特許第6170754号(P6170754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170754半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170754
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/314 20060101AFI20170713BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20170713BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H01L21/314 A
   H01L21/31 C
   C23C16/455
【請求項の数】6
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-127264(P2013-127264)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-2312(P2015-2312A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐野 敦
(72)【発明者】
【氏名】▲ひろせ▼ 義朗
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 司
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0149873(US,A1)
【文献】 特開2009−065203(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027549(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/054655(WO,A1)
【文献】 特開2009−283587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/314
C23C 16/455
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に収容した基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する工程と、
前記処理室内に収容した前記基板に対して一分子が炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する工程と、
前記処理室内に収容した前記基板に対して炭化水素系ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜を形成する工程を有し、
前記反応ガスを供給する工程での前記処理室内の圧力を、前記原料ガスを供給する工程での前記処理室内の圧力よりも大きな圧力とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記炭化水素系ガスを供給する工程を、前記反応ガスを供給する工程の実施期間中に行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記反応ガスとして、その組成式中において窒素原子の数よりも炭素原子の数の方が多いガスを用いる請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記反応ガスとして、その組成式中において炭化水素基を2つ以上有するガスを用いる請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内へ硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内へ一分子が炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する反応ガス供給系と、
前記処理室内へ炭化水素系ガスを供給する炭化水素系ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室内の基板に対して前記原料ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記反応ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記炭化水素系ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜を形成する処理を行い、前記反応ガスを供給する処理での前記処理室内の圧力を、前記原料ガスを供給する処理での前記処理室内の圧力よりも大きな圧力とするように、前記原料ガス供給系、前記反応ガス供給系、前記炭化水素系ガス供給系および前記排気系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項6】
基板処理装置の処理室内の基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して一分子が炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する手順と、
前記処理室内に収容した前記基板に対して炭化水素系ガスを供給する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜を形成する手順と、
前記反応ガスを供給する手順での前記処理室内の圧力を、前記原料ガスを供給する手順での前記処理室内の圧力よりも大きな圧力とする手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に薄膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の中に、シリコンウエハ等の基板上に、硼窒化膜(BN膜)を形成する工程が行われることがある。また、BN膜に炭素(C)を含有させると、膜のフッ化水素(HF)耐性を向上させることが可能となることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
BN膜にCを含有させた硼炭窒化膜(BCN膜)を成膜する手法として、硼素(B)を含むガス、Cを含むガス、窒素(N)を含むガスの3種類のガスを基板に対して交互に供給する手法が知られている。しかしながら、3種類のガスの制御は複雑であり、上述の手法を用いた場合、成膜時の生産性が低下してしまうことがある。また、上述の手法を用いた場合、BCN膜中のC濃度を所定の濃度とするように制御することが困難となることがある。
【0004】
本発明の目的は、BCN膜やBN膜を成膜する際の生産性を向上させ、膜中のC濃度の制御性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対して炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内へ硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内へ炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する反応ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して前記原料ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記反応ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する処理を行うように、前記原料ガス供給系および前記反応ガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の態様によれば、
処理室内の基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、BCN膜やBN膜を成膜する際の生産性を向上させ、膜中のC濃度の制御性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A線断面図で示す図である。
図3】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】第1実施形態における成膜フローを示す図である。
図5】(a)は第1実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミングを示す図であり、(b)および(c)はその変形例を示す図である。
図6】第2実施形態の第1シーケンスにおける成膜フローを示す図である。
図7】第2実施形態の第1シーケンスにおけるガス供給およびプラズマパワー供給のタイミングを示す図であり、(a)はノンプラズマで成膜を行うシーケンス例を示しており、(b)はプラズマを用いて成膜を行うシーケンス例を示している。
図8】第2実施形態の第2シーケンスにおける成膜フローを示す図である。
図9】第2実施形態の第2シーケンスにおけるガス供給およびプラズマパワー供給のタイミングを示す図であり、(a)はノンプラズマで成膜を行うシーケンス例を示しており、(b)はプラズマを用いて成膜を行うシーケンス例を示している。
図10】第3実施形態の成膜シーケンスにおける成膜フローを示す図である。
図11】(a)は、第3実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミングを示す図であり、(b)および(c)はその変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の第1実施形態>
以下に本発明の第1実施形態について、図1図3を用いて説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0012】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0013】
処理室201内には、ノズル249a〜249dが、反応管203の下部を貫通するように設けられている。ノズル249a〜249dには、ガス供給管232a〜232dがそれぞれ接続されている。このように、反応管203には、4本のノズル249a〜249dと、4本のガス供給管232a〜232dとが設けられており、処理室201内へ複数種類、ここでは4種類のガスを供給することができるように構成されている。
【0014】
但し、本実施形態に係る処理炉202は上述の形態に限定されない。例えば、反応管203の下方に、反応管203を支持する金属製のマニホールドを設け、各ノズルを、マニホールドの側壁を貫通するように設けるようにしてもよい。この場合、マニホールドに、後述する排気管231をさらに設けるようにしてもよい。この場合であっても、排気管231を、マニホールドではなく、反応管203の下部に設けるようにしてもよい。このように、処理炉202の炉口部を金属製とし、この金属製の炉口部にノズル等を取り付けるようにしてもよい。
【0015】
ガス供給管232a〜232dには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a〜241d、及び開閉弁であるバルブ243a〜243dがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a〜232dのバルブ243a〜243dよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232e〜232hがそれぞれ接続されている。ガス供給管232e〜232hには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC241e〜241h、及び開閉弁であるバルブ243e〜243hがそれぞれ設けられている。
【0016】
ガス供給管232a,232b,232dの先端部には、上述のノズル249a,249b,249dがそれぞれ接続されている。ノズル249a,249b,249dは、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249b,249dは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249b,249dは、L字型のロングノズルとしてそれぞれ構成されており、それらの各水平部は反応管203の下部側壁を貫通するように設けられており、それらの各垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル249a,249b,249dの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250b,250dがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250b,250dは反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250b,250dは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0017】
ガス供給管232cの先端部には、上述のノズル249cが接続されている。ノズル249cは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。バッファ室237は、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における円環状の空間に、また、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部には、ガスを供給するガス供給孔250eが設けられている。ガス供給孔250eは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250eは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0018】
