(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が3質量%以上60質量%以下である、請求項1又は2記載の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物。
形態が水を含有する液体であり、(A)の含有量が、組成物中、1質量%以上32質量%以下であり、(A)と(C)の合計の含有量が、組成物中、4質量%以上50質量%以下である、請求項5記載の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物。
請求項1〜7の何れか1項記載の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である、遠心成型用水硬性組成物。
水硬性粉体100質量部に対して、(A)と(B)とを合計で、0.1質量部以上10質量部以下含有する、請求項8〜10の何れか1項記載の遠心成型用水硬性組成物。
(B)として、化合物(B1)、化合物(B2)及び化合物(B3)から選ばれる1種以上の化合物を含有する、請求項12記載の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物。
形態が水を含有する液体であり、(A)の含有量が、組成物中、1質量%以上32質量%以下であり、(A)と(C)の合計の含有量が、組成物中、4質量%以上50質量%以下である、請求項15記載の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物。
請求項12〜17の何れか1項記載の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)と(B)の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である、蒸気養生用水硬性組成物。
工程1で、前記遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物を、(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下となるように混合する、請求項21又は22記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1で、(A)と(B)を、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が3質量%以上60質量%以下、且つ(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下となるように混合する、請求項25又は26記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1で、(A)と(B)を、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が3質量%以上60質量%以下、且つ(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下となるように混合する、
請求項29又は30記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1で、(A)と(C)を、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、0/100超そして50/50以下となるように混合する、請求項29〜31の何れか1項記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1で、(A)と(C)を、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、0/100超そして50/50以下となるように混合する、請求項34記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
前記組成物の形態が水を含有する液体であり、(A)の含有量が、前記組成物中、1質量%以上32質量%以下であり、(A)と(C)の合計の含有量が、前記組成物中、4質量%以上50質量%以下である、請求項40記載の使用。
前記組成物の形態が水を含有する液体であり、(A)の含有量が、前記組成物中、1質量%以上32質量%以下であり、(A)と(C)の合計の含有量が、前記組成物中、4質量%以上50質量%以下である、請求項45記載の使用。
請求項1〜7の何れか1項記載の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物の、遠心成型用水硬性組成物としての使用。
請求項12〜17の何れか1項記載の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)と(B)の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物の、蒸気養生用水硬性組成物としての使用。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔水硬性組成物用分散剤組成物〕
以下、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物と本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を、まとめて、水硬性組成物用分散剤組成物として説明する。以下の記述において、水硬性組成物用分散剤組成物は、特記しない限り、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物及び本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物の両方又は一方を指す。
本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物に関する事項は、本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物について適用することができる。
本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物に関する事項は、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物について適用することができる。
【0031】
本発明の効果発現機構の詳細は不明であるが、以下のように推定される。
本発明の(A)成分である、ナフタレン系分散剤のような、芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤は静電反発力を有しており、強い立体反発を有する分散剤よりも、非常に優れた遠心成型性を有している。
本発明では、(A)成分と(B)成分の特定の化合物を併用することにより、吸着速度の制御(効率的なセメント吸着)が可能であり、これにより高減水化(低添加量化)及び低遅延化を達成している。この低添加量化及び低遅延化により、セメントの水和活性点が増加することで、強度向上効果を付与することが可能になると推測される。
水/水硬性粉体比が低い領域ではイオン強度が高くなるため、一般に、(A)成分の水硬性粉体の分散能は発現しにくい傾向にあったが、本発明では、上述したような高減水化及び低遅延化のアプローチにより、飛躍的に性能向上が可能になったと考えられる。
【0032】
<(A)成分>
(A)成分は、芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤である。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環が挙げられる。
(A)成分は、芳香環を含むモノマー単位を有する高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤が好ましい。
芳香環を含むモノマー単位としては、ベンゼン環を含むモノマー単位、ナフタレン環を含むモノマー単位、及びトリアジン環を含むモノマー単位から選ばれる1種以上のモノマー単位が挙げられる。
【0033】
(A)成分は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、ナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤が好ましい。
(A)成分としては、より好ましくは、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩が挙げられる。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物又はその塩である。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、性能を損なわない限り、単量体として、例えばメチルナフタレン、エチルナフタレン、ブチルナフタレン、ヒドロキシナフタレン、ナフタレンカルボン酸、アントラセン、フェノール、クレゾール、クレオソート油、タール、メラミン、尿素、スルファニル酸及び/又はこれらの誘導体などのような、ナフタレンスルホン酸と共縮合可能な芳香族化合物と共縮合させても良い。
【0034】
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、例えば、マイテイ150、デモール N、デモール RN、デモール MS、デモールSN−B、デモール SS−L(いずれも花王株式会社製)、セルフロー 120、ラベリン FD−40、ラベリン FM−45(いずれも第一工業株式会社製)などのような市販品を用いることができる。
【0035】
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは80,000以下、より更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは30,000以下である。そして、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000以上、より更に好ましくは5,000以上である。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は酸の状態あるいは中和物であってもよい。
【0036】
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の分子量は下記条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。
[GPC条件]
カラム:G4000SWXL+G2000SWXL(東ソー株式会社)
溶離液:30mM CH
3COONa/CH
3CN=6/4
流量:0.7ml/min
検出:UV280nm
サンプルサイズ:0.2mg/ml
標準物質:西尾工業(株)製 ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算(単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:分子量、206、1,800、4,000、8,000、18,000、35,000、88,000、780,000)
検出器:東ソー株式会社 UV−8020
【0037】
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の製造方法は、例えば、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとを縮合反応により縮合物を得る方法が挙げられる。前記縮合物の中和を行ってもよい。また、中和で副生する水不溶解物を除去してもよい。具体的には、ナフタレンスルホン酸を得るために、ナフタレン1モルに対して、硫酸1.2〜1.4モルを用い、150〜165℃で2〜5時間反応させてスルホン化物を得る。次いで、該スルホン化物1モルに対して、ホルムアルデヒドとして0.95〜0.99モルとなるようにホルマリンを85〜95℃で、3〜6時間かけて滴下し、滴下後95〜105℃で縮合反応を行う。更に、得られる縮合物の水溶液は酸性度が高いので貯槽等の金属腐食を抑制する観点から、得られた縮合物に、水と中和剤を加え、80〜95℃で中和工程を行うことができる。中和剤は、ナフタレンスルホン酸と未反応硫酸に対してそれぞれ1.0〜1.1モル倍添加することが好ましい。また、中和により生じる水不溶解物を除去することができ、その方法として好ましくは濾過による分離が挙げられる。これらの工程によって、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩の水溶液が得られる。この水溶液は、そのまま(A)成分の水溶液として使用することができる。更に必要に応じて該水溶液を乾燥、粉末化して粉末状のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩を得ることができ、これを粉末状の(A)成分として使用することができる。
乾燥、粉末化は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、凍結乾燥等により行うことができる。
【0038】
(A)成分としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩以外に、フェノール系分散剤、リグニン系分散剤、メラミン系分散剤、スチレンスルホン酸系分散剤が挙げられる。
【0039】
<(B)成分>
<化合物(B1)>
化合物(B1)は、前記一般式(B1)で表される化合物である。
一般式(B1)中のR
11は、炭素数4以上27以下の炭化水素基である。この炭化水素基は、置換基を含む炭化水素基を含む。
本明細書において、置換基は、最も基本的な有機化合物の水素原子の代わりに導入された原子又は原子団のことである(化学辞典、第一版、第七刷、(株)東京化学同人、2003年4月1日)。
置換基を含む炭化水素は、炭化水素の誘導体であってよい。誘導体とは、ある炭化水素を母体として考えたとき、官能基の導入、酸化、還元、原子の置き換えなど、母体の構造や性質を大幅に変えない程度の改変がなされた化合物のことである。
【0040】
R
11の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基(以下、置換アリール基という)から選ばれる基が挙げられる。R
11の炭化水素基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、アルキル基、アルケニル基及び置換アリール基から選ばれる基が好ましく、アルケニル基及び置換アリール基から選ばれる基がより好ましい。
R
11のアルキル基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である。
R
11のアルケニル基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である。
R
11の置換アリール基は、芳香環の水素原子が置換基で置換されたアリール基であり、芳香環の水素原子が炭化水素基で置換されたアリール基が挙げられる。置換基を含めた置換アリール基の炭素数が4以上27以下である。置換アリール基として、芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが、炭化水素基などの置換基で、置換されたアリール基が挙げられる。置換アリール基のアリール基はフェニル基が好ましい。置換アリール基として、炭素数13以上27以下の置換アリール基が挙げられる。置換アリール基の置換基は、炭素数1以上10以下の炭化水素基が挙げられる。
置換アリール基としては、炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。置換アリール基は、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。
置換アリール基は、好ましくはモノベンジルフェニル基、ジベンジルフェニル基、トリベンジルフェニル基、モノスチレン化フェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基であり、より好ましくはトリベンジルフェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である。
【0041】
R
11は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と経済的な観点から、好ましくはアルキル基である。
R
11は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と水への溶解し易さの観点から、好ましくはアルケニル基である。
R
11は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の泡立ちを抑える観点とから、好ましくは置換アリール基である。
【0042】
R
11の炭素数は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
【0043】
R
11の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下の炭化水素基、及び該炭化水素基の水素原子が置換基で置換された炭化水素基から選ばれる基が挙げられる。
R
11の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルキル基又はアルケニル基、及び該アルキル基又は該アルケニル基の水素原子が置換基で置換された基から選ばれる基が挙げられる。
R
11の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルキル基、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基、及び、好ましくは炭素数8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルケニル基、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基から選ばれる基が挙げられる。
また、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の泡立ちを抑える観点からR
11は、置換アリール基が好ましく、ジスチレン化フェニル基がより好ましい。
【0044】
R
11の炭化水素基としては、前記の通り、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基(以下、置換アリール基という)から選ばれる基が挙げられる。R
11の炭化水素基は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、アルキル基、アルケニル基及び置換アリール基から選ばれる基が好ましく、アルケニル基及び置換アリール基から選ばれる基がより好ましい。
R
11のアルケニル基は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である。
R
11の置換アリール基は、芳香環の水素原子が置換基で置換されたアリール基であり、芳香環の水素原子が炭化水素基で置換されたアリール基が挙げられる。置換基を含めた置換アリール基の炭素数が4以上27以下である。置換アリール基として、芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが、炭化水素基などの置換基で、置換されたアリール基が挙げられる。置換アリール基のアリール基はフェニル基が好ましい。置換アリール基として、炭素数13以上27以下の置換アリール基が挙げられる。置換アリール基の置換基は、炭素数1以上10以下の炭化水素基が挙げられる。
置換アリール基としては、炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。置換アリール基は、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。
置換アリール基は、好ましくはモノベンジルフェニル基、ジベンジルフェニル基、トリベンジルフェニル基、モノスチレン化フェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基であり、より好ましくはトリベンジルフェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である。
【0045】
R
11は、蒸気養生後の硬化体の硬化体の強度発現の観点と水への溶解し易さの観点から、好ましくはアルケニル基である。
R
11は、蒸気養生後の硬化体の硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の泡立ちを抑える観点から、好ましくは置換アリール基である。
【0046】
R
11の炭素数は、蒸気養生後の硬化体の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
【0047】
R
11の具体例を挙げると、蒸気養生後の硬化体の硬化体の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルキル基又はアルケニル基、及び該アルキル基又は該アルケニル基の水素原子が置換基で置換された基から選ばれる基が挙げられる。
R
11の他の具体例を挙げると、蒸気養生後の硬化体の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルキル基、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基、及び、好ましくは炭素数8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルケニル基、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基から選ばれる基が挙げられる。
また、蒸気養生後の硬化体の強度発現と水硬性組成物の泡立ちを抑える観点からR
11は、置換アリール基が好ましく、トリベンジルフェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基がより好ましい。
【0048】
更に具体的には、R
11としては、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基、トリベンジルフェニル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基が挙げられ、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基、トリベンジルフェニル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、トリベンジルフェニル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基が挙げられ、より更に好ましくは、オレイル基、ステアリル基、ジスチレン化フェニル基及びトリベンジルフェニル基から選ばれる基が挙げられる。これらの基は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましい。また、これらの基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましい。
【0049】
一般式(B1)中、AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含むことが好ましい。
一般式(B1)中、n
1は、AOの平均付加モル数であり、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点とセメント分散性の観点から1以上200以下の数である。n
1は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして(A)成分との相互作用しやすさ及び経済的な観点と遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは60以下、より好ましくは40以下の数である。
【0050】
n
1は、R
11が置換アリール基である場合、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、25以上が更に好ましく、65以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、35以下がより更に好ましい。
n
1は、R
11がアルケニル基である場合、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、5以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上が更に好ましく、65以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、35以下がより更に好ましく、25以下がより更に好ましく、20以下がより更に好ましく、12以下がより更に好ましい。
n
1は、R
11がアルキル基である場合、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、55以下が好ましく、30以下がより好ましい。
【0051】
一般式(B1)中、Mは対イオンであり、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン(1/2イオン)、及びアンモニウムイオンから選ばれるイオンが挙げられる。
Mは、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と化合物の製造し易さの観点から、好ましくは、アンモニウムイオンである。
Mは、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と化合物の臭気の観点から、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオン及びカリウムイオンから選ばれるアルカリ金属イオンである。
【0052】
化合物(B1)としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル化物等のポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル化物又はその塩や、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル化物などのポリオキシエチレン置換アリールエーテル硫酸エステル化物又はその塩を挙げることが出来る。
【0053】
<化合物(B2)>
化合物(B2)は、前記一般式(B2)で表される化合物である。
一般式(B2)中のR
21は、炭素数4以上27以下の炭化水素基である。この炭化水素基は、置換基を含む炭化水素基を含む。置換基は化合物(B1)で述べた通りである。
【0054】
R
21の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基(以下、置換アリール基という)から選ばれる基が挙げられる。R
21の炭化水素基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基が好ましい。
R
21のアルキル基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である。
R
21のアルケニル基は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である。
R
21の置換アリール基は、芳香環の水素原子が置換基で置換されたアリール基であり、芳香環の水素原子が炭化水素基で置換されたアリール基が挙げられる。置換基を含めた置換アリール基の炭素数が4以上27以下である。置換アリール基として、芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが、炭化水素基などの置換基で、置換されたアリール基が挙げられる。置換アリール基のアリール基はフェニル基が好ましい。置換アリール基として、炭素数13以上27以下の置換アリール基が挙げられる。置換アリール基の置換基は、炭素数1以上10以下の炭化水素基が挙げられる。
置換アリール基としては、炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。置換アリール基は、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。
置換アリール基は、好ましくはモノベンジルフェニル基、ジベンジルフェニル基、トリベンジルフェニル基、モノスチレン化フェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基であり、より好ましくはトリベンジルフェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である。
【0055】
R
21は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と経済的な観点から、好ましくはアルキル基である。
R
21は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と水への溶解し易さの観点から、好ましくはアルケニル基である。
【0056】
R
21の炭素数は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と分散性向上の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
【0057】
R
