(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油切り孔を有する保持容器がフライ製品の原料を保持している状態で、その保持容器をフライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬してフライ製品を製造することができるキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、
前記保持容器が密封して収容される前記フライ槽内を減圧又は真空にするための排気手段と、
前記フライ槽に接続され、減圧又は真空にされた前記フライ槽内に貯留されている揚げ油を取り出して、この取り出した揚げ油を前記フライ槽内に戻すことによって揚げ油を循環させるための循環ラインと、
前記循環ラインに設けられ、前記フライ槽内の揚げ油を前記循環ラインに通して循環させるための油循環ポンプと、
前記循環ラインの前記油循環ポンプの上流側に設けられ、揚げ油に含まれる揚げカスを回収するためのストレーナを有する密封されたストレーナタンクと、
前記ストレーナタンクの揚げ油出口部と前記ストレーナタンクの上部と前記フライ槽内とを互いに接続し、揚げ油に含まれるキャビテーションに基づいて発生する気泡を、減圧又は真空状態の前記フライ槽内に戻すためのキャビテーション防止ラインと、
を備え、
前記ストレーナタンクを複数備え、当該複数のストレーナタンクのうちのいずれかのストレーナタンクによって循環する揚げ油に含まれる揚げカスを回収している状態で、他のストレーナタンク内に溜まった揚げカスを取り出すことができる構成とし、
前記キャビテーション防止ラインでキャビテーションに基づいて発生する気泡を前記フライ槽内に戻す入口端部が、前記油循環ポンプよりも高い位置で複数の前記ストレーナタンクの揚げ油出口部の上壁と前記ストレーナタンクの上部とに接続され、
前記キャビテーション防止ラインの前記フライ槽に接続する接続部が、前記フライ槽内の揚げ油の油面の上側空間に連通するように設けられていることを特徴とするキャビテーション防止機能付きフライヤー装置。
前記油循環ポンプ、汚れた揚げ油を貯留するための濾過タンク、及び揚げ油を加熱するための熱交換器が、前記循環ラインの前記ストレーナタンクの下流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャビテーション防止機能付きフライヤー装置。
前記昇降手段は、前記保持容器に保持されている前記原料を、前記フライ槽内に貯留されている揚げ油に2回以上繰り返して浸漬して前記フライ製品を製造することを特徴とする請求項3に記載のキャビテーション防止機能付きフライヤー装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、
図12に示す従来のフライヤー装置1では、フライ槽8内が常圧(大気圧)であるので、食品原料2に含まれる水分を効果的に蒸発させることができず、そのために、フライ製品5の食感及び味を良好にするにも或る一定の限界がある。
【0007】
そこで、食品原料2に含まれる水分を効果的に蒸発させるために、揚げ油7の温度を上げることが考えられるが、このようにすると、フライ製品5に含まれる栄養成分が失われることがある。また、フライ製品5によっては、食感及び味が低下することもある。従って、揚げ油7の温度をあまり高くすることができない。
【0008】
また別の方法として、フライ槽8内を低圧又は真空にして、食品原料2に含まれる水分を効果的に蒸発させることが考えられる。
【0009】
ところで、フライヤー装置では、フライ槽内の揚げ油をフライ槽とは別に設置されるストレーナに通して揚げ油に含まれる揚げカスを回収したり、熱交換器に通して揚げ油を加熱することが必要である。そして、このように処理された揚げ油を循環ラインに通して、最終的にフライ槽内に戻すことが考えられる。そして、この循環ラインには、揚げ油を循環させるための循環ポンプが必要である。
【0010】
しかし、フライ槽内を低圧又は真空にすると、循環ポンプ内でキャビテーションが発生し易くなり、この循環ポンプによって、フライ槽内の揚げ油をストレーナ及び熱交換器に通してフライ槽内に戻ってくるように、揚げ油を確実に循環させることができないという問題が起こる。
【0011】
更に、
図12に示す従来のフライヤー装置1では、以下のような問題もある。つまり、移送機構3の移送籠3aがフライ槽8に貯留されている揚げ油7中に浸漬された状態で固定されているので、この移送籠3a内で移送される食品原料2は、揚げ油7に浸漬された状態で、移送籠3aの供給口3dから排出口3eまで移動することとなり、食品原料2がフライ製品5に出来上がるまでの時間が比較的長く掛かるという問題がある。
【0012】
なぜなら、食品原料2がフライ製品5に出来上がるまで継続して食品原料2を揚げ油7中に浸漬することとすると、食品原料2が揚げ油7によって包囲されているので、食品原料2に含まれる水分の蒸発が揚げ油7によって妨げられ、水分を効率的に蒸発させることができないからである。
【0013】
そして、食品原料2がフライ製品5に出来上がるまで継続して食品原料2を揚げ油7中に浸漬することとすると、食品原料2から蒸発した水分と入れ替わりに、同量の揚げ油7が食品原料2に吸い込まれることとなる。その結果、フライ製品5が揚げ油7によって湿気たようになり、食感及び味が低下する。
【0014】
また、
図12に示す従来のフライヤー装置1では、移送籠3a内に収容されている食品原料2やフライ製品5が、移送籠3aの内面や、移送スクリュー3cに付着することがあり、そのような食品原料2やフライ製品5は、必ずしも設定された時間で、供給口3dから排出口3eまで移送されて排出されないことがある。その結果、原料2のフライ時間にムラが生じることがあり、均質なフライ製品5を製造することができないことがある。
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、油循環ポンプ内でキャビテーションが起こらないようにして、この油循環ポンプによって、低圧又は真空状態のフライ槽内の揚げ油をストレーナに通してフライ槽内に戻ってくるように揚げ油を確実に循環させ、これによって、フライ製品の食感及び味を良好にすると共に、均質なフライ製品を製造できるキャビテーション防止機能付きフライヤー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置は、油切り孔を有する保持容器がフライ製品の原料を保持している状態で、その保持容器をフライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬してフライ製品を製造することができるキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、前記保持容器が密封して収容される前記フライ槽内を減圧又は真空にするための排気手段と、前記フライ槽に接続され、減圧又は真空にされた前記フライ槽内に貯留されている揚げ油を取り出して、この取り出した揚げ油を前記フライ槽内に戻すことによって揚げ油を循環させるための循環ラインと、前記循環ラインに設けられ、前記フライ槽内の揚げ油を前記循環ラインに通して循環させるための油循環ポンプと、前記循環ラインの前記油循環ポンプの上流側に設けられ、揚げ油に含まれる揚げカスを回収するためのストレーナを有する密封されたストレーナタンクと、前記ストレーナタンクの揚げ油出口部又は前記ストレーナタンクの上部と前記フライ槽内とを互いに接続し、揚げ油に含まれるキャビテーションに基づいて発生する気泡を、減圧又は真空状態の前記フライ槽内に戻すためのキャビテーション防止ラインとを備えることを特徴とするものである。
【0017】
この発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置によると、油切り孔を有する保持容器がフライ製品の原料を保持している状態で、その保持容器をフライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬してフライ製品を製造することができる。そして、原料を保持容器に入れた状態で、その原料を例えば所定時間だけ揚げ油に浸漬して、その揚げ油から引き上げることによって、この保持容器に収容されている全ての原料を正確に所定時間だけ加熱してフライ製品を製造することができる。
【0018】
そして、排気手段によると、フライ槽内を減圧又は真空にして、この減圧又は真空状態で原料を揚げるようにすることができるので、比較的低温で原料に含まれる水分を効果的に蒸発させて原料から取り出すことができる。そしてこのように、比較的低温で原料に含まれる水分を効果的に蒸発させることができるので、例えば原料に含まれる栄養成分が失われることを抑制できる。
【0019】
