(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170947
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】人工呼吸器用の防音筐体
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20170713BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
A61M16/00 380
F04D29/66 K
F04D29/66 L
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-555376(P2014-555376)
(86)(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公表番号】特表2015-511141(P2015-511141A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】IB2013050930
(87)【国際公開番号】WO2013114345
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/594,345
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12153645.2
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514197991
【氏名又は名称】アイアセット アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フライベルク ハッリ
(72)【発明者】
【氏名】ダッシャー ヤコブ
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/067522(WO,A1)
【文献】
特開2009−178557(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0194101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸器(21)用の防音筐体であって、
前記筐体(31)内に空気が進入するための吸気開口部(44)を有する第1の筐体部(41)であって、前記空気は、前記筐体(31)内に配置されたファン(35)によって吸引される、第1の筐体部(41)と、
第2の筐体部(51)であって、前記筐体(31)から吸引された前記空気を排出するための排出開口部を有する第2の筐体部(51)と、
前記筐体(31)内に配置された成形部(61)であって、前記筐体(31)が組み立てられたときに、前記第1の筐体部(41)と前記第2の筐体部(51)との間で支持されて、前記筐体(31)を吸気領域(33)と吐出領域(34)とに分割するフランジシール(63)を形成する成形部(61)と、
前記筐体(31)内で前記ファン(35)を保持するためのファン収容部(83)であって、前記吸気領域(33)に面する前記フランジシール(63)の吸気側側面(65)から突出し、前記ファン(35)に吸引される空気のための空気通路開口部(85)が前記フランジシール(63)の吸気側側面(65)に隣接して設けられているファン収容部(83)と、
前記ファン収容部(83)の自由端の領域に設けられ、前記筐体(31)が組み立てられたときに、前記第1の筐体部(41)の内側部分に接触する接触側縁と接触しない非接触側縁を備える支持フランジ(86)と、
前記ファン(35)に吸引される空気のための空気通路開口部(112)を有し、前記支持フランジ(86)の非接触側縁に沿って設けられ、前記ファン収容部(83)とは反対側に突出する吸気側ガイド要素(111)と、
を備え、
前記吸気開口部(44)から進入した空気は、前記吸気側ガイド要素(111)の前記空気通路開口部(112)を通り、前記支持フランジ(86)の非接触側縁と前記第1の筐体部(41)の間を通り、更に前記ファン収容部(83)の前記空気通路開口部(85)を通って前記ファン(35)に吸引される、
筐体。
【請求項2】
シール要素が、前記支持フランジ(86)の前記接触側縁の上に設けられる、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記吸気側ガイド要素(111)のための少なくとも1つの支持部(115)が設けられ、前記吸気側ガイド要素(111)から前記支持フランジ(86)まで延びている、請求項1に記載の筐体。
【請求項4】
前記吸気側ガイド要素(111)の一部を収容するための少なくとも1つのガイド収容部(76)が、前記筐体(31)が組み立てられたときに前記吸気側ガイド要素(111)をその中に支持する前記第1の筐体部(41)の中に設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1の筐体部(41)が、当該第1の筐体部(41)の自由縁(46)から突出する少なくとも1つの締結ドーム(47)を備え、
前記第2の筐体部(51)が、前記筐体(31)が組み立てられたときに前記少なくとも1つの締結ドーム(47)を収容する少なくとも1つの締結ドーム逃げ部(81)と、前記筐体(31)が組み立てられたときに前記第1および第2の筐体部(41、51)の間に所定の間隔を確保するために前記締結ドーム逃げ部(81)内に設けられた前記少なくとも1つの締結ドーム(47)のための係止部と、
を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの締結ドーム(47)の通路としての少なくとも1つのドーム貫通開口部(64)が前記フランジシール(63)に設けられ、前記少なくとも1つのドーム貫通開口部(64)は、周辺が閉じられている、請求項5に記載の筐体。
【請求項7】
吐出側ガイド要素(67)が、前記フランジシール(63)上にさらなる空気ガイドの形態で設けられ、前記フランジシール(63)の吸気側側面(65)とは反対側の前記フランジシールの吐出側側面(66)から突出し、前記吐出側ガイド要素(67)用の少なくとも1つの支持部(68)が設けられ、前記吐出側ガイド要素(67)から前記フランジシール(63)まで延びている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項8】