ノズル249cは、バッファ室237のガス供給孔250eが設けられた端部と反対側の端部に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249cは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。ノズル249cは、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部は反応管203の下部側壁を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル249cの側面には、ガスを供給するガス供給孔250cが設けられている。ガス供給孔250cは、バッファ室237の中心を向くように開口している。ガス供給孔250cは、ガス供給孔250eと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。バッファ室237内と処理室201内との差圧が小さい場合、複数のガス供給孔250cの開口面積及び開口ピッチを、上流側(下部)から下流側(上部)にわたりそれぞれ同一にするとよい。また、バッファ室237内と処理室201内との差圧が大きい場合、ガス供給孔250cの開口面積を上流側から下流側に向かって徐々に大きくしたり、ガス供給孔250cの開口ピッチを上流側から下流側に向かって徐々に小さくしたりするとよい。
【0019】
ガス供給孔250cのそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、ガス供給孔250cのそれぞれから、流速の差はあるものの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させることが可能となる。そして、これら複数のガス供給孔250cのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入することで、バッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うことが可能となる。複数のガス供給孔250cのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスは、バッファ室237内で各ガスの粒子速度が緩和された後、複数のガス供給孔250eより処理室201内へ噴出する。複数のガス供給孔250cのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスは、ガス供給孔250eのそれぞれより処理室201内へ噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0020】
このように、本実施形態では、反応管203の内壁と、積載された複数のウエハ200の端部(外周)と、で定義される円環状の縦長に伸びた空間内、つまり、円筒状の空間内に配置したノズル249a〜249dおよびバッファ室237を経由してガスを搬送している。そして、ノズル249a〜249dおよびバッファ室237にそれぞれ開口されたガス供給孔250a〜250eから、ウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚を均一にすることが可能となる。ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0021】
ガス供給管232aからは、硼素(B)およびハロゲン元素を含む原料ガスとして、例えば、少なくともBと塩素(Cl)とを含む原料ガスであるクロロボラン系原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0022】
クロロボラン系原料ガスとは、気体状態のクロロボラン系原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるクロロボラン系原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるクロロボラン系原料等のことである。クロロボラン系原料とは、ハロゲン基としてのクロロ基を有するボラン系原料のことであり、少なくともBおよびClを含む原料のことである。クロロボラン系原料は、ハロゲン化物の一種とも言える。ボラン系原料とは、モノボラン(BH)やジボラン(B)のようなボラン(水素化硼素)を含む原料に限らず、ボランの水素原子を他の元素等で置換した形のボラン化合物(ボラン誘導体)を含む原料の総称である。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。本明細書において「クロロボラン系原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態であるクロロボラン系原料」を意味する場合、「気体状態であるクロロボラン系原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。クロロボラン系原料としては、例えば、トリクロロボラン(BCl)を用いることができる。BClは常温常圧下で気体状態であるため、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化することなく、原料ガス(BClガス)として供給することができる。これに対し、常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、原料ガスとして供給することとなる。
【0023】
ガス供給管232bからは、炭素(C)、窒素(N)および水素(H)の3元素で構成される反応ガスとして、例えば、アミンを含むガス、すなわち、アミン系ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0024】
アミン系ガスとは、気体状態のアミン、例えば、常温常圧下で液体状態であるアミンを気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるアミン等のアミン基を含むガスのことである。アミン系ガスは、エチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン等のアミンを含む。アミンとは、アンモニア(NH)のH原子をアルキル基等の炭化水素基で置換した形の化合物の総称である。アミンは、C原子を含むリガンドとして、アルキル基等の炭化水素基を含む。アミン系ガスは、C、NおよびHの3元素を含んでおり、Bを含んでいないことからB非含有のガスとも言え、更には、Bおよび金属を含んでいないことからBおよび金属非含有のガスとも言える。アミン系ガスは、窒素含有ガス(窒素ソース)でもあり、炭素含有ガス(カーボンソース)でもあり、水素含有ガスでもある。アミン系ガスは、アミン基を構成するC、NおよびHの3元素のみで構成される物質とも言える。本明細書において「アミン」という言葉を用いた場合は、「液体状態であるアミン」を意味する場合、「気体状態であるアミン系ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。アミン系ガスとしては、例えば、その組成式中(1分子中)におけるC原子を含むリガンド(エチル基)の数が3であり、その組成式中においてN原子の数よりもC原子の数の方が多いトリエチルアミン((CN、略称:TEA)ガスを用いることができる。TEAのように常温常圧下で液体状態であるアミンを用いる場合は、液体状態のアミンを気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、反応ガス(TEAガス)として供給することとなる。
【0025】
ガス供給管232cからは、窒化ガス(窒素含有ガス)が、MFC241c、バルブ243c、ノズル249c、バッファ室237を介して処理室201内へ供給される。窒化ガスとしては、例えば、アンモニア(NH)ガスを用いることができる。
【0026】
ガス供給管232dからは、炭素(C)を含むガス(炭素含有ガス)として、例えば、炭化水素系ガスが、MFC241d、バルブ243d、ノズル249dを介して処理室201内へ供給される。炭素含有ガスとしては、例えば、プロピレン(C)ガスを用いることができる。
【0027】
ガス供給管232e〜232hからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N)ガスが、それぞれMFC241e〜241h、バルブ243e〜243h、ガス供給管232a〜232d、ノズル249a〜249d、バッファ室237を介して処理室201内へ供給される。
【0028】
各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、Bおよびハロゲン元素を含む原料ガスを供給する原料ガス供給系、すなわち、クロロボラン系原料ガス供給系が構成される。ノズル249aをクロロボラン系原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系を原料供給系と称することもでき、クロロボラン系原料ガス供給系をクロロボラン系原料供給系と称することもできる。
【0029】
また、主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、C、NおよびHの3元素で構成される反応ガス供給系、すなわち、アミン系ガス供給系が構成される。ノズル249bをアミン系ガス供給系に含めて考えてもよい。アミン系ガス供給系を、単に、アミン供給系とも称する。
【0030】
また、主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、窒化ガス(窒素含有ガス)供給系が構成される。ノズル249cおよびバッファ室237を窒化ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0031】
また、主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、炭素含有ガス供給系としての炭化水素系ガス供給系が構成される。ノズル249dを炭化水素系ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0032】
また、主に、ガス供給管232e〜232h、MFC241e〜241h、バルブ243e〜243hにより、不活性ガス供給系が構成される。ガス供給管232a〜232dにおけるガス供給管232e〜232hとの接続部より下流側、ノズル249a〜249d、バッファ室237を不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。
【0033】
バッファ室237内には、図2に示すように、導電体からなり、細長い構造を有する2本の棒状電極269,270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。棒状電極269,270のそれぞれは、ノズル249cと平行に設けられている。棒状電極269,270のそれぞれは、上部より下部にわたって電極保護管275により覆われることで保護されている。棒状電極269,270のいずれか一方は、整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は、基準電位であるアースに接続されている。整合器272を介して高周波電源273から棒状電極269,270間に高周波電力を印加することで、棒状電極269,270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。主に、棒状電極269,270、電極保護管275によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。整合器272、高周波電源273をプラズマ源に含めて考えてもよい。プラズマ源は、後述するようにガスをプラズマで活性化(励起)させる活性化機構(励起部)として機能する。
【0034】
電極保護管275は、棒状電極269,270のそれぞれをバッファ室237内の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。電極保護管275の内部の酸素濃度が外気(大気)の酸素濃度と同程度であると、電極保護管275内にそれぞれ挿入された棒状電極269,270は、ヒータ207による熱で酸化されてしまう。電極保護管275の内部に窒素ガスなどの不活性ガスを充填しておくか、電極保護管275の内部を不活性ガスパージ機構を用いて窒素ガスなどの不活性ガスでパージすることで、電極保護管275の内部の酸素濃度を低減させ、棒状電極269,270の酸化を防止することができる。
【0035】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0036】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は例えばステンレス(SUS)等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0037】
基板支持具としてのボート217は、複数、例えば100〜150枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、つまり、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段に支持されており、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるよう構成されている。但し、本実施形態は係る形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0038】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル249a〜249dと同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0039】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0040】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0041】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241h、バルブ243a〜243h、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、高周波電源273、整合器272、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0042】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241hによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243hの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作及び圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、高周波電源273の電力供給、整合器272によるインピーダンス調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0043】
コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。但し、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0044】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に薄膜を成膜するシーケンス例について説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0045】
本実施形態の成膜シーケンスでは、
基板に対してBとハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する工程と、
基板に対してC、NおよびHの3元素で構成される反応ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、基板上に、B、CおよびNを含む膜(以下、BCN膜ともいう)、または、BおよびNを含む膜(以下、BN膜ともいう)を形成する。
【0046】
原料ガスを供給する工程では、Bおよびハロゲン元素を含む第1の層を形成し、反応ガスを供給する工程では、Bおよびハロゲン元素を含む第1の層と反応ガスとを反応させてB、CおよびNを含む第2の層を形成する。
【0047】
「原料ガスを供給する工程と、反応ガスを供給する工程と、を含むサイクルを所定回数行う」とは、原料ガスを供給する工程と、反応ガスを供給する工程と、を交互に、または、同時に行うサイクルを1サイクルとした場合、このサイクルを1回もしくは複数回行うことを意味する。すなわち、このサイクルを1回以上行うことを意味する。換言すると、原料ガスを供給する工程と、反応ガスを供給する工程と、を交互に、または、同時に行うサイクルを、1回行うこと、もしくは、複数回繰り返すことを意味する。但し、このサイクルは複数回繰り返すのが好ましい。
【0048】
以下に、本実施形態の成膜シーケンスについて、図4図5(a)を用いて説明する。
【0049】
図4図5(a)に示す成膜シーケンスでは、
ウエハ200に対してBおよびハロゲン元素(Cl)を含む原料ガスとしてクロロボラン系原料ガス(BClガス)を供給する工程と、
ウエハ200に対してC、NおよびHの3元素で構成される反応ガスとしてアミン系ガス(TEAガス)を供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上に、BCN膜を形成する。
【0050】
図4図5(a)は、クロロボラン系原料ガスを供給する工程と、アミン系ガスを供給する工程と、を交互に所定回数行う例を示している。
【0051】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0052】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0053】
本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様である。その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0054】
(ウエハチャージ及びボートロード)
複数のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示すように、複数のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
【0055】
(圧力調整及び温度調整)
処理室201内の圧力、すなわち、ウエハ200が存在する空間の圧力が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によりボート217及びウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217及びウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0056】
(BCN膜形成工程)
その後、以下の2つのステップ、すなわち、ステップ1a,2aを順次実行する。
【0057】
[ステップ1a]
(BClガス供給)
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内にBClガスを流す。BClガスは、MFC241aにより流量調整され、ガス供給孔250aから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してBClガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243eを開き、ガス供給管232e内にNガス等の不活性ガスを流す。Nガスは、MFC241eにより流量調整され、BClガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0058】
このとき、ノズル249b〜249d、バッファ室237内へのBClガスの侵入を防止するため、バルブ243f〜243hを開き、ガス供給管232f〜232h内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232b〜232d、ノズル249b〜249d、バッファ室237を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0059】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜13300Pa、好ましくは20〜1330Paの範囲内の圧力とする。MFC241aで制御するBClガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは1〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241e〜241hで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。BClガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0060】
ウエハ200の温度が250℃未満となるとウエハ200上にBClが化学吸着しにくくなり、実用的な成膜速度が得られなくなることがある。ウエハ200の温度を250℃以上とすることで、これを解消することが可能となる。ウエハ200の温度を300℃以上、さらには350℃以上とすることで、ウエハ200上にBClをより十分に吸着させることが可能となり、より十分な成膜速度が得られるようになる。
【0061】
ウエハ200の温度が700℃を超えるとCVD反応が強くなる(気相反応が支配的になる)ことで、膜厚均一性が悪化しやすくなり、その制御が困難となってしまう。ウエハ200の温度を700℃以下とすることで、膜厚均一性の悪化を抑制でき、その制御が可能となる。特にウエハ200の温度を650℃以下、さらには600℃以下とすることで、表面反応が支配的になり、膜厚均一性を確保しやすくなり、その制御が容易となる。
【0062】
よって、ウエハ200の温度は250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度とするのがよい。
【0063】
上述の条件下でウエハ200に対してBClガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのClを含むB含有層が形成される。第1の層はBClガスの吸着層であってもよいし、Clを含むB層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0064】
Clを含むB層とは、Bにより構成されClを含む連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるClを含むB薄膜をも含む総称である。Bにより構成されClを含む連続的な層をClを含むB薄膜という場合もある。Clを含むB層を構成するBは、Clとの結合が完全に切れていないものの他、Clとの結合が完全に切れているものも含む。
【0065】
BClガスの吸着層は、BClガスのガス分子の連続的な化学吸着層の他、不連続な化学吸着層をも含む。すなわち、BClガスの吸着層は、BCl分子で構成される1分子層もしくは1分子層未満の厚さの化学吸着層を含む。BClガスの吸着層を構成するBCl分子は、BとClとの結合が一部切れたものも含む。
【0066】
ここで、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。1分子層未満の厚さの層とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、1分子層の厚さの層とは連続的に形成される分子層のことを意味している。
【0067】
BClガスが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、BClの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ200上にBが堆積することでClを含むB層が形成される。BClガスが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、BClの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ200上にBClガスが吸着することでBClガスの吸着層が形成される。ウエハ200上にBClガスの吸着層を形成するよりも、ウエハ200上にClを含むB層を形成する方が、成膜レートを高くすることができ、好ましい。
【0068】
ウエハ200上に形成される第1の層の厚さが数原子層を超えると、後述するステップ2aでの改質の作用が第1の層の全体に届かなくなる。また、ウエハ200上に形成可能な第1の層の厚さの最小値は1原子層未満である。よって、第1の層の厚さは、1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。また、第1の層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述するステップ2aでの改質反応の作用を相対的に高めることができ、ステップ2aでの改質反応に要する時間を短縮することができる。ステップ1aでの第1の層形成に要する時間を短縮することもできる。結果として、1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くすることも可能となる。また、第1の層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性を高めることも可能となる。
【0069】
(残留ガス除去)
第1の層が形成された後、バルブ243aを閉じ、BClガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層形成に寄与した後のBClガスを処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e〜243hは開いたままとし、不活性ガスとしてのNガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層形成に寄与した後のBClガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0070】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ2aにおいて悪影響が生じることはない。このとき、処理室201内に供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップ2aにおいて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0071】
クロロボラン系原料ガスとしては、BClガスの他、モノクロロボラン(BClH)ガス、ジクロロボラン(BClH)ガス等の無機原料ガスや、ジメチルクロロボラン(CBCl)ガス、メチルエチルクロロボラン(CHBCl)ガス、メチルジクロロボラン(CHBCl)ガス、エチルジクロロボラン(CBCl)ガス、フェニルジクロロボラン(CBCl)ガス、シクロヘキシルジクロロボラン(C11BCl)ガス等の有機原料ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0072】
[ステップ2a]
(TEAガス供給)
ステップ1aが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内にTEAガスを流す。TEAガスは、MFC241bにより流量調整され、ガス供給孔250bから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対して熱で活性化されたTEAガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243fを開き、ガス供給管232f内に不活性ガスとしてのNガスを流す。Nガスは、MFC241fにより流量調整され、TEAガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0073】
