(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直列接続された複数の蓄電セルからなる集合電池における、前記蓄電セル間又は直列接続された複数の前記蓄電セルからなる蓄電モジュール間の電圧を均等化するバランス補正装置であって、
直列接続された第1の前記蓄電モジュールと第2の前記蓄電モジュールとの接続点にその一端が接続される、インダクタと、
前記第1の蓄電モジュールの正負端子間に前記インダクタとともに直列接続される、第1のスイッチング素子と、
前記第2の蓄電モジュールの正負端子間に前記インダクタとともに直列接続される、第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオンオフ制御することにより前記蓄電モジュールの夫々に対する電流の供給を制御し、それにより前記インダクタを介して前記蓄電モジュール間で電力の授受を生じさせて前記蓄電モジュール間の電圧を均等化させる、スイッチング制御部と
を備えて構成される、複数のバランス補正ユニットを備え、
一の前記バランス補正ユニットの前記第1の蓄電モジュールは、他の一の前記バランス補正ユニットの前記第2の蓄電モジュールと同一の前記蓄電モジュールとなるように結線されており、
前記バランス補正ユニットの夫々の前記スイッチング制御部に対して、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオンオフ制御すべく前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子に入力する制御信号の生成に用いる共通のタイミング信号を供給する、タイミング信号供給部を備える、
バランス補正装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図23にコンバータ方式のバランス補正回路7の一例を示す。同図に示すように、蓄電セルB1とB2とが直列接続されて集合電池3を構成している。蓄電セルB1の正負端子間には、スイッチング素子S1並びに容量素子C1が、蓄電セルB2の正負端子間には、スイッチング素子S2並びに容量素子C2が、夫々接続されている。またスイッチング素子S1、S2の共通接続点J3と、蓄電セルB1,B2の接続点J1との間にインダクタLが接続されている。
【0006】
スイッチング素子S1,S2は、制御回路10によって生成される制御信号φ1,φ2によって制御されるゲートドライバG1,G2によって、一方のスイッチング素子がオンのときは他方のスイッチング素子がオフするように互いに相補的に動作する。容量素子C1,C2は、例えば、スイッチング素子のオンオフ動作に起因して生じるノイズの低減、スイッチング素子のオンオフ動作により蓄電セルB1,B2に生じる電圧変化の緩和等を目的として設けられる。
【0007】
制御回路10は、制御信号φ1,φ2によってゲートドライバG1,G2を制御することにより、スイッチング素子S1及びスイッチング素子S2を所定のデューティ比で交互にオンオフ制御する。これによりインダクタLを介して蓄電セルB1と蓄電セルB2との間でエネルギーの授受が行われ、その結果、蓄電セルB1と蓄電セルB2の電圧が均等化される。
【0008】
図24(a)は、制御回路10が、スイッチング素子S1,S2のオンオフ制御を行っている期間に生成する、制御信号φ1,φ2の波形である。上記期間中、制御回路10は、例えば、同図に示すような同一周期で相補的にオンオフされる方形波からなる制御信号φ1,φ2を生成する。
【0009】
図24(b)〜(d)は、スイッチング素子S1,S2のオンオフ制御を行っている期間にインダクタLを流れる電流iL(以下、回生電流とも称する。)の波形である。このうち
図24(b)は、蓄電セルB1の電圧E1が蓄電セルB2の電圧E2よりも高いときにインダクタLを流れる電流iLの波形であり、
図24(c)は、蓄電セルB1の電圧E1が蓄電セルB2の電圧E2よりも低いときにインダクタLを流れる電流iLの波形であり、
図24(d)は、蓄電セルB1の電圧E1と蓄電セルB2の電圧E2とが均等である(略等しい)ときにインダクタLを流れる電流iLの波形である。
【0010】
2つの蓄電セルB1,B2に電圧差が存在する場合、第1経路及び第2経路に交互に電流iLが流れることにより蓄電セルB1と蓄電セルB2との間でエネルギーの授受が行われ、その結果、両者の電圧が均等化されてセルバランスが確保される。
【0011】
ここで以上に示した構成は蓄電セルの数が2つの場合であるが、蓄電セルが3つ以上である場合に拡張することもできる。
【0012】
図25は3つの蓄電セルB1〜B3の電圧の均等化に対応したバランス補正回路7の一例である。同図において、制御回路10Aは、スイッチング素子S1,S2を相補的にオンオフして蓄電セルB1の電圧と蓄電セルB2の電圧を均等化させ、また制御回路10Bは、スイッチング素子S3,S4を相補的にオンオフして蓄電セルB2の電圧と蓄電セルB3の電圧を均等化させる。これらの制御によって蓄電セルB2の電圧は2つの蓄電セルB1,B3の双方の電圧と均等化され、その結果、3つの蓄電セルB1,B2,B3の電圧が均等化される。
【0013】
ここで同図に示すバランス補正回路7において、制御回路10Aと制御回路10Bとは独立して、即ち制御回路10Aによるスイッチング素子S1,S2のオンオフ制御に並行して制御回路10Bによるスイッチング素子S3,S4のオンオフ制御を行うこと(以下、並行制御とも称する。)も可能である。しかし並行制御が行われる場合、各制御回路10A,10Bがスイッチング素子のオンオフ制御に際してスイッチング素子に入力する(スイッチング素子のゲートに与える)制御信号の周波数の同期が取れていないと、例えば、次のような問題が生じ得る。
【0014】
図26は、上記並行制御が行われているときのスイッチング素子S2の制御信号φ2の波形、スイッチング素子S3の制御信号φ3の波形、
