材61は、開閉体10に対し止着され固定された部材であり、開閉体横幅方向へ挿通された筒部61a内に、ローラ部材20の軸部21を回転自在に挿通し支持している。
【0039】
可動部材62は、第一の被係合部51に対し制動係合部62bを係合させることが可能な係合可能位置(
図8及び
図10参照)と、第一の被係合部51に対し制動係合部62bを係合させることが不能な係合不能位置(
図7及び
図9参照)との間で回動可能であるとともに、開閉体開放方向側から牽引機構80の牽引部材83により引っ張られることで前記係合不能位置に維持され、牽引部材83の張力が失われた際に自重によって前記係合可能位置側へ回動するように構成されている。
より詳細に説明すれば、この可動部材62は、開閉体厚さ方向の屋内側へ突出する略凸状の固定部材61に対し嵌り合う略凹状に形成された可動本体部62aと、該可動本体部62aの側面から開閉体横幅方向に沿って前記空間S内へ突出する制動係合部62bとを有する。なお、
図7及び
図8中、符号62dは、可動本体部62aの側部が牽引部材83の張力により撓むのを阻む補強リブである。
【0040】
可動本体部62aは、固定部材61に対し軸部材61bを介して枢支されるとともに、その枢支点を、開閉体厚さ方向の一方(
図9によれば、屋内(右)側)へ偏った位置に配置している。そして、この可動本体部62aには、前記枢支点よりも開閉体厚さ方向の他方側(
図9によれば、屋外(左)側)であって下端寄り部分に、牽引部材83によって牽引される被牽引部62cが突設される。
【0041】
制動係合部62bは、図示例によれば、矩形板状の部材であり、可動本体部62aの側面に溶接等の固定手段によって上下方向向きに固定されている。
この制動係合部62bの下端部には、第一の被係合部51に当接される当接面62b1と、該当接面62b1から下方へ突出する突起62b2とを有し、突端側を略フック状に形成している。そして、この制動係合部62bは、当接面62b1が第一の被係合部51の受面51b1に当接した際に、受面51b1に対し上方側から突起62b2をフック状に被せるようにして係合する(
図7及び
図8参照)。
【0042】
また、第二の被係合部52は、
図11に示すように、空間Sに配置され、不動部位(図示例によればガイドレール30)に固定された横断面L字状の金属製部材である。この第二の被係合部52は、開閉体厚さ方向へ突出する一片部52a2に、後述する施錠機構70の施錠係合部71によって係脱される凹部52a1と、該凹部52a1へ向かって山形状に傾斜する傾斜面52a2とを有する。
凹部52a1は、施錠係合部71の上下幅よりも若干大きい幅の凹状に形成される。また、傾斜面52a2は、開閉体10の開閉動作中の振動によって、施錠係合部71がばたついて不意に前記一片部52a2の上下端部等に係止されてしまうようなことを防ぐ。
この第二の被係合部52は、開閉体10が全閉した際に施錠係合部71に対向する位置と、開閉体10が全開した際に施錠係合部71に対向する位置との二箇所に設けられる(
図13参照)。なお、他例としては、途中開放状態で施錠係合部71に対向する位置に設けることも可能である。さらに、他例としては、
図13中、全開側の第二の被係合部52と、全閉側の第二の被係合部52とのうち、何れか一方を省いたり、開閉装置1の利用目的に応じて個数や位置を変更したりすることが可能である。
【0043】
施錠機構70は、
図11及び
図12に示すように、開閉体厚さ方向へ回動して第二の被係合部52に係脱する施錠係合部71と、各施錠係合部71を回動可能に支持する支持部材72と、施錠係合部71に一端側を接続した紐状部材73と、紐状部材73の他端側に接続された引張操作部74等を具備している。なお、施錠係合部71、支持部材72および紐状部材73等は、開閉体10に対し左右対称に設けられる(
図1参照)。
【0044】
施錠係合部71は、開閉体10の面に沿って開閉体横幅方向へわたる第一片部71aと、該第一片部71aに接続されるとともに開閉体10の幅方向端面に沿って開閉体厚さ方向へわたる第二片部71bと、該第二片部71bに接続されるとともに開閉体横幅方向へ延設される第三片部71cとを具備した平面視略クランク形状を呈する。