そして、このフライヤー装置によると、原料に含まれている水分をほぼ完全に蒸発させることが可能であるので、乾燥の程度が高く、しかも均一であり、よって、高品質(口で噛んだ時のサクサク感等を有する品質)の乾燥フライ製品を製造することができる。この乾燥フライ製品としては、例えばスライスしたバナナ、パパイヤ等の果物や野菜、即席麺、スナック菓子等の食品がある。
【0020】
また、油循環ポンプを作動させることによって、フライ槽内に貯留されている揚げ油を循環ラインに通して強制的に循環させることができる。そして、ストレーナタンクによると、循環ラインを流れる揚げ油に含まれる揚げカスをストレーナによって回収することができ、これによって、フライ製品の品質の向上を図ることができる。そして、揚げ油に含まれる揚げカスがストレーナタンクによって除去されるので、油循環ポンプは、ストレーナタンクよりも下流側に設けられ、循環ラインに接続される例えば熱交換器や濾過タンクに揚げ油を効率よく確実に供給することができる。よって、フライ製品の品質の向上を図ることができる。
【0021】
更に、キャビテーション防止ラインによると、循環ラインを流れる揚げ油に含まれるキャビテーションに基づいて発生する気泡を、減圧又は真空状態のフライ槽内に戻すことができる。これによって、このキャビテーション防止ラインが接続するストレーナタンクの揚げ油出口部又はストレーナタンクの上部よりも下流側に設けられている油循環ポンプにキャビテーションに基づいて発生する気泡が流入することを防止することができる。その結果、油循環ポンプによる揚げ油の移送効率の低下を防止することができる。
【0022】
また、キャビテーション防止ラインの入口端部をストレーナタンクの揚げ油出口部に接続させているのは、ストレーナタンクの揚げ油出口部では、揚げ油の圧力が低下するので、キャビテーションが起こり易いからである。そして、ストレーナタンク内の上部では、キャビテーションに基づいて発生する気泡がストレーナタンク内の揚げ油の中をその浮力によって上昇して、そのストレーナタンクの上部に溜まるからである。この気泡を含む揚げ油は、その浮力によって上昇して、減圧又は真空状態のフライ槽内に戻される。
【0023】
この発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、前記キャビテーション防止ラインが接続する前記ストレーナタンクの揚げ油出口部又は前記ストレーナタンクの上部が、前記油循環ポンプよりも高い位置に配置され、前記キャビテーション防止ラインの前記フライ槽に接続する接続部が、前記フライ槽内の揚げ油の油面の上側空間に連通するように設けられているものとするとよい。
【0024】
このように、キャビテーション防止ラインが接続するストレーナタンクの揚げ油出口部又はストレーナタンクの上部を、油循環ポンプよりも高い位置に配置すると、油循環ポンプ及びその吸込み側でキャビテーションに基づいて発生する気泡が揚げ油内をその浮力によって上昇して、ストレーナタンクの揚げ油出口部又はストレーナタンクの上部に溜まる。これによって、キャビテーションに基づいて発生する気泡を、効率よく確実にキャビテーション防止ラインを介して減圧又は真空状態のフライ槽内に戻すことができる。
【0025】
そして、キャビテーション防止ラインのフライ槽に接続する接続部を、フライ槽内の揚げ油の油面の上側空間に連通するように設けると、フライ槽内に戻されたキャビテーションに基づいて発生する気泡が揚げ油内に混入することを防止でき、その気泡が、再びストレーナタンクに供給されないようにすることができる。これによって、前記キャビテーションに基づいて発生する気泡が、油循環ポンプに供給されないようにすることができる。
【0026】
この発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、前記ストレーナタンクを複数備え、当該複数のストレーナタンクのうちのいずれかのストレーナタンクによって循環する揚げ油に含まれる揚げカスを回収している状態で、他のストレーナタンク内に溜まった揚げカスを取り出すことができる構成としたものとするとよい。
【0027】
このようにすると、複数のストレーナタンクを例えば1つずつ交互に使用して、この使用されているストレーナタンクによって揚げ油に含まれる揚げカスを回収することができ、フライヤー装置を停止させずに連続して使用することができる。このように、フライヤー装置を停止させずに連続して使用できるようにすると、フライ槽内の原料のフライ時間にムラが生じないようにすることができ、均質なフライ製品を製造することができる。
【0028】
この発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、前記油循環ポンプ、汚れた揚げ油を貯留するための濾過タンク、及び揚げ油を加熱するための熱交換器が、前記循環ラインの前記ストレーナタンクの下流側に設けられているものとするとよい。
【0029】
このようにすると、ストレーナタンクによって揚げカスが除去された揚げ油を、油循環ポンプによって濾過タンク及び熱交換器に効率よく確実に供給して循環させることができる。よって、フライ製品の品質の向上を図ることができる。
【0030】
この発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、前記キャビテーション防止機能付きフライヤー装置は、油切り孔を有する前記保持容器がフライ製品の原料を保持している状態で、その保持容器を前記フライ槽の供給口からそのフライ槽内に供給し、その原料を前記フライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬してフライ製品を製造し、このフライ製品を保持する前記保持容器を前記フライ槽の排出口から順次排出することができ、前記フライ槽内の前記保持容器を昇降させることができ、前記保持容器を下段位置に下降させることによって、当該保持容器に保持されている原料を前記フライ槽内の揚げ油に浸漬することができる昇降手段と、原料又はフライ製品を保持している前記保持容器を、揚げ油から引き上げることができる上段位置にある状態で前記フライ槽の前記供給口側から前記排出口側に移送することができる移送手段とを備え、前記移送手段は、前記保持容器が前記上段位置にある状態で、前記排出口側に移送された当該保持容器が前記排出口から排出されるようにすることができ、前記保持容器が前記下段位置にある状態で、前記保持容器の移送を停止するものとするとよい。
【0031】
このキャビテーション防止機能付きフライヤー装置を使用して原料からフライ製品を製造するときは、まず、例えばスライスされたバナナ等の原料を保持容器に入れる。そして、この原料が入っている保持容器をフライ槽の供給口からそのフライ槽内に供給する。次に、昇降手段が保持容器を下段位置に下降させて、保持容器に保持されている原料を、フライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬する。そして、昇降手段が保持容器を上段位置に上昇させて、保持容器に保持されている原料を揚げ油から引き上げることによって、原料又はフライ製品に付着する揚げ油を、原料等から除去することができ、この除去した揚げ油を保持容器の油切り孔から流下させることができる。このようにしてフライ製品を連続して製造することができる。
【0032】
そして、原料又はフライ製品を保持する保持容器が上段位置にある状態で、すなわち、フライ製品を、揚げ油から引き上げて油が切られた状態で、移送手段が、フライ製品を収容している保持容器を排出口側に移送することができる。この排出口に移送されたフライ製品を収容する保持容器は、排出口から順次排出される。そして、保持容器が下段位置にある状態で、保持容器の移送を停止するようになっている。
【0033】
これによって、原料を揚げ油に浸漬して揚げるための時間と、原料を移送するための時間とを別々に調整(制御)することができ、適切な程度に乾燥したフライ製品を製造することができる。その結果、食感及び味が良好なフライ製品を製造することができる。しかも、原料を移送するための時間を調節することによって、フライ製品の製造時間を短縮することができる。
【0034】
この発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置において、前記昇降手段は、前記保持容器に保持されている前記原料を、前記フライ槽内に貯留されている揚げ油に2回以上繰り返して浸漬して前記フライ製品を製造するものとするとよい。
【0035】
このように、原料をフライ槽内に貯留されている揚げ油に2回以上浸漬することを繰り返してフライ製品を製造することができる。
【0036】
これによって、原料に含まれる水分を効率よく比較的短時間で蒸発させることができる。その結果、フライ製品を比較的短時間で製造することができる。
【0037】