図25の接続点J42の電圧の波形(制御回路10Aがスイッチング素子S1,S2をオンオフ制御することに由来する波形(符号(a)で示す波形)、制御回路10Bがスイッチング素子S3,S4をオンオフ制御することに由来する波形(符号(b)で示す波形)、並びに、符号(a)で示す波形と符号(b)で示す波形とを重畳(合成)した波形(符号(c)で示す波形))を例示したものである。尚、同図にはスイッチング素子S1,S4の制御信号φ1,φ4の波形は示していないが、制御信号φ1の波形は制御信号φ2の波形を逆位相にしたものとなり、制御信号φ4の波形は制御信号φ3の波形を逆位相にしたものとなる。
【0015】
同図に示すように、制御信号φ2と制御信号φ3の同期がとれていないために両者の位相差が時間経過とともに変化している。またこれに伴い、符号(a)で示す波形及び符号(b)で示す波形の位相差も変化している。このため、実際に接続点J42に現れる電圧波形(c)は多数の周波数成分を含んだ時間的に安定しない乱れた波形になっている。ここでこうした電圧波形は、ノイズや騒音、回生電流の異常、異常発振等の問題が生じさせる要因となり得る。
【0016】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたもので、制御回路間でスイッチング素子を制御する信号の同期が取れていないことに起因して生じる問題を防ぐことが可能なバランス補正装置及び蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するための本発明のうちの一つは、直列接続された複数の蓄電セルからなる集合電池における、前記蓄電セル間又は直列接続された複数の前記蓄電セルからなる蓄電モジュール間の電圧を均等化するバランス補正装置であって、直列接続された第1の前記蓄電モジュールと第2の前記蓄電モジュールとの接続点にその一端が接続される、インダクタと、前記第1の蓄電モジュールの正負端子間に前記インダクタとともに直列接続される、第1のスイッチング素子と、前記第2の蓄電モジュールの正負端子間に前記インダクタとともに直列接続される、第2のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオンオフ制御することにより前記蓄電モジュールの夫々に対する電流の供給を制御し、それにより前記インダクタを介して前記蓄電モジュール間で電力の授受を生じさせて前記蓄電モジュール間の電圧を均等化させる、スイッチング制御部とを備えて構成される、複数のバランス補正ユニットを備え、一の前記バランス補正ユニットの前記第1の蓄電モジュールが、他の一の前記バランス補正ユニットの前記第2の蓄電モジュールと同一の前記蓄電モジュールとなるように結線されており、前記バランス補正ユニットの夫々の前記スイッチング制御部に、前記バランス補正ユニットの夫々の前記スイッチング制御部に対して、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオンオフ制御すべく前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子に入力する制御信号の生成に用いる共通のタイミング信号を供給する、タイミング信号供給部を備えることとする。
【0018】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記タイミング信号供給部が、前記タイミング信号を前記バランス補正ユニットの夫々の前記スイッチング制御部に対して直接供給する。
【0019】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記タイミング信号供給部は、前記タイミング信号を第2の前記バランス補正ユニットの前記スイッチング制御部に供給する第1の回路と、前記第2のバランス補正ユニットが前記タイミング信号供給部から供給を受けた前記タイミング信号を第1の前記バランス補正ユニットの前記スイッチング制御部に供給する第2の回路と、を備えることとする。
【0020】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記第2の回路は、前記第2のバランス補正ユニットの前記スイッチング制御部が生成する前記制御信号に基づきタイミング信号を生成し、生成した前記タイミング信号を前記第1のバランス補正ユニットの前記スイッチング制御部に供給することとする。
【0021】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記第2の回路は、前記第2のバランス補正ユニットの前記スイッチング制御部が生成する前記制御信号と当該第2のバランス補正ユニットの前記第2の蓄電モジュールの正極との間に生じる電圧差によって充電される容量素子に印加される電圧の変化に基づき前記タイミング信号を生成することとする。
【0022】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記第2の回路は、前記容量素子に印加される電圧を整流することにより得られる電圧によって前記容量素子を充電することとする。
【0023】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記第2の回路は、前記容量素子に印加される電圧を分圧することにより得られる分圧電圧に基づき前記タイミング信号を生成することとする。
【0024】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記2の回路は、前記第2のバランス補正ユニットの前記スイッチング制御部の前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、及び前記インダクタの共通接続部に生じる電圧に基づき前記タイミング信号を生成することとする。