第一片部71aの基端側(
図12によれば右端側)は、後述する支持部材72によって回動自在に支持される。
第二片部71bには、開閉体横幅方向へわたる紐状部材73(例えば金属製ワイヤー等)の一端側が止着される。
第三片部71cは、開閉体厚さ方向への回動により、第二の被係合部52に対し凹凸状に係脱するように形成される。
【0045】
支持部材72は、施錠係合部71を回転自在に支持する軸部72aと、該軸部72aを支持するとともに開閉体10面に固定された支持部72bと、該支持部72bに一体に設けられて施錠係合部71の回動を規制する規制部72c、施錠係合部71を第二の被係合部52に対する係合方向へ付勢する付勢部材72dとから構成されている。
【0046】
規制部72cは、軸部72aよりも施錠係合部71の先端側(自由端側)に位置し、施錠係合部71が開閉体10から離れる方向へ回動した際に、その回動量を規制して、施錠係合部71が第二の被係合部52aの上端や下端に係止するのを防いでいる。
すなわち、仮に、規制部72cの無い構成とした場合には、開閉動作時に施錠係合部71が振動によって開閉体厚さ方向へばたつき第二の被係合部52の上端や下端に係止してしまうおそれがある。しかしながら、本実施の形態によれば、規制部72cによって施錠係合部71の回動量(前記ばたつき)を規制しているため、前記のような不具合を防ぐことができる。
【0047】
付勢部材72dは、図示例によれば、軸部72aの周囲に巻かれたねじりコイルバネであり、その一端側を施錠係合部71に止着するとともに他端側を支持部72bに止着している。そして、この付勢部材72dは、施錠係合部71を、第二の被係合部52に対する係合方向へ回動するように付勢している。
なお、この付勢部材72dは、第一片部71aと開閉体10の間に設けられる引張バネ等、他の態様のものに置換することが可能である。
【0048】
また、紐状部材73は、施錠係合部71に止着された一端側に対する他端側を、引張操作部74(
図1参照)に接続している。
この引張操作部74は、紐状部材73を引っ張らない状態と、紐状部材73を引っ張って係止された状態との間で回動するように構成されている。
したがって、引張操作部74によって紐状部材73を引っ張らない状態では、施錠係合部71は、付勢部材72dの付勢力により第二の被係合部52側へ回動する。また、引張操作部74によって紐状部材73を引っ張り係止した場合には、施錠係合部71は、回動して、第二の被係合部52から離脱する。
【0049】
また、牽引機構80は、開閉体10の開放方向側において開閉体幅方向へわたって配設された軸部81と、該軸部81の両端側に支持されたリール部82,82と、各リール部82により巻かれたり繰り出されたりする牽引部材83と、該牽引部材83をリール部82によって巻き取るように軸部81を付勢する牽引源84,84とを備えている(
図1参照)。
【0050】
軸部81は、全閉状態の開閉体10の上方延長線上に位置するように、開閉体幅方向へわたって配設され、その両端側の各々が、不動部位(例えば、当該開閉装置1の設置対象である躯体等)に対し、軸受けブラケット等を介し回動自在に支持されている。
【0051】
各リール部82は、牽引部材83を巻き取ったり繰り出したりすることが可能な略筒状の部材であり、その中心部が軸部81の一端側に固定されている。
【0052】
牽引部材83は、金属製のワイヤーであり、その開閉体開放方向側の端部が前記リール部82の外周面に止着され、その開閉体閉鎖方向側の端部が、閉鎖防止装置60の可動部材62に止着されている。
【0053】
牽引源84は、図示例によれば、一端側を軸部81に止着するとともに他端側を不動部位に止着することで、軸部81を巻き取り回転方向へ付勢するスプリングである。この牽引源84の他例としては、軸部81を錘部材の重量により巻き取り回転方向へ回転させるようにした機構、軸部81を電動モータ等の動力により巻き取り回転方向へ回転させるようにした機構等とすることも可能である。
