(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の絵柄が透明な領域に囲まれて描画された第1のレイヤと、半透明の画像が描画された第2のレイヤと、第2の絵柄が描画された第3のレイヤと、をデータとして有し、前記第2のレイヤが前記第1のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第3のレイヤが前記第2のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第2の絵柄が表示される領域に前記第1の絵柄が重ねられるように、前記第1の絵柄及び前記第2の絵柄を表示する表示部と、
前記表示部に光を照射する光源と、
を備え、
前記光源の照明レベルを下げることにより前記第1の絵柄の輝度を変える場合、前記半透明の画像の濃淡が濃くされることで前記第2の絵柄の輝度が調節される、
表示装置。
第1の絵柄が透明な領域に囲まれて描画された第1のレイヤと、半透明の画像が描画された第2のレイヤと、第2の絵柄が描画された第3のレイヤと、をデータとして有し、前記第2のレイヤが前記第1のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第3のレイヤが前記第2のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第2の絵柄が表示される領域に前記第1の絵柄が重ねられるように、前記第1の絵柄及び前記第2の絵柄を表示する表示部と、
前記表示部に光を照射する光源と、
を備え、
前記光源の照明レベルが低くなるにつれて、前記第1の絵柄の輝度が前記第2の絵柄の輝度より高い状態を維持しながら前記第1の絵柄及び前記第2の絵柄の双方の輝度が下がるように、且つ、前記第1の絵柄の輝度と前記第2の絵柄の輝度との差が大きくなるように、前記光源の照明レベル、及び、前記半透明の画像の濃淡が調節される、
表示装置。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置として、液晶表示器等の表示デバイスを用いて、車速、燃料残量、過給圧力値等のメータを画面に表示するグラフィックメータが知られている。また、車用に異常がある場合に点灯するテルテール(ウォーニングランプ)等もグラフィックメータの画面に表示される。
【0003】
このように、液晶表示器等を表示デバイスとしているグラフィックメータでは、周囲が明るくなると、グラフィックメータの画面が見づらくなるので、輝度を上げる必要があった。一方、トンネル内を通過する時等、周囲が暗くなると、グラフィックメータの画面が眩しくなるので、輝度を下げる必要が生じた。
【0004】
グラフィックメータの画面の輝度は、バックライトの照明レベルを変えることで調節される。例えば、バックライトの照明レベルを最小値0、最大値15とし、照明レベルが最大の時に液晶表示器の輝度値を100%としていた(
図5(B)参照)。
【0005】
この種の先行技術として、特許文献1に記載の車両用表示装置が知られている。この車両用表示装置は、電球をバックライトとして、表示素子及びカラーフィルタを介して受光性表示素子に描かれた絵柄を表示する際、表示素子に印加する電圧を調整することにより、表示素子の透過率を変化させる。この場合、カラーフィルタはRGBの各色を選択的に透過させるものであり、カラーフィルタには、絵柄が描かれてはいない。
【0006】
また、特許文献2には、第1の光制御要素と、第2の光制御要素と、これらの間に介在するディスプレイ要素とを備え、視野角の制御が可能なディスプレイ装置が示されている。
【0007】
また、特許文献3には、メータ画像が配置された主画像レイヤとは別の補助画像レイヤに配置され、背景が黒い領域で囲まれるウォーニング画像をメータ画像とともに表示するグラフィックメータが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の表示装置では、画面に表示された特定の絵柄のみの明るさを調節することは困難であった。即ち、絵柄毎に濃淡を変えることはできなかった。このため、例えば、絵柄がグラフィックメータの画面に表示されるテルテールである場合、トンネル内を通過する時、周囲が暗くなって輝度を下げる際、バックライトの照明レベルが最小になると、テルテールの輝度が法規で定められた値を下回ることも予想された。このような場合、画面全体を明るくすることでしか、テルテールの輝度を調節することはできなかった。