特許第6170975号(P6170975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6170975編物のフェイスマスクおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6170975
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】編物のフェイスマスクおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   A45D44/22 C
   A45D44/22 D
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-192445(P2015-192445)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-179167(P2016-179167A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2015年9月30日
(31)【優先権主張番号】104109228
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515272143
【氏名又は名称】デニシルク・インターナショナル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DANEE SILK INTERNATIONAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】李佳澤
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3165241(JP,U)
【文献】 特開2008−285433(JP,A)
【文献】 特開2004−149933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
A61K 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シルク糸と合成繊維糸とを交編して形成される編物のフェイスマスクであって前記編物のフェイスマスクは、合成繊維編み面とシルク編み面とを有し、前記合成繊維編み面は、合成繊維糸と合成繊維糸との間に交差する微孔分布が形成され、前記シルク編み面は、シルク糸とシルク糸との間に交差する微孔分布が形成されており、前記シルク編み面は皮膚との接触に用いられ、且つ、約100%のシルクを含む、
または、
前記編物のフェイスマスクは、合成繊維編み面とシルク繊維および合成繊維の交編面とを有し、前記合成繊維編み面は、合成繊維糸と合成繊維糸との間に交差する微孔分布が形成され、前記交編面は、シルク糸と合成繊維糸との間に交差する微孔分布が形成されており、前記交編面は皮膚との接触に用いられ、且つ少なくとも約50%のシルクを含む、編物のフェイスマスク。
【請求項2】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクであって、前記シルク糸が約6デニール〜約65デニールの繊度を有する、編物のフェイスマスク。
【請求項3】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクであって、前記合成繊維糸が約6デニール〜約65デニールの繊度を有する、編物のフェイスマスク。
【請求項4】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクであって、前記合成繊維糸は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維およびこれらの組合せから成る群より選ばれる、編物のフェイスマスク。
【請求項5】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクであって、前記シルク糸は、編物総重量の約15%〜約75%を占める、編物のフェイスマスク。
【請求項6】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクであって、前記合成繊維糸は、編物総重量の約25%〜約85%を占める、編物のフェイスマスク。
【請求項7】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクであって、さらに、前記編物の上方において表層とされるパールペーパーと、前記編物の下方において底層とされるポリプロピレン膜とを含むことによって、三層構造に形成される、編物のフェイスマスク。
【請求項8】
請求項1に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、
シルク糸と合成繊維糸とを提供するステップと、
