特許第6170674号(P6170674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イル・ファ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特許6170674発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法
<>
  • 特許6170674-発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法 図000004
  • 特許6170674-発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法 図000005
  • 特許6170674-発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法 図000006
  • 特許6170674-発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法 図000007
  • 特許6170674-発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170674
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20170713BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20170713BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20170713BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A23L19/00 A
   A23L33/10
   A61P3/00
   A61P3/10
   A61P35/00
   A61P37/04
   A61P39/06
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-511737(P2012-511737)
(86)(22)【出願日】2009年5月19日
(65)【公表番号】特表2012-527233(P2012-527233A)
(43)【公表日】2012年11月8日
(86)【国際出願番号】KR2009002635
(87)【国際公開番号】WO2010134650
(87)【国際公開日】20101125
【審査請求日】2012年1月19日
【審判番号】不服2014-24313(P2014-24313/J1)
【審判請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】500116111
【氏名又は名称】イル・ファ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IL HWA CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100141357
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 音哉
(72)【発明者】
【氏名】シム,デ・グン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジョン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン・グォン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ミン・グ
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 山崎 勝司
【審判官】 佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−298510(JP,A)
【文献】 特開2002−348245(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/030235(WO,A1)
【文献】 Bioscience,Biotechnology,and Biochemistry,Vol.73,(2009),No.2,p.316−321
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポニン精製段階を事前に経ないパナックスジンセン(Panax ginseng C.A. Meyer (Araliaceae))を水、エタノール及びこれらの混合物から選択された溶媒による抽出に付してパナックスジンセン抽出液を得る工程と、
10℃〜70℃の温度で1〜72時間pH3〜8の条件下でパナックスジンセン抽出液にペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを加える工程と、
発酵したパナックスジンセン抽出液を濃縮して発酵パナックスジンセン濃縮液を製造する工程と
を含む発酵パナックスジンセン濃縮液の製造方法。
【請求項2】
前記パナックスジンセンが、尾参、白参、水参、乾参、紅参、太極参、高麗人参、中国人参、日本人参、アジア人参、アメリカ人参、及びこれらの組合わせの1つ以上である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記添加が、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを同時に添加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記添加が、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを異なる時間に添加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記濃縮後に発酵パナックスジンセン濃縮液を乾燥させて発酵パナックスジンセン粉末を製造する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記乾燥が、減圧乾燥、高温空気乾燥、噴霧乾燥、流動層乾燥、流動層顆粒化または凍結乾燥により行われるものである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