このとき、ノズル249a,249c,249d、バッファ室237内へのTEAガスの侵入を防止するため、バルブ243e,243g,243hを開き、ガス供給管232e,232g,232h内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232a,232c,232d、ノズル249a,249c,249d、バッファ室237を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0074】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜13300Pa、好ましくは399〜3990Paの範囲内の圧力とする。処理室201内の圧力をこのような比較的高い圧力帯とすることで、TEAガスをノンプラズマで熱的に活性化させることが可能となる。TEAガスを熱で活性化させて供給することで、ソフトな反応を生じさせることができ、後述する改質をソフトに行うことが出来る。MFC241bで制御するTEAガスの供給流量は、例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。MFC241e〜241hで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。このとき、処理室201内におけるTEAガスの分圧は、0.01〜12667Paの範囲内の圧力とする。熱で活性化させたTEAガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ1aと同様、ウエハ200の温度が、例えば250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0075】
上述の条件下でウエハ200に対してTEAガスを供給することにより、ステップ1aでウエハ200上に形成された第1の層とTEAガスとを反応させることができる。すなわち、第1の層に含まれるハロゲン元素の原子であるCl(クロロ基)と、TEAガスに含まれるリガンド(エチル基)と、を反応させることができる。それにより、第1の層に含まれるClのうち少なくとも一部のClを第1の層から引き抜く(分離させる)とともに、TEAガスに含まれる複数のエチル基のうち少なくとも一部のエチル基をTEAガスから分離させることができる。そして、少なくとも一部のエチル基が分離したTEAガスのNと、第1の層に含まれるBと、を結合させることができる。すなわち、TEAガスを構成するNであって少なくとも一部のエチル基が外れ未結合手(ダングリングボンド)を有することとなったNと、第1の層に含まれ未結合手を有することとなったB、もしくは、未結合手を有していたBと、を結合させて、B−N結合を形成することが可能となる。またこのとき、TEAガスから分離したエチル基(−CHCH)に含まれるCと、第1の層に含まれるBと、を結合させて、B−C結合を形成することも可能となる。これらの結果、第1の層中からClが脱離すると共に、第1の層中に、N成分が新たに取り込まれることとなる。またこのとき、第1の層中に、C成分も新たに取り込まれることとなる。
【0076】
この一連の反応により、第1の層中からClが脱離すると共に、第1の層中に、N成分とC成分とが新たに取り込まれ、第1の層は、B、NおよびCを含む第2の層、すなわち、硼炭窒化層(BCN層)へと変化する(改質される)。第2の層は、1原子層未満から数原子層程度の厚さの層となる。第2の層は、例えば、B成分の割合とC成分の割合とが比較的多い層、すなわち、Bリッチであり、かつ、Cリッチな層となる。
【0077】
第2の層としてのB、NおよびCを含む層を形成する際、第1の層に含まれていたClや、TEAガスに含まれていたHは、TEAガスによる第1の層の改質反応の過程において、例えば塩素(Cl)ガスや水素(H)ガスや塩化水素(HCl)ガス等のガス状物質を構成し、排気管231を介して処理室201内から排出される。すなわち、第1の層中のCl等の不純物は、第1の層中から引き抜かれたり、脱離したりすることで、第1の層から分離することとなる。これにより、第2の層は、第1の層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0078】
(残留ガス除去)
第2の層が形成された後、バルブ243bを閉じ、TEAガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層形成に寄与した後のTEAガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e〜243hは開いたままとして、不活性ガスとしてのNガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層形成に寄与した後のTEAガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0079】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ1aにおいて悪影響が生じることはない。このとき、処理室201内に供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップ1aにおいて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0080】
アミン系ガスとしては、トリエチルアミン((CN、略称:TEA)の他、ジエチルアミン((CNH、略称:DEA)、モノエチルアミン(CNH、略称:MEA)等を気化したエチルアミン系ガス、トリメチルアミン((CHN、略称:TMA)、ジメチルアミン((CHNH、略称:DMA)、モノメチルアミン(CHNH、略称:MMA)等を気化したメチルアミン系ガス、トリプロピルアミン((CN、略称:TPA)、ジプロピルアミン((CNH、略称:DPA)、モノプロピルアミン(CNH、略称:MPA)等を気化したプロピルアミン系ガス、トリイソプロピルアミン([(CHCH]N、略称:TIPA)、ジイソプロピルアミン([(CHCH]NH、略称:DIPA)、モノイソプロピルアミン((CHCHNH、略称:MIPA)等を気化したイソプロピルアミン系ガス、トリブチルアミン((CN、略称:TBA)、ジブチルアミン((CNH、略称:DBA)、モノブチルアミン(CNH、略称:MBA)等を気化したブチルアミン系ガス、または、トリイソブチルアミン([(CHCHCHN、略称:TIBA)、ジイソブチルアミン([(CHCHCHNH、略称:DIBA)、モノイソブチルアミン((CHCHCHNH、略称:MIBA)等を気化したイソブチルアミン系ガスを好ましく用いることができる。すなわち、アミン系ガスとしては、例えば、(CNH3−x、(CHNH3−x、(CNH3−x、[(CHCH]NH3−x、(CNH3−x、[(CHCHCHNH3−x(式中、xは1〜3の整数)のうち少なくとも1種類のガスを好ましく用いることができる。
【0081】
アミン系ガスとしては、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてN原子の数よりもC原子の数の方が多いガスを用いることができる。すなわち、アミン系ガスとしては、TEA、DEA、MEA、TMA、DMA、TPA、DPA、MPA、TIPA、DIPA、MIPA、TBA、DBA、MBA、TIBA、DIBAおよびMIBAからなる群より選択される少なくとも1つのアミンを含むガスを用いることができる。
【0082】
原料ガスとして、BClガス等のような、Bとハロゲン元素(Cl)とを含むクロロボラン系原料ガスを用いる場合に、反応ガスとして、TEAガスやDEAガス等のような、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてN原子の数よりもC原子の数の方が多いアミン系ガスを用いることで、ステップ2aで形成される第2の層中のC濃度、すなわち、後述する所定回数実施工程において形成されるBCN膜中のC濃度を高くすることができる。例えば、本実施形態の成膜シーケンスによれば、形成されるBCN膜中のC濃度を25at%以上、例えば40at%以上の高濃度とすることができる。
【0083】
これに対し、原料ガスとして、BClガス等のような、Bとハロゲン元素(Cl)とを含むクロロボラン系原料ガスを用いる場合に、反応ガスとして、MMAガス等のアミン系ガスや、後述するMMHガスやDMHガス等の有機ヒドラジン系ガス等のような、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてN原子の数よりもC原子の数の方が多くないガスを用いる場合、第2の層中のC濃度、すなわち、BCN膜中のC濃度を、反応ガスとして、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてN原子の数よりもC原子の数の方が多いアミン系ガスを用いる場合よりも低くすることができる。
【0084】
また、アミン系ガスとしては、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを複数有するガス、すなわち、その組成式中(1分子中)においてアルキル基等の炭化水素基を複数有するガスを用いることができる。具体的には、アミン系ガスとしては、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンド(アルキル基等の炭化水素基)を3つ、或いは2つ有するガスを用いることができ、例えば、TEA、DEA、TMA、DMA、TPA、DPA、TIPA、DIPA、TBA、DBA、TIBAおよびDIBAからなる群より選択される少なくとも1つのアミンを含むガスを用いることができる。
【0085】
原料ガスとして、BClガスのような、Bとハロゲン元素(Cl)とを含むクロロボラン系原料ガスを用いる場合に、反応ガスとして、TEAガスやDEAガス等のような、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを複数有するアミン系ガス、つまり、その組成式中(1分子中)においてアルキル基等の炭化水素基を複数有するアミン系ガスを用いることで、第2の層中のC濃度、すなわち、BCN膜中のC濃度をより高くすることができる。
【0086】
これに対し、原料ガスとして、BClガス等のような、Bとハロゲン元素(Cl)とを含むクロロボラン系原料ガスを用いる場合に、反応ガスとして、MMAガス等のアミン系ガスや、後述するMMHガス等の有機ヒドラジン系ガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを複数有していないガスを用いる場合、第2の層中のC濃度、すなわち、BCN膜中のC濃度を、反応ガスとして、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを複数有するアミン系ガスを用いる場合よりも低くすることができる。
【0087】
また、反応ガスとして、DEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを2つ有するアミン系ガスを用いることで、TEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを3つ有するアミン系ガスを用いる場合よりも、サイクルレート(単位サイクルあたりに形成されるBCN層の厚さ)を向上させることが可能となり、また、第2の層中のC濃度に対するN濃度の比(N濃度/C濃度比)、すなわち、BCN膜中のC濃度に対するN濃度の比(N濃度/C濃度比)を高くすることが可能となる。
【0088】
逆に、反応ガスとして、TEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを3つ有するアミン系ガスを用いることで、DEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを2つ有するアミン系ガスを用いる場合よりも、第2の層中のN濃度に対するC濃度の比(C濃度/N濃度比)、すなわち、BCN膜中のN濃度に対するC濃度の比(C濃度/N濃度比)を高くすることが可能となる。
【0089】
すなわち、反応ガスに含まれるC原子を含むリガンドの数(アルキル基等の炭化水素基の数)により、つまり、反応ガスのガス種を適宜変えることにより、サイクルレートや、形成するBCN膜中のN濃度やC濃度を微調整することが可能となる。
【0090】
反応ガスとしてのアミン系ガスのガス種(組成)を適正に選択することにより、BCN膜中のC濃度を高くすることができることは上述した通りである。そして、このC濃度をさらに高めるには、例えば、アミン系ガス(TEAガス)をウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力を、ステップ1aにおいてクロロボラン系原料ガス(BClガス)をウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力よりも大きくするのが好ましい。つまり、BClガスをウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力をP[Pa]とし、TEAガスをウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力をP[Pa]としたとき、圧力P,Pを、P>Pの関係を満たすようにそれぞれ設定するのが好ましい。
【0091】
逆に、BCN膜中のC濃度の増加量を適正に抑制するには、アミン系ガス(TEAガス)をウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力を、ステップ1aにおいてクロロボラン系原料ガス(BClガス)をウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力以下の圧力に設定するのが好ましい。つまり、上述の圧力P,Pを、P≧Pの関係を満たすように設定するのが好ましい。
