特許第6171208号(P6171208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171208
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ヘリコプタ
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/06 20060101AFI20170724BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20170724BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   B64C1/06
   B64C1/00 B
   B64C27/04
【請求項の数】24
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-514833(P2014-514833)
(86)(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公表番号】特表2014-516859(P2014-516859A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】NZ2012000087
(87)【国際公開番号】WO2012169906
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】593300
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】593304
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】593683
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】517163652
【氏名又は名称】イノーバ ヘリコプターズ テクノロジー ホールディングス エヌゼット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】マロニー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヒートレイ,ニナ
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−344993(JP,A)
【文献】 特開平06−156390(JP,A)
【文献】 特表平06−510714(JP,A)
【文献】 特表2009−519153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/06
B64C 1/00
B64C 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともヘリコプタ胴体の外側を連続する積層構造として画定している耐荷重性複合殻であって、前記胴体は、少なくとも中央胴体区分および尾部支材を画定している、耐荷重性複合殻、
を備えている一次飛行構造であって、
前記中央胴体区分は、エンジンまたは動力伝達装置の少なくとも1つを囲うように作られている、一次飛行構造。
【請求項2】
前記尾部支材は、尾翼、フィンまたは尾部回転翼機構の少なくとも1つを取り付けた、または取り付けてあるように作られる、請求項1に記載の一次飛行構造。
【請求項3】
前記尾翼は、ダクテッドファン型尾部回転翼組立品、水平安定板および垂直安定板を支持するように作られる、請求項1または請求項2に記載の一次飛行構造。
【請求項4】
前記尾部支材は、尾翼を取り付けてあり、それによってモノコック構造を形成している、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項5】
一人以上の乗員および飛行制御装置を収容するように作られる前記胴体の前方区分をさらに備えている、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項6】
前記胴体の中心区分および前方区分は、扉、窓またはハッチ開口の少なくとも1つの輪郭を示している、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項7】
前記構造は、前記胴体表面の上方領域に位置する開口の輪郭を示していて、前記開口は、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つが前記胴体の中に少なくとも部分的に挿入されることが可能になるように作られる、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項8】
前記胴体の少なくとも上部内面と下部内面との間に伸張する、少なくとも2つの部材構成要素をさらに備えている、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項9】
前記部材は、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つのための少なくとも1つの取り付け点、またはエンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つが取り付けられるように作られるフレーム組立品のための少なくとも1つの取り付け点を提供している、請求項8に記載の一次飛行構造。
【請求項10】
少なくとも、前記胴体の側部内面の間に、かつ少なくとも2つのビーム構成要素に直角に、伸張している少なくとも2つの部材をさらに備えている、請求項1乃至9のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項11】
前記部材の少なくとも1つは、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つによって生じる荷重を前記複合殻に伝達するように作られる、請求項8乃至10のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項12】
少なくとも2つの部材は、前記中央胴体区分から前記前方区分まで伸張するように作られた、一体的に形成される前方突出部材をさらに備えていて、前記突出部材は、複合殻の下部内面に取り付けるように作られる下部領域およびキャビン床パネルを支持するように作られる上部領域を有している、請求項5乃至11のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項13】
前記胴体の前方区分および前記キャビン床パネルは、乗員用座席および飛行制御装置が設置され得るように、キャビン空間を少なくとも部分的に画定している、請求項12に記載の一次飛行構造。
【請求項14】
前記キャビン床は、前記前方突出部材および複数の構造部材によって支持されており、前記構造部材は、前記キャビン床パネルの下側と前記複合殻の下部領域の内面の間に伸張するように作られる、請求項12または請求項13に記載の一次飛行構造。
【請求項15】
前記構造部材は、前記キャビン床パネルおよび前記複合殻の内面に取り付けるように作られる、請求項14に記載の一次飛行構造。
【請求項16】
前記構造部材は、第1の組の部材および第2の組の部材を備えていて、前記構造部材は、結合されると、前記キャビン床パネルと前記複合殻の内面の間に伸張する格子構造を一体となって形成するように、前記第1の組の部材は、前記第2の組の部材に対して実質的に垂直に伸張するように作られる、請求項14または請求項15に記載の一次飛行構造。
【請求項17】
前記キャビン空間は、さらに、複数のシート、飛行制御装置および乗員拘束装置を設置することが可能になるように作られる、請求項5に記載の一次飛行構造。
【請求項18】
前記複合殻は、積層を備えていて、前記積層は、複数の織物層を備えている、請求項1乃至17のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項19】
前記複数の織物層は、連続フィラメントマットの第1の層と、炭素およびKelvar複合材の第1の層と、一方向性炭素繊維の層と、炭素およびKelvar複合材の第2の層と、連続フィラメントマットの第2の層とを備えており、前記積層は、硬化したまたは硬化性の樹脂を注入されているまたは注入されるように作られる、請求項18に記載の一次飛行構造。
【請求項20】
前記積層は、付加的積層および/またはSoricを含むコア充填剤をさらに備えている、請求項19に記載の一次飛行構造。
【請求項21】
前記積層は、前記第1および第2の層の間に炭素一方向織物の層をさらに備えている、請求項19または請求項20に記載の一次飛行構造。
【請求項22】
前記積層は、前記第1および第2の層の間に炭素二重バイアス織物の層をさらに備えている、請求項19乃至21のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項23】
前記積層は、前記第1および第2の層の間に充填層をさらに備えている、請求項19乃至22のいずれか1つに記載の一次飛行構造。
【請求項24】
炭素二重バイアス織物の層は、炭素二重バイアス織物の複数の層を備えており、
前記中央胴体区分の上部領域の表面で前記尾部支材の上部区分の表面まで広がる複数の層と、
前記中央胴体表面区分の上部領域で前記尾部支材の中間および下部表面区分まで広がる複数の層と、
前記中央胴体区分の下部領域と前記尾部支材領域の下部表面に少なくともいくらかはいったところまでの間に広がる複数の層と、
を含む、請求項22に記載の一次飛行構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機構造に関し、特に複合航空機構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のヘリコプタ支持構造物および骨組みは、例えば木、アルミニウム、チタン、クロムモリブデン鋼管およびマグネシウム合金などの材料を含んでいる。ヘリコプタ構造物の製作および製造は、特殊な治具およびフレームならびに認定保持具を広範囲に使用することで成り立っており、床と、治具、フレームおよび取付け具は、頻繁に較正される。このような設備は、ある位置に固定されて可動性ではないなど、特有の短所がある。
【0003】
従来技術の胴体製作および製造工程では、胴体は、最初に内部構成部品を組み立ててから外側の作業を行なうことで構築される必要があった。ヘリコプタを構築する従来技術の方法は、中央フロアパネルなどの開始箇所または部分を特定することから始まる。次いで、サブフレームおよびサブパネルを加えて、その開始箇所の周囲に胴体の内部構造が系統的に加えられる。次いで、隣接するサブフレームおよびサブパネルをリベット留めまたはボルト留めして骨格を形成することで、組立品は、補強される。内部構造の全てが完成した後、胴体骨格は、通常骨格に直接的に取り付けられる、所定の位置にリベット留めまたはボルト留めされる外板で包み込まれる。胴体の一次構造が完成して、胴体が構造的に強固になれば、胴体は、製作または製造組み立て治具から取り外される。
【0004】
伝統的なヘリコプタ胴体製造には、数多くの短所がある。1つの短所は、構造が極めて労働集約的であることである。完成した胴体は、膨大な数の個別部品を有しており、それぞれが、従来式の製作が必要とされる。これらの部品を追跡しながら組み立てるには、熟練した作業要員が必要である。さらに、治具製作には、長い準備時間および長いブレークダウン時間を要する。伝統的な方法のヘリコプタ胴体生産は、非常に費用が掛かるものである。
【0005】
伝統的なヘリコプタ製造の別の短所は、ヘリコプタ胴体の完成した外表面が多くの半球形のリベット頭で覆われていることである。この型の仕上がりは、見栄えの悪さと共に高抗力という不利益をもたらす。抗力の不利益を取り除くために胴体の外側の外板に皿頭リベットを使用することは、かなりの材料費および時間が連想される。
【0006】
シートメタルパネルを使用して胴体の外板を形成する伝統的なヘリコプタ胴体製造の別の短所は、滑らかな、ひいては空気力学的に好ましい形状を実現するこが困難なことである。
【0007】
伝統的なヘリコプタ胴体製造の別の短所は、扉および窓開口部が、一般的には、手仕上げされることである。手仕上げでは、同じ扉または窓開口部が2つ存在することはない。したがって、それぞれの窓または扉は、隙間なく閉じ得るような嵌め合いを確実にするために、通常手で個別に成形する必要がある。
【0008】
リベット留めされた構造物およびひいては重ね継ぎを用いる伝統的なヘリコプタ胴体製造の別の短所は、湿気侵入である。この湿気は、閉じ込められ、その結果腐食が起こる。腐食は、構造破損につながる可能性がある。
【0009】