サポニン精製段階を事前に経ないパナックスジンセン(Panax ginseng C.A. Meyer (Araliaceae))を第1の水、エタノール及びこれらの混合物から選択された溶媒に懸濁してパナックスジンセン溶液を製造する工程と、
10℃〜70℃の温度で約1〜72時間pH3〜8の条件下で、パナックスジンセン溶液にペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを加える工程と、
発酵したパナックスジンセン溶液を第2の水、エタノール及びこれらの混合物から選択された溶媒での抽出に付して発酵パナックスジンセン抽出液を製造する工程と、
発酵パナックスジンセン抽出液を濃縮して発酵パナックスジンセン濃縮液を製造する工程と
を含む発酵パナックスジンセン濃縮液の製造方法。
【請求項8】
前記パナックスジンセンが、尾参、白参、水参、乾参、紅参、太極参、高麗人参、中国人参、日本人参、アジア人参、アメリカ人参、及びこれらの組合わせの1つ以上である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記添加が、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを同時に添加することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記添加が、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを異なる時間に添加することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記濃縮後に発酵パナックスジンセン濃縮液を乾燥させて発酵パナックスジンセン粉末を製造する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥が、減圧乾燥、高温空気乾燥、噴霧乾燥、流動層乾燥、流動層顆粒化または凍結乾燥により行われるものである請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、発酵高麗人参濃縮液または粉末の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術
高麗人参(Panax ginseng C. A. Meyer(Araliaceae))は、中国、韓国、日本などのアジア諸国で長きに渡り伝統的に各種疾病の治療に用いられてきた薬草の1種である。特に、高麗人参の主な活性成分であるジンセノサイド(高麗人参サポニン)は、抗老化、抗炎症、中枢神経系、心血管系及び免疫系での抗酸化活性(Wu JYら、J. Immunol. , 148: 1519-25(1992); Lee, Facts about ginseng, the elixir of life. Hollyn International. New Jersey(1992); Huang, The pharmacology of Chinese herbs. CRC Press. Florida(1999)、抗糖尿活性(Chang, Pharmacology and application of Chinese material medica. Vol 1. World Scientific. Singapore(1986))及び抗腫瘍活性(Satoら、Biol. Pharm. Bull. 17: 635-9(1994); Mochizukiら、Biol. Pharm. Bull. 18: 1197-1202(1995))などのような様々な生理活性を有することが知られている。
【0003】
さらに、前記ジンセノサイドは、摂取後にヒトの腸内細菌により代謝され、その代謝産物も様々な生理活性を有することが知られている(Karikuraら、Chem. Pharm. Bull, 39: 2357-61(1991); Kanaodaら、J. Tradit. Med. 11: 241-5(1994); Akaoら、Biol. Pharm. Bull. 21: 245-9(1998))。例えば、プロトパナキサジオール系ジンセノサイドであるRb1、Rb2、Rcは、ヒトの腸内微生物によりIH−901(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)に代謝され(Hasegawaら、Planta Medica 63: 463-40(1997); Tawabら、Drug Metab. Dispos. 31: 1065-71(2003))、プロトパナキサトリオール系ジンセノサイドであるReとRg1は、ジンセノサイドRh1又はジンセノサイドF1に代謝され(Hasegawaら、Planta Medica 62: 453-7(1996); Tawabら、Drug Metab. Dispos. 31: 1065-71(2003))、前記代謝産物であるIH−901、Rh1及びF1は、様々な生理活性を示す。
【0004】
特に、前記IH−901は、主に抗糖尿作用(Choiら、J Ginseng Res. 31(2): 79-85(2007))及び免疫増強作用をすることが知られている。また、腫瘍の侵入を防いだり、染色体変異と腫瘍形成を予防することによって、抗転移または抗癌効果を誘導することが知られている(Wakabayashiら、Oncol. Res. 9: 411-7(1998); Leeら、Cancer Lett. 144: 39-43(1999))。