【0025】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記第2の回路は、前記共通接続部に生じる電圧を整流することにより得られる電圧の変化に基づき前記タイミング信号を生成することとする。
【0026】
本発明の他の一つは、上記バランス補正装置であって、前記第2の回路は、前記共通接続部に生じる電圧を分圧することにより得られる電圧の変化に基づき前記タイミング信号を生成することとする。
【0027】
本発明の他の一つは、蓄電装置であって、前記複数の蓄電セルと上記バランス補正装置を備えることとする。
【0028】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、制御回路間でスイッチング素子を制御する信号の同期が取れていないことに起因して生じる問題を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】(a)は、制御回路10が第1の期間に出力する制御信号φ1,φ2の波形であり、(b)乃至(d)は、第1の期間においてインダクタLを流れる電流の波形である。
【
図3】3つの蓄電セルB1〜B3の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1の一例である。
【
図4】4つの蓄電セルB1〜B4の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1の一例である。
【
図5】第1実施例として示すバランス補正回路1である。
【
図6】第1実施例として示すバランス補正回路1の変形例である。
【
図7】第1実施例として示すバランス補正回路1の変形例である。
【
図8】第2実施例として示すバランス補正回路1(蓄電セルが3つの場合)である。
【
図9】制御信号φ4の電圧波形と制御回路10Aに供給されるタイミング信号の電圧波形の一例である。
【
図10】第2実施例として示すバランス補正回路1の変形例である。
【
図11】第2実施例として示すバランス補正回路1(蓄電セルが4つの場合)である。
【
図12】制御信号φ6の電圧波形と制御回路10Bに供給されるタイミング信号の電圧波形の一例である。
【
図13】制御信号φ4の電圧波形と制御回路10Aに供給されるタイミング信号の電圧波形の一例である。
【
図14】第3実施例として示すバランス補正回路1(蓄電セルが3つの場合)である。
【
図15】第2のバランス補正ユニットの共通接続点J64の電圧波形と制御回路10Aに供給されるタイミング信号の電圧波形の一例である。
【
図16】第3実施例として示すバランス補正回路1の変形例である。
【
図17】第3実施例として示すバランス補正回路1(蓄電セルが4つの場合)である。
【
図18】制御信号φ6の電圧波形と制御回路10Bに供給されるタイミング信号の電圧波形の一例である。
【
図19】制御信号φ4の電圧波形と制御回路10Aに供給されるタイミング信号の電圧波形の一例である。
【
図20】制御回路10がタイミング信号に同期させた制御信号を生成する仕組みを説明する図である。
【
図21】制御信号生成回路101が制御信号φi,φi+1を生成する様子を説明する図である。
【
図22】鋸波生成回路1011がタイミング信号に同期させた鋸波を生成する仕組みを説明する図である。
【
図23】コンバータ方式のバランス補正回路7の一例である。
【
図24】(a)は、制御回路10が第1の期間に出力する制御信号φ1,φ2の波形であり、(b)乃至(d)は、第1の期間においてインダクタLを流れる電流の波形である。
【
図25】3つの蓄電セルB1〜B3の電圧の均等化に対応したバランス補正回路7の一例である。
【
図26】制御信号の周波数の同期が取れていない場合に接続点J42に生じる波形の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、同一又は類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。また符号の添字部分を省略して同一の構成要素を総称することがある(例えば、制御回路10A,10B,10Cを制御回路10と総称する)。
【0032】
[バランス補正回路の基本構成]
図1にコンバータ方式のバランス補正回路1(バランス補正装置)の一例を示している。バランス補正回路1は、例えば、直列接続された複数の蓄電セルからなる集合電池を利用する蓄電装置(電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、昇降機、系統連携用蓄電装置、パーソナルコンピュータ、ノートブック型コンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、PDA機器等)に適用される。蓄電セルは、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等であるが、電気二重層キャパシタ等の他の種類の蓄電素子であってもよい。
【0033】
集合電池を構成している蓄電セル間で製造品質や劣化の度合いが異なる場合、蓄電セル間の電池特性(電池容量、放電電圧特性)に差が生じることがあり、この電池特性の差に起因して、充放電時等に蓄電セル間の電圧にばらつきが生じることがある。そこでこのようなばらつきの発生を抑制すべく、バランス補正回路1は、蓄電セル間の電圧もしくは直列接続された複数の蓄電セルからなる蓄電モジュール間の電圧を均等化(セルバランスの確保)させるように動作する。
【0034】
同図に示すように、直列接続された蓄電セルB1,B2によって集合電池3が構成されている。集合電池3の正負端子31,32には、例えば、集合電池3に充電電流を供給する電流供給源(例えば、充電器、回生回路等)、集合電池3の起電力を利用して機能する負荷(例えば、モータ、電子回路、電気製品等)等が接続される。