尾翼付属物を胴体に取り付ける従来の方法は、リベット、ネジまたはボルトなどの機械的留め具を用いる。リベット継手またはボルト継手などの機械的留め具は、労働集約的であり、特別な取付け具および成形治具の使用を必要とすることが知られている。
【0010】
係る付属物を固定するのに機械的留め具を用いることに関連する短所は、隣接する表面のそれぞれに、留め具が通るための複数の穴が形成されていなければならないことである。そうした穴は、構造の弱体化を引き起こす可能性があり、構造破損点の原因になり得る。構造破損の危険を低下させるために、そうした締結方法は、多くの場合、定期的保守点検を行なって、特に隣接する穴の間に広がる可能性のあるどのような亀裂に対しても構造的保全性が維持されることを確実にする必要がある。
【0011】
固定された付属物が、何らかの外部物体に衝突された場合に、周囲材料を引き裂くことによって、航空機に重大な損傷が引き起こされるという点で、機械的な締結には、さらなる短所がある。
【0012】
機械的な締結には、曲面と合わせて取り付ける場合、別の短所がある。曲面と概ね平坦な留め具との間の形状の不整合によって、留め具に接近した箇所で過度の応力を発生させる可能性がある。
【0013】
別の短所は、機械的に締結された表面またはリベット留めされた表面は、密封性に関する問題を起こしやすいことであり、湿気が侵入するまたは閉じ込められる可能性がある。
【0014】
別の短所は、機械的に締結された表面が、さまざまな腐食を起こしやすいということである。糸状、粒子間および表面の腐食は、機械的に締結された表面の間に生じる可能性がある。多くの場合、これらの領域の腐食は、定期保守、分解および点検でも検知されなくなり、留め具または留め具に近接する領域に破滅的な破損をもたらす可能性がある。
【0015】
伝統的に、ヘリコプタ乗員シートおよび乗客用シートは、ヘリコプタ胴体に作り付けの構造物であった。近年、乗員シートおよび乗客用シートは、前方シートおよび後部乗客用折り畳み式シートのための独立した組立品に進化してきた。認可基準は、ヘリコプタのすべての乗員に対する耐衝撃性シートを包含していることを求めている。
【0016】
新しい認可規則が導入されて以来、最近では、新しく認可されるヘリコプタのシートは、認可が求められるカテゴリの緊急着陸条件を含む、適用可能な飛行および地上荷重の条件に対応する、乗員、シートおよび安全ベルトまたはハーネスの間の最大負荷率、慣性力および抗力の所定の設計パラメータに適合する「耐衝撃性」を有するよう求められている。
【0017】
その結果、新規のヘリコプタ設計または以前のヘリコプタ設計への改造としてヘリコプタに据え付けられる、新しく設計された耐衝撃性シートがいくつか存在するようになった。これらの新しいシート設計は、緩衝装置、圧壊レバー機構、制動装置、エネルギー吸収フォームおよび折り畳み可能な金属構造物の設計を包含している。
【0018】
耐衝撃性シート基準に適合する従来技術の1つのシート設計は、ストロークシート機構として知られている。ストロークシート機構の短所には、定期点検および整備、金属面用腐食防止、シートアクションの不慮の引っ掛かりおよびシートのストロークの際に発生する四肢の怪我に関する要件が含まれる。
【0019】
耐衝撃性シート基準に適合する従来技術の別の設計は、制動シート機構として知られている。このシート機構の短所には、摩擦パッドの経時的なプレロードの緩み、および点検および再調整の標準要件、金属フレームが腐食防止を必要としており、シートアクションの不慮の引っ掛かりおよびシートのストロークの際に発生する四肢の怪我、が含まれる。
【0020】
耐衝撃性シート基準に適合する従来技術の別の設計は、アルミニウムシートメタルボックス設計である。このシート機構の短所は、乗員がシートパンを通じてシート基部に落下することが可能になることを含んでいる。乗員が衝突を切り抜け生存しても、乗員は、その後もシート基部に閉じ込められ、衝突した航空機から逃れることができないことが証明されてきた。
【0021】
本明細書では、特許明細書およびその他の文書を含む外部情報源を参考文献としてきたが、これは、一般に、本発明の特徴を論述する文脈を提供することを目的としている。特に明記しない限り、そうした情報源への言及は、そうした情報源が従来技術である、または当技術では共通の一般知識の一部を成すものであることの承認として、いかなる裁判権においても、解釈されるべきではない。
【0022】
本発明の目的は、上述の短所の少なくとも1つを克服するまたは少なくとも改善する、または少なくとも、有用な選択肢を公共に提示する解決策を提供することである。
【0023】
本発明のその他の目的は、ほんの一例として提示される後続の説明を読めば明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
1つの態様では、本発明は、少なくとも胴体の外側を画定している耐荷重性複合殻から成る一次飛行構造に関し、胴体は、少なくとも中心胴体区分および尾部支材を画定していて、中心胴体区分は、エンジンまたは動力伝達装置の少なくとも1つを囲うように作られている。
【0025】
尾部支材は、尾翼、フィンまたは尾部回転翼機構の少なくとも1つを取り付けた、または取り付けてあるように作られれば好ましい。
【0026】
尾翼は、ダクテッドファン型尾部回転翼組立品、水平安定板および垂直安定板を支持するように作られれば好ましい。
【0027】
尾部支材は、尾翼を取り付けてあり、それによってモノコック構造を形成していれば好ましい。
【0028】
胴体の前方区分は、一人(1つ)以上の乗員および飛行制御装置を収容するように作られれば好ましい。
【0029】
複合一次飛行構造は、扉、窓またはハッチ開口の少なくとも1つの輪郭を示す胴体の中心区分および前方区分をさらに備えていれば好ましい。
【0030】
構造は、胴体表面の上方領域に位置する開口の輪郭を示していて、開口は、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つが胴体の中に少なくとも部分的に挿入されることが可能になるように作られれば好ましい。
【0031】
複合一次飛行構造は、胴体の少なくとも上部内面と下部内面との間に伸張する、少なくとも2つの部材構成要素をさらに備えていれば好ましい。
【0032】
部材は、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つのための少なくとも1つの取り付け点、またはエンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つが取り付けられるように作られるフレーム組立品のための少なくとも1つの取り付け点を提供していれば好ましい。
【0033】
複合一次飛行構造は、少なくとも、胴体の側部内面の間に、かつ少なくとも2つのビーム構成要素に直角に、伸張している少なくとも2つの部材をさらに備えていれば好ましい。
【0034】
部材の少なくとも1つは、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つによって生じる荷重を複合殻に伝達するように作られれば好ましい。
【0035】
部材の少なくとも1つは、1つ以上の燃料電池を配置することが可能な密閉空間を少なくとも部分的に作り出すように配列されていれば好ましい。
【0036】
部材は、構造が、航空機衝撃エネルギーをほとんど吸収することなく、エネルギーの進路を密閉空間から遠くにそらすように、複合殻の内面に取り付けることが可能な構造を作り出すように作られれば好ましい。
【0037】
少なくとも2つの部材は、中央胴体区分から前方区分まで伸張するように作られた、一体的に形成される前方突出部材をさらに備えていれば好ましく、突出部材は、複合殻の下部内面に取り付けるように作られる下部領域およびキャビン床パネルを支持するように作られる上部領域を有している。
【0038】
胴体の前方区分およびキャビン床パネルは、乗員用座席および飛行制御装置が設置され得るまたは参照され得るように、キャビン空間を少なくとも部分的に画定していれば好ましい。
【0039】
キャビン床は、前方突出部材および複数の構造部材によって支持されており、構造部材は、キャビン床パネルの下側と複合殻の下部領域の内面の間に伸張するように作られれば好ましい。
【0040】
構造部材は、キャビン床パネルおよび複合殻の内面に取り付けるように作られれば好ましい。
【0041】
構造部材は、第1の組の部材および第2の組の部材を備えていて、構造部材は、結合されると、キャビン床パネルと複合殻の内面の間に伸張する格子構造を一体となって形成するように、第1の組の部材は、第2の組の部材に対して実質的に垂直に伸張するように作られれば好ましい。
【0042】
キャビン空間は、さらに、複数のシート、飛行制御装置および乗員拘束装置を設置することが可能になるように作られれば好ましい。
【0043】
複合殻は、積層を備えていて、積層は、複数の織物層を備えていれば好ましい。
【0044】
複数の織物層は、連続フィラメントマットの第1の層と、炭素およびKelvar複合材の第1の層と、一方向性炭素繊維の層と、炭素およびKelvar複合材の第2の層と、連続フィラメントマットの第2の層とを備えており、積層は、硬化したまたは硬化性の樹脂を注入されているまたは注入されるように作られれば、好ましい。
【0045】
積層は、付加的積層および/またはSoricを含むコア充填剤をさらに備えていれば好ましい。
【0046】
積層は、第1および第2の層の間に炭素一方向織物の層をさらに備えていれば好ましい。
【0047】
積層は、第1および第2の層の間に炭素二重バイアス織物の層をさらに備えていれば好ましい。
【0048】
積層は、第1および第2の層の間に充填層をさらに備えていれば好ましい。
【0049】
炭素二重バイアス織物の層は、炭素二重バイアス織物の複数の層を備えていれば好ましく、中央胴体区分の上部領域の表面で尾部支材の上部区分の表面まで広がる複数の層と、中央胴体表面区分の上部領域で尾部支材の中間および下部表面区分まで広がる複数の層と、中央胴体区分の下部領域と尾部支材領域の下部表面に少なくともいくらかはいったところまでの間に広がる複数の層が含まれる。
【0050】
一方向性炭素繊維織物は、約200g/mmであれば好ましい。
【0051】
支持織物の少なくともいくらかは、幅が約200mmから300mmであれば好ましい。
【0052】
支持織物は、胴体の積層の中に一体化されれば好ましい。
【0053】
連続フィラメントマット層は、約300g/mmであれば好ましい。
【0054】
炭素およびKelvar複合材層は、約190g/mmであれば好ましい。
【0055】
充填層は、厚さが約2mmであれば好ましい。
【0056】
外側表面層は、少なくとも中央胴体区分を通って尾部支材まで伸張する、実質的に滑らかなかつ実質的に連続する表面として形成されれば好ましい。
【0057】
本明細書における別の態様において記載されているのは、実質的に囲われた複合胴体すなわち飛行構造の外殻の上部と下部の内面の間に広がる、少なくとも4つの直立したパネル部材の中に存在する、1つ以上の燃料電池の保護を提供するように作られる囲壁であり、少なくとも2つのパネル部材は、胴体の内部すなわち飛行構造外殻の内部に対して横方向に伸張する表面を有し、少なくともその上部および下部の領域で胴体の内面に結合しており、少なくとも2つのパネル部材は、長手方向に胴体の内部すなわち飛行構造外殻内部まで伸張し、少なくともその上部および下部の領域で胴体の内面に結合しており、パネル部材は、密閉空間を画定している。
【0058】
胴体すなわち外殻およびパネル部材のそれぞれは、複合積層構造を備えていれば好ましい。
【0059】
囲壁は、密閉空間の下部領域に取り付けられるフロア部材をさらに備えていれば好ましい。
【0060】
パネル部材の上部領域は、エンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つ、あるいはエンジンまたは主回転翼ギヤボックスまたは動力伝達装置モジュールの少なくとも1つを取り付けることが可能な少なくとも1つのフレーム組立品を、支持するように作られれば好ましい。
【0061】
囲壁は、少なくとも1つの燃料電池を支持するように作られれば好ましい。
【0062】
パネル部材の少なくとも1つは、そこを通して燃料電池を挿入することが可能な開きを有していれば好ましい。
【0063】
胴体すなわち外殻およびパネル部材は、衝撃荷重に曝されるときに、衝撃エネルギーの進路を密閉空間から遠くにそらすような構造を一体となって形成していれば好ましい。
【0064】