また、特許文献3のように、特定の絵柄の輝度を調節するために当該特定の絵柄の周囲を黒い領域で覆う場合、特定の絵柄を他の絵柄の近傍に配置すると、黒い領域が他の絵柄を塗りつぶしてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源から照射される光の光量を下げて画面全体を暗くしても特定の絵柄を明るくすることができるとともに、当該特定の絵柄に対する配置の自由度を高めることができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 第1の絵柄が透明な領域に囲まれて描画された第1のレイヤと、半透明の画像が描画された第2のレイヤと、第2の絵柄が描画された第3のレイヤと、をデータとして有し、前記第2のレイヤが前記第1のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第3のレイヤが前記第2のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第2の絵柄が表示される領域に前記第1の絵柄が重ねられるように、前記第1の絵柄及び前記第2の絵柄を表示する表示部と、
前記表示部に光を照射する光源と、
を備え、
前記光源の照明レベルを
下げることにより前記第1の絵柄の輝度を変える場合、前記半透明の画像の濃淡が
濃くされることで前記第2の絵柄の輝度が調節されること。
(2) 上記(1)の構成の表示装置であって、前記照明レベルが最大値である場合、前記第1の絵柄と前記第2の絵柄の輝度値が一致
すること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の表示装置であって、前記第1の絵柄は、前記第1のレイヤにおいて移動可能に描画され、前記表示部は、前記第1の絵柄を移動させた後に、前記第1の絵柄が表示されていた領域に他の表示対象を表示すること。
(4) 第1の絵柄が透明な領域に囲まれて描画された第1のレイヤと、半透明の画像が描画された第2のレイヤと、第2の絵柄が描画された第3のレイヤと、をデータとして有し、前記第2のレイヤが前記第1のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第3のレイヤが前記第2のレイヤの背面に仮想的に配置され、前記第2の絵柄が表示される領域に前記第1の絵柄が重ねられるように、前記第1の絵柄及び前記第2の絵柄を表示する表示部と、前記表示部に光を照射する光源と、を備え、
前記光源の照明レベルが低くなるにつれて、前記第1の絵柄の輝度が前記第2の絵柄の輝度より高い状態を維持しながら前記第1の絵柄及び前記第2の絵柄の双方の輝度が下がるように、且つ、前記第1の絵柄の輝度と前記第2の絵柄の輝度との差が大きくなるように、前記光源の照明レベル、及び、前記半透明の画像の濃淡が調節されること。
【0012】
上記(1)
及び(4)の構成の表示装置によれば、半透明の画像によって第1の絵柄の輝度と第2の絵柄の輝度が異なるので、光源から照射される光の光量を下げて画面全体を暗くしても、第1の絵柄だけを明るくすることができる。また、透明な領域に囲まれた第1の絵柄は、第2の絵柄が表示された領域に重ねられるように表示されるので、第1の絵柄及び第2の絵柄を密に配置することができ、配置の自由度が大きくなるとともに、全体の表示領域を狭くできる。また、半透明の画像によって第2の絵柄の輝度に対する第1の絵柄の輝度を変えることができる。従って、照明レベルを下げる場合、画面全体が暗くなっても、第1の絵柄の明るさは決められた値を下回らないようにすることができる。
上記(2)の構成の表示装置によれば、半透明の画像によって第2の絵柄の輝度に対する第1の絵柄の輝度を変えることができる。従って、光源の照明レベルを上げる場合、第1の絵柄の輝度と第2の絵柄の輝度を同じ値に近づけることができ、照明レベルを下げる場合、画面全体が暗くなっても、第1の絵柄の明るさは決められた値を下回らないようにすることができる。
上記(3)
の構成の表示装置によれば、第1の絵柄を移動させる場合、第1の絵柄は透明な領域に囲まれているので、移動の自由度が大きい。また、第1の絵柄の背景が透明であるので、背景が第2の絵柄を邪魔することなく、見栄えを良くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半透明の画像によって第1の絵柄の輝度と第2の絵柄の輝度が異なるので、光源から照射される光の光量を下げて画面全体を暗くしても、第1の絵柄だけを明るくすることができる。また、透明な領域に囲まれた第1の絵柄は、第2の絵柄が表示された領域に重ねられるように表示されるので、第1の絵柄及び第2の絵柄を密に配置することができ、配置の自由度が大きくなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態における表示装置について図面を用いて説明する。本実施形態の表示装置は、車両に搭載され、各種の計器を含むグラフィックメータに適用される。
【0016】