21の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下の炭化水素基、及び該炭化水素基の水素原子が置換基で置換された炭化水素基から選ばれる基が挙げられる。
R
21の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルキル基又はアルケニル基、及び該アルキル基又は該アルケニル基の水素原子が置換基で置換された基、並びに炭化水素基で置換されたフェニル基から選ばれる基が挙げられる。
R
21の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルキル基、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基、及び、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルケニル基、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基から選ばれる基が挙げられる。また、R
21の他の具体例として、炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、スチレン化したフェニル基が挙げられる。
【0058】
更に具体的には、R
21としては、例えば、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられ、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられる。
【0059】
R
21の炭化水素基としては、前記の通り、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基(以下、置換アリール基という)が挙げられる。R
21の炭化水素基は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、置換アリール基及びアルケニル基から選ばれる基が好ましい。
R
21の置換アリール基は、炭化水素基で置換されたアリール基であり、炭素数13以上27以下の置換アリール基が挙げられる。
R
11の置換アリール基は、芳香環の水素原子が置換基で置換されたアリール基であり、芳香環の水素原子が炭化水素基で置換されたアリール基が挙げられる。置換基を含めた置換アリール基の炭素数が4以上27以下である。置換アリール基として、芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが、炭化水素基などの置換基で、置換されたアリール基が挙げられる。置換アリール基のアリール基はフェニル基が好ましい。置換アリール基として、炭素数13以上27以下の置換アリール基が挙げられる。置換アリール基の置換基は、炭素数1以上10以下の炭化水素基が挙げられる。
置換アリール基としては、炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。置換アリール基は、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基が挙げられる。
置換アリール基は、好ましくはモノベンジルフェニル基、ジベンジルフェニル基、トリベンジルフェニル基、モノスチレン化フェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基であり、より好ましくはトリベンジルフェニル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である。
【0060】
R
21は、蒸気養生後の強度発現の観点と水硬性組成物の泡立ちを抑える観点から、好ましくは置換アリール基である。
R
21は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点と水への溶解し易さの観点から、好ましくはアルケニル基である。
【0061】
R
21の置換アリール基は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくはジスチレン化フェニル基である。
R
21のアルケニル基は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である。
【0062】
R
21の炭素数は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点と分散性向上の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
【0063】
R
21の具体例を挙げると、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点と分散性向上の観点から、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは22以下の炭化水素基、及び該炭化水素基の水素原子が置換基で置換された炭化水素基から選ばれる基が挙げられる。
R
21の他の具体例を挙げると、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは22以下の又はアルケニル基、及び該アルケニル基の水素原子が置換基で置換された基、並びに置換アリール基、好ましくは炭化水素基で置換されたフェニル基から選ばれる基が挙げられる。
R
21の他の具体例を挙げると、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、炭素数が好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下のアルケニル基、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基から選ばれる基が挙げられる。また、置換アリール基として、ジスチレン化フェニル基が好ましい。
【0064】
更に具体的には、R
21としては、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基が挙げられ、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基が挙げられる。
【0065】
一般式(B2)中、Xは、O又はCOOであり、好ましくはOである。
一般式(B2)中、AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含むことが好ましい。
一般式(B2)中、n
2は、AOの平均付加モル数であり、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点とセメント分散性の観点から1以上200以下の数である。n
2は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして(A)成分との相互作用しやすさ及び経済的な観点と遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは60以下、より好ましくは40以下の数である。
【0066】
n
2は、R
21が置換アリール基である場合、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、10以上が好ましく、25以下が好ましく、15以下がより好ましい。
n
2は、R
21がアルキル基である場合、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、1以上が好ましく、5以下が好ましい。
n
2は、R
21がアルケニル基である場合、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、5以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、65以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、35以下がより更に好ましく、25以下がより更に好ましく、15以下がより更に好ましい。
【0067】
一般式(B2)中、R
22は、水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基であり、水素原子が好ましい。
【0068】
化合物(B2)としては、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルケニルエーテルが挙げられる。また、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステルが挙げられる。また、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシエチレン置換アリールエーテルが挙げられる。
【0069】
<化合物(B3)>
化合物(B3)は、前記一般式(B3)で表される化合物である。
一般式(B3)中のR
31は、炭素数4以上27以下の炭化水素基である。この炭化水素基は、置換基を含む炭化水素基を含む。置換基は、化合物(B1)で述べた通りである。
【0070】
R
31の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基(以下、置換アリール基という)から選ばれる基が挙げられる。置換アリール基は、芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが置換されたアリール基が挙げられる。R
31の炭化水素基は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基が好ましい。
R
31のアルキル基は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基アルキル基である。
R
31のアルケニル基は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である。
R
31は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と経済的な観点から、好ましくはアルキル基である。
R
31は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水への溶解し易さの観点から、好ましくはアルケニル基である。
【0071】
R
31の炭素数は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下から選択できる。
【0072】
R
31の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下の炭化水素基、及び該炭化水素基の水素原子が置換基で置換された炭化水素基から選ばれる基が挙げられる。
R
31の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下のアルキル基又はアルケニル基、及び該アルキル基又は該アルケニル基の水素原子が置換基で置換された基から選ばれる基が挙げられる。
R
31の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下のアルキル基、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基、及び、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下のアルケニル基、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基から選ばれる基が挙げられる。
【0073】
更に具体的には、R
31としては、例えば、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられ、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられる。
【0074】
一般式(B3)中、AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含むことが好ましい。
【0075】
一般式(B3)中、n
3及びn
4は、同一又は異なって、それぞれ、AOの平均付加モル数であり、0以上の数である。遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点とセメント分散性の観点から、n
3及びn
4の合計は、1以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、経済的な観点から、200以下、好ましくは60以下、より好ましくは40以下の数である。
【0076】
一般式(B3)中、R
32及びR
33は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。R
32及びR
33は、それぞれ、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは水素原子である。
【0077】
化合物(B3)としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミンが挙げられる。
【0078】
<化合物(B4)>
化合物(B4)は、前記一般式(B4)で表される化合物である。
一般式(B4)中のR
41は、炭素数4以上27以下の炭化水素基である。この炭化水素基は、置換基を含む炭化水素基を含む。置換基は、化合物(B1)で述べた通りである。
【0079】
R
41の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基(以下、置換アリール基という)から選ばれる基が挙げられる。置換アリール基は、芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが置換されたアリール基が挙げられる。R
41の炭化水素基は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基が好ましい。
R
41のアルキル基は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である。
R
41のアルケニル基は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である。
R
41は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と経済的な観点から、好ましくはアルキル基である。
R
41は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水への溶解し易さの観点から、好ましくはアルケニル基である。
【0080】
R
41の炭素数は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下から選択できる。
【0081】
R
41の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下の炭化水素基、及び該炭化水素基の水素原子が置換基で置換された炭化水素基から選ばれる基が挙げられる。
R
41の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下のアルキル基又はアルケニル基、及び該アルキル基又は該アルケニル基の水素原子が置換基で置換された基から選ばれる基が挙げられる。
R
41の他の具体例を挙げると、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下のアルキル基、好ましくは脂肪族アルキル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルキル基、及び、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは27以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下のアルケニル基、好ましくは脂肪族アルケニル基、より好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基から選ばれる基が挙げられる。
【0082】
更に具体的には、R
41としては、例えば、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられ、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と流動性向上の観点から、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられ、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基が挙げられる。
【0083】
一般式(B4)中、AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含むことが好ましい。
【0084】
一般式(B4)中、Y
1、Y
2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子又はSO
3Mであり、Y
1、Y
2の少なくとも一方はSO
3Mである。Mは対イオンであり、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン(1/2イオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられる。Mは、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と化合物の製造し易さの観点から、好ましくは、アンモニウムイオンである。Mは、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と化合物の臭気の観点から、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオン及びカリウムイオンから選ばれるアルカリ金属イオンである。
【0085】
一般式(B4)中、n
5及びn
6は、同一又は異なって、それぞれ、AOの平均付加モル数であり、0以上の数である。n
5が0の場合は、Y
1は水素原子であり、n
6が0の場合は、Y
2は水素原子である。遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点とセメント分散性の観点から、n
5及びn
6の合計は、1以上、好ましくは20以上、より好ましくは50以上、そして、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と経済的な観点から、200以下、好ましくは150以下、より好ましくは100以下の数である。n
5及びn
6は同時に0にはならない。従って化合物(B4)は、(AO)
n5−SO
3M及び(AO)
n6−SO
3Mの少なくとも1つを有する。
【0086】
化合物(B4)としては、牛脂アミンエチレンオキシド付加物硫酸エステル化物等の脂肪族アミンアルキレン付加物の硫酸エステル化物が挙げられる。
【0087】
(B)成分は、化合物(B1)、化合物(B2)、化合物(B3)、及び化合物(B4)に属する化合物の1種以上であってもよい。
(B)成分は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、化合物(B1)、化合物(B2)及び化合物(B3)から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(B)成分は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、化合物(B1)から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、(B)成分として、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、化合物(B1)、化合物(B2)及び化合物(B3)から選ばれる1種以上の化合物、更に、化合物(B1)から選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましい。
【0088】
<水硬性組成物用分散剤組成物の組成等>
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、遠心成型性と遠心成形後及び蒸気養生後の強度発現の観点から、(A)成分を、固形分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、更に好ましくは95質量%以下含有する。
なお、水硬性組成物用分散剤組成物について、固形分とは、水以外の成分をいう。
【0089】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、(B)成分を、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、固形分中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下含有する。
【0090】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点並びに蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合が、好ましくは1質量%以上60質量%以下である。この割合は、[(B)成分の含有量/〔(A)成分の含有量+(B)成分の含有量〕]×100(質量%)により求められる。以下、この割合を、(B)/〔(A)+(B)〕とも表す。(B)/〔(A)+(B)〕は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現並びに蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点の観点から、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%、そして、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物では、(B)/〔(A)+(B)〕は、1質量%以上60質量%以下である。(B)/〔(A)+(B)〕合は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を製造する際の(A)成分の混合量と(B)成分の混合量とに基づいて算出されてもよい。
【0091】
(B)/〔(A)+(B)〕は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、R
11が炭素数16以上20以下の炭化水素基である場合、好ましくは7質量%以上、より好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは55質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下である。
また、(B)/〔(A)+(B)〕は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、R
11が炭素数6以上10以下の炭化水素基である場合、好ましくは7質量%以上15質量%以下である。
【0092】
(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物である場合、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点並びに蒸気養生後の強度発現の観点から、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは、0.2%以上50%以下である。同様の観点で、前記モル割合は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.8%以上、更に好ましくは1.5%以上、より更に好ましくは5%以上、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、より更に好ましくは15%以下、より更に好ましくは10%以下、より更に好ましくは8%以下である。
【0093】
前記モル割合は、R
11がアラルキルである場合、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上、そして、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは5%以下、より更に好ましくは4.5%以下、より更に好ましくは3%以下である。
前記モル割合は、R
11がアルケニルである場合、好ましくは1.5%以上、より好ましくは3%以上、更に好ましくは4%以上、より更に好ましくは6.5%以上、そして、好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下である。
前記モル割合は、R
11が炭素数16以上18以下のアルキル基である場合、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、更に好ましくは2%以上、より更に好ましくは3.5%以上、より更に好ましくは5%以上、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは25%以下、より更に好ましくは15%以下、より更に好ましくは10%以下である。
前記モル割合は、R
11が炭素数6以上10以下のアルキル基である場合、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1.5%以上、そして、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは3%以下である。
【0094】
また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、コンクリート練上り性向上の観点から、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは、16.1%以上50%以下であり、より好ましくは30.1%以上である。
【0095】
なお、前記の(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合は、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位の総量と(B)成分の総量に基づいて算出される。具体的には、以下の式により算出される。
モル割合(%)=[〔(B)成分の総量(モル)〕/〔(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位の総量(モル)〕]×100
【0096】
(A)成分が、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の場合、ナフタレン環を含むモノマー単位は、ナフタレンスルホン酸又はその塩とホルムアルデヒドとが脱水縮合反応して形成されたモノマー単位である。(A)成分がナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩の場合、当該化合物中のナフタレン環を含むモノマー単位の総量(モル)は、以下の式により算出される。式中、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩をNSFと表記する。
NSF中のナフタレン環を含むモノマー単位の総量(モル)=〔NSF中のナフタレン環を含むモノマー単位の質量の総量〕/〔NSF中のナフタレン環を含むモノマー単位の分子量〕
【0097】
(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位の質量の総量は、(A)成分がナフタレンスルホン酸又はその塩とホルムアルデヒドとの縮合物の場合、当該化合物の全質量である。
また、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位の質量の総量は、(A)成分がナフタレンスルホン酸又はその塩と、ホルムアルデヒドと、ナフタレン環を含まない他のモノマーとの縮合物の場合、当該化合物の全質量から、前記ナフタレン環を含まない他のモノマー及びホルムアルデヒドに由来するモノマー単位の質量を除いた質量である。
前記ナフタレン環を含まない他のモノマーに由来するモノマー単位の質量は、合成時の仕込み量から算出しても良いし、核磁気共鳴スペクトル装置などの共重合質量比を求めることができる一般的な解析装置を用いて算出しても良い。
【0098】
また、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位の分子量は、(A)成分がナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩の場合、ナフタレンスルホン酸ナトリウムの分子量(230.2)とホルムアルデヒドの分子量(30.0)の和から縮合反応の副生成物である水の分子量(18.0)を引いた数値、すなわち242.2のように決定できる。
【0099】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物では、例えば(A)成分がナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、(B)成分がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の場合、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合は、再沈殿法や分液法などの一般的な方法で(A)成分と(B)成分を分離し、その質量比を測定して計算により求めることができる。
