(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃焼器に供給される気体燃料を燃焼器に案内する燃料流路と、燃焼用空気を燃焼器に案内する空気流路と、燃焼器に供給される気体燃料と燃焼用空気の空気比を制御する空気比制御装置とを備えた燃焼システムであって、
前記空気比制御装置として、請求項1〜13のいずれか一項に記載の空気比制御装置を備える
ことを特徴とする燃焼システム。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(第1実施形態)
以下に、この発明を燃焼システム及び空気比制御装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0047】
図1に示すように、この実施形態の燃焼システムは、燃焼用空気を燃焼器101に供給する空気流路100、及び気体燃料を燃焼器101に供給する燃料流路200を備えている。
【0048】
空気流路100には、燃焼器101での気体燃料の燃焼に供される燃焼用空気を空気流路100に送り出すブロワ110が設けられている。ブロワ110は、外気を取り込み、取り込んだ外気を、気体燃料との燃焼に用いられる燃焼用空気として空気流路100に送り出す。空気流路100に送り出された燃焼用空気は、その進行方向下流に設けられて該燃焼用空気の流量を制御する空気コントロール弁120に供給される。
【0049】
空気コントロール弁120は、アクチュエータ121等を駆動源として作動することにより、ブロワ110から供給される燃焼用空気の流量を制御する。
この空気コントロール弁120の燃焼用空気の進行方向下流には、燃焼用空気の流量をその温度に応じて調節する2つの調節機構300A及び300Bが設けられている。また、調節機構300A及び300Bの間には、空気流路100の一部の流径を絞る空気用のオリフィス130が設けられている。さらに、調節機構300Bの燃焼用空気の進行方向下流には、燃焼器101に供給される燃焼用空気を予熱する熱交換器140が設けられている。
【0050】
調節機構300A及び300Bは、燃焼用空気の温度を感知し、燃料流路200を流通する気体燃料の流量を、感知した燃焼用空気の温度に応じて調節する。
なお、この実施形態の上流側の調節機構300Aは、燃焼用空気の温度の変化を、空気流路100の内部圧力と燃料流路200の内部圧力とを均圧する上流側の均圧弁210のローディング圧として取り出す。また、下流側の調節機構300Bは、燃焼用空気の温度の変化を、空気流路100の内部圧力と燃料流路200の内部圧力とを均圧する下流側の均圧弁220のローディング圧として取り出す。
【0051】
空気用のオリフィス130は、その開口131の直径が変更されることにより、当該空気用のオリフィス130が設けられた部分の空気流路100の流径を絞る。これにより、空気用のオリフィス130は、燃焼器101に供給される燃焼用空気の流量を調節する。そして、空気用のオリフィス130は、流量を調節した燃焼用空気を燃焼器101に送り出す。
【0052】
なお、空気用のオリフィス130の開口131は、燃焼用空気と燃料流路200を介して燃焼器101に供給される気体燃料との所定の温度における混合比(空気比)が、規定された理論空気比となるように設定されている。
【0053】
熱交換器140は、気温と同程度の温度の常温の燃焼用空気が供給されると、この燃焼用空気を加熱することにより、燃焼用空気の温度を例えば約「20〜40℃」から約「500℃」程度へと昇温する。熱交換器140は、昇温した燃焼用空気を燃焼器101に供給する。
【0054】
一方、燃料流路200には、2つの均圧弁210及び220が配置されている。すなわち、この実施形態の燃焼システムは、2つの均圧弁210及び220が採用されるダブル均圧弁方式となっている。
【0055】
気体燃料の進行方向の上流側の均圧弁210は、上流側の調節機構300Aによって取り出されたローディング圧に基づき作動する。また、気体燃料の進行方向の下流側の均圧弁220は、下流側の調節機構300Bによって取り出されたローディング圧に基づき作動する。そして、各均圧弁210及び220は、各ローディング圧に基づき作動することで、燃料流路200の内部圧力を変化させる。これにより、各均圧弁210及び220は、燃料流路200内に差圧を発生させる。そして、この実施形態では、こうした各均圧弁210及び220が発生させる内部圧力の変化によって、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が調節される。そして、ガス用のオリフィス230は、流量を調節した気体燃料を燃焼器101に送り出す。
【0056】
ガス用のオリフィス230は、その開口231の直径が変更されることにより、当該ガス用のオリフィス230が設けられた部分の燃料流路200の流径を絞る。これにより、ガス用のオリフィス230は、燃焼器101に供給される気体燃料の流量を調節する。ガス用のオリフィス230の開口231は、該開口231から流出する気体燃料と上記燃焼用空気との空気比が、規定された理論空気比となるように設定されている。
【0057】
燃焼器101は、空気流路100から供給された燃焼用空気と燃料流路200から供給された気体燃料とを燃焼させる。
なお、この実施形態では、調節機構300A及び300B、並びに均圧弁210及び220によって上記空気比制御装置が構成される。
【0058】
ここで、
図2(a)に示すように、上流側の均圧弁210には、内部圧力を変化させるダイヤフラム211に、燃料流路200の内部圧力を調節するバルブ212が設けられている。また、上流側の均圧弁210には、ダイヤフラム211に対してバルブ212の設置位置とは反対側に、ローディング圧Pgが導入される開口213が形成されている。
【0059】
こうした構成により、上流側の均圧弁210には、バルブ212の設置位置とは反対側からローディング圧Pgが導入される。そして、上流側の均圧弁210では、ローディング圧Pgが小さくなるとバルブ212が閉まる方向に動作する。
【0060】
これに対し、
図2(b)に示すように、下流側の均圧弁220には、内部圧力を変化させるダイヤフラム221に、燃料流路200の内部圧力を調節するバルブ222が設けられている。また、下流側の均圧弁220には、ダイヤフラム221に対してバルブ222の設置位置側に、ローディング圧Pgが導入される開口223が形成されている。
【0061】
こうした構成により、下流側の均圧弁220には、バルブ222の設置位置側からローディング圧Pgが導入される。そして、下流側の均圧弁220は、ローディング圧Pgが小さくなるとバルブ222が開く方向に動作する。
【0062】
一方、この実施の形態の調節機構300A及び300Bは、それぞれ同一の構成とされている。このため、燃焼用空気の温度上昇による均圧弁210及び均圧弁220でのローディング圧Pgの減少量は、それぞれ調節機構300A及び調節機構300Bに取り込まれる燃焼用空気の圧力Paとそこで調節される圧力の差圧ΔPtとの差で表される。
【0063】
そして、空気用のオリフィス130の上流圧力Pa1よりも同下流圧力Pa2の方が小さいことから、上流側の均圧弁210のバルブ212の閉動作に対して下流側の均圧弁220のバルブ222の開動作が小さくなる。このため、こうした上流側の均圧弁210のバルブ212の閉動作、及び下流側の均圧弁220のバルブ222の開動作により、ガス用のオリフィス230前後の差圧が低下し、気体燃料の流量は減少する。すなわち、燃焼用空気の温度が上昇すると、気体燃料の流量が減少する。
【0064】
一方、燃焼用空気の温度が上昇すると、その密度が低下する。このため、燃焼器101に供給される燃焼用空気の実質流量が低下する。しかし、この実施の形態では、上記均圧弁210及び220の作用によって、気体燃料の流量が燃焼用空気の温度上昇に応じて調節される。これにより、燃焼用空気の温度の低下に伴う実質流量の低下に応じて、気体燃料の流量が低減され、気体燃料と燃焼用空気の空気比が一定に維持されることとなる。
【0065】
次に、
図3を参照して、この実施形態の調節機構300A及び300Bを詳述する。
図3(a)に側面構造を示す調節機構300A及び300Bは、そのA−A線に沿った部分断面構造を
図3(b)に示すように、流体の温度に応じて反応する感温装置310を有している。感温装置310は、温度に応じて体積変化する変化部材311と、該変化部材311の体積変化を弁体320の移動に変換する軸312とを備えて構成される。
【0066】
変化部材311は、例えば、温度が上昇する程、膨張して体積が増加する特性を有したワックス、水銀、アルコール、オイル、バイメタル、及び形状記憶合金のいずれかによって構成される。
【0067】
また、調節機構300A及び300Bは、燃焼用空気等の流体が案内されるとともに弁体320に対向配置されて弁体320が挿入される弁口331、及び内部に弁口331が形成されて感温装置310を収容するケース330を有する。
【0068】
ケース330は、燃焼用空気をブロワ110側から燃焼器101側に案内する燃焼案内流路330Aと、燃焼用空気の流量に相関する圧力を上記均圧弁210及び220のローディング圧Pgとして取り出す取出流路330Bとを形成している。
【0069】
この実施形態では、感温装置310の軸312及び弁体320は、取出流路330Bの上流側に配置されている。