【0035】
蓄電セルB1の負極と蓄電セルB2の正極とを結ぶ線路(蓄電セルB1,B2の直列接続点を含む線路)には、インダクタLの一端が接続している。インダクタLの他端と蓄電セルB1の正極とを結ぶ線路には、スイッチング素子S1が設けられている。インダクタLの他端と蓄電セルB2の負極とを結ぶ線路には、スイッチング素子S2が設けられている。
【0036】
スイッチング素子S1,S2は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いて構成されている。スイッチング素子S1,S2は、制御回路10(スイッチング制御部)によって生成される制御信号φ1,φ2によって制御されるゲートドライバG1,G2によって、一方のスイッチング素子がオンのときは他方のスイッチング素子がオフするように互いに相補的に動作する。尚、スイッチング素子S1,S2はバイポーラトランジスタを用いて構成することもできる。
【0037】
インダクタLの一端と蓄電セルB1の正極との間には容量素子C1が、インダクタLの一端と蓄電セルB2の負極との間には容量素子C2が、夫々設けられている。これらの容量素子C1,C2は、例えば、スイッチング素子のオンオフ動作に起因して生じるノイズの低減、スイッチング素子のオンオフ動作により蓄電セルB1,B2に生じる電圧変化の緩和などを目的として設けられている。尚、容量素子C1は、例えば、蓄電セルB1の正極と蓄電セルB2の負極との間などに設けてもよい。
【0038】
制御回路10は、制御信号生成回路101、デューティ比制御回路102、及び計測回路103(電圧計測部)を備える。制御回路10は、例えば、演算装置(CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等)及び記憶装置(RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等)を備えたマイクロコンピュータを用いて実現することができる。
【0039】
制御信号生成回路101は、ゲートドライバG1,G2の夫々に供給する2相の制御信号φ1,φ2を生成する。より具体的には、制御信号生成回路101は、デューティ比制御回路102から入力される後述のデューティ比制御信号に応じて制御信号φ1,φ2を生成する。本実施形態では、制御信号φ1,φ2は、所定のデューティ比の2相(ハイレベル(High level)、ローレベル(Low level))の方形波(例えばPWMパルス(PWM:Pulse Width Modulation)であるものとする。
【0040】
デューティ比制御回路102は、制御信号生成回路101が生成する制御信号φ1,φ2を制御するための信号(以下、デューティ比制御信号と称する)を生成し、生成したデューティ比制御信号を制御信号生成回路101に入力する。デューティ比制御回路102は、例えば、計測回路103の計測値から取得される蓄電セルB1,B2の電圧に応じて、蓄電セルB1,B2間の電圧が、迅速性、安全性、効率等を向上させる観点から適切に均等化されるようにデューティ比制御信号を生成する。
【0041】
計測回路103は、バランス補正回路1を構成している線路の所定部位の電圧(例えば、接続点J4−J2間の電圧、接続点J2−J7の間の電圧等)の計測値をリアルタイムに取得し、取得した計測値を制御信号生成回路101やデューティ比制御回路102に伝達する。
【0042】
続いて、以上の構成からなるバランス補正回路1の基本的な動作について、
図2を参照しつつ説明する。
【0043】
図2(a)は、制御回路10が、スイッチング素子S1,S2のオンオフ制御を行っている期間に生成する、制御信号φ1,φ2の波形である。上記期間において、制御回路10は、例えば、同一周期で相補的にオンオフされる方形波からなる制御信号φ1,φ2を生成する。
【0044】
図2(b)〜(d)は、スイッチング素子S1,S2のオンオフ制御を行っている期間にインダクタLを流れる電流iL(以下、回生電流とも称する。)の波形である。このうち
図2(b)は、蓄電セルB1の電圧E1が蓄電セルB2の電圧E2よりも高いときにインダクタLを流れる電流iLの波形であり、
図2(c)は、蓄電セルB1の電圧E1が蓄電セルB2の電圧E2よりも低いときにインダクタLを流れる電流iLの波形であり、
図2(d)は、蓄電セルB1の電圧E1と蓄電セルB2の電圧E2とが均等である(略等しい)ときにインダクタLを流れる電流iLの波形である。
【0045】
図2(b)に示すように、蓄電セルB1の電圧E1が蓄電セルB2の電圧E2よりも高いとき(E1>E2)、スイッチング素子S1がオンでスイッチング素子S2がオフの期間中は、主に蓄電セルB1の正極→接続点J5→接続点J4→スイッチング素子S1→接続点J3→インダクタL→接続点J2→接続点J1→蓄電セルB1の負極の経路(以下、これを第1経路と称する。)で電流iLが流れる。つまりこの期間中は主に
図1に示す実線矢印の方向に電流iLが流れてインダクタLにエネルギーが蓄積される。
【0046】
その後、スイッチング素子S1がオフしてスイッチング素子S2がオンすると、インダクタLに蓄積されていたエネルギーが、インダクタL→接続点J2→接続点J1→蓄電セルB2の正極→蓄電セルB2の負極→接続点J6→接続点J7→スイッチング素子S2→接続点J3→インダクタLの経路で放出され、これにより蓄電セルB2が充電される。そしてインダクタLのエネルギーが無くなると、インダクタLには逆方向(
図1に示す破線矢印の方向)に電流iLが流れ始める。
【0047】
図2(c)に示すように、蓄電セルB1の電圧E1が蓄電セルB2の電圧E2よりも低い場合(E1<E2)、スイッチング素子S1がオフでスイッチング素子S2がオンの期間中は、主に蓄電セルB2の正極→接続点J1→接続点J2→インダクタL→接続点J3→スイッチング素子S2→接続点J7→接続点J6→蓄電セルB2の負極の経路(以下、これを第2経路と称する。)で電流iLが流れる。つまりこの期間中は主に