これらの糸に編み機で製編加工を行って、編物を形成するステップであって、前記編物はシルク編み面と合成繊維編み面とを有するか、または合成繊維編み面とシルク繊維および合成繊維の交編面とを有し、前記シルク編み面と、合成繊維編み面と、シルク繊維および合成繊維の交編面とは、糸と糸との間に交差する微孔分布が形成される、ステップとを含む、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、前記シルク糸は約6デニール〜約65デニールの繊度を有する、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、前記合成繊維糸は約6デニール〜約65デニールの繊度を有する、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、前記合成繊維糸は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維およびこれらの組合せから成る群より選ばれる、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項12】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、前記シルク糸は、編物総重量の約15%〜約75%を占める、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項13】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、前記該合成繊維糸は、編物総重量の約25%〜約85%を占める、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、さらに、パールペーパーを前記編物の上方に置いて表層とし、ポリプロピレン膜を前記編物の下方に置いて底層とすることによって、三層構造を形成する、編物のフェイスマスクの製造方法。
【請求項15】
請求項8に記載の編物のフェイスマスクの製造方法であって、前記編み機は、丸編機およびたて編機から成る群より選ばれる、編物のフェイスマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面立体交差微孔を有するフェイスマスクおよびその製造方法に関する。特に、シルク糸と合成繊維糸とを利用して編み上げる製編加工を行って、合成繊維編み面とシルク編み面とを有する、または、合成繊維編み面とシルク糸および合成繊維糸の交編面とを有する編物のフェイスマスクを製編することに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、生活のリズムが速く、仕事が忙しい。現代では、そうした中にあっても、男女共に、ある程度、健康、美容を極力追及しており、外観の美しさは、事業、交際、結婚相手を探すといった場面において、男女を問わず、一定の優位性をもたらしている。したがって、美容および保養のための製品またはサービスに十分なお金を費やすことを、希望している。
【0003】
現在の美容保養製品において、「フェイスマスク」は広く支持されており、比較的入手しやすい美容保養製品である。調査によれば、台湾では年間100,000,000枚近い各種フェイスマスクが販売されており、売上高は美容保養市場の年間営業収入の約20%を占める。フェイスマスクによって、使用者は適切な時間内に、一定量の保養液を皮膚に貼り付けて、保養液を皮膚に吸収し易くすることができ、皮膚が直ちに潤うという効果に達することができる。これは、フェイスマスクが消費者に広く支持されている理由である。よって、フェイスマスクが、より大量の保養液を吸収し使用者の皮膚に密着すれば、より高い保養効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−097785号公報
【特許文献2】特開平09−169617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、市販のフェイスマスクはその多くが、「不織布」を基材として製造されている。例えば特許文献1には、メインシートの原材料としてセルロール製の不織布が用いられた使い勝手に優れたフェイスマスクが開示されている。また、特許文献2には、マスク本体に不織布が用いられたメイクアップマスクが開示されている。しかし、不織布は弾性がないので、人によって顔の形が異なる使用者を満足させるのは難しい。また、フェイスマスクを使用者の皮膚に完全には貼り付けられないという状況に陥りやすい。さらに、不織布を基材としたフェイスマスクは、使用者が伸ばして調整する際、破けて破損しやすい。従来の不織布を基材とするフェイスマスクは、上記のような事情があるため、往々にして最大限の保養効果を発揮することができない。
【0006】