また、この実施形態では、弁口331が、軸312の配置位置よりも流体の進行方向下流にあって取出流路330Bの途中に設けられた隔壁332に形成されている。また、取出流路330Bには、大気開放用のブリーダ333が形成されている。このブリーダ333の開口面積は、弁体320と弁口331との間の開口から流出する燃焼用空気の流量とブリーダ333から流出する燃焼用空気の流量とにより発生する圧力が一定となるように形成されている。
【0070】
また、調節機構300A及び300Bを構成するケース330は、燃焼案内流路330A、取出流路330B、及び感温装置310を収容する収容ケース330Cが連結されることによって構成される。
【0071】
弁体320は、感温装置310から突出した軸312の先端にねじ込まれることにより、軸312に固定されている。
収容ケース330Cは、該収容ケース330Cと燃焼案内流路330Aとを連結する連結ケース334に、パッキン335を介してネジBT1により固定されている。また、収容ケース330Cは、パッキン336を介してネジBT2によって取出流路330Bに固定されている。そして、収容ケース330Cは、該収容ケース330Cに固定された連結ケース334が、燃焼案内流路330Aの開口339にねじ込まれることにより、燃焼案内流路330Aと連結されている。
【0072】
また、取出流路330Bには、弁口331から流出した燃焼用空気を均圧弁210(220)に案内する案内口337が形成されている。取出流路330Bは、収容ケース330Cとの取付口338に収容ケース330Cがねじ込まれることにより、収容ケース330Cと連結されている。
【0073】
こうして、
図3(a)及び(c)に示す外観を有する調節機構300A及び300Bが構成されている。
なお、この実施形態において、空気用のオリフィス130、ガス用のオリフィス230、弁口331、ブリーダ333の面積は、以下の[式1]〜[式5]に基づき設定される。この[式1]〜[式5]は、JIS−Z−8762「円形管路の絞り機構による流量測定方法−第2部:オリフィス板」の流量計算式に基づくものである。
【0075】
qm:質量流量
ΔP:差圧
ε:気体の膨張補正係数
ρ:流体の密度
C:流出係数(β、ReD及びDの関数)
【0077】
qv:体積流量
なお、[式1]における流出係数Cは、以下の式に基づき算出される。
【0078】
C=0.5961+0.0261×β
2−0.216×β
8
+0.000521×(10
6×β/ReD)
0.7
+[0.0188+0.0063×(19000×β/ReD)
0.8]
×β
3.5×(10
6/ReD)
0.3
+(0.043+0.08e
(−10ラ25.4/D)
−0.123e
(−7ラ25.4/D))
×[1−0.11×(19000×β/ReD)
0.8]
×β
4/(1−β
4)−0.031×{2×(25.4/D)/(1−β)
−0.8×[(2×(25.4/D)/(1−β))]
1.1}×β
1.3
+0.011×(0.75−β)×[2.8−(D/25.4)]
【0080】
ReD:Dに関するレイノルズ数
μ:流体粘度
【0082】
β:絞り直径比
d:絞り孔径
D:絞り機構の上流側管径
【0084】
p1:上流側圧力取出し口の圧力
p2:下流側圧力取出し口の圧力
κ:アイゼントロピック指数
κ=(定圧比熱)/(定積比熱)
ここで、気体燃料と燃焼用空気との空気比は、
図1に示される空気用のオリフィス130の流量を「Qa」、ガス用のオリフィス230の流量を「Qg」とするとき、
Qa=空気比m×A×Qg
A:理論空気量
によって示される。
【0085】
ここで、上記ダブル均圧弁方式において燃焼用空気の温度が一定のとき、空気流路100では、上記空気コントロール弁120による制御量、空気用のオリフィス130の径、及び空気流路100の配管構造によって、空気用のオリフィス130の上流圧力Pa1と下流圧力Pa2とが決定される。
【0086】
燃料流路200では、Qa=空気比m×A×Qgとなるように、ガス用のオリフィス230の上流圧力Pg1と、下流圧力Pg2とが設定されている。
一方、燃焼用空気の温度が変化すると、燃焼用空気の密度の変化に伴い燃焼用空気の実質流量が変化するために、この燃焼用空気と気体燃料との混合比(空気比)が変化する。
【0087】
そこで、この実施形態では、燃焼用空気の温度が変化すると、調節機構300A及び300Bにより作動される均圧弁210及び220が、燃料流路200を流通する気体燃料の流量を調節する。これにより、空気比が一定となるように保持されている。
【0088】
次に、この実施形態の弁体320の特性を
図4を参照して詳述する。
図4(a)に弁体320を側面から見た概略構成を示すように、弁体320は、軸312の突出方向に漸次縮径する形状をなしている。また、この実施形態の弁体320は、その基端に位置する最大径L1が、弁口331の直径よりも小さく形成されている。これにより、弁口331に弁体320が過剰に挿入されたとしても、弁体320によって弁口331が完全に塞がれることが抑止されている。
【0089】
図4(b)に、弁口331の開口面積の変位特性の一例を示すように、この実施形態では、感温装置310により感知される流体の温度変化に応じて弁口331の開口面積が直線的に変化する推移をなす。そして、弁口331の開口面積に応じて、この弁口331から流出する流体の流量が変化する。
【0090】
次に、この実施形態の調節機構300A及び300Bによる流体の流量調節の原理を
図5を参照して詳述する。
図5に示すこの実施形態の燃焼システムでは、上流側の調節機構300Aの弁口331から流出する流体の流量Qtは、以下の式(1)によって示される。
【0091】
Qt=σ√(2・ΔPt・ρa) …(1)
σ:調節機構300Aに流入される気体の温度と弁口331の開口面積とを含む関数
σ=[c×/√(1−β
4)]ε・(π/4)・d
2
ΔPt:弁口331の上流側と下流側との差圧
ρa:空気の密度
また、上流側の調節機構300Aの大気開放用のブリーダ333の流量Qt’は、以下の式(2)によって示される。
【0092】
Qt’=τ√(2・ΔPt’ρa) …(2)
τ:調節機構300Aに流入される流体の温度と大気開放用のブリーダ333の開口面積とを含む関数
τ=[c×/√(1−β
4)]ε・(π/4)・d
2
ΔPt’:ブリーダ333の上流側と下流側との差圧
ρa:空気の密度
ここで、Qt=Qt’とすると、以下の式(3)が得られる。
【0093】
σ
2ΔPt=τ
2ΔPt’ …(3)
また、空気用のオリフィス130の上流側の圧力Pa1=ΔPt+ΔPt7’、ガス用のオリフィス230の上流側の圧力Pg1=ΔPt’より、以下の式(4)が得られる。
【0094】
Pg1=Pa1・σ
2/(σ
2+τ
2) …(4)
同様にして、下流側の調節機構300Bについても、式(4)に対応する以下の式(5)が得られる。
【0095】
Pg2=Pa2・σ
2/(σ
2+τ
2) …(5)
そして、ガス用のオリフィス230の上流側の圧力Pg1及び同下流側の圧力Pg2はそれぞれ、空気用のオリフィス130の上流側の圧力Pa1及び同下流側の圧力Pa2に比例して変化することから、以下の関係式(6)が得られる。
【0096】
ΔPg=σ
2/(σ
2+τ
2)・ΔPa …(6)
ΔPg:ガス用のオリフィス230前後の差圧
ΔPa:空気用のオリフィス130前後の差圧
したがって、ブロワ110の発熱や気温の変化等により燃焼用空気の温度が変化すると、調節機構300A及び300Bの弁口331の開口面積に相関する関数σが変化することにより、気体燃料と燃焼用空気の流量比が一定になるように、ガス用のオリフィス230前後の差圧が調整される。
【0097】
そして、気体燃料と燃焼用空気の流量の比が一定に維持されることにより、気体燃料と燃焼用空気の空気比が一定に維持される。
空気用オリフィス130前後の差圧ΔPaが与えられると、式(1)〜(6)及びQa=空気比m×A×Qgによって必要なΔPgが求まる。またブリーダ333の開口面積が一定であれば、弁口331の開口面積が算出される。
【0098】
以下、本実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を
図3及び
図5〜
図7を参照して説明する。
図5に示すように、ブロワ110により供給された燃焼用空気は、空気コントロール弁120を介して、調節機構300A及び300Bに供給される。調節機構300A及び300Bに供給された燃焼用空気の一部は、
図3に示したように、各調節機構300A及び300Bの各取出流路330Bに流出する。
【0099】
各取出流路330Bに流出した燃焼用空気は、各調節機構300A及び300Bの弁体320と弁口331との間の隙間(開口)から流出する。弁体320と弁口331との間の開口から流出した燃焼用空気は、調節機構300A及び300Bの各ブリーダ333により大気中に開放される。そして、調節機構300A及び300Bの弁体320と弁口331との開口から流出する燃焼用空気の流量と各ブリーダ333から大気開放される燃焼用空気の流量とにより発生するローディング圧Pgが一定に維持される。こうして、燃焼用空気の温度が一定に維持されているときには、一定のローディング圧Pgが均圧弁210及び220に付与される。
【0100】
そして、ブロワ110の発熱や気温の変化により燃焼用空気の温度が変化すると、この温度の変化に応じて、調節機構300A及び300Bの各変化部材311が膨張することにより温度変化が感知される。
【0101】
変化部材311が膨張することにより、