前記ファン(35)の配線用のケーブル(37)の通路としての少なくとも1つのケーブル貫通開口部(104)が、前記フランジシール(63)に設けられ、前記少なくとも1つのケーブル貫通開口部(104)は、前記フランジシール(63)から突出している包囲部(102)に設けられ、
さらに、前記包囲部(102)の少なくとも一領域を収容する筐体逃げ部(49)が、前記第1の筐体部(41)に設けられ、前記筐体(31)が組み立てられたときに、前記筐体逃げ部(41)内に前記包囲部(102)が支持される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項9】
前記ファン(35)の配線用のケーブル(37)の通路としての少なくとも1つのケーブル貫通開口部(89)が、前記支持フランジ(86)に設けられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項10】
前記ファン(35)の配線用のケーブル(37)の通路としての少なくとも1つのケーブル貫通開口部(89)が、前記支持フランジ(86)および前記吸気側ガイド要素(111)の少なくとも一方に設けられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項11】
前記フランジシール(63)の縁から離間された少なくとも1つの空気通路開口部(69)が、前記フランジシール(63)に設けられ、前記空気通路開口部(69)を前記ファン(35)の吐出側排気口(36)に接続するガイド部(70)が設けられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項12】
前記フランジシール(63)を支持する支持要素(96)が設けられ、前記フランジシール(63)の前記吸気側側面(65)に配置されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項13】
前記成形部(61)は、2つの部分によって形成され、第1の成形部部分(62)は、少なくとも前記フランジシール(63)を備え、少なくとも1つのさらなる成形部部分(82)は、少なくとも前記ファン収容部(83)を備え、
前記第1の成形部部分(62)を前記少なくとも1つのさらなる成形部部分(82)に接続する固定装置(92)が設けられる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項14】
前記固定装置(92)が、前記成形部部分(82)のうちの1つに設けられた少なくとも1つの固定突起(94)と、前記別の成形部部分(62)に設けられた少なくとも1つの固定突起収容部(93)とを備え、
前記少なくとも1つの固定突起(94)は、前記固定突起収容部内に固定可能であり、
前記固定装置(92)は、前記成形部部分(62、82)が連結されたときに、前記成形部部分(62、82)が少なくともいくつかの領域において互いに離間し、前記ファン(35)によって吸引された空気のための吸気間隙(95)が少なくとも1つのさらなる空気通路開口部の形態で残るようにして形成される、請求項13に記載の筐体。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の防音筐体(31)を有する人工呼吸器(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る人工呼吸器用の防音装置に関する。本発明は、さらに、そのような防音筐体を備える人工呼吸器に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2012年2月2日に出願された先行する米国仮特許出願第61/594,345号に優先権を主張する非仮出願である。また、本願は、2012年2月2日に出願された先行する欧州特許出願第12153645号に優先権を主張する。同欧州特許出願第12153645号および同米国仮特許出願第61/594,345号の明細書全文は、事実上、各々を参照することにより全体が記載されているかのように本明細書に明示的に組み込まれる。
【0003】
人工呼吸器は、呼吸時に患者を補助するために、または完全に呼吸機能を果たすために使用される。この目的を達成するために、人工呼吸器には、通常、呼吸に応じて制御された方法で空気を吸引し、空気を圧縮し、これと対応する高い圧力で患者に圧縮空気を提供するファンが設けられている。人工呼吸器の吐出開口部は、患者に装着される呼吸マスクなどに供給ラインを介して接続されている。
【0004】
また、空気発生器とも呼ばれるファンは、例えば、電動モータなどのモータと、モータによって駆動されるインペラまたはタービンなどのコンプレッサ、とを備える。ファンの動作中にファン自体および気流の両方によってノイズが発生し、患者にとってまた介護者にとっても、特に人工呼吸器の長期間使用の場合には不快なものになる。
【0005】
特に、人工呼吸器の場合は、その動作中にノイズレベルを低減する必要性があった。
【0006】
自動車の換気、暖房、または空調システムとして、例えば、当分類とは無関係の独国特許出願公開第19746185号明細書には、ファンモータのために別のホルダを提供することが提案されており、そこでは直接モータを支持する弾性可撓支持要素が、モータとホルダとの間の振動を分離するために設けられている。
【0007】
この公知の解決策を用いると、ファンモータによって直接発生した振動は、実際に減衰するが、換気、暖房または空調システムの運転時の騒音レベルは、ほんのわずか下がるだけである。自動車の運転中にはさらに大きなノイズが生成されるため、この解決策によって達成される換気、暖房、または空調システムの音響放射の低減は、この目的としては十分なものである。この解決策によって達成される音響放射の低減は人工呼吸器には不十分である。
【0008】