また、水硬性組成物用分散剤組成物中の(A)成分及び(B)成分の構造は、再沈殿法や分液法などの一般的な方法で(A)成分及び(B)成分を分離し、核磁気共鳴スペクトル測定装置や液体クロマトグラフィーなどの一般的な解析装置を用いて解析することができる。
【0100】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と減水性と流動保持性を更に高める観点及び蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、(C)ポリカルボン酸系共重合体〔以下、(C)成分という〕を含有することができる。
【0101】
(C)成分としては、下記一般式(C1)で示される単量体(C1)と下記一般式(C2)で示される単量体(C2)とを構成単量体として含む共重合体〔以下、共重合体(C)という〕が挙げられる。
【0103】
〔式中、
R
11c、R
12c:同一でも異なっていても良く、水素原子又はメチル基
R
13c:水素原子又は−COO(AO)
n’X
1
X
1:炭素数1以上4以下のアルキル基
AO:エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる基
n’:AOの平均付加モル数であり、1以上300以下の数
p:0以上2以下の数
を示す。〕
【0105】
〔式中、
R
21c、R
22c、R
23c:同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基又は(CH
2)
rCOOM
2であり、(CH
2)
rCOOM
2は、COOM
1又は他の(CH
2)
rCOOM
2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM
1、M
2は存在しない。
M
1、M
2:同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
r:0以上2以下の数
を示す。〕
【0106】
一般式(C1)中、R
11cは、水素原子が好ましい。
一般式(C1)中、R
12cは、メチル基が好ましい。
一般式(C1)中、R
13cは、水素原子が好ましい。
一般式(C1)中、X
1は、メチル基が好ましい。
一般式(C1)中、AOは、エチレンオキシ基が好ましい。AOはエチレンオキシ基を含むことが好ましい。
【0107】
一般式(C1)中、n’は、AOの平均付加モル数であり、1以上300以下の数である。n’は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、そして、好ましくは200以下、より好ましくは150以下の数である。
【0108】
また、n’は、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは40以上、そして、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、更に好ましくは100以下、より更に好ましくは80以下、より更に好ましくは50以下の数である。
【0109】
一般式(C1)中、pは、0が好ましい。
【0110】
一般式(C2)中、R
21cは、水素原子が好ましい。
一般式(C2)中、R
22cは、メチル基が好ましい。
一般式(C2)中、R
23cは、水素原子が好ましい。
(CH
2)
rCOOM
2については、COOM
1又は他の(CH
2)
rCOOM
2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM
1、M
2は存在しない。
共重合体(I)について、一般式(C2)中、M
1、M
2は、同一でも異なっていても良く、それぞれ、水素原子が好ましい。
一般式(C2)中の(CH
2)
rCOOM
2のrは、1が好ましい。
【0111】
共重合体(C)は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、構成単量体中の単量体(C1)と単量体(C2)の合計量が、90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは95質量%以上、そして、100質量%以下である。この合計量は、100質量%であってもよい。
【0112】
共重合体(C)は、単量体(C1)と単量体(C2)の合計に対する単量体(C2)の割合が、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体強度の観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは97モル%以下である。
【0113】
共重合体(C)は、単量体(C1)と単量体(C2)の合計に対する単量体(C2)の割合が、蒸気養生後の硬化体の強度発現の観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは77モル%以下である。
【0114】
共重合体(C)の重量平均分子量は、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上、そして、好ましくは100000以下、より好ましくは70000以下、更に好ましくは45000以下である。この重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されたものである。
*GPC条件
装置:GPC(HLC−8320GPC)東ソー株式会社製
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー株式会社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH
3CN=9/1
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算(単分散のポリエチレングリコール:分子量87500、250000、145000、46000、24000)
【0115】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(C)成分を含有する場合、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、(C)成分を、固形分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する。
【0116】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、従来のセメント分散剤、水溶性高分子化合物、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結剤、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、防腐剤、消泡剤などの成分〔(A)成分、(B)成分、又は(C)成分に該当するものを除く〕を含有することができる。
【0117】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、形態が、液体、固体の何れでもよい。本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が液体の場合は、水を含有することが好ましい。
【0118】
水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有する液体である場合の水の含有量は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物を調製する際の作業性の観点から、該組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
【0119】
水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有する液体である場合の(A)成分の含有量は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下である。
【0120】
水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有する液体である場合の(B)成分の含有量は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは32質量%以下である。
【0121】
水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有する液体である場合の(A)成分と(B)成分の合計の含有量は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、該組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
【0122】
従来、(A)成分と(C)成分は、混ぜて使用しても十分な効果が発現されなかった。
これは、芳香環とポリアルキレンオキシ基が相互作用し、双方の分散力を相殺し合ってしまうためと、両成分とも高分子化合物であるため、疑似的に分子量が増大して増粘し、運動性が大きく低下することにより、分散性が低下してしまうためであると推定される。しかし、本発明では、(B)成分を併用すると、(A)成分の芳香環と(B)成分のアルキル基が相互作用すると推定され、(A)成分と(C)成分の相互作用を抑制することで、(A)成分と(C)成分を併用することが初めて可能になったと推察される。
【0123】
水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有する液体である場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)は、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である。0/100超は、(A)成分100に対して(C)成分が0超であることを意味する(以下同様)。
【0124】
水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有する液体である場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、(A)成分と(C)成分の合計の含有量は、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下である。
【0125】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、例えば、(A)成分と(B)成分と(C)成分を任意の方法で混合することで、製造することができる。
【0126】
〔水硬性組成物〕
本発明は、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である、遠心成型用水硬性組成物を提供する。
また、本発明は、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である、遠心成型用水硬性組成物を提供する。
また、本発明は、本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)と(B)の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である、蒸気養生用水硬性組成物を提供する。
また、本発明は、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下であり、(A)と(B)の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である、蒸気養生用水硬性組成物を提供する。
以下、これら4つの水硬性組成物をまとめて、水硬性組成物として説明する。以下の記述において、水硬性組成物は、特記しない限り、本発明の遠心成型用水硬性組成物及び本発明の蒸気養生用水硬性組成物の両方又は一方を指す。本発明の遠心成型用水硬性組成物は、上記2つの態様の本発明の遠心成型用水硬性組成物を指す。また、本発明の蒸気養生用水硬性組成物は、上記2つの態様の本発明の蒸気養生用水硬性組成物を指す。
本発明の遠心成型用水硬性組成物に関する事項は、本発明の蒸気養生用水硬性組成物について適用することができる。
本発明の蒸気養生用水硬性組成物に関する事項は、本発明の遠心成型用水硬性組成物について適用することができる。
【0127】
遠心成型用水硬性組成物は、遠心力による荷重が負荷されるため、生コンクリートなどの未硬化の組成物には高い降伏値(動き始める応力に同じ)と低いずり応力(動き始めてから、ある速度を出すのに必要な応力に同じ)という性質が求められる。本発明では、芳香環系分散剤の高い降伏値を付与し、更には分散性(粘性にほぼ同じ)を大幅に改善することにより、水硬性組成物自体のスラリー性状が改善され、遠心成型用として、より有用なものとなる。
【0128】
一方、蒸気養生用水硬性組成物は、蒸気により加熱されるため、凝結・硬化時間の速さ(必要前置き時間の短縮)という性質が求められる。本発明では、分散剤の必要添加量を大幅に削減することにより、水硬性組成物自体の凝結速度が改善され、蒸気養生用として、より有用なものとなる。
【0129】
本発明の水硬性組成物に使用される水硬性粉体とは、水和反応により硬化する物性を有する粉体のことであり、セメント、石膏等が挙げられる。好ましくはセメント、より好ましくは普通ポルトランドセメント、ビーライトセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、耐硫酸塩セメント等のセメントである。また、セメント等に高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフュームなどのポゾラン作用及び/又は潜在水硬性を有する粉体や、石粉(炭酸カルシウム粉末)等が添加された高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等でもよい。
【0130】
本発明の遠心成型用水硬性組成物は、水/水硬性粉体比が、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、10質量%以上、より好ましくは11質量%以上、更に好ましくは12質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは17質量%以上、そして、好ましくは25質量%以下、好ましくは24質量%以下、より好ましくは23質量%以下、更に好ましくは22質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。
【0131】
また、本発明の蒸気養生用水硬性組成物は、水/水硬性粉体比が、コンクリート製品の脱型性及び強度発現性向上の観点から、10質量%以上、好ましくは18質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは、30質量%以上であり、そして、53質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
【0132】
ここで、水/水硬性粉体比は、水硬性組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水の質量/水硬性粉体の質量×100により算出される。水/水硬性粉体比は、水の量と、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量とに基づいて算出される。水和反応により硬化する物性を有する粉体が、ポゾラン作用を有する粉体、潜在水硬性を有する粉体、及び石粉(炭酸カルシウム粉末)から選ばれる粉体を含む場合、本発明では、それらの量も水硬性粉体の量に算入する。また、水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。これは、水硬性粉体の質量が関係する以下の質量部においても同様である。
【0133】
本発明の水硬性組成物に用いられる(A)成分と(B)成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。水硬性組成物についても(B)/〔(A)+(B)〕が適用できるが、この割合は、水硬性組成物中の(A)成分の含有量と(B)成分の含有量とに基づいて算出されてもよい。また、前記の割合は、水硬性組成物を製造する際の(A)成分の混合量と(B)成分の混合量とに基づいて算出されてもよい。本発明の蒸気養生用水硬性組成物では、(B)/〔(A)+(B)〕は、1質量%以上60質量%以下である。
【0134】
本発明の遠心成型用水硬性組成物は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.4質量部以上、より更に好ましくは0.6質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下含有する。
本発明の遠心成型用水硬性組成物は、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.001質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、より更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下含有する。
【0135】
本発明の蒸気養生用水硬性組成物は、脱型性及び強度発現性向上の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは9.9質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下含有する。
本発明の蒸気養生用水硬性組成物は、脱型性及び強度発現性向上の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0025質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.2質量部以下含有する。
【0136】
本発明の水硬性組成物は、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下含有する。この含有量は、本発明の遠心成型用水硬性組成物に好ましい。
【0137】
本発明の蒸気養生用水硬性組成物は、硬化体の脱型性及び強度発現性の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、0.25質量部以上、好ましくは0.4質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、そして、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下含有する。
【0138】
本発明の水硬性組成物は、(C)成分のポリカルボン酸系共重合体を含有することができる。本発明の水硬性組成物に用いられる(C)の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。
【0139】
本発明の水硬性組成物が(C)成分を含有する場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分を、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下含有する。
また、本発明の水硬性組成物が(C)成分を含有する場合、硬化体の脱型性及び強度発現性の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下含有する。
【0140】
本発明の水硬性組成物では、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)は、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である。
【0141】
本発明の水硬性組成物は、骨材を含有する。骨材としては、細骨材及び粗骨材から選ばれる骨材が挙げられる。細骨材として、JIS A0203−2014中の番号2311で規定されるものが挙げられる。細骨材としては、川砂、陸砂、山砂、海砂、石灰砂、珪砂及びこれらの砕砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、軽量細骨材(人工及び天然)及び再生細骨材等が挙げられる。また、粗骨材として、JIS A0203−2014中の番号2312で規定されるものが挙げられる。例えば粗骨材としては、川砂利、陸砂利、山砂利、海砂利、石灰砂利、これらの砕石、高炉スラグ粗骨材、フェロニッケルスラグ粗骨材、軽量粗骨材(人工及び天然)及び再生粗骨材等が挙げられる。細骨材、粗骨材は種類の違うものを混合して使用しても良く、単一の種類のものを使用しても良い。
【0142】
水硬性組成物がコンクリートの場合、粗骨材の使用量は、水硬性組成物の強度の発現とセメント等の水硬性粉体の使用量を低減し、型枠等への充填性を向上する観点から、嵩容積は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上であり、そして、好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは80%以下である。嵩容積は、コンクリート1m
3中の粗骨材の容積(空隙を含む)の割合である。
また、水硬性組成物がコンクリートの場合、細骨材の使用量は、型枠等への充填性を向上する観点から、好ましくは500kg/m
3以上、より好ましくは600kg/m
3以上、更に好ましくは700kg/m
3以上であり、そして、好ましくは1000kg/m
3以下、より好ましくは900kg/m
3以下である。
水硬性組成物がモルタルの場合、細骨材の使用量は、好ましくは800kg/m
3以上、より好ましくは900kg/m
3以上、更に好ましくは1000kg/m
3以上であり、そして、好ましくは2000kg/m
3以下、より好ましくは1800kg/m
3以下、更に好ましくは1700kg/m
3以下である。
【0143】
水硬性組成物としては、コンクリート等が挙げられる。なかでもセメントを用いたコンクリートが好ましい。本発明の水硬性組成物は、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、寒中用等の何れの分野においても有用である。
【0144】
本発明の水硬性組成物は、グリセリン及びN−メチルジエタノールアミンなどの早強剤やエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩などのキレート剤を含有することもできる。キレート剤の含有量は、蒸気養生後の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対し0.1質量部以下が好ましい。
【0145】
本発明の水硬性組成物は、更にその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、等が挙げられる。
【0146】
〔水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法〕
本発明は、(A)成分と、(B)成分とを混合する、水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法を提供する。本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法に用いられる(A)成分と(B)成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。
【0147】
また、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを混合して、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する水硬性組成物用分散剤組成物を製造することもできる。(C)成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。
【0148】
水を含有する水硬性組成物用液体分散剤組成物を製造する場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)は、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である。
【0149】
水を含有する水硬性組成物用液体分散剤組成物を製造する場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、(A)成分と(C)成分の合計の含有量が、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下となるように、(A)成分と(C)成分とを用いる。
【0150】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べた事項は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法に適宜適用することができる。
【0151】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を製造する方法として好適である。
【0152】
本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を製造する場合、(B)/〔(A)+(B)〕は、1質量%以上60質量%以下である。すなわち、本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を製造する場合、(A)成分と(B)成分とを、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下となるように混合する。製造方法における(B)/〔(A)+(B)〕は、各成分の含有量を混合量と読み替えて計算したものである。本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を製造する場合、(B)/〔(A)+(B)〕の好ましい範囲は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べた範囲と同じである。
【0153】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法としては、(A)成分と(B)成分と水とを含有する水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法が挙げられる。この場合、(A)成分と(B)成分と水との混合は、性能を低下させない範囲で任意の方法で行うことができる。例えば、(B)成分の凝固点以上に加熱した(A)成分の水溶液、及び(B)成分を攪拌機で混合する方法や、(A)成分、及び(B)成分をそれぞれ水に溶解させ、(A)成分の水溶液、及び(B)成分の水溶液を混合する方法のように行うことができる。
【0154】
〔水硬性組成物の製造方法〕
本発明は、水硬性粉体と、骨材と、水と、(A)成分と、(B)成分とを混合する水硬性組成物の製造方法を提供する。この製造方法により、水硬性粉体と、骨材と、水と、(A)成分と、(B)成分とを含有する水硬性組成物が製造される。
また、本発明は、水硬性粉体と、骨材と、水と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを混合する、水硬性組成物の製造方法を提供する。この製造方法により、水硬性粉体と、骨材と、水と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを含有する水硬性組成物が製造される。
これらの製造方法により、本発明の遠心成型用水硬性組成物又は本発明の蒸気養生用水硬性組成物が製造できる。
【0155】
これら本発明の水硬性組成物の製造方法に用いられる(A)成分と(B)成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。水硬性組成物の製造方法についても(B)/〔(A)+(B)〕が適用できるが、この割合は、混合に用いる(A)成分の量と(B)成分の量とに基づいて算出されてもよい。本発明の蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、(B)/〔(A)+(B)〕は、1質量%以上60質量%以下である。すなわち、本発明の蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、(A)成分と(B)成分とを、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下となるように混合する。製造方法における(B)/〔(A)+(B)〕は、各成分の含有量を混合量と読み替えて計算したものである。本発明の蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、(B)/〔(A)+(B)〕の好ましい範囲は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べた範囲と同じである。
また、これら本発明の水硬性組成物の製造方法に用いられる水硬性粉体の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物で述べたものと同じである。水硬性粉体は、水/水硬性粉体比が、本発明の水硬性組成物で述べた範囲となるように用いる。本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を製造する場合、水硬性粉体は、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下となるように混合する。