図6(a)及び(b)に示すように、軸312がその突出方向に移動し、弁体320が弁口331に挿入される。そして、弁体320が軸312の突出方向に漸次縮径されているために、弁口331の開口Roの面積が次第に減少する。これにより、弁口331から流出可能な燃焼用空気の流量が減少する。
【0102】
こうした流量の減少により、均圧弁210及び220のローディング圧Pgが変化し、ガス用のオリフィス230前後の差圧が低下する。そして、ガス用のオリフィス230前後の差圧が低下したことに起因して、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が減少する。
【0103】
これにより、燃焼用空気の温度上昇に伴って空気流路100の燃焼用空気の実質流量が減少すると、燃料流路200の気体燃料の流量も減少することとなる。よって、燃焼用空気に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0104】
一方、上昇した燃焼用空気の温度が低下すると、この温度の変化に応じて、調節機構300A及び300Bの各変化部材311が収縮することにより温度変化が感知される。
調節機構300A及び300Bの各変化部材311が収縮することにより、各調節機構300A及び300Bの軸312及び弁体320がその突出方向とは反対側に移動する。すなわち、
図6(b)の位置にあった弁体320が、
図6(a)に示す位置に向かって移動する。
【0105】
そして、弁体320が軸312の突出方向に漸次縮径されているために、調節機構300A及び300Bの各弁口331の開口Roの面積が次第に増大する。これにより、調節機構300A及び300Bの各弁口331から流出可能な燃焼用空気の流量が増大する。
【0106】
こうした流量の増大により、均圧弁210及び220のローディング圧Pgが変化し、ガス用のオリフィス230前後の差圧が増大する。そして、ガス用のオリフィス230前後の差圧が増大したことに起因して、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が増大する。
【0107】
これにより、燃焼用空気の温度低下に伴って空気流路100の燃焼用空気の実質流量が増大すると、燃料流路200の気体燃料の流量も増大することとなる。よって、燃焼用空気に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0108】
なお、
図7に推移L1として示すように、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムによれば、調節機構300A及び300Bによる流量調節が行われることで、燃焼用空気の温度が変化したとしても燃焼用空気及び気体燃料の空気比が所定の目標値に維持される。
【0109】
これに対し、推移L2として示すように、従来のように、調節機構300A及び300Bによる流量調節が行われないときには、燃焼用空気の温度の変化に起因して、燃焼用空気が変動することとなる。
【0110】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)この空気比制御装置及び燃焼システムにおいては、調節機構300A及び300Bが空気流路100に設けられた。この調節機構300A及び300Bは、燃焼用空気の温度の変化を均圧弁210及び220のローディング圧Pgとして取り出した。そして、ローディング圧Pgに応じて変化する燃料流路200のガス用のオリフィス230前後の差圧により、気体燃料の流量が調節された。
【0111】
このため、燃焼用空気の温度変化に起因してその流量が変化すると、これに応じて気体燃料の流量が調節される。これにより、燃焼用空気の温度変化が発生しても、燃焼用空気及び気体燃料の空気比が一定に維持される。また、これにより、燃焼用空気や気体燃料の流量が調節機構300A及び300Bによって機械的に制御され、電子機器等を要することなく空気比の制御が可能となる。
【0112】
(2)空気流路100に熱交換器140が設けられるとき、ダブル均圧弁方式が採用された。これにより、熱交換器140により燃焼用空気が昇温されるときであっても、燃焼用空気の流量制御の精度が維持される。
【0113】
(3)調節機構300A及び300Bが、熱交換器140よりも燃焼用空気の進行方向上流に配置された。これにより、熱交換器140により昇温された燃焼用空気に調節機構300A及び300Bが晒されることがなく、調節機構300A及び300Bの耐熱部品等を割愛することが可能となる。
【0114】
(第2実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第2実施形態を、第1実施形態との相違点を中心に、
図8〜
図10を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、
図8〜
図10においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0115】
なお、この実施形態の燃焼システムも、2つの均圧弁が用いられるダブル均圧弁方式となっている。
図8に示すように、この実施形態の空気流路100には、燃焼用空気の流量調整用の一つの調節機構400aが、該空気流路100の上流側に配置される。なお、この実施の形態では、燃焼用空気の流量調整用の調節機構400aが空気流路100に配置されることで、上記空気用のオリフィス130が割愛される構成となっている。
【0116】
また、この実施形態の上流側の均圧弁210は、調節機構400aの配置位置よりも燃焼用空気の進行方向上流の空気流路100の内部圧力をローディング圧Pgとして取り出す。一方、下流側の均圧弁220は、調節機構400aの配置位置よりも燃焼用空気の進行方向下流の空気流路100の内部圧力をローディング圧Pgとして取り出す。
【0117】
図9に、この実施形態の調節機構400aを示すように、調節機構400aは、変化部材411を備えた感温装置410を有している。また、調節機構400aでは、感温装置410から突出する軸412及び弁体420が、空気流路100の上流側に配置される。また、調節機構400aの弁口431は、軸412及び弁体420の配置位置よりも燃焼用空気の進行方向下流にあってケース430の途中に設けられた隔壁432に形成されている。
【0118】
なお、この実施形態の弁体420は、軸412の突出方向にかけて直径が拡径する形状をなしている。よって、この実施形態では、低温となった燃焼用空気に反応した変化部材411が収縮するほど、弁体420の最大径に近い部分によって弁口431が塞がれ、弁口431の開口Roの面積が減少する。一方、高温となった燃焼用空気に反応した変化部材411が膨張するほど、弁体420の最小径に近い部分によって弁口431が塞がれ、弁口431の開口Roの面積が増大する。
【0119】
また、この実施形態において弁体420及び軸412の初期位置は、予め規定された最高温度のもとで変化部材411が膨張したときに、弁体420の基端に位置する最小径の部分によって弁口431が塞がれる位置となるように調節されている。
【0120】
同様に、弁体420及び軸412の初期位置は、予め規定された最低温度のもとで変化部材411が収縮したときに、弁体320の先端に位置する最大径の部分によって弁口431が塞がれる位置となるように調節されている。
【0121】
なお、この実施形態では、調節機構400aによって、上記空気比制御装置が構成される。
以下、
図10を参照して、この実施形態の調節機構400aによる流量の調節原理を説明する。
【0122】
調節機構400aの弁口431から流出する燃焼用空気の流量Qa’は、オリフィスの流量計算式に基づき、以下の式(7)によって示される。
Qa’=Ca’√(2・ΔPa’・ρa) …(7)
Ca’:調節機構400aに流入される燃焼用空気の温度と弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPa’:弁口431前後の差圧
ρa:空気の密度
したがって、ブロワ110の発熱や気温の変化等により燃焼用空気の温度が変化すると、調節機構400aの弁口431の開口面積に相関する関数Ca’が変化する。これにより、燃焼用空気の流量が調節され、気体燃料と燃焼用空気の空気比が一定に維持される。
【0123】
次に、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を
図10を参照して説明する。
図10に示すように、ブロワ110により供給された燃焼用空気は、空気コントロール弁120を介して、調節機構400aに供給される。調節機構400aに供給された燃焼用空気は、弁体420と弁口431との間の開口を介して、調節機構400aの下流に流出する。調節機構400aから流出した燃焼用空気は、熱交換器140により昇温された後に燃焼器101に供給される。
【0124】
また、調節機構400a前後の内部圧力が、ローディング圧Pgとして均圧弁210及び220に付与される。
一方、燃料流路200では、所定の装置等により供給された気体燃料が、ガス用のオリフィス230を介して燃焼器101に供給される。そして、この気体燃料の流量は、調節機構400a前後の内部圧力に基づき制御される上流側の均圧弁210と下流側の均圧弁220とによって決定される。
【0125】