図1に示す破線矢印の方向に電流iLが流れてインダクタLにエネルギーが蓄積される。
【0048】
その後、スイッチング素子S2がオフしてスイッチング素子S1がオンすると、インダクタLに蓄積されていたエネルギーが、インダクタL→接続点J3→スイッチング素子S1→接続点J4→接続点J5→蓄電セルB1の正極→蓄電セルB1の負極→接続点J1→接続点J2→インダクタLの経路で放出され、これにより蓄電セルB1が充電される。そしてインダクタLのエネルギーが無くなると、インダクタLには逆方向(
図1に示す実線矢印の方向)に電流iLが流れ始める。
【0049】
このように、蓄電セルB1,B2間の電圧に差が存在する場合、第1経路及び第2経路に交互に電流iLが流れることにより、蓄電セルB1と蓄電セルB2との間でエネルギーの授受が行われ、その結果両者の電圧が均等化されてセルバランスが確保される。尚、
図2(d)に示すように、蓄電セルB1の電圧E1と蓄電セルB2の電圧E2とが均等である場合(E1=E2)、スイッチング素子S1,S2のオンオフ制御に伴って蓄電セルB1,B2間で授受されるエネルギーの収支はバランスしており、蓄電セルB1,B2間の電圧は均等に保たれる。
【0050】
制御回路10は、計測回路103によって計測される電圧(蓄電セルB1,B2の夫々の端子間の電圧(例えば、接続点J4−J2間の電圧、接続点J2−J7の間の電圧等)をリアルタイムに監視し、蓄電セルB1,B2の電圧が均等であること(略一致していること)を検知すると、スイッチング素子S1,S2のオンオフ制御を停止する。
【0051】
尚、蓄電セルB1,B2間の電圧が、迅速性、安全性、効率等を向上させる観点から適切に均等化されるように、制御回路10が、例えば、計測回路103の計測値から取得される蓄電セルB1,B2の電圧値に応じて制御信号φ1,φ2のデューティ比を制御するようにしてもよい。
【0052】
[蓄電セルが3つ以上である場合]
以上に説明したバランス補正回路1の構成は、蓄電セルが3つ以上である場合にも拡張することができる。
【0053】
図3は3つの蓄電セルB1〜B3の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1の一例である。同図に示すように、このバランス補正回路1は、蓄電セルB1,B2の充放電を制御する、制御回路10A、ゲートドライバG1,G2、スイッチング素子S1,S2、インダクタL1、及び容量素子C1,C2を含んで構成される回路(以下、この回路のことを第1バランス補正ユニットとも称する。)と、蓄電セルB2,B3の充放電を制御する、制御回路10B、ゲートドライバG3,G4、スイッチング素子S3,S4、インダクタL2、及び容量素子C3,C4を含んで構成される回路(以下、この回路のことを第2バランス補正ユニットとも称する。)とを含む。
【0054】
同図において、制御回路10Aは、スイッチング素子S1,S2を相補的にオンオフして蓄電セルB1の電圧と蓄電セルB2の電圧を均等化させ、また制御回路10Bは、スイッチング素子S3,S4を相補的にオンオフして蓄電セルB2の電圧と蓄電セルB3の電圧を均等化させる。これらの制御が行われることにより、蓄電セルB2の電圧は2つの蓄電セルB1,B3の双方の電圧と均等化され、その結果、3つの蓄電セルB1,B2,B3の電圧が均等化される。
【0055】
同図において、容量素子C1〜C4は、いずれもスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作に起因して生じるノイズの低減、蓄電セルB1〜B3の夫々に生じる電圧変化の緩和などを目的として設けられている。
【0056】
図4は4つの蓄電セルB1〜B4の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1の一例である。同図に示すように、このバランス補正回路1は、蓄電セルB1,B2の充放電を制御する、制御回路10A、ゲートドライバG1,G2、スイッチング素子S1,S2、インダクタL1、及び容量素子C1,C2を含んで構成される回路(以下、この回路のことを第1バランス補正ユニットとも称する。)と、蓄電セルB2,B3の充放電を制御する、制御回路10B、ゲートドライバG3,G4、スイッチング素子S3,S4、インダクタL2、及び容量素子C3,C4を含んで構成される回路(以下、この回路のことを第2バランス補正ユニットとも称する。)と、蓄電セルB3,B4の充放電を制御する、制御回路10C、ゲートドライバG5,G6、スイッチング素子S5,S6、インダクタL3、及び容量素子C5,C6を含んで構成される回路(以下、この回路のことを第3バランス補正ユニットとも称する。)とを含む。
【0057】
同図において、制御回路10Aは、スイッチング素子S1,S2を相補的にオンオフして蓄電セルB1の電圧と蓄電セルB2の電圧を均等化させ、制御回路10Bは、スイッチング素子S3,S4を相補的にオンオフして蓄電セルB2の電圧と蓄電セルB3の電圧を均等化させ、制御回路10Cは、スイッチング素子S5,S6を相補的にオンオフして蓄電セルB3の電圧と蓄電セルB4の電圧を均等化させる。これらの制御が行われることにより、蓄電セルB2の電圧は2つの蓄電セルB1,B3の双方の電圧と均等化され、また蓄電セルB3の電圧は2つの蓄電セルB2,B4の双方の電圧と均等化され、その結果、4つの蓄電セルB1,B2,B3,B4の電圧が均等化される。
【0058】
尚、同図において、容量素子C1〜C6は、いずれもスイッチング素子S1〜S6のオンオフ動作に起因して生じるノイズの低減、蓄電セルB1〜B4の夫々に生じる電圧変化の緩和などを目的として設けられている。