そして、原料がフライ製品に出来上がるまで継続して原料を揚げ油中に浸漬しないので、原料から蒸発した水分と入れ替わりに、同量の揚げ油が原料に吸い込まれることがなく、その結果、フライ製品を適切に乾燥させることができ、揚げ油によって湿気たようにならず、食感及び味を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0038】
このキャビテーション防止機能付きフライヤー装置によると、油循環ポンプによる揚げ油の移送効率の低下を防止することができるので、例えば油循環ポンプの下流側に設けられるストレーナタンク、熱交換器、濾過タンクに揚げ油を効率よく確実に供給することができる。これによって、ストレーナタンクは、揚げ油に含まれる揚げカスを効率よく回収できるし、濾過タンクは、この濾過タンク内に貯留されている濾過済み揚げ油を効率よくフライ槽に供給することができる。そして、熱交換器は、揚げ油を適切な温度に効率よく加熱することができる。その結果、フライ製品の品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係るキャビテーション防止機能付きフライヤー装置(以下、単に「フライヤー装置」と言うこともある。)の一実施形態を、
図1〜
図11を参照して説明する。この
図3に示すフライヤー装置11は、例えばスライスしたバナナ、パパイヤ、ポテトや、天ぷら、コロッケ、即席麺、スナック菓子等の食品を含む原料12を、連続して揚げ油7で揚げてフライ製品13を製造することができるものであり、フライ槽14を備えている。このフライ槽14内には、揚げ油7が貯留されており、この揚げ油7は、
図1に示すように、フライ槽14に接続している油加熱装置15によって加熱されるようになっている。そして、フライ槽14には、
図4に示すように、真空タンクA(図示せず)を有する排気装置(例えば真空装置等の排気手段)16が接続しており、この排気装置16によってフライ槽14内の圧力が減圧又は真空にされている。
【0041】
また、
図3に示すフライヤー装置11は、多数の油切り孔26を有する複数の保持容器17がフライ製品13の原料12を保持している状態で、その保持容器17をフライ槽14内に貯留されている揚げ油7に浸漬してフライ製品13を製造することができるものである。更に、このフライヤー装置11は、
図1に示すように、フライ槽14、循環ライン87、油循環ポンプ47、第1及び第2ストレーナタンク88、88、第1及び第2濾過タンク89、89、濾過機41、熱交換器45、及びキャビテーション防止ライン90を備えている。
【0042】
フライ槽14は、
図2に示すように、例えば中心軸に直交する縦断面が縦長の長円形の筒状体であり、略水平に配置されている。そして、内部が密封され、油槽部14aを備え、この油槽部14aに揚げ油7が貯留されている。
【0043】
循環ライン87は、
図1に示すように、フライ槽14に接続されている配管91、92、93、94、95を有し、減圧又は真空にされたフライ槽14内に貯留されている揚げ油7を取り出して、この取り出した揚げ油7をフライ槽14内に戻すことによって揚げ油7を循環させるためのものである。この循環ライン87には、フライ槽14、油循環ポンプ47、熱交換器45、第1及び第2ストレーナタンク88、88、並びに、第1及び第2濾過タンク89、89が設けられている。
【0044】
油循環ポンプ47は、フライ槽14内の揚げ油7を循環ライン87に通して循環させるためのものである。
【0045】
第1及び第2ストレーナタンク88、88は、
図2に示すように、それぞれが密封された2つのタンクであり、循環ライン87の油循環ポンプ47の上流側に設けられ、揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物を回収するためのものである。第1及び第2ストレーナタンク88、88には、それぞれストレーナ88aが装着されている。
【0046】
そして、第1及び第2ストレーナタンク88、88は、いずれか一方のストレーナタンク88によって揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物を回収している状態で、他方のストレーナタンク88内に溜まった揚げカス等の粗不純物を作業者が取り出すことができるように構成されている。
【0047】
このようにすると、第1及び第2ストレーナタンク88、88を1つずつ交互に使用して、この使用されているストレーナタンク88によって揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物を回収することができ、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用することができる。このように、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用できるようにすると、フライ槽14内の原料12のフライ時間にムラが生じないようにすることができ、均質なフライ製品13を製造することができる。
【0048】
また、第1及び第2ストレーナタンク88、88を1つずつ交互に使用するときは、
図1に示すバルブ96〜101を切替えることによって、例えば第1又は第2ストレーナタンク88を循環ライン87に接続する状態にして、第2又は第1ストレーナタンク88を循環ライン87から切り離すようにすることができる。
【0049】
次に、
図1を参照して、第1及び第2ストレーナタンク88、88を1つずつ交互に循環ライン87に接続して使用するときの状態を説明する。今、フライ槽14内の揚げ油7が第1ストレーナタンク88を通って油循環ポンプ47の吸込み口に流入しており、第2ストレーナタンク88には、フライ槽14内の揚げ油7が供給されておらず、第2ストレーナタンク88内に溜まった揚げカス等の粗不純物を作業者が取り出すことができる状態とする。
【0050】
この状態では、
図1に示す第1、第2及び第3バルブ96、97、98が開であり、第4、第5及び第6バルブ99、100、101が閉である。このとき、フライ槽14内の揚げ油7は、配管91、第1ストレーナタンク88、配管92を通って油循環ポンプ47の吸込み口に流入する。
【0051】
次に、フライ槽14内の揚げ油7が第2ストレーナタンク88を通って油循環ポンプ47の吸込み口に流入しており、第1ストレーナタンク88には、フライ槽14内の揚げ油7が供給されておらず、第1ストレーナタンク88内に溜まった揚げカス等の粗不純物を作業者が取り出すことができる状態を説明する。
【0052】
この状態では、
図1に示す第4、第5及び第6バルブ99、100、101が開であり、第1、第2及び第3バルブ96、97、98が閉である。そして、フライ槽14内の揚げ油7は、配管91、第2ストレーナタンク88、配管92を通って油循環ポンプ47の吸込み口に流入する。
【0053】
ただし、この実施形態では、第1及び第2の2つのストレーナタンク88、88を1つずつ交互に使用する例を挙げて説明したが、これ以外にも、複数のストレーナタンク88を使用して、バルブを切替えることによって、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用するようにしてもよい。
【0054】
次に、
図1に示す第1及び第2濾過タンク89、89を説明する。この第1及び第2濾過タンク89、89は、それぞれが密封された2つのタンクであり、循環ライン87の油循環ポンプ47の下流側に設けられ、いずれか一方の濾過タンク89に貯められている細不純物を含む揚げ油7が濾過機41で濾過されるようになっている。そして、一方の濾過タンク89に貯められている細不純物を含む揚げ油7が濾過機41で濾過されている状態で、他方の濾過タンク89に貯められている濾過済みの揚げ油7が循環ライン87を通ってフライ槽14に供給されるようになっている。
【0055】
このようにすると、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用することができる。このように、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用できるようにすると、フライ槽14内の原料12のフライ時間にムラが生じないようにすることができ、均質なフライ製品5を製造することができる。
【0056】
また、第1及び第2濾過タンク89、89を1つずつ交互に循環ライン87又は濾過機41に接続して使用するときは、
図1に示すバルブ102〜109を切替えることによって、例えば第1又は第2濾過タンク89を循環ライン87に接続する状態にして濾過機41から切り離すことができ、このとき、第2又は第1濾過タンク89を循環ライン87から切り離す状態にして濾過機41に接続することができる。
【0057】
次に、