図1は、本実施形態の表示装置100のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、表示装置100は、マイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)101、読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)102、インタフェース103、104、116、CPU電源部105、グラフィックコントローラ106、フレームメモリ107、Xドライバ108、Yドライバ109、LCD(Liquid Crystal Display)電源部110、及び液晶表示器(TFT−LCD:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)111等を備えている。
【0017】
マイクロコンピュータ(CPU)101は、制御部であり、予め用意されたプログラムを実行し、表示装置100の機能を実現するために必要な様々な処理を行う。例えば、後述する
図4のフローチャートに示した処理をマイクロコンピュータ101が行う。
【0018】
読み出し専用メモリ(EEPROM)102は、マイクロコンピュータ101が実行するプログラムの内容や予め用意された固定データ等を保持している。本実施形態では、固定データとして、後述するバックライト115の照明レベルに対応する、グラフィック表示画面120に表示されるオブジェクト(絵柄)の輝度値を表すテーブルが登録されている。
【0019】
インタフェース103は、車両側のイグニッションスイッチの状態を表す信号(IGN+)をマイクロコンピュータ101に入力する。
【0020】
インタフェース104は、マイクロコンピュータ101と車両に搭載されている各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)や各種センサとの間で、CAN(Controller Area Network)規格による通信を行うために利用される。具体的には、走行速度、過給圧力値、燃料量等の車両の各種状態量の現在値を表すデータが、ほぼリアルタイムのデータとして各種制御装置あるいはセンサからインタフェース104を介してマイクロコンピュータ101に入力される。例えば、インタフェース104は、車両が所定量移動する毎に当該車両側に搭載された速度センサから出力される車速パルス信号を受け付け、現在の車両の走行速度の値を表す走行速度情報としてマイクロコンピュータ101に出力する。
【0021】
また、インタフェース104は、過給機により内燃機関へ強制的に送り込まれる圧縮された空気の圧力を検出する圧力センサから出力される過給圧力値(ブースト値)の現在値を表す信号を受け付け、現在の過給圧力値を表す過給圧力情報としてマイクロコンピュータ101に出力する。
【0022】
また、インタフェース104は、燃料センサによって検出された燃料量の情報を受け付け、マイクロコンピュータ101に出力する。
【0023】
また、インタフェース116は、グラフィック表示画面120(
図2参照)の明るさを可変させるボリューム等に接続され、運転者等がボリュームを回すことで、つまり手動で設定された照明レベルを受け付け、マイクロコンピュータ101に出力する。また、周囲の明るさを検知する照度センサ(図示せず)がインタフェース116に接続され、照度センサによって得られた照明レベルが自動でマイクロコンピュータ101に出力されるようにしてもよい。
【0024】
CPU電源部105は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力してマイクロコンピュータ101の動作に必要な直流電圧(Vcc)を生成する。また、必要に応じてリセット信号を生成したり、マイクロコンピュータ101から出力されるスリープ信号に従って電力供給を抑制するための動作も行う。
【0025】
液晶表示器111は、表示部であり、液晶デバイスにより構成された多数の微小表示セルをX方向及びY方向に並べて配置されたカラーの2次元表示画面を有する。液晶表示器111は、多数の微小表示セルの表示状態をセル毎に個別に制御することにより、2次元表示画面上に図形、文字、画像等の所望の情報をグラフィック表示することができる画像表示式の表示器である。
【0026】
また、液晶表示器111の背面には、光を照射するバックライト115(光源)が配置される。
【0027】
図2は液晶表示器111のグラフィック表示画面120を示す図である。グラフィック表示画面120は、表示される領域がそれぞれ異なる、第1の表示領域31、第2の表示領域32、及び第3の表示領域33を有している。
【0028】
第1の表示領域31は、現在の車両の走行速度を示す速度計21が表示される領域である。第1の表示領域31には、速度計21を構成する速度スケール35と指針36とが表示される。指針36は、速度スケール35上の一部を指し示すことで、現在の車両の走行速度を指示する。また、速度計21の外形を表すリング37の内側の下方には、車両に異常がある場合に点灯するテルテール(ウォーニングランプ)51の画像が表示される。
【0029】
第2の表示領域32は、現在の過給圧力値(呈示量)を示すブースト計22が表示される領域である。過給圧力値は予め設定された最大値に対する割合(パーセント)として呈示される。
