特許第6171192号(P6171192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171192
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】アンカーボルト位置決め工具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20170724BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20170724BHJP
   B25B 33/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   E04G21/18 C
   E02D27/00 B
   B25B33/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-140143(P2015-140143)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2017-20288(P2017-20288A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年8月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715006649
【氏名又は名称】栗原 新治
(72)【発明者】
【氏名】栗原新治
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−018107(JP,A)
【文献】 実開昭52−106897(JP,U)
【文献】 特開2013−147822(JP,A)
【文献】 特開2000−282693(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0096789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/18
E02D 27/00
B25B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建築工法パネル方式に使用するアンカーボルトの位置決め修正作業に使用する工具であって取手とカットスクリューの角度に対応した傾斜を持つ彎曲形状をした支柱部と先端部はアンカーボルトの径に合わせた半円形状構造を持つ先端部を特徴とする位置決め工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築において基礎と土台を固定する建築工法に用いる工具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、木造建築でコンクリート基礎と木質土台をアンカーボルトによる固定工法に関する。従来は根太方式によりアンカーボルトの先端部が土台表面から出ていた為、カットスクリューという締め付けネジ部品の作業が容易に出来た。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図6にて現状工法の問題点を説明する。木造建築工法で、基礎に埋め込まれたアンカーボルトにより基礎部と土台部を固定する方法に関する。従来の建築工法は根太方式が主体であったが現在はパネル方式が主体となっている。根太を使用せずパネルであるためアンカーボルト先端位置は木製の土台表面より突き出ず、必ず土台表面下になければならない。(図6でS1は必ず+)アンカーボルトの基礎側は、コンクリートに埋め込まれているので、コンクリートの固化時にボルトの先端中心が僅かにズレることが多々発生する。
【0004】
図6にズレ発生時の状態を示す、ズレの寸法をD1で示す。このようなズレが発生した状態で土台固定用カットスクリューによる締め付け固定作業を行う場合、カットスクリューが挿入出来ないため、斜めに挿入され固定強度の低下や仕上がりに問題が発生する。そのために必ず修正作業を行っている。
【0005】
図5に修正方法の一例を示す。アンカーボルトの傾斜側の土台に外部からタッピングねじを打ち込みアンカーボルトの傾きを補正する。(図5-1に示す。)アンカーボルト周辺の土台表面をのみ(鑿)で削り取る。(図5-2に示す。)図5-1、5-2の作業を行って、アンカーボルトの位置調整をしながらカットスクリューにより締め付け作業を実施し基礎に土台を固定する。
【0006】