また、これら本発明の水硬性組成物の製造方法に用いられる骨材の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物で述べたものと同じである。また、骨材の使用量も、本発明の水硬性組成物で述べたものと同じである。
また、これら本発明の水硬性組成物の製造方法に用いられる(C)成分の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物、及び水硬性組成物で述べた事項は、本発明の水硬性組成物の製造方法に適宜適用することができる。
【0156】
本発明の水硬性組成物の製造方法では、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、0.001質量部以上、0.01質量部以上、0.1質量部以上、0.15質量部以上、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上、0.47質量部以上、0.5質量部以上、又は0.6質量部以上、そして、10質量部以下、9.9質量部以下、5質量部以下、2質量部以下、1質量部以下、0.9質量部以下、0.6質量部以下、又は0.52質量部以下、から選択して混合することができる。遠心成型用水硬性組成物を製造する場合は、本発明の遠心成型用水硬性組成物における(A)成分の含有量となるように(A)成分を混合することが好ましい。蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合は、本発明の蒸気養生用水硬性組成物における(A)成分の含有量となるように(A)成分を混合することが好ましい。
【0157】
本発明の水硬性組成物の製造方法では、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、0.0001質量部以上、0.001質量部以上、0.0025質量部以上、0.01質量部以上、0.03質量部以上、0.05質量部以上、又は0.06質量部以上、そして、10質量部以下、6質量部以下、5質量部以下、2質量部以下、1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下、0.2質量部以下から選択して混合することができる。遠心成型用水硬性組成物を製造する場合は、本発明の遠心成型用水硬性組成物における(B)成分の含有量となるように(B)成分を混合することが好ましい。蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合は、本発明の蒸気養生用水硬性組成物における(B)成分の含有量となるように(B)成分を混合することが好ましい。
【0158】
より具体的には、遠心成型用水硬性組成物を製造する場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.4質量部以上、より更に好ましくは0.6質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下、混合する。
また、遠心成型用水硬性組成物を製造する場合、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.001質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、より更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下、混合する。
また、遠心成型用水硬性組成物を製造する場合、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、混合する。
【0159】
また、蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、脱型性及び強度発現性向上の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは9.9質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下、混合する。
また、蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、脱型性及び強度発現性向上の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0025質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.2質量部以下、混合する。
また、蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、硬化体の脱型性及び強度発現性の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、0.25質量部以上、好ましくは0.4質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、そして、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下、混合する。
【0160】
(C)成分を用いる場合、本発明の水硬性組成物の製造方法では、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下混合する。
【0161】
本発明の水硬性組成物の製造方法では、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点と水硬性組成物の流動性を向上する観点から、(A)成分と(C)成分とを、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下となるように用いる。
【0162】
本発明の水硬性組成物の製造方法では、水硬性粉体100質量部に対して、遠心成型性及び/又は遠心成型後の硬化体の強度発現の観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、混合する。この混合量は、本発明の遠心成型用水硬性組成物を製造する場合に好ましい。
【0163】
本発明の水硬性組成物の製造方法で蒸気養生用水硬性組成物を製造する場合、水硬性粉体100質量部に対して、強度発現性による型枠の使用頻度を高める観点から、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、0.25質量部以上、好ましくは0.4質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、そして、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下、混合する。
【0164】
本発明の水硬性組成物の製造方法では、(A)成分及び(B)成分とセメント等の水硬性粉体とを円滑に混合する観点から、(A)成分及び(B)成分と水とを予め混合し、水硬性粉体と混合することが好ましい。本発明の水硬性組成物の製造方法では、水を含有する本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を用いることができる。
【0165】
また、本発明の水硬性組成物の製造方法では、セメント等の水硬性粉体と、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物とを混合する方法が好ましい。本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、粉末であっても液体であってもよく、水硬性粉体に対して、(A)成分、(B)成分、更には(C)成分が、前述の含有量となるように添加されることが好ましい。
具体的には、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を、水硬性粉体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1.2質量部以下、混合する。
【0166】
水硬性粉体と、水と、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて用いられる成分との混合は、モルタルミキサー、強制二軸ミキサー等のミキサーを用いて行うことができる。
また、好ましくは1分間以上、より好ましくは2分間以上、そして、好ましくは5分間以下、より好ましくは3分間以下混合する。水硬性組成物の調製にあたっては、水硬性組成物で説明した材料や薬剤及びそれらの量を用いることができる。
【0167】
得られた水硬性組成物は、更に、水硬性組成物を型枠に充填し養生し硬化させる。型枠として、建築物の型枠、コンクリート製品用の型枠等が挙げられる。型枠への充填方法として、ミキサーから直接投入する方法、水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法等が挙げられる。
【0168】
水硬性組成物の養生の際、硬化を促進するために加熱養生し、硬化を促進させても良い。ここで、加熱養生は、40℃以上90℃以下の温度で水硬性組成物を保持して硬化を促進することができる。
【0169】
〔水硬性組成物の硬化体の製造方法〕
本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法を提供する。
工程1:水、水硬性粉体、骨材、及び、上記本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
【0170】
また、本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法を提供する。
工程1:水、水硬性粉体、下記(A)、下記(B)及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である遠心成型用水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
(A):芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤
(B):前記一般式(B1)で表される化合物、前記一般式(B2)で表される化合物、前記一般式(B3)で表される化合物、及び前記一般式(B4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物
【0171】
また、本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法を提供する。
工程1:水、水硬性粉体、下記(A)、下記(B)、下記(C)及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
(A):芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤
(B):前記一般式(B1)で表される化合物、前記一般式(B2)で表される化合物、前記一般式(B3)で表される化合物、及び前記一般式(B4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物
(C):ポリカルボン酸系共重合体
【0172】
上記の3つの製造方法は遠心成型を行うものであり、これら3つの製造方法を、以下、第1群の硬化体の製造方法という。
【0173】
本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法を提供する。
工程1’:水、水硬性粉体、骨材、及び、上記本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下である水硬性組成物を調製する工程であって、前記蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下、且つ(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する、工程。
工程2’:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程5’:工程2’で型枠に充填した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
【0174】
また、本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法を提供する。
工程1’:水、水硬性粉体、下記(A)、下記(B)及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下である蒸気養生用水硬性組成物を調製する工程であって、(A)と(B)とを、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下、且つ(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する、工程。
工程2’:工程1’で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程5’:工程2’で型枠に充填した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
(A):芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤
(B):前記一般式(B1)で表される化合物、前記一般式(B2)で表される化合物、前記一般式(B3)で表される化合物、及び前記一般式(B4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物
【0175】
また、本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法を提供する。
工程1’:水、水硬性粉体、下記(A)、下記(B)、下記(C)及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下である水硬性組成物を調製する工程であって、(A)と(B)とを、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下、且つ(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する、工程。
工程2’:工程1’で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程5’:工程2’で型枠に充填した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
(A):芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤
(B):前記一般式(B1)で表される化合物、前記一般式(B2)で表される化合物、前記一般式(B3)で表される化合物、及び前記一般式(B4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物
(C):ポリカルボン酸系共重合体
【0176】
上記の3つの製造方法は蒸気養生を行うものであり、これら3つの製造方法を、以下、第2群の硬化体の製造方法という。
【0177】
これら本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法に用いられる(A)成分と(B)成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。水硬性組成物の硬化体の製造方法についても(B)/〔(A)+(B)〕が適用できるが、この割合は、混合に用いる(A)成分の量と(B)成分の量とに基づいて算出されてもよい。すなわち、水硬性組成物の硬化体の製造方法における(B)/〔(A)+(B)〕は、各成分の含有量を混合量と読み替えて計算したものである。
また、これら本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法に用いられる水硬性粉体の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物で述べたものと同じである。
また、これら本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法に用いられる骨材の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物で述べたものと同じである。また、骨材の使用量も、本発明の水硬性組成物で述べたものと同じである。
また、これら本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法に用いられる(C)成分の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べたものと同じである。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物、水硬性組成物、及び水硬性組成物の製造方法で述べた事項は、本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法に適宜適用することができる。
【0178】
本発明の第1群の硬化体の製造方法は、工程1〜4に加え、下記の工程5を含むことが好ましい。
工程5:工程4で凝結した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
【0179】
本発明の第1群の硬化体の製造方法は、工程1〜5に加え、次の工程6を含むことができる。
工程6:工程5の後、水硬性組成物を冷却して、型枠から脱型する工程。
【0180】
本発明の第1群の硬化体の製造方法は、工程1〜6に加え、次の工程7を含むことができる。
工程7:工程6で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する工程。
【0181】
第1群の硬化体の製造方法の工程1では、水と本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物とを含む混合物を骨材及び水硬性粉体に添加して混合する方法が、水硬性組成物を製造する際でも、容易に均一に混合できる点で好ましい。
【0182】
工程1の具体的な方法としては、水硬性粉体と骨材とを混合し、水と本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物とを含む混合物を、前記のような混合量となるように添加し、混練して水硬性組成物を調製する工程が挙げられる。
【0183】
第1群の硬化体の製造方法の工程1で、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物を用いない場合、(A)成分と(B)成分、更に(C)成分は、別々に、水、水硬性粉体、骨材に添加して混合することができる。
【0184】
工程1での水硬性粉体に対する水と本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物の混練量の好ましい範囲は、本発明の水硬性組成物における各成分の含有量の好ましい範囲と同じである。
工程1では、遠心成型性及び/又は硬化体の強度発現の観点から、水/水硬性粉体比が、10質量%以上、好ましくは11質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは17質量%以上、そして、25質量%以下、好ましくは24質量%以下、より好ましくは23質量%以下、更に好ましくは22質量%以下の水硬性組成物を調製する。工程1では、水/水硬性粉体比がこの範囲となるように、水硬性粉体を混合する。
【0185】
第1群の硬化体の製造方法の工程2で、工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する方法は、混練後の水硬性組成物を混練手段から排出し、手作業にて型枠へ投入してならす方法が挙げられる。
【0186】
第1群の硬化体の製造方法の工程3では、型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めするが、このとき少なくとも1回は遠心力を変えることが好ましい。工程3では、水硬性組成物を、段階的に変化する遠心力をかけて型締めすることができる。すなわち、工程3で、水硬性組成物を、少なくとも1回は遠心力を変えて型締めする、更に、段階的に変化する、更に段階的に大きくなる遠心力をかけて型締めすることができる。
【0187】
工程3では、型枠に充填した水硬性組成物を、0.5G以上の遠心力で型締めすることが好ましい。遠心成型の遠心力は、好ましくは0.5G以上、そして、30G以下、より好ましくは25G以下である。エネルギーコスト低減面と成型性の面から、1分以上、遠心力を15G以上、そして、30G以下、更に25G以下の範囲(高遠心力ともいう)に保持することが好ましい。
【0188】
遠心力での締め固めは、例えば0.5G以上30G以下の遠心力で、好ましくは5分以上、より好ましくは7分以上、更に好ましくは9分以上、そして、好ましくは40分以下行なう。成型体を平滑に締め固める観点から、高遠心力、例えば20G以上の遠心力の保持による締め固めは、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、好ましくは15分以下行なう。すなわち、工程3では、0.5G以上30G以下の遠心力を、好ましくは5分以上、より好ましくは7分以上、更に好ましくは9分以上、そして、好ましくは40分以下かけて、水硬性組成物を型締めすることができる。また、工程3では、20G以上の遠心力の保持による締め固めを、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、好ましくは15分以下行なうことができる。
【0189】
遠心力での締め固めは、段階に分けて行うことができ、成型性の観点から、段階的に遠心力Gを大きくする方法が好ましい。以下に示すような段階条件で所望の遠心力となるまで行うことができる。例えば、五段階の場合、工程3では、(1)一段階目である初速が0.5G以上2G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(2)二段階目である二速が2G以上5G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(3)三段階目である三速が5G以上10G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(4)四段階目である四速が10G以上20G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(5)五段階目である五速が20G以上30G以下の遠心力で0分間超15分間以下、の条件により水硬性組成物の型締めを行うことが好ましい。
【0190】
第1群の硬化体の製造方法の工程4では、工程3で得られた水硬性組成物を凝結させる。具体的には、混練後3〜4時間の気中養生を行うこととする。
【0191】
第1群の硬化体の製造方法の工程5では、工程4で得られた型枠に入った硬化した水硬性組成物を蒸気養生する。工程5では、40℃以上90℃以下で蒸気養生を行なうことが好ましく、60℃以上90℃以下で蒸気養生を行なうことがより好ましい。
更に、工程5では、前養生を行った後、蒸気養生を行うことが好ましい。例えば、水硬性組成物が充填された型枠の周囲温度(以下、周囲温度ということもある)を、室温、好ましくは10℃以上40℃以下とし、1時間以上4時間以下、放置する前養生を行った後、周囲温度を40℃以上90℃以下、更に60℃以上90℃以下として蒸気養生を行なうことができる。
前養生は、後述の実施例、比較例では「前置き」として実施した。
前養生は、硬化体のひび割れによる強度低下を抑える観点から、1時間以上が好ましい。
また、第1群の硬化体の製造方法が工程6を含む場合、工程5と工程6は一連の温度制御のもとに連続して行うことができる。
蒸気養生は、水硬性組成物が充填された型枠の周囲に水蒸気を適用した状態で所定の温度で一定時間保持して行われる。水蒸気を適用後、(1)所定の温度に到達させるまでの温度上昇期間、(2)所定の温度で一定時間保持する期間、及び、(3)所定の温度で一定時間保持した後、温度下降期間を、蒸気養生の期間としてよい。
【0192】
第1群の硬化体の製造方法における具体的な蒸気養生条件として、工程5として、1時間当たり10℃以上30℃以下の昇温速度で型枠の周囲温度を60℃以上85℃以下に昇温し、昇温した温度を2時間以上8時間以下保持し、次いで、工程6として、1時間当たり5℃以上20℃以下の降温速度で、周囲温度を室温、例えば20℃まで冷却し、成型体を脱型する。
昇温速度は、硬化体のひび割れによる強度低下を抑える観点から、1時間当たり20℃以下が好ましい。
好ましい条件の一例を挙げれば、水硬性組成物が充填された型枠を、周囲温度が、室温、例えば10℃以上30℃以下で3時間放置(前養生)し、1時間あたり20℃の昇温速度で周囲温度を70℃以上90℃以下まで昇温させ、その昇温した70℃以上90℃以下の温度を2時間以上6時間以下保持し、次いで、1時間あたり10℃の降温速度で周囲温度を室温、例えば20℃まで冷却し(工程5)、その温度で20時間以上30時間以下放置した後に成型体を脱型する(工程6)方法が挙げられる。
また、更に180℃程度のオートクレーブ養生を行なう事も可能である。
【0193】
第1群の硬化体の製造方法の工程7では、工程6で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する。具体的には、20℃、大気圧下で保存する。
【0194】
本発明の第1群の硬化体の製造方法としては、工程1〜6を含み、水硬性組成物の調製を開始してから工程6で脱型するまでの時間が8時間以上30時間以下である、水硬性組成物の硬化体の製造方法が挙げられる。ここで、水硬性組成物の調製の開始とは、水硬性粉体と水とが最初に接触した時点である。
【0195】
本発明の第1群の硬化体の製造方法では、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である。
【0196】
本発明の第1群の硬化体の製造方法により得られる水硬性組成物の硬化体は、遠心成型コンクリート製品として使用でき、具体的には、パイル、ポール、ヒューム管等が挙げられる。本発明の第1群の硬化体の製造方法により得られる水硬性組成物の硬化体は、初期強度に優れるとともに、製造時のノロの発生量が少なく当該製品の製造現場での廃棄物を低減できる。また、締め固めに優れることから、当該製品の内面及び端面凹凸が少なく、表面美観に優れるとともに、更に製品内面が平滑に仕上がることから、パイル打ち込み、中堀工法時の切削機の障害が改善される。
【0197】
本発明の第2群の硬化体の製造方法において、工程1’は、本発明の第1群の硬化体の製造方法の工程1と同様に実施することができる。
工程1’の好ましい態様は、工程1の好ましい態様から選択できる。ただし、工程1’で調製される水硬性組成物は、蒸気養生用として適した性質を有するものである。具体的には、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である水硬性組成物である。
第2群の硬化体の製造方法の工程1’で、本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を用いない場合、(A)成分と(B)成分、更に(C)成分は、別々に、水、水硬性粉体、骨材に添加して混合することができる。
【0198】
工程1’では、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分の混合量と(B)成分の混合量の合計に対する(B)成分の混合量の割合、すなわち(B)/〔(A)+(B)〕が、1質量%以上60質量%以下、且つ(A)成分と(B)成分の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する。工程1’での(B)/〔(A)+(B)〕の好ましい範囲は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物で述べた範囲と同じである。
また、工程1’では、コンクリート製品の脱型性及び強度発現性向上の観点から、水/水硬性粉体比が、10質量%以上、好ましくは18質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは、30質量%以上であり、そして、53質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下の水硬性組成物を調製する。工程1’では、水/水硬性粉体比がこの範囲となるように、水硬性粉体を混合する。
【0199】
本発明の第2群の硬化体の製造方法において、工程2’は、本発明の第1群の硬化体の製造方法の工程2と同様に実施することができる。工程2’で用いる型枠は、蒸気養生を行うのに適した性質を有するものである。
【0200】
本発明の第2群の硬化体の製造方法において、工程5’の蒸気養生は、本発明の第1群の硬化体の製造方法の工程5と同様に実施することができる。ただし、前置き、昇温、保持、又は降温の具体的な条件は、変更してよい。
本発明の第2群の硬化体の製造方法において、工程5’の蒸気養生は、好ましくは、例えば10℃以上40℃以下に0.2時間以上4時間以下放置し、1時間あたり20℃以上100℃以下の昇温速度で周囲温度を昇温し、その昇温された50℃以上70℃以下の温度で2時間以上保持するように行う。
工程1’での(B)/〔(A)+(B)〕が3質量%以上7質量%以下の場合は、本発明の第2群の硬化体の製造方法では、工程5’の蒸気養生の前養生を、好ましくは10℃以上40℃以下で、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、そして、好ましくは4時間以下、より好ましくは3.5時間以下、更に好ましくは2.5時間以下、より更に好ましくは0.7時間以下、行う。