そして、こうして燃焼器101に供給された燃焼用空気及び気体燃料が所定の空気比のもとに燃焼される。ここで、ブロワ110の発熱や気温の変化により燃焼用空気の温度が上昇すると、この温度上昇に応じて、調節機構400aの変化部材411が膨張することにより燃焼用空気の温度変化が感知される。
【0126】
変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が増大し、弁口431の下流における燃焼用空気の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した燃焼用空気の実質流量が補填される。
【0127】
一方、燃料流路200では、気体燃料の流量が維持されることにより、この気体燃料の実質流量と温度の上昇した燃焼用空気の実質流量との均衡が維持される。よって、燃焼用空気に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0128】
逆に、燃焼用空気の温度の低下に伴い変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった燃焼用空気の実質流量が維持される。
【0129】
一方、燃料流路200では、気体燃料の流量が維持されることにより、この気体燃料の実質流量と温度の低下した燃焼用空気の実質流量との均衡が維持される。よって、燃焼用空気に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0130】
従って、この実施形態によれば、前記(2)、(3)の効果が得られるとともに、前記(1)に代えて以下のような効果を得ることができる。
(1A)この実施形態の空気流路100には、燃焼用空気の流量調整用の一つの調節機構400aが、上記空気用のオリフィス130に代えて配置された。このため、調節機構400aによって、空気流路100の燃焼用空気の流量が直接制御される。これにより、燃焼用空気の調節精度が向上される。また、空気用のオリフィス130が不要となり、燃焼システムとしての構成の簡略化が図られることとなる。
【0131】
(第3実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第3実施形態を、第1実施形態との相違点を中心に、
図11を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、
図11においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0132】
なお、この実施形態の燃焼システムも、2つの均圧弁が用いられるダブル均圧弁方式となっている。
図11に示すように、この実施形態の燃焼システムは、先の
図1に示した燃焼システムにおいて、ガス用のオリフィス230に代えて、気体燃料の流量調整用の調節機構400gが燃料流路200に配置される構成となっている。なお、気体燃料の流量調整用の調節機構400gは、上記燃焼用空気の流量調整用の調節機構400aと同一の構成となっている。
【0133】
調節機構400gは、燃料流路200を流通する気体燃料の流量をその温度に応じて調節する。すなわち、調節機構400gでは、気体燃料の温度に応じて軸412及び弁体420が移動することにより、気体燃料の温度が高いほど気体燃料の流量が増大され、気体燃料の温度が低いほど気体燃料の流量が減少される。これにより、気体燃料の温度変化に伴い実質流量が変化しても、燃焼器101に供給される気体燃料の実質流量が維持されることとなる。
【0134】
なお、この実施形態では、調節機構300A及び300B、調節機構400g、並びに均圧弁210及び220によって、上記空気比制御装置が構成される。
ここで、上記ガス用のオリフィス230に代えて配置された調節機構400g前後の差圧ΔPg’は、先の第1実施形態の上記式(6)に基づき、以下の式(8)によって示される。
【0135】
ΔPg’=σ
2/(σ
2+τ
2)・ΔPa …(8)
また、調節機構400gの弁口431から流出する気体燃料の流量Qg’は、以下の式(9)によって示される。
【0136】
Qg’=Cg’√(2・ΔPg’・ρg) …(9)
Cg’:調節機構400gに流入される気体燃料の温度と該調節機構400gの弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPg’:弁口431前後の差圧
ρg:ガスの密度
そして、上記式(8)、(9)に示す関係のもと、気体燃料の温度に応じて調節機構400gの開口面積が変化し、この開口面積に応じて気体燃料の流量が変化する。
【0137】
以下、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を説明する。
まず、燃焼用空気の温度が上昇もしくは低下すると、先の第1実施形態と同様に、調節機構300A及び300Bにより取り出される各ローディング圧Pgにより、均圧弁210及び220の内部圧力が調節される。これにより、均圧弁210及び220が発生させる調節機構400g前後の差圧に応じて、気体燃料の流量が調節され、この気体燃料と燃焼用空気との空気比が維持される。
【0138】
これに対し、外気温の変化や気体燃料の供給源の状態の変化等に起因して、気体燃料の温度が上昇すると、燃料流路200に設けられた調節機構400gの変化部材411が膨張することにより気体燃料の温度変化が感知される。
【0139】
変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、弁口431から流出可能な気体燃料の流量が増大し、弁口431を介して燃焼器101に供給される気体燃料の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した気体燃料の実質流量が補填される。
【0140】
一方、空気流路100では、燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の上昇した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0141】
逆に、気体燃料の温度の低下に伴い変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、弁口431から流出可能な気体燃料の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった気体燃料の実質流量が維持される。
【0142】
そして、空気流路100では、気体燃料に温度変化が生じても、燃焼用空気に温度変化が生じない限り燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の低下した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0143】
よって、この実施形態では、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が、燃焼用空気の温度に応じて調節されるとともに気体燃料の温度に応じて調節される。
従って、この実施形態によれば、前記(1)〜(3)の効果が得られるとともに、さらに以下のような効果を得ることができる。
【0144】
(4)気体燃料の流量調節用の調節機構400gが、燃料流路200のガス用のオリフィス230に代えて、燃料流路200に配置された。そして、調節機構400gの弁口431の開口面積が調節されることにより、弁口431の隙間から流出する気体燃料の流量が調節された。
【0145】
このため、燃料流路200を流通する気体燃料は、均圧弁210及び220が発生させる差圧に応じて調節されるとともに、燃料流路200を流通する気体燃料の温度に応じて調節される。よって、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が、燃焼用空気の温度及び気体燃料の温度の双方の観点から調節される。これにより、燃焼用空気の温度及び気体燃料の温度の双方に応じた空気比の制御が行われることとなり、空気比の制御がより高精度に行われることとなる。
【0146】
(第4実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第4実施形態を、第2実施形態との相違点を中心に、
図12を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第2実施形態と同等であり、
図12においても第2実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0147】
なお、この実施形態の燃焼システムも、2つの均圧弁が用いられるダブル均圧弁方式となっている。
図12に示すように、この実施形態の燃焼システムは、燃焼用空気用の流量調節用の調節機構として調節機構400aが、空気流路100における空気コントロール弁120と熱交換器140との間に配置される。なお、この実施の形態では、空気用のオリフィス130の機能を併せ持つ調節機構400aが空気流路100に設けられることで、空気流路100の上記空気用のオリフィス130が割愛される構成となる。
【0148】
また、この実施の形態では、気体燃料の流量調節用の調節機構400gが、上記ガス用のオリフィス230に代えて燃料流路200に配置される。
そして、この実施形態では、燃焼用空気用の流量調節用の調節機構400a及び気体燃料の流量調節用の調節機構400gにより、上記空気比制御装置が構成される。
【0149】