国際特許出願公開第2009/067583号は、筐体内への空気の流入のための吸気口を有する上部本体を有する筐体を備えたモジュラー式電源空気浄化呼吸器を示している。上記空気は筐体内に配置されたファンによって吸引される。筐体は、また、吸引された空気を筐体から排出するための排気口を有する下部本体を有する。さらに、上記筐体は、吸気口と排気口とに流体連通している密封呼吸ゾーンを作成するための密閉空間を形成する、筐体内に配置された下部本体カバーを備える。ファンのモータ用のホルダは、密閉呼吸ゾーン内に配置される。このホルダは、ファンを取り囲み、ファン収容部を有し、ファンと下部本体との間に配置されている。ファン収容部は、吐出領域に面する吐出側から突出している。ファンによって吸引された空気を案内する空気案内装置が、筐体内に設けられている。
【0009】
この公知の解決策は、独国特許出願公開第19746185号明細書についてノイズがまだ大きいと指摘された点と同様の欠点がある。このような(国際特許出願公開第2009/067583号の
図9および10に示される)空気浄化呼吸器の通常の使用では、この解決策により達成される空気浄化呼吸器の音響放射の低減は、この目的としては十分である。この解決策によって達成可能な音響放射の低減は、病院においてまたは患者によって使用される人工呼吸器には不十分である。
【0010】
独国特許出願公開第20213232号明細書には、ファンタービンを収容する防音筐体を提供し、上記筐体が2つの完全に閉じることが可能なチャンバからなることが提案されている。第1のチャンバは、吸気開口部を有し、タービンを収容するが、このタービンは排気開口部を有する第2のチャンバに圧縮空気を供給する。両チャンバは、すべてのチャンバ壁にフォームライニングを有する。第1のチャンバは、さらに、タービンの駆動モータが弾性的に取り付けられた排出開口部を有する。
【0011】
この公知の解決策の欠点は、防音筐体が人工呼吸器内で大きなスペースを必要とし、したがって、コンパクトな人工呼吸器の実施形態は、限定的に可能であるにすぎない。また、この防音筐体は、高い組立作業を必要とする。
【0012】
人工呼吸器は、米国特許第7617823号明細書から公知であり、そこでは、人工呼吸器の第1の筐体部に挿入される弾性材料からなる成形部の収容部内にファンが配置されている。成形部は、さらに、空気案内チャネルを有する。ファンを第1の筐体部に固定するために、さらなる減衰インサートとカバー要素が設けられ、このカバー要素は、減衰インサートを覆い、第1の筐体部にねじ止めされている。
【0013】
この公知の解決策の欠点は、防音装置が、所望のコンパクトなサイズの人工呼吸器に比べて大量のスペースを必要とし、この解決策の複雑性のために人工呼吸器の組立が非常に複雑になることである。さらに、ファンおよびその構成要素は、長期間の使用の間十分に冷却されない。
【0014】
米国特許第7975688号明細書には2つの減衰要素の間にファンを配置することが提案されており、2つの減衰要素は、カバー要素によって人工呼吸器内に配置された要素に固定されている。
【0015】
この公知の解決策の欠点は、複雑性のために人工呼吸器の組立が非常に複雑であり、構造上の形態により実際には防音対策が不十分であることである。この解決策でも、ファンとその構成要素は不十分にしか冷却されない。
【0016】
独国特許出願公開第102006034028号明細書には、人工呼吸器のための防音筐体が開示されており、この筐体は、筐体内への空気の進入のための吸気開口部を有する第1の筐体部であって、上記空気を上記筐体内に配置されたファンによって吸引する、第1の筐体部と、吸引された空気を筐体から排出するための排出開口部を備える第2の筐体部と、を備える。筐体内には成形部も設けられ、成形部は、筐体が組み立てられたときに、第1の筐体部と第2の筐体部との間に静止し、筐体を吸気領域と吐出領域とに分割するフランジシールと、ファンを筐体内に保持するためのファン収容部であって、フランジシールの吸気側から突出する収容部と、を備える。また、ファンによって吸引された空気を案内する空気案内装置が、筐体内の成形部に設けられている。
【0017】
この公知の解決策の欠点は、防音筐体が所望のコンパクトなサイズの人工呼吸器に比べて大量のスペースを必要とし、人工呼吸器の組立も複雑になることである。この場合、ファンやその部品の冷却は、同様に最適以下となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際特許出願公開第2009/067583号
【特許文献2】独国特許出願公開第20213232号明細書
【特許文献3】米国特許第7617823号明細書
【特許文献4】米国特許第7975688号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102006034028号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、上述された欠点をもたない、特に、筐体の組立を単純化するような簡単な設計の人工呼吸器用防音筐体を作成することである。これに加えて、最も限られたスペースにおいても、ファンや人工呼吸器の作動中に最適な防音装置が確保されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、独立請求項1の特徴によって達成される。有利な発展形が、図面および従属請求項に示される。
【0021】
本発明によれば、ファンによって吸引された空気のための少なくとも1つの空気通路開口部と、筐体が組み立てられたときに筐体部の内側部分に接触する接触側面と、を備える支持フランジが、ファン収容部の自由端の領域に設けられ、また、ファンによって吸引された空気のための少なくとも1つのさらなる空気通路開口部が、ファン収容部においてフランジシールの吸気側側面に隣接するように設けられるのが好ましい。
【0022】
ファン収容部を備える成形部は、フランジシールが筐体部の対応する自由縁に接触するまで、筐体部に全体として挿入することができる。フランジシールから隔てられた支持フランジは、筐体部の内側部分に接触して、成形部が導入されるのと同時に成形部を筐体内の所望の位置に位置合わせする。このように、実行しうる最も簡単な方法で、略スリーブ状のファン収容部内に配置されたファンが完全に筐体から切り離されることが確実になる。次に、筐体部間に固定されたフランジシールにより成形部がしっかりと固定されるように、別の筐体部が配置される。
【0023】