また、工程1’での(B)/〔(A)+(B)〕が15質量%以上25質量%以下の場合は、本発明の第2群の硬化体の製造方法では、工程5’の蒸気養生の前養生を、好ましくは10℃以上40℃以下で、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上、より更に好ましくは0.7時間以上、より更に好ましくは1.5時間以上、そして、好ましくは4時間以下、より好ましくは3時間以下、更に好ましくは2.5時間以下、行う。
【0201】
本発明の第2群の硬化体の製造方法は、次の工程6’を含むことができる。
工程6’:工程5’の後、水硬性組成物を冷却して、型枠から脱型する工程。
本発明の第2群の硬化体の製造方法において、工程6’は、本発明の第1群の硬化体の製造方法の工程6と同様に実施することができる。
【0202】
本発明の第2群の硬化体の製造方法は、次の工程7’を含むことができる。
工程7’:工程6’で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する工程。
本発明の第2群の硬化体の製造方法において、工程7’は、本発明の第1群の硬化体の製造方法の工程7と同様に実施することができる。
【0203】
本発明の第2群の硬化体の製造方法では、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である。
【0204】
本発明の第2群の硬化体の製造方法により得られる水硬性組成物の硬化体は、大型のコンクリート製品として使用できる。具体的には、カーテンウォール、ボックスカルバート、及びL型擁壁から選ばれるコンクリート製品が挙げられる。カーテンウォールは、例えば建築物や壁を構築する製品であり、ボックスカルバート、及びL型擁壁は、例えば水路や道路を構築する製品である。
【0205】
上記に加え、本発明は、(A)成分と(B)成分とを含有する組成物の、遠心成型用水硬性組成物用分散剤としての使用を開示する。
また、本発明は、(A)成分と(B)成分とを含有し、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下である組成物の、蒸気養生用水硬性組成物用分散剤としての使用を開示する。
また、本発明は、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物の、遠心成型用水硬性組成物としての使用を開示する。
また、本発明は、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物の、遠心成型用水硬性組成物としての使用を開示する。
また、本発明は、本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物の、蒸気養生用水硬性組成物としての使用を開示する。
また、本発明は、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物の、蒸気養生用水硬性組成物としての使用を開示する。
これらの使用には、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物、水硬性組成物、水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法、水硬性組成物の製造方法、及び水硬性組成物の硬化体の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
【0206】
また、本発明は、遠心成型用水硬性組成物用分散剤に用いるための、(A)成分と(B)成分とを含有する組成物を開示する。
また、本発明は、蒸気養生用水硬性組成物用分散剤に用いるための、(A)成分と(B)成分とを含有し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下である組成物を開示する。
また、本発明は、遠心成型用水硬性組成物に用いるための、本発明の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物を開示する。
また、本発明は、遠心成型用水硬性組成物に用いるための、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物を開示する。
また、本発明は、蒸気養生用水硬性組成物に用いるための、本発明の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物を開示する。
また、本発明は、蒸気養生用水硬性組成物に用いるための、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物を開示する。
これらの組成物には、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物、水硬性組成物、水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法、水硬性組成物の製造方法、及び水硬性組成物の硬化体の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
【0207】
以下に、本発明の態様を例示する。これらの態様には、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物、水硬性組成物、水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法、水硬性組成物の製造方法、及び水硬性組成物の硬化体の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
【0208】
<1>
(A)芳香環を含む高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤〔以下、(A)成分という〕と、(B)下記一般式(B1)で表される化合物〔以下、化合物(B1)という〕、下記一般式(B2)で表される化合物〔以下、化合物(B2)という〕、下記一般式(B3)で表される化合物〔以下、化合物(B3)という〕、及び下記一般式(B4)で表される化合物〔以下、化合物(B4)という〕から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(B)成分という〕とを含有する、遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物。
【0210】
〔式中、
R
11、R
21、R
31、R
41は、それぞれ独立に、炭素数4以上27以下の炭化水素基、
R
22は、水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、
R
32、R
33は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、
Xは、O又はCOO、
AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基、
n
1は、AOの平均付加モル数であり、1以上200以下の数、
n
2は、AOの平均付加モル数であり、1以上200以下の数、
n
3、n
4は、同一又は異なって、それぞれ、AOの平均付加モル数であり、0以上の数であり、n
3とn
4の合計は1以上200以下の数、
Y
1、Y
2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子又はSO
3Mであり、Y
1、Y
2の少なくとも一方はSO
3Mであり、
n
5、n
6は、同一又は異なって、それぞれ、AOの平均付加モル数であり、0以上の数であり、n
5とn
6の合計は1以上200以下の数であり、n
5が0の場合は、Y
1は水素原子であり、n
6が0の場合は、Y
2は水素原子であり、
Mは、対イオン、
を表す。〕
【0211】
<2>(A)成分と、(B)成分とを含有し、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下である蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物。
【0212】
<3>(A)成分が、芳香環を含むモノマー単位を有する高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤である、<1>又は<2>記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
ここでの水硬性組成物用分散剤組成物は、遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物又は蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物の意味であり、以下においても同様である。
【0213】
<4>(A)成分の芳香環を含むモノマー単位が、ベンゼン環を含むモノマー単位、ナフタレン環を含むモノマー単位、及びトリアジン環を含むモノマー単位から選ばれる1種以上のモノマー単位である、<1>〜<3>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0214】
<5>(A)成分が、ナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物からなる水硬性粉体用分散剤である、<1>〜<4>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0215】
<6>(A)成分が、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩である、<5>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0216】
<7>下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定された、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の重量平均分子量が、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは80,000以下、より更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは30,000以下であり、そして、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000以上、より更に好ましくは5,000以上である、<6>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
[GPC条件]
カラム:G4000SWXL+G2000SWXL(東ソー株式会社)
溶離液:30mM CH
3COONa/CH
3CN=6/4
流量:0.7ml/min
検出:UV280nm
サンプルサイズ:0.2mg/ml
標準物質:西尾工業(株)製 ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算(単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:分子量、206、1,800、4,000、8,000、18,000、35,000、88,000、780,000)
検出器:東ソー株式会社 UV−8020
【0217】
<8>(A)成分が、フェノール系分散剤、リグニン系分散剤、メラミン系分散剤、及びスチレンスルホン酸系分散剤から選ばれる1種以上の水硬性粉体用分散剤である、<1>〜<4>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0218】
<9>一般式(B1)中のR
11の炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、<1>〜<8>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0219】
<10>一般式(B1)中のR
11の炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、好ましくはアルケニル基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、<1>〜<9>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0220】
<11>アルキル基が、脂肪族アルキル基、好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である、<10>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0221】
<12>アルケニル基が、脂肪族アルケニル基、好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である、<10>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0222】
<13>置換基を有するアリール基が、(1)芳香環の水素原子が炭化水素基で置換されたアリール基である、更に、(2)芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが、炭化水素基で置換されたアリール基である、更に、(3)炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基である、更に、(4)ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基である、<10>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0223】
<14>一般式(B1)中のR
11が、アルキル基である、<10>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0224】
<15>一般式(B1)中のR
11が、アルケニル基である。<10>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0225】
<16>一般式(B1)中のR
11が、置換基を有するアリール基である、<10>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0226】
<17>一般式(B1)中のR
11の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である、<1>〜<16>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0227】
<18>一般式(B1)中のR
11が、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、<1>〜<17>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0228】
<19>一般式(B1)中のR
11が、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基、トリベンジルフェニル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基、トリベンジルフェニル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、トリベンジルフェニル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である、より更に好ましくは、オレイル基、ステアリル基、ジスチレン化フェニル基及びトリベンジルフェニル基から選ばれる基である、<1>〜<17>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0229】
<20>一般式(B1)中のAOが炭炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である、あるいは、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含む、<1>〜<19>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0230】
<21>一般式(B1)中のn
1が、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは60以下、より好ましくは40以下の数である、<1>〜<20>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0231】
<22>一般式(B1)中のR
11が置換基を有するアリール基であり、n
1が、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは25以上、そして、好ましくは65以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましく35以下である、<1>〜<21>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0232】
<23>一般式(B1)中のR
11がアルケニル基であり、n
1が、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは9以上、そして、好ましくは65以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは35以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは12以下である、<1>〜<21>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0233】
<24>一般式(B1)中のR
11がアルキル基であり、n
1が、好ましくは15以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは55以下、より好ましくは30以下である、<1>〜<21>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0234】
<25>一般式(B1)中のMが、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン(1/2イオン)、及びアンモニウムイオンから選ばれるイオンである、<1>〜<24>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0235】
<26>一般式(B1)中のMが、アンモニウムイオンである、<25>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0236】
<27>一般式(B1)中のMが、アルカリ金属イオンである、好ましくはナトリウムイオン及びカリウムイオンから選ばれるアルカリ金属イオンである、<25>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0237】
<28>化合物(B1)が、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル化物又はその塩、及びポリオキシエチレン置換アリールエーテル硫酸エステル化物又はその塩から選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<27>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0238】
<29>一般式(B2)中のR
21の炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基である、<1>〜<22>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0239】
<30>一般式(B2)中のR
21の炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、好ましくはアルケニル基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、<29>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0240】
<31>アルキル基が、脂肪族アルキル基、好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である、<30>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0241】
<32>アルケニル基が、脂肪族アルケニル基、好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である、<30>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0242】
<33>置換基を有するアリール基が、(1)芳香環の水素原子が炭化水素基で置換されたアリール基である、更に、(2)芳香環の水素原子の1つ、2つ又は3つが、炭化水素基で置換されたアリール基である、更に、(3)炭素数が好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基である、更に、(4)ベンジル基で置換されたフェニル基、及びスチレン化したフェニル基から選ばれる基である、<30>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0243】
<34>一般式(B2)中のR
21が、アルキル基である、<30>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0244】
<35>一般式(B2)中のR
21が、アルケニル基である、<30>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0245】
<36>一般式(B2)中のR
21が、置換基を有するアリール基である、<30>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0246】
<37>一般式(B2)中のR
21の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である、<1>〜<36>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0247】
<38>一般式(B2)中のR
21が、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、<1>〜<37>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0248】
<39>一般式(B2)中のR
21が、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基、及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基から選ばれる基である、<1>〜<37>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0249】
<40>一般式(B2)中のXが、Oである、<1>〜<39>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0250】
<41>一般式(B2)中のAOが、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である、あるいは、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含む、<1>〜<40>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0251】
<42>一般式(B2)中のn2が、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは60以下、より好ましくは40以下の数である、<1>〜<41>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0252】
<43>一般式(B2)中のR
21が置換基を有するアリール基であり、n
2が、好ましくは10以上、そして、好ましくは25以下、より好ましくは15以下である、<1>〜<41>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0253】
<44>一般式(B2)中のR
21がアルキル基であり、n
2が、好ましくは1以上、そして、好ましくは5以下である、<1>〜<41>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0254】
<45>一般式(B2)中のR
21がアルケニル基であり、n
2が、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは65以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは35以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは15以下である、<1>〜<41>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0255】
<46>一般式(B2)中のR
22が、水素原子である、<1>〜<45>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0256】
<47>化合物(B2)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、及びポリオキシエチレン置換アリールエーテルから選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<46>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0257】
<48>一般式(B3)中のR
31の炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、<1>〜<47>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0258】
<49>一般式(B3)中のR
31の炭化水素基が、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である、<48>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0259】
<50>アルキル基が、脂肪族アルキル基、好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である、<48>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0260】
<51>アルケニル基が、脂肪族アルケニル基、好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である、<48>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0261】
<52>一般式(B3)中のR
31が、アルキル基である、<48>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0262】
<53>一般式(B3)中のR
31が、アルケニル基である、<48>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0263】
<54>一般式(B3)中のR
31の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である、<1>〜<53>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0264】
<55>一般式(B3)中のR
31が、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、<1>〜<54>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0265】
<56>一般式(B3)中のAOが、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である、あるいは、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含む、<1>〜<55>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0266】
<57>一般式(B3)中のn
3及びn
4の合計が、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは60以下、より好ましくは40以下の数である、<1>〜<56>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0267】
<58>一般式(B3)中のR
32及びR
33が、それぞれ、水素原子である、<1>〜<57>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0268】