ここで、調節機構400aの弁口431から流出する燃料用空気の流量Qa’は、先の第2実施形態の上記式(7)と同様に、以下の式(10)によって示される。
Qa’=Ca’√(2・ΔPa’・ρa)…(10)
Ca’=調節機構400aに流入される燃焼用空気の温度と弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPa’:弁口431前後の差圧
ρa:空気の密度
また、気体燃料の流量調節用の調節機構400gの弁口431から流出する気体燃料の流量Qg’は、先の第3実施形態の式(9)と同様に以下の式(11)によって示される。
【0150】
Qg’=Cg’√(2・ΔPg’・ρg) …(11)
Cg’:調節機構400gに流入される気体燃料の温度と弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPg’:弁口431前後の差圧
ρg:ガスの密度
そして、上記式(10)、(11)に示す関係のもと、気体燃料の温度に応じて調節機構400gの開口面積が変化し、この開口面積に応じて気体燃料の流量が変化する。
【0151】
以下、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を説明する。
まず、ブロワ110の発熱や気温の変化により燃焼用空気の温度が上昇すると、この温度の変化に応じて、燃焼用空気の流量調節用の調節機構400aの変化部材411が膨張することにより燃焼用空気の温度変化が感知される。
【0152】
燃焼用空気用の調節機構400aの変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、燃焼用空気用の調節機構400aの弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、燃焼用空気用の調節機構400aの弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が増大し、弁口431の下流における燃焼用空気の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した燃焼用空気の実質流量が補填される。
【0153】
一方、燃料流路200では、気体燃料の流量が維持されることにより、この気体燃料の実質流量と温度の上昇した燃焼用空気の実質流量との均衡が維持される。よって、燃焼用空気に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0154】
逆に、燃焼用空気の温度の低下に伴い燃焼用空気用の調節機構400aの変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、燃焼用空気用の調節機構400aの弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった燃焼用空気の実質流量が維持される。
【0155】
これに対し、外気温の変化や気体燃料の供給源の状態の変化等に起因して、気体燃料の温度が上昇すると、この温度の変化に応じて、気体燃料の流量調節用の調節機構400gの変化部材411が膨張することにより気体燃料の温度変化が感知される。
【0156】
気体燃料用の調節機構400gの変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、気体燃料用の調節機構400gの弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、気体燃料用の調節機構400gの弁口431から流出可能な気体燃料の流量が増大し、弁口431を介して燃焼器101に供給される気体燃料の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した気体燃料の実質流量が補填される。
【0157】
一方、空気流路100では、燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の上昇した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0158】
逆に、気体燃料の温度の低下に伴い気体燃料用の調節機構400gの変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、調節機構400gの弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、気体燃料用の調節機構400gの弁口431から流出可能な気体燃料の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった気体燃料の実質流量が維持される。
【0159】
そして、空気流路100では、気体燃料に温度変化が生じても、燃焼用空気に温度変化が生じない限り燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の低下した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0160】
従って、この実施形態によれば、前記(2)、(3)の効果が得られるとともに、さらに以下のような効果を得ることができる。
(5)空気流路100に、燃焼用空気の流量調節用の調節機構400aが設けられた。また、燃料流路200に、気体燃料の流量調節用の調節機構400gが設けられた。
【0161】
このため、空気流路100を流通する燃焼用空気の温度が変化したときには、燃焼用空気用の調節機構400aによって燃焼用空気の流量のみが調節される。また、燃料流路200を流通する気体燃料の温度が変化したときには、気体燃料用の調節機構400gによって気体燃料の流量のみが調節される。これにより、燃焼用空気や気体燃料の各温度に応じて、空気流路100及び燃料流路200を流通する燃焼用空気及び気体燃料の流量が調節される。よって、燃焼用空気及び気体燃料の流量の双方が一定の空気比が維持される態様で調節されることとなり、より高精度に空気比の制御が行われることとなる。なお、この構成によれば、以下に説明する実施形態も含めた第1〜第8実施形態の中で、空気比の制御精度を最も高くすることが可能となる。
【0162】
(第5実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第5実施形態を、第1実施形態との相違点を中心に、
図13を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、
図13においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0163】
なお、この実施形態の燃焼システムは、1つの均圧弁が用いられるシングル均圧弁方式となっている。
図13に示すように、この実施形態の燃焼システムは、空気流路100に燃焼用空気の流量調節用の一つの調節機構300Aが設けられている。調節機構300Aは、空気コントロール弁120と空気用のオリフィス130との間に設けられている。調節機構300Aは、空気流路100を流通する燃焼用空気の流量の変化を、ローディング圧Pgとして取り出す。そして、調節機構300Aは、取り出したローディング圧Pgを、燃料流路200に設けられた一つの均圧弁210に付与する。
【0164】
また、この実施形態の空気流路100には、燃焼用空気を予熱するための熱交換器140が配置されておらず、これに対応してシングル均圧弁方式が採用されている。
均圧弁210は、ガス用のオリフィス230よりも気体燃料の進行方向上流に配置されている。この実施形態の均圧弁210は、燃料流路200の内部圧力を、調節機構300Aから付与されるローディング圧Pgに応じて調節する。そして、この燃料流路200の内部圧力が調節されることにより、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が変化する。
【0165】
ここで、この実施形態の調節機構300Aの弁口331から流出する燃焼用空気の流量Qtは、以下の式(12)によって示される。
Qt=σ√(2・ΔPt・ρa) …(12)
σ:調節機構300Aに流入される燃焼用空気の温度と弁口331の開口面積とを含む関数
σ=[c×/√(1−β
4)]ε・(π/4)・d
2
ΔPt:弁口331の上流側と下流側との差圧
ρa:空気の密度
また、調節機構300Aの大気開放用のブリーダ333から流出する燃焼用空気の流量Qt’は、以下の式(13)によって示される。
【0166】
Qt’=τ√(2・ΔPt’ρa) …(13)
τ:調節機構300Aに流入される燃焼用空気の温度とブリーダ333の開口面積とを含む関数
τ=[c×/√(1−β
4)]ε・(π/4)・d
2
ΔPt’:ブリーダ333の上流側と下流側との差圧
ρa:空気の密度
ここで、Qt=Qt’とすると、以下の式(14)が得られる。
【0167】
σ
2ΔPt=τ
2ΔPt’…(14)
また、空気用のオリフィス130の上流側の圧力Pa1=ΔPt+ΔPt’、ガス用のオリフィス230の上流側の圧力Pg1=ΔPt’より、以下の式(15)が得られる。
【0168】
Pg1=σ
2/(σ
2+τ
2)・Pa1 …(15)
そして、熱交換器がなく、Pa2=Pg2となるように設定されていることから、以下の関係式(16)が得られる。
【0169】
ΔPg=σ
2/(σ
2+τ
2)・ΔPa …(16)