【0092】
すなわち、アミン系ガスを供給する際の処理室201内の圧力を適正に制御することにより、形成するBCN膜中のC濃度を微調整することが可能となる。
【0093】
不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0094】
(所定回数実施)
上述したステップ1a,2aを1サイクルとして、このサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、すなわち、ステップ1a,2aを交互に1回以上(所定回数)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成及び所定膜厚のBCN膜を成膜することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成するBCN層の厚さを所望の膜厚よりも小さくして、上述のサイクルを所望の膜厚になるまで複数回繰り返すのが好ましい。
【0095】
サイクルを複数回行う場合、少なくとも2サイクル目以降の各ステップにおいて、「ウエハ200に対して所定のガスを供給する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層に対して、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味し、「ウエハ200上に所定の層を形成する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層の上、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面の上に所定の層を形成する」ことを意味している。この点は、上述の通りである。また、この点は、後述する各変形例、他の実施形態においても同様である。
【0096】
(パージ及び大気圧復帰)
所定組成を有する所定膜厚のBCN膜を形成する成膜処理がなされると、バルブ243e〜243hを開き、ガス供給管232e〜232hのそれぞれから不活性ガスとしてのNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0097】
(ボートアンロード及びウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0098】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0099】
(a)本実施形態によれば、ウエハ200に対してBClガスを供給する工程と、ウエハ200に対してTEAガスを供給する工程と、を交互に所定回数行うことで、ウエハ200上にBCN膜を形成することができる。これにより、BCN膜を形成する際の生産性を向上させることが可能となる。すなわち、従来の成膜シーケンスでは、BCN膜を形成する際に、少なくとも、Bを含むガス、Cを含むガス、Nを含むガスの3種類のガスをウエハ200に対して交互に供給する必要がある。これに対し、本実施形態の成膜シーケンスでは、BClガス、TEAガスの2種類のガスをウエハ200に対して交互に供給することでBCN膜を形成できる。そのため、ガスの供給制御を単純化でき、1サイクルあたりのガス供給の工程数を削減できるようにもなり、成膜時の生産性を向上させることが可能となる。また、成膜に必要なガスの種類が少なくなることで、ガス供給系の構成を簡素化させ、ノズルの本数を減らすことができ、これにより、装置コストを低減させ、メンテナンスを容易にすることが可能となる。
【0100】
(b)本実施形態によれば、ウエハ200に対してBClガスを供給する工程と、ウエハ200に対してTEAガスを供給する工程と、を交互に所定回数行うようにしたので、ウエハ200上に、Bリッチであり、かつ、CリッチなBCN膜を形成することができる。すなわち、本実施形態の成膜シーケンスでは、Bを含むガス、Cを含むガス、Nを含むガスの3種類のガスをウエハ200に対して交互に供給する成膜シーケンスと比較して、BCN膜を形成する過程において、ウエハ200上へのBおよびCの固定を十分に行うことができ、また、これらの元素のウエハ200上からの脱離を十分に抑制することができ、結果として、C濃度の高いBCN膜を形成することができる。
【0101】
(c)本実施形態によれば、反応ガスに含まれるN原子の数に対するC原子の数により、つまり、反応ガスのガス種を適宜選択することにより、BCN膜中のC濃度を調整することが可能となる。例えば、反応ガスとして、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてN原子の数よりもC原子の数の方が多いアミン系ガスを用いることにより、BCN膜中のC濃度を高くすることができる。
【0102】
特に、反応ガスとして、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを複数有するアミン系ガス、すなわち、その組成式中(1分子中)においてアルキル基等の炭化水素基を複数有するアミン系ガスを用いることにより、BCN膜中のC濃度を高くすることができる。具体的には、反応ガスとして、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンド(アルキル基等の炭化水素基)を3つ有するTEAガス、TMAガス、TPAガス、TIPAガス、TBAガス、TIBAガスや、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンド(アルキル基等の炭化水素基)を2つ有するDEAガス、DMAガス、DPAガス、DIPAガス、DBAガス、DIBAガス等を用いることにより、BCN膜中のC濃度を高くすることができる。
【0103】
(d)本実施形態によれば、反応ガスに含まれるC原子を含むリガンドの数(アルキル基等の炭化水素基の数)により、つまり、反応ガスのガス種を適宜変えることにより、サイクルレート(単位サイクルあたりに形成されるBCN層の厚さ)や、BCN膜中のN濃度やC濃度を微調整することが可能となる。
【0104】
例えば、反応ガスとして、DEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを2つ有するアミン系ガスを用いることで、TEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを3つ有するアミン系ガスを用いる場合よりも、サイクルレートを向上させることが可能となり、また、BCN膜中のC濃度に対するN濃度の比(N濃度/C濃度比)を高くすることが可能となる。
【0105】
また例えば、反応ガスとして、TEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを3つ有するアミン系ガスを用いることで、DEAガス等のような、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを2つ有するアミン系ガスを用いる場合よりも、BCN膜中のN濃度に対するC濃度の比(C濃度/N濃度比)を高くすることが可能となる。
【0106】
(e)本実施形態によれば、反応ガスを供給する際の処理室201内の圧力を制御することにより、BCN膜中のC濃度を微調整することが可能となる。
【0107】
例えば、ステップ2aにおいてTEAガスをウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力を、ステップ1aにおいてBClガスをウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力よりも大きくすることで、BCN膜中のC濃度をさらに高くすることができる。
【0108】
また例えば、ステップ2aにおいてTEAガスをウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力を、ステップ1aにおいてBClガスをウエハ200に対して供給する際の処理室201内の圧力以下の圧力に設定することで、BCN膜中のC濃度の増加量を適正に抑制することができる。
【0109】
なお、BCN膜中のB濃度やC濃度やN濃度を調整することで、HFやホットリン酸に対するBCN膜の耐性を制御することが可能となる。例えば、BCN膜中のB濃度、C濃度を増加させることで、HFに対する耐性をBN膜よりも高くすることができ、膜中のB濃度、C濃度を低下させることで、HFに対する耐性をBN膜よりも低くするか、BN膜に近づけることができる。また、例えば、BCN膜中のN濃度を増加させることで、ホットリン酸に対する耐性をBN膜よりも低くすることができ、膜中のN濃度を低下させることで、ホットリン酸に対する耐性をBN膜よりも高くするか、BN膜に近づけることができる。また、例えば、BCN膜中のC濃度を増加させることで、ホットリン酸に対する耐性をBN膜よりも高くすることができる。
【0110】
(f)本実施形態によれば、反応ガスとして、C、NおよびHの3元素で構成され、Bおよび金属非含有のアミン系ガスであるTEAガスを用いることにより、形成するBCN膜中の不純物濃度を低減させることが可能となる。すなわち、反応ガスとして、TEAガスを用いる本実施形態の成膜シーケンスでは、反応ガスとして、例えばハフニウム(Hf)、C、NおよびHの4元素で構成されるテトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf[N(C)(CH)]、略称:TEMAH)ガス等を用いる成膜シーケンスと比較して、反応ガスと第1の層との反応により形成される第2の層中への不純物元素の混入確率を低減させることができ、形成するBCN膜中の不純物濃度を低減させることが可能となる。
【0111】
(g)本実施形態によれば、反応ガスとして、C、NおよびHの3元素で構成され、Bおよび金属非含有のアミン系ガスであるTEAガスを用いることにより、また、BClガスとTEAガスとをウエハ200に対して交互に供給する成膜シーケンスを採用することにより、BCN膜を形成する際の反応制御性、特に組成制御性を向上させることが可能となる。すなわち、反応ガスとしてTEAガスを用いる本実施形態の成膜シーケンスでは、反応ガスとして例えばHf、C、NおよびHの4元素で構成されるTEMAHガス等を用いる成膜シーケンスと比較して、反応ガスと第1の層とを反応させて第2の層を形成する際の反応制御性、特に組成制御性を向上させることができるようになる。また、BClガス、TEAガスの2種類のガスをウエハ200に対して交互に供給する本実施形態の成膜シーケンスでは、Bを含むガス、Cを含むガス、Nを含むガスの3種類のガスをウエハ200に対して交互に供給する成膜シーケンスと比較して、BCN膜を形成する過程における反応制御性、特に組成制御性を向上させることができるようになる。これらにより、BCN膜の組成制御を容易に行うことができるようになり、その結果、形成するBCN膜のエッチング耐性を向上させたり、誘電率を調整したりすることが可能となる。
【0112】
(h)本実施形態によれば、反応ガスとして、C、NおよびHの3元素で構成され、Bおよび金属非含有のアミン系ガスであるTEAガスを用いることにより、BCN膜のウエハ200面内およびウエハ200面間における膜厚均一性をそれぞれ向上させることができる。すなわち、C、NおよびHの3元素で構成されるTEAガスは、例えばHf、C、NおよびHの4元素で構成されるTEMAHガス等と比較して、第1の層に対し高い反応性を有することから、反応ガスとしてTEAガスを用いる本実施形態の成膜シーケンスは、反応ガスと第1の層との反応をウエハ200面内およびウエハ200面間にわたり確実かつ均一に行うことができるようになる。その結果、BCN膜のウエハ200面内およびウエハ200面間における膜厚均一性をそれぞれ向上させることが可能となる。
【0113】
(変形例)
図4図5(a)に示した上述の成膜シーケンスでは、ステップ1a,2aを交互に行うサイクルを1回以上(所定回数)行う例について説明した。但し、本実施形態は係る態様に限定されない。例えば、ステップ1a,2aを同時に行うサイクルを1回以上(所定回数)行うようにしてもよい。図5(b)は、ステップ1a,2aを同時に行うサイクルを複数回(n回)行う例を、図5(c)は、ステップ1a,2aを同時に行うサイクルを1回行う例をそれぞれ示している。図5(b)に示す成膜シーケンスでは、主にサイクルの実施回数を調整することにより、また、図5(c)に示す成膜シーケンスでは、主にサイクルの実施時間(ガス供給時間)を調整することにより、BCN膜の膜厚を制御することができる。これらの場合における処理条件も、図4図5(a)に示した上述の成膜シーケンスにおける処理条件と同様な処理条件とすればよい。
【0114】
BClガスとTEAガスとを同時に供給するようにしても、上述の実施形態と同様な作用効果が得られる。但し、上述の実施形態のように、BClガスの供給と、TEAガスの供給とを、それらの間に処理室201内のパージを挟んで交互に行う方が、BClガスとTEAガスとを表面反応が支配的な条件下で適正に反応させることができ、膜厚制御の制御性を高めることができ、好ましい。
【0115】
<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0116】
上述の第1実施形態では、ステップ1a,2aを含むサイクルを所定回数行うことで、基板上にBCN膜を形成する例について説明した。本実施形態では、上述のステップ1a,2aと同様に行うステップ1b,2bに加えて、基板に対して窒化ガスを供給するステップ3bをさらに含むサイクルを所定回数行うことで、基板上にBCN膜またはBN膜を形成する例について説明する。
【0117】
(第1シーケンス)
まず、本実施形態の第1シーケンスについて、図6図7を用いて説明する。
【0118】
本実施形態の第1シーケンスでは、
ウエハ200に対してBおよびハロゲン元素(Cl)を含む原料ガスとしてクロロボラン系原料ガス(BClガス)を供給する工程と、
ウエハ200に対してC、NおよびHの3元素で構成される反応ガスとしてアミン系ガス(TEAガス)を供給する工程と、