<59>化合物(B3)が、ポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<58>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0269】
<60>一般式(B4)中のR
41の炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及び置換基を有するアリール基から選ばれる基である、<1>〜<59>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0270】
<61>一般式(B4)中のR
41の炭化水素基が、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である、<60>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0271】
<62>アルキル基が、脂肪族アルキル基、好ましくは直鎖脂肪族アルキル基である、<61>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0272】
<63>アルケニル基が、脂肪族アルケニル基、好ましくは直鎖脂肪族アルケニル基である、<61>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0273】
<64>一般式(B4)中のR
41が、アルキル基である、<61>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0274】
<65>一般式(B4)中のR
41が、アルケニル基である、<61>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0275】
<66>一般式(B4)中のR
41の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である、<1>〜<65>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0276】
<67>一般式(B4)中のR
41が、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、より好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、及びオレイル基から選ばれる基である、<1>〜<66>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0277】
<68>一般式(B4)中のAOが炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である、あるいは、AOが炭素数2のアルキレンオキシ基を含む、<1>〜<67>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0278】
<69>一般式(B4)中のY
1、Y
2が、同一又は異なって、それぞれ、水素原子又はSO
3Mであり、Y
1、Y
2の少なくとも一方はSO
3Mであり、Mは対イオンであり、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン(1/2原子)、及びアンモニウムイオンから選ばれるイオンである、<1>〜<68>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0279】
<70>SO
3MのMが、アンモニウムイオンである<1>〜<69>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0280】
<71>SO
3MのMが、アルカリ金属イオンである、好ましくはナトリウムイオン及びカリウムイオンから選ばれるアルカリ金属イオンである、<1>〜<69>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0281】
<72>一般式(B4)中のn
5及びn
6の合計が、好ましくは20以上、より好ましくは50以上、そして、好ましくは150以下、より好ましくは100以下の数である、<1>〜<71>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0282】
<73>化合物(B4)が、脂肪族アミンアルキレン付加物の硫酸エステル化物から選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<72>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0283】
<74>(B)成分が、化合物(B1)、化合物(B2)、化合物(B3)、及び化合物(B4)に属する化合物の1種以上である、<1>〜<73>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0284】
<75>(B)成分が、化合物(B1)、化合物(B2)及び化合物(B3)から選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<74>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0285】
<76>(B)成分が、化合物(B1)から選ばれる1種以上の化合物である、<1>〜<75>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0286】
<77>(B)成分として、化合物(B1)、化合物(B2)及び化合物(B3)から選ばれる1種以上の化合物、更に、化合物(B1)から選ばれる1種以上の化合物を含有する、<1>〜<75>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0287】
<78>(A)成分を、固形分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、更に好ましくは95質量%以下含有する、<1>〜<77>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0288】
<79>(B)成分を、固形分中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下含有する、<1>〜<78>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0289】
<80>(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である、<1>〜<79>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0290】
<81>(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物であり、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは、0.2%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.8%以上、より更に好ましくは1.5%以上、より更に好ましくは5%以上、そして、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは30%以下、より更に好ましくは20%以下、より更に好ましくは15%以下、より更に好ましくは10%以下、より更に好ましくは8%以下である、<1>〜<80>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物(ただし、<8>を引用するものを除く)。
【0291】
<82>(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物であり、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは16.1%以上、より好ましくは30.1%以上、そして、50%以下である、<1>〜<80>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物(ただし、<8>を引用するものを除く)。
【0292】
<83>(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物であり、((B)成分が一般式(B)中のR
11が置換基を有するアリール基である化合物であり、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上、そして、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは5%以下、より更に好ましくは4.5%以下、より更に好ましくは3%以下である、<1>〜<80>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物(ただし、<8>を引用するものを除く)。
【0293】
<84>(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物であり、((B)成分が一般式(B)中のR
11がアルケニル基である化合物であり、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは1.5%以上、より好ましくは3%以上、更に好ましくは4%以上、より更に好ましくは6.5%以上、そして、好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下である、<1>〜<80>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物(ただし、<8>を引用するものを除く)。
【0294】
<85>(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物であり、((B)成分が一般式(B)中のR
11が炭素数16以上18以下のアルキル基である化合物であり、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、更に好ましくは2%以上、より更に好ましくは3.5%以上、より更に好ましくは5%以上、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは25%以下、より更に好ましくは15%以下、より更に好ましくは10%以下である、<1>〜<80>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物(ただし、<8>を引用するものを除く)。
【0295】
<86>(A)成分がナフタレン環を含むモノマー単位を有する高分子化合物であり、((B)成分が一般式(B)中のR
11が炭素数6以上10以下のアルキル基である化合物であり、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合が、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1.5%以上、そして、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましくは3%以である、<1>〜<80>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物(ただし、<8>を引用するものを除く)。
【0296】
<87>(C)ポリカルボン酸系共重合体〔以下、(C)成分という〕を含有する、<1>〜<86>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0297】
<88>(C)成分が、下記一般式(C1)で示される単量体(C1)と下記一般式(C2)で示される単量体(C2)とを構成単量体として含む共重合体〔以下、共重合体(C)という〕である、<87>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0299】
〔式中、
R
11c、R
12c:同一でも異なっていても良く、水素原子又はメチル基
R
13c:水素原子又は−COO(AO)
n’X
1
X
1:炭素数1以上4以下のアルキル基
AO:エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる基
n’:AOの平均付加モル数であり、1以上300以下の数
p:0以上2以下の数
を示す。〕
【0301】
〔式中、
R
21c、R
22c、R
23c:同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基又は(CH
2)
rCOOM
2であり、(CH
2)
rCOOM
2は、COOM
1又は他の(CH
2)
rCOOM
2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM
1、M
2は存在しない。
M
1、M
2:同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基又は置換アルキルアンモニウム基
r:0以上2以下の数
を示す。〕
【0302】
<89>一般式(C1)中のR
11cが水素原子である、<88>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0303】
<90>一般式(C1)中のR
12cがメチル基である、<88>又は<89>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0304】
<91>一般式(C1)中のR
13cが水素原子である、<88>〜<90>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0305】
<92>一般式(C1)中のX
1がメチル基である、<88>〜<91>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0306】
<93>一般式(C1)中のAOがエチレンオキシ基である、又はAOがエチレンオキシ基を含む、<88>〜<92>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0307】
<94>一般式(C1)中のn’が、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、そして、好ましくは200以下、より好ましくは150以下の数である、<88>〜<93>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0308】
<95>一般式(C1)中のn’が、好ましくは5以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは40以上、そして、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、更に好ましくは100以下、より更に好ましくは80以下、より更に好ましくは50以下の数である、<88>〜<93>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0309】
<96>一般式(C1)中のpが0である、<88>〜<95>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0310】
<97>一般式(C2)中のR
21cが、水素原子である、<88>〜<96>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0311】
<98>一般式(C2)中のR
22cが、メチル基である、<88>〜<97>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0312】
<99>一般式(C2)中のR
23cが、水素原子である、<88>〜<98>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0313】
<100>一般式(C2)中、M
1、M
2が、それぞれ、水素原子である、<88>〜<99>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0314】
<101>一般式(C2)中の(CH
2)
rCOOM
2のrが、1である、<88>〜<100>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0315】
<102>共重合体(C)の構成単量体中の単量体(C1)と単量体(C2)の合計量が、90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは95質量%以上、そして、100質量%以下である、あるいは、100質量%である、<88>〜<101>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0316】
<103>共重合体(C)における単量体(C1)と単量体(C2)の合計に対する単量体(C2)の割合が、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは97モル%以下である、<88>〜<102>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0317】
<104>共重合体(C)における単量体(C1)と単量体(C2)の合計に対する単量体(C2)の割合が、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは77モル%以下である、<88>〜<102>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0318】
<105>(C)成分を、固形分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する、<87>〜<104>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0319】
<106>(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である、<87>〜<105>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0320】
<107>(A)成分と(C)成分の合計の含有量が、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下である、<87>〜<106>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0321】
<108>セメント分散剤、水溶性高分子化合物、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結剤、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、防腐剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上の成分〔(A)成分、(B)成分、又は(C)成分に該当するものを除く〕を含有する、<1>〜<107>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0322】
<109>形態が液体又は固体である、<1>〜<108>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0323】
<110>形態が液体であり、水を含有する、<1>〜<109>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0324】
<111>水の含有量が、該組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である、<110>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0325】
<112>(A)成分の含有量が、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下である、<110>又は<111>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0326】
<113>(B)成分の含有量が、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは32質量%以下である、<110>〜<112>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0327】
<114>(A)成分と(B)成分の合計の含有量が、該組成物中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である、<110>〜<113>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0328】
<115>前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である、遠心成型用水硬性組成物。
【0329】
<116>(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である、遠心成型用水硬性組成物。
【0330】
<117>水/水硬性粉体比が、10質量%以上、好ましくは12質量%以上、より好ましくは、15質量%以上であり、そして、25質量%以下、好ましくは20質量%以下である、<115>又は<116>に記載の遠心成型用水硬性組成物。
【0331】
<118>水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.4質量部以上、より更に好ましくは0.6質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下含有する、<115>〜<117>の何れかに記載の遠心成型用水硬性組成物。
【0332】
<119>水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.001質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、より更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下含有する、<115>〜<118>の何れかに記載の遠心成型用水硬性組成物。
【0333】
<120>水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下含有する、<115>〜<119>の何れかに記載の遠心成型用水硬性組成物。
【0334】
<121>前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)と(B)の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である、蒸気養生用水硬性組成物。
【0335】
<122>(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合が1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%、そして、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である、蒸気養生用水硬性組成物。
【0336】
<123>水/水硬性粉体比が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは、30質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である、<121>又は<122>に記載の蒸気養生用水硬性組成物。
【0337】
<124>水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは9.9質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下含有する、<121>〜<123>の何れかに記載の蒸気養生用水硬性組成物。
【0338】
<125>水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0025質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.2質量部以下含有する、<121>〜<124>の何れかに記載の蒸気養生用水硬性組成物。
【0339】
<126>水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、0.25質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上、そして、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下含有する、<121>〜<125>の何れかに記載の蒸気養生用水硬性組成物。
【0340】
<127>水硬性粉体が、セメント、及び石膏から選ばれる水硬性粉体である、好ましくはセメントである、より好ましくは普通ポルトランドセメント、ビーライトセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、及び耐硫酸塩セメントから選ばれるセメント、あるいは、セメントにポゾラン作用及び/又は潜在水硬性を有する粉体が添加されたセメント、もしくは、セメントに炭酸カルシウム粉末が添加されたセメントである、<115>〜<126>の何れかに記載の水硬性組成物。
ここでの水硬性組成物は、遠心成型用水硬性組成物又は蒸気養生用水硬性組成物の意味であり、以下においても同様である。
【0341】
<128>(C)成分のポリカルボン酸系共重合体を含有する、<115>〜<127>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0342】
<129>水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分を、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下含有する、<128>に記載の水硬性組成物。
【0343】
<130>水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下含有する、<128>又は<129>に記載の水硬性組成物。
【0344】
<131>(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である、<128>〜<130>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0345】
<132>骨材が、細骨材及び粗骨材から選ばれる骨材である、<115>〜<131>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0346】
<133>細骨材が、JIS A0203−2014中の番号2311で規定される細骨材である、更に、川砂、陸砂、山砂、海砂、石灰砂、珪砂、及びこれらの砕砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、軽量細骨材(人工及び天然)、並びに再生細骨材から選ばれる細骨材である、<132>に記載の水硬性組成物。
【0347】
<134>粗骨材が、JIS A0203−2014中の番号2312で規定される粗骨材である、更に、川砂利、陸砂利、山砂利、海砂利、石灰砂利、及びこれらの砕石、高炉スラグ粗骨材、フェロニッケルスラグ粗骨材、軽量粗骨材(人工及び天然)、並びに再生粗骨材から選ばれる粗骨材である、<132>又は<133>に記載の水硬性組成物。
【0348】
<135>水硬性組成物がコンクリートであり、粗骨材の使用量が、嵩容積で、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上であり、そして、好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは80%以下である、<115>〜<134>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0349】
<136>細骨材の使用量が、好ましくは500kg/m
3以上、より好ましくは600kg/m
3以上、更に好ましくは700kg/m
3以上であり、そして、好ましくは1000kg/m
3以下、より好ましくは900kg/m
3以下である、<135>に記載の水硬性組成物。
【0350】
<137>セメントを用いたコンクリートである、<135>又は<136>に記載の水硬性組成物。
【0351】
<138>水硬性組成物がモルタルであり、細骨材の使用量が、好ましくは800kg/m
3以上、より好ましくは900kg/m
3以上、更に好ましくは1000kg/m
3以上であり、そして、好ましくは2000kg/m
3以下、より好ましくは1800kg/m
3以下、更に好ましくは1700kg/m
3以下である、<115>〜<133>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0352】
<139>セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、又は寒中用である、<115>〜<138>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0353】