【0054】
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
初期状態として、施錠機構70の施錠係合部71は、第二の被係合部52に係合していない状態とする。
【0055】
開閉体10の通常の開閉動作および収納動作の際には、閉鎖防止装置60の可動部材62が、自重に対抗して牽引部材83により引っ張られることで、上記係合不能位置(
図7及び
図9参照)に維持される。したがって、開閉体10は、閉鎖防止装置60による制動力を受けることなく開閉動作および収納動作する。
【0056】
牽引部材83の切断や、該牽引部材83を巻き取るリール部82の空回り、該リール部82を巻き取り方向へ付勢する牽引源84の空回り等、牽引機構80側の支障により牽引部材83の張力が低下した場合には、
図8及び
図10に示すように、可動部材62が、自重により、屋内側(図示例によれば反時計方向)へ回動する。
すると、可動部材62の制動係合部62bが、第一の被係合部51の突片部51bに対し上下方向に対向した係合可能位置となる。このため、開閉体10が急降下した場合でも、制動係合部62bが第一の被係合部51に当接するため、開閉体10の急降下を停止することができる。
より詳細に説明すれば、前記当接の際、制動係合部62bの当接面62b1と突起62b2が第一の被係合部51の受面51b1に対しフック状に係合するのと同時に、第一の被係合部51の受面51b1と突起51b2も、制動係合部62bの当接面62b1に対しフック状に係合する。このため、前記当接の際の衝撃や反動で、制動係合部62bが弾かれて係合しなくなるようなことを防ぐことができる。
【0057】
また、開閉体10の開閉動作中、制動係合部62b及び第一の被係合部51は、開閉体10の横幅方向の端部と、ガイドレール30と、支持部材40と、気密手段90によって囲まれるため、これらの係合箇所に物等が挟まったり、これら制動係合部62bや第一の被係合部51に物等が接触したりするようなことを防ぐことができる。
【0058】
そして、制動係合部62b及び第一の被係合部51を前記したように空間S内に配置し、空間S外には係脱部分の無い構成としているため、開閉体10の幅方向端部において、開閉体厚さ方向へ突出する部材等を減らすことができ、ひいては、ガイドレール30周りの構造を比較的細身に構成することができる。
【0059】
また、開閉体10の全閉位置において、施錠されてない時は、施錠係合部71の先端側部分(詳細には第三片部71c及び第二片部71bの一部)は空間Sに配置されている。
そして、開閉体10の全閉位置において、引張操作部74の操作により紐状部材73を緩めた場合には、施錠係合部71が付勢部材72dによって空間S内を屋内側へ回動し、第二の被係合部52に対し凹凸状に係合し、開閉体10が開閉不能に施錠された状態となる。
施錠係合部71及び第二の被係合部52は、開閉体10の横幅方向の端部と、ガイドレール30と、支持部材40と、気密手段90によって囲まれるため、これらの係合箇所に物等が挟まったり、これら施錠係合部71や第二の被係合部52に物等が接触したりするようなことを防ぐことができる。
【0060】
また、開閉体10の全開位置において、引張操作部74の操作により紐状部材73を緩めた場合にも、施錠係合部71が付勢部材72dによって回動し、第二の被係合部52に対し凹凸状に係合し、開閉体10が開閉不能に施錠された状態となる(
図11〜
図13参照)。
したがって、この状態では、全開位置にある開閉体10を不意に落下したり、収納レール部32上を前後に触れたりするのを防ぐことができる。
また、この全開位置においては、施錠係合部71及び第二の被係合部52の周囲に支持部材40等は位置しないが、これらが比較的高い位置にあるため、これらに対し物等が接触するようなことを防ぐことができる。
【0061】
