(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170807
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/003 20060101AFI20170713BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20170713BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20170713BHJP
H01L 29/866 20060101ALI20170713BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20170713BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
H03K19/003 230
H01L27/04 H
H01L29/90 S
H01L27/06 311B
H01L27/06 311A
H01L27/06 311C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-218639(P2013-218639)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-82699(P2015-82699A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小島 秀夫
【審査官】
▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−213344(JP,A)
【文献】
特開2013−192347(JP,A)
【文献】
特開昭63−260160(JP,A)
【文献】
特開平03−102912(JP,A)
【文献】
特開平10−233293(JP,A)
【文献】
特開昭57−045975(JP,A)
【文献】
特開平10−256484(JP,A)
【文献】
米国特許第06288428(US,B1)
【文献】
特開2010−010545(JP,A)
【文献】
特開2001−358297(JP,A)
【文献】
特開2009−225100(JP,A)
【文献】
特開2007−158154(JP,A)
【文献】
特開2009−006945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/003
H01L 21/329
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 29/866
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチの操作に基づいてモータの回転を制御する制御手段と、
前記制御手段と前記スイッチとの間に設けられ、前記スイッチから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して前記制御手段に入力する信号変換手段と、
一端が前記スイッチと前記信号変換手段との間に接続されると共に他端が接地され、前記アナログ信号の電圧が降伏電圧以上になった場合に接地側に放電する双方向ツェナーダイオード、及び一端が前記双方向ツェナーダイオードの一端と前記信号変換手段との間に接続されると共に他端が接地され、前記信号変換手段に入力される前記アナログ信号の電圧を所定電圧以下に抑制するクランプ回路を有する高耐圧回路と、
を含んだ1の集積回路を備えたモータ制御装置。
【請求項2】
前記スイッチと前記高耐圧回路の前記双方向ツェナーダイオードとの間に第1の抵抗をさらに備え、
前記高耐圧回路は、前記双方向ツェナーダイオードと前記クランプ回路との間に前記第1の抵抗よりも抵抗値が大きな第2の抵抗をさらに備えた請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記双方向ツェナーダイオードに代えて、ゲート、ソース及びバックゲートが短絡され、ドレインが前記スイッチと前記信号変換手段との間に接続されると共に、ソースが接地されたNMOSFETを備えた請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコン等の半導体を実装した回路を有する機器では、ユーザによるスイッチの操作時に、スイッチを介してユーザの身体に蓄積された静電気が回路に流れるESD(静電気放電:Electro-Static Discharge)が生じ、回路の半導体を損傷する場合がある。特許文献1では、スイッチとマイコンとの間にコンデンサを配置して静電気を吸収することにより、回路へのESDを防止する技術が開示されている。