ファンによって吸引された空気は、吸気開口部を通って筐体内へ移動し、ファン収容部を過ぎて支持フランジの空気通路開口部を通って流れ、ファン収容部のさらなる空気通路開口部を通ってファンへ流入する。この空気は、ファン内で圧縮され、排出開口部を通って吐出される。筐体を通って流れる空気のための十分な隙間が、スリーブ状に形成されたファン収容部の周りに作成されると都合が良く、ファン、特に、そのドライブモータに対する十分かつ都合の良い冷却が確実になる。
【0024】
本発明による防音筐体は、特に、コンパクトな実施形態を用いた優れた組立性によって特徴付けられる。同時に、ファンの長時間使用ひいては人工呼吸器の長時間使用が確保される。
【0025】
シール要素は、支持フランジの接触側面上に設けられるのが好ましく、支持フランジの接触側面と筐体の対応する内側部分との間の接触領域への空気の侵入を防いでいる。シール要素は、好適には、弾性リップシールとして形成されると都合が良い。支持フランジにおける少なくとも1つの空気通路開口部の形態および位置によっては、流動挙動、ひいては、特に、ファンへの冷却効果の効率もまた大幅に影響を受けることがある。いずれにせよファンの動作により振動が発生しても、シール要素が空気を筐体内で所望のように確実に誘導する。
【0026】
少なくとも1つの空気通路開口部を有する吸気側ガイド要素は、支持フランジから空気ガイド装置の形態で突出するのが好ましく、筐体において都合の良いやり方で防音筐体の吸気領域で気流を操作することを確実にする。吸気側ガイド要素は、支持フランジの空気通路開口部の付近にまたは直接隣接して特に都合良く配置されている。空気通路開口部の断面の大きさは、支持フランジの空気通路開口部の大きさの約0.8倍〜1.2倍に対応するのが都合良い。
【0027】
吸気側ガイド要素用の少なくとも1つの支持部が設けられるのが好ましく、この支持部が吸気側ガイド要素を筐体内で所望のように確実に整列させる。少なくとも1つの支持部は、吸気側ガイド要素から支持フランジまで延びているのが都合良く、それにより吸気側ガイド要素の安定した支持が確実になる。筐体内での気流による効果的な力があるにもかかわらず、吸気側ガイド要素自体が有する材料厚さは小さい。成形要素の材料要件の低減は、特に、生産コストおよび成形要素の取り扱いの点でも有利な効果を有する。吸気側ガイド要素のための少なくとも2つの支持部が都合良く設けられ、互いに離間して配置され、吸気側ガイド要素がより安定的に位置合わせされることが確実になる。吸気側ガイド要素を都合良く支持するために、各支持部は、互いに平行に延びる吸気側ガイド要素の2つの自由側縁にそれぞれ隣接して設けられるのが好ましい。
【0028】
吸気側ガイド要素の一部を収容する少なくとも1つのガイド収容部が、筐体内に設けられるのが好ましく、吸気側ガイド要素は筐体が組み立てられたときに筐体内に支持される。少なくとも1つのガイド収容部は、成形要素が対応する筐体部に導入されるときに、吸気側ガイド要素の自由端が、少なくともいくつかの領域において成形要素によって囲まれるようなやり方で都合良く形成される。吸気側ガイド要素を安定させる少なくとも1つのガイド収容部があるので、筐体内での気流による効果的な力があるにもかかわらず、吸気側ガイド要素が有する材料厚さは小さい。
【0029】
少なくとも2つの互いに対向するガイド収容部が、特に都合良く設けられ、その互いに平行に延びる2つの自由側縁において吸気側ガイド要素を保持している。また、吸気側ガイド要素の端部にある自由縁を少なくともいくつかの領域において保持するさらなるガイド収容部を配置すると都合が良い。
【0030】
好適な実施形態においては、吸気側ガイド要素は、少なくとも1つのガイド収容部によって、また、少なくとも1つの支持部によって、筐体内で所望の配置に固定されている。
【0031】
2つの筐体部を組み立てるときには、組立工程の間に各筐体部が互いに対して位置合わせされるように、1つの筐体部が、筐体部の自由縁から突出している少なくとも1つの締結ドームを備えるのが好ましく、また、別の筐体部が、筐体を組み立てるときに、少なくとも1つの締結ドームを収容するための少なくとも1つの締結ドーム逃げ部を備えるのが好ましい。各筐体部の断面が非対称である場合には、筐体部の相互の正確な位置合わせは、少なくとも1つの締結ドームと少なくとも1つの締結ドーム逃げ部を対応して配置させることによる簡単な方法で確保することができる。複数の締結ドームおよび対応する数の締結ドーム逃げ部が都合良く設けられる。
【0032】
少なくとも1つの締結ドームのための係止部が、筐体が組み立てられたときに筐体部間に所定の間隔を確保するために、締結ドーム逃げ部内に都合良く設けられており、それによって、特に、筐体部間に静止する成形部のフランジシールの望ましくない重度の圧縮が簡単な方法で防止される。
【0033】
少なくとも1つの締結ドームの通路としての少なくとも1つのドーム貫通開口部が、フランジシールに設けられるのが好ましく、それによって、フランジシール、ひいては成形部分が、各筐体部に対して所望の配置において保持される。フランジシールのドーム貫通開口部の数は、少なくとも、対応する筐体部に設けられた締結ドームの数に対応するのが都合良い。この場合も、筐体内の成形部の所望の配置は、幾何学的条件に適合したドーム貫通開口部の対応配置により簡単に確保することができる。
【0034】
少なくとも1つのドーム貫通開口部は、周辺が閉じられていると都合が良く、防音筐体が組み立てられたときに、フランジシールひいては成形部全体の望まない変位を確実に防止する。
【0035】
吐出側ガイド要素は、フランジシール上に空気ガイド装置の形態で設けられるのが好ましく、フランジシールの吸気側側面の反対側に配置されたフランジシールの吐出側側面から突出しており、防音筐体の吐出領域において都合の良いやり方で気流が筐体内で操作されることを確実にする。
【0036】
吐出側ガイド要素のための少なくとも1つの支持部が都合良く設けられ、吐出側ガイド要素を筐体内で所望のように確実に配置する。少なくとも1つの支持部は、吐出側ガイド要素からフランジシールまで延びていると都合が良く、それによって、吐出側ガイド要素の安定した支持が確実となる。筐体内での気流による効果的な力があるにもかかわらず、吸気側ガイド要素自体が有する材料厚さは小さい。すでに説明したように、成形要素の材料要件の低減は、特に、生産コストおよび成形要素の取り扱いの点でも有利な効果を有する。吐出側ガイド要素の複数の支持部が都合良く設けられ、互いに離間するように配置され、吐出側ガイド要素は、より安定した方法で位置合わせされることが確実になる。吐出側ガイド要素を都合良く支持するために、支持部は、互いに平行に延びる吐出側ガイド要素の2つの自由側縁に各々隣接して設けられるのが好ましい。