そして、前記した全閉位置及び全開位置での施錠状態は、引張操作部74の操作により紐状部材73を引っ張れば、施錠係合部71が逆方向へ回動して、第二の被係合部52から外れるため、解除することができる。
【0062】
なお、全開位置においては、引張操作部74の位置が高く、該引張操作部74に対する操作がし難くなるおそれがあるため、必要に応じて、下方に延設された部材によって引張操作部74を操作する機構等を付加してもよい。
【0063】
次に、本実施の形態の開閉装置の他例について説明する。なお、以下に示す開閉装置2は、上記開閉装置1の一部を変更したものであるため、開閉装置1と略同様の部分については同一の符号を付けることで重複する詳細説明を省略する。
【0064】
図1,
図14〜
図20に示す開閉装置2は、上記開閉装置1に対し、第一の被係合部51を第一の被係合部51’に置換し、閉鎖防止装置60を閉鎖防止装置60’に置換した構成とされる。
【0065】
第一の被係合部51’は、閉鎖防止装置60’の制動係合部62b’によって係脱される部位であり、詳細に説明すれば、
図17及び
図18に示すように、支持部材40内面に固定される平板状の固定片部51a’と、該固定片部51a’に接続されるとともに該固定片部51a’よりも開閉体開放方向側へ突出するように設けられた突片部51b’とからなり、図示例によれば断面略L字状に形成される。
この第一の被係合部51’は、上下方向に間隔を置いて複数設けられ、そのそれぞれが支持片部41のカバー片部42に固定されている(
図14参照)。
【0066】
突片部51b’は、
図17及び
図18に示すように、開閉体厚さ方向に略平行に配置される板状の部位であり、その開閉体開放方向側の端部に、制動係合部62b’を受ける受面51b1’と、該受面51b1’から開閉体開放方向へ突出する突起51b2’とを有し、略フック状に形成される。そして、この突片部51b’は、制動係合部62b’が受面51b1’に当接した際に、制動係合部62b’に対し下方側から突起51b2’をフック状に被せるようにして係合する(
図20参照)。
【0067】
また、閉鎖防止装置60’は、
図14〜
図16に示すように、開閉体10側に固定された固定部材61’と、該固定部材61’に支持されるとともに制動係合部62b’を一体的に有する可動部材62’とを具備する。
【0068】
固定部材61’は、開閉体10の表面(屋外側の面、
図14参照)に対し止着され固定された部材であり、軸受部61a’を介して、可動部材62の軸部62d’を回動自在に支持している。
【0069】
可動部材62’は、第一の被係合部51’に対し制動係合部62b’を係合させることが可能な係合可能位置(
図20参照)と、第一の被係合部51’に対し制動係合部62b’を係合させることが不能な係合不能位置(
図19参照)との間で回動可能であるとともに、開閉体開放方向側から牽引機構80の牽引部材83により引っ張られることで係合不能位置に維持され、牽引部材83の張力が失われた際に自重によって係合可能位置側へ回動するように構成されている。
より詳細に説明すれば、この可動部材62’は、固定部材61’に対し軸部62d’を介して回動自在に支持された可動本体部62a’と、該可動本体部62a’の側面から開閉体横幅方向に沿って前記空間S内へ突出する制動係合部62b’とを有する。
【0070】
可動本体部62a’は、固定部材61’に対し軸部62d’を介して枢支されるとともに、その枢支点(軸部62d’の中心)を、開閉体厚さ方向の一方(
図19によれば、屋外(左)側)へ偏った位置に配置している。この可動本体部62a’には、前記枢支点よりも開閉体厚さ方向の他方側(
図19によれば、屋内(右)側)であって下端寄りの部分に、牽引部材83によって牽引される被牽引部62cが突設される。
【0071】
制動係合部62b’は、可動本体部62a’の側面に溶接等の固定手段によって固定され、該側面から開閉体横幅方向へ突出している。この制動係合部62b’は、図示例によれば、下側へ向かって幅狭な断面略楔形(