【0059】
[並行制御において生じる問題]
図3又は
図4に示すバランス補正回路1において、各制御回路10(10A〜10C)は独立して動作することが可能であり、一の制御回路10によるスイッチング素子のオンオフ制御に並行して他の制御回路10によるスイッチング素子のオンオフ制御を行うこと(以下、この制御を並行制御と称する。)も可能である。
【0060】
しかし各制御回路10A,10B,10Cがスイッチング素子のオンオフ制御に際してスイッチング素子に入力する(スイッチング素子のゲートに与える)制御信号の周波数の同期が取れていない場合、前述した並行制御に際して問題が生じる可能性がある。即ち、例えば、
図3の場合であれば接続点J42に、
図4の場合であれば接続点J42、J67に、多数の周波数成分を含んだ時間的に安定しない乱れた電圧波形が現れ、ノイズや騒音の発生、回生電流の異常、異常発振等の問題が生じる可能性がある。以下、こうした問題の発生を防ぐための具体的な構成について説明する。
【0061】
[第1実施例]
図5は第1実施例として示すバランス補正回路1である。このバランス補正回路1は、
図4に示した4つの蓄電セルB1〜B4の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1を基本として構成されている。
【0062】
このバランス補正回路1では、タイミング信号供給装置100(タイミング信号供給部)において生成した共通のタイミング信号(例えば、発振回路等で生成された方形波のクロック信号)を各制御回路10A〜10Cに直接供給し、各制御回路10A〜10Cが、タイミング信号供給装置100から供給された共通のタイミング信号に基づき、夫々の制御対象になっているスイッチング素子S1〜S6をオンオフ制御するための制御信号φ1〜φ6を生成する。尚、タイミング信号供給装置100は、例えば、マイクロコンピュータ、発振回路、クロックジェネレータ等を用いて構成されるが、タイミング信号供給装置100はいずれかの制御回路10の一部として構成されていてもよい。
【0063】
このようにこのバランス補正回路1においては、各制御回路10A〜10Cが、同一のタイミング信号供給装置100から夫々に対して直接供給される共通のタイミング信号に基づき制御信号φ1〜φ6を生成するので、各制御回路10A〜10Cが生成する制御信号は正確に同期しており、前述した問題の発生を防ぐことができる。
【0064】
図6及び
図7は、
図5に示したバランス補正回路1の変形例である。
図6に示すバランス補正回路1では、タイミング信号供給装置100の同一のポートから出力されるタイミング信号を、共通接続された分岐線路により分配して各制御回路10A〜10Cに供給するようにしている。また
図7に示すバランス補正回路1では、タイミング信号供給装置100から一の制御回路10(同図では制御回路10C)に対してのみタイミング信号を直接供給し、その制御回路10(制御回路10C)から、当該制御回路10が供給を受けたタイミング信号を他の一の制御回路(同図では制御回路10B)に供給し、その制御回路(制御回路10B)から、当該制御回路10が供給を受けたタイミング信号をタイミング信号を他の一の制御回路(制御回路10A)に供給するように、即ち、タイミング信号供給装置100から出力されるタイミング信号を各制御回路10A〜10Cにいわゆるバケツリレー方式で供給するようにしている。
図6又は
図7の回路構成とした場合、タイミング信号供給装置100のタイミング信号の出力ポートの数が一つで済むためタイミング信号供給装置100の資源を有効利用することができる。
【0065】
[第2実施例]
図8は第2実施例として示すバランス補正回路1である。このバランス補正回路1は、
図3に示した3つの蓄電セルB1〜B3の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1を基本として構成されている。
【0066】
このバランス補正回路1では、第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bが生成する制御信号φ4に基づきタイミング信号を生成し、これを第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aに供給するようにしている。より具体的には、第2のバランス補正ユニットは次のようにしてタイミング信号を生成する。
【0067】
同図に示すように、このバランス補正回路1にあっては、第2のバランス補正ユニットの制御信号φ4のスイッチング素子S4への供給線路と蓄電セルB3の正極(接続点J67)との間に、容量素子C81が設けられている。また蓄電セルB3の正極と容量素子C81の蓄電セルB3の正極側の端子(接続点J69側の端子)との間に、蓄電セルB3の正極から容量素子C81の蓄電セルB3の正極側の端子の方向にのみ電流を通過させる整流素子D1(ダイオード等)が設けられている。そして容量素子C81の蓄電セルB3の正極側の端子の電圧がタイミング信号として制御回路10Aに供給されるように、容量素子C81の蓄電セルB3の正極側の端子と制御回路10Aのタイミング信号の入力端子とが結線されている。
【0068】
以上の構成において、制御信号φ4がローレベルのときに容量素子C81は充電され、制御信号φ4がハイレベルのとき、容量素子C81の蓄電セルB3の正極側の端子の電圧は蓄電セルB3の正極の電位と制御信号φ4の電圧とを加えた値になる。
【0069】
図9に制御信号φ4の波形並びに制御回路10Aに供給されるタイミング信号の波形を例示している。同図に示すように、制御回路10Aに供給されるタイミング信号は、制御信号φ4に同期した波形となっている。また同図に示すように、タイミング信号は、制御信号φ4がローレベルのときにローレベル(蓄電セルB3の正極の電位)となり、制御信号φ4がハイレベルのときにハイレベル(蓄電セルB3の正極の電位に制御信号φ4によって充電された容量素子C81の端子間の電圧を加えた電位)となっている。尚、制御回路10Aがタイミング信号に基づき制御信号φ1,φ2を生成する具体的な仕組みについては後述する。