【0003】
また、乗用自動車等の車両におけるパワーウィンドウ装置に係るモータ制御装置では、上記の特許文献1の技術と同趣旨の技術を用いて回路へのESDを防止している。
図5は、パワーウィンドウモータ30の回転を制御するマイコン130とパワーウィンドウスイッチ(以下、「P/Wスイッチ」と称する)14との間にESD対策コンデンサ192A,192Bを設けたモータ制御装置100の回路の一例を示す図である。
図5では、車両の窓ガラスを上昇させるためのUP用スイッチ14Aとマイコン130のUP用入力ポート118Aとの間に、一端が接地されたESD対策コンデンサ192Aが接続されている。また
図5では、車両の窓ガラスを下降させるためのDOWN用スイッチ14Bとマイコン130のDOWN用入力ポート118Bとの間に、一端が接地されたESD対策コンデンサ192Bが各々接続されている。
【0004】
また、
図5に示したマイコン130には車両側のボディECU(Electronic Control Unit)16が、チョークコイル194とLINドライバ174とを介して、LIN用入力ポート118Cに接続されている。なお、LINドライバ174は、パワーウィンドウ装置等の制御に用いられるプロトコルであるLIN(Local Interconnect Network)の通信制御を行う装置である。
【0005】
マイコン130は、5Vレギュレータ172から制御電圧が印加されると共に、UP用入力ポート118A、DOWN用入力ポート118B及びLIN用入力ポート118Cから入力された指令に基づき、リレードライバ164にリレー162を駆動するための制御指令を送信する。リレードライバ164はモータに供給される電力をオン又はオフするリレー162をマイコン130からの制御指令に基づいて駆動することによりパワーウィンドウモータ30を回転させ、ホールIC66はパワーウィンドウモータ30の回転速度を検知して、パワーウィンドウモータ30の回転速度に応じた信号を出力する。ホールIC66が出力した信号は、当該信号に含まれる暗電流を低減させる暗電流低減回路168を介してマイコン130にフィードバックされる。マイコン70等はESDに対して脆弱なので、上記のESD対策コンデンサ192A,192Bにより、ESDの電気エネルギーを吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−7455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術及び
図5に示したモータ制御装置では、ESDを防止するためのコンデンサに蓄えられた電気エネルギーが、スイッチをオンにした時に突入電流となり、回路の素子及びスイッチの接点を損傷するおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の技術及び
図5に示したモータ制御装置では、ESDを防止するためのコンデンサを回路に実装するにはコストと手間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡素な構成でESD及びスイッチオン時の突入電流の高電圧による素子の損傷を防止できるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のモータ制御装置は、スイッチの操作に基づいてモータの回転を制御する制御手段と、前記制御手段と前記スイッチとの間に設けられ、
前記スイッチから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して前記制御手段に入力する信号変換手段と、一端が前記スイッチと前記信号変換手段との間に接続されると共に他端が接地され、前記アナログ信号の電圧が降伏電圧以上になった場合に接地側に放電する双方向ツェナーダイオード、及び一端が前記双方向ツェナーダイオードの一端と前記信号変換手段との間に接続されると共に他端が接地され、前記信号変換手段に入力される前記アナログ信号の電圧を所定電圧以下に抑制するクランプ回路を有する高耐圧回路と、を含んでいる。