別の広範な態様では、本発明は、少なくとも中心区分および尾部支材区分を有するヘリコプタ胴体を形成する方法である。当該方法は、少なくとも2つの金型を提供することであって、第1の金型は、所望される外側の胴体殻形状のポート区分と実質的に一致する内側形状を有しており、第2の金型は、所望される外側の胴体殻形状の右舷区分と実質的に一致する内側形状を有している、少なくとも2つの金型を提供することと、複数の織物層を、ポート胴体区分および右舷の胴体区分を形成する第1および第2の金型のそれぞれの中に付けることと、樹脂を織物の層に注入して、複合構造物を作成することと、から成る。
【0065】
複数の織物層を金型の中に付ける段階は、CFMの第1の層を付けることと、炭素およびKelvar複合材織物の第1の層を付けることと、CUの層を付けることと、炭素およびKelvar複合材織物の第2の層を付けることと、CFMの第2の層を付けることと、を備えていれば好ましい。
【0066】
方法は、付加的な積層および/またはSoricを含むコア材料を付けることをさらに備えていれば好ましい。
【0067】
複数の織物層を金型の中に付ける段階は、第1および第2の層の間にCUの層をさらに備えていれば好ましい。
【0068】
複数の織物層を金型の中に付ける段階で、積層構造は、第1および第2の層の間にCDB層をさらに備えていれば好ましい。
【0069】
方法は、胴体のポート区分および右舷区分が隣接するように、第1および第2の金型のそれぞれを並べて整列させることをさらに備えていれば好ましい。
【0070】
各金型区分は、アライメントマーカまたはデータの1つ以上を有していて、方法は、アライメントマーカまたはデータのそれぞれを整列させることをさらに含んでいれば好ましい。
【0071】
方法は、複数の織物層を胴体の隣接するポート区分および右舷の区分にわたって付けることをさらに備えていれば好ましい。
【0072】
方法は、所望される内部胴体構造と一致する複数の金型を提供することをさらに備えていれば好ましい。
【0073】
方法は、樹脂が硬化することを可能にする段階および複合構造物を金型から取り外す段階をさらに備えていれば好ましい。
【0074】
別の広範な態様において、本発明は、ヘリコプタを建造する方法であり、方法は、以下の段階、すなわち胴体外板すなわち殻を提供することであって、殻は、少なくとも、胴体中心区分および尾部支材を備えていて、胴体外板すなわち殻は、複数の開口の輪郭を示し、かつ実質的な密閉空間を画定している、胴体外板すなわち殻を提供することと、複数の部材を複数の開口の少なくとも1つを通して胴体に挿入することとを備えている。
【0075】
方法は、複数の部材を胴体外板すなわち殻の内側で組み立てて、内部構造を形成することをさらに備えていれば好ましい。
【0076】
方法は、複数の床パネルを開口の少なくとも1つを通して胴体の中に挿入することをさらに含んでいれば好ましい。
【0077】
方法は、複数の部材を胴体外板すなわち殻の内面、他の部材および床パネル、またはその組み合わせのいずれかに付着させることをさらに備えていれば好ましい。
【0078】
付着の段階は、織物を、隣接部材の近接領域との重複領域に付けること、および織物に樹脂を注入して複合構造物を形成することを備えていれば好ましい。
【0079】
方法は、複数の部材を胴体内側の中心区分に配置して、密閉空間を画定することをさらに備えていれば好ましい。
【0080】
胴体は、パイロット、乗客および飛行制御装置を収容するためのキャビンを囲うことに適応可能な胴体の前方区分をさらに形成していれば好ましい。
【0081】
複数の開口は、扉、窓またはハッチ開口のいずれかを含んでいれば好ましい。
【0082】
方法は、尾翼または任意の数の飛行安定化付属物を尾部支材に取り付けることをさらに備えていれば好ましい。
【0083】
尾部支材および尾翼は、モノコック構造を画定していれば好ましい。
【0084】
尾翼は、ダクテッドファン型尾部回転翼組立品、水平および垂直安定板を支持するように作られれば好ましい。
【0085】
方法は、エンジンまたはエンジン支持フレームを開口の1つを通して胴体の中に挿入することをさらに備えていれば好ましい。
【0086】
方法は、エンジンまたはエンジン支持フレームを部材の少なくとも1つに取り付けることをさらに備えていれば好ましい。
【0087】
方法は、少なくとも1つの燃料電池を開口の1つを通して胴体内の密閉空間に挿入することをさらに備えていれば好ましい。
【0088】
本明細書におけるの態様において記載されているのは、航空機用の耐衝撃性シート組立品であり、当該シート組立品は、シート基部構成要素であって、シート基部は、航空機に取り付けるように作られた下部表面を有するシート基部構成要素と、シートパン構成要素であって、シートパンがシート基部の最上部に結合するように作られている、シートパン構成要素とを備えており、シート構成要素は、複合積層構造で形成されている。
【0089】
シート基部は、衝撃に曝されるときに、シート基部が衝撃エネルギーを吸収するべく破砕するような形態になっていれば好ましい。
【0090】
シート基部構成要素は、基部壁および4つの側壁を有していて、側壁は、シート基部の周辺部のまわりにそれぞれ伸張している、実質的に連続した内側および外側の層を備えていて、側壁は、中間層をさらに備えていて、中間層は、破砕領域が、各壁が隣に推移する領域またはその近くに画定されるように、内側および外側の層の間に配置される複数の別々の壁区分を備えていれば好ましい。
【0091】
基部壁および側壁は、重複領域を有していて、重複領域は、基部壁の中に伸張する側壁または側壁の中に伸張する基部壁のいずれか、または両方によって形成されれば好ましい。
【0092】
側面層の重複領域は、基部表面にわたって約50mm伸張しており、基層は、側部表面の上方に約30mm伸張していれば好ましい。
【0093】
シート基部は、4つの側壁の上部領域周辺に伸張する上部層をさらに備えていれば好ましい。
【0094】
上部支持層は、約450g/m2の連続するフィラメント織物であれば好ましい。
【0095】
シート構成要素は、シートバックおよびシートパンを備えていて、シートバックおよびシートパンは、複数の実質的に連続した層で形成されていれば好ましい。
【0096】
シートは、破砕可能な複合シート基部に構造的に付着されるシートパンおよびシートバックを備える、全面的に複合的な上部シートであれば好ましい。
【0097】
基部壁は、航空機キャビンの床に締結されるように作られれば好ましい。
【0098】
基部壁は、炭素二重バイアス織物の1つ以上の付加的な層を備えていれば好ましい。
【0099】
炭素二重バイアス織物の基部壁は、約400g/mmであれば好ましい。
【0100】
炭素二重バイアス織物の基部壁は、幅が少なくとも75mmであれば好ましい。
【0101】
基部壁および4つの側壁は、密閉内部空間を画定していて、内部空間は、エネルギー吸収材料または荷物を収容するように作られれば好ましい。
【0102】
エネルギー吸収発泡体は、Confor CF45、Confor CF47または類似品であれば好ましい。
【0103】
側壁の少なくとも1つは、密閉空間への接近を可能にする開口を有していて、開口は、周囲に支持層が配置されれば好ましい。
【0104】
支持層は、約450g/mの連続するフィラメントマット織物であれば好ましい。
【0105】
後方側壁は、付加的な支持がシートの背面区分に提供されるように、シート基部で上方に伸張していれば好ましい。
【0106】
内側および外側の層は、炭素およびKelvar織物0/90、両方向性または同軸型織物のようであれば好ましい。
【0107】
内側および外側の層は、約180 g/mの炭素およびKelvar織物であれば好ましい。
【0108】
中間層は、約450g/mの連続するフィラメント織物であれば好ましい。
【0109】
シートパン構成要素は、実質的に平坦なシート基部部分と一体になった実質的に直立するシートバックを有していて、シートパン構成要素は、織物材料の交互層から構築されていれば好ましい。
【0110】
織物の少なくとも1つは、流動媒体であれば好ましい。
【0111】
織物の少なくとも1つは、機械的強度を提供すれば好ましい。
【0112】
織物の少なくとも1つは、衝撃荷重に曝されるときに、他の織物の爆発的破損を防止すれば好ましい。
【0113】
交互織物は、炭素およびKelvar織物および連続するフィラメントであれば好ましい。
【0114】
コア材料は、織物層の一部を、間隔を空けて離して配置させれば好ましい。
【0115】
織物材料の層は、以下の層を備えていれば好ましく、すなわち、約180g/mmの炭素およびKelvar複合材織物の第1の表層、約300g/mmの第2の層の連続するフィラメントマット、炭素一方向織物の横方向に間隔を空けて配置される部分の第3の層であって、それぞれ、幅約100mmおよび約300g/mmである第3の層、約180g/mmの炭素およびKelvar複合材織物の第5および第6の層、約300g/mmの連続するフィラメントマットの第6の層、約300g/mmの連続するフィラメントマットの第7番目、約180g/mmの炭素およびKelvar複合材織物の第8の層、約300g/mmの炭素一方向織物の横方向に間隔を空けて配置される複数の第9の層、約300g/mmの連続するフィラメントマットの第10番目、および約180g/mmの炭素およびKelvar複合材織物の第11番の層である。
【0116】
織物材料の層は、第6および第7の層の間に配置されるコア材料の層をさらに備えていれば好ましい。
【0117】
コア材料は、2つの横方向に間隔を空けて配置される部材を備えていれば好ましい。
【0118】
コアは、PVC発泡材料または類似品であれば好ましい。
【0119】
織物の第9の層それぞれの幅は、約50mmであれば好ましい。
【0120】
少なくとも3対の横方向に間隔を空けて配置される第9の層があれば好ましい。
【0121】
本明細書に記載されているさらなる広範な態様は、少なくとも第1および第2の対向表面の間で機械的および化学的な取り付けを可能にする留め具であり、表面のそれぞれは、対向側から非対向側に伸張する複数の穴を有しており、留め具は、第1および第2の表面の間に設置され、複数の穴の少なくともいくつかを通って伸張する接着剤層を備えており、接着剤層は、第1および第2のそれぞれの非対向側に頭部を設置させる。
【0122】
接着剤は、メタクリル酸メチルベースのエポキシ接着剤であれば好ましい。
【0123】
接着剤は、ITW Plexus MA530、MA550、Clickbond、Permabond、Parsons、ITW Ramset A7のうちの少なくとも1つであれば好ましい。
【0124】
接着剤は、約150,000cpsの粘度を有していれば好ましい。
【0125】
接着剤は、繊維添加剤と混合されれば好ましい。
【0126】
添加剤は、炭素、Kelvarまたは複合ガラス繊維の少なくとも1つであれば好ましい。
【0127】
各対向表面間の隙間は、10mmより大きくなければ好ましい。
【0128】
各対向表面間の隙間は、約3mmであれば好ましい。
【0129】
締結穴大きさは、約3mmから5mmであれば好ましい。
【0130】
締結穴大きさは、約4mmであれば好ましい。
【0131】
締結穴は、穴中心間の間隔を約25mm空けて配置されれば好ましい。
【0132】
締結穴は、最初に表面の外縁に対して位置決めしてから内側に間隔を空けて配置されれば好ましい。
【0133】
表面の外縁の最も近くに設置される締結穴は、外側の側縁から約10mmにあれば好ましい。
【0134】
締結面の少なくとも1つは、航空機構造すなわち胴体の一部であれば好ましい。
【0135】
締結面の少なくとも1つは、航空機構造すなわち胴体に取り付けられるように作られる付属物であれば好ましい。
【0136】
本明細書に記載されている別の広範な態様は、2つの表面を接合する方法であり、方法は、接合される少なくとも2つの対向表面を提供することと、対向側から非対抗側まで伸張する複数の穴をそれぞれの表面に形成することと、対向表面間に接着層を提供することであって、接着剤は、表面に化学的または機械的に付着する型のものであり、接着剤は、液体状態または少なくともペーストである、対向表面間に接着層を提供することと、接着剤が流れるように、またはそうでない場合は、接着剤が複数の穴の少なくともいくつかを通って対向側から非対向側へ強制的に移動させられて、接着剤が非対向側上に頭部を形成するように、表面を合わせて配置させることと、接着剤を硬化させることと、を備えている。
【0137】
一部の接着剤は、複合リベットを形成すれば好ましい。
【0138】
方法は、繊維添加剤を接着剤に混合することをさらに備えていれば好ましい。
【0139】
表面を合わせて配置させる段階は、表面を10mm以下だけしか離さないで配置することを備えていれば好ましい。
【0140】
表面を合わせて配置させる段階は、表面を約3mm離して配置することを備えていれば好ましい。
【0141】
それぞれの表面に複数の穴を形成する方法は、約3mmから5mmの大きさを形成することを備えていれば好ましい。