したがって、ブロワ110の発熱や気温の変化等により燃焼用空気の温度が変化すると、調節機構300Aの弁口331の開口面積に相関する関数σが変化することにより、気体燃料と燃焼用空気の流量比が一定に維持されることにより、気体燃料と燃焼用空気の空気比が一定に維持される。
【0170】
なお、ブリーダ333の開口面積は一定であるため、ガス用のオリフィス230前後の差圧ΔPgが適切な値に設定されるための弁口331の開口面積が一意的に算出されることとなる。
【0171】
以下、本実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を説明する。
ブロワ110により供給された燃焼用空気は、空気コントロール弁120を介して、調節機構300Aに供給される。調節機構300Aに供給された燃焼用空気の一部は、調節機構300Aの取出流路330Bに流出する。
【0172】
取出流路330Bに流出した燃焼用空気は、弁体320と弁口331との間の隙間(開口)から流出する。弁体320と弁口331との間の開口から流出した燃焼用空気は、ブリーダ333により大気中に開放される。そして、弁体320と弁口331との開口から流出する燃焼用空気の流量とブリーダ333から大気開放される燃焼用空気の流量とにより発生するローディング圧Pgが一定に維持される。こうして、燃焼用空気の温度が一定に維持されているときには、一定のローディング圧Pgが均圧弁210に付与される。
【0173】
そして、ブロワ110の発熱や気温の変化により燃焼用空気の温度が上昇すると、この温度上昇に応じて、調節機構300Aの変化部材311が膨張することにより温度変化が感知される。
【0174】
変化部材311が膨張することにより軸312がその突出方向に移動し、弁体320が弁口331に挿入される。そして、弁体320が軸312の突出方向に漸次縮径されているために、弁口331の開口面積が次第に減少する。これにより、弁口331から流出可能な燃焼用空気の流量が減少する。
【0175】
こうした流量の減少により、均圧弁210のローディング圧Pgが低下する。そして、均圧弁210は、先の
図2(a)に例示したように、バルブ212の設置位置とは反対側からローディング圧Pgが導入されることにより、ローディング圧Pgが小さくなるとバルブ212が閉まる方向に動作する。
【0176】
バルブ212が閉まる方向に動作することにより、均圧弁210により付与される燃料流路200の内部圧力が増大し、燃料流路200で圧損が生じる。そして、この圧損により、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が減少する。
【0177】
これにより、燃焼用空気の温度上昇に伴って空気流路100の燃焼用空気の実質流量が減少すると、燃料流路200の気体燃料の流量も減少することとなる。よって、燃焼用空気に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0178】
一方、上昇した燃焼用空気の温度が低下すると、この温度の変化に応じて、調節機構300Aの変化部材311が収縮することにより温度変化が感知される。
変化部材311が収縮することにより、軸312及び弁体320がその突出方向とは反対側に移動する。そして、弁体320が軸312の突出方向に漸次縮径されているために、弁口331の開口面積が次第に増大する。これにより、弁口331から流出可能な燃焼用空気の流量が増大する。
【0179】
こうした流量の増大により、均圧弁210のローディング圧Pgが高まる。そして、均圧弁210は、先の
図2(a)に例示したように、バルブ212の設置位置とは反対側からローディング圧Pgが導入されることにより、ローディング圧Pgが上昇するとバルブ212が開く方向に動作する。
【0180】
バルブ212が開く方向に動作することにより、均圧弁210により付与される燃料流路200の内部圧力が減少し、燃料流路200で生じる圧損が減少する。そして、この圧損の減少により、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が増大する。
【0181】
これにより、燃焼用空気の温度低下に伴って空気流路100の燃焼用空気の実質流量が増大すると、燃料流路200の気体燃料の流量も増大することとなる。よって、燃焼用空気に温度低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0182】
従って、この実施形態によれば、前記(1)〜(3)の効果に代えて以下のような効果を得ることができる。
(1B)空気流路100に熱交換器140が設けられないとき、シングル均圧弁方式が採用された。また、空気流路100には、一つの調節機構300Aが設けられた。燃料流路200には、調節機構300Aにより取り出されたローディング圧Pgが付与される一つの均圧弁210が設けられた。
【0183】
このため、空気流路100を流通する燃焼用空気の温度が変化し、その流量が変化すると、均圧弁210が動作することにより燃料流路200の内部圧力が変化する。そして、この内部圧力が変化することにより、気体燃料の流量が調節される。これにより、一つの調節機構300A及び均圧弁210により、気体燃料の流量が燃焼用空気の温度に応じて調節され、空気比が一定に維持される。よって、より簡易な構成により、気体燃料と燃焼用空気の空気比が維持されることとなる。
【0184】
(第6実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第6実施形態を、第2実施形態との相違点を中心に、
図14を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第2実施形態と同等であり、
図14においても第2実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0185】
なお、この実施形態の燃焼システムは、1つの均圧弁が用いられるシングル均圧弁方式となっている。
図14に示すように、この実施形態の燃焼システムは、燃焼用空気の流量調整用の一つの調節機構400aが空気流路100に設けられている。調節機構400aは、空気流路100の上流側に配置されている。また、この調節機構400aは、上記空気用のオリフィス130に代えて空気流路100に配置される。
【0186】
また、この実施形態の空気流路100には、燃焼用空気を予熱するための熱交換器140が配置されておらず、これに対応してシングル均圧弁方式が採用されている。
燃料流路200には、均圧弁210及びガス用のオリフィス230が配置されている。均圧弁210は、空気コントロール弁120と調節機構400aとの間の内部圧力をローディング圧Pgとして取り出す。
【0187】
調節機構400aの弁口431から流出する燃焼用空気の流量Qa’は、先の第2実施形態の上記式(7)と同様に、以下の式(17)によって示される。
Qa’=Ca’√(2・ΔPa’・ρa) …(17)
Ca’:調節機構400aに流入される燃焼用空気の温度と弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPa’:弁口431前後の差圧
ρa:空気の密度
したがって、ブロワ110の発熱や気温の変化等により燃焼用空気の温度が変化すると、調節機構400aの弁口431の開口面積に相関する関数Ca’が変化する。これにより、燃焼用空気の流量が調節され、気体燃料と燃焼用空気の空気比が一定に維持される。
【0188】
次に、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を説明する。
ブロワ110により供給された燃焼用空気は、空気コントロール弁120を介して、調節機構400aに供給される。調節機構400aに供給された燃焼用空気は、弁体420と弁口431との間の開口を介して、調節機構400aの下流に流出する。調節機構400aから流出した燃焼用空気は、燃焼器101に供給される。
【0189】
また、空気コントロール弁120と調節機構400aとの間の内部圧力が、ローディング圧Pgとして均圧弁210に付与される。
一方、調節機構400aでは、所定の装置等により供給された気体燃料が、ガス用のオリフィス230を介して燃焼器101に供給される。そして、この気体燃料の流量は、空気コントロール弁120と調節機構400aとの間の内部圧力に基づき制御される均圧弁210によって決定される。
【0190】
こうして、燃焼器101に供給された燃焼用空気及び気体燃料が所定の空気比のもとに燃焼される。
そして、ブロワ110の発熱や気温の変化により燃焼用空気の温度が上昇すると、この温度上昇に応じて、調節機構400aの変化部材411が膨張することにより燃焼用空気の温度変化が感知される。
【0191】
変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が増大し、弁口431の下流における燃焼用空気の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した燃焼用空気の実質流量が補填される。
【0192】
一方、燃料流路200では、気体燃料の流量は当該気体燃料の温度に変化がないために維持されている。そして、この気体燃料の実質流量と、上記変化部材411の作動を通じて調節された燃焼用空気の実質流量とが互いに均衡する。このように、この気体燃料の実質流量と温度の上昇した燃焼用空気の実質流量との均衡が維持されることで、燃焼用空気に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0193】