【0011】
このモータ制御装置によれば、ESD又はスイッチオン時にスイッチ側から印加された高電圧に耐える高耐圧回路を制御手段の前段に設けている。また、制御手段及び高耐圧回路は1の集積回路に集約されているので、部品点数を削減してコストを低減できると共に、モータ制御装置の回路の基板をコンパクト化できる。その結果、簡素な構成でESD及びスイッチオン時の突入電流の高電圧による素子の損傷を防止できる。
【0012】
また、このモータ制御装置によれば、高耐圧回路に印加された電圧を、双方向ツェナーダイオードを介してGNDに放電でき、ESD及びスイッチオン時の突入電流の高電圧による素子の損傷を防止できる。
【0013】
また、このモータ制御装置によれば、クランプ回路により、信号変換手段に入力される前記アナログ信号の電圧を所定電圧以下に抑制することができる。
【0014】
請求項
2に記載のモータ制御装置は、請求項
1に記載のモータ制御装置において、前記スイッチと前記高耐圧回路の前記双方向ツェナーダイオードとの間に第1の抵抗をさらに備え、前記高耐圧回路は、前記双方向ツェナーダイオードと前記
クランプ回路との間に前記第1の抵抗よりも抵抗値が大きな第2の抵抗をさらに備えている。
【0015】
このモータ制御装置によれば、第1の抵抗と、双方向ツェナーダイオードと、第2の抵抗とで一種の分圧回路を構成し、かつ第2の抵抗の抵抗値を第1の抵抗よりも大きくすることにより、印加された高電圧を双方向ツェナーダイオード側へ大きく分圧できる。その結果、簡素な構成でESD及びスイッチオン時の突入電流の高電圧による素子の損傷を防止できる。
【0016】
請求項
3に記載のモータ制御装置は、請求項
1又は
2に記載のモータ制御装置において、前記双方向ツェナーダイオードに代えて、ゲート、ソース及びバックゲートが短絡され、ドレインが前記スイッチと前記信号変換手段との間に接続されると共に、ソースが接地されたNMOSFETを備えている。
【0017】
このモータ制御装置によれば、双方向ツェナーダイオードよりも構成が簡易で集積回路への実装も容易なゲート、ソース及びバックゲートを短絡させたNMOSFETを、双方向ツェナーダイオードに代えて実装することで、回路をより簡素化できる。その結果、簡素な構成でESD及びスイッチオン時の突入電流の高電圧による素子の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係るモータ制御装置を用いたパワーウィンドウ装置の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の一例を示す回路図である。
【
図3】本実施の形態に係るモータ制御装置の入力段とP/Wスイッチとの間に構成される分圧回路の概略図である。
【
図4】双方向ツェナーダイオードに代えてGGNMOSFETを実装した本実施の形態の変形例の一例を示す図である。
【
図5】マイコンとP/Wスイッチ14との間にESD対策コンデンサを設けたモータ制御装置の回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施の形態に係るモータ制御装置10を用いたパワーウィンドウ装置20の一例を示す概略図である。パワーウィンドウ装置20は、車両用ドア12に設けられており、モータ制御装置10と、P/Wスイッチ14と、パワーウィンドウモータ30と、昇降機構40と、窓ガラス54とを含んで構成されている。
【0020】
P/Wスイッチ14は、車両用ドア12の室内側に設けられたスイッチであり、窓ガラス54を上昇又は下降させるための操作に基づく指令をモータ制御装置10に入力する。モータ制御装置10は、P/Wスイッチ14等からの指令に基づいてパワーウィンドウモータ30の回転を制御する制御装置であり、パワーウィンドウモータ30は、例えばブラシ付き直流モータであるモータ本体32と減速機構34と出力軸36とを含んでいる。モータ本体32は、ブラシ付き直流モータ以外にもDCブラシレスモータでもよい。
【0021】
減速機構34は、主にウォームギアで構成されており、モータ本体32の回転速度を窓ガラス54の昇降に適した回転速度まで減速させると共に、出力軸36のトルクを増大させる。
【0022】
出力軸36にはピニオンギア38Aが取り付けられており、ピニオンギア38Aには昇降機構のリンクアーム44Aの一端に設けられたラックレール38Bが嵌合している。出力軸36の回転は、ピニオンギア38Aとラックレール38Bを介してリンクアーム44Aに伝達される。