【0030】
第3の表示領域33は、現在の燃料残量を示す燃料計23が表示される領域である。第3の表示領域33には、燃料スケール41とバー40とが表示される。バー40は、燃料スケール41上の一部を指し示すことで、現在の燃料残量を表す。
【0031】
液晶表示器111の表示画面のY方向の走査位置は、Yドライバ109の出力により順次に切り替わる。Yドライバ109は、グラフィックコントローラ106から出力される垂直同期信号に同期して、Y方向の走査位置を順次に切り替える。
【0032】
Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力される水平同期信号に同期して、液晶表示器111の表示画面のX方向の走査位置を順次に切り替える。また、Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力されるRGB各色の画像データを走査位置の表示セルに与えて画面中の表示内容を制御する。
【0033】
グラフィックコントローラ106は、マイクロコンピュータ101から入力される様々な命令に従って、様々なグラフィック要素を液晶表示器111の画面上に表示する。グラフィックコントローラ106の内部には、フレームメモリ107が設けられている。このフレームメモリ107には、画像が描画された3つのレイヤである、レイヤA、レイヤB及びレイヤCがデータとして用意されている。
【0034】
本実施形態では、レイヤAには、明るさを変化させる第1の絵柄として、メータ機種毎に異なる絵柄、ここではテルテール51(
図2参照)の画像が透明な背景に、つまり透明な領域53に囲まれて描画される。レイヤCには、明るさを変化させない第2の絵柄として、全機種に共通する絵柄、ここでは速度計21、ブースト計22及び燃料計23の画像が描画される。
【0035】
また、レイヤBには、半透明の画像(マスク画像)が描画される。半透明の画像は例えば灰色の画像である。レイヤBの背面に位置するレイヤCを視たとき、該レイヤCに描画された第2の絵柄の輝度は、レイヤBによって減衰され描画される。なお、レイヤBに描画される半透明の画像は、中間調(ハーフトーンと呼ばれることもある。)で表現されてもよいし、誤差拡散法等による2値のドットパターンで表現されてもよい。
【0036】
各レイヤA、B、Cの画素毎の表示内容を保持するフレームメモリ107に対して、マイクロコンピュータ101又はグラフィックコントローラ106が表示データを書き込み、グラフィックの描画を行う。
【0037】
また、グラフィックコントローラ106は、液晶表示器111の画面を2次元走査するための垂直同期信号及び水平同期信号を生成し、これらの同期信号に同期したタイミングでフレームメモリ107内のレイヤA、B、C毎に該当するアドレスに格納されている表示データを用いて描画処理を行い、得られた画像データを液晶表示器111に与える。
【0038】
LCD電源部110は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力して、液晶表示器111の表示に必要とされる所定の直流電力を生成し、液晶表示器111及びバックライト115等に供給する。
【0039】
上記構成を有する表示装置100の表示制御動作を示す。本実施形態の表示装置100はグラフィック表示画面120を生成する。
図3はグラフィック表示画面120を生成する際のレイヤのデータ構造を模式的に説明する図である。前述したように、レイヤAのデータには、グラフィック表示画面120に表示される第1の絵柄として、透明な領域53に囲まれたテルテール51の画像が含まれる。また、レイヤCのデータには、グラフィック表示画面120に表示される第2の絵柄として描画された、速度計21、ブースト計22及び燃料計23の画像が含まれる。
【0040】
また、レイヤBのデータは、レイヤCに描画された第2の絵柄の輝度を変更するための、半透明(例えば灰色)の画像65で構成される。即ち、グラフィックコントローラ106は、レイヤBに描画された半透明の画像65の不透明度が濃くなる程、レイヤCに描画された第2の絵柄の輝度が下がるような描画処理を行う。本実施形態では、レイヤBの全領域に、バックライト115の照明レベルを増加させても、速度計21、ブースト計22及び燃料計23の画像の輝度値が変わらないように、バックライト115の照明レベルの増加分に見合う分だけレイヤBの不透明度が濃く設定された灰色の画像が描画される。
【0041】
これらのレイヤA、レイヤB及びレイヤCを表示装置100に表示する際、レイヤA、レイヤB及びレイヤCは、この順に仮想的に配置された状態で重畳して表示される。このため、レイヤCは、レイヤBによって全面が覆われた状態で表示される。
【0042】
図4は表示制御手順を示すフローチャートである。この制御プログラムは、読み出し専用メモリ102に記憶されており、マイクロコンピュータ(CPU)101によって実行される。
【0043】