【0037】
ファンの配線用のケーブルの通路としての少なくとも1つのケーブル貫通開口部が、フランジシールに設けられるのが好ましく、それによって、フォールスエアおよび通気短絡に対する単純なシールが可能になり、同時に、ファンの単純な配線が可能になる。
【0038】
少なくとも1つのケーブル貫通開口部は、フランジシールから突出している包囲部に都合良く設けられ、それによって、筐体を組み立てることが困難にならない単純な構造組立が可能になる。
【0039】
さらに、包囲部の少なくとも一領域を収容する筐体逃げ部が、筐体部にさらに都合良く設けられ、筐体が組み立てられたときには包囲部が筐体逃げ部内に位置し、それによって、筐体の正確かつ無欠陥な構造組立が可能になると同時に、配線のための十分な隙間が作成される。
【0040】
ファンの対応するケーブルが筐体内で確実に誘導され保持されるように、ファンの配線用のケーブルの通路としての少なくとも1つのケーブル貫通開口部が、支持フランジおよび/または吸気側ガイド要素において都合良く設けられる。こうして、筐体内で強い気流が起きた場合でも、ケーブルの損傷が防止される。
【0041】
ファンによって圧縮された空気が吸気領域から吐出領域内へと流れて通ることができる少なくとも1つの空気通路開口部がフランジシールに設けられるのが好ましい。少なくとも1つの空気通路開口部は、フランジシールの材料によって周辺が取り囲まれるように、フランジシールの縁から都合良く離間されている。例えば気流によって生成された高い力がかかる状況でも、フランジシールの領域において所望のシールが維持される。
【0042】
ライン部(例えば、「スワンネック」)が、都合良く設けられ、空気通路開口部をファンの吐出側排気口(排気口連結子など)に接続し、それによって、吸引された空気と圧縮された空気との間の通気短絡を防止する。
【0043】
フランジシールを支持する支持部が都合良く設けられ、筐体内で所望のようにフランジシールを確実に配置する。気流による効果的な力があるにもかかわらず、フランジシール自体が有する材料厚さは小さい。既に説明したように、成形要素の材料要件の低減は、特に、生産コストおよび成形要素の取り扱いの点でも有利な効果を有する。支持要素は、板金または適したプラスチック材料などの剛体材料から製造されると都合が良い。寸法は、防音筐体が組み立てられたときに、支持要素が対応する筐体部内に完全に静止するように都合良く選択される。支持要素は、フランジシールによって張られた平面から突出して延び、対応する筐体部の内壁を支持するために使用することができる接触部を含むのがさらに都合が良い。こうして、この領域における成形部の変位は、構造によって予め決定された遊びに限定される。支持部が、フランジシールの吸気側に都合良く配置され、それによって成形部分、ひいては筐体全体の簡単な組立が可能になる。
【0044】
成形部が少なくとも2つの部分で形成され、第1の成形部部分は少なくともフランジシールを備え、少なくとも1つのさらなる成形部部分は、少なくともファン収容部を備え、第1の成形部部分を少なくとも1つのさらなる成形部部分に接続する固定装置が設けられる。このようにして形成される成形部は、簡単に製造することができる。特に、成形部が射出成形または金型内発泡される部分である場合、対応する金型は、一体状部品の場合よりも簡単に設計することができる。したがって、金型を、より良好に製造することができ、成形部の製造された部分の離型が大幅に単純化される。
【0045】
固定構造は、成形部部分の少なくとも1つに設けられた少なくとも1つの固定突起と、別の成形部部分に設けられた少なくとも1つの固定突起収容部とを備え、少なくとも1つの固定突起は、固定突起収容部内に固定され、それによって、少なくとも2つの成形部部分の簡単な接続が可能になる。
【0046】
例えば、少なくとも1つの固定突起の自由端から隔てられて背後から係合するための溝が上記少なくとも1つの固定突起の上に設けられ、少なくとも1つの固定突起収容部は、背後から係合するための溝の寸法に一致するかまたは少なくとも1つの固定突起の自由端の対応する寸法よりも小さい内側寸法を有する。成形部部分を結合する場合、固定突起収容部の対応する部分は、背後から係合するための溝にスナップ止めされ、それによって成形部部分がしっかりと相互接続される。
【0047】
固定装置は、成形部部分が接合されたときに、ファンによって吸引された空気のための吸気間隙が少なくとも1つのさらなる空気通路開口部の形態のままになるように、成形部部分が少なくともいくつかの領域において互いに離間するように都合良く形成される。この実施形態により所望の空気誘導を少ない労力で、対応する成形部部分を製造するための金型の複雑な実施形態なしで確保することができる。
【0048】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細が、本発明の例示的な実施形態が図面を参照しながら説明されている以下の説明から明らかになるであろう。特許請求の範囲および明細書に記載された特徴は、それぞれが個々にまたは任意の組み合わせにおいて、本発明に必須となる。
【0049】
符号の説明は、本開示の一部を形成する。図面は、首尾一貫かつ包括的に記載される。同様の参照符号は、同様の構成要素を示す。
【0050】
各図において以下が示される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図2】人工呼吸器のための本発明による防音筐体の斜視図である。
【
図5】
図4による第1の筐体部の別の斜視図である。
【
図7】
図6による第2の筐体部の別の斜視図である。
【
図10】
図8および9による成形部の第1の部分の斜視図である。
【
図12】
図8および9による成形部の第2の部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
人工呼吸器21は、