逆に、燃焼用空気の温度の低下に伴い変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった燃焼用空気の実質流量が維持される。
【0194】
一方、燃料流路200では、気体燃料の流量が維持されることにより、この気体燃料の実質流量と温度の低下した燃焼用空気の実質流量との均衡が維持される。よって、燃焼用空気に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0195】
従って、この実施形態によれば、前記(1)〜(3)の効果に代えて以下のような効果を得ることができる。
(1C)空気流路100に熱交換器140が設けられないとき、シングル均圧弁方式が採用された。また、空気流路100には、空気用のオリフィス130に代えて一つの調節機構400aが設けられた。
【0196】
このため、空気流路100を流通する燃焼用空気の流量が、その温度に応じて、一つの調節機構400aにより調節される。これにより、一つの調節機構400aにより、気体燃料の流量が燃焼用空気の温度に応じて調節され、空気比が一定に維持される。よって、より簡易な構成により、気体燃料と燃焼用空気の空気比が維持されることとなる。なお、この構成では、第1〜第8実施形態の中で燃焼システム及び空気比制御装置としての構成が最も簡易なものとなり、コストの一層の低減が図られることとなる。
【0197】
(第7実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第7実施形態を、第1実施形態との相違点を中心に、
図15を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第1実施形態と同等であり、
図15においても第1実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0198】
なお、この実施形態の燃焼システムは、1つの均圧弁が用いられるシングル均圧弁方式となっている。
図15に示すように、この実施形態の燃焼システムは、先の
図13に例示した燃焼システムにおいて、気体燃料の流量調整用の一つの調節機構400gが、ガス用のオリフィス230に代えて燃料流路200に配置される構成となっている。
【0199】
また、この実施形態の空気流路100には、燃焼用空気を予熱するための熱交換器140が配置されておらず、これに対応してシングル均圧弁方式が採用されている。
調節機構400gは、燃料流路200を流通する気体燃料の流量をその温度に応じて調節する。すなわち、調節機構400gは、気体燃料の温度に応じて移動することにより、気体燃料の温度が高いほど気体燃料の流量を増大させ、気体燃料の温度が低いほど気体燃料の流量を減少させる。これにより、気体燃料の温度変化に伴い実質流量が変化しても、燃焼器101に供給される気体燃料の流量が維持されることとなる。
【0200】
なお、この実施形態では、調節機構300A、調節機構400g、及び均圧弁210によって、上記空気比制御装置が構成される。
ここで、上記ガス用のオリフィス230に代えて配置された調節機構400g前後の差圧ΔPg’は、先の第1実施形態の上記式(6)に基づき、以下の式(18)によって示される。
【0201】
ΔPg’=σ
2/(σ
2+τ
2)・ΔPa …(18)
また、調節機構400gの弁口431から流出する気体燃料の流量Qgは、先の第2実施形態の上記式(9)と同様に、以下の式(19)によって示される。
【0202】
Qg’=Cg’√(2・ΔPg’・ρg) …(19)
Cg’:調節機構400gに流入される気体燃料の温度と該調節機構400gの弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPg’:弁口431前後の差圧
ρg:ガスの密度
そして、上記式(18)、(19)に示す関係のもと、気体燃料の温度に応じて調節機構400gの開口面積が変化し、この開口面積に応じて気体燃料の流量が変化する。
【0203】
以下、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を説明する。
まず、燃焼用空気の温度が上昇もしくは低下すると、先の第1実施形態と同様に、調節機構300Aにより取り出されるローディング圧Pgにより、均圧弁210の内部圧力が調節される。これにより、均圧弁210が発生させる調節機構400g前後の差圧に応じて、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が調節され、この気体燃料と燃焼用空気との空気比が維持される。
【0204】
これに対し、外気温の変化や気体燃料の供給源の状態の変化等に起因して、気体燃料の温度が上昇すると、この温度上昇に応じて、調節機構400gの変化部材411が膨張することにより気体燃料の温度変化が感知される。
【0205】
変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、弁口431から流出可能な気体燃料の流量が増大し、弁口431を介して燃焼器101に供給される気体燃料の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した気体燃料の実質流量が補填される。
【0206】
一方、空気流路100では、燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の上昇した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0207】
逆に、気体燃料の温度の低下に伴い変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、弁口431から流出可能な気体燃料の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった気体燃料の実質流量が維持される。
【0208】
そして、空気流路100では、気体燃料に温度変化が生じても、燃焼用空気に温度変化が生じない限り燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の低下した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0209】
よって、この実施形態では、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が、燃焼用空気の温度に応じて調節されるとともに気体燃料の温度に応じて調節される。
従って、この実施形態によれば、前記(1B)の効果が得られるとともに、さらに以下のような効果を得ることができる。
【0210】
(6)燃料流路200のガス用のオリフィス230に代えて、気体燃料の流量調整用の調節機構400gが燃料流路200に配置された。そして、調節機構400gの弁口431の開口面積が調節されることにより、弁口431の隙間から流出する気体燃料の流量が調節された。
【0211】
このため、燃料流路200を流通する気体燃料は、均圧弁210が発生させる内部圧力の変化に応じて調節されるとともに、燃料流路200を流通する気体燃料の温度に応じて調節される。よって、燃料流路200を流通する気体燃料の流量が、燃焼用空気の温度及び気体燃料の温度の双方の観点から調節される。これにより、燃焼用空気の温度及び気体燃料の温度の双方に応じた空気比の制御が行われることとなり、空気比の制御がより高精度に行われることとなる。
【0212】
(第8実施形態)
以下に、この発明を具体化した空気比制御装置及び燃焼システムの第8実施形態を、第2実施形態との相違点を中心に、
図16を参照して説明する。なお、この実施形態にかかる空気比制御装置及び燃焼システムも、その基本的な構成は第2実施形態と同等であり、
図16においても第2実施形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0213】
なお、この実施形態の燃焼システムは、1つの均圧弁が用いられるシングル均圧弁方式となっている。
また、この実施形態の空気流路100には、燃焼用空気を予熱するための熱交換器140が配置されておらず、これに対応してシングル均圧弁方式が採用されている。
【0214】
図16に示すように、この実施形態の燃焼システムは、燃焼用空気用の流量調節用の調節機構として調節機構400aが、空気流路100における空気コントロール弁120と燃焼器101との間に配置される。なお、この実施の形態では、空気用のオリフィス130の機能を併せ持つ調節機構400aが空気流路100に設けられることで、空気流路100の上記空気用のオリフィス130が割愛される構成となる。
【0215】
また、気体燃料の流量調節用の調節機構として調節機構400gが、上記ガス用のオリフィス230に代えて燃料流路200に配置される。そして、この実施の形態では、ガス用のオリフィス230の機能を併せ持つ調節機構400gが燃料流路200に設けられることで、燃料流路200の上記ガス用のオリフィス230が割愛される構成となる。
【0216】
そして、この実施形態では、燃焼用空気用の流量調節用の調節機構400a及び気体燃料の流量調節用の調節機構400gにより、上記空気比制御装置が構成される。