図1を参照して、第1及び第2濾過タンク89、89のうちの一方の濾過タンク89に貯められている細不純物を含む揚げ油7が濾過機41で濾過されている状態で、他方の濾過タンク89に貯められている濾過済みの揚げ油7が循環ライン87を通ってフライ槽14に供給されるときの状態を説明する。
【0058】
今、第1濾過タンク89内の濾過済みの揚げ油7が油循環ポンプ47の作動によって、熱交換器45を介してフライ槽14に供給されており、第2濾過タンク89には、油循環ポンプ47から揚げ油7が供給されておらず、第2濾過タンク89内に溜まっている濾過前の細不純物を含む揚げ油7が濾過機41によって濾過されている状態とする。
【0059】
この状態では、
図1に示す第7及び第8バルブ102、103が開であり、第9及び第10バルブ104、105が閉である。そして、第11及び第12バルブ106、107が閉であり、第13及び第14バルブ108、109が開である。
【0060】
このとき、油循環ポンプ47から吐出される揚げ油7は、配管93、第1濾過タンク89及び配管94を通って熱交換器45に流入する。このようにして、第1濾過タンク89内に溜まっている濾過済みの揚げ油7を循環ライン87を介してフライ槽14に供給することができる。そして、第2濾過タンク89内に溜まっている濾過前の細不純物を含む揚げ油7は、配管110、濾過機41及び配管111を通って第2濾過タンク89内に戻される。
【0061】
次に、第2濾過タンク89内の濾過済みの揚げ油7が油循環ポンプ47の作動によって、熱交換器45を介してフライ槽14に供給されており、第1濾過タンク89には、油循環ポンプ47から揚げ油7が供給されておらず、第1濾過タンク89内に溜まっている濾過前の細不純物を含む揚げ油7が濾過機41によって濾過されている状態とする。
【0062】
この状態では、
図1に示す第11及び第12バルブ106、107が開であり、第13及び第14バルブ108、109が閉である。そして、第7及び第8バルブ102、103が閉であり、第9及び第10バルブ104、105が開である。
【0063】
このとき、油循環ポンプ47から吐出される揚げ油7は、配管106、第2濾過タンク89(濾過済み揚げ油7が溜まっている。)及び配管107を通って熱交換器45に流入する。このようにして、第2濾過タンク89内に溜まっている濾過済みの揚げ油7を循環ライン87を介してフライ槽14に供給することができる。そして、第1濾過タンク89内に溜まっている濾過前の細不純物を含む揚げ油7は、配管110、濾過機41及び配管111を通って第1濾過タンク89内に戻される。
【0064】
なお、この第1又は第2濾過タンク89内に貯められている細不純物を含む揚げ油7は、濾過ポンプ(図示せず)によって濾過機41に供給されて濾過され、濾過済みの揚げ油7は、第1又は第2濾過タンク89に戻される。この濾過ポンプは、濾過機41に設けられている。
【0065】
また、
図1に示す濾過機41は、常圧下で未濾過揚げ油7を濾過して濾過済み揚げ油7を製造することができるものである。この濾過機41で未濾過揚げ油7を濾過するときは、上記のようにバルブ102等を切り替えることによって、第1又は第2濾過タンク89を循環ライン87から切り離して、この第1又は第2濾過タンク89を濾過機41に接続する状態にする。このようにして、第1又は第2濾過タンク89内の揚げ油7を、当該第1又は第2濾過タンク89と濾過機41との間を循環させることができ、第1又は第2濾過タンク89内の揚げ油7を濾過することができる。そして、当該第1又は第2濾過タンク89内の揚げ油7を濾過したときは、この濾過済みの揚げ油7は、フライ槽14に戻される。
【0066】
以上のように、バルブ102等を切換えることによって、第1及び第2濾過タンク89、89内の未濾過揚げ油7を交互に濾過機41で濾過することができる。このようにして、フライヤー装置11を停止させずに連続して使用することができる。
【0067】
また、
図1に示すように、フライヤー装置11には、貯油タンク42が接続している。この貯油タンク42は、フライ槽14内に所定量の揚げ油7が貯留されているように、揚げ油7をフライ槽14に補給するためのものである。
【0068】
更に、
図1に示す熱交換器45は、揚げ油7を加熱するためのものであり、
図1に示すように、油加熱装置15に含まれている。この油加熱装置15は、ボイラー(図示せず)を備えている。
【0069】
この油加熱装置15は、フライ槽14に貯留されている揚げ油7が油出口46からフライ槽14の外側に油循環ポンプ47で排出されるとき、この排出された揚げ油7を、配管を介して熱交換器45に供給するように構成されている。そして、熱交換器45で加熱した揚げ油7を、配管95を介してフライ槽14の供給口14bに近い部分(第1油入口51)、及び排出口14cに近い部分(第2油入口52)からフライ槽14内に供給するように構成されている。この第1油入口51と第2油入口52との間に油出口46が設けられている。
【0070】
そして、
図1に示すように、油循環ポンプ47、第1及び第2濾過タンク89、89、及び熱交換器45は、循環ライン87の第1及び第2ストレーナタンク88、88の下流側に設けられている。
【0071】
このようにすると、第1又は第2ストレーナタンク88によって揚げカス(粗不純物)が除去された揚げ油7を、油循環ポンプ47によって第1又は第2濾過タンク89及び熱交換器45に効率よく確実に供給して循環させることができる。よって、フライ製品13の品質の向上を図ることができる。
【0072】
また、
図1に示すキャビテーション防止ライン90は、
図2に示すように、第1及び第2ストレーナタンク88、88のそれぞれの揚げ油出口部112、並びに、第1及び第2ストレーナタンク88、88のそれぞれの上部113と、フライ槽14内とを互いに接続する配管であり、揚げ油7に含まれるキャビテーションに基づいて発生する気泡を、減圧又は真空状態のフライ槽14内に戻すためのものである。
【0073】
そして、
図2に示すように、キャビテーション防止ライン90が接続する第1及び第2ストレーナタンク88、88のそれぞれの揚げ油出口部112、並びに、第1及び第2ストレーナタンク88、88のそれぞれの上部113は、油循環ポンプ47よりも高い位置に配置されている。更に、キャビテーション防止ライン90のフライ槽14に接続する接続部114は、フライ槽14内の揚げ油7の油面の上側空間に連通するように設けられている。
【0074】
次に、上記のように構成されたキャビテーション防止機能付きフライヤー装置11の作用を説明する。このフライヤー装置11によると、
図6及び
図7に示す油切り孔26を有する保持容器17がフライ製品13の原料12を保持している状態で、
図3に示すように、その保持容器17をフライ槽14内に貯留されている揚げ油7に浸漬してフライ製品13を製造することができる。そして、原料12を保持容器17に入れた状態で、その原料12を例えば所定時間だけ揚げ油7に浸漬して、その揚げ油7から引き上げることによって、この保持容器17に収容されている全ての原料12を正確に所定時間だけ加熱してフライ製品13を製造することができる(
図4参照)。
【0075】
そして、
図4に示す排気装置16によると、フライ槽14内を減圧又は真空にして、この減圧又は真空状態で原料12を揚げるようにすることができるので、比較的低温で原料12に含まれる水分を効果的に蒸発させて原料12から取り出すことができる。そしてこのように、比較的低温で原料12に含まれる水分を効果的に蒸発させることができるので、例えば原料12に含まれる栄養成分が失われることを抑制できる。
【0076】
そして、このフライヤー装置11によると、原料12に含まれている水分をほぼ完全に蒸発させることが可能であるので、乾燥の程度が高く、しかも均一であり、よって、高品質(口で噛んだ時のサクサク感等を有する品質)の乾燥フライ製品13を製造することができる。この乾燥フライ製品13としては、例えばスライスしたバナナ、パパイヤ等の果物や野菜、即席麺、スナック菓子等の食品がある。そして、フライ製品13として、ポテト、天ぷら、コロッケ等の食品がある。この高品質の乾燥フライ製品13とは、例えば食感(口で噛んだ時のサクサク感等を有する食感)及び味が良好なフライ製品を言う。
【0077】
また、
図1に示す油循環ポンプ47を作動させることによって、フライ槽14内に貯留されている揚げ油7を循環ライン87に通して強制的に循環させることができる。
【0078】
そして、第1又は第2ストレーナタンク88では、循環ライン87を流れる揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物をストレーナ88aによって回収することができ、これによって、フライ製品13の品質の向上を図ることができる。そして、揚げ油7に含まれる揚げカス等の粗不純物が第1又は第2ストレーナタンク88によって除去されるので、油循環ポンプ47は、第1及び第2ストレーナタンク88、88よりも下流側に設けられ、循環ライン87に接続される熱交換器45や第1又は第2濾過タンク89に揚げ油7を効率よく確実に供給することができる。よって、フライ製品13の品質の向上を図ることができる。