しかし以下の問題があった。上記の図5−1に示す方法では、タッピングネジ11により土台に傷をつけることになり 見栄えの低下、アンカーボルトを傷つけることによる品質の低下。上記の図5−2 Bに示す方法では、土台をのみ(鑿)で削るので見栄えの低下、強度の低下等両手法とも大幅な追加の作業が発生し作業工数が増加することに併せて難易度の高い作業であるため作業ミスも発生しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本考案は、木造建築工法パネル方式に使用するアンカーボルトの位置決め修正作業に使用する工具であって、取手とカットスクリューの角度に対応した傾斜を持つ彎曲形状をした支柱とアンカーボルト径状に合わせた半円形状構造を持つ先端部より構成されていることを特徴とする位置決め工具である。本発明の位置決め工具を使用することにより、アンカーボルトの位置ズレを修正する修正作業を簡単に、かつ確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の位置決め工具の使用により土台の表面下にあるアンカーボルトの中心位置のズレ調整をハンドル取手の操作だけの簡易な作業方法で可能となり、従来のズレ発生時、ノミによる土台の切削作業、タッピングねじによるアンカーボルトのズレ修正作業等が不要となり、外見、品質の低下が防止できるとともに従来のズレ発生時の修正工数の低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例である位置決め工具の正面図を示す。
図2】本発明の実施例である位置決め工具の平面図を示す。
図3】本発明の実施例である位置決め工具の先端凹部の側面図を示す。
図4-1】本発明の実施例である位置決め工具の修正作業具体例を示す図。
図4-2】本発明の実施例である位置決め工具の修正作業完成例を示す図。
図5-1】従来のアンカーボルト位置ずれ発生状態時の修正方法に関する修正作業の具体例及びタッピングネジを使用する方法を示す図。
図5-2】従来のアンカーボルト位置ずれ発生状態時の修正方法に関する修正作業具体例を示す。ノミによる土台の切除作業を示す図。
図6】アンカーボルト位置ずれ発生状態時の問題点を示した図。
図7】アンカーボルト位置ずれ発生状態時の問題点を示した写真。
図8】カットスクリューを示した写真。
図9】本発明のアンカーボルト位置決め工具を示した写真。
図10】本発明のアンカーボルト位置決め工具の使用状態を示した写真。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
図1図2図3にて本発明に係る位置決め工具の構造、図4図5にて修正方法について説明する。図1は本発明の位置決め工具の正面図を示す。取手2と、支柱3と、カットスクリュー傾斜支柱部4、先端凹部およびボルト押さえ5、により構成されているが、取手2と、支柱3と、カットスクリュー傾斜支柱部4、先端凹部およびボルト押さえ5は、同一の金属より構成しても良いしそれぞれ別の金属で構成しても良い。
【0011】
図2は、本発明の位置決め工具の平面図を示す。取手2の材料は、プラスチックでも良いし金属でも良い、つまり握り易ければ何でも良く特に指定はしない。
【0012】
図3は、先端凹部およびボルト押さえ5の側面図を示す。(図2において先端凹部およびボルト押さえ5を左方向から見た図)ここで凹部6の寸法(形状)は、アンカーボルトのネジ径、ネジ山寸法に合わせた形である。これはアンカーボルトに当てたとき、ネジ山を傷つけないための配慮である。
【0013】
図4-1にて本発明の位置決め工具1を使用してのズレ修正方法を説明する。コンクリート基礎8に埋め込まれたアンカーボルト7の中心がズレ、土台9の穴の中心よりズレが発生していた場合、狭くなっている土台の部位に本発明の位置決め工具1のカットスクリュー4を傾斜支柱部まで差し込みする。次に本発明の位置決め工具1の先端凹部5をアンカーボルトのネジ山に当てる。カットスクリュー傾斜支柱部4と土台9の接触点を支点として取手2を下方向(F方向)に力を加えアンカーボルトの中心位置が補正されるまで回転させる。支点と先端凹部の距離に比して、支点と取手までの距離が長いので梃の原理により小さい力で容易にアンカーボルトのズレを補正できる。尚、作業中アンカーボルト7の先端は明確に視認でき、曲げ過ぎなど作業誤りの発生を抑えることができる。アンカーボルト7が土台の穴中心に補正された状態でカットスクリュー10をネジ込む。本手法を使用すれば土台を傷つけることなく、また外観を損なうことなく、また固定の品質を損ことなく仕上げることができる。
【0014】
図6図10に、アンカーボルト位置ずれ発生状態時の問題点を示した写真(図6)、アンカーボルト位置ずれ発生状態時の問題点を示した写真(図7)、カットスクリューを示した写真(図8)、本発明のアンカーボルト位置決め工具を示した写真(図9)、本発明のアンカーボルト位置決め工具の使用状態を示した写真(図10)を示す。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は一般建築現場等で使用されるアンカーボルトの位置決め作業工法に関する工具であり、建築業の能率向上および品質向上に有効である。
【符号の説明】
【0016】
1、本考案の本体
2、取手
3、支柱
4、カットスクリュー傾斜支柱部
5、先端凹部およびボルト押さえ
6、アンカーボルト受け部(凹部)
7、アンカーボルト
8、基礎
9、土台
10、カットスクリュー
11、タッピングねじ
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10