図1に示されているように、患者の呼吸を補助するためにまたは完全に患者の呼吸機能を果たすために使用される。患者に適合したパラメータを、例えば、タッチスクリーン22などの入力装置を介して入力することができる。筐体23内に設けられたファンをそれに応じて制御することによって、患者の所望の呼吸タイプを確保するプロセッサ/制御ユニット(ここでは図示せず)が、筐体23内に配置される。人工呼吸器21からの空気を患者の呼吸用の呼吸マスクに導くための呼吸管(ここでは図示せず)に接続される連結子24が筐体23上に設けられている。人工呼吸器21の市場は、特に、人工呼吸器21内に設けられたファンのコンパクトなデザインと低音響放射を必要としている。
【0053】
ファンのための本発明による防音筐体31が、
図2〜13に示されており、上記筐体は、コンパクトな構造であり、筐体31の簡単な製造と組立の易しさと同時に有利な防音性を示す。このような筐体31は、
図1に示されているように、人工呼吸器21内に都合よく配置され、患者の呼吸のための所望の気流を生成する。
【0054】
図2は、組み立てられたときの防音筐体31全体を示している。筐体31は、第1のカップ状筐体部41と、第2のカップ状筐体部51と、筐体31内に配置された成形部61とを備え、成形部61のうち、2つのカップ状筐体部41、51の間に配置されたフランジシール63のみを実質的に
図2で見ることができる。
【0055】
筐体部41、51は、ネジとナットのような接続要素32によって四隅の辺りで相互接続されている。接続要素32への容易な到達性のために、ひいては、筐体31の簡単な組立のために、第1の筐体部41は、その長手方向に沿って接続要素に対応して形成された凹部42を含み、また第2の筐体部51は、その長手方向に沿って接続要素に対応して形成された凹部52を含む。
【0056】
成形部61に加えて、フォームインサート71、72が、第1の筐体部41のベース部43の領域に設けられ、成形部61に加えて、特に、空気流によって生成された筐体31内のノイズを減衰することが、
図3を見るとわかる。また、ここでは、成形部61、特に、そのフランジシール63が、筐体31の内部を吸気領域33と吐出領域34とに分割していることがわかる。
【0057】
図4、5を参照して第1のカップ状筐体部41の特徴を以下に説明する。空気が筐体31へ進入するための吸気開口部44が、第1の筐体部41のベース部43に設けられている。吸気開口部44は、ベース部43の外側からテーパの付いた断面を有する。この断面は、実質的に円筒状の、ベース部43から第1の筐体部41内に突出しているスリーブ部45の内径に向けて先細になっている。吸気開口部44のテーパ領域は、円形に形成されている。吸気開口部44のこの実施形態は、筐体31内への気流を都合良く確保し、また、空気が筐体31内に流入するときの音響放射を確実に大幅に低減する。
【0058】
自由縁46からそれぞれ突出する締結ドーム47が、第1の筐体部41の自由縁46の角部に設けられる。接続要素32の少なくとも一部のための貫通開口部48が、各締結ドーム47内に設けられ、該当する締結ドーム47をそれぞれが完全に貫通している。
【0059】
筐体逃げ部49が、第1の筐体部41の自由縁46の一部にも設けられるが、その機能を成形部61と併せて後述する。
【0060】
またさらに、2つのガイド収容部76(
図4)が、第1の筐体部41の内部に設けられるが、同じように、その機能を成形部61と併せて後述する。各ガイド収容部76は、複数のリブ77のうちの少なくとも1つと保持タブ78によって形成される。リブ77は、それぞれ、第1の筐体部41の対応する側壁50から垂直に突出し、ベース部43から第1の筐体部41の自由縁46の方向にある領域の上に延びている。
図4に見られるように、個々のリブ77は、異なる長さにわたって延びてもよい。例えば2個の保持タブ78が、それぞれ第1の筐体部41の内側部分50から実質的に同じ距離に配置され、ベース部43から第1の筐体部41の自由縁46の方向に延びている。2個の保持タブ78の自由端は、互いに対向している。保持タブ78の伸長の長さは、リブ77の対応する伸長よりも大きいと都合が良い。さらに、リブ77および/または保持タブ78は、必ずしもベース部43の対応する内面に接続される必要はない。これらのリブおよび/または保持タブの全てまたは少なくとも1つ1つは、ベース部43の対応する内面から容易に離間させることができる。
【0061】
図6、7を参照して第2のカップ状筐体部51の特徴を以下に説明する。吸引された空気を筐体部31から排出するための排出開口部54が、第2の筐体部51のベース部53に設けられている。
【0062】
排出開口部54の周囲において、カラー55が、ベース部53の外側から突出している。カラー55の外径は、人工呼吸器21内に筐体31を配置した状態で、このカラー55が人工呼吸器21の連結子24内に接合して位置するように都合良く選択される。また、排出開口部54の中心から半径方向に延びるストラットが、上記排出開口部に設けられ、逆止弁が排出開口部54に形成されるように、膜116(
図3参照)の支持体として使用される。
【0063】
例えば、圧力リリーフ弁57が配置されたリリーフ開口部56が、第2の筐体部51のベース部53にさらに設けられている。筐体31内に過度の圧力が発生した場合には、この圧力をリリーフ開口部56を通して逃がすことができる。例えば、空気が患者に全く吸引ず、ファン35が吸引空気の圧縮を継続する場合、望ましくない高過圧が筐体31内に生成される。また、第2の筐体部51の安定性を改善するために、第2の筐体部51の一方の側壁から反対側の側壁に延びている補強リブ59が、ベース部53の内側部分に設けられており、排出開口部54は、補強リブ59の一方の側に配置され、排出開口部56が補強リブ59の他方の側に配置されている。
【0064】
第1の筐体部41の締結ドーム47を収容するための締結ドーム逃げ部81が、第2の筐体部51の自由縁58の角部に設けられている。締結ドーム逃げ部81は、接続要素32の少なくとも一部のための貫通開口部80によってそれぞれ貫通されている。筐体31が組み立てられたときに筐体部41および51の自由縁48と58との間に所定の間隔を確保するために、締結ドーム逃げ部81に収容された締結ドーム47のための係止部が締結ドーム逃げ部81内に形成されるように、締結ドーム逃げ部81の内径は対応する貫通開口部80の内径よりも大きくなっている。
【0065】
図8および
図9は、成形部61の全体を示している。成形部61とその個々の機能の詳細を