フェイスマスク市場の可能性は大きく、斬新なフェイスマスクを如何に設計して、従来の不織布を基材とするフェイスマスクの課題を効果的に解決し、使用者に、より快適な使用感を与えるかは、現在、関係者が早急に解決すべき主要課題であるとともに、消費者が期待する新たな製品でもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主要目的は、両面立体交差微孔を有するフェイスマスクを提供することである。このフェイスマスクは、シルク糸と合成繊維糸とを交編して形成される、両面立体交差構造を有する編物を含む。
前記編物は、合成繊維編み面とシルク編み面とを有し、前記合成繊維編み面は、合成繊維糸と合成繊維糸との間に立体交差微孔分布が形成され、前記シルク編み面は、シルク糸とシルク糸との間に立体交差微孔分布が形成されており、皮膚に接触するシルク編み面は100%のシルクを含む、または、
前記編物は、合成繊維編み面と、シルク繊維および合成繊維の交編面とを有し、前記合成繊維編み面は、合成繊維糸と合成繊維糸との間に立体交差微孔分布が形成され、前記交編面は、シルク糸と合成繊維糸との間に立体交差微孔分布が形成されており、皮膚に接触する交編面は少なくとも約50%のシルクを含む。
【0008】
本発明の別の目的は、両面立体交差微孔を有するフェイスマスクの製造方法を提供することである。この製造方法は、シルク糸と合成繊維糸とを提供するステップと、これらの糸に編み機で製編加工を行って、シルク編み面と合成繊維編み面とを有するか、または合成繊維編み面と、シルク繊維および合成繊維の交編面とを有する混合編物を形成するステップであって、前記編物は両面立体交差構造を有し、前記シルク編み面と、合成繊維編み面と、シルク繊維および合成繊維の交編面とは、糸と糸との間に立体交差微孔分布が形成される、ステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフェイスマスクは主に、シルク糸と合成繊維糸とを、編み機によって製編加工して製造するものであり、これによって形成された両面立体交差微孔編物は、合成繊維編み面である一つの編み面を有し、フェイスマスクの保湿作用が得られる他に、フェイスマスクの表面張力および強度を強めることができる。また、他面が、シルク編み面、またはシルク繊維および合成繊維の交編面であって、皮膚に接触するための編み面であり、フェイスマスクを皮膚に完全になじませることができる他、長時間に渡ってエッセンスを解放する作用を有するとともに、無菌、多孔性、皮膚親和性、吸湿性および通気性の特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の加工フロー図である。
図2図2は、本発明の両面立体交差微孔編物の模式図である。
図3図3は、本発明の両面立体交差微孔編物における合成繊維面の模式図である。
図4図4は、本発明の両面立体交差微孔編物におけるシルク面の模式図である。
図5図5は、本発明の両面立体交差微孔編物におけるシルク繊維および合成繊維の交編面の模式図である。
図6図6は、本発明のフェイスマスクの分解構造および結合図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本文中、特別な限定がない限り、単数形の「一」および「前記」は、その複数形も含む。本文においてすべての実施形態および例示的な用語(「例えば」および「・・・のような」)は、本発明をより際立たせることを目的としており、本発明の範囲や構成に制限を加えるものではない。本願明細書の用語は、本発明を実施する際必要な特徴を構成可能な、未請求の方法および条件を暗示していると、見なされるべきではない。
【0012】
本発明のフェイスマスクは、人体の各部位に適用可能なマスクである。例えば、フェイスマスク、アイマスク、鼻マスク、脣マスク、頬のマスク、首のマスクまたは胸部マスク等であるが、これらに限定されず、必要な任意の形状および色を有してよい。
【0013】
本発明の技術内容をさらに説明するために、簡単な図面および実施形態と共に本発明を説明する。
【0014】
本発明は、両面立体交差微孔を有するフェイスマスクおよびその製造方法に関する。図1〜5を参照されたい。図1は、本発明の加工フロー図である。図1に示すように、本発明のフェイスマスクの製造方法は主に、必要に応じて、適切なシルク糸S1および合成繊維糸S2を提供することを含む。本発明の実施形態において、シルク糸は、約6デニール(D)〜約65デニール、好ましくは約9デニール〜約36デニール、さらに好ましくは約15デニール〜約30デニールの繊度を有する。合成繊維糸は、約6デニール〜約65デニール、好ましくは約9デニール〜約36デニール、さらに好ましくは15デニール〜約30デニールの繊度を有する。合成繊維糸は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維およびこれらの組合せから選ばれる。合成繊維糸は編物総重量の約25%〜約85%を占め、好ましくは約30%〜約70%、さらに好ましくは約40%〜約60%である。また、シルク糸は編物総重量の約15%〜約75%、好ましくは約20%〜約60%、さらに好ましくは約30%〜約40%である。前記糸の繊度および割合等は、その範囲内の任意の数値のより小さい範囲を含むか、または任意の数値を有してよい。例えば、シルク糸は、約18デニール〜約25デニールまたは約21デニールの細かさを有してよい。