【0005】
一部研究者らは、化学的合成、弱酸加水分解、アルカリ分解などによって真性プロサポゲニン(genuine prosapogenin)またはサポゲニンを生産しようと試みた(Hanら、Planta Medica 44: 146-9(1982); Chenら、Chem. Pharm. Bull. 35: 1653-5(1987); Elyakovら、Synthesis of the ginseng glycosides and their analogs. Proc. 6th Int. Ginseng Symp. Seoul 74-83(1993))。しかし、前記方法は、エピマー化、水和、ヒドロキシル化等のような様々な副反応を引き起こす。
【0006】
そこで、酵素(Koら、Biosci. Biotechnol. Biochem. 64: 2739-43(2000); Koら、Planta Med. 69: 285-6(2003))と腸内細菌(Hasegawaら、Planta Medica 63: 463-40(1997);Baeら、J. Microbial. Biotechnol. 13: 9-14(2003))などを用いた穏和な条件でジンセノサイドを転換させる多くの方法が研究されている。具体的には、ジオール系ジンセノサイドをナリンギナーゼ酵素で加水分解してIH−901を製造する方法や、前記ジオール系ジンセノサイドをラットに経口投与した後、大腸で分解させてIH−901を製造する方法が開発されている。しかし、前記製造方法は、IH−901の生成収率が極めて低いだけでなく、様々な2次代謝産物が生成され、高純度のIH−901を生産するのに問題があった(Karikuraら、Chem. Pharm. Bull. 38: 2859(1990))。
【0007】
さらに最近は、様々な酵素をジンセノサイドと反応させてIH−901を製造する方法(韓国特許出願公開第2003−94757号;韓国特許第418604号及び第377546号)が研究されているが、これら方法を用いて製造されたIH−901の量は、任意の有意な効果を有するのには少な過ぎることが明らかになった。また、前記方法は、複雑な工程を含み、IH−901を多量に含有する発酵高麗人参濃縮液を製造するのには不適切である。
本発明は、前記のような問題を克服したものである。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明は、発酵高麗人参濃縮液の製造方法に関するものである。
前記方法は、まず、高麗人参に溶媒を加えて高麗人参抽出液を製造する。次いで、前記製造された高麗人参抽出液にペクチナーゼとベータガラクトシダーゼを、高麗人参抽出液を発酵させるのに有効な量で加える。次に、発酵した高麗人参抽出液を濃縮させて発酵高麗人参濃縮液を生産する。
【0009】
また、本発明はまた、発酵高麗人参濃縮液の製造方法に関するものである。前記方法は、また、高麗人参に第1溶媒を加えて高麗人参液を製造する。次いで前記高麗人参液にペクチナーゼとベータガラクトシダーゼを高麗人参抽出液を発酵させるのに有効な条件下で加える。その後、発酵した高麗人参液を第2溶媒を用いて抽出して発酵高麗人参液を得る。最終的に、発酵高麗人参抽出液を濃縮して発酵高麗人参濃縮液の製造方法を得る。
【0010】
さらに、本発明の別態様は、前記方法により製造された発酵高麗人参濃縮液及び発酵高麗人参粉末、及びこのような発酵高麗人参濃縮液及び粉末を含有する食品組成物または機能性食品組成物に関するものである。
【0011】
本発明による発酵高麗人参濃縮液及び発酵高麗人参粉末を製造する方法は、単純な工程を含み、高いIH−901の含有量を有する発酵高麗人参濃縮液または粉末を製造することができる。高含有量のIH−901によって、本発明の方法によって製造された発酵高麗人参濃縮液または粉末は、機能性食品組成物に効果的に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の発酵高麗人参濃縮液の高圧液体クロマトグラフィー分析結果を示すグラフである。
図2】本発明の発酵高麗人参濃縮液を摂取した被験者についての時間に対するIH−901の平均血漿濃度を示すグラフである。
図3】各被験者のIH−901の最大血漿濃度(Cmax)を示すグラフである。
図4】各被験者のIH−901の最大血漿濃度に至る時間(Tmax)を示すグラフである。
図5】各被験者の血漿濃度時間曲線下面積(AUC)を示すグラフである。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、発酵高麗人参濃縮液の製造方法に関するものである。
【0014】
前記方法は、まず、高麗人参を溶媒を用いて抽出して高麗人参抽出液を得ることを含む。高麗人参の例としては、尾参、白参、水参、乾参、紅参、太極参、高麗人参、中国人参、日本人参、アジア人参、アメリカ人参、これらの抽出液、これらの粉末及びこれらの組合わせからなる群から選択されたものを含むが、これらに制限されない。
【0015】
高麗人参の抽出に用いられる溶媒は、前記方法に用いられる酵素の活性に影響を与えない限り、水性溶媒(例:水)、有機溶媒またはこれらの組合わせのような任意の溶媒であることができる。ある実施態様において、有機溶媒はこれに限定されないが、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及びこれらの組合わせを含んでもよい。
【0016】
ある実施態様において、高麗人参は、任意の公知の溶媒抽出方法を用いて前記溶媒で抽出されてもよい。ある例では、水と有機溶媒の適切な混合物が抽出に用いることができ、ここで混合物中の有機溶媒は、水に不溶性である高麗人参中の成分及び/又は酵素反応から生成された中間体の溶解度を増加させることができ、最終生成物、即ち、発酵高麗人参濃縮液または粉末中のIH−901の含有量の全般的な増加をもたらすことができる。