【0079】
更に、
図2及び
図1に示すキャビテーション防止ライン90によると、循環ライン87を流れる揚げ油7に含まれるキャビテーションに基づいて発生する気泡を、減圧又は真空状態のフライ槽14内に戻すことができる。これによって、このキャビテーション防止ライン90が接続する第1及び第2ストレーナタンク88、88の揚げ油出口部112、並びに、第1及び第2ストレーナタンク88、88の上部113よりも下流側に設けられている油循環ポンプ47にキャビテーションに基づいて発生する気泡が流入することを防止することができる。その結果、油循環ポンプ47による揚げ油7の移送効率の低下を防止することができる。
【0080】
また、キャビテーション防止ライン90の入口端部115を第1及び第2ストレーナタンク88、88の揚げ油出口部112の上壁に接続させているのは、第1及び第2ストレーナタンク88、88の揚げ油出口部112では、ストレーナ88aによる流路抵抗によって揚げ油7の圧力が低下するので、キャビテーションが起こり易いからである。
【0081】
そして、キャビテーション防止ライン90の他の入口端部116を第1及び第2ストレーナタンク88、88の各上部113に接続させているのは、第1及び第2ストレーナタンク88、88内の上部113では、キャビテーションに基づいて発生する気泡が第1及び第2ストレーナタンク88、88内の揚げ油7の中をその浮力によって上昇して、その第1及び第2ストレーナタンク88、88の上部113に溜まるからである。この気泡を含む揚げ油7は、その浮力によって上昇して、減圧又は真空状態のフライ槽14内に戻される。
【0082】
上記のように、フライヤー装置11によると、油循環ポンプ47による揚げ油7の移送効率の低下を防止することができるので、油循環ポンプ47の下流側に設けられる第1又は第2ストレーナタンク88、熱交換器45、第1又は第2濾過タンク89に揚げ油7を効率よく確実に供給することができる。これによって、第1又は第2ストレーナタンク88は、揚げ油7に含まれる揚げカスを効率よく回収できるし、第1又は第2濾過タンク89は、この濾過タンク89内に貯留されている濾過済みの揚げ油7を効率よくフライ槽14に供給することができる。そして、熱交換器45は、揚げ油7を適切な温度に効率よく加熱することができる。その結果、フライ製品13の品質の向上を図ることができる。
【0083】
そして、
図2に示すように、キャビテーション防止ライン90が接続する第1及び第2ストレーナタンク88、88の揚げ油出口部112、並びに、第1及び第2ストレーナタンク88、88の上部113が、油循環ポンプ47よりも高い位置に配置されている。そして、キャビテーション防止ライン90のフライ槽14に接続する接続部114が、フライ槽14内の揚げ油7の油面の上側空間に連通するように設けられている。
【0084】
このように、キャビテーション防止ライン90が接続する第1及び第2ストレーナタンク88、88の揚げ油出口部112、並びに、第1及び第2ストレーナタンク88、88の上部113を、油循環ポンプ47よりも高い位置に配置すると、油循環ポンプ47及びその吸込み側でキャビテーションに基づいて発生する気泡が揚げ油7内をその浮力によって上昇して、第1及び第2ストレーナタンク88、88の揚げ油出口部112、並びに、第1及び第2ストレーナタンク88、88の上部113に溜まる。これによって、キャビテーションに基づいて発生する気泡を、効率よく確実にキャビテーション防止ライン90を介して減圧又は真空状態のフライ槽14内に戻すことができる。
【0085】
そして、キャビテーション防止ライン90のフライ槽14に接続する接続部114を、フライ槽14内の揚げ油7の油面の上側空間に連通するように設けると、フライ槽14内に戻されたキャビテーションに基づいて発生する気泡が揚げ油7内に混入することを防止でき、その気泡が再び第1又は第2ストレーナタンク88に供給されないようにすることができる。これによって、前記キャビテーションに基づいて発生する気泡が、油循環ポンプ47に供給されないようにすることができる。
【0086】
また、フライヤー装置11は、
図3の正面方向から見た拡大縦断面図に示すように、保持容器17を移送するための移送機構18、昇降機構19、及び脱油装置43を備えている。
【0087】
保持容器17は、
図6及び
図7に示すものであり、フライ製品13の原料12を入れて保持することができ、そして、出来上がったフライ製品13を取り出すことができるものであり、多数用意されている。
【0088】
この保持容器17は、
図4に示すように、フライヤー装置11の供給室20の入口20aから供給されて、この供給室20、供給口14b、フライ槽14、排出口14c、及び排出室21を通って排出室21の出口21aから外側に順次排出される。そして、これら順次排出される保持容器17には、出来上がったフライ製品13が収容されており、作業者は、保持容器17の蓋部17aを開けて内部に収容されているフライ製品13を取り出すことができ、このようにしてフライ製品13が製造される。
【0089】
保持容器17は、
図6及び
図7に示すように、円筒状体の側壁17bを有し、底部17cが形成され、上側開口部を開閉できるように一対の蓋部17a、17aが設けられている。この一対の蓋部17aは、それぞれが略半円形の板状体であり、それぞれが蝶番22を介して揺動自在に水平部材23に設けられている。この水平部材23の下側には、仕切り板24が設けられ、この仕切り板24は、この保持容器17の内側空間を2つに分割している。
【0090】
そして、
図6に示すように、2つの各蓋部17aには、係合具25が設けられている。これら各係合具25は、水平部材23に対して係脱自在であり、それぞれが取り付けられている蓋部17aを、工具なしで簡単に閉状態に固定することができるし、開けることもできる。
【0091】
また、
図6に示すように、保持容器17の側壁17b、底部17c、各蓋部17a、及び仕切り板24には、多数の比較的小さい油切り孔26が形成されている。この油切り孔26は、フライ槽14内の揚げ油7を保持容器17内に流出入させるためのものである。
【0092】
そして、
図7に示す保持容器17に設けられている仕切り板24は、スライスされた原料12を保持容器17内で2つに分散させることができる。よって、保持容器17に入れられる多数のスライスされた原料12が塊状とならないようにすることができ、それぞれのスライスされた原料12を略均一に加熱することができる。
【0093】
図3及び
図4に示す移送機構18は、ネットコンベアであり、原料12又はフライ製品13を保持している保持容器17を、フライ槽14に設けられている供給口14b側から排出口14c側に順次移送することができるものである。
【0094】
この移送機構18は、
図4及び
図8(a)に示すように、供給側回転軸27と、排出側回転軸28とを有し、これら供給側回転軸27及び排出側回転軸28は、一対の連結部材29、29を介して互いに連結されている。
【0095】
つまり、一対の連結部材29は、互いに間隔を隔てて平行する状態で略水平に配置されている。そして、一対の連結部材29の供給口14b側の先端部に、供給側回転軸27が軸受を介して回動自在に取り付けられている。また、一対の連結部材29の排出口14c側の後端部に、排出側回転軸28が軸受を介して回動自在に取り付けられている。そして、供給側回転軸27及び排出側回転軸28には、それぞれスプロケット30、・・・が4つずつ取り付けられ、これら供給側スプロケット30、及び排出側スプロケット30を備える2組のスプロケット30には、それぞれ環状ネットベルト31が掛けられている。
【0096】
この環状ネットベルト31の上側走行部は、
図3に示すように、一対の連結部材29によって保持されている。そして、この一対の連結部材29は、環状ネットベルト31上に載置される複数の(例えば6つの)保持容器17の重量を受けることができるものである。そして、環状ネットベルト31は、その上に載置されている複数の保持容器17を、供給口14b側から排出口14c側方向に移送することができるものである。なお、環状ネットベルト31に保持されている保持容器17には、原料12やフライ製品13が保持(収容)されている。
【0097】
そして、
図8(a)、(b)に示すように、排出側回転軸28は、連結切換部33を介して駆動部34の回転駆動軸34aと連結している。
【0098】
図8(a)は、連結切換部33を上方から見た拡大平面図であり、