【0015】
続いて、編み機で、これらの糸に製編加工(1)を行い、両面立体交差微孔を有する編物(2)を形成する。前記編物は、当業者が適切な製編方法を選択して、製造され、合成繊維編み面(A)とシルク編み面(B)とを含むか、または合成繊維編み面(A)とシルク繊維および合成繊維の交編面(C)とを含む。本発明の実施形態において、編み機は当業者に周知の編み機であり、例えば丸編機、または、たて編機であるが、これらに限定されない。また、編み加工は、約24針(G)〜約46針のステッチで行われ、必要に応じて調整されて、異なる孔隙率を有する編み面が形成される。本発明の実施形態において、合成繊維編み面は約60%〜約90%、好ましくは約70〜約80%の孔隙率を有し、シルク編み面または交編面は約65%〜98%、好ましくは約70%〜95%の孔隙率を有する。前記編み加工の条件および編み面の孔隙率等も同様に、その範囲内の任意の数値のより小さい範囲を含んでよく、または任意の数値を有してよい。
【0016】
本発明の方法はさらに、以下のステップ等を含む。前記編物を裁断加工(3)し、顔のフェイスマスク状を形成し、パールペーパーを前記編物の上方に置いて表層(5)とし、ポリプロピレン膜を前記編物の下方に置いて底層(6)とし、フェイスマスク(4)を中間層とする三層構造フェイスマスク(7)を形成し、その後、エッセンス(8)を充填して、エッセンスを両面立体交差微孔編物(2)と接触させて立体交差微孔に浸透させてフェイスマスク製品(9)を形成する。
【0017】
当業者は必要に応じて、特定の製編法で、両面立体交差微孔編物を製造してよい。ここで例を挙げて以下のとおり説明する。図2は、両面立体交差微孔編物(2)を例示している。これは、交差組織(Y1)と交差組織(Y2)とが相互に交編されて形成され、前記編物のうちの一面は合成繊維編み面Aで、他面がシルク編み面Bであるか、または一面が合成繊維編み面Aで、他面がシルク繊維および合成繊維の交編面C(図2には図示せず)である。合成繊維編み面Aの構造には、複数の立体交差微孔A1と、合成繊維糸S2および合成繊維糸S2の間の立体交差微孔A1とを含む。それにより、形成された一つの合成繊維編み面Aにおいてフェイスマスク中のエッセンスの含有量を増やすことができ、同時に合成繊維を編物材料として使用することで、フェイスマスクの表面張力および強度を強化することができる。もう一つの編み面はシルク編み面Bで、シルク糸S1とシルク糸S1とで形成され、シルク糸S1とシルク糸S1との間に立体交差微孔B1が形成される。シルク編み面Bは約100%のシルクを含み、フェイスマスクを完全に皮膚になじませることができるとともに、長時間に渡ってエッセンスを解放する作用を有し、無菌、多孔性、皮膚親和性、吸湿性および通気性等の特性を有する。また、もう一つの編み面は、シルク繊維および合成繊維の交編面C(図2では図示せず)であり、シルク糸S3と合成繊維糸S2の間に立体交差微孔C1(図2では図示せず)が形成され、その皮膚に接触する面のシルク繊維は約50%以上のシルクを含むため、シルク編み面と同様の利点を有するとともに、コストを低下させることができる。
【0018】
図3〜5はそれぞれ、本発明の編物における合成繊維編み面、シルク編み面および交編面を示す模式図である。本発明は、両面立体交差微孔編物を、フェイスマスクの中間層として使用する。前記編物は、交差組織(Y1)と交差組織(Y2)とが相互に交編されて形成され、図3に示す複数の立体交差微孔A1を有する合成繊維編み面A、および図4に示す複数の立体交差微孔B1を有するシルク編み面B、または図5に示す複数の立体交差微孔C1を有するシルク繊維と合成繊維との交編面Cを形成する。図2に示すように、エッセンス分子Kがフェイスマスク製品に接触すると、エッセンス分子Kは四方に拡散して、フェイスマスクの立体交差微孔Al、B1またはC1構造に浸透する。フェイスマスクが両面構造を有するため、エッセンス分子Kの吸収率を効果的に増加させることができ、エッセンス含有量を相対的に増加させ、フェイスマスク全体の伸長性および従順性を高め、コストを削減でき、その結果、本発明のフェイスマスクは、好ましいマスク効果および低コストを実現する。
【0019】
図6は、本発明のフェイスマスクの分解構造および結合図である。図6に示すように、パールペーパーを前記編物の上方に置いて表層(5)とし、ポリプロピレン膜を前記編物の下方に置いて底層(6)とし、フェイスマスク(4)を中間層とする三層構造フェイスマスク(7)を形成する。ここで、フェイスマスク(4)は、合成繊維編み面Aとシルク編み面Bとを有するか、または、合成繊維編み面Aとシルク繊維および合成繊維の交編面Cとを有する。
【0020】