【0023】
リンクアーム44Aは、他端に窓ガラス54の下部を補強する金属部材である窓ガラス支持部56に設けられた溝部50Bに嵌合した上部ピボット50Aを有し、上部ピボット50Aは溝部50Bに対して摺動自在に取り付けられている。
【0024】
昇降機構40は、一端に下部ピボット46Aを他端に上部ピボット48Aを備え、中央ピボット42でリンクアーム44Aと交差したリンクアーム44Bを有している。リンクアーム44Aとリンクアーム44Bとは、中央ピボット42で互いに回転可能な状態で取り付けられている。
【0025】
また、リンクアーム44Bの下部ピボット46Aは車両用ドア12に設けられた溝部46Bに、リンクアーム44Bの上部ピボット48Aは窓ガラス支持部56に設けられた溝部48Bに各々嵌合し、下部ピボット46A及び上部ピボット48Aは、溝部46B及び溝部48B対して各々摺動自在に取り付けられている。
【0026】
本実施の形態に係るパワーウィンドウ装置20は、パワーウィンドウモータ30の出力軸36が回転すると、出力軸36の回転力がピニオンギア38A及びラックレール38Bを介してリンクアーム44Aに伝達され、リンクアーム44Aは、伝達された力を、中央ピボット42をてこの支点とし、上部ピボット50Aをてこの作用点として窓ガラス支持部56の溝部50Bに作用させる。
【0027】
また、リンクアーム44Bは、中央ピボット42を介してリンクアーム44Aの動作に随伴して動き、出力軸36の回転力に基づく力を窓ガラス支持部56の溝部48Bに作用させ、その結果、窓ガラス54が昇降する。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の一例を示す回路図である。本実施の形態に係るモータ制御装置10は、P/Wスイッチ14及びボディECU16から入力された指令に応じてパワーウィンドウモータ30の回転を制御する指令をリレー62に対して出力するMCU(Micro Controller Unit)60と、MCU60の指令に基づいてパワーウィンドウモータ30に供給する電力をオン又はオフするリレー62とを備えている。また、MCU60には、ホールIC66が検知したパワーウィンドウモータ30の回転速度に係る信号が入力されることにより、実際のパワーウィンドウモータ30の回転速度がフィードバックされる。
【0029】
P/Wスイッチ14は、一例として、車両の窓ガラスを上昇させるためのUP用スイッチ14Aと、車両の窓ガラスを下降させるためのDOWN用スイッチ14Bとを備えている。UP用スイッチ14A及びDOWN用スイッチ14Bは、一例として各々75kΩの抵抗R1A及び抵抗R1Bを介してMCU60のUP用入力ポート18A及びDOWN用入力ポート18Bに各々接続されている。
【0030】
また、車両側に設けられ、パワーウィンドウ装置20を含む車載の機器を制御するボディECU16は、LINの通信制御に従ってパワーウィンドウ装置20の制御に係る指令をMCU60に出力する。ボディECU16が出力する指令は、例えば、車両のエンジンを停止した時に窓ガラス54を閉める等の、P/Wスイッチ14の操作による信号とは別のものである。
【0031】
ボディECU16は、チョークコイル94介してMCU60のLIN用入力ポート18Cに接続されている。また、チョークコイル94とMCU60との間にはツェナーダイオード96Aのアノードが接続されている。ツェナーダイオード96Aのカソードには、アノードが接地されたツェナーダイオード96Bのカソードが接続され、いわゆる双方向ツェナーダイオード96を構成している。本実施の形態では、ボディECU16とMCU60との間に生じた高電圧を、かかる双方向ツェナーダイオード96を介して接地することにより、MCU60等の回路の損傷を防止する。
【0032】
MCU60は、UP用入力ポート18A及びDOWN用入力ポート18Bを介してP/Wスイッチ14から信号が入力される入力段80と、LIN用入力ポート18Cを介してボディECU16と接続されLINの通信制御を行うLINドライバ74とを含む。入力段80及びLINドライバ74は、各々マイコン70に接続される。
【0033】