【0017】
次に、高麗人参抽出液を発酵させるのに有効な条件下で、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを高麗人参抽出液に加える。ある実施態様では、高麗人参抽出液はペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを加える前に溶媒で希釈されてもよい。ある実施態様では、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを高麗人参抽出液に一緒に、または同時に加える。他の例では、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを高麗人参抽出液に別々にまたは異なる時間に加える。
【0018】
ある実施態様では、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを高麗人参抽出液に約100:1〜約1:100、約50:1〜約1:50、約20:1〜約1:20、約10:1〜約1:10、約5:1〜約1:5、約3:1〜約1:3、または約2:1〜約1:2の割合で加えてもよい。他の例では、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを約100:1、約50:1、約20:1、約10:1、約5:1、約3:1、約2:1、約1:3、約1:5、約1:10、約1:20、約1:50、または約1:100の割合で加えてもよい。
【0019】
ある実施態様では、高麗人参抽出液に加えられるペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼの全量は、高麗人参抽出液または高麗人参の全重量を基準に約0.01重量%〜約50重量%、約0.05重量%〜約50重量%、約0.1重量%〜約50重量%、約0.5重量%〜約50重量%、約1重量%〜約50重量%、約2重量%〜約50重量%、約5重量%〜約50重量%、約10重量%〜約50重量%、約25重量%〜約50重量%、約0.01重量%〜約0.05重量%、約0.01重量%〜約0.1重量%、約0.01重量%〜約0.5重量%、約0.01重量%〜約1重量%、約0.01重量%〜約2重量%、約0.01重量%〜約5重量%、約0.01重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約25重量%、約0.05重量%〜約0.1重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.5重量%〜約1重量%、約1重量%〜約2重量%、約2重量%〜約5重量%、約5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約25重量%の範囲であってもよい。他の例では、高麗人参抽出液に加えられるペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼの全量は高麗人参抽出液または高麗人参の全重量を基準に約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、約10重量%、約25重量%または約50重量%であってもよい。
【0020】
ある実施態様では、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼが高麗人参抽出液に加えられ、pH約3〜約8、約4〜約8、約4.5〜約8、約5〜約8、約6〜約8、約3〜約4、約3〜約4.5、約3〜約5、約3〜約6、約4〜約4.5、約4.5〜約5、または約5〜約6で反応が行われる。他の例では、pH約3、約4、約4.5、約5、約6または約8で反応が行われる。しかし、前記反応は、ペクチナーゼとベータガラクトシダーゼの活性が維持される限り、任意のpHで行うことができる。pHは、これに限定されないが、リン酸塩溶液、クエン酸溶液及びクエン酸ナトリウム緩衝溶液を高麗人参抽出溶液に加えて調節することができる。
【0021】
ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを加える反応温度は、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼの活性が維持される限り、任意の温度とすることができる。ある実施態様では、反応温度は、約10℃〜約70℃、約30℃〜約70℃、約40℃〜約70℃、約50℃〜約70℃、約60℃〜約70℃、約10℃〜約30℃、約10℃〜約40℃、約10℃〜約50℃、約10℃〜約60℃、約30℃〜約40℃、約40℃〜約50℃、約50℃〜約60℃の範囲を有してもよい。他の例では、反応温度は、約10℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃または約70℃であってもよい。
【0022】
また、反応時間は、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼの活性が維持される限り、任意の時間とすることができる。ある実施態様では、反応時間は、約1時間〜約72時間、約12時間〜約72時間、約24時間〜約72時間、約48時間〜約72時間、約60時間〜約72時間、約1時間〜約12時間、約1時間〜約24時間、約1時間〜約48時間、約1時間〜約60時間、約12時間〜約24時間、約24時間〜約48時間または約48時間〜約60時間の範囲であってもよい。他の例では、反応時間は、約1時間、約12時間、約24時間、約48時間、約60時間または約72時間であってもよい。
【0023】