【0142】
それぞれの表面に複数の穴を形成する方法は、約4mmの大きさを形成することを備えていれば好ましい。
【0143】
穴は、穴中心間の間隔を約25mm空けて配置される方法が好ましい。
【0144】
穴は、最初に表面の外縁に対して位置決めしてから内側に間隔を空けて配置されれば好ましい。
【0145】
表面の外縁の最も近くに設置される穴は、外側の側縁から約10mmにあれば好ましい。
【0146】
本明細書に記載されている別の態様は、航空機表面と付属物の間に機械的および化学的な取り付けを可能にすることを含む締結機構によって付属物が取り付けられている航空機表面であり、機構は、少なくとも第1および第2の対向表面の間に機械的および化学的な取り付けを備えていて、表面のそれぞれは、航空機表面および付属物のそれぞれの対向側から非対向側まで伸張している複数の穴を有しており、第1と第2の表面の間に設置され、複数の穴の少なくともいくつかを通って伸張する接着剤層を備えていて、接着剤層は、硬化すると、航空機表面および付属物表面のそれぞれの非対向側に頭部を設置する。
【0147】
接着剤は、メタクリル酸メチルベースのエポキシ接着剤であれば好ましい。
【0148】
接着剤は、ITW Plexus MA530、MA550、Clickbond、Permabond、Parsons、ITW Ramset A7のうちの少なくとも1つであれば好ましい。
【0149】
接着剤は、約150,000cpsの粘度を有していれば好ましい。
【0150】
接着剤は、繊維添加剤と混合されれば好ましい。
【0151】
添加剤は、炭素、Kelvarまたは複合ガラス繊維の少なくとも1つであれば好ましい。
【0152】
各対向表面間の隙間は、10mmより大きくなければ好ましい。
【0153】
各対向表面間の隙間は、約3mmであれば好ましい。
【0154】
穴の大きさは、約3mmから5mmであれば好ましい。
【0155】
穴の大きさは、約4mmであれば好ましい。
【0156】
穴は、穴中心間の間隔を約25mm空けて配置されれば好ましい。
【0157】
穴は、最初に表面の外縁に対して位置決めしてから内側に間隔を空けて配置されれば好ましい。
【0158】
表面の外縁の最も近くに設置される穴は、外側の側縁から約10mmにあれば好ましい。
【0159】
以下の実施形態は、上記態様のいずれかに関するものであり得る。
【0160】
本発明の他の態様は、ほんの一例として提示する後続の説明を、添付図面を参照しながら読むことで明らかになり得る。
【0161】
本明細書において使用される、用語「および/または」は、「および」または「または」、あるいはその両方を意味している。
【0162】
本明細書において使用される、名詞の最後に付される「(s)」は、名詞の複数形および/または単数形であることを示している。
【0163】
本明細書において開示される数の範囲に関する言及(例えば、1から10)は、さらに、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)およびその範囲内の任意の範囲の有理数(例えば、2から8、1.5から5.5および3.1から4.7)への言及もさらに含んでおり、したがって、本明細書において明白に開示されるすべての範囲のすべての部分範囲は、ここに明白に開示されているものと意図される。これらは、具体的に意図するもののほんの一例であり、列挙される最も低い値と最も高い値の間の数値のすべての可能な組み合せは、同じように本出願において明白に述べられているとみなされるものである。
【0164】
本明細書では、特許明細書、その他の外部文書またはその他の情報源を参考文献としてきたが、これは、一般に、本発明の特徴を論述する文脈を提供することを目的としている。特に明記しない限り、そうした外部文書への言及は、そうした文書またはそうした情報源が、いかなる裁判権においても、従来技術である、または当技術では共通の一般知識の一部を成すものであることの承認として、解釈されるべきではない。
【0165】
本明細書で使用される用語「comprising」は、「少なくとも部分的に構成されていること」を意味している。本明細書でのこの用語を含む説明を解釈するときに、説明または特許請求の範囲のそれぞれにおいてこの用語で始まる特徴は、すべて存在している必要があるが、他の特徴もさらに存在し得る。「備えている」および「備えていた」などの関連用語も、同様に解釈されるべきである。
【0166】
本明細書で使用される用語「composite」は、母材および補強材、あるいは母材または補強材の少なくとも1つを含む2つ以上の材料の複合を指している。用語「matrix」は、樹脂または樹脂溶液としばしば呼ばれるまたは言い換えられるポリマー材料を意味しているまたは含んでいる。用語「reinforcement」は、1つ以上の成分を含む織物または繊維性材料を意味しているまたは含んでいる。
【0167】
発明に関連する当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義される発明の範囲を逸脱することなく、構成の多くの変更および本発明の大きく異なる実施形態および適用が想起されるであろう。本明細書における開示および説明は、単に例証的であり、いかなる意味においても制限することを目的とするものではない。
【0168】
本発明を、ほんの一例として、下記図面を参照しながら説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0169】
図1】1つ以上の垂直安定板フィンを有するヘリコプタ機体の典型的な尾翼を示している。
図2】間に接着剤が置かれている2つの表面を示している。
図3】結合部材を使用して尾翼のある区分に取り付けられているフィンを示している。
図4】尾翼に取り付けられるフィンの端面図を示しており、複数の穴を有している。
図5】例えばテールフィンでもよい上側の対向表面と、例えば尾翼でもよい下側の対向表面との間の接着剤を示している。
図6】接着剤が表面の外側側面上に頭部を形成していることを示している。
図7a】航空機および特にヘリコプタ用エネルギー吸収シート組立品の斜視図および正面図をそれぞれ示している。
図7b】航空機および特にヘリコプタ用エネルギー吸収シート組立品の斜視図および正面図をそれぞれ示している。
図8】シートの区分の分解斜視図を示している。
図9】シート基部の上面断面図を示している。
図10】シート基部の垂直断面図を示している。
図11】シート基部の分解立体図であり、構造積層の最も好適な配列を示している。
図12】標準的にはシートパン、シートバックおよび一対の支持リブを有するシートの後面斜視図を示している。
図13】断面線A−AおよびB−Bを有するシートの後面図を示している。
図14a】横断面A−Aを詳細に示している。
図14b】横断面B−Bを詳細に示している。
図15a】ヘリコプタの外殻の2つの区分を示している。
図15b】殻の各区分は、鋳造加工で別々に形成された後、一体に接合されて単一胴体構造を形成すれば好ましいことを示している。
図16】ヘリコプタ殻の側面図を示している。
図17】内部支持を提供するために、中央胴体の後部または尾部支材の前方部分に据え付けられれば好ましい部材すなわち隔壁311、312を示している。
図18】前方突出部材を有する一対の部材すなわち竜骨ビームを示している。
図19】前面窓開口を通して挿入され、竜骨ビームの間に位置付けられ、それによって、燃料電池などの補助的品目が配置するまたは取り付けることができる床を作成するように作られる部材すなわちパネルを示している。
図20】窓開口を通して挿入し、フロア部材の上に配置してそれらに接合させることができるキャビン床パネルを示している。
図21】胴体の最上部表面に輪郭が示される点検ハッチを通して挿入され、随意的に竜骨ビームに接合され得る床パネルを示している。
図22】中央胴体の下部外側床領域上に位置付けられ、貨物保管用平面を実現し易くするように作られる選択的パネルを示している。
図23】中央胴体の後部領域上に直立し、下方に配置される空間の天井を形成するように作られるパネルを示している。
図24】中央胴体区分の最上領域の開口を通して挿入されるように作られる床パネルを示している。
図25】中央胴体区分の最上領域の開口を通して挿入され、中央胴体の内部領域を尾部支材領域から切り離して閉鎖するように作られるパネルを示している。
図26】胴体に輪郭が示される開口に取り付けるように作られる前面窓およびキャビン屋根を示している。
図27】胴体に輪郭が示される開口に取り付けるように作られる前面窓およびキャビン屋根を示している。
図28】胴体に輪郭が示される窓開口および点検ハッチを閉じるように作られる複数の蓋を示している。
図29】ヘリコプタ胴体の1つの好適な実施形態の側面図である。
図30】ヘリコプタ胴体の1つの好適な実施形態の下面図である。
図31】好適なヘリコプタ胴体300および尾翼336の側部図を示しており、織物332の付加的層を積層構造に付けることが可能な領域を示している。
図32】好適なヘリコプタの下面図を示しており、特に、胴体に輪郭が示される複数の開口を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0170】
図1は、1つ以上の垂直安定板フィン101および1つ以上の水平安定板フィン102を有するヘリコプタ機体100の典型的な尾翼を示している。安定化フィンは、空力的安定性を提供するために航空機上で一次的に必要とされるが、センサおよび照明などの装置、または航空機飛行制御で使用される機構を収容するなどの二次機能を提供し得る。
【0171】
翼101、102などの尾翼付属物をヘリコプタ尾部支材103およびファンダクト構造104などの胴体または機体に取り付ける従来技術の方法は、リベット、ネジまたはボルトなどの機械的留め具を用いる。リベット継手またはボルト継手などの機械的留め具は、労働集約的であることが公知であり、特別な取付け具および成形治具を使用する必要がある。
【0172】
当該付属物を固定するのに機械的留め具を使用することに関連する短所は、隣接している表面のそれぞれに、留め具が通るための複数の穴が形成されていなければならないことである。そうした穴は、構造の弱体化を引き起こす可能性があり、構造破損点の原因になり得る。構造破損の危険を低下させるために、そうした締結方法は、多くの場合、定期的保守点検を行なって、特に隣接する穴の間で広がる可能性のあるどのような亀裂に対しても構造的保全性が維持されることを確実にする必要がある。
【0173】
固定された付属物が、何らかの外部物体に衝突された場合に、周囲材料を引き裂くことによって、航空機に重大な損傷が引き起こされるという点で、機械的な締結には、さらなる短所がある。
【0174】
機械的な締結には、曲面と合わせて取り付ける場合、さらなる短所がある。曲面と概ね平坦な留め具との間の形状の不整合によって、留め具に直接接する箇所に過度の応力を発生させる可能性がある。
【0175】
別の短所は、機械的に締結された表面またはリベット留めされた表面は、密封性に関する問題を起こしやすく、湿気が侵入するまたは閉じ込められる可能性があることである。
【0176】
別の短所は、機械的に締結された表面が、さまざまな腐食を起こしやすいということである。糸状、粒子間および表面の腐食は、機械的に締結された表面の間に生じる可能性がある。多くの場合、これらの領域の腐食は、定期保守、分解および点検でも検知されなくなり、留め具または留め具に近接する領域に突発的な不具合をもたら可能性がある。
【0177】
尾翼付属物を胴体すなわち機体構造に固定し、なおかつ伝統的な機械的留め具を使用することに伴う亀裂の問題を克服する1つの方法は、メタクリル酸メチルまたは機械的接着剤などの化学的付着を使用することである。図2は、間に接着剤106が置かれている2つの表面105を示している。当該接着剤は、当初、液体またはペーストであるので、表面105の間で流動することが可能であり、その後、表面105と化学的に反応して硬化し、剛性付着を生成する。表面105のそれぞれは、最善の付着を確実にするために実質的に整合的な形状を有しているべきであるが、平らに嵌め合う必要はない。接着剤106が表面105に付けられると、組立品は、表示している矢印の方向に合わされるように配置され、そして接着剤が、硬化し得る。接着剤は、通常、硬化用の化学的発熱反応を必要とする。
【0178】
付属物を機体構造に接合するのに化学的付着を用いる短所は、この種の付着は、通常剪断強度しか提供できないことである。化学的付着は、さらに、固定された付属物が、何らかの外部物体に衝突され、引張圧力または剥離圧力に曝された場合に、破損する傾向があり得る。
【0179】