本発明のフェイスマスクは、両面立体交差微孔編物を中間層として使用しており、前記交差微孔編物は、細い針、より高い精密度の編み機、難易度の高い編み技術で製編することで、皮膚に接触する編物面に少なくとも約50%〜100%のシルクを含ませ、かつ合成繊維と交差して一つの全体面を形成することができる。両面立体交差微孔編物において、合成繊維編み面が立体交差微孔分布を有するため、より多量のエッセンスを保存することができ、また、シルク編み面または交編面の組織が比較的密であるため、エッセンスを皮膚表面に、全面的かつ漸次に解放することができ、その結果、極めて良好な皮膚親和効果が得られる。
【0021】
つまり、本発明の両面立体交差微孔編物の一面は、合成繊維編み面で、複数の立体交差微孔構造を含む。他面はシルク編み面、またはシルク繊維および合成繊維の交編面で、複数の立体交差微孔構造を含む。エッセンス分子がフェイスマスク両面に接触すると、エッセンス分子がフェイスマスクの二層構造の立体交差微孔構造に浸透し、エッセンスの吸収率が増加するだけでなく、エッセンスを効果的に編物の隙間に充満させることができ、保湿性を相対的に高め、使用時間を伸ばし、フェイスマスク全体の伸長性および従順性を効果的に高めることができ、従来の純シルクで製編されたフェイスマスクよりコストが削減され、その結果、本発明のフェイスマスクはマスク効果が得られ低コストを実現する。
【0022】
以下の実施例において、例を挙げて本発明の実施例を説明するとともに、本発明の技術特徴を解説するが、これは本発明の保護範囲を制限するものではない。本技術を熟知する者が容易に実施できる改変または均等の処置はいずれも、本発明が主張する範囲に属する。本発明の権利保護範囲は添付の特許請求の範囲を基凖とすべきである。
【0023】
[実施例]
実施例1
40%のポリエステル繊維(PET)、60%のシルク繊維(silk)の原料パーセンテージで、21デニール(D)のシルク糸と20Dのポリエステル糸とをそれぞれ、丸編機(ステッチ36G)に投入し、0.16m/分の速度で、両面立体微孔編物(1)を製編した。
40%のポリエステル繊維と60%のシルク繊維という原料パーセンテージで、15Dのシルク糸と20Dのポリエステル糸とをそれぞれ、編み機(ステッチ36G)に投入し、0.17m/分の速度で丸編両面立体交差微孔編物(2)を製編した。
40%のポリエステル繊維と60%のシルク繊維という原料パーセンテージで、30Dのシルク糸と20Dのポリエステル糸とをそれぞれ、編み機(ステッチ36G)に投入し、0.18m/分の速度で丸編両面立体交差微孔編物(3)を製編した。
40%のナイロン繊維(nylon)と60%のシルク繊維という原料パーセンテージで、30Dのシルク糸と20Dのナイロン糸とをそれぞれ、丸編機(ステッチ28G)に投入し、0.19m/分の速度で両面立体交差微孔編物(4)を製編した。
40%のレーヨン繊維(rayon)と60%のシルク繊維という原料パーセンテージで、30Dのシルク糸と20Dのレーヨン糸とをそれぞれ、丸編機(ステッチ20G)に投入し、0.2m/分の速度で両面立体交差微孔編物(5)を製編した。
40%のアクリル繊維(acrylic)と60%のシルク繊維という原料パーセンテージで、30Dのシルク糸と20Dのアクリル糸とをそれぞれ、丸編機(ステッチ24G)に投入し、0.21m/分の速度で両面立体交差微孔編物(6)を製編した。
下記表1に前記編物サンプル(1)〜(6)の試験結果を示す。
【表1】
【0024】
表1に示すように、21Dシルク糸と20Dポリエステル糸の糸条件およびステッチ36Gの両面丸編条件で製造した編物サンプル(1)は、試験項目において、即ち吸水率、伸長度および強度の全体において、比較的優れていた。また、編物(1)、(2)および(3)の結果が示すように、低い繊度(D)の繊維を使用すると、吸水率(%)は高まるものの、強度(g)が下がってしまい(例えば編物サンプル(2))、比較的高い繊度の繊維を使用すると、吸水率が下がるものの、強度は高まった(例えば編物サンプル(3))。
【0025】
実施例2
表2に、本発明のフェイスマスクと市販のフェイスマスクとの比較を示す。表2に示す内容から分かるように、本発明のフェイスマスク(編物(1))は、吸水性、貼り付き性能およびコスト面において、市販の不織布フェイスマスク、編みマスクおよびバイオ繊維フェイスマスクと比べはるかに優れていた。
【表2】
【符号の説明】
【0026】
S1 シルク糸
S2 合成繊維糸
S3 シルク糸+合成繊維糸
1 編み機加工
2 両面立体交差微孔編物
3 裁断加工
4 フェイスマスク(中間層)
5 パールペーパー(表層)
6 ポリプロピレン膜(底層)
7 三層構造フェイスマスク
8 エッセンス
9 フェイスマスク製品
A 合成繊維編み面
B シルク編み面
C シルク繊維および合成繊維の交編面
A1 立体交差微孔
B1 立体交差微孔
C1 立体交差微孔
K エッセンス分子
Y1 交差組織
Y2 交差組織
図1
図2
図3
図4
図5
図6