<140>AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、及び流動化剤から選ばれる1種以上の成分〔(A)成分、(B)成分、又は(C)成分に該当するものを除く〕を含有する、<115>〜<139>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0354】
<141>早強剤及びキレート剤から選ばれる1種以上を含有する、<115>〜<140>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0355】
<142>キレート剤の含有量が水硬性粉体100質量部に対し0.1質量部以下である、<115>〜<141>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0356】
前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物で述べた事項は、これらの水硬性組成物に適宜適用することができる。
【0357】
<143>(A)成分と、(B)成分とを混合する、水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
ここでの水硬性組成物用分散剤組成物は、遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物又は蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物の意味であり、以下においても同様である。
【0358】
<144>(A)成分と(B)成分と(C)成分とを混合する、水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0359】
<145>水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有し、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である、<144>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0360】
<146>水硬性組成物用分散剤組成物が水を含有し、(A)成分と(C)成分の合計の含有量が、該組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは7量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは32質量%以下、更に好ましくは27質量%以下となるように、(A)成分と(C)成分とを用いる、<144>又は<145>に記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0361】
<147>前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物を製造する、<143>〜<146>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0362】
<148>(A)成分と(B)成分と水とを含有する水硬性組成物用分散剤組成物を製造する、<143>〜<147>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0363】
<149>(B)成分の凝固点以上に加熱した(A)成分の水溶液、及び(B)成分を攪拌機で混合する、<143>〜<148>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0364】
<150>(A)成分、及び(B)成分をそれぞれ水に溶解させ、(A)成分の水溶液、及び(B)成分の水溶液を混合する、<143>〜<148>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0365】
<151>水硬性組成物用分散剤組成物が遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物である、<143>〜<150>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0366】
<152>水硬性組成物用分散剤組成物が蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物であり、(A)成分と(B)成分とを、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%、そして、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下となるように混合する、<143>〜<150>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法。
【0367】
前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物、及び前記<115>〜<142>の水硬性組成物で述べた事項は、これらの水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法に適宜適用することができる。
【0368】
<153>水硬性粉体と、骨材と、水と、(A)成分と、(B)成分とを混合する水硬性組成物の製造方法。
ここでの水硬性組成物は、遠心成型用水硬性組成物又は蒸気養生用水硬性組成物の意味であり、以下においても同様である。
【0369】
<154>水硬性粉体と、骨材と、水と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを混合する、水硬性組成物の製造方法。
【0370】
<155>水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下混合する、<154>に記載の水硬性組成物の製造方法。
【0371】
<156>(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下である、<154>又は<155>に記載の水硬性組成物の製造方法。
【0372】
<157>水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、0.001質量部以上、0.01質量部以上、0.1質量部以上、0.15質量部以上、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上、0.47質量部以上、0.5質量部以上、又は0.6質量部以上、そして、10質量部以下、9.9質量部以下、5質量部以下、2質量部以下、1質量部以下、0.9質量部以下、0.6質量部以下、又は0.52質量部以下、から選択して混合する、<153>〜<156>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0373】
<158>水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、0.0001質量部以上、0.001質量部以上、0.0025質量部以上、0.01質量部以上、0.03質量部以上、0.05質量部以上、又は0.06質量部以上、そして、10質量部以下、6質量部以下、5質量部以下、2質量部以下、1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下、0.2質量部以下から選択して混合する、<153>〜<157>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0374】
<159>水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、混合する、<153>〜<158>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0375】
<160>(A)成分及び(B)成分と水とを予め混合し、水硬性粉体と混合する、<153>〜<159>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0376】
<161>水硬性粉体と、<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物とを混合する、<153>〜<160>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0377】
<162>水硬性組成物用分散剤組成物が液体又は固体である、<161>に記載の水硬性組成物の製造方法。
【0378】
<163>水硬性組成物用分散剤組成物が、水を含有する液体である、<161>又は<162>に記載の水硬性組成物の製造方法。
【0379】
<164>水硬性組成物用分散剤組成物を、水硬性粉体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1.2質量部以下、混合する、<161>〜<163>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0380】
<165>得られた水硬性組成物を、更に、型枠に充填し養生し硬化させる、<153>〜<164>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0381】
<166>型枠が、建築物の型枠、又はコンクリート製品用の型枠である、<165>に記載の水硬性組成物の製造方法。
【0382】
<167>水硬性組成物の型枠への充填を、ミキサーから直接水硬性組成物を投入する方法、又は水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法により行う、<165>又は<166>に記載の水硬性組成物の製造方法。
【0383】
<168>水硬性組成物を加熱養生する、更に40℃以上90℃以下の温度で水硬性組成物を保持して加熱養生する、<165>〜<167>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0384】
<169>水硬性組成物が遠心成型用水硬性組成物であり、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.4質量部以上、より更に好ましくは0.6質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下、混合する、<153>〜<168>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0385】
<170>水硬性組成物が遠心成型用水硬性組成物であり、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.001質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、より更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下、混合する、<153>〜<169>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0386】
<171>水硬性組成物が遠心成型用水硬性組成物であり、該水硬性組成物における水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下であり、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、混合する、<153>〜<170>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0387】
<172>蒸水硬性組成物が蒸気養生用水硬性組成物であり、該水硬性組成物における水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分と(B)成分とを、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%、そして、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下となるように混合する、<153>〜<168>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0388】
<173>水硬性組成物が蒸気養生用水硬性組成物であり、該水硬性組成物における水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分を、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは9.9質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下、混合する、<153>〜<168>、及び<172>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0389】
<174>水硬性組成物が蒸気養生用水硬性組成物であり、該水硬性組成物における水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分を、好ましくは0.0025質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.5質量部以下、より更に好ましくは0.2質量部以下、混合する、<153>〜<168>、<172>、及び<173>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0390】
<175>水硬性組成物が蒸気養生用水硬性組成物であり、該水硬性組成物における水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で、0.25質量部以上、好ましくは0.4質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、そして、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下、混合する、<153>〜<168>、<171>〜<174>の何れかに記載の水硬性組成物の製造方法。
【0391】
前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物、前記<115>〜<142>の水硬性組成物、及び前記<143>〜<152>の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法で述べた事項は、これらの水硬性組成物の製造方法に適宜適用することができる。
【0392】
<176>次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1:水、水硬性粉体、骨材、及び、<1>〜<114>のうち遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物を記述する何れかに記載の遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
【0393】
<177>次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1:水、水硬性粉体、(A)成分、(B)成分及び骨材を混合し、遠心成型用水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
【0394】
<178>次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1:水、水硬性粉体、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
【0395】
<179>工程1で、水と前記遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物とを含む混合物又は水と(A)成分と(B)成分とを含む混合物を、骨材及び水硬性粉体に添加して混合する、<176>〜<178>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0396】
<180>工程1が、水硬性粉体と骨材とを混合し、水と前記遠心成型用水硬性組成物用分散剤組成物とを含む混合物又は水と(A)成分と(B)成分とを含む混合物を添加し、混練して水硬性組成物を調製する工程である、<176>〜<179>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0397】
<181>工程1で、水/水硬性粉体比が、10質量%以上、好ましくは11質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは17質量%以上、そして、25質量%以下、好ましくは24質量%以下、より好ましくは23質量%以下、更に好ましくは22質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下の水硬性組成物を調製する、<176>〜<180>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0398】
<182>工程3で、水硬性組成物を少なくとも1回は遠心力を変えて型締めする、更に、段階的に変化する遠心力をかけて水硬性組成物を型締めする、<176>〜<181>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0399】
<183>工程3で、型枠に充填した水硬性組成物を、0.5G以上の遠心力で型締めする、<176>〜<182>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0400】
<184>工程3で、遠心成型の遠心力が、好ましくは0.5G以上、そして、30G以下、より好ましくは25G以下である、<176>〜<183>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0401】
<185>工程3で、1分以上、遠心力を15G以上、そして、30G以下、更に25G以下の範囲に保持する、<176>〜<184>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0402】
<186>工程3で、0.5G以上30G以下の遠心力を、好ましくは5分以上、より好ましくは7分以上、更に好ましくは9分以上、そして、好ましくは40分以下かけて、水硬性組成物を型締めする、<176>〜<185>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0403】
<187>工程3で、20G以上の遠心力の保持による締め固めを、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、好ましくは15分以下行なう、<176>〜<186>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0404】
<188>工程3で、遠心力での締め固めを、段階的に遠心力Gを大きくする方法で行う、<176>〜<187>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0405】
<189>工程3で、(1)一段階目である初速が0.5G以上2G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(2)二段階目である二速が2G以上5G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(3)三段階目である三速が5G以上10G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(4)四段階目である四速が10G以上20G未満の遠心力で0分間超15分間以下、(5)五段階目である五速が20G以上30G以下の遠心力で0分間超15分間以下、の条件により水硬性組成物の型締めを行う、<188>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0406】
<190>工程4で、工程3で得られた水硬性組成物を、混練後3〜4時間の気中養生を行う、<176>〜<189>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0407】
<191>工程4の後に、下記の工程5を有する、<176>〜<190>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程5:工程4で凝結した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
【0408】
<192>工程5で、40℃以上、好ましくは60℃以上、そして、90℃以下で蒸気養生を行なう、<191>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0409】
<193>工程5で、10℃以上40℃以下に1時間以上4時間以下放置する前養生を行った後、60℃以上90℃以下で蒸気養生を行なう、<191>又は<192>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0410】
<194>工程5の後に、下記の工程6を有する、<191>〜<193>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程6:工程5の後、水硬性組成物を冷却して、型枠から脱型する工程。
【0411】
<195>工程6を含み、工程5と工程6を一連の温度制御のもとに連続して行う、<194>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0412】
<196>工程5で、1時間当たり10℃以上30℃以下の昇温速度で型枠の周囲温度を60℃以上85℃以下に昇温し、昇温した温度を2時間以上8時間以下保持し、次いで、工程6で、1時間当たり5℃以上20℃以下の降温速度で室温、例えば20℃まで冷却し、成型体を脱型する、<194>又は<195>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0413】
<197>工程5で、水硬性組成物が充填された型枠を、周囲温度10℃以上30℃以下で3時間放置し、1時間あたり20℃の昇温速度で周囲温度を70℃以上90℃以下まで昇温させ、その昇温した70℃以上90℃以下の温度を2時間以上6時間以下保持し、次いで、1時間あたり10℃の降温速度で周囲温度を室温、例えば20℃まで冷却し、その温度で20時間以上30時間以下放置した後に成型体を脱型する、<194>〜<196>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0414】
<198>更に180℃程度のオートクレーブ養生を行なう、<194>〜<197>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0415】
<199>工程1〜6を含み、水硬性組成物の調製を開始してから工程6で脱型するまでの時間が8時間以上30時間以下である、<194>〜<198>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0416】
<200>工程6の後に、下記の工程7を有する、<194>〜<199>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程7:工程6で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する工程。
【0417】
<201>工程7で、工程6で得られた水硬性組成物の硬化体を20℃、大気圧下で保存する、<200>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0418】
<202>得られる水硬性組成物の硬化体が、遠心成型コンクリート製品である、更に、パイル、ポール、及びヒューム管から選ばれる遠心成型コンクリート製品である、<176>〜<201>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0419】
<203>次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1’:水、水硬性粉体、骨材、及び、<2>〜<114>のうち蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を記述する何れかに記載の蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下である水硬性組成物を調製する工程であって、前記蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物を、(A)の混合量と(B)の混合量の合計に対する(B)の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下、且つ(A)と(B)の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する、工程。
工程2’:工程1’で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程5’:工程2’で型枠に充填した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
【0420】
<204>次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1’:水、水硬性粉体、(A)成分、(B)成分及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下である蒸気養生用水硬性組成物を調製する工程であって、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分の混合量と(B)成分の混合量の合計に対する(B)成分の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下、且つ(A)成分と(B)成分の混合量の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する、工程。
工程2’:工程1’で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程5’:工程2’で型枠に充填した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
【0421】
<205>次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1’:水、水硬性粉体、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び骨材を混合し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下である水硬性組成物を調製する工程であって、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分の混合量と(B)成分の混合量の合計に対する(B)成分の混合量の割合が1質量%以上60質量%以下、且つ(A)成分と(B)成分の合計が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下となるように混合する、工程。
工程2’:工程1’で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程5’:工程2’で型枠に充填した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
【0422】
<206>工程1’で、水と前記蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物とを含む混合物又は水と(A)成分と(B)成分とを含む混合物を、骨材及び水硬性粉体に添加して混合する、<203>〜<205>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0423】
<207>工程1’が、水硬性粉体と骨材とを混合し、水と前記蒸気養生用水硬性組成物用分散剤組成物とを含む混合物又は水と(A)成分と(B)成分とを含む混合物を添加し、混練して水硬性組成物を調製する工程である、<203>〜<206>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0424】
<208>工程1’で、水/水硬性粉体比が、10質量%以上、好ましくは18質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは、30質量%以上であり、そして、53質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下の水硬性組成物を調製する、<203>〜<207>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0425】
<209>工程5’で、40℃以上、好ましくは60℃以上、そして、90℃以下で蒸気養生を行なう、<203>〜<208>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0426】