図8(b)は、連結切換部33を正面から見た拡大縦断面図である。同各図に示すように、連結切換部33は、駆動歯車35と、この駆動歯車35と噛み合う従動歯車36とを備えている。駆動歯車35は、駆動部34の回転駆動軸34aに取り付けられている。そして、従動歯車36は、従動軸117に取り付けられ、この従動軸117は、一対の連結部材29に回動自在に設けられている。そして、この従動軸117と排出側回転軸28とは、互いに噛み合う第1〜第3歯車118、119、120を介して互いに連結しており、従動歯車36の回転が排出側回転軸28に伝達されるように構成されている。
【0099】
つまり、第1歯車118は、従動軸117に取り付けられ、第2歯車119は、回動自在に連結部材29に設けられ、そして、第3歯車120は、排出側回転軸28に取り付けられている。
【0100】
この連結切換部33によると、
図8(b)及び
図3の実線で示すように、移送機構18(保持容器17)が上段位置にある状態で、従動歯車36が駆動歯車35に噛合った状態となり、駆動部34の回転駆動軸34aと、移送機構18の供給側回転軸27とを互いに連結することができる。そして、
図8(b)及び
図3の二点鎖線で示すように、移送機構18(保持容器17)が下段位置にある状態で、従動歯車36を駆動歯車35から切り離した状態となり、駆動部34の回転駆動軸34aと、移送機構18の排出側回転軸28とを互いに切り離すことができる。
【0101】
そして、
図8(b)に示すように、移送機構18を昇降移動させて、連結切換部33の従動歯車36を駆動歯車35に対して、噛み合わせたり切り離すときに、従動歯車36の歯と、駆動歯車35の歯が互いに干渉するが、この干渉は、従動歯車36が取り付けられている排出側スプロケット30及び環状ネットベルト31の遊びによって許容することができる。
【0102】
また、移送機構18を駆動するための駆動部34は、例えばサーボモータ、ステッピングモータ又は誘導電動機等の電気モータであり、保持容器17を所定寸法ずつ移送するように設定されている。この所定寸法ずつ移送することができる移送ピッチは、保持容器17の1つ分の寸法(1ピッチ)と、互いに隣り合う保持容器17の間に形成される隙間の寸法とを合計した長さである。
【0103】
そして、この駆動部34は、
図8(a)に示すように、フライ槽14の外側に固定して設けられている。この駆動部34が駆動することによって移送機構18であるネットコンベアを所定方向に回転させることができ、これによって、この移送機構18に載置されている複数の保持容器17を、フライ槽14の供給口14b側から排出口14c側に向かう方向に移送することができる。
【0104】
次に、
図4を参照して、フライ槽14に接続されている排気装置16を説明する。この排気装置16は、例えば真空装置であり、フライ槽14内の水蒸気等を吸引して、フライ槽14内を減圧又は真空にするためのものである。この排気装置16は、真空タンクA(図示せず)を有し、この真空タンクAは、排気管53を介してフライ槽14と接続している。
【0105】
この排気装置16によると、フライ槽14内を減圧又は真空にして、この減圧又は真空状態で原料12を揚げるようにすることができ、比較的低温で原料12に含まれる水分を蒸発させて取り出すことができる。これによって、例えば原料12に含まれる栄養成分が失われることを抑制できると共に、揚げ油7の空気との接触による酸化を防止でき、更に、フライ製品13の製造に必要とされるエネルギの消費量を低減することができる。また、フライ槽14内を減圧又は真空にすることによって、揚げ油7で加熱された原料12を揚げ油7から引き上げたときに、原料12内に含まれる水分を効果的に取り出して乾燥させることができる。
【0106】
次に、
図3〜
図5を参照して原料供給機構37、及び製品排出機構38を説明する。
図4に示す平面方向から見た横断面図に示すように、原料供給機構37は、原料12を保持する保持容器17を、フライ槽14の外側から供給口14bに通してフライ槽14の内側に1つずつ供給することができるものである。そして、製品排出機構38は、フライ製品13を保持する保持容器17を、フライ槽14の内側から排出口14cに通してフライ槽14の外側に1つずつ排出することができるものである。
【0107】
原料供給機構37は、
図4に示すように、供給口14bに対して密封して接続されている供給室20を有している。この供給室20には、原料12を保持する保持容器17を供給室20内に供給するための入口20aが形成され、この入口20aは、第1供給ゲート39によって開閉されるようになっている。そして、供給口14bは、第2供給ゲート40によって開閉されるようになっている。この第1及び第2供給ゲート39、40は、
図3に示す第1及び第2供給ゲート駆動部54、55によって開閉駆動され、これら第1及び第2供給ゲート駆動部54、55は、例えば電気モータ又はエアーシリンダ装置である。
【0108】
製品排出機構38は、
図4に示すように、排出口14cに対して密封して接続されている排出室21を有している。この排出口14cは、第1排出ゲート56によって開閉されるようになっている。そして、排出室21には、フライ製品13を保持する保持容器17を排出室21から排出するための出口21aが形成され、この出口21aは、第2排出ゲート57によって開閉されるようになっている。この第1及び第2排出ゲート56、57は、
図3に示す第1及び第2排出ゲート駆動部58、59によって開閉駆動され、これら第1及び第2排出ゲート駆動部58、59は、例えば電気モータ又はエアーシリンダ装置である。
【0109】
また、後述するように、原料供給機構37が原料12を保持する保持容器17を、供給口14bに通してフライ槽14の内側に供給したり、製品排出機構38がフライ製品13を保持する保持容器17を、排出口14cに通してフライ槽14の外側に排出するのは、
図3の実線で示すように、移送機構18が上段位置に移動した状態で行われるように、制御部(図示せず)で制御されるようになっている。そして、移送機構18が上段位置に移動した状態でこの移送機構18が駆動するように制御されるようになっている。つまり、フライヤー装置11が備えている各機構等、及びこれに接続している各装置等は、図示しない制御部によって制御されて駆動するようになっている。
【0110】
この
図4に示す原料供給機構37によると、原料12を保持する保持容器17をフライ槽14の外側の供給室20から供給口14bに通してフライ槽14の内側に供給することができるが、この際、供給室20の入口20aに設けられている第1供給ゲート39が閉じているときに、供給口14bの第2供給ゲート40を開放して、原料12を保持する保持容器17をフライ槽14内に供給するようになっている。これによって、外気が供給室20の入口20aを通ってフライ槽14内に流入することを防止できる。
【0111】
そして、
図4に示す製品排出機構38によると、フライ製品13を保持する保持容器17をフライ槽14の内側から排出口14cに通してフライ槽14の外側の排出室21に排出することができるが、この際、出口21aに設けられている第2排出ゲート57が閉じているときに、排出口14cの第1排出ゲート56を開放して、フライ槽14内のフライ製品13を保持する保持容器17を、排出口14cに通して排出室21に排出することができる。これによって、外気が排出口14cを通ってフライ槽14内に流入することを防止することができる。
【0112】
次に、
図4を参照して、供給室20及び排出室21のそれぞれに対して気体(空気)を供給及び排出するための気体給排装置60を説明する。この気体給排装置60は、供給室20及び排出室21のそれぞれに接続する給気管61及び排気管62を備えている。
【0113】
それぞれの給気管61は、供給室20及び排出室21のそれぞれに気体を供給するためのものであり、各給気管61の端部は、例えば外気に開放している。そして、供給室20に接続する給気管61には、第1給気バルブ63が設けられ、排出室21に接続する給気管61には、第2給気バルブ64が設けられている。
【0114】
そして、それぞれの排気管62は、供給室20及び排出室21内の気体を排出して、供給室20及び排出室21内を減圧又は真空状態にするためのものであり、各排気管62の端部は、図示しない真空タンクBに接続している。そして、供給室20に接続する排気管62には、第1排気バルブ65が設けられ、排出室21に接続する排気管62には、第2排気バルブ66が設けられている。
【0115】
次に、
図4に示す気体給排装置60の作用を説明する。まず、原料12を保持している保持容器17を供給室20に供給するときについて説明する。今、例えば真空状態の供給室20内の保持容器17が真空状態のフライ槽14内に供給された後の状態であり、第1及び第2供給ゲート39、40が閉、第1給気バルブ63が閉、第1排気バルブ65が開とする。この状態から、原料12を保持する保持容器17を、入口20aに通して供給室20内に供給するときは、第1供給ゲート39が作動できるようにするために、第1排気バルブ65を閉、及び第1給気バルブ63を開にして、供給室20内を外気圧と等しくする。そして、第1供給ゲート39を開いて、原料12を保持する保持容器17を、入口20aに通して供給室20内に供給する。そして、第1供給ゲート39を閉じる。これによって、原料12を保持する保持容器17を供給室20内に供給することができる。