最後に、発酵高麗人参抽出液を濃縮して発酵高麗人参濃縮液を得ることができる。ある実施態様では、発酵高麗人参抽出液の濃縮は、初めに発酵高麗人参抽出液の遠心分離を行った後、分離された上澄液のみを濃縮することを含んでもよい。他の例では、発酵高麗人参抽出液の濃縮は、任意の予備処理工程なしに発酵高麗人参抽出液を濃縮させることを含んでもよい。発酵高麗人参抽出液は、真空減圧濃縮機のような通常用いられる装置を用いて濃縮してもよいが、これに限定されない。
【0024】
ある実施態様では、本発明の方法は、製造された発酵高麗人参濃縮液(液状であってもよい)を乾燥させて発酵高麗人参粉末を製造することをさらに含むことができる。前記乾燥は、減圧乾燥、高温空気乾燥、噴霧乾燥、流動層乾燥、流動層顆粒化及び凍結乾燥のような任意の通常の乾燥方法で行ってもよいが、これに限定されない。
【0025】
本発明はまた、発酵高麗人参濃縮液の製造方法に関するものである。前記方法は、まず、第1溶媒中に高麗人参を懸濁して高麗人参溶液を得ることを含む。次いで、高麗人参溶液を発酵させるのに有効な条件下で、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを前記高麗人参溶液に加える。その後、発酵した高麗人参溶液を第2溶媒で抽出して発酵高麗人参抽出液を得る。ある実施態様では、前記第1及び第2溶媒は、水性溶媒(例:水)、有機溶媒またはこれらの混合物であってもよい。最後に、発酵高麗人参抽出液を濃縮し、発酵高麗人参濃縮液を得る。本発明で用いられる多様な条件、例えば、前述したペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼの添加、抽出及び濃縮に関する説明はここでは繰り返さないこととする。
【0026】
本発明の他の態様は、前記方法により製造された発酵高麗人参濃縮液及び発酵高麗人参粉末に関するものである。本発明の前記方法は、高麗人参抽出液または高麗人参溶液に、これらを発酵させるのに有効な条件下で、ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを直接添加することを含み、従って、高いIH−901の含有量を有する発酵高麗人参抽出液または粉末を製造する簡単な方法である。本発明の前記方法により製造された発酵高麗人参濃縮液及び粉末は、高いIH−901の含有量を有するため、機能性食品組成物として効果的に用いられる。
【0027】
本発明の他の態様は、前記発酵高麗人参濃縮液または粉末を含有する食品組成物及び前記発酵高麗人参濃縮液または粉末の治療的有効量を含有する機能性食品組成物に関するものである。
【0028】
本発明の発酵高麗人参濃縮液及び粉末は、免疫機能強化、抗糖尿、抗癌、抗老化及び抗酸化活性を有すると知られているIH−901を多量に含有することができる。当学者は、機能性食品組成物の使用目的に応じて、本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末の添加量を適宜決定することができる。一般に、本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末は、機能性食品組成物に機能性食品組成物の全重量を基準に約0.1重量%〜約100重量%の範囲の量で添加することができる。ある例では、健康管理のために長期間、機能性食品組成物を摂取するような場合、機能性食品組成物に添加される本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末の量は前記範囲より少なくてもよい。しかし、安全性の問題は存在しないため、本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末は非常に多量に用いられてもよい。
【0029】
ある実施態様では、本発明の食品組成物または機能性食品組成物は、任意の予備処理なしに本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末、あるいはこれらの混合物を添加して製造してもよい。他の実施態様では、本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末は、初めに公知の方法で加工した後、他の食品成分を添加してもよい。本発明の食品組成物または機能性食品組成物に添加してもよい食品成分は、食品組成物または機能性食品組成物の形態によって異なり、本発明の発酵高麗人参濃縮液または粉末と混合する場合に任意の副作用を誘発しない限り、限定されない。
【0030】
本発明の食品組成物または機能性食品組成物は、経口用に好適な形態、例えば、軟質または硬質カプセル、錠剤、ロゼンジ、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、懸濁液及び公知の方法で製造された乾燥粉末からなるティーバッグであってもよい。ある実施態様では、機能性食品組成物は、免疫強化、抗糖尿、抗癌、抗酸化及び/又は抗老化作用を提供するために飲料、ガム、キャンディ、スナック、ビタミン複合剤、健康機能性食品等のような多様な食品に添加してもよいが、これに限定されない。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明の内容は下記実施例により限定されない。
【0032】
<実施例1>
ペクチナーゼ及びベータガラクトシダーゼを用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
【0033】
<1−1>尾参と白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
