(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170695
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】寿司用具材の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 17/00 20160101AFI20170713BHJP
【FI】
A23L17/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-51571(P2013-51571)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-176331(P2014-176331A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】513063235
【氏名又は名称】中村 健悦
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100173989
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 友文
(72)【発明者】
【氏名】中村 健悦
【審査官】
吉田 知美
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−122086(JP,U)
【文献】
特開2007−028990(JP,A)
【文献】
特開平07−107947(JP,A)
【文献】
実開昭60−051991(JP,U)
【文献】
特開2008−154504(JP,A)
【文献】
鰻の押し寿司 山椒風味, [online],COOKPAD, 2012.05.28, retrieved from the Internet: <URL, http://cookpad.com/recipe/796744>, retrieved on 2016.11.18
【文献】
蒲焼きといえば、ウナギではなくドジョウ, [online],NAVER まとめ, 2013.02.07, retrieved from the Internet: <https://matome.naver.jp/odai/2136007739458453801>, retrieved on 2016.11.18
【文献】
簡単蒸すだけ♪鰻の蒲焼き☆, [online],COOKPAD, 2012.07.28, retrieved from the Internet: <http://cookpad.com/recipe/1896526>, retrived on 2016.11.18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥鰌を開いて串刺しとし、タレをつけて焼いた後、蒸して柔らかくする工程、更に、押圧して扁平にする工程から成り、串つきのまま手巻き寿司又は巻き寿司に用いることを特徴とする寿司用具材の製造方法。
【請求項2】
泥鰌を開いて串刺しとし、タレをつけて焼いた後、蒸して柔らかくする工程、次に、押圧して扁平にする工程、更に、串を抜き取る工程から成り、握り寿司又は押し寿司或いはちらし寿司に用いることを特徴とする寿司用具材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は寿司用
具材の製造方法に関するものであり、詳しくは泥鰌を用いた寿司用
具材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寿司用の具材には、魚介類、野菜或いは動物の肉を含む広範囲に及び、食材となるものを広く選択して用いられている。
しかし、泥鰌は高い栄養価を得られる食材として知られているけれども、寿司用の具材としては一般的ではなく、用いられていることが未だ伝わっていない。
【0003】
泥鰌の最も一般的な調理は、大ぶりのものは開いて頭と内臓を取り、小さいものはそのままで、ネギやゴボウとともに割下で煮て卵で綴じた柳川鍋であり、卵で綴じないものはどぜう鍋と呼ばれる。
【0004】
一方、生きた泥鰌と豆腐をいっしょに鍋に入れて徐々に加熱していくと、熱さを逃れようとして豆腐の中にドジョウが潜り込んでゆで上がった豆腐ができ上がり、これに味を付けて食べるのが地獄鍋である。
【0005】
また、唐揚げや天ぷらの具材にもなり、さらに、泥鰌を開いて串刺しにし、甘辛いタレをつけて蒲焼きにしたものが、石川県金沢市近郊のほか、富山県の一部地域で食されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−154504号公報
【特許文献2】特開2001−136936号公報
【特許文献3】特開2001−069951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記各特許文献は、蒲焼きの加工方法であり、食材として泥鰌の提示が認められるものである。
上記特開2008−154504号公報では、たれをつけて焼く前に、食材の身に内在する小骨を切断する小骨切断工程を有することを特徴とするものである。
【0008】