図15参照)に形成され、その下端部には、第一の被係合部51’に当接される当接面62b1’と、該当接面62b1’から開閉体閉鎖方向へ突出する突起62b2’とを有し、突端側を略フック状に形成している。そして、この制動係合部62b’は、当接面62b1’が第一の被係合部51’の受面51b1’に当接した際に、受面51b1’に対し上方側から突起62b2’をフック状に被せるようにして係合する(
図20参照)。
【0072】
なお、
図14、
図19及び
図20中、ローラ部材20は、閉鎖防止装置60とは干渉しないように、開閉体10に回転自在に支持されている。
【0073】
よって、
図1,
図14〜
図20に示す開閉装置2によれば、開閉体10の通常の開閉動作および収納動作の際には、閉鎖防止装置60’の可動部材62が、自重に対抗して牽引部材83により引っ張られることで、上記係合不能位置(
図19参照)に維持される。
【0074】
牽引部材83の切断や、該牽引部材83を巻き取るリール部82の空回り、該リール部82を巻き取り方向へ付勢する牽引源84の空回り等、牽引機構80側の支障により牽引部材83の張力が低下した場合には、
図20に示すように、可動部材62’が、自重により、屋外側(図示例によれば時計方向)へ回動する。
すると、可動部材62’の制動係合部62b’が、第一の被係合部51’の突片部51b’に対向した係合可能位置となる。このため、開閉体10が急降下した場合でも、制動係合部62b’が第一の被係合部51’に当接し、開閉体10の急降下を停止することができる。
より詳細に説明すれば、前記当接の際、制動係合部62b’の当接面62b1’と突起62b2’が第一の被係合部51’の受面51b1’に対しフック状に係合するのと同時に、第一の被係合部51’の受面51b1’と突起51b2’も、制動係合部62b’の当接面62b1’に対しフック状に係合する。したがって、前記当接の際の衝撃や反動で、制動係合部62b’が弾かれて係合しないようなことを防ぐことができる。
【0075】
また、開閉体10の開閉動作中、制動係合部62b’及び第一の被係合部51’は、開閉体10の横幅方向の端部と、ガイドレール30と、支持部材40とによって囲まれた空間S内に位置するため、これらの係合箇所に物等が挟まったり、これら制動係合部62b’や第一の被係合部51’に物等が接触したりするようなことを防ぐことができる。
【0076】
そして、制動係合部62b’及び第一の被係合部51’を前記したように空間S内に配置し、空間S外には係脱部分の無い構成としているため、開閉体10の幅方向端部において、開閉体厚さ方向へ突出する部材等を減らすことができ、ひいては、ガイドレール30周りの構造を比較的細身に構成することができる。
【0077】
なお、
図14に示す一例では、気密手段90を省いているが、上記開閉装置1と同様に気密手段90を加えて、制動係合部62b’や第一の被係合部51’に物等が接触するのをより効果的に防ぐようにしてもよい。
【0078】
また、上記形態によれば、第一の被係合部51(又は51’)と第二の被係合部52をそれぞれ別体の部材としたが、他の好ましい形態としては、第一の被係合部51(又は51’)と第二の被係合部52とを同形状の共通の部材又は部位とし、これに対し、制動係合部62b(又は62b’)と施錠係合部71の双方が係脱するようにしてもよい。
【0079】
また、上記形態によれば、第一の被係合部51(又は51’)及び第二の被係合部52を、ガイドレール30又は支持部材40に固定したが他例としては、第一の被係合部51(又は51’)及び第二の被係合部52を、ガイドレール30又は支持部材40と一体に形成することも可能である。
例えば、
図21に示すガイドレール30’は、該ガイドレール30’自体に、前記第一の被係合部及び前記第二の被係合部となり得る被係合部31’を形成したものである。
各被係合部31’は、ガイドレール30’において、制動係合部62b及び/又は施錠係合部71と対向する位置に、上下方向へ間隔を置いて複数設けられる凹凸部である。
この構成によれば、制動係合部62bは、被係合部31’を構成する凸部の上面に当接して係止される。また、施錠係合部71は、被係合部31’を構成する凹部に嵌り合って係止される。