尾参5gと白参5gを水とエタノールの混合液(1:1の混合比、対原料500%)で80℃で3時間間隔で4回抽出して高麗人参抽出液7gを得た。水100mlを加えた後、ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gを高麗人参抽出液に加え、反応混合液を50℃、pH4〜5で48時間維持した。反応液を濾過し、80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液6.3gを製造した。
【0034】
<1−2>尾参と白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
実施例<1−1>に記載した通り、高麗人参抽出液7gを製造した。水100ml、次いで、ベータガラクトシダーゼ1gを前記高麗人参抽出液に加え、反応混合液を50℃で24時間維持した後、混合液を80℃で3時間静置して酵素を不活性化させた。反応液を冷却させ、クエン酸でpHを4〜5に調整した。次いで、ペクチナーゼ0.3gを添加し、混合液を24時間反応させた。その後、反応混合液を濾過し、80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液5.9gを製造した。
【0035】
<1−3>尾参と白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
尾参5gと白参それぞれ5gを水とエタノールの混合液(1:1の混合比、対原料500%)で抽出して高麗人参抽出液7gを得た。水100mlを加えた後、ペクチナーゼ0.5gとベータガラクトシダーゼ0.7gを高麗人参抽出液に加え、反応混合液を50℃、pH4〜5で48時間維持した。反応液を濾過し、80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液6.2gを製造した。
【0036】
<1−4>尾参と白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
尾参5gと白参5gを水とエタノールの混合液(1:1の混合比、対原料500%)で抽出して高麗人参抽出液7gを得た。水100mlを加えた後、ペクチナーゼ0.9gとベータガラクトシダーゼ0.6gを高麗人参抽出液に加え、反応混合液を50℃、pH4〜5で48時間維持した。反応液を濾過し、80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液5.9gを製造した。
【0037】
<1−5>尾参と白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
尾参5gと白参5gを水とエタノールの混合液(1:1の混合比、対原料500%)で抽出して高麗人参抽出液7gを得た。水100mlを加えた後、ペクチナーゼ1.2gとベータガラクトシダーゼ0.2gを高麗人参抽出液に加え、反応混合液を50℃、pH4〜5で48時間維持した。反応液を濾過し、80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液6.3gを製造した。
【0038】
<1−6>尾参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
尾参10gを水100mlで抽出して得た高麗人参抽出液7gを、クエン酸でpH3〜4になるように調整した後、ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gを高麗人参抽出液に入れ、50℃で48時間反応させた。次いで、これを実施例<1−1>と同様の方法で濾過した後、濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液(I)6.5gを製造した。
また、尾参10gを前記<実施例1−1>と同様の方法で水とエタノールの混合液で抽出して得た抽出物7.2gを、クエン酸でpH3〜4になるように調整した後、ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gを高麗人参抽出液に加え、混合物を前記実施例<1−1>と同様の方法で反応、濾過及び濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液(II)6.8gを製造した。
【0039】
<1−7>尾参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
尾参10gを水100mlで抽出して高麗人参抽出液7gを得た。高麗人参抽出液に水100mlを加えた後、ベータガラクトシダーゼ1gを加え、反応混合液を50℃で24時間維持させた。その後、混合液を80℃で3時間静置して酵素を不活性化した。反応液を冷却させ、クエン酸でpHを4〜5に調整した後、ペクチナーゼ0.3gを加え、50℃で24時間反応させた。次いで、反応液を濾過し、80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液6.5gを製造した。
【0040】
<1−8>白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
1kgの白参をエタノール5lで抽出して得た抽出物540gのうち7gを濃縮し、再度水に懸濁した。ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gをそこに入れ、混合物を前記実施例<1−1>と同様の方法で反応、濾過及び濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液5.2gを製造した。
【0041】
<1−9>白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
1kgの白参をエタノール5lで抽出して得た抽出物540gのうち7gを濃縮し、再度水に懸濁した。ペクチナーゼ0.5gとベータガラクトシダーゼ0.5gをそこに入れ、混合物を前記実施例<1−1>と同様の方法で反応、濾過及び濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液5.1gを製造した。