ウエハ200に対して窒化ガス(NHガス)を供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上に、BCN膜またはBN膜を形成する。
【0119】
本シーケンスが第1実施形態の成膜シーケンスと異なるのは、ステップ1a,2aと同様に行うステップ1b,2bに加えてステップ3bをさらに含む点だけであり、その他は第1実施形態の成膜シーケンスと同様である。以下、本実施形態のステップ3bについて説明する。
【0120】
[ステップ3b]
(NHガス供給)
ステップ2bが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ243cを開き、ガス供給管232c内にNHガスを流す。NHガスは、MFC241cにより流量調整され、ガス供給孔250cからバッファ室237内に供給される。このとき、棒状電極269,270間に高周波電力を印加しないことで、バッファ室237内に供給されたNHガスは、熱で活性化され、ガス供給孔250eから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される(図7(a)参照)。また、このとき、棒状電極269,270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加することで、バッファ室237内に供給されたNHガスは、プラズマ励起され、活性種としてガス供給孔250eから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される(図7(b)参照)。このときウエハ200に対して、熱またはプラズマで活性化されたNHガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243gを開き、ガス供給管232g内にNガスを流す。NガスはNHガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0121】
このとき、ノズル249a,249b,249d内へのNHガスの侵入を防止するため、バルブ243e,243f,243hを開き、ガス供給管232e,232f,232h内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232a,232b,232d、ノズル249a,249b,249dを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0122】
NHガスをプラズマ励起することなく熱で活性化させて流すときは、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜3000Paの範囲内の圧力とする。処理室201内の圧力をこのような比較的高い圧力帯とすることで、NHガスをノンプラズマで熱的に活性化させることが可能となる。NHガスは熱で活性化させて供給した方が、比較的ソフトな反応を生じさせることができ、後述する窒化を比較的ソフトに行うことができる。処理室201内におけるNHガスの分圧は、例えば0.01〜2970Paの範囲内の圧力とする。MFC241cで制御するNHガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。MFC241e〜241hで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。熱で活性化させたNHガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ1b,2bと同様、ウエハ200の温度が、例えば250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0123】
NHガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜100Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるNHガスの分圧は、例えば0.01〜100Paの範囲内の圧力とする。MFC241cで制御するNHガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。MFC241e〜241hで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。NHガスをプラズマ励起することにより得られた活性種をウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ1b,2bと同様、ウエハ200の温度が、例えば250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。高周波電源273から棒状電極269,270間に印加する高周波電力は、例えば50〜1000Wの範囲内の電力となるように設定する。
【0124】
このとき、処理室201内へ流しているガスは、処理室201内の圧力を高くすることで熱的に活性化されたNHガス、もしくは、NHガスをプラズマ励起することにより得られた活性種であり、処理室201内へはBClガスもTEAガスも流していない。したがって、NHガスは気相反応を起こすことはなく、活性化された、もしくは、活性種となったNHガスは、ステップ2bでウエハ200上に形成された第2の層の少なくとも一部と反応する。これにより第2の層は窒化されて、B、CおよびNを含む第3の層(BCN層)、または、BおよびNを含む第3の層(BN層)へと改質される。第3の層は、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さの層となる。
【0125】
第3の層を形成する工程では、窒化ガスにより第2の層を窒化させることで第2の層を改質することとなる。すなわち、第2の層の窒化により、第2の層にNをさらに与えることとなる。また、第2の層の窒化により、第2の層に含まれるCの少なくとも一部を第2の層から分離させる(引き抜く)こととなる。すなわち、第3の層のN濃度は第2の層のN濃度よりも高くなり、第3の層のC濃度は第2の層のC濃度よりも低くなる。
【0126】
図7(a)に示すように、NHガスを熱で活性化させて処理室201内へ流すことで、第2の層を熱窒化して第3の層へと改質(変化)させることができる。このとき、第2の層におけるN成分の割合を増加させつつ、活性化されたNHガスのエネルギーにより、第2の層におけるC成分の少なくとも一部を脱離させる(引き抜く)ことで、第2の層を第3の層へと改質させることとなる。このとき、NHガスによる熱窒化の作用により、第2の層におけるB−N結合が増加する一方、B−C結合およびB−B結合は減少し、第2の層におけるC成分の割合およびB成分の割合は減少することとなる。特に、C成分については、その大部分を脱離させることで不純物レベルにまで減少させることもできる。すなわち、N濃度を増加させる方向に、また、C濃度およびB濃度を減少させる方向に組成比を変化させつつ第2の層を第3の層へと改質させることができる。さらに、このとき、処理室201内の圧力やガス供給時間等の処理条件を制御することで、第3の層におけるN成分の割合、すなわち、N濃度を微調整することができ、第3の層の組成比をより緻密に制御することができる。
【0127】
また、図7(b)に示すように、NHガスをプラズマ励起することにより得られた活性種を処理室201内へ流すことで、第2の層をプラズマ窒化して第3の層へと改質(変化)させることができる。このとき、第2の層におけるN成分の割合を増加させつつ、活性種のエネルギーにより、第2の層におけるC成分の少なくとも一部を脱離させる(引き抜く)ことで、第2の層を第3の層へと改質(変化)させることとなる。このとき、NHガスによるプラズマ窒化の作用により、第2の層におけるB−N結合が増加する一方、B−C結合およびB−B結合は減少し、第2の層におけるC成分の割合およびB成分の割合は減少することとなる。特に、C成分については、その大部分を脱離させることで不純物レベルにまで減少させるか、実質的に消滅させることもできる。すなわち、N濃度を増加させる方向に、また、C濃度およびB濃度を減少させる方向に、組成比を変化させつつ第2の層を第3の層へと改質させることができる。さらに、このとき、処理室201内の圧力やガス供給時間等の処理条件を制御することで、第3の層におけるN成分の割合、すなわち、N濃度を微調整することができ、第3の層の組成比をより緻密に制御することができる。
【0128】
このとき、第2の層の窒化反応は飽和させないようにするのが好ましい。例えばステップ1b,2bで1原子層未満から数原子層の厚さの第2の層を形成した場合は、その第2の層の一部を窒化させるようにするのが好ましい。この場合、1原子層未満から数原子層の厚さの第2の層の全体を窒化させないように、第2の層の窒化反応が不飽和となる条件下で窒化を行う。
【0129】
第2の層の窒化反応を不飽和とするには、ステップ3bにおける処理条件を上述の処理条件とすればよい。また、ステップ3bにおける処理条件を次の処理条件とすることで、第2の層の窒化反応を不飽和とすることが容易となる。
【0130】
〔NHガスを熱で活性化させて流すとき〕
ウエハ温度:500〜650℃
処理室内圧力:133〜2666Pa
NHガス分圧:33〜2515Pa
NHガス供給流量:1000〜5000sccm
ガス供給流量:300〜3000sccm
NHガス供給時間:6〜60秒
【0131】
〔NHガスをプラズマで活性化させて流すとき〕
ウエハ温度:500〜650℃
処理室内圧力:33〜80Pa
NHガス分圧:17〜75Pa
NHガス供給流量:1000〜5000sccm
ガス供給流量:300〜1000sccm
NHガス供給時間:6〜60秒
【0132】
(残留ガス除去)
第3の層が形成された後、バルブ243cを閉じ、NHガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第3の層形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e〜243hは開いたままとし、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは第3の層形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0133】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ1bにおいて悪影響が生じることはない。このとき、処理室201内へ供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップ1bにおいて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0134】
窒化ガス(窒素含有ガス)としては、NHガスの他、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス、これらの化合物を含むガス等を用いてもよい。不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0135】
(所定回数実施)
上述したステップ1b〜3bを1サイクルとして、このサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成及び所定膜厚のBCN膜またはBN膜を成膜することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成するBCN層またはBN層の厚さを所望の膜厚よりも小さくして、上述のサイクルを所望の膜厚になるまで複数回繰り返すのが好ましい。
【0136】
(第2シーケンス)
次に、本実施形態の第2シーケンスについて、図8図9を用いて説明する。
【0137】
本実施形態の第2シーケンスでは、
ウエハ200に対してBおよびハロゲン元素(Cl)を含む原料ガスとしてクロロボラン系原料ガス(BClガス)を供給する工程と、ウエハ200に対してC、NおよびHの3元素で構成される反応ガスとしてアミン系ガス(TEAガス)を供給する工程と、を交互に所定回数行う工程と、
ウエハ200に対して窒化ガス(NHガス)を供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上に、BCN膜またはBN膜を形成する。
【0138】
図9は、上述したステップ1b,2bを1セットとしてこのセットを2回行った後、ステップ3bを行い、これを1サイクルとして、このサイクルをn回行うことにより、ウエハ200上に所定組成及び所定膜厚のBCN膜またはBN膜を成膜する例を示している。本シーケンスが第1シーケンスと異なるのは、上述したステップ1b,2bを1セットとしてこのセットを複数回繰り返した後、ステップ3bを行う点だけであり、その他は第1シーケンスと同様に行うことができる。また、本シーケンスにおける処理条件も、上述の第1シーケンスと同様な処理条件とすることができる。
【0139】
(本実施形態に係る効果)
本実施形態の成膜シーケンスによれば、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の成膜シーケンスによれば、ウエハ200に対してNHガスを供給するステップ3bを行うことで、BCN膜またはBN膜の組成比を上述のように微調整することが可能となる。
【0140】
<本発明の第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0141】
上述の第1実施形態では、ステップ1a,2aを含むサイクルを所定回数行うことで、基板上に、BCN膜を形成する例について説明した。本実施形態では、上述のステップ1a,2aと同様に行うステップ1c,3cの間に、基板に対して炭素含有ガスを供給するステップ2cを行うサイクルを所定回数行うことで、基板上に、BCN膜を形成する例について説明する。
【0142】
以下、本実施形態の成膜シーケンスについて、図10図11(a)を用いて説明する。
【0143】
本実施形態の成膜シーケンスでは、
ウエハ200に対してBおよびハロゲン元素(Cl)を含む原料ガスとしてクロロボラン系原料ガス(BClガス)を供給する工程と、
ウエハ200に対して炭素含有ガス(Cガス)を供給する工程と、