ここで、調節機構400gの弁口431から流出する燃焼用空気の流量Qa’は、先の第2実施形態の上記式(7)と同様に、以下の式(20)によって示される。
【0217】
Qa’=Ca’√(2・ΔPa’・ρa) …(20)
Ca’:調節機構400aに流入される燃焼用空気の温度と弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPa’:弁口431前後の差圧
ρa:空気の密度
また、気体燃料の流量調節用の調節機構400gの弁口431から流出する気体燃料の流量Qg’は、先の第3実施形態の式(9)と同様に以下の式(21)によって示される。
【0218】
Qg’=Cg’√(2・ΔPg’・ρg) …(21)
Cg’:調節機構400gに流入される気体燃料の温度と該調節機構400gの弁口431の開口面積とを含む関数
ΔPg’:弁口431前後の差圧
ρg:ガスの密度
そして、上記式(20)、(21)に示す関係のもと、気体燃料の温度に応じて調節機構400gの開口面積が変化し、この開口面積に応じて気体燃料の流量が変化する。
【0219】
以下、この実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムの作用を説明する。
まず、ブロワ110の発熱や気温の変化により燃焼用空気の温度が上昇すると、この温度上昇に応じて、燃焼用空気の流量調節用の調節機構400aの変化部材411が膨張することにより燃焼用空気の温度変化が感知される。
【0220】
燃焼用空気用の調節機構400aの変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、燃焼用空気用の調節機構400aの弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、燃焼用空気用の調節機構400aの弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が増大し、弁口431の下流における燃焼用空気の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した燃焼用空気の実質流量が補填される。
【0221】
一方、燃料流路200では、気体燃料の流量が維持されることにより、この気体燃料の実質流量と温度の上昇した燃焼用空気の実質流量との均衡が維持される。よって、燃焼用空気に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0222】
逆に、燃焼用空気の温度の低下に伴い燃焼用空気用の調節機構400aの変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、燃焼用空気用の調節機構400aの弁口431から流出可能な燃焼用空気の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった燃焼用空気の実質流量が維持される。
【0223】
これに対し、外気温の変化や気体燃料の供給源の状態の変化等に起因して、気体燃料の温度が上昇すると、この温度上昇に応じて、気体燃料の流量調節用の調節機構400gの変化部材411が膨張することにより気体燃料の温度変化が感知される。
【0224】
気体燃料用の調節機構400gの変化部材411が膨張すると、軸412がその突出方向に移動し、弁体420が初期位置から移動する。そして、気体燃料用の調節機構400gの弁体420が軸412の突出方向に漸次拡径されているために、弁口431の開口面積が次第に増大する。これにより、気体燃料用の調節機構400gの弁口431から流出可能な気体燃料の流量が増大し、弁口431を介して燃焼器101に供給される気体燃料の実質流量が維持される。よって、温度上昇に伴い密度が低下した気体燃料の実質流量が補填される。
【0225】
一方、空気流路100では、燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の上昇した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度上昇が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0226】
逆に、気体燃料の温度の低下に伴い気体燃料用の調節機構400gの変化部材411が収縮すると、軸412及び弁体420がその突出方向と反対側に移動することにより、調節機構400gの弁口431の開口面積が次第に減少する。これにより、気体燃料用の調節機構400gの弁口431から流出可能な気体燃料の流量が減少し、温度低下のために密度の高まった気体燃料の実質流量が維持される。
【0227】
そして、空気流路100では、気体燃料に温度変化が生じても、燃焼用空気に温度変化が生じない限り燃焼用空気の流量が維持されることにより、この燃焼用空気の実質流量と温度の低下した気体燃料の実質流量との均衡が維持される。よって、気体燃料に温度の低下が生じても、燃焼用空気と気体燃料との空気比が一定に維持されることとなる。
【0228】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(7)空気流路100に、燃焼用空気の流量調節用の調節機構400aが設けられた。また、燃料流路200に、気体燃料の流量調節用の調節機構400gが設けられた。
【0229】
このため、空気流路100を流通する燃焼用空気の温度が変化したときには、燃焼用空気用の調節機構400aによって燃焼用空気の流量のみが調節される。また、燃料流路200を流通する気体燃料の温度が変化したときには、気体燃料用の調節機構400gによって気体燃料の流量のみが調節される。これにより、燃焼用空気や気体燃料の各温度に応じて、空気流路100及び燃料流路200を流通する燃焼用空気及び気体燃料の流量が調節される。よって、燃焼用空気及び気体燃料の流量の双方が一定の空気比が維持される態様で調節されることとなり、より高精度に空気比の制御が行われることとなる。なお、この構成によれば、先の第4実施形態の空気比制御装置及び燃焼システムと同様のレベルで空気比の制御精度を高くすることが可能となる。
【0230】
また、調節機構400gがガス用のオリフィス230に代替する機能を有することで、ガス用のオリフィス230を割愛することが可能となる。また、調節機構400aが空気用のオリフィス130に代替する機能を有することで、空気用のオリフィス130を割愛することが可能となる。これにより、燃焼システムとしてのさらなる簡略化が図られることとなる。
【0231】
(変形例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・変化部材を、ワックス、水銀、アルコール、オイル、バイメタル、及び形状記憶合金の他、燃焼用空気や気体燃料の温度の上昇に応じて膨張する特性を有した材料によって構成すること。また、変化部材を、ワックス、水銀、アルコール、オイル、バイメタル、及び形状記憶合金の他、燃焼用空気や気体燃料の温度の低下に応じて収縮する特性を有した材料によって構成すること。
【0232】
・
図17に示すように、空気流路100には流量調節用の調節機構を設けず、燃料流路200には均圧弁210及び気体燃料の流量調整用の調節機構400gが設けられる構成とすること。
【0233】
・
図19に示すように、
図19(a)に示す上記弁体320に代えて、
図19(b)〜(e)に示すように、基端から先端にかけて段階的に縮径する弁体320b〜320eを採用すること。なお、温度に対して、軸変位量が
図18に示す推移Sb〜Seのような場合に
図19(b)〜(e)のようなバルブを取り付けることで開口面積を直線的に変化させる。また、上記弁体320に代えて、
図19(f)、(g)のような、基端から先端にかけて段階的に縮径する弁体320f、320gを採用することも可能である。
【0234】
・調節機構300A及び300Bの弁体として、
図20(a)に示すように、基端から先端にかけて直径が同一の弁体320aを用いること。また、この弁体320aの弁口として、流体の進行方向下流にかけて縮径する弁口331aを形成すること。なお、この構成でも、
図20(b)に示すように、弁体320aが軸312の突出する方向に移動するほど、弁体320aと弁口331aとの間の開口Roが小さくなる。
【0235】
・同様に、調節機構400a及び400gの弁体として、基端から先端にかけて同一の直径を有する弁体を用いること。また、調節機構400a及び400gの弁体として、流体の進行方向下流にかけて拡径する弁口を形成すること。
【0236】
・弁体の直径を弁口の直径以下とすること。
・この他、調節機構300A及び300B、調節機構400a及び400gの弁体や弁口の形状は、弁体が弁口に挿入されることで、弁体と弁口との間の流出する流体の流量が変化する形状であればよい。
【0237】
・空気流路100に、3つ以上の調節機構を設けること。また、燃料流路200に、3つ以上の調節機構を設けること。
・空気流路100に熱交換器140が設けられないときにも、ダブル均圧弁方式を採用すること。また、空気流路100に熱交換器140が設けられるときに、シングル均圧弁方式を採用すること。
【0238】
・空気流路100と燃料流路200とが燃焼器101の手前で合流するとともに、合流地点から燃焼器101まで一つの流路が設けられること。これによれば、空気流路100を流通する燃焼用空気と燃料流路200を流通する気体燃料とが混合されたのちに、燃焼器101に案内される。