図10〜13を参照して以下に説明する。成形部61は、第1の成形部部分62と、第2の成形部部分82とからなり、それらは固定装置92を介して相互接続される。
【0066】
成形部61、すなわち、成形部部分62および82は、例えば、プラスチック材料であって、シリコン、NBR、FKN、または適したエラストマから製造されると都合が良い。この場合、2つの成形部部分62および82は、必ずしも同一の材料から製造される必要はないが、同一の材料から製造された方が一般的には都合が良い。
【0067】
第1の成形部部分62(特に、
図12および13参照)は、フランジシール63を備える。第1の筐体部41の各締結ドーム47の通路として周辺が閉じられたドーム貫通開口部64が、フランジシール63の各角部に設けられている。
【0068】
固定装置92の一部を形成する固定突起収容部93が、フランジシール63の吸気側側面65に設けられている。また、フランジシール63を支持するための支持要素96を保持するために使用される保持突起97が、フランジシール63の吸気側側面65(
図8)から突出している。板金から製造される支持要素96は、その側縁に、偏向部分98を備え、偏向部分98は、支持要素96が固定されているとき、吸気側側面65から外側を向くように突出している。支持要素96の大きさは、筐体31が組み立てられたときに、支持要素96が第1の筐体部41内に偏向部98を介して支えられるように選択される。
【0069】
フランジシール63の側縁と平行に延び、端部の各々がその側縁から離間されている吐出側ガイド要素67が、フランジシール63の吸気側側面65とは反対側の吐出側側面66から空気ガイド装置の形態で突出している。筐体31が組み立てられたとき、第2の筐体部51のベース部53に対向する吐出側ガイド要素67の自由縁と、第2の筐体部51内の補強リブ59の自由縁とは、その間に狭い空気通路領域を作成するように、互いに対向して配置されている。各々が互いに離間し、また吐出側ガイド要素67の端部から離間している、吐出側ガイド要素67の複数の支持部68が設けられ、吐出側ガイド要素67からフランジシール63へ延びている。
【0070】
図13を参照すると、フランジシール63の側縁から離間している空気通路開口部69が、フランジシール63の吐出側ガイド要素67の後ろに設けられ、筐体31の吸気領域33をその吐出領域34と接続しており、したがって、この図では見ることができない。曲線自由端をもつガイド部70が、フランジシール63の吸気側65に設けられ、空気通路開口部69を排気口36に接続し、筐体35の連結子として都合良く形成され、こうして給気領域33と吐出領域34との間の通気短絡を防ぐ。
【0071】
包囲部101および102は、フランジシール63の各側縁に設けられており、また、これらが設けられたフランジシールの側縁の端部からは離間されるようにフランジシール63に沿って延びている。さらに、包囲部101、102は、フランジシール63によって規定される平面に実質的に垂直に、かつフランジシール63の吸気側側面65および吐出側側面66を越えて延出している。筐体31が組み立てられたときに、包囲部101および102は、2つの筐体部41、51の外側面に支持される(
図2などを参照)。
【0072】
筐体31が組み立てられたときに、第1の筐体部41内で支持されるガイド部103が、包囲部102の内側部分に包囲部102から離間して設けられる。ファン35の配線用のケーブル37の通路としてのケーブル貫通開口部104が包囲部102に設けられている。ケーブル貫通開口部104は、ケーブル貫通開口部104の縁が、その中に誘導されたケーブル37をきつく圧迫して、筐体31への水分および/または埃の侵入を防ぐように形成されている。ガイド部103は、ケーブル37のためのガイド貫通開口部105を備える。
【0073】
成形部61が第1の筐体部41と結合されたとき、包囲部102の少なくとも1つの領域と、ケーブル貫通開口部104を通して誘導された筐体逃げ部49内のケーブルとが、第1の筐体部41の自由端46上に支持された状態となり、そのため、上記ケーブル37が組立工程中に損傷を受けることがなく、筐体31の簡単な組立も確実となる。
【0074】
第2の成形部部分82は、筐体31においてファン35を保持するための略カップ状ファン収容部83を備える。ファン収容部83は、第1の成型部部分62に固定されたときに、フランジシール63の吸気側側面65に面する、空気通路開口部85を有するベース部84を備える。フランジシール63の吸気側側面65から遠い側の自由端において、ファン収容部83は、上記ファン収容部を囲む支持フランジ86を少なくともいくつかの領域において備える。支持フランジ86は、筐体31が組み立てられたときに、第1の筐体部41の内側部分に接触する3つの接触側面を備える。リップシール87が、支持フランジ86のこれらの接触側面上にシール要素として設けられる。逃げ部88が支持フランジ86のそれぞれの角に形成され、筐体31が組み立てられたときに、第1の筐体部41の逃げ部88に対応して丸くされた内側部分に対して確実に密着する。リップシール87は、凹部88にも沿って延びていると都合が良い。また、ファン35の配線用ケーブル37の通路としてのケーブル貫通開口部89が、支持フランジ86に設けられている。
【0075】
複数の固定突起94が、ベース部84から固定装置92のさらなる部分という形態で突出し、この固定突起の自由端は、第1の成形部部分62を第2の成形部部分82に接続するためにフランジシール63内の固定突起収容部93内に固定可能である。この固定工程は、例えば、クリップ装置を介して、または、適した接着剤を用いて行われる。
【0076】
固定装置92または固定突起94は、2つの成形部部分62、82が連結されたときに、2つの成形部部分62、82を互いに隔てるように形成される。吸気間隙95は、こうして、ファン35によって吸引された空気のためのさらなる空気通路開口部としてフランジシール63の吸気側側面65に隣接して残る。支持フランジ86の側縁90に関して、つまり、筐体31が組み立てられたときに、第1の筐体部41の内側部分の1つに接触しない側縁90に関して、支持フランジ86のこの部分から空気通路開口部112を有する吸気側ガイド要素111が突出している。より具体的には、支持フランジ86の、フランジシール63の吸気側側面65から離れた側から突出している。吸気側ガイド要素111は互いに平行に延びる2つの側縁113と自由縁114とを有する。吸気側ガイド要素111の支持部115が、2つの側縁113に対して、そこから離間して設けられ、2個の支持部のいずれもが吸気側ガイド要素111から支持フランジ86まで延びている。支持部115の自由端は、2個の支持部のいずれについても自由縁114から離れている。