ウエハ200に対してC、NおよびHの3元素で構成される反応ガスとしてアミン系ガス(TEAガス)を供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上に、BCN膜を形成する。
【0144】
本シーケンスが第1実施形態の成膜シーケンスと異なるのは、ステップ1a,2aと同様に行うステップ1c,3cの間にステップ2cを行う点、および、ステップ2aと同様に行うステップ3cにおいて、第1の層上にC含有層が形成された層とTEAガスとを反応させることで第1の層上にC含有層が形成された層を改質する点だけであり、その他は第1実施形態の成膜シーケンスと同様である。以下、本実施形態のステップ2c,3cについて説明する。
【0145】
[ステップ2c]
(Cガス供給)
ステップ1cが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内にCガスを流す。Cガスは、MFC241dにより流量調整され、ガス供給孔250dから処理室201内へ供給される。処理室201内へ供給されたCガスは、熱で活性化され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、熱で活性化されたCガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243hを開き、ガス供給管232h内にNガスを流す。Nガスは、Cガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0146】
このとき、ノズル249a〜249c、バッファ室237内へのCガスの侵入を防止するため、バルブ243e〜243gを開き、ガス供給管232e〜232g内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232a〜232c、ノズル249a〜249c、バッファ室237を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0147】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜6000Paの範囲内の圧力とする。MFC241dで制御するCガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。MFC241e〜241hで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。このとき、処理室201内におけるCガスの分圧は、例えば0.01〜5941Paの範囲内の圧力とする。Cガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜200秒、好ましくは1〜120秒、より好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ1cと同様、ウエハ200の温度が例えば250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。Cガスは熱で活性化させて供給した方が、ソフトな反応を生じさせることができ、後述するC含有層の形成が容易となる。
【0148】
このとき、処理室201内へ流しているガスは熱的に活性化されたCガスであり、処理室201内へはBClガスは流していない。したがって、Cガスは気相反応を起こすことはなく、活性化された状態でウエハ200に対して供給され、このとき、ステップ1cでウエハ200上に形成された第1の層の上に、1原子層未満の厚さのC含有層、すなわち不連続なC含有層が形成される。これにより、B、Cl、Cを含む層、すなわち、第1の層上にC含有層が形成された層(以下、C含有層が形成された第1の層ともいう)が形成される。但し、条件によっては、第1の層の一部とCガスとが反応して、第1の層が改質(炭化)され、B、ClおよびCを含む層として、Clを含む硼炭化層(Clを含むBC層)が形成される場合もある。
【0149】
第1の層の上に形成するC含有層は、C層であってもよいし、炭素含有ガス(Cガス)の化学吸着層、すなわち、Cが分解した物質(C)の化学吸着層であってもよい。ここで、C層はCにより構成される不連続な層とする必要がある。また、Cの化学吸着層はC分子の不連続な化学吸着層とする必要がある。第1の層上に形成するC含有層を連続的な層とした場合、例えばCの第1の層上への吸着状態を飽和状態として、第1の層上にCの連続的な化学吸着層を形成した場合、第1の層の表面が全体的にCの化学吸着層により覆われることとなる。この場合、C含有層が形成された第1の層の表面にBおよびClが存在しなくなり、その結果、C含有層が形成された第1の層の後述するステップ3cでの改質反応が困難となることがある。上述のような処理条件下では、反応ガス(TEAガス)に含まれるリガンド(エチル基)は、BやClとは反応するが、Cとは反応しにくいからである。後述するステップ3cで所望の改質反応を生じさせるためには、Cの第1の層上への吸着状態を不飽和状態として、C含有層が形成された第1の層の表面に、BおよびClが露出した状態とする必要がある。
【0150】
の第1の層上への吸着状態を不飽和状態とするには、ステップ2cにおける処理条件を上述の処理条件とすればよい。また、ステップ2cにおける処理条件を次の処理条件とすることで、Cの第1の層上への吸着状態を不飽和状態とすることが容易となる。
【0151】
ウエハ温度:500〜650℃
処理室内圧力:133〜5332Pa
ガス分圧:33〜5177Pa
ガス供給流量:1000〜10000sccm
ガス供給流量:300〜3000sccm
ガス供給時間:6〜200秒
【0152】
(残留ガス除去)
第1の層上にC含有層が形成された後、バルブ243dを閉じ、Cガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはC含有層形成に寄与した後のCガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e〜243hは開いたままとし、不活性ガスとしてのNガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはC含有層形成に寄与した後のCガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0153】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ3cにおいて悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップ3cにおいて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0154】
炭素含有ガスとしては、プロピレン(C)ガス以外に、アセチレン(C)ガスやエチレン(C)ガス等の炭化水素系のガスを用いてもよい。炭素含有ガスは、炭素源(カーボンソース)として作用する。炭素含有ガスとしてNを含まない炭化水素系のガスを用いることで、BCN膜のN成分の増加を抑制しつつ、C成分の割合を増加させる方向に制御することが容易となる。
【0155】
[ステップ3c]
(TEAガス供給)
ステップ2cが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、処理室201内のウエハ200に対してTEAガスを供給するステップ3cを行う。ステップ3cは、第1実施形態のステップ2aと同様に行う。
【0156】
ステップ2aと同様の手順、同様の条件下でウエハ200に対してTEAガスを供給することにより、ステップ2cでウエハ200上に形成されたC含有層が形成された第1の層とTEAガスとが反応する。すなわち、C含有層が形成された第1の層の露出面に存在するCl(クロロ基)とTEAに含まれるリガンド(エチル基)とを反応させることができる。このとき生じる反応は、第1実施形態のステップ2aにおける第1の層とTEAガスとの反応と同様である。
【0157】
この一連の反応により、C含有層が形成された第1の層は、B、CおよびNを含む第2の層、すなわち、BCN層へと変化する(改質される)。第2の層は、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さの層となる。C含有層が形成された第1の層中に、TEAのリガンドに含まれていたN成分やC成分が新たに取り込まれる点は、第1実施形態のステップ2aと同様である。また、第2の層が、Cl等の不純物が少ない層となる点も、第1実施形態のステップ2aと同様である。
【0158】
(残留ガス除去)
その後、第1実施形態のステップ2aと同様の手順、同様の条件により、処理室201内に残留する未反応もしくは反応に寄与した後のTEAガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい点は、第1実施形態のステップ2aと同様である。
【0159】
(所定回数実施)
上述したステップ1c〜3cを1サイクルとして、このサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成及び所定膜厚のBCN膜を成膜することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成するBCN層の厚さを所望の膜厚よりも小さくして、上述のサイクルを所望の膜厚になるまで複数回繰り返すのが好ましい。
【0160】
(本実施形態に係る効果)
本実施形態の成膜シーケンスによれば、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の成膜シーケンスによれば、ステップ1cを行ってウエハ200上に第1の層を形成した後、ウエハ200に対してCガスを供給するステップ2cを行うことにより、つまり、1サイクル中に2種類のカーボンソース(ダブルカーボンソース)を用いて成膜を行うことにより、BCN膜中に、TEAガスに含まれていたC成分だけでなく、Cガスに含まれていたC成分を新たに添加することが可能となる。つまり、1サイクル中に1種類のカーボンソース(シングルカーボンソース)を用いて成膜を行う場合よりも、BCN膜中のC濃度を高くすることが可能となる。
【0161】
(変形例)
図11(a)に示した成膜シーケンスでは、Cガスを供給する工程を、BClガスを供給する工程とTEAガスを供給する工程との間で行う例について説明した。但し、本実施形態は係る態様に限定されない。例えば、図11(b)に示すように、BClガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うようにしてもよい。また例えば、図11(c)に示すように、TEAガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うようにしてもよい。すなわち、BClガスやTEAガスの供給停止期間にCガスを供給するだけでなく、BClガスやTEAガスの供給期間にCガスを供給するようにしてもよい。但し、BClガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うよりも、TEAガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う方が、処理室201内におけるBClガスとCガスとの気相反応を回避することができ、すなわち、処理室201内でのパーティクルの発生を抑制することができ、好ましい。
【0162】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0163】
例えば、上述の実施形態において、ウエハ200上にBCN膜を形成する際、BClガスを供給する工程、TEAガスを供給する工程、NHガスを供給する工程のうち少なくともいずれかの工程で、Cガスを供給する工程を行うようにしてもよい。このようにすることで、BCN膜のC成分を増加させることが容易となる。
【0164】
BClガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う場合、Cガスの供給を、BClガスの供給期間のうち少なくとも一部の期間に行うようにしてもよく、BClガスの供給停止期間(供給開始前の期間および/または供給停止後の期間)に行うようにしてもよく、又はこれら両方の期間に行うようにしてもよい。また、TEAガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う場合、Cガスの供給を、TEAガスの供給期間のうち少なくとも一部の期間に行うようにしてもよく、TEAガスの供給停止期間に行うようにしてもよく、又はこれら両方の期間に行うようにしてもよい。また、NHガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う場合、Cガスの供給を、NHガスの供給期間のうち少なくとも一部の期間に行うようにしてもよく、NHガスの供給停止期間に行うようにしてもよく、又はこれら両方の期間に行うようにしてもよい。
【0165】
但し、BClガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うよりも、TEAガスを供給する工程や、NHガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う方が、処理室201内におけるBClガスとCガスとの気相反応を回避することができ、好ましい。つまり、BClガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うよりも、TEAガスを供給する工程や、NHガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う方が、処理室201内でのパーティクルの発生を抑制することができ、好ましい。
【0166】