【0070】
第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aは、以上のようにして第2のバランス補正ユニットから供給されるタイミング信号に同期させて制御信号φ1,φ2を生成する。尚、タイミング信号の電圧レベルを調整する必要がある場合には、例えば、
図10に示すように、抵抗素子R1,R2により整流素子D1の端子間電圧を分圧した電圧をタイミング信号として制御回路10Aに供給するようにすればよい。
【0071】
同様の仕組みは4つ以上の蓄電セルに対応したバランス補正回路1に拡張することができる。
図11は4つの蓄電セルB1〜B4の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1に適用した場合の一例である。尚、このバランス補正回路1は、
図4に示したバランス補正回路1を基本として構成されている。
【0072】
同図に示すように、このバランス補正回路1にあっては、第3のバランス補正ユニットの制御回路10Cが生成する制御信号φ6に基づきタイミング信号を生成し、これを第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bに供給するようにしている。また上記タイミング信号に基づき第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bが生成する制御信号φ4に基づきタイミング信号を生成し、これを第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aに供給するようにしている。
【0073】
図12に制御信号φ6の波形並びに制御回路10Bに供給されるタイミング信号の波形の一例を示す。同図に示すように、制御回路10Bに供給されるタイミング信号は、制御信号φ6に同期した波形になっている。また同図に示すように、タイミング信号は、制御信号φ6がローレベルのときにローレベル(蓄電セルB4の正極の電位)となり、制御信号φ6がハイレベルのときにハイレベル(蓄電セルB4の正極の電位に制御信号φ6によって充電された容量素子C81の端子間の電圧を加えた電位)となる。
【0074】
図13に制御信号φ4の波形並びに制御回路10Aに供給されるタイミング信号の波形を例示している。同図に示すように、制御回路10Aに供給されるタイミング信号は、制御信号φ4に同期した波形になっている。また同図に示すように、タイミング信号は、制御信号φ4がローレベルのときにローレベル(蓄電セルB3の正極の電位)となり、制御信号φ4がハイレベルのときにハイレベル(蓄電セルB3の正極の電位に制御信号φ4によって充電された容量素子C82の端子間の電圧を加えた電位)となる。尚、制御回路10Aがタイミング信号に基づき制御信号φ1,φ2を生成する具体的な仕組みについては後述する。
【0075】
第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bは、以上のようにして第3のバランス補正ユニットから供給されるタイミング信号に同期させて制御信号φ3,φ4を生成する。また第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aは、以上のようにして第2のバランス補正ユニットから供給されるタイミング信号に同期させて制御信号φ1,φ2を生成する。
尚、タイミング信号の電圧レベルを調整する必要がある場合には、3つの蓄電セルに対応したバランス補正回路1の場合と同様、整流素子D1(又は整流素子D2)の端子間電圧を分圧した電圧をタイミング信号として制御回路10B(又は制御回路10A)に供給するようにすればよい。
【0076】
以上に説明したように、第2実施例のバランス補正回路1によれば、一のバランス補正ユニットの制御回路10が生成する制御信号に基づき生成されるタイミング信号を他のバランス補正ユニットの制御回路10に供給し、他のバランス補正ユニットがこのタイミング信号によって制御信号を生成するので、制御回路10間で制御信号を正確に同期させることができる。このため、制御信号の同期が取れていないことに起因する前述の問題の発生を防ぐことができる。
【0077】
[第3実施例]
図14は第3実施例として示すバランス補正回路1である。このバランス補正回路1は、
図3に示した3つの蓄電セルB1〜B3の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1を基本として構成されている。
【0078】
このバランス補正回路1にあっては、第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bが生成する制御信号φ3,φ4に基づきタイミング信号を生成し、これを第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aに供給するようにしている。より具体的には、このバランス補正回路1にあっては、第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bのスイッチング素子S1、スイッチング素子S2、及びインダクタL2の共通接続点J64(共通接続点を含む線路)の電圧を、整流素子D1(ダイオード等)を介して制御回路10Aに供給するようにしている。
【0079】