CPU101は、インタフェース116を介して、グラフィック表示画面120の明るさを変更するために設定された照明レベルを入力する(ステップS1)。本実施形態では、グラフィック表示画面120の照明レベルは、最小値0〜最大値15までの範囲で段階的に設定される。
【0044】
CPU101は、EEPROM102に保持されているテーブルを参照し、バックライト115の照明レベルに対応するグラフィック表示画面120の輝度値を決定する(ステップS2)。
【0045】
図5(A)及び
図5(B)はバックライト115の照明レベルに対応するグラフィック表示画面120に描画された絵柄の輝度値を示すグラフである。
図5(A)に示すグラフは、EEPROM102に保持されているテーブルの内容を表す。輝度値は、照明レベルが最大値15である場合の輝度値を100%とする相対値で表されている。
【0046】
図5(A)に示すように、テルテール51の画像の輝度値81は、その他の画像の輝度値82と比べ、照明レベルが下がっても、あまり下がらないように設定されている。(ここでは、その下限値が40%に設定されている。)。言い換えれば、その他の画像の輝度値82は、その他の画像から出射される光がレイヤBによって減衰されることを表現するため、テルテール51の画像の輝度値81よりも下がり易く設定されている。従って、照明レベルが下がるほど、両者の差は広がっている。一方、従来では、
図5(B)に示すように、照明レベルを変えた場合、テルテールの画像の輝度値とその他の画像の輝度値は同じように変化する。
【0047】
CPU101は、ステップS2で決定された、照明レベルに対応する輝度値になるように、レイヤBに描画される灰色の画像の濃淡を変更する(ステップS3)。即ち、CPU101は、テルテール51が輝度値81となり、その他の画像が輝度値82となるような、濃淡を持つ灰色の画像をレイヤBの全領域に描画する。これにより、照明レベルを増やして、レイヤAに描画されたテルテール51の画像の輝度を上げる際、レイヤBに描画された灰色の画像によってその他の画像の輝度値82が下げられる。この後、CPU101はステップS1の処理に戻る。
【0048】
このグラフィックメータ100では、例えば車両がトンネル内に入り、急に周囲が暗い環境になると、グラフィック表示画面120は明るくなり過ぎるので、バックライト115の照明レベルが自動もしくは手動で下げられる。
【0049】
従来では、グラフィック表示画面120が眩しくならない程度に、グラフィック表示画面全体の輝度が下がっていた。本実施形態では、テルテール51の輝度は、多少下がるものの、その他の画像の輝度と比べて高くなっている。
【0050】
また、仮に照明レベルが最小値に設定されても、テルテール51の輝度は、法規で定められた下限値を下回らない。この場合、その他のメータ画像(速度計21、ブースト計22、燃料計23)と比べて、テルテール51の画像の輝度は高いので、運転者はテルテール51の画像だけは依然として視認可能である。
【0051】
一方、例えば車両がトンネルを抜け、周囲が明るい環境になると、グラフィック表示画面全体の輝度が下がったままだと見づらくなるので、バックライト115の照明レベルが上げられる。テルテール51の画像及びその他のメータ画像(速度計21、ブースト計22、燃料計23)の輝度はともに上昇し、運転者にとって見易くなる。特に、直射日光が当たる場合、バックライト115の照明レベルは最大値まで上げられる。この場合、テルテール51の画像及びその他のメータ画像(速度計21、ブースト計22、燃料計23)は同じ輝度値で表示される。従って、運転者は、テルテール51の画像をその他のメータ画像と同じ明るさで視認することができる。
【0052】
図6は別のグラフィック表示画面320を示す図である。このグラフィック表示画面320では、テルテール351の画像として、ハイビーム作動等の警告を表す画像が表示されている。また、指針の周囲にスポットライトの像が形成されている。このスポットライトの像は、指針の移動に応じて移動するようになっており、スポットライトの中心が指針に重なるようになっている。
【0053】
図6(A)に示すように、グラフィック表示画面320では、テルテール351の周囲が透明な領域で囲まれている。この場合、指針が低速を表すことに応じてスポットライトの像が画面の下方に移動したとしても、テルテール351の透明な領域がスポットライトの像に重なるだけであり、スポットライトの像に欠けが生じることがない。つまり、テルテール351が、透明な領域に囲まれているので、メータ画像である速度計321が表示された領域(リングの内側の領域)に重ねられるように表示される。そして、背景が透明であるので、テルテール351の画像と、速度計321(特に目盛りを含む速度スケール)の画像とが直接に重ならない限り、テルテール351の画像を速度計321の内側で自由に配置できる。
【0054】
一方、比較例として