マイコン70は、5Vレギュレータ72から制御電圧が印加されると共に、UP用入力ポート18A、DOWN用入力ポート18B及びLIN用入力ポート18Cから入力された信号に基づき、リレードライバ64にリレー62を制御するための制御指令を出力する。また、ホールIC66が検知したパワーウィンドウモータ30の回転速度に係る信号は、当該信号に含まれる暗電流を低減させる暗電流低減回路68を介してマイコン70に入力される。
【0034】
図2に示したように、本実施の形態に係るモータ制御装置10に含まれるMCU60は、マイコン70、5Vレギュレータ72、リレードライバ64、暗電流低減回路68、入力段80及びLINドライバ74等を1の集積回路に集約したものである。マイコン70等の構成を1の集積回路に集約することにより、モータ制御装置10の回路の簡素化が可能で、モータ制御装置10の製造コストを低減することができる。また、
図5に示した例のように、ESDを防止するためのコンデンサ等の素子を回路に実装していないので、スイッチオン時に当該コンデンサ内の電気エネルギーが放電されて、回路の素子及びスイッチを損傷することを防止できる。
【0035】
入力段80は、コンパレータ88A及びコンパレータ88Bを含み、コンパレータ88AはUP用入力ポート18Aからのアナログ信号を、コンパレータ88BはDOWN用入力ポート18Bからのアナログ信号を、各々デジタル信号に変換してマイコンに出力する。コンパレータ88A及びコンパレータ88Bの入力端は、一例として各々372kΩの抵抗R2A及び抵抗R2Bを介してMCU60のUP用入力ポート18A及びDOWN用入力ポート18Bに各々接続されている。
【0036】
コンパレータ88Aの入力端には、一端が接地されたクランプ回路86Aが接続されている。また、コンパレータ88Bの入力端には一端が接地されたクランプ回路86Bが接続されている。クランプ回路86A及びクランプ回路86Bは、コンパレータ88A及びコンパレータ88Bの各々入力端に印加される電圧を、例えば10V以下に抑制する。
【0037】
UP用入力ポート18Aと抵抗R2Aとの間には、ツェナーダイオード82Aのカソードが接続されている。ツェナーダイオード82Aのアノードには、カソードが接地されたツェナーダイオード84Aのアノードが接続され、いわゆる双方向ツェナーダイオード90を構成している。
【0038】
また、DOWN用入力ポート18Bと抵抗R2Bとの間には、ツェナーダイオード82Bのカソードが接続されている。ツェナーダイオード82Bのアノードには、カソードが接地されたツェナーダイオード84Bのアノードが接続され、いわゆる双方向ツェナーダイオード92を構成している。なお、ツェナーダイオード82A,82B,84A,84Bの降伏電圧は、例えば各々45Vである。
【0039】
ESDにより、例えばUP用入力ポート18Aに上記の降伏電圧以上の高電圧が印加された場合、印加された高電圧はツェナーダイオード82Aのカソードからアノード、さらにはツェナーダイオード84Aのアノードからカソードを通じてGNDに放電される。また、DOWN用入力ポート18Bに上記の降伏電圧以上の高電圧が印加された場合には、印加された高電圧はツェナーダイオード82Bのカソードからアノード、さらにはツェナーダイオード84Bのアノードからカソードを通じてGNDに放電される。かかる双方向ツェナーダイオードを介した放電により、入力段80は、高耐圧回路となっている。
【0040】
なお、ツェナーダイオード82A,82BのアノードをUP用入力ポート18A,18Bと抵抗R2A,R2Bとの間に各々接続し、ツェナーダイオード82A,82Bのカソードにツェナーダイオード84A,84Bのカソードを各々接続してもよい。かかる場合には、ツェナーダイオード84A,84Bのアノードを各々接地する。
【0041】
また、抵抗R1A、抵抗R2A及びツェナーダイオード82A,84A、並びに抵抗R1B、抵抗R2B及びツェナーダイオード82B,84Bは、各々一種の分圧回路を構成している。
図3は、本実施の形態に係るモータ制御装置10の入力段80とP/Wスイッチ14との間に構成された分圧回路の概略図である。
【0042】
一例として、抵抗R1A,R1Bを各々75kΩ、抵抗R2A,R2Bを各々372kΩとする。かかる場合に、ツェナーダイオード82A,84A及びツェナーダイオード82B,84Bには、下記の式(1)の通り、各々、P/Wスイッチ14側から印加された電圧の83%が分圧される。かかる分圧と、双方向ツェナーダイオード90,92によるGNDへの放電により、コンパレータ88A,88Bに印加された電圧を低下させることできる。その結果、CMOS(Complementary MOS)で構成されたコンパレータ88A,88B及びマイコン70を含むMCU60の高耐圧化を図ることができる。