本発明の1つの好適な実施形態は、付属物を胴体または機体構造に取り付ける、取り付けまたは方法に関し、上述の短所の少なくとも1つを克服するまたは少なくとも改善する、あるいは、少なくとも、有用な選択肢を公共に提供するものである。好適な実施形態では、取り付けまたは取り付け方法は、尾翼付属物を機体に取り付けるのに使用されているが、ブラケットおよびアンテナを含むさまざまな他の品目を取り付けることも含み得る。
【0180】
図3は、結合部材108を使用して尾翼104のある区分に取り付けられているフィン101を示している。結合部材108は、ヘッド107によって提供される機械的留め具と、硬化接着剤109によって提供される化学的付着とを一体化して組み合せたものである。
【0181】
表面を連結するのに、表面のそれぞれが、実質的に平坦に互いに嵌め合っていれば、または少なくとも実質的に整合的な形状を有していれば好ましいが、必ずしも必要ではない。
【0182】
結合部材108は、次の工程の少なくともいくつかによって形成されれば好ましい。
1.対向表面が接合される領域に印を付けるまたは他の方法で強調される。
2.対向表面が接合される領域は、それぞれの表面に複数の穴を有している。穴は、整列している必要はない。図4は、尾翼に取り付けられるフィンの端面図を示しており、複数の穴111を有している。
3.接着剤の一部を、対向表面のそれぞれの間に付ける。図5は、例えばテールフィン101でもよい上側の対向表面と、例えば尾翼104でもよい下側の対向表面との間の接着剤109を示している。接着剤は、糊または樹脂でもよく、繊維を含んでいてもよく、または繊維複合材料でもよい。
4.次いで、対向表面101、104を、表示されるF方向に互いに配置させる。対向表面101、104を配置すると、接着剤109は、強制的に貫通穴111を通過する。接着剤が穴111の中を流れる際、表面引力(コアンダ効果による)によって、接着剤の流れは、穴を通って表面の輪郭をたどり、穴111を通過後、外側へ放射状に流れる。
【0183】
フィン101の端を越えて流れる接着剤は、丸みがつくまたは他の形状になることで、フィン101と尾翼104の間に円滑かつ空気力学的に有利な推移部110を形成し得る。
【0184】
接着剤109は、図6に示すように表面の外側上に頭部107を形成する。接着剤が硬化すると、頭部107は結合部材108を生成する。結合部材108は、機械的留め具を形成し、一方で、表面および形成された組立品も、同様に化学的付着を享受する。結合部材は、その他の方法で形成される単なる付着または厳密な機械的留め具よりも優れた手段によって、剪断力および張力に抗する強度をもたらす。
【0185】
結合部材を形成して2つの表面を接合することは、表面が、基板および樹脂によって形成される場合には特に有用である。接着剤109は、組立品が、硬化後実質的に均一な材料の構造になるように、樹脂と同じでもまたは類似の材料でもよい。
【0186】
結合部材108によってもたらされるさらなる長所は、例えば付属物を交換する必要がある場合に行なう必要のあり得る何らかの修理工程を改善するものである。交換は、付属物を弱体化させる疲労が原因で、または不慮の衝突による破損によって必要となり得る。
【0187】
破損した付属物は、何らかの周知の方法を用いて尾翼から切断することができ、尾翼は、研削または研磨されて元の形状および輪郭が再生される。尾翼が修復されれば、上述の工程を用いて新しい結合部材108を形成することによって、新しい付属物を準備して、尾翼に取り付けることができる。古い結合部材の何らかの材料の残りがあっても、新しい結合部材の形成に実質的な影響を及ぼすことはない。
【0188】
接着剤は、ITW Plexus MA530またはMA550であれば好ましい。しかし、Clickbond、Permabond、Parsons、ITWRamsetA7またはその他のメタクリル酸メチルベースエポキシ接着剤などの類似の接着剤でもよい。
【0189】
接着剤の粘度は、約150,000cpsであれば好ましい。
【0190】
随意的に、接着剤は、繊維添加剤と混ぜ合わされる。その添加剤は、炭素であれば好ましく、あるいは、Kevlarまたは複合ガラス繊維でもよい。
【0191】
それぞれ配置された表面間の隙間は、10mm以下であれば好ましい。それぞれ配置された表面間の隙間は、約3mmであれば好ましい。表面は、整形縁で、10mmまで上がれば好ましい。
【0192】
穴の大きさは、3mmから5mmでもよく、約4mmであれば好ましい。穴は、穴中心間が約25mmになるように位置付けられれば好ましい。穴は、最初に、表面の外縁に対して位置決めしてから、内側に動かされれば好ましい。最も外側の穴は、外縁から約10mmにあれば好ましい。
【0193】
伝統的に、ヘリコプタ乗員シートおよび乗客用シートは、ヘリコプタ胴体に作り付けの構造物であった。近年、乗員シートおよび乗客用シートは、前方シートおよび後部乗客用の折り畳み式シート用の独立した組立品に進化してきた。認可基準は、ヘリコプタのすべての乗員に対する耐衝撃性シートを包含していることを求めている。
【0194】
新しい認可規則が導入されて以来、最近では、新しく認可されるヘリコプタのシートは、適用可能な飛行および認可が求められるカテゴリの緊急着陸条件を含む地上荷重条件にふさわしい乗員、シートおよび安全ベルトまたはハーネスの間の最大負荷率、慣性力および抗力の所定の設計パラメータに適合する「耐衝撃性」を有するよう求められている。
【0195】
その結果、新規なヘリコプタ設計または以前のヘリコプタ設計に対する改造としてヘリコプタに据え付けられる、新しく設計された耐衝撃性シートがいくつか存在するようになった。これらの新しいシート設計は、緩衝装置、圧壊レバー機構、制動装置、エネルギー吸収フォームおよび折り畳み可能な金属構造物の設計を包含している。
【0196】
耐衝撃性シート基準に適合するための従来技術の1つのシート設計は、ストロークシート機構として知られている。ストロークシート機構の短所は、定期点検および整備、金属面用腐食防止、シートアクションの不慮の引っ掛かりおよびシートのストロークの際に発生する四肢の怪我に関する要件を含んでいる。
【0197】
耐衝撃性シート基準に適合する従来技術の別の設計は、制動シート機構として知られている。このシート機構の短所は、摩擦パッドの経時的なプレロードの緩み、および点検および再調整、金属フレームが必要な腐食防止、シートアクションの不慮の引っ掛かりおよびシートのストロークの際に発生する四肢の怪我、に関する標準要件を含んでいる。
【0198】
耐衝撃性シート基準に適合する従来技術の別の設計は、アルミニウムシートメタルボックス設計である。このシート機構の短所は、乗員がシートパンを通ってシート基部に落下することが可能になることを含んでいる。乗員が衝突を生き残り得ながらも、乗員は、その後もシート基部に閉じ込められ、衝突した航空機から逃れることができないことが証明された。
【0199】
本発明の1つの好適な形態は、ヘリコプタの乗員用の耐衝撃性シートであり、これは、上述の短所の少なくとも1つを克服するまたは少なくとも改善する、あるいは、少なくとも、有用な選択肢を公共に提供する。耐衝撃性シートは、下向き30Gおよび前方18.5Gのエネルギー吸収シート設計の現在の認可要件にさらに適合すれば好ましい。
【0200】
本発明の別の態様は、機構上にあるシートであり、圧壊を可能にする垂直距離を提供する。本発明のある実施形態では、シートは、全面的に複合的な上部シートであり、粉砕可能な複合シート基部に構造的に付着されるシートパンおよびシートバックを備えている。シートは、コックピット前方および後ろの両方に互換性を有して設置されるように意図されている。
【0201】
図7aおよび図7bは、航空機および特にヘリコプタ用エネルギー吸収シート組立品200の斜視図および正面図をそれぞれ示している。シート200は、一般的には、上部複合積層区分202および下部複合区分201を備えて構築されている。各複合区分は、硬化性樹脂を注入して合わせて付着させた織物層の特有の配列で構築されている。
【0202】
下部複合区分201または基部は、硬着陸または衝突の際にシート乗員が受ける損傷を少なくとも何らかの方法で軽減することに役立つように、航空機衝撃エネルギーによって破砕可能である。図8は、シート200の区分の分解斜視図を示している。上部および下部のシート区分は、個別に組み立てられて構築され、その後接合されれば好ましい。発泡体などのエネルギー吸収部材203を、シート基部201の開口中心領域に据え付けることで、シートの衝撃エネルギー吸収特性をさらに改良し得る。エネルギー吸収発泡体は、Confor CF45、Confor CF47または類似のものであれば好ましい。
【0203】
例えば試験的なまたはアマチュアが造った航空機で、エネルギー吸収特性および発泡体203が必要ではない場合には、シート基部201の開口中心領域、ハッチ開口209および蓋204が設けられることで、例えば開口中心領域を荷物保管に使用することが可能になり得る。
【0204】
下部複合区分201を通して航空機キャビンの床に固定されていて、前方および後方、両方のキャビン位置で適合可能なシートを使用するとき、シート乗員は、シートに取り付けることができるラップベルトおよび肩ベルトを備えていているシートベルト組立品によって、使用しているシートの中に拘束される。
【0205】
次に、下部複合区分またはシート基部201に好適な織物層の配列を、図9から図11を参照して説明する。図9は、シート基部201の上面断面図であり、図10は、シート基部201の垂直断面図である。図11は、シート基部201の分解立体図であり、構造積層の最も好適な配列を示している。シート基部は、樹脂を注入して合わせて付着させ、複合または母材を形成している、複数の織物層で構築されていれば好ましい。
【0206】
シート基部201は、外周周辺に伸張する、織物204の外層および織物205の内層を備えた側面構造を有していれば好ましい。中間層206は、前面、背面および側面のそれぞれで、内側周辺層および外側周辺層204、205の間に位置している。シート基部201のハッチ開口209が所望される場合、織物層207は、その開口の周囲に、好ましくは内面上に積層される必要がある。
【0207】
中間層206は、各表面の間で連続していなければ好ましい、すなわち、中間層は、シート基部の垂直方向の角領域208周辺を覆っていなければ好ましい。角領域208は、隙間または細い区分を有しており、これは、構造の各角部に弱点を形成し、このことにより、実質的に垂直方向から圧力がかかると場合、局部的な歪み状態を形成することになる。図10は、織物基層の配列を示しており、上層212および下層213が、中間層214のどちらか一方の側に配列されている。
【0208】
基層の外縁および側面層の下縁のそれぞれには、織物の区分があり、それは、付加的に支持用の重複領域を形成していれば好ましい。側面織物の重複領域は、基部面の上に約50mm伸張していれば好ましく、基部織物は、側面の上方に約30mm伸張していれば好ましい。
【0209】
領域が重複しているように示しているが、その代わりに、領域が、基部と側壁の間に伸張する、織物の連続した一部であってもよいことを理解されたい。同様に、織物の領域が連続的に示されているところでは、その代わりに、そうした領域が、織物の区分に重複していてもよい。任意の重複領域は、大きさが約30mmから50mmであれば好ましい。
【0210】
内側、外側の周囲層204、205および上側、下側の基層212、213は、炭素および/またはKevlar(CKC)0/90、両方向性または同軸型織物などの樹脂注入両方向性織物で構築されていれば好ましい。内側、外側の周囲層204、205は、組立品に機械的強度を提供している。CKC織物は、約180g/mの炭素およびKevlar織物であれば好ましい。中間層206は、樹脂注入された連続フィラメントマット(CFM)織物であれば好ましい。中間層206は、内側と外側の周囲層に付加的な剛性を提供するのに役立っている。CFM織物は、約450g/mであれば好ましい。
【0211】
層210は、シートパン202がシート基部に接合されるための領域での付加的支持のために、シート基部201の上部縁の内側周囲上に設けられている。層210は、シートパン202の背面区分に付加的な支持を提供するために、さらに、シート基部の後部区域で上方に伸張していれば好ましい。付加的な層210は、シート基部201がシートパン202と接するフランジを越えて約30mm伸張していれば好ましい。上部支持層210およびハッチ支持層207は、CFM織物で、約450g/mであれば好ましい。
【0212】
確実に取り付けることを容易にするために、部材215を設けてもよく、この部材を介して、留め具の位置を決め、シート基部を航空機キャビンの床に取り付けることができる。部材215は、約400g/mmの幅75mmの炭素二重バイアス織物で構築されれば好ましい。
【0213】