<210>工程5’で、10℃以上40℃以下に0.2時間以上4時間以下放置する前養生を行った後、1時間あたり20℃以上100℃以下の昇温速度で周囲温度を昇温し、その昇温された50℃以上70℃以下の温度で2時間以上保持して蒸気養生を行う、<203>〜<209>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0427】
<211>工程1’での(A)成分の混合量と(B)成分の混合量の合計に対する(B)成分の混合量の割合が3質量%以上7質量%以下であり、工程5’の蒸気養生の前養生を、10℃以上40℃以下で、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、そして、好ましくは4時間以下、より好ましくは3.5時間以下、更に好ましくは2.5時間以下、より更に好ましくは0.7時間以下、行う、<203>〜<210>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0428】
<212>工程1’での(A)成分の混合量と(B)成分の混合量の合計に対する(B)成分の混合量の割合が15質量%以上25質量%以下であり、工程5’の蒸気養生の前養生を、10℃以上40℃以下で、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上、より更に好ましくは0.7時間以上、より更に好ましくは1.5時間以上、そして、好ましくは4時間以下、より好ましくは3時間以下、更に好ましくは2.5時間以下、行う、<203>〜<210>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0429】
<213>得られる水硬性組成物の硬化体が、カーテンウォール、ボックスカルバート、及びL型擁壁から選ばれるコンクリート製品である、<203>〜<212>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0430】
<214>工程5’の後に、下記の工程6’を有する、<203>〜<213>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程6’:工程5’の後、水硬性組成物を冷却して、型枠から脱型する工程。
【0431】
<215>工程6’を含み、工程5’と工程6’を一連の温度制御のもとに連続して行う、<214>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0432】
<216>工程5’で、1時間当たり10℃以上30℃以下の昇温速度で型枠の周囲温度を60℃以上85℃以下に昇温し、昇温した温度を2時間以上8時間以下保持し、次いで、工程6’で、1時間当たり5℃以上20℃以下の降温速度で室温、例えば20℃まで冷却し、成型体を脱型する、<214>又は<215>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0433】
<217>工程5’で、水硬性組成物が充填された型枠を、周囲温度10℃以上30℃以下で3時間放置し、1時間あたり20℃の昇温速度で周囲温度を70℃以上90℃以下まで昇温させ、その昇温した70℃以上90℃以下の温度を2時間以上6時間以下保持し、次いで、1時間あたり10℃の降温速度で周囲温度を室温、例えば20℃まで冷却し、その温度で20時間以上30時間以下放置した後に成型体を脱型する、<214>〜<216>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0434】
<218>更に180℃程度のオートクレーブ養生を行なう、<214>〜<217>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0435】
<219>工程6’の後に、下記の工程7’を有する、<214>〜<218>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程7’:工程6’で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する工程。
【0436】
<220>工程7’で、工程6’で得られた水硬性組成物の硬化体を20℃、大気圧下で保存する、<219>に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0437】
<221>工程2又は工程2’で、工程1又は工程1’で得られた水硬性組成物を型枠に充填する方法が、混練後の水硬性組成物を混練手段から排出し、手作業にて型枠へ投入してならす方法である、<176>〜<220>の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0438】
<222>(A)成分と(C)成分とを、(C)成分と(A)成分の質量比、(C)/(A)が、好ましくは0/100以上、より好ましくは0/100超、更に好ましくは0.05/99.95以上、より更に好ましくは0.1/99.9以上、より更に好ましくは1/99以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは30/70以下、更に好ましくは10/90以下となるように用いる、<176>〜<221>のうち、(C)成分を記述する項の何れかに記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
【0439】
前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物、前記<115>〜<142>の水硬性組成物、前記<143>〜<152>の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法、及び前記<153>〜<175>の水硬性組成物の製造方法で述べた事項は、前記の水硬性組成物の硬化体の製造方法に適宜適用することができる。
【0440】
<223>(A)成分と(B)成分とを含有する組成物、好ましくは前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の、遠心成型用水硬性組成物用分散剤としての使用。
【0441】
<224>(A)成分と(B)成分とを含有し、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下である組成物、好ましくは前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物の、蒸気養生用水硬性組成物用分散剤としての使用。
【0442】
<225>前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物の、遠心成型用水硬性組成物としての使用。
【0443】
<226>(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物の、遠心成型用水硬性組成物としての使用。
【0444】
<227>前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物の、蒸気養生用水硬性組成物としての使用。
【0445】
<228>(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、し、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物の、蒸気養生用水硬性組成物としての使用。
【0446】
前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物、前記<115>〜<142>の水硬性組成物、前記<143>〜<152>の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法、及び前記<153>〜<175>の水硬性組成物の製造方法、及び前記<176>〜<222>の水硬性組成物の硬化体の製造方法で述べた事項は、これらの使用に、適宜適用することができる。
【0447】
<229>遠心成型用水硬性組成物用分散剤に用いるための、(A)成分と(B)成分とを含有する組成物、好ましくは前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0448】
<230>蒸気養生用水硬性組成物用分散剤に用いるための、(A)成分と(B)成分とを含有し、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下である組成物、好ましくは前記<1>〜<114>の何れかに記載の水硬性組成物用分散剤組成物。
【0449】
<231>遠心成型用水硬性組成物に用いるための、前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物、好ましくは前記<115>〜<142>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0450】
<232>遠心成型用水硬性組成物に用いるための、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上25質量%以下である組成物、好ましくは前記<115>〜<142>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0451】
<233>蒸気養生用水硬性組成物に用いるための、前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物、好ましくは前記<114>〜<142>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0452】
<234>蒸気養生用水硬性組成物に用いるための、(A)成分と、(B)成分と、水硬性粉体と、骨材と、水とを含有し、水/水硬性粉体比が10質量%以上53質量%以下であり、し、(A)の含有量と(B)の含有量の合計に対する(B)の含有量の割合が1質量%以上60質量%以下であり、(A)成分と(B)成分の合計の含有量が水硬性粉体100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である組成物、好ましくは前記<115>〜<142>の何れかに記載の水硬性組成物。
【0453】
前記<1>〜<114>の水硬性組成物用分散剤組成物、前記<115>〜<142>の水硬性組成物、前記<143>〜<152>の水硬性組成物用分散剤組成物の製造方法、及び前記<153>〜<175>の水硬性組成物の製造方法、及び前記<176>〜<222>の水硬性組成物の硬化体の製造方法で述べた事項は、これらの組成物に、適宜適用することができる。
【実施例】
【0454】
<実施例1及び比較例1>
(1)コンクリート配合
表1にコンクリート配合を示した。表1中のW/(C+P)は、水/水硬性粉体比である。
【0455】
【表1】
【0456】
表中の成分は以下である。
W:和歌山市水道水
C:早強ポルトランドセメント(二種混合:太平洋セメント株式会社製早強ポルトランドセメント/住友大阪セメント株式会社製早強ポルトランドセメント=1/1、質量比)、密度3.14g/cm
3
P:高強度混和材(石膏系)
S:細骨材、砕砂
G:粗骨材、砕石 小
なお、表1のWは、表2で用いた(A)〜(C)成分から選ばれる成分を含んでおり、それらの成分の量はコンクリート配合に対して微量であるため、Wの量に算入してW/(C+P)を計算した。
【0457】
表2の(A)〜(C)成分は、以下のものである。
〔(A)成分〕
・NSF:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、重量平均分子量15000
このNSFは、特公昭48−11737の実施例に基づいて作製したものである。
【0458】
〔(B)成分〕
・AES(30):ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル硫酸エステルアンモニウム
・AES(60):ポリオキシエチレン(60)オレイルエーテル硫酸エステルアンモニウム
・AE(30):ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル
・AE(60):ポリオキシエチレン(60)オレイルエーテル
・Amite(20):ポリオキシエチレン(20)ステアリルアミンエーテル
(B)成分のかっこ内の数字は、エチレンオキシド平均付加モル数である(以下の実施例、比較例でも同様)。
【0459】
〔(C)成分〕
・PCE:メタクリル酸/メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数120)=95/5(モル比)の共重合体、重量平均分子量20000
このPCEは、特開平8−12397の製造例12に基づいて作製したものである。
【0460】
(2)遠心成型用コンクリートの調製方法
表2の添加量となるように(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び水を含有する分散剤組成物を調製した。表1のコンクリート配合材料の水(W)に分散剤組成物を添加し、他のコンクリート配合材料と共に強制二軸ミキサーで4分間混練りして、遠心成型用コンクリートを調製した。なお、添加量は各成分の混合量である(以下の実施例、比較例でも同様)。
【0461】
(3)成型性
遠心成型用コンクリート15kgを遠心成型型枠(内径20cm×高さ30cm)に入れて、初速1Gで3分間、二速3Gで3分間、三速9Gで2分間、四速25Gで3分間の遠心締め固めを行った。その後、前置き20℃で3時間、昇温20℃/時間、保持70℃で6時間、以後放冷、の蒸気養生を行った。
脱型後、硬化体の上部と下部のコンクリート厚み(mm)を各4ヶ所(計8ヶ所)測定し、以下の基準で評価した。
◎:8ヶ所の厚みの最大値と最小値の差が3mm未満
○:8ヶ所の厚みの最大値と最小値の差が3mm以上5mm以下(内面のペースト層が軟らかく、下部に若干量堆積している状態)
×:8ヶ所の厚みの最大値と最小値の差が5mm超(著しいダレ、あるいはジャンカにより製品形態を保てていない状態)
【0462】
(4)圧縮強度
成型性の評価に用いた硬化体厚みの平均値から圧縮面積を求めた。同じ硬化体について、JIS A 1108に従い、混練から7日後の硬化体の圧縮応力を測定した。圧縮強度を、圧縮強度=圧縮応力/圧縮面積の式により求めた。なお、成型性の評価が「×」の一部の比較例については、圧縮強度の評価は行わなかった。
【0463】
これらの結果を表2に示した。
【0464】
【表2】
【0465】
表2中、添加量は、セメント(C)と高強度混和材(P)の合計100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表2中、全添加量は、セメント(C)と高強度混和材(P)の合計100質量部に対する、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表2中、(B)/[(A)+(B)]は、分散剤組成物中の(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の合計に対する(B)成分の含有量の割合(質量%)である(以下の実施例、比較例でも同様)。
また、表2中、(B)/ナフタレン環のモル割合は、(A)成分中のナフタレン環を含むモノマー単位に対する(B)成分の総量のモル割合(%)である(以下の実施例、比較例でも同様)。
【0466】
表2の結果より、本発明の(A)成分と(B)成分とを併用すると、遠心成型性がよく、遠心成型後の硬化体強度が向上することが分かる。
【0467】
<実施例2及び比較例2>
(1)モルタル配合
表3にモルタル配合を示した。
【0468】
【表3】
【0469】
表中の成分は以下である。
W:和歌山市水道水
C:Nghi Son Cement Corporation製(ベトナム)「PCB−40」
S:細骨材(城陽産山砂、粒径3.5mm以上の粒子を除いたもの)
なお、表3のWは、表5、6で用いた(A)成分、(B)成分から選ばれる成分を含んでおり、それらの成分の量はモルタル配合に対して微量であるため、Wの量に算入してW/Cを計算した。
【0470】
表5、6の(A)成分、(B)成分は、以下のものである。
〔(A)成分〕
・NSF:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、重量平均分子量15000
このNSFは、特公昭48−11737の実施例に基づいて作製したものである。
【0471】
〔(B)成分〕
表4に示す(B)成分を用いた。なお、B’−1は、(B)成分の比較化合物であるが、便宜的に、表4に示した。
【0472】
(2)モルタルの調製方法
表5、6の添加量となるように(A)成分、(B)成分、及び水を含有する分散剤組成物を調製した。
モルタルの配合原料の温度と作業環境の温度(室温)は、それぞれ30℃に設定した。
モルタルミキサー(株式会社ダルトン製 万能混合撹拌機 型式:5DM−03−γ)を用いて、セメント(C)、細骨材(S)を投入し空練りをモルタルミキサーの低速回転(63rpm)にて10秒行い、そこに30℃の練り水(W)を加えた。練り水(W)は、分散剤組成物と消泡剤とを含んでいた。そして、モルタルミキサーの低速回転(63rpm)にて120秒間本混練りしてモルタルを調製した。
消泡剤は、フォームレックス797(日華化学株式会社製)を、(B)成分に対して、3質量%添加した。
【0473】
(3)流動性
JIS R 5201の試験方法に従って、調製したモルタルのフローを測定した。
モルタルフローが180〜200mmになるように、(A)成分と(B)成分の添加量を調整した。
【0474】
(4)強度
混練して得られたモルタルを、内径50mm×高さ100mmの型枠に充填し、蒸気養生を含む製造方法で硬化させ、得られたモルタル硬化体の強度を、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて試験した。
【0475】
なお、硬化体を得る際の蒸気養生は、表5、6に示す所定時間の前置きの後に行った。前置き時間は、設定温度(この場合は30℃)において、練り水(W)をモルタルミキサーに添加してから蒸気養生のための昇温を開始するまでの時間である。前置きは、型枠に水硬性組成物を充填し、設定温度(この場合は30℃)でモルタルが充填された型枠を静置して行った。以下の実施例、比較例においても同様である。
蒸気養生は、エスペック株式会社製恒温恒湿器「PR−3J」を用い、湿度の設定を100%として実施した。
蒸気養生における昇温は、恒温恒湿器の設定温度として、30℃から70℃まで0.5時間で行った。次いで、蒸気養生は、恒温恒湿器の設定温度を70℃で一定として、3.5時間行った。蒸気養生における降温は、恒温恒湿器の設定温度として、70℃から30℃まで0.5時間で行った。恒温恒湿器の設定温度が30℃に達した後、硬化物を脱型し、ただちに強度を測定した。
【0476】
【表4】
【0477】
*炭素数:一般式(B1)〜(B4)中のR
11、R
21、R
31又はR
41の炭素数
【0478】
【表5】
【0479】
【表6】
【0480】
表5、6中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表5、6中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表5、6中、圧縮強度比は、比較例2−1の圧縮強度を100%としたときの相対値である。
【0481】
<実施例3及び比較例3>
モルタル配合を表7のように変更して実施例2と同様にモルタルを調製し、流動性及び強度を評価した。結果を表8に示した。
【0482】
【表7】
【0483】
【表8】
【0484】
表8中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表8中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表8中、圧縮強度比は、それぞれのW/Cにおいて、比較例又は試験例3−1の圧縮強度を100%としたときの相対値である。
【0485】
W/Cが55質量%の場合、所定のモルタルフローを得るための(A)成分と(B)成分の合計の添加量は0.22質量部であった。この場合は、(A)成分のみを添加した場合と比べて、(A)成分と(B)成分を併用した場合でも、圧縮強度は変わらない。なお、W/Cが55質量%のモルタル配合で、(A)成分と(B)成分の合計の添加量を0.27質量部にすると、材料分離が生じ、硬化体の下層に細骨材(砂)が沈降した。そのため、正確な強度が測定できなかった。
一方、W/Cが35質量%、45質量%又は50質量%の場合は、所定のモルタルフローを得るための(A)成分と(B)成分の合計の添加量は0.25質量部以上必要であり、この場合は(A)成分と(B)成分を併用することで、圧縮強度が大きくなることが分かる。なお、W/Cが35質量%のモルタル配合で、(A)成分と(B)成分の合計の添加量を0.22質量部にすると、流動性が全く発現せず、強度測定のための硬化体を製造することができなかった。
【0486】
<実施例4及び比較例4>
セメントの種類を表9のように変更して実施例2と同様にモルタルを調製し、流動性及び強度を評価した。一部の例では、モルタル配合原料の温度、作業環境の温度、並びに、蒸気養生時の昇温開始時の温度及び降温終了時の温度の温度を、それぞれ、20℃に変更して行った。結果を表9に示した。
【0487】
【表9】
【0488】
*温度:モルタル配合原料及び作業環境(室温)の温度
【0489】
表9中のセメント種は、以下のものである。
・ベトナムセメント:Nghi Son Cement Corporation製 「PCB−40」
・タイセメント:The Siam Cement Public Company Ltd製 「Type1」
・マレーシアセメント:Lafarge Malaysia Berhad製 「OPC」
・インドネシアセメント:PT Semen Indonesia (persero) Tbk製 「OPC」
・中国セメント:安徽海螺水泥股▲分▼有限公司(Anhui Conch Cement Company Limited)製 「52.5」
【0490】
表9中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表9中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表9中、圧縮強度比は、それぞれのセメントにおいて、比較例の圧縮強度を100%としたときの相対値である。
【0491】
<実施例5及び比較例5>
モルタル配合を表10のように変更し、また、前置き時間と脱型までの時間を表11、12のように変更して、実施例2と同様にモルタルを調製し、流動性及び脱型直後の強度(表中「脱型直後」と表記した)を評価した。結果を表11、12に示した。表11には、28日後の強度(表中「28日後」と表記した)も示した。なお、脱型までの時間は、練り水(W)の添加から硬化体を型枠から取り出すまでの時間である。また、28日強度は、練り水(W)の添加から24時間後に脱型し、30℃の恒温水槽中で水中養生した後、練り水(W)の添加から28日後に測定した強度である。なお、表中、「蒸気無」の場合は、練り水(W)の添加から強度測定(24時間後)まで、設定室温(30℃)で養生した。
【0492】
【表10】
【0493】
【表11】
【0494】
【表12】
【0495】
表11、12中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表11、12中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表11、12中、圧縮強度比は、それぞれの前置き時間において、比較例の圧縮強度を100%としたときの相対値である。
【0496】
蒸気養生無しの場合は、(A)成分と(B)成分を所定量添加しても、圧縮強度はほとんど変わらないのに対し、蒸気養生をすると(A)成分と(B)成分を所定量添加することにより圧縮強度が大きくなることがわかる。28日後の圧縮強度でも同じことが言える。なお、一般に、蒸気養生をすると28日後の強度が蒸気養生をしない場合よりも低下することは、当業者にとって常識である。
【0497】
<実施例6及び比較例6>
実施例2のモルタル配合におけるセメントの一部をフライアッシュで置換し、実施例2と同様にモルタルを調製し、流動性及び強度を評価した。フライアッシュによる置換率は、表13の通りとした。表13中のFAは、フライアッシュの略である。なお、フライアッシュは、中国産フライアッシュ原粉を用いた。結果を表14に示した。
【0498】
【表13】
【0499】
【表14】
【0500】
表14中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表14中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表14中、圧縮強度比は、それぞれのフライアッシュ置換率において、比較例の圧縮強度を100%としたときの相対値である。
【0501】
表14の結果から、セメントの一部をフライアッシュに換えても本発明により強度が向上することが分かる。
【0502】
<実施例7及び比較例7>
(1)モルタル配合
表15にモルタル配合を示した。
【0503】
【表15】
【0504】
表中の成分は以下である。
W:和歌山市水道水
C:Nghi Son Cement Corporation製(ベトナム)「PCB−40」
S:細骨材(城陽産山砂、粒径3.5mm以上の粒子を排除したもの)
なお、表15のWは、表17で用いた(A)成分、(B)成分、(C)成分から選ばれる成分を含んでいない。
【0505】
表17の(A)成分、(B)成分、(C)成分は、以下のものである。
〔(A)成分〕
・NSF:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、重量平均分子量15000
このNSFは、特公昭48−11737の実施例に基づいて作製したものである。
【0506】
〔(B)成分〕
表16に示す(B)成分を用いた。
【0507】
〔(C)成分〕
・PCE(A):AK Chemtech Co., Ltd.製ポリカルボン酸系分散剤AQUPOL MAR502(S)
・PCE(B):メタクリル酸/メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート=73/27(モル比)、特開平8−12397の製造例11に基づいて作製したもの
・PCE(C):アクリル酸/メトキシポリエチレングリコール(23)アクリレート=77/23(モル比)、特開平8−12397の製造例11に基づいて作製したもの
・PCE(D):株式会社日本触媒製ポリカルボン酸系分散剤アクアロック HW−80
【0508】
(2)モルタルの調製方法
モルタルの配合原料の温度と作業環境の温度(室温)は、それぞれ30℃に設定した。
モルタルミキサー(株式会社ダルトン製 万能混合撹拌機 型式:5DM−03−γ)を用いて、セメント(C)、細骨材(S)を投入し空練りをモルタルミキサーの低速回転(63rpm)にて10秒行い、(A)成分、(B)成分、(C)成分、消泡剤、及び30℃の水(W)を混合して得た練り水を加えた。そして、モルタルミキサーの低速回転(63rpm)にて180秒間本混練りしてモルタルを調製した。
消泡剤は、フォームレックス797(日華化学株式会社製)を、(B)成分に対して、3質量%添加した。
【0509】
(3)流動性
JIS R 5201の試験方法に従って、調製したモルタルのフローを測定した。結果を表17に示した。
実施例では、セメント100質量部に対する(A)〜(C)成分の合計の添加量を0.60質量部とした。
【0510】
(4)強度
モルタルを、蒸気養生を含む製造方法で硬化させ、得られたモルタル硬化体の強度を、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて試験した。結果を表17に示した。
【0511】
なお、硬化体を得る際の蒸気養生は、所定時間の前置き後に行った。前置きは、30℃で3時間行った。
蒸気養生は、エスペック株式会社製恒温恒湿器「PR−3J」を用い、湿度の設定を100%として実施した。
蒸気養生における昇温は、恒温恒湿器の設定温度として、30℃から75℃まで45分で行った。蒸気養生は、恒温恒湿器の設定温度を、75℃で一定として、2.5時間行った。蒸気養生における降温は、恒温恒湿器の設定温度として、75℃から30℃まで45分で行った。恒温恒湿器の設定温度が30℃に達した後、ただちに強度を測定した。
【0512】
【表16】
【0513】
【表17】
【0514】
表17中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表17中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計の固形分換算での添加量である。
また、表17中、圧縮強度比は、比較例7−1の圧縮強度を100%としたときの相対値である。
【0515】
(A)成分のNSFと(C)成分のPCEを併用する場合は、(B)成分を添加しないと増粘する。そのため、比較例7−2に示すように、(B)成分無しに(A)成分と(C)成分を用いても水硬性組成物の流動性は発現されない。
【0516】
<実施例8及び比較例8>
表18のコンクリート配合で、表19の(A)成分と(B)成分とを用いて、実施例1と同様に遠心成型用コンクリートを調製し、実施例1と同様に遠心成型による成型性及び圧縮強度を評価した。結果を表19に示した。
【0517】
【表18】
【0518】
【表19】
【0519】
表19中、添加量は、セメント(C)100質量部に対する、各成分の固形分換算での添加量である。
また、表19中、全添加量は、セメント(C)100質量部に対する、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分換算での添加量である。