【0042】
<1−10>白参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
1kgの白参をエタノール5lで抽出して得た抽出物540gのうち7gを濃縮し、再度水に懸濁した。ペクチナーゼ1.5gとベータガラクトシダーゼ0.2gをそこに入れ、混合物を前記実施例<1−1>と同様の方法で反応、濾過及び濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液6.2gを製造した。
【0043】
<1−11>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスし、滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、クエン酸でpH3〜4.5になるように調整し、ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gをそこに入れて、混合物を50℃で72時間反応させた。反応液を前記実施例<1−1>と同様の方法で水とエタノールの混合液で80℃で4時間4回抽出した。その後、濾過し、濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液3.5gを製造した。
【0044】
<1−12>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスして滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、ベータガラクトシダーゼ1gを入れて、混合物を50℃で24時間反応させ、80℃で3時間不活性化させた。反応液を冷却させ、クエン酸でpHを4〜5に調整した。その後、ペクチナーゼ0.3gを加え、50℃で24時間反応させた。次いで、反応液を濾過した後、前記実施例<1−1>と同様の方法で水とエタノールの混合液で80℃で4時間4回抽出した。その後、濾液を80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液2.9gを製造した。
【0045】
<1−13>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスして滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、クエン酸でpH3〜4になるように調整した。その後、ペクチナーゼ0.7gとベータガラクトシダーゼ0.6gをそこに入れて、混合物50℃で72時間反応させた。次いで、反応液を濾過した後、濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液2.9gを製造した。
【0046】
<1−14>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスして滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、ベータガラクトシダーゼ0.7gを入れて、50℃で24時間反応させ、80℃で3時間不活性化させた。反応液を冷却させ、クエン酸でpHを4〜5に調整した。その後、ペクチナーゼ0.6gを加え、50℃で24時間反応させた。次いで、反応液を濾過した後、前記実施例<1−1>と同様の方法で水とエタノールの混合液で80℃で4時間4回抽出した。その後、濾液を80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液2.3gを製造した。
【0047】
<1−15>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスして滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、クエン酸でpH3〜4.5になるように調整した。その後、ペクチナーゼ0.9gとベータガラクトシダーゼ0.5gをそこに入れて、50℃で72時間反応させた。反応液を濾過した後、濃縮して本発明による発酵高麗人参濃縮液2.5gを製造した。
【0048】
<1−16>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスして滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、クエン酸でpH3〜4.5になるように調整した。その後、ペクチナーゼ2gとベータガラクトシダーゼを0.2gをそこに入れて、混合物を50℃で72時間反応させた。反応液を濾過した後、濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液3.3gを製造した。
【0049】
<1−17>水参を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
水参6gをスライスして滅菌した。水参のかけらを水に懸濁した後、ベータガラクトシダーゼ0.5gをそこに入れて、混合物を50℃で24時間反応させ、80℃で3時間不活性化させた。反応液を冷却させ、クエン酸でpHを4〜5に調整した。その後、ペクチナーゼ1.5gを加え、50℃で24時間反応させた。次いで、反応液を濾過した後、前記実施例<1−1>と同様の方法で水とエタノールの混合液で80℃で4時間4回抽出した。その後、濾液を80℃で減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液3.1gを製造した。
【0050】
<1−18>高麗人参粉末を用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