【0077】
筐体31が取り得る特に有利だと思われる組立について以下に説明する。個々の組立工程の順序は、現在の周縁条件または筐体31に適合する変形例に応じて簡単に変化させることができる。
【0078】
2つの成形部部分62および82がまず接続されて成形部61を形成する。次に、ファン35がファン収容部83に挿入される。ファン35は、挿入された状態においてファン収容部83のベース部84の空気通路開口部85と対向する吸気開口部を有するのが好ましい。既述されたように、ライン部70の自由端は、ファン35の排気口36に接続されている。そして、ファン35はケーブル37を用いて配線されると都合が良い。
【0079】
次に、フォームインサート71および72が、第1の筐体部41に挿入される。次に、成形部61が、前面に配置された吸気側ガイド要素111を用いて第1の筐体部41に導入される。こうすることで、成形部61が、導入されるに従って、吸気側ガイド要素111の自由端領域が、第1の筐体部41内のガイド収容部76内に支持されるようにして位置合わせされる。
【0080】
フランジシール63が第1の筐体部の自由縁46に接触するまで、成形部61は第1の筐体部41へ挿入される。こうすることで、第1の筐体部41の自由縁46において締結ドーム47がドーム貫通開口部64を貫通し、フランジシール63上の包囲部102が、いくつかの領域において、第1の筐体部41の自由縁46の筐体逃げ部49に支持されるようになる。フランジシール63の残りの周辺部分101は、この位置において第1の筐体部41の自由縁46のその他の側面を包囲する。
【0081】
次いで、第2の筐体部51が配置され、締結ドーム47の自由端が締結ドーム凹部81内に支持される。2つの筐体部41および51は、接続要素32を用いて相互接続で固定されている。締結ドーム凹部81内で接触が生じるために、2つの筐体部41および51の間の接合部分がフランジシール63によって確実にシールされる一方で、フランジシール63自体が組立工程中に過度に圧縮されることはない。
【0082】
その後、防音筐体31は人工呼吸器21に設置できる状態になる。
【0083】
ファン35が動き始めると、空気が吸引されて吸気開口部44を通って吸気領域33へ入る。吸引された空気は、空気通路開口部112を通って、第2の成形部部分82を過ぎて、装置収容部83のベース部84の空気通路開口部85を通って吸気間隙95を通ってファン35へ流入する。吸引された空気は、吸気間隙95を通って流れて装置収容部83のベース部84の空気通路開口部85を通ってファン35に入り込む前に、フランジシール63と支持フランジ86との間の領域において装置収容部83の外側を流れる。吸引された空気は、空気通路開口部112を通って流れる前に、装置収容部83から突出したファンの一部(通常、ファンのモータの一部)の表面上を流れるため、上記部分を継続的に冷却する。成形部61のこの実施形態により、ファン35、特にそのモータが都合良く十分に冷却されることが確実になる。
【0084】
吸引された空気は、ファン35内で圧縮され、排気口36を通り、ライン部70とフランジシール63内の空気通路開口部69を通って、筐体31の吐出領域34内へ誘導される。圧縮空気は、第2の筐体部51のベース部53内の排出開口部54を通って筐体31から出る。
【0085】
吸気開口部44および排出開口部54は、筐体31の長手方向中心軸に対してオフセットされており、筐体31の内側部分と平行に延びる同軸上には配置されていない。
【0086】
ガイド要素61および111による気流の誘導、また、特に、空気通路開口部69、85、112の配置、さらに、成形部61それ自体の実施形態によって、公知の解決策に比べて、ファン35の動作中に発生する音響放射が大幅に低減される。同時に、ファンが十分に冷却され、そのために長期間の使用に適応しており、そのうえ、人工呼吸器21の長期間使用という結果がもたらされる。
【符号の説明】
【0087】
21 人工呼吸器、22 タッチスクリーン、23 筐体、24 連結子、31 筐体、32 接続要素、33 吸気領域、34 吐出領域、35 ファン、36 ファン35の排気口、37 ケーブル、41 第1の筐体部、42 第1の筐体部41の窪み、43 第1の筐体部41のベース部、44 吸気開口部、45 吸気開口部44のスリーブ部分、46 第1の筐体部41の自由縁、47 締結ドーム、48 締結ドーム47の貫通開口部、49 筐体逃げ部、50 第1の筐体部41の側壁、51 第2の筐体部、52 第2の筐体部51の窪み、53 第2の筐体部51のベース部、54 排出開口部、55 排出開口部54のカラー、56 リリーフ開口部、57 圧力リリーフ弁、58 第2の筐体部51の自由縁、59 補強リブ、61 成形部、62 第1の成形部部分、63 フランジシール、64 ドーム貫通開口部、65 フランジシール63の吸気側側面、66 フランジシール63の吐出側側面、67 吐出側ガイド要素、68 吐出側ガイド要素67の支持部、69 空気通路開口部、70 ライン部、71 フォームインサート、72 フォームインサート、76 ガイド収容部、77 リブ、78 保持タブ、80 締結ドーム逃げ部81の貫通開口部、81 締結ドーム逃げ部、82 第2の成形部部分、83 ファン収容部、84 ファン収容部83のベース部、85 空気通路開口部、86 支持フランジ、87 リップシール、88 支持フランジ86の凹部、89 支持フランジ86のケーブル貫通開口部、90 支持フランジ86の側縁、92 固定装置、93 固定突起収容部、94 固定突起、95 吸気間隙、96 支持要素、97 保持突起、98 支持要素96の偏向部、101 包囲部、102 包囲部、103 ガイド部、104 包囲部102のケーブル貫通開口部、105 ガイド貫通開口部、111 吸気側ガイド要素、112 吸気側ガイド要素111の空気通路開口部、113 吸気側ガイド要素111の側縁、114 吸気側ガイド要素111の自由縁、115 支持部、116 膜。