次に、上部複合区分またはシート202用織物層の好適な配列を、図12から図15を参照して説明する。図12は、標準的にはシートパン220、シートバック221および一対の支持リブ222を有するシート202の後面斜視図を示している。支持リブは、シートバック221の表面からパン220の前部分まで伸張している。支持リブは、シートバックがシートパンの方へ折れ曲がるのを実質的に抑制するように、生存可能な衝突でシート構造の剛性を維持するのに役立っている。シート202は、樹脂を注入して合わせて付着させ、複合材料または母材を形成している、複数の織物層で構築されていれば好ましい。シートは、ITWPlexusMA530またはMA550などのメタクリル酸メチル構造用接着剤を用いてシート基部に付着されれば好ましい。一方、Clickbond、Permabond、Parsons、ITW Ramset A7または他のメタクリル酸メチルベースエポキシ接着剤などの接着剤が、適切な代替品である。
【0214】
図13は、断面線A−AおよびB−Bを有するシートの後面図を示している。横断面A−Aは、図14aに詳細に示される。横断面B−Bは、図14bに詳細に示される。標準的には、シートは、CKCなどの構造織物およびCFMなどの織物の交互層から構築されている。発泡体などのコア材料が使用されて、織物層を、間隔を空けて配置し、シート202の構造の中心部分に複合Iビーム構造が可能になる。しかし、注入に溢流二金型法を用いる場合、発泡体は省略され得る。層のそれぞれは、シートバック221の上部分からシートパン220の前方部分まで連続的に伸張するように配列されれば好ましい。シートバックおよびシートパンは、織物の非連続な区分を使用して構築されてもよく、そうした非連続な区分は、シート基部に関して先に記載したように、重複区分に接合されていることを留意されたい。
【0215】
CFMの層は、流動媒体として使用される。CFM層は、それ自体で大きく強度に寄与するものではないが、別個の2つの構造材料に関して使用されて、サンドイッチ構造を生成する。炭素を通過するまたは炭素周囲での樹脂の流れは、問題を含んでいる。流動媒体としてCFMを使用すると、隙間および流動に関連する問題の対策となり、問題を軽減する。
【0216】
既述したように、CKCは、炭素およびKelvar材料を含む材料である。炭素材料は、強度および剛性を提供するのに使用される。Kelvar材料は、そのエネルギー吸収特性のために使用される、または炭素を囲むラビリンスとして使用される。炭素構造が機械的に機能しないとき、Kelvarは、協働して構造を保持して、破砕を阻止する。Kelvarは、さらに、炭素断片が、乗員に重傷を負わせる可能性があるスピアまたは切刃になることを防止する。
【0217】
シートバックおよびパンは、第1の表層223および第2の表層224を有している。第1の表層223は、CKCおよび約180g/mmのような機械的強度を提供する材料でできていれば好ましい。第2の層224は、CFMおよび約300g/mmのような材料でできていれば好ましい。
【0218】
第3の層225は、横方向に間隔を空けて配置される、織物の部分の対であり、それぞれ幅は、約幅100mmである。第3の層は、複数の層から成っていてもよく、2層から成れば好ましい。第3の層は、Carbon uni(CU)および約300g/mmのような材料でできていれば好ましい。
【0219】
第5および第6の層、226、227は、第3の一層または複数の層の後ろに設けられる。第5の表層226は、CKCおよび約180g/mmのような機械的強度を提供する材料でできていれば好ましい。第6の層227は、CFMおよび約300g/mmのような材料でできていれば好ましい。
【0220】
2つの横方向に間隔を空けて配置されるコア部材228は、随意的に、第6の層の後に設けられる。コア層は、上部層と底部層の間に隙間を形成して、組立品の機械的強度を改善する。コア部材228は、PVC発泡体材料または類似したものであれば好ましい。コア部材228は、ツーピース分割注入金型システムでは省略され得る。
【0221】
第7および第8の層、229、234は、コア部材228の後ろに設けられる。第7の層229は、CFMおよび約300g/mmのような材料でできていれば好ましい。第8の表層234は、CKCおよび約180g/mmのような機械的強度を提供する材料でできていれば好ましい。
【0222】
複数の第9の層230は、横方向に間隔を空けて配置され、かつコア部材228と揃えられる。第9の層230は、付加的な強度をシートバックおよびシートパンに提供するために設けられる。第9の層230は、横方向に間隔を空けて配置される3対の織物を備えていれば好ましい。第9の層は、Carbonuni(CU)および約300g/mmのような材料でできていれば好ましい。織物の各区分の幅は、約50mmであれば好ましい。
【0223】
第10および第11の層231、232は、シートバックおよびシートパンの後部を閉じる。第10の層231は、約300g/mmのCFMでできていれば好ましい。第11の層は、CKCおよび約180g/mmであれば好ましい。
【0224】
シートは、すべての前面、コアおよび背面の積層材料を含んだシングルアクションとして注入され得る、または、シートは、二工程ツーピース分割金型システムとして注入され得、シートの前方の半分が1つの部分として注入され、コア材料は省略されて、シートの後方の半分が第2の部分として注入される。次いで、2つの部分は、メチルメタクリル酸構造接着剤を用いて化学的に合わせて付着される。
【0225】
シートは、快適性のために布張りしてもよい。エネルギー吸収CF45およびCF47発泡体をシート基部上のクッションとして使用して、シートを布張りすることで、快適性およびエネルギー吸収特性を提供すれば好ましい。
【0226】
組み立てられたシートおよびシート基部は、折り畳み可能または破砕可能な構造を形成して、航空機が地上に衝突する際にエネルギーを吸収する。破砕工程は、以下の好適なシーケンスで起こり、最初に、シート基部の後部パネルが歪み、次に、側部パネルが歪み、3番目に、前部パネルが歪む。それぞれの角領域208のおかげで、シート基部側部パネルのそれぞれが、他のパネルの歪みを引き起こすことなく、大きく歪むことが可能になっている。
【0227】
シートおよびシート基部上の荷重が、航空機衝撃の際にシート基部側壁のいずれかまたは全部を歪めるほど大きくない場合、衝撃荷重は、シートバックおよびクッションの内側を覆っている場合があるエネルギー吸収発泡体などの他の領域に分散される。
【0228】
この実施形態によって提供される長所には、構造が軽量であることが含まれる。当該シートは、従来型のストロークまたは制動シート設計の半分の重量より少ないが、FAA(連邦航空局)FAR(連邦航空規則)パート27耐衝撃性シート基準に適合している。
【0229】
エネルギー吸収シート組立品が、上部工学的複合積層区分および下部工学的複合破砕可能区分を備えていれば好ましく、使用されるシートは、下部区分を通してキャビンの床に固定される。複合上部シートは、破砕可能な複合シート基部に構造的に付着されるシートパンおよびシートバックを備えていれば好ましい。破砕可能なシート基部は、前方および後方、両方のキャビン位置で適合可能であれば好ましい。構造的に工学的なシートは、計算された機械的特性を実現するような工学的積層であるシートパンおよびシートバックを備えていれば好ましい。乗員は、シートに取り付けられるラップベルトおよび肩ベルトを備えるシートベルト組立品によって、使用中はシートに拘束されれば好ましい。基部区分は、計算された機械的特性および特定の負荷条件下での意図的な圧壊順序を実現するような工学的積層である、構造的に工学的なシート基部を備えていれば好ましい。炭素積層の目的は、剛性を提供することであれば好ましい。Kelvarの目的は、破砕の間、炭素積層を封じ込めることであれば好ましい。工学的積層は、少なくとも1つの炭素繊維積層および少なくとも1つのarimid繊維積層を備えていれば好ましい。耐衝撃性シートは、連邦航空局(FAA)連邦航空規則(FAR)タイトル14航空学および宇宙、パート27、耐空性基準、通常カテゴリ回転翼航空機の認可要件に適合するように設計されていれば好ましい。シートパンおよびシートバック積層を備えているシートは、RTM工程を使用して注入されれば好ましい。シート基部積層は、RTMを使用して注入されれば好ましい。シートは、構造接着剤HPR25A/Bを使用してシート基部に付着されれば好ましい。エネルギー吸収発泡体Confor CF45およびConfor CF47を、シート基部に取り付けて、エネルギー吸収をさらに支援すれば好ましい。シートは、シート基部クッションのエネルギー吸収CF45およびCF47発泡体を使用して布張りされれば好ましい。以下のように、背部パネル歪み、側部パネル歪み、その後の全体的な歪みの状態およびシーケンスでは不具合が予測される。残った構造が歪み形状を支持することができ、他の領域に荷重を再分散することが可能な場合、局所的歪み状態(パネル)が、究極的な不具合にならなければ好ましい。
【0230】
従来技術のヘリコプタ構造または骨組みは、木、アルミニウム、チタン、クロムモリブデン鋼管およびマグネシウム合金などの材料を備えている。ヘリコプタ構造物の製作および製造は、特殊な治具およびフレームならびに認定された保持具を多用することに基づいており、床と、治具、フレームおよび取付け具との調整が頻繁行なわれる。このようにして取り付けられる設備は、ある位置に固定され、可動性ではないなどの特有の短所がある。
【0231】
従来技術の胴体製作および製造工程では、胴体は、最初に内部構成部品を組み立ててから外側の作業を行なうことで構築される必要があった。ヘリコプタを構築する従来技術の方法は、中央フロアパネルなどの開始箇所または部分を特定することから始まる。次いで、サブフレームおよびサブパネルを加えて、その開始箇所の周囲に胴体の内部構造が系統的に加えられる。次いで、隣接するサブフレームおよびサブパネルをリベット留めまたはボルト留めして骨格を形成することで、組立部品は、補強される。内部構造の全てが完成した後、胴体骨格は、通常骨格に直接取り付けられる、所定の位置にリベット留めまたはボルト留めされる外板によって包み込まれる。胴体の一次構造が完成して、胴体が構造的に安定した状態であれば、胴体は、製作または製造組立て治具から取り外される。
【0232】
伝統的なヘリコプタ胴体製造には、数多くの短所がある。重要な注目すべきことは、構造が極めて労働集約的であるということである。完成した胴体は、膨大な数の個別部品を有しており、それぞれが、従来式の製作が必要とされる。これらの部品を追跡しながら組み立てるには、熟練した作業要員が必要である。さらに、治具製作には、長い準備時間および長いブレークダウン時間を要する。伝統的な方法のヘリコプタ胴体生産は、非常に費用が掛かるものである。
【0233】
伝統的なヘリコプタ製造法の別の短所は、ヘリコプタ胴体の完成した外表面が多くの半球形のリベット頭で覆われていることである。この型の仕上がりは、見栄えの悪さと共に高抗力という不利益をもたらす。抗力の不利益を取り除くために胴体の外側の外板に皿頭リベットを使用することは、かなりの材料費および時間が連想される。
【0234】
シートメタルパネルを使用して胴体の外板を形成する伝統的なヘリコプタ胴体製造の別の短所は、滑らかな、ひいては空気力学的に好ましい形状を実現するこが困難なことである。
【0235】
伝統的なヘリコプタ胴体製造の別の短所は、扉および窓開口部が、一般的には、手仕上げされることである。手仕上げでは、同じ扉または窓開口部が2つ存在することはない。したがって、それぞれの窓または扉は、隙間なく閉じ得るような嵌め合いを確実にするために、通常手で個別に成形する必要がある。
【0236】
リベット留めされた構造物およびひいては重ね継ぎを用いる伝統的なヘリコプタ胴体製造のさらなる短所は、湿気侵入である。この湿気は、閉じ込められ、その結果腐食が起こる。腐食は、構造破損につながる可能性がある。
【0237】
1つの実施形態によれば、本発明は、航空機、好ましくはヘリコプタ用の胴体構造である。図15から図32は、好適なヘリコプタ胴体、それらの胴体の好適な構成要素および好適な組立工程を示している。好適な胴体は、ヘリコプタの外殻を形成しており、外殻は、耐荷重性構造である。本明細書では、耐荷重性胴体は、ヘリコプタの外殻が、ヘリコプタに関する一次的な構造支持を提供していることを意味しており、構造支持には、エンジンおよびギヤボックス機構、キャビン、燃料電池、尾部支材および尾部回転翼組立品および尾翼を支持することが、これらに限定するわけではなく、含まれる。好適な胴体は、複合材料、すなわち複数の織物層の積層から構築されており、これらの織物層は、ポリエステル、ビニルエステルおよびエポキシ樹脂などのポリマーが注入されている、または注入されることになっているものである。ポリマーは、硬化するまたは硬化し得るので、織物層を十分に堅固な形成状態にまとめて固定する。樹脂は、UV耐性を有していれば好ましい。