【0116】
次に、外気圧の状態の供給室20内にある原料12を保持する保持容器17を、供給口14bからフライ槽14内に供給するときは、まず、真空状態のフライ槽14内に供給室20内の気体が進入しないようにすると共に、第2供給ゲート40を開けることができるようにするために、第1給気バルブ63を閉、第1排気バルブ65を開にして、供給室20内を真空状態する。次に、第2供給ゲート40を開き第1移送駆動部67を伸張動作させて、供給室20内の保持容器17を、供給口14bに通してフライ槽14内に供給する。しかる後に、第1移送駆動部67を短縮動作させて、第2供給ゲート40を閉じる。このフライ槽14内に供給された保持容器17は、上段位置にある移送機構18の先端部上に移送され、所定の手順を経て移送機構18によって排出口14cまで移送される。
【0117】
次に、フライ製品13を保持している保持容器17を排出室21に排出するときについて説明する。今、例えば外気圧状態の排出室21内の保持容器17が出口21aに通して外側に排出された後の状態であり、第1及び第2排出ゲート56、57が閉、第2給気バルブ64が開、第2排気バルブ66が閉とする。この状態で、移送機構18の後端部に移送され、フライ槽14内に収容されているフライ製品13を保持する保持容器17を、排出口14cに通して排出室21に排出するときは、第1排出ゲート56が作動できるように、第2給気バルブ64を閉、及び第2排気バルブ66を開にして、排出室21内を真空状態にする。そして、第1排出ゲート56を開き第2移送駆動部68を伸張動作させて、フライ槽14内のフライ製品13を保持する保持容器17を、排出口14cに通して排出室21内に排出する。そして、第2移送駆動部68を短縮動作させて、第1排出ゲート56を閉じる。これによって、フライ製品13を保持する保持容器17を排出室21内に排出することができる。
【0118】
次に、真空状態の排出室21内にあるフライ製品13を保持する保持容器17を、出口21aから外側に排出するときは、まず、第2排出ゲート57を開けることができるように、第2排気バルブ66を閉、第2給気バルブ64を開にして、排出室21内を外気圧にする。次に、第2排出ゲート57を開き第3移送駆動部69を伸張動作させることによって、排出室21内の保持容器17を、出口21aに通して外側に排出することができる。そして、この保持容器17内に収容されているフライ製品13を取り出すことによって、これらフライ製品13に対して次の処理を行うことができる。なお、第1〜第3移送駆動部67、68、69は、例えば電気モータ又はエアーシリンダ装置である。
【0119】
次に、
図3〜
図5を参照して昇降機構19を説明する。この昇降機構19は、移送機構18を昇降させることができ、
図3の二点鎖線で示すように、移送機構18を下段位置に下降させることによって、移送機構18に載置されている保持容器17内の原料12をフライ槽14内に貯留されている揚げ油7に浸漬することができるものである。
図5は、実線で示すように移送機構18が上段位置にあり、移送機構18の後端部上に移送されている保持容器17が排出室21に排出される状態を示している。
【0120】
昇降機構19は、
図3に示すように、昇降駆動部70を有し、この昇降駆動部70は、ブラケット71を介してフライ槽14の周壁に取り付けられている。この昇降駆動部70は、サーボモータ、パルスモータ、誘導電動機等の電気モータを有する電動アクチュエータであり、この電動アクチュエータの回転駆動軸に回転軸72が連結されている。
【0121】
この回転軸72は、
図3に示すように、両端部が軸受を介して回動自在に支持ロッド73に支持され、この支持ロッド73は、フライ槽14の周壁に取り付けられている。そして、回転軸72の一端部には、ピニオン(歯車)74が取り付けられ、このピニオン74は、ラック75と噛合っている。このラック75は、鉛直方向と平行して配置され、ラック75の下端部に吊下げロッド76が結合している。この吊下げロッド76の下端部は、移送機構18の連結部材29(
図4参照)と結合している。同様に、回転軸72の他端部にも、別のピニオン74が取り付けられ、このピニオン74は、ラック75、及び吊下げロッド76を介して移送機構18の連結部材29と連結している。
【0122】
なお、吊下げロッド76がフライ槽14の側壁を貫通させている挿通孔には、シール部77が設けられている。
【0123】
この昇降機構19によると、
図3に示す昇降駆動部70が所定の回転方向に駆動すると、回転軸72及びピニオン74が所定方向に回転し、ラック75が上昇移動して移送機構18を上段位置(
図3の実線で示す位置)に移動させることができる。そして、昇降駆動部70が上記と逆方向に駆動することによって、移送機構18を下段位置(
図3の二点鎖線で示す位置)に移動させることができる。
【0124】
ただし、図には示さないが、昇降機構19は、移送機構18を中段位置(図示せず)に移動させることができる。このように、移送機構18が中段位置にあるときは、移送機構18に保持されている保持容器17内の原料12が、フライ槽14に貯留されている揚げ油7から引き上げられた状態となる。そして、この実施形態では、移送機構18を中段位置と下段位置との間を昇降させることによって、移送機構18に保持されている保持容器17内の原料12を、揚げ油7に浸漬したり、揚げ油7から引き上げるようにしている。
【0125】
次に、
図3、
図5及び
図10を参照して脱油装置43を説明する。脱油装置43は、例えば遠心分離機であり、排出室21に設けられ、回転台78(
図10参照)とこの回転台78を回転させるための回転駆動部79とを備えている。
【0126】
この脱油装置43は、排出室21内に順次排出されてくるフライ製品13を保持する保持容器17が回転台78に載せられると、この回転台78と共にこのフライ製品13を保持する保持容器17を回転させて、フライ製品13に付着している余分な揚げ油7を強制的に除去することができる。そして、これら余分な揚げ油7が除去されたフライ製品13を保持する保持容器17は、順次排出室21から排出されて後段に移送される。
【0127】
この脱油装置43によると、フライ製品13を保持容器17に保持されている状態で強制的に脱油することができ、脱油するためにフライ製品13を別の容器に移し替える必要が無く、脱油作業を簡単に行うことができる。また、脱油が行われる排出室21は、排出口14cを介してフライ槽14と接続しているので、フライ槽14及び排出室21の両方を減圧又は真空にしておけば、フライ製品13に付着している揚げ油7がフライ製品13の内部に吸着されない状態で脱油することができ、効果的に脱油することができる。これによって、フライ製品13が揚げ油7によって湿気たようにならず、食感及び味が良好となる。
【0128】
つまり、フライ槽14内を減圧又は真空にしてフライ製品13を製造することによって、揚げ油7がフライ製品13の内部に吸着されないようにすることができるが、脱油する際に、外気圧に戻した後で脱油すると、揚げ油7がフライ製品13の内部に吸い込まれて吸着されてしまい、効果的に脱油することができない。そこで、上記のようにすると、揚げ油7がフライ製品13の内部に吸着されない状態で効果的に脱油することができる。
【0129】
次に、
図4、
図10及び
図11を参照して、ゲート開閉機構80を説明する。このゲート開閉機構80は、
図4に示す第1供給ゲート39、第2供給ゲート40、第1排出ゲート56、及び第2排出ゲート57の全てのゲートに対して設けられ、それぞれ同等のものであるので、第2排出ゲート57に設けられているゲート開閉機構80を説明し、その他のゲート開閉機構80の説明を省略する。
【0130】
この第2排出ゲート57に対して設けられているゲート開閉機構80は、
図11に示すように、第2排出ゲート57が閉位置に移動したときに、第2排出ゲート57が排出室21の出口21aを密封して閉じることができるようになっている。
【0131】
また、
図10に示すように、第2排出ゲート57は、第2排出ゲート駆動部59(エアーシリンダ装置)のピストンロッドの先端部に連結部83を介して吊り下げられており、この第2排出ゲート駆動部59が短縮動作したときに、開状態となり(
図10参照)、伸張動作したときに閉状態となる(
図11参照)。そして、この連結部83は、第2排出ゲート57が出口21aの開口縁部82と接触する状態から、開口縁部82に向かう方向及び離れる方向のいずれの方向にも所定の寸法だけ移動自在なようにこの第2排出ゲート57を吊り下げている。
【0132】
このゲート開閉機構80によると、