高麗人参粉末7gを水に懸濁した。クエン酸でpH3〜4.5になるように調整した。懸濁した高麗人参粉末をペクチナーゼ0.3g及びベータガラクトシダーゼ1gと反応させ、前記実施例<1−11>と同様の方法で抽出した後、濾過し、濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液3.7gを製造した。
【0051】
<比較例1>
ペクチナーゼのみを用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
前記実施例<1−1>と同様の方法で製造された高麗人参抽出液7gに水100mlを加えた。その後、ペクチナーゼ1.3gを入れ、前記実施例<1−1>と同様の方法で反応及び減圧濃縮して、本発明による発酵高麗人参濃縮液5.6gを製造した。
【0052】
<比較例2>
ベータガラクトシダーゼのみを用いた発酵高麗人参濃縮液の製造
前記実施例<1−1>と同様の方法で製造された高麗人参抽出液7gに水100mlを加えた。その後、ベータガラクトシダーゼ1.3gを入れ、前記実施例<1−1>と同様の方法で反応及び減圧濃縮して、発酵高麗人参濃縮液5.4gを製造した。
【0053】
<実験例1>
本発明による発酵高麗人参濃縮液のIH−901の含量
前記実施例<1−1>で製造された本発明による発酵高麗人参濃縮液のIH−901の含有量(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)を分析するために、前記発酵高麗人参濃縮液1gを取って水飽和ブタノール60mlで4回に渡って抽出した。ブタノール留分を濃縮して濃縮物120mgを得て、濃縮物をメタノールに溶解させ、高圧液体クロマトグラフィー(UPLC)を通じてIH−901の含量を分析した。その結果を図1に示す。
一方、前記実施例<1−1>で製造された高麗人参抽出液に対しても、IH−901の含有量を前記と同様の方法で分析した。
また、前記<比較例1>または<比較例2>で製造された発酵高麗人参濃縮液のIH−901の含有量を前記と同様の方法で分析した。
前記分析結果を下記表1にまとめた。
【0054】
【表1】

前記表1に示したように、本発明による発酵高麗人参濃縮液は、高麗人参抽出液とは対照的に、IH−901を多量に含有している。さらに、発酵高麗人参濃縮液中のIH−901の含有量は、ベータガラクトシダーゼのみを投与した場合に比べて3.6倍多く、ペクチナーゼのみを投与した場合に比べて1.5倍多いことが分かった。
【0055】
<実験例2>
本発明による発酵高麗人参抽出液のIH−901の体内吸収に関する研究
理想体重の20%内の体重を有する、年齢20〜45歳の範囲の健康な男性志願者24人を本研究に用いた(無作為、2×2交差デザイン)。
各志願者は、薬物動態学特性評価のために、発酵高麗人参抽出液または高麗人参抽出液を与えられた。発酵高麗人参抽出液または高麗人参抽出液の投与後、0、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、10、12及び24時間で血液標本を採取し、LC−MS/MSで分析した。時間に対するIH−901の平均血漿濃度を図2に示す。測定された平均最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度に至る平均時間(Tmax)及び血漿濃度時間曲線下面積(AUC)値を下記表2に示すが、ここでCmaxは、時間にかかわりない各被験者の最大濃度値の平均であり、Tmaxは各被験者のCmax値に該当する時間の平均である。各被験者のCmax、Tmax及びAUC値を図3〜5に示す。
【0056】
【表2】

前記表2に示したように、発酵高麗人参濃縮液中のIH−901のCmax、Tmax及びAUCは、高麗人参濃縮液に比べてそれぞれ24倍高く、15倍高く、3.7倍低かった。
【0057】
従って、高麗人参濃縮液を摂取する場合、各個人は、ジンセノサイドをIH−901に代謝することについて異なる能力を示し、体内に専ら少量のIH−901のみが吸収されることが明らかになった。さらに、高麗人参濃縮液を摂取する場合、各個人は、最大血漿濃度に至るにおいて異なる平均時間を示した。
対照的に、発酵高麗人参濃縮液を摂取した場合、吸収されたIH−901の量と最大血漿水準に至る平均時間は各個人について一定であった。さらに、発酵高麗人参濃縮液を摂取した場合、多量のIH−901が体内に吸収された。
従って、前記結果は、発酵高麗人参濃縮液を摂取する場合に一貫して一定の効果(個人別格差が特にない)が期待できることを示す。
【0058】
<実施例2>
本発明による発酵高麗人参粉末の製造
【0059】
<2−1>尾参と白参を用いた発酵高麗人参粉末の製造
前記実施例<1−1>と同様の方法で製造された高麗人参抽出液7gに水100gを加えた。その後、ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gを抽出液に入れて、50℃、pH4〜5で24時間反応させ、80℃で減圧乾燥して、本発明による発酵高麗人参粉末4.23gを製造した。
【0060】
<2−2>高麗人参粉末を用いた発酵高麗人参粉末の製造
高麗人参粉末7gを水に懸濁した後、クエン酸でpH3〜4.5になるように調整した。これに、ペクチナーゼ0.3gとベータガラクトシダーゼ1gを懸濁液に入れた後、50℃で24時間反応させ、前記実施例<1−1>と同様の方法で水とエタノールの混合液で80℃で4時間4回抽出した。抽出物を減圧乾燥して、本発明による発酵高麗人参粉末2.6gを製造した。
【0061】
たとえ本発明を例示のために詳しく説明したとしても、このような記載は専ら例示を目的とし、関連分野の熟練者により、以下の請求の範囲により定義される本発明の思想と範囲を外れることなく、変形され得ることが理解されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5