また、特開2001−136936号公報は、生又は解凍された食材に蒸気を接触させて食材を蒸す蒸し工程と、この蒸し工程の後、食材を加熱して、食材に付着した水分を乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程の後、食材にタレを付けるタレ付け工程と、このタレ付け工程の後、食材を焼くものであり、さらに、特開2001−069951号公報では、食材に蒸気を接触させて前記食材を蒸す蒸し工程と、この蒸し工程の後、前記食材を炭火で焼いて、炭の香りを前記食材に付着させるものである。
【0009】
したがって、上記各文献では焼き工程が最終工程となっているため、表面が硬く全体の形態がしっかりと維持され、歯ごたえと香ばしさの中に独特の苦味があり、しっかり焼いてあるので骨まで食べられる特徴を有するものである。
しかし、泥鰌は寿司用の具材(寿司ネタ)としては一般的ではなく、用いられていることが未だ伝わっていない。
【0010】
そこで、本発明は寿司の具材としてふさわしい加工を施した泥鰌
の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る寿司用
具材の製造方法の請求項1の発明は、泥鰌を開いて串刺しとし、タレをつけて焼いた後、蒸して柔らかくする工程、更に、押圧して扁平にする工程から成
り、串つきのまま手巻き寿司又は巻き寿司に用いることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に係る寿司用
具材の製造方法の発明は、
泥鰌を開いて串刺しとし、タレをつけて焼いた後、蒸して柔らかくする工程、次に、押圧して扁平にする工程、更に、串を抜き取る工程から成り、握り寿司又は押し寿司或いはちらし寿司に用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る寿司用
具材の製造方法の請求項1の発明において、泥鰌を開いて串刺しとし、タレをつけて焼では、従来の蒲焼の工程と同一である。
しかし、次に、蒸して柔らかくする工程により、表面の硬さが無くなり全体の形態が自由となり、串の抜き取りも容易となる効果が得られる。
【0014】
更に、押圧する工程で骨が砕かれて食べ易くなる共に、更に串の抜き取りが容易となり、扁平と成って寿司用具材として使用し易くなる効果を発揮するものである。
【0015】
そして、串付きのまま手巻き寿司、又は巻き寿司に用いることにより、串が心材と成って巻き易くなる効果があり、串が手巻き寿司、又は巻き寿司から飛び出している形態上の新規性が興味を惹き、蒸し工程と押さえ工程を経ているため串の抜き取りも極めて容易である効果を発揮するものである。
【0016】
請求項2の寿司用具材の製造方法の発明は、
前記の工程に、串を抜き取る工程を加えることによって、握り扁平となっている具材を必要により適宜大きさに切断分離すれば、扁平で形が自在な柔らかさを有するため、握り寿司の具材として使用できる効果を有し、又は押し寿司やちらし寿司に用いることも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明は、泥鰌を開いて串刺しとし、タレをつけて焼いた後、蒸して柔らかくする工程、更に、押圧して扁平にする工程から成ることを特徴とするものである。
泥を吐かせた泥鰌を生きたまま目打ちし、頭又は腹から開き、骨をつけたまま3〜4つのぶつ切りにし、タレをつけて焼く。
【0018】
一匹の泥鰌を開いてからのぶつ切りは、泥鰌の大きさや、最終的な目的の寿司の具材のネタの形状によって任意に行なうものである。
タレは、醤油と水あめに加え、皮を柔らかくするための日本酒、みりん等を適宜混ぜて好みにより行う。
【0019】
このタレをつけて焼く工程を、好みによって2〜3度繰り返して行うことも良く、泥鰌の身に味を滲み込ませると共に、しっかり焼いて骨まで食べられるようにする。
【0020】
次に、蒲焼状態となった泥鰌を串に刺したまま蒸し器に収納して蒸すことにより、焼いて硬くなった身が柔らくなり、味も内部までしみわたり落ち着くのである。
身は充分に火が通っているため、ほぐす程度の蒸加減でもよい。
【0021】
そして、蒸し終えた後に押圧することで、柔らく成っている身は容易に扁平となって、寿司の具材に相応しい形態になると共に、押圧されることで骨が適宜に折れ潰れ、食しても骨が触ることが無い状態になり、更に、身と串との密着が外れて身が崩れることなく容易に抜き取れるものとなる。
【0022】
押圧方法は、例えば、包丁の側面の平板部を利用して押圧し、或いは丸棒を回転させて押圧することができ、骨を積極的に砕くような強い加圧までの必要はなく、蒸されて柔らく成った身を扁平に成形することが主目的となっている。
したがって、扁平にすることで骨も同時に整えられて折れ砕かれることになるものである。
【0023】
この様に調理した泥鰌から串を抜き取り、必要により適宜大きに切断し、寿司ネタとして、握り寿司、押し寿司、ちらし寿司、或いは手巻き寿司や巻き寿司に利用することができるものである。
【0024】
また、泥鰌を串から抜かずに、串部がそのまま手巻き寿司や巻き寿司から突出した状態に巻き寿司を調理し、食する時に串を抜き取るものとすれば、従来にない巻き寿司の形態として提供できる。
この場合の手巻き寿司や巻き寿司は、細巻きで、串に刺さった泥鰌の幅の海苔を用い、切らずに其の儘食するのが好適であるけれど、太巻きであっても串を抜いて切り分けて食するものとしてもよい。