【0238】
複合胴体構造は、伝統的な金属フレームベースの航空機と比べて、製造労力を減らすなどの長所を提供し得る。複合胴体は、少なくとも一部が金型で形成されれば好ましい。鋳造機体は、部品の大きさおよび形状の再現し易さなどの長所を提供する。部品の再現性は、隣接する部品または組立品との正確な嵌め合いを確実にすることに、少なくとも幾らかは役立つので、これによって、伝統的な金属フレームベースの航空機において多くの場合に一般的である、隣接部品との嵌め合いに対する個別の配慮要件は幾分改善される。
【0239】
複合胴体構造によって提供され得る別の長所は耐久性である。伝統的な金属フレームベースの航空機の耐用年数は、飛行中の付与応力によって、さらにエンジンおよび加工面の誘発振動によってある程度決まる。金属は、当該環境においていずれ亀裂を発生させるものであることは公知であり、したがって、航空機材料が安全な期間を越えて使用されないことを確実にするために、厳密な飛行時間記録が命じられる。好適な複合胴体は、金属製胴体と比べて劣化速度が改善している。
【0240】
複合胴体構造によって提供され得る別の長所は、例えばバードストライクまたは地上の物体の不慮の衝撃によって機械的損傷が発生した場合に、胴体の一部または全体を交換できることである。複合胴体の損傷区分を切り取って、交換品の複合区分を取り付けることができる。胴体区分の好適な交換方法は、機体から損傷区分を切り取ることと、除去される区分に実質的に該当する機体の区分の準備作業を行なうことと、複合積層構造の織物領域を備えていれば好ましい機体の区分を、既存の構造と重複する部分に取り付けることと、を含んでいる。
【0241】
複合胴体構造によって提供され得る別の長所は、例えばアライメントステーション、寸法マークおよび1つ以上の位置決めデータなどのキー識別子を金型の中に事前配置できることである。
【0242】
複合胴体構造によって提供され得る別の長所は、窓リベート、キャビンおよび貨物口リベートおよび点検パネルリベートを事前に配置できることである。
【0243】
複合胴体構造によって提供され得る別の長所は、窓、キャビンおよび貨物口および点検パネルおよびハッチ用の開口部シーリングフランジを鋳型に包含し得ることである。
【0244】
胴体の区分を交換することは、尾部支材などの大きい胴体領域を交換することも含んでいる。尾部支材を交換するために、現存の尾部支材は、中央の胴体区分に近接する領域または尾部支材の損傷区分に少なくとも近接する領域の胴体から切り取られる。取り除かれた尾部支材に実質的に一致する交換品尾部支材を準備して、残りの胴体構造に当接させ得る。接合工程は、複合材料の区分を準備すること、およびそのような複合材料を当接領域にわたって重ね合わせることを含む。
【0245】
図15(a)は、ヘリコプタ301、302の外殻の2つの区分を示している。殻の各区分は、鋳造加工で別々に形成された後、一体に接合されて図15(b)に示すように単一胴体構造300を形成すれば好ましい。
【0246】
胴体区分301、302は、複合材料でできており、鋳造加工で作られれば好ましい。複合材料は、約300g/mmのCFMの外層と、約190g/mmの次の層CKCと、任意の付加的な支持材料の層と、約2mmのsoricなどの発泡体または充填層と、約190g/mmの次の層CKCおよび約300g/mmのCFMの次の層とを含むいくつかの層の織物を有していれば好ましい。
【0247】
CSM形態層の外層は、衝撃および摩耗による損傷から保護するためのものである。随意的に、積層構造をレイアップする前に、ゲルコート層を金型面に塗布すると、外側の胴体表面を滑らかにし、かつ金型から外れ易くすることを促進する。
【0248】
織物層のそれぞれを、所望の胴体区分301、302の外部表面の形状と実質的に一致する金型の中に敷けば好ましい。次いで、織物の層には、UV耐性樹脂組成物が注入され、随意的に、構造を一体化して固定する真空法に曝される。使用することができるいくつかの樹脂注入方法には、単一真空バッグ法、デュアル真空バッグ法、シリコンバッグ法または簡易型RTMコントラ金型法が含まれる。硬化層は、それぞれの金型の中にとどまる。次いで、金型は、回転され、ボルト締めまたは型締めのいずれかによって接合される。次いで、注入区分301、302は、まとめて積層化される。積層接合処理は、注入または手積みのいずれかで実行される。胴体全体が硬化すると、金型の半分を完成した胴体構造から引き離す。
【0249】
胴体半分のそれぞれに好適なレイアップ工程は、以下の通りであり、対向する金型半分も同様である。胴体金型は、洗浄、研磨および剥離剤の塗布によって準備されれば好ましい。金型には、随意的に、約0.08’’から0.022’’厚さの犠牲ゲルコートが噴霧され、ゲルコートを硬化させる。胴体外層または殻積層は、CFM 300、CKC 190に加えて付加的な積層を備えていれば好ましく、これらは、胴体に加えてSoric2mm、CKC 190に加えてCFM 300の長さ全体にわたる、場所特有の付加的な積層である。付加的積層は、荷重および荷重経路に依存する構造の特定の領域を強化するまたは硬化することを求められる場合がある。
【0250】
すべての積層が正確に敷かれ、かつ付加的な積層が正確に配置されると、胴体金型は、選択的な、単一真空バッグ、デュアル真空バッグ、シリコン真空バッグまたは簡易型RTMconta金型でシールされる。真空は、100%で適用されれば好ましい。真空漏れ試験が、実行されれば好ましい。胴体全体が、最低でも12時間真空下に置かれれば好ましい。胴体金型が、この期間中+30°Cまで加熱されれば好ましい。胴体金型内部も、+30°Cに加熱されれば好ましい。好適な樹脂は、ビニルエステルであり、エポキシ混合樹脂Derakane 510C−350FRは、0.2%コバルトで反応が活性化され、0.7%で遅延される。樹脂が、+30度cまで加熱されれば好ましい。
【0251】
注入開始直前に、最終的な漏れ試験が、真空下において胴体積層で実行される。漏れ試験は、<2―3mb/分であるべきである。準備された注入樹脂は、一回の円滑な処理で胴体の注入を維持できる充分な量の注入の直前に、2%で触媒されれば好ましい。
【0252】
注入は、特定の順序で実行されれば好ましく、金型の最も深い部分で開始し、最も低い真空吸引孔に進むことで、完全な注入を確実にして、ロックアウトを回避し、次いで徐々に別の樹脂弁を開いて、樹脂流れを操作する。トリミングされ、接合された胴体外殻すなわち胴体は、6人用ヘリコプタに適する大きさで、100kg未満に構築される。
【0253】
図16は、ヘリコプタ殻の側面図を示している。殻300は、中央の胴体領域303および一体的に形成される尾部領域304を有していれば好ましい。中央の胴体領域303は、少なくともエンジンおよび動力伝達装置を支持するように作られていて、燃料タンクならびにビームおよび隔壁などの構造部材をさらに支持し得れば好ましい。動力伝達装置は、主回転翼を駆動して、尾部回転翼を駆動するシャフトと連結するように作られた主回転翼ギヤボックスを含んでいる。
【0254】
胴体外殻は、胴体金型から取り外されると、中空のフレームレス構造である。ヘリコプタ組立品を完成させるために、竜骨ビーム、床パネルおよび隔壁を含むさまざまな部材は、胴体に付与される飛行荷重および主回転翼および尾部回転翼システムおよびエンジンからの当該荷重が、ヘリコプタ機体の周囲に分散されるように、好適な順序で取り付けられるべきである。各部材は、その荷重を適切に分散させるような大きさおよび胴体内の位置に設定される。各部材は、キャビン扉用開口のような、外殻に輪郭が示される開口部を通じて、中空の胴体の中に順序正しく挿入される。各部材は、大きさが整えられ、胴体の内側に入ると、取り外せないように適所に付着される。
【0255】
胴体は、以下の順序で組み立てられれば好ましい。尾部支材前方隔壁311、燃料タンク後方隔壁312、竜骨ビーム313、竜骨ビーム314、横ビーム315、燃料室床317、後方キャビン隔壁318、キャビン床319、上部隔壁321、中央貨物床323、側部貨物室床324、側部貨物室屋根パネル325、後方船倉床326、エンジンドリップトレイ327、前面ガラスおよび前面ガラス組子328および屋根窓パネル329。
【0256】
尾部領域304は、少なくとも尾部支材を含んでいれば好ましい。しかし、尾部領域は、尾部回転翼取付け台および/または尾翼および/または飛行安定化付属物などの品目をさらに含み得る。
【0257】
殻300は、パイロット、乗客および飛行制御装置を収容するキャビンを有する、一体的に形成された前方区分305をさらに含み得る。殻300は、一体的に形成された前方区分305を含んでおり、窓307、扉306、点検ハッチ309、310、保管区域308等のための複数の開口の輪郭を示していれば好ましい。開口を用いて、ヘリコプタの他の全ての構成要素を据え付けることが可能になれば好ましい。例えば、隔壁、ビーム、壁および支持構造物などの品目は、飛行制御機構、燃料電池、エンジンおよび動力伝達装置などの補助的構成要素と共に、胴体区分301、302が接合された後で据え付けられることになっている。
【0258】
図17から図28は、胴体300の内部に据え付けられれば好ましい多くの構成要素を示している。構成要素は、好適な順序で据え付けられる。
【0259】
図17は、内部支持を提供するために、中央胴体の後部または尾部支材304の前方部分に据え付けられれば好ましい部材すなわち隔壁311、312を示している。隔壁311、312は、胴体の最上部に画定される開口313を通して据え付けられれば好ましい。隔壁311、312が据え付けられ、エンジンおよび回転翼ギヤボックス用の支持または取り付け場所を提供すれば好ましい。
【0260】
図18は、前方突出部材316を有する一対の部材すなわち竜骨ビーム313を示している。竜骨ビームは、胴体の中央区分の上部内面から下部内面まで伸張するように作られれば好ましい。部材316は、キャビン床を支持するためにキャビン領域305まで前方に伸張するように作られれば好ましい。部材314は、部材316を相補してキャビンの床を付加的に支持するように作られれば好ましい。部材314は、キャビンの前面領域を中央胴体区分の後方領域まで正面へ伸張するように作られれば好ましい。部材315は、部材316に対して直角に伸張して、キャビン床およびシートの据付けを付加的に支持するように作られれば好ましい、部材314、315、316のそれぞれは、少なくともいくつかの重複部分と嵌合するまたは連結して、キャビン空間304の下部領域に伸張する格子様構造を形成するように作られれば好ましい。部材314、315、316は、胴体300の下部内面の輪郭と実質的に一致するように成形され、その結果、当該構造を一体化して付着させると十分な剛性を有する構造を形成することが好ましい。部材314から316のそれぞれは、前面窓開口307または扉開口306などの開口を通って胴体の内部領域に挿入されるように作られれば好ましい。ビーム313の上部領域は、エンジンおよび/またはギヤボックス構造に接続し、エンジンおよびギヤボックスに関連する荷重を胴体壁に分散するように作られれば好ましい。
【0261】
図19は、前面窓開口307を通して挿入され、竜骨ビーム313の間に位置付けられ、それによって、燃料電池などの補助的品目が配置するまたは取り付けることができる床を作成するように作られる部材すなわちパネル317を示している。
【0262】
図20は、窓開口307を通して挿入し、フロア部材314、315、316の上に配置してそれらに接合させることができるキャビン床パネル319を示している。隔壁パネル318は、胴体300の最上部内面により近い領域から底部内面まで伸張しており、さらに、胴体側壁の内面の間に広がっていれば好ましい。パネル318は、随意的に、点検ハッチ322およびその相補的ハッチ蓋320を含んでいる。さらに、パネル321は、パネル318の上部縁と胴体の最上部内面の間に取り付けるように作られる。パネル321は、すぐ後方に接する胴体領域の点検を容易にするために着脱可能であれば好ましく、この領域は、エンジンまたは駆動機構を収納し得る。ビーム313、フロア部材および隔壁パネル318は、囲壁の中で収納される1つ以上の燃料電池を衝撃エネルギーから隔離するための囲壁を形成していれば好ましい。
【0263】
図21は、胴体300の最上部表面に輪郭が示される点検ハッチを通して挿入され、随意的に竜骨ビーム313に接合され得る床パネル323を示している。
【0264】
図22は、中央胴体の下部外側床領域上に位置付けられ、貨物保管用平面を実現し易くするように作られる選択的パネル324を示している。図23は、中央胴体の後部領域上に直立し、下方に配置される空間の天井を形成するように作られるパネル325を示している。
【0265】