【0043】
式(1)での計算のように、印加された電圧を双方向ツェナーダイオード90,92に大きく分圧するには、抵抗R1A,R1Bよりもコンパレータ88A,88B寄りに設けられた抵抗R2A,R2Bの抵抗値を抵抗R1A,R1Bの抵抗値よりも大きくする。ただし、あまり双方向ツェナーダイオード90,92に大きく分圧すると、コンパレータ88A,88Bへ出力されるべき信号が損なわれるおそれがある。抵抗R1A,R1Bと抵抗R2A,R2Bの抵抗値は、回路設計のシミュレーション及び試作等を通じて適切な値を決定する。なお、
図2及び
図4では、抵抗R1A,R1Bは、MCU60内に実装されていないが、双方向ツェナーダイオード90,92及び抵抗R2A,R2Bと共にMCU60内に実装してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、双方向ツェナーダイオードに代えて、ゲート、ソース及びバックゲートを短絡させたNMOSFETであるGGNMOSFET(Gate Grounded NMOS FET)を実装してもよい。
【0045】
図4は、GGNMOSFET98を実装した本実施の形態の変形例の一例を示す図である。
図4に示したように、GGNMOSFET98は、双方向ツェナーダイオード90,92に代えて、UP用入力ポート18Aと抵抗R2Aとの間、及びDOWN用入力ポート18Bと抵抗R2Bとの間に各々設けられている。
【0046】
UP用入力ポート18A又はDOWN用入力ポート18Bに、ESD及びスイッチオン時の突入電流等による高電圧が印加された場合には、GGNMOSFET98は、双方向ツェナーダイオード90,92と同様に印加された高電圧をGNDに放電する。
【0047】
また、
図4に示したGGNMOSFETは、簡素な構成であり、双方向ツェナーダイオードよりも集積回路上での実装に要する面積が少なくて済むという利点がある。従って、1の集積回路であるMCU60にマイコン70その他の素子と共に、双方向ツェナーダイオードを実装する場合には、本変形例のように双方向ツェナーダイオードに代えてGGNMOSFETを実装することが効果的である。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ESDを防止するためのコンデンサ等の素子を回路に実装しない簡素な構成で、ESD及びスイッチオン時の突入電流の高電圧による素子の損傷を防止できる
【符号の説明】
【0049】
10・・・モータ制御装置、12・・・車両用ドア、14・・・P/Wスイッチ、14A・・・UP用スイッチ、14B・・・DOWN用スイッチ、16・・・ボディECU、18A・・・UP用入力ポート、18B・・・DOWN用入力ポート、18C・・・LIN用入力ポート、20・・・パワーウィンドウ装置、30・・・パワーウィンドウモータ、32・・・モータ本体、34・・・減速機構、36・・・出力軸、38A・・・ピニオンギア、38B・・・ラックレール、40・・・昇降機構、42・・・中央ピボット、44A・・・リンクアーム、44B・・・リンクアーム、46A・・・下部ピボット、48A・・・上部ピボット、48B・・・溝部、50A・・・上部ピボット、50B・・・溝部、54・・・窓ガラス、56・・・窓ガラス支持部、60・・・MCU、62・・・リレー、64・・・リレードライバ、66・・・ホールIC、68・・・暗電流低減回路、70・・・マイコン、72・・・5Vレギュレータ、74・・・LINドライバ、80・・・入力段、82A,82B,84A,84B・・・ツェナーダイオード、86A,86B・・・クランプ回路、88A,88B・・・コンパレータ、90,92・・・双方向ツェナーダイオード、94・・・チョークコイル、96・・・双方向ツェナーダイオード、96A,96B・・・ツェナーダイオード、98・・・GGNMOSFET、100・・・モータ制御装置、118A・・・UP用入力ポート、118B・・・DOWN用入力ポート、118C・・・LIN用入力ポート、130・・・マイコン、162・・・リレー、164・・・リレードライバ、168・・・暗電流低減回路、172・・・5Vレギュレータ、174・・・LINドライバ、192A,192B・・・ESD対策コンデンサ、194・・・チョークコイル、R1A,R1B,R2A,R2B・・・抵抗