図6(B)に示すグラフィック表示画面220では、テルテール251の周囲が黒い領域で囲まれている。この場合、指針が低速を表すことに応じてスポットライトの像が画面の下方に移動すると、テルテール251の黒い領域がスポットライトの像に重なってしまう。このため、スポットライトの一部が欠けて表示されることになり、見栄えが悪くなる。
【0055】
従って、本実施形態では、テルテール51の画像及び速度計21であるメータ画像を密に配置することができ、配置の自由度が大きくなるとともに、全体の表示領域を狭くできる。また、背景が邪魔にならないことで、速度計21の見栄えを良くすることができる。即ち、背景が不透明な領域で囲まれるテルテールの画像を速度計の内側に表示した場合、背景が、値0や最大値180付近の速度を指し示す指針の画像と重なると、像の欠けが生じてしまうことが考えられた。この結果、見栄えが悪くなる。
【0056】
図7はテルテール51の画像を移動させた場合のグラフィック表示画面120を示す図である。グラフィック表示画面120において、警告表示、駐車支援システムの表示、運転支援システムの表示等、他の表示対象の表示が行われる場合、速度計21のリング37の内側に表示されていたテルテール51の画像を移動させる。
【0057】
ここでは、テルテール51の画像を速度計21の中心側にずらし、空いたスペースに警報メッセージ55が表示される。この警報メッセージ55は、「車間距離に注意しましょう」といった運転支援システムの表示であり、レイヤCに描画される。
【0058】
このように、テルテール51の画像は透明な領域に囲まれているので、テルテール51の画像が速度計21を構成する速度スケール35やリング37と直接に重ならない限り、任意の位置に移動可能であり、移動の自由度が大きい。また、テルテール51の画像の背景が透明であるので、例えば背景が指針36の画像と重なっても像の欠けが生じることなく、つまり速度計21の表示を邪魔することなく、テルテール51の画像を配置することができ、見栄えを良くすることができる。即ち、背景が不透明な領域で囲まれるテルテールの画像を速度計の内側で移動させようとすると、背景が指針、目盛り、リング等の画像と重なって像の欠けが生じ易く、移動が大きく制限された。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、グラフィック表示画面のテルテールの画像の輝度を上げる場合、その他の画像の輝度が変わらない場合を示したが、その他の画像の輝度をテルテールの画像の輝度とは異なるように変化させてもよい。これにより、表示形態に更なる変化を持たせることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、車両に搭載されたグラフィックメータに適用されたが、各種の機器に搭載された表示装置にも、本発明は適用可能である。
また、本発明は、液晶表示器に限らず、バックライトからの光を受けて画面に描画された画像を表示する表示装置一般に適用可能である。
【0062】
本発明は、描画された絵柄を表示する際、絵柄毎の濃淡を可変とすることでより複雑な表示形態を実現でき、有用である。
【0063】
ここで、上述した本発明に係る表示装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] テルテール(51)が透明な領域(53)に囲まれて描画されたレイヤ(A)と、半透明の画像(65)が描画されたレイヤ(B)と、速度計(21)が描画されたレイヤ(C)と、をデータとして有し、前記レイヤ(B)が前記レイヤ(A)の背面に仮想的に配置され、前記レイヤ(C)が前記レイヤ(B)の背面に仮想的に配置され、前記速度計(21)が表示される領域に前記テルテール(51)が重ねられるように、前記テルテール(51)及び前記速度計(2)を表示する液晶表示器(111)と、
前記液晶表示器(111)に光を照射するバックライト(115)と、
を備える表示装置。
[2] 前記バックライト(115)の照明レベルを変更することにより前記テルテール(51)の輝度を変える場合、前記半透明の画像(65)の濃淡が変更されることで前記速度計(21)の輝度が調節され、
前記照明レベルが最大値である場合、前記テルテール(51)と前記速度計(21)の輝度値が一致し、前記照明レベルを下げる場合、前記半透明の画像(65)の濃淡を濃くする、
[1]に記載の表示装置。
[3] 前記テルテール(51)は、前記レイヤ(A)において移動可能に描画され、
前記液晶表示器(111)は、前記テルテール(51)を移動させた後に、前記テルテール(51)が表示されていた領域に警報メッセージ(55)を表示する、
[1]または[2]に記載の表示装置。
【0064】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0065】
本出願は、2013年6月3日出願の日本特許出願(特願2013−117165)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。