図15に共通接続点J64の波形並びに制御回路10Aに供給されるタイミング信号の波形を例示している。同図に示すように、制御回路10Aに供給されるタイミング信号は、共通接続点J64の波形に同期した波形、即ち、制御信号φ3,φ4に同期した波形になっている。また同図に示すように、タイミング信号は、共通接続点J64の波形がローレベルのときにローレベル(蓄電セルB3の正極の電位)となり、共通接続点J64の波形がハイレベルのときにハイレベル(蓄電セルB2の正極の電位)となる。
【0080】
第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aは、以上のようにして第2のバランス補正ユニットから供給されるタイミング信号に同期させて制御信号φ1,φ2を生成する。尚、制御回路10A側の構成によっては、タイミング信号の電圧レベルを調整する必要がある場合には、例えば、
図16に示すように、共通接続点J64と制御回路10Aのタイミング信号の入力端子との間に抵抗素子R1を直列に挿入するとともに蓄電セルB3の正極と制御回路10Aのタイミング信号の入力端子との間に抵抗素子R2を挿入して電圧レベルを調整すればよい。
【0081】
同様の仕組みは4つ以上の蓄電セルに対応したバランス補正回路1に拡張することができる。
図17は4つの蓄電セルB1〜B4の電圧の均等化に対応したバランス補正回路1に適用した場合の一例である。尚、このバランス補正回路1は、
図4に示したバランス補正回路1を基本として構成されている。
【0082】
同図に示すように、このバランス補正回路1にあっては、第3のバランス補正ユニットの制御回路10Cが生成する制御信号φ5,φ6に基づきタイミング信号を生成し、これを第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bに供給するようにしている。また第3のバランス補正ユニットから供給される上記タイミング信号に基づき第2のバランス補正ユニットの制御回路10Bが生成する制御信号φ3,φ4に基づきタイミング信号を生成し、これを第1のバランス補正ユニットの制御回路10Aに供給するようにしている。
【0083】
図18に共通接続点J74の波形並びに制御回路10Bに供給されるタイミング信号の波形の一例を示す。同図に示すように、制御回路10Bに供給されるタイミング信号は、共通接続点J74の波形に同期した波形、即ち、制御信号φ5,φ6に同期した波形になっている。また同図に示すように、タイミング信号は、共通接続点J74の波形がローレベルのときにローレベル(蓄電セルB4の正極の電位)となり、共通接続点J74の波形がハイレベルのときにハイレベル(蓄電セルB3の正極の電位)となる。
【0084】
図19に共通接続点J64の波形並びに制御回路10Aに供給されるタイミング信号の波形の一例を示す。同図に示すように、制御回路10Aに供給されるタイミング信号は、共通接続点J64の波形に同期した波形、即ち、制御信号φ3,φ4に同期した波形になっている。また同図に示すように、タイミング信号は、共通接続点J64の波形がローレベルのときにローレベル(蓄電セルB3の正極の電位)となり、共通接続点J64の波形がハイレベルのときにハイレベル(蓄電セルB2の正極の電位)となる。
【0085】
以上に説明したように、第3実施例のバランス補正回路1によれば、一のバランス補正ユニットの制御回路10が生成する制御信号に基づき生成されるタイミング信号を他のバランス補正ユニットの制御回路10に供給し、他のバランス補正ユニットがこのタイミング信号によって制御信号を生成するので、制御回路10間で制御信号を正確に同期させることができる。このため、制御信号の同期が取れていないことに起因する前述の問題の発生を防ぐことができる。
【0086】
また第3実施例のバランス補正回路1は、一のバランス補正ユニットの制御回路10の2つのスイッチング素子S1とインダクタLの共通接続点の電圧に基づき生成されるタイミング信号を他のバランス補正ユニットの制御回路10に供給するので、第2実施例のように容量素子を設ける必要がなく、制御回路10間で制御信号を正確に同期させる仕組みをより簡素な構成で実現することができる。
【0087】
[タイミング信号に同期した制御信号の生成方法]
以上に説明した実施例において、制御回路10は、供給されたタイミング信号に基づき、例えば、次のようにして制御信号を生成する。
【0088】
図20は第1乃至第3実施例で説明したバランス補正ユニット1の構成である(同図ではバランス補正ユニット1を一般化して描いている)。同図に示すように、制御回路10は、制御信号生成回路101、デューティ比制御回路102、計測回路103を備えている。これらの回路の基本的な構成は前述した通りである。同図に示すように、制御信号生成回路101は鋸波生成回路1011を備えている。鋸波生成回路1011は入力されるタイミング信号に同期させた鋸波を生成する。
【0089】
図21に示すように、制御信号生成回路101は、デューティ比制御回路102から入力されるデューティ比制御信号と、鋸波生成回路1011によって生成された鋸波とを比較することにより制御信号φi(i=1,3,5・・・)及びφiとは逆位相の制御信号φi+1を生成する。尚、説明の簡単の為、同図にはφiのみ示している。
【0090】
鋸波生成回路1011は、例えば、
図22に示すように、タイミング信号がローレベルからハイレベル(逆論理(ハイレベルからローレベル)でもよい)に遷移したタイミングで鋸波を最大値(又は最小値)にリセットすることにより、タイミング信号に同期させた鋸波を生成する。
【0091】
以上により、制御回路10は、外部から入力されるタイミング信号に基づき、これに同期させた制御信号(制御信号φi,φi+1)を生成することができる。
【0092】
ところで、以上に説明した実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0093】
例えば、本発明のバランス補正回路は、蓄電セルとは別体に設けられるものであってもよいし、蓄電セルと一体化されて電池パック等を構成するものであってもよい。