また、NHガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うよりも、TEAガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う方が、BCN膜のC成分の割合を増加させることが容易となり、好ましい。つまり、NHガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行うよりも、TEAガスを供給する工程でCガスを供給する工程を行う方が、BCN膜の組成比制御の制御性を高めることができ、好ましい。
【0167】
上述の実施形態では、B、NおよびCを含む第2の層を形成する際に、処理室201内のウエハ200に対して、クロロボラン系原料ガスを供給し、その後、アミン系ガスを供給する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、これらのガスの供給順序は逆でもよい。すなわち、アミン系ガスを供給し、その後、クロロボラン系原料ガスを供給するようにしてもよい。つまり、クロロボラン系原料ガスおよびアミン系ガスのうちの一方のガスを供給し、その後、他方のガスを供給するようにしてもよい。ガスの供給順序を変えることにより、形成される薄膜の膜質や組成比を変化させることが可能となる。
【0168】
上述の実施形態では、各シーケンスにおいて第1の層を形成する際に、クロロボラン系原料ガスを用いる例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、クロロボラン系原料ガスの代わりに、クロロ基以外のハロゲン系のリガンドを持つボラン系原料ガスを用いてもよい。例えば、クロロボラン系原料ガスの代わりに、フルオロボラン系原料ガスを用いてもよい。ここで、フルオロボラン系原料ガスとは、気体状態のフルオロボラン系原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるフルオロボラン系原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるフルオロボラン系原料等のことである。また、フルオロボラン系原料とは、ハロゲン基としてのフルオロ基を有するボラン系原料のことであり、少なくとも硼素(B)およびフッ素(F)を含む原料のことである。すなわち、ここでいうフルオロボラン系原料は、ハロゲン化物の一種とも言える。フルオロボラン系原料ガスとしては、例えば、トリフルオロボラン(BF)ガスや、テトラフルオロジボラン(B)ガス等のフッ化硼素ガスを用いることができる。この場合、各シーケンスにおいて第1の層を形成する際に、ウエハ200に対して、フルオロボラン系原料ガスを供給することとなる。この場合、第1の層は、BおよびFを含む層、すなわち、Fを含むB含有層となる。
【0169】
上述の実施形態では、反応ガスとして、アミン系ガスを用いる例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、アミン系ガスの代わりに、反応ガスとして、有機ヒドラジン化合物を含むガス、すなわち、有機ヒドラジン系ガスを用いてもよい。有機ヒドラジン化合物を含むガスを、単に、有機ヒドラジン化合物ガス、または、有機ヒドラジンガスと呼ぶこともできる。ここで、有機ヒドラジン系ガスとは、気体状態の有機ヒドラジン、例えば、常温常圧下で液体状態である有機ヒドラジンを気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である有機ヒドラジン等のヒドラジン基を含むガスのことである。有機ヒドラジン系ガスは、C、NおよびHの3元素で構成されるB非含有のガスであり、更には、Bおよび金属非含有のガスである。有機ヒドラジン系ガスとしては、例えば、モノメチルヒドラジン((CH)HN、略称:MMH)、ジメチルヒドラジン((CH、略称:DMH)、トリメチルヒドラジン((CH(CH)H、略称:TMH)等を気化したメチルヒドラジン系ガスや、エチルヒドラジン((C)HN、略称:EH)等を気化したエチルヒドラジン系ガスを好ましく用いることができる。有機ヒドラジン系ガスとしては、C、NおよびHの3元素で構成され、その組成式中(1分子中)においてN原子の数よりもC原子の数の方が多いガスを用いることができる。また、有機ヒドラジン系ガスとしては、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンドを複数有するガス、すなわち、その組成式中(1分子中)においてアルキル基等の炭化水素基を複数有するガスを用いることができる。具体的には、有機ヒドラジン系ガスとしては、その組成式中(1分子中)においてC原子を含むリガンド(アルキル基等の炭化水素基)を3つ、或いは2つ有するガスを用いることができる。
【0170】
また、上述の実施形態では、各シーケンスにおいて、ウエハ200上に一度に1種類の薄膜(単膜)を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、上述の各シーケンスを適宜組み合わせることにより、ウエハ200上に一度に2種類以上の薄膜からなる積層膜を形成してもよい。例えば、第1、第3実施形態の成膜シーケンスと、第2実施形態の成膜シーケンスとを、in−situにて交互に所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上に、BCN膜とBN膜とが交互に積層された積層膜を形成してもよい。
【0171】
上述の各実施形態や各変形例の手法により形成したBCN膜またはBN膜を、サイドウォールスペーサとして使用することにより、リーク電流が少なく、加工性に優れたデバイス形成技術を提供することが可能となる。
【0172】
また、上述の各実施形態や各変形例の手法により形成したBCN膜またはBN膜を、ハードマスクやエッチストッパ層として使用することにより、加工性に優れたデバイス形成技術を提供することが可能となる。
【0173】
上述の各実施形態や各変形例によれば、低温領域においてもプラズマを用いず、理想的量論比のBCN膜またはBN膜を形成することができる。また、プラズマを用いずBCN膜またはBN膜を形成できることから、例えばDPTのSADP膜等、プラズマダメージを懸念する工程への適応も可能となる。
【0174】
上述した薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0175】
上述のプロセスレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のプロセスレシピを変更することで用意してもよい。プロセスレシピを変更する場合は、変更後のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のプロセスレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0176】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0177】
上述の各実施形態や各変形例や各応用例等は、適宜組み合わせて用いることができる。
【0178】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0179】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対して炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0180】
(付記2)
付記1の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記反応ガスはアミンおよび有機ヒドラジンのうち少なくともいずれかを含む。
【0181】
(付記3)
付記1または2の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記反応ガスは、エチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンおよびイソブチルアミンからなる群より選択される少なくとも1つのアミンを含む。
【0182】
(付記4)
付記1〜3のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記反応ガスは硼素非含有のガスである。
【0183】
(付記5)
付記1〜4のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記反応ガスは硼素および金属非含有のガスである。
【0184】
(付記6)
付記1〜5のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記ハロゲン元素は塩素またはフッ素を含む。
【0185】
(付記7)
付記1〜6のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記原料ガスを供給する工程と、前記反応ガスを供給する工程と、を含むサイクルを所定回数行う工程では、前記原料ガスに含まれる前記ハロゲン元素と前記反応ガスに含まれる水素とをガスとして排出しつつ、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する。
【0186】
(付記8)
付記1〜7のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記原料ガスを供給する工程では、硼素と前記ハロゲン元素とを含む第1の層を形成し、
前記反応ガスを供給する工程では、前記第1の層と前記反応ガスとを反応させて硼素、炭素および窒素を含む第2の層を形成する。
【0187】
(付記9)
付記8の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記反応ガスを供給する工程では、前記第1の層と前記反応ガスとを反応させて、前記第1の層に含まれる前記ハロゲン元素の原子のうち少なくとも一部を前記第1の層から引き抜くとともに、前記反応ガスに含まれるリガンドのうち少なくとも一部を前記反応ガスから分離させ、前記リガンドのうち少なくとも一部が分離した前記反応ガスの窒素と前記第1の層に含まれる硼素とを結合させる。
【0188】
(付記10)
付記1〜9のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、前記基板に対して窒化ガスを供給する工程をさらに含む。
【0189】
(付記11)
付記10の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記窒化ガスを供給する工程では、前記第2の層を窒化して、硼素、炭素および窒素を含む第3の層、または、硼素および窒素を含む第3の層を形成する。
【0190】
(付記12)
本発明の他の態様によれば、
基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対して炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する工程を有する基板処理方法が提供される。
【0191】
(付記13)
付記12の基板処理方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、前記基板に対して窒化ガスを供給する工程をさらに含む。
【0192】
(付記14)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内へ硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内へ炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する反応ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して前記原料ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記反応ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する処理を行うように、前記原料ガス供給系および前記反応ガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0193】
(付記15)
付記14の基板処理装置であって、好ましくは、
前記処理室内へ窒化ガスを供給する窒化ガス供給系をさらに有し、
前記制御部は、前記処理室内の基板に対して前記原料ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記反応ガスを供給する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記窒化ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する処理を行うように、前記原料ガス供給系、前記反応ガス供給系および前記窒化ガス供給系を制御するよう構成される。
【0194】
(付記16)
本発明のさらに他の態様によれば、
処理室内の基板に対して硼素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して炭素、窒素および水素の3元素で構成される反応ガスを供給する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に、硼素、炭素および窒素を含む膜、または、硼素および窒素を含む膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラム、及び該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0195】
(付記17)
付記16のプログラム及び記録媒体であって、好ましくは、
前記サイクルは、前記基板に対して窒化ガスを供給する手順をさらに含む。
【符号の説明】
【0196】
121 コントローラ(制御部)
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
231 排気管
232a〜232h ガス供給管
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
図9
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図11