図10に示すように、第2排出ゲート57が、排出室21の出口21aを形成する開口縁部82と間隔を隔てた状態(又は接触した状態)で閉じる方向(下方向)に移動して、第2排出ゲート57が
図11に示す閉位置に移動するときに、一対の各枠部81に設けられた4つの案内部85である各ローラが、第2排出ゲート57に設けられた4つの各凸部84に形成された各傾斜面84aに当接して、第2排出ゲート57を開口縁部82側に押圧するように案内して、出口21aを確実に密封して閉じることができる。
【0133】
この
図11に示すように、第2排出ゲート57が閉位置に移動したときに、各案内部85が各凸部84と当接することによって、第2排出ゲート57を、シール材86を介して開口縁部82側に押圧しているので、第2排出ゲート57が閉位置に到達するまでの第2排出ゲート57の開閉移動においては、第2排出ゲート57と開口縁部82との間で生じる摩擦抵抗を低く抑えることができ、第2排出ゲート57の開閉を確実に行うことができる。
【0134】
次に、
図1〜
図5、
図9等を参照して、このフライヤー装置11を使用して原料12からフライ製品13を製造するときの手順、及びフライヤー装置11の作用を説明する。まず、フライ槽14に貯留されている揚げ油7の温度、及びフライ槽14内の真空度等が所定の設定温度(例えば80〜110℃)、及び所定の設定真空度(例えば10〜50torr)となっていることを確認する。また、予め例えば1〜3mmにスライスされたバナナやポテト等の原料12を保持容器17に入れておく。そして、この原料12が収容されている保持容器17を、
図4に示す原料供給機構37の供給室20に供給する。
【0135】
次に、供給室20に供給された保持容器17が、供給口14bを通って上段位置にある移送機構18の先端部上に供給される。そして、移送機構18は、保持容器17が供給されると、昇降機構19によって、中段位置(図示せず)と下段位置(
図3の二点鎖線で示す位置)との間で設定回数だけ昇降移動されて、原料12が揚げ油7に所定時間だけ浸漬される。しかる後に、移送機構18が上段位置に移動し、その後で作動して保持容器17を排出口14c側に移送するようになっている。これらの動作を順次行うことによって、
図4に示すように、例えば合計6つの保持容器17が移送機構18に保持された状態となる。そして、移送機構18の後端部に位置している保持容器17に保持されている原料12がフライ製品13として出来上がっている。
【0136】
次に、
図4に示すように、移送機構18を上段位置に上昇させた状態で、製品排出機構38を作動させる。つまり、移送機構18の後端部上に載置されているフライ製品13が保持されている保持容器17を、排出口14cに通して排出室21内に排出する。次に、移送機構18を作動させて、移送機構18上の5つの保持容器17を1ピッチ分だけ前進させる。更に、原料供給機構37を作動させて、次に準備されている供給室20内の保持容器17を、供給口14bに通して移送機構18の先端部上に供給する。
【0137】
また、排出室21内に排出されたフライ製品13を保持する保持容器17は、脱油装置(遠心分離機)43によって脱油されて、排出室21の出口21aから外側に排出される。この脱油装置43は、フライ製品13に付着している余分な揚げ油7を強制的に除去することができる。このように、上記の動作を順次繰り返して行うことによって、フライ製品13を順次製造することができる。
【0138】
更に、この実施形態に係るフライヤー装置11によると、
図3及び
図4に示すように、原料12を保持容器17に入れた状態で、その原料12を例えば所定時間だけ揚げ油7に浸漬して、その揚げ油7から引き上げることができるので、この保持容器17に収容されている全ての原料12を正確に所定時間だけ加熱してフライ製品13を製造することができる。これによって、各原料12のフライ時間にムラが生じることなく、均質なフライ製品13を連続して製造することができる。
【0139】
そして、
図3に実線で示すように、移送機構18は、保持容器17を揚げ油7から引き上げることができる上段位置にある状態で、すなわち、フライ製品13を、揚げ油7から引き上げて油が切られた状態で、フライ製品13を収容している保持容器17を排出口14c側に移送して、この排出口14cから順次排出する構成となっている。これによって、原料12を揚げ油7に浸漬して揚げている時間と、移送機構18によって保持容器17を移送している時間とを別々に調整することができ、その結果、適切な程度に乾燥しており食感及び味が良好であるフライ製品13を製造することができる。
【0140】
また、
図3に示す昇降機構19は、保持容器17に保持されている原料12を、フライ槽14内に貯留されている揚げ油7に2回以上繰り返して浸漬してフライ製品13を製造する構成となっている。
【0141】
このように、原料12が揚げられてフライ製品13が製造されるまでの間に、原料12を揚げ油7に浸漬すること、及び揚げ油7から引き上げることを繰り返して行うことができ、これによって、フライ製品13に出来上がるまでの時間を比較的短くすることができる。
【0142】
なぜなら、原料12が揚げ油7中に浸漬されて温度が上昇したときに、原料12を揚げ油7から引き上げると、原料12が揚げ油7によって包囲されていないので、原料12に含まれる水分の蒸発が揚げ油7によって妨げられることがなく、水分を効率的に比較的短時間で蒸発させることができるからである。
【0143】
そして、原料12がフライ製品13に出来上がるまでの間に、原料12を揚げ油7中に浸漬すること、及び揚げ油7から引き上げることを繰り返して行うと、原料12に含まれる水分が蒸発するときに、原料12から蒸発した水分と入れ替わりに、揚げ油7が原料12に吸い込まれる機会を少なくすることができる。その結果、フライ製品13を適切に乾燥させることができ、食感及び味を良好にすることができる。
【0144】
図9は、昇降機構19が移送機構18(保持容器17)を昇降移動させるタイミング、及び脱油装置43の作動のタイミングを示す図である。この1サイクルT1は、原料12が保持されている保持容器17が、供給室20内から供給口14bを通ってフライ槽14内に供給され始めたときから、その供給された原料12がフライ製品13に加工され、このフライ製品13を保持する保持容器17が、排出口14cを通って排出室21に排出されるまでの時間である。
【0145】
T2は、移送機構18(保持容器17)が上段位置にあり、移送機構18上の保持容器17が排出室21に排出され、そして、移送機構18が作動して移送機構18上の保持容器17を排出口14c側に1ピッチだけ移送し、更に、供給室20内の保持容器17がフライ槽14内の移送機構18上に移送されるのに掛かる時間である。
【0146】
T3は、保持容器17が
図3に二点鎖線で示す下段位置で保持されている(揚げ油7に浸漬されている)時間であり、T4は、保持容器17が中段位置で保持されている(揚げ油7から引き上げられている)時間である。
【0147】
この実施形態では、例えば1サイクルT1は、約20分であり、中段位置での時間T4が約10秒、下段位置での時間T3が約10秒である。そして、1サイクルT1時間での昇降の回数は、15〜20回である。ただし、原料12の質、大きさ、厚み、揚げ油7の温度、及びフライ槽14の真空度等に応じて、T1、T2、T3、T4を適切な時間に設定することができる。また、1サイクルT1において、原料12を揚げ油7中に浸漬させる回数は、上記以外の回数としてもよい。
【0148】
ただし、上記実施形態では、
図3等に示すように、昇降機構19の昇降駆動部70として、電気モータを有する電動アクチュエータを使用したが、これに代えて、例えば流体シリンダ装置を使用してもよく、この流体シリンダ装置のピストンロッドに移送機構18を連結して、この移送機構18を昇降移動させるようにしてもよい。
【0149】
そして、上記実施形態では、フライ槽14内を減圧又は真空にして、減圧又は真空下でフライ処理をしたが、これに代えて、外気圧下でフライ処理をしてもよい。
【0150】
また、上記実施形態では、保持容器17を、中段位置と下段位置との間で昇降移動させてフライ製品13を製造したが、これに代えて、保持容器17を、上段位置と下段位置との間で昇降移動させてフライ製品13を製造してもよい。
【0151】
更に、上記実施形態では、
図4に示すように、フライ槽14内に6つの保持容器17を収容できる構成としたが、これ以外の数の例えば6つ以外の3つ以上の保持容器17を収容できる構成としても良い。
【0152】
そして、上記実施形態のキャビテーション防止ライン90は、
図2に示すように、その入口端部115,116を、ストレーナタンク88の揚げ油出口部112及びストレーナタンクの上部113の両方に接続したが、これに代えて、その入口端部をストレーナタンク88の揚げ油出口部112及びストレーナタンク88の上部113のうちのいずれか一方に接続してもよい。