【0080】
また、上記形態によれば、第一の被係合部51及び第二の被係合部52をガイドレール30に沿って複数設けたが、他例としては、これら第一の被係合部51及び第二の被係合部52のうちの一方又は双方を単数とすることも可能である。
【0081】
また、上記形態によれば、施錠状態の施錠係合部71が開閉体開放方向と開閉体閉鎖方向の双方に移動しないように、第二の被係合部52を凹状に形成したが、他例としては、施錠状態の施錠係合部71が開閉体開放方向と開閉体閉鎖方向のうちの一方のみに移動しないように、第二の被係合部52を段状等の他の形状にすることも可能である。
【0082】
また、上記形態によれば、制動係合部62bが開閉体厚さ方向への回動により第一の被係合部51に係合可能な位置となるようにしたが、他例としては、制動係合部が開閉体面に沿う回動により第一の被係合部に係合可能な位置となる態様や、制動係合部が開閉体横幅方向へのスライドにより第一の被係合部に係合可能な位置となる態様とすることも可能である。
【0083】
また、上記形態によれば、施錠係合部71が開閉体厚さ方向への回動により第二の被係合部52に対し係脱するようにしたが、他例としては、施錠係合部が開閉体面に沿う回動により第二の被係合部に係脱する態様や、施錠係合部が開閉体横幅方向へのスライドにより第二の被係合部に係脱する態様等とすることも可能である。
【0084】
また、上記形態によれば、特に好ましい具体例として、オーバーヘッドドアに対し上記構造の閉鎖防止装置60や施錠機構70を具備したが、他例としては、略同構造の閉鎖防止装置や施錠機構を、シャッター装置等、オーバーヘッドドア以外の開閉装置に具備することも可能である。
【0085】
また、上記形態において、開閉体10における閉鎖防止装置60(又は施錠機構70)よりも下側の部分に、開閉体横幅方向の略全長にわたって補強リブや座板等を設ける場合には、閉鎖防止装置60(又は施錠機構70)における開閉体10面からの開閉体厚さ方向への突出量は、当該突出方向における前記補強リブや座板等の突出量よりも小さい(又は該突出量と同じである)ことが好ましい。この構成によれば、利用者等が、比較的目に付きやすい補強リブや座板等への当接を避けようとする際に、結果的に、閉鎖防止装置60(又は施錠機構70)への当接も避ける、ということが期待できる。
【0086】
また、上記形態では、開閉体10が全開位置から全閉位置の間を移動する途中に第二の被係合部52が存在する場合に、通常の動作時には制動係合部62bが第二の被係合部52に干渉して開閉動作の妨げになるのを避けるように構成されるのは勿論である。ただし、上記形態に付加する構成としては、異常時に制動係合部62bを第二の被係合部52に係合させて、開閉体10の開閉動作又は降下を積極的に阻止することも可能である。
【0087】
また、上記形態では、特に好ましい具体例として、閉鎖防止装置60および第一の被係合部51と、施錠機構70および第二の被係合部52との双方を具備したが、他例としては、その何れか一方を省いた構成とすることも可能である。
【0088】
また、図示を省略するが、他例としては、
図14に示す形態に対し、第二の被係合部52(
図11〜
図12参照)を設けることも可能であり、この場合には、一片部52a2を屋内側へ向けて、第二の被係合部52をカバー片部42の屋内側表面に固定すればよい。この他例を
図12上で説明すれば、施錠係合部71の第三片部71cを、空間S内においてカバー片部42に接近し且つ開閉体10には干渉しないように形成する。付勢部材72dは、施錠係合部71を第二の被係合部52に対する係合方向とは逆の方向(屋内側:
図12の下側)へ回動させるように構成する。紐状部材73は、引き張られた状態のときに、施錠係合部71を付勢部材72dの付勢力に抗して屋外側方向(
図12の上側方向)へ回動して第二の被係合部52に係合し、紐状部材73を緩めた状態では、施錠係合部71が付勢部材72dの付勢力により第二の被係合部52から離脱し、係合状態が解除されるようにする。