図24は、中央胴体区分の最上領域の開口を通して挿入されるように作られる床パネル326を示している。床パネルは、胴体および周囲構造の内面に接合されるものに接合するように作られれば好ましい。
【0266】
図25は、中央胴体区分の最上領域の開口を通して挿入され、中央胴体の内部領域を尾部支材領域から切り離して閉鎖するように作られるパネル327を示している。
【0267】
パネル、壁、部材およびビームを含んでいる内部構造311から327は、複合材料でできていて、鋳造加工で作られれば好ましい。複合材料は、約300g/mmのCFMの外層と、約190g/mmの次の層CKCと、任意の付加的な支持材料の層と、約2mmのsoricなどの発泡体または充填層と、約190g/mmの次の層CKCおよび約300g/mmのCFMの次の層とを含むいくつかの層の織物を有していれば好ましい。CSMの形態層の外層は、衝撃および摩耗による損傷から保護するためのものである。随意的に、積層構造をレイアップする前に、ゲルコート層を金型面に塗布すると、外側の胴体面を滑らかにし、かつ金型から外れ易くすることを促進する。
【0268】
部材は、主として、一次構造、二次構造および三次構造を含んだ平面パネル区分であり、各部品の目的に特有の工学的積層になっている。一次構造は、機体を介した飛行エンジンおよび伝動装置荷重を担持する直接的な耐荷重性構造設計である。一次構造の例は、竜骨ビーム313および胴体構造301および302である。二次構造は、機体を介し、一次構造からの間接荷重および分担荷重を担持している。二次構造の例は、床323である。三次構造は、小荷重を担持する構造であり、この構造の損傷は、続いて一次構造または二次構造の損傷を引き起こすものではない。三次構造の例は、パネル327である。
【0269】
平面パネルごとの典型的な成層加工は、以下の通りである。積層テーブルは、洗浄、研磨および剥離剤の塗布を行なうことで準備される。テーブルには、随意的に、約0.018’’から0.022’’厚さの犠牲ゲルコートが噴霧される。ゲルコートは硬化する。平面パネルごとに、その積層構造は異なっている。基本フラットパネル積層は、付加的な積層を有していてもよく、それはパネル全体を通じて場所によって特有である。付加的積層は、荷重および荷重経路に依存する構造の特定の領域を強化するまたは硬化することを求められる場合がある。
【0270】
すべての積層が正確に敷かれ、かつ付加的な積層が正確に配置されると、テーブル金型は、選択的な、単一真空バッグ、デュアル真空バッグ、シリコン真空バッグまたは簡易型RTMconta金型でシールされる。次いで、真空は、100%で適用され、真空漏れ試験が、実行され、テーブル全体が、最低でも4時間真空下に置かれる。テーブル金型が、この間に+30°Cまで加熱される。ビニルエステル/エポキシ混合樹脂Derakane 510C−350FRは、0.2%コバルトで反応が活性化され、0.7%で遅延される。樹脂は、+30°Cまで加熱される。注入開始直前に、最終的な漏れ試験が、真空下においてテーブル積層で実行される。漏れ試験は、<2―3mb/分であるべきである。準備された注入樹脂は、一回の円滑な処理で胴体の注入を維持できる充分な量の注入の直前に、2%で触媒される。注入は、特定の順序で実行されて、完全な注入を確実にして、ロックアウトを回避しなければならない。注入は、積層の最も深い部分で開始し、進むことができ、次いで徐々に別の樹脂弁を開いて、樹脂流れを操作する。
【0271】
図26および図27は、胴体に輪郭が示される開口に取り付けるように作られる前面窓328およびキャビン屋根329を示している。
【0272】
図28は、胴体に輪郭が示される窓開口および点検ハッチを閉じるように作られる複数の蓋を示している。窓は、鋳造された窓リベートに適合するように、鋳造された胴体形状に真空形成される。窓は、加硫処理加工を使用して据え付けられる。キャビン、貨物およびハッチのシールは、鋳造加工の間に作成される予備成形されたリベートへのプレス嵌めである。キャビン、貨物およびハッチのヒンジおよびラッチは、鋳造工程の間に予備成形された金型ステーションおよび識別子に合わせてマッチドリル加工される。
【0273】
従来技術の1つの短所は、窓および扉用の凹所は、一般的には、手仕上げされることである。手仕上げすることで、構造が固有の形状を有するようになり、そのため、凹所に嵌入される窓、扉なども、適合し、かつ過度な隙間なく適合することを確実にするために、同様に手仕上げする必要がある。
【0274】
この好適な実施形態では、胴体内部の構成要素および付属物のそれぞれは、複合鋳造加工によって形成されている。多くの当該品目が生産する必要のある場合、この加工法は、正確な形状再現性などの長所を提供する。品目形状の正確な再現性は、その品目の嵌め合いに対して特有の配慮を何ら必要とすることなく、胴体上で品目を交換することが可能な長所を提供する。正確に嵌め合うことで、製造費用および製造時間を大いに低減させることができる。
【0275】
ヘリコプタ胴体の1つの好適な実施形態が、図29に側面図、図30に下面図として示されている。胴体は、少なくとも中央胴体区分303および尾部支材304を含む連続する積層構造であれば好ましい。選択的キャビン領域305は、図面に示すように連続する胴体区分に含まれている。連続する中央胴体区分303および尾部支材304は、連続領域に広がる補強部材を含んでいれば好ましい。第1の部材330は、胴体の上部領域の表面上に位置付けられ、尾部支材の上部区分の表面まで、中央胴体区分の上部領域の表面に広がっていれば好ましい。第2の部材331は、第1の部材の下方で胴体の表面上に位置付けられ、尾部支材の中部および下部表面区分の表面まで、中央胴体表面区分の上部領域に広がっていれば好ましい。第3の部材332は、胴体の表面上に位置付けられ、中央胴体区分の下部領域と、尾部支材領域の表面の中へ少なくともいくらか入ったところまで広がっていれば好ましい。
【0276】
第1、第2および第3の部材のそれぞれは、約200g/mmの一方向性炭素繊維織物などの織物で作られれば好ましい。第1、第2および第3の部材のそれぞれは、幅が約200mmから300mであれば好ましい。これらの部材は、『付加的な積層』として胴体の積層構造に一体化されれば好ましい。部材は、内側と外側の表層の間で中央に位置付けられれば好ましい。第1、第2および第3の部材のそれぞれは、胴体の中央胴体区分と尾部支材の間の領域として画定される推移域に広がっていれば好ましい。
【0277】
部材は、尾部支材と、中央胴体区分に対して尾部支材上に位置付けられる任意の尾翼構造と、に付加的な強度および安定性を提供している。
【0278】
ヘリコプタを建造する方法は、下記好適な順序に従う下記段階を含んでいる。当業者であれば、特定の組立工程を並べ換え得ることを理解されるであろう。
1.耐荷重性胴体外板または殻を準備することであって、胴体の2つの対向する区分を準備して接合することを含む。
接合された胴体は、中心区分、尾部支材および随意的に前方区分を含んでいる。尾部支材は、随意的に尾翼を含んでいる。胴体は、扉および窓開口の輪郭を示していれば好ましい。選択的前方区分は、パイロット、乗客および飛行制御装置を収容するキャビンを含んでいる。中心区分は、エンジンおよび動力伝達装置を支持するように作られる。尾部支材および尾翼は、実質的にモノコック構造である。尾翼は、ダクテッドファン型尾部回転翼組立品、水平安定板および垂直安定板を支持するように作られる。耐荷重性胴体は、さらに、エンジン−主回転翼ギヤボックスおよび動力伝達装置モジュールを挿入して、内部に取り付けることが可能になるように作られた、上部表面上に位置付けられる開口の輪郭を示している。
耐荷重性胴体は、いくつかの織物層を積層化することおよびそれらの層にポリマーまたは樹脂を注入して複合構造物を形成することによって準備されれば好ましい。対向する胴体区分は、接合され、一方、それぞれが、依然として個別の金型の中にあれば好ましい。
2.少なくとも2つの竜骨ビーム構成要素を準備すること。
竜骨ビーム構成要素は、いくつかの織物層を積層化することおよびそれらの層にポリマーまたは樹脂を注入して複合構造物を形成することによって準備されれば好ましい。
3.少なくとも2つの竜骨ビーム構成要素を、胴体の窓または扉開口を通して挿入して据え付けること。
4.少なくとも2つの竜骨ビーム構成要素の上部領域を接続すること。織物の区分を胴体およびビームの隣接領域が重複している領域に付けること、および織物にポリマーまたは樹脂を注入して複合構造物を形成することによって、接続が形成され得る。
5.少なくとも2つの隔壁構成要素を準備すること。
6.少なくとも2つの隔壁構成要素を、胴体の窓または扉開口を通して挿入して据え付けること。
7.少なくとも2つの隔壁構成要素の上部領域を接続すること。織物の区分を隔壁、胴体およびビームの隣接領域が重複している領域に付けること、および織物にポリマーまたは樹脂を注入して複合構造物を形成することによって、接続が形成され得る。少なくとも2つの隔壁構成要素は、後部隔壁および前方隔壁を含んでいれば好ましく、それらの隔壁は、少なくとも2つの竜骨ビーム構成要素と共に、燃料電池構成体を収容するための密閉空間を画定する。
8.少なくとも1つの床パネルを準備すること。
9.床パネルを、胴体の窓または扉開口を通して挿入して胴体の中に据え付けること。
【0279】
胴体または少なくとも胴体のある区分は、中心区分および尾部支材区分を含んでいて、以下の、段階の好適な順序に従って建造されれば好ましい。しかし、当業者であれば、組立段階を、厳密な順序で行なう必要はないことを理解されるであろう。
1.金型を準備し、その金型の内面をゲルコートまたは液体ワックスなどの剥離剤で被覆する。厚さ約0.018’’−0.022’’のゲルコートを、随意的に付けてもよい。
2.CFM織物層を、金型に敷く。
3.CKC織物層を、金型に敷く。
4.選択的な1つまたは複数の織物層を、金型に敷く。
5.Soricなどのコア媒体層を、金型に敷く。
6.CKC織物層を、金型に敷く。
7.CFM織物層を、金型に敷く。
8.織物の層は、好ましくは樹脂注入加工によって、まとめて固定される。
【0280】
選択的層は、他の織物の層に埋め込まれている、付加的な構造的安定性を強化した織物を含んでいる。窓および扉開口、ハッチ、および他の取り付けまたは留め具が設置される領域に近接する胴体の領域を強化するために、選択的層が、所望される場合もある。選択的層は、CDB(炭素二重バイアス)の層でもよく、あるいは、選択的層は、耐荷重性部材を形成するCU(炭素uni)の層でもよい。
【0281】
図31は、好適なヘリコプタ胴体300および尾翼336の側部図を示しており、織物332の付加的層を積層構造に付けることが可能な領域を示している。付加的織物332は、胴体の中央区分が尾部支材に推移する領域に近接して位置付けられれば好ましい。付加的層332は、CKCまたはCDB材料であれば好ましい。
【0282】
尾翼は、CFMおよびCKC材料の積層構造を使用して構築されれば好ましい。尾翼336は、少なくとも1つの、材料333の重複層によって、胴体300の尾部支材区分に接合され得る。重複領域は、少なくとも30mmであれば好ましい。材料の重複層は、CKCおよびCKC材料の積層構造であれば好ましい。
【0283】
図32は、好適なヘリコプタの下面図を示しており、特に、胴体に輪郭が示される複数の開口を図示している。開口のそれぞれは、開口縁の少なくとも一部に付けられる織物材料334、335の付加的層を有していれば好ましい。開口がリップまたはフランジを備えている当該状況では、織物層は、胴体の主要表面からリップまたはフランジの縁まで伸張していれば好ましい。織物は、CFM材料であれば好ましい。さらに、多層の付加的織物材料が、織物が付けられる場所に近接する胴体の領域に付加的な強度を付与すれば望ましい。例えば、3つの層を付けてもよい。層は、幅が少なくとも25mmであれば好ましい。
【0284】
好適なヘリコプタ胴体は、胴体が、胴体および関連する構成要素の重量を支持するときに、およびエンジンおよび動力伝達装置機構によって作られるような外部的に印加される力に抵抗するときに、胴体が受ける荷重または力に耐えれば好ましい。
【0285】
設計技師は、荷重が印加点から作用点まで構造を通過する経路を、一般用語で説明するのに、荷重経路という用語を使用する。対照的に、応力線は、ある点における主応力ベクトルの方向によってより明確に識別される。
【0286】
動的荷重は、高速の前進速度が原因で胴体に付与される。好適なヘリコプタ胴体は、3.5倍の制限荷重にさらに3秒間の1.5倍の極限荷重を加えた160ktsで胴体に付与される荷重の合計に耐える。荷重は、主回転翼ハブ、マスト、主回転翼ギヤボックスを通って胴体に、主回転翼ギヤボックスフレームに、および竜骨ビーム313、次いで多数の荷重経路を介して胴体に、分散されなければならない。
【0287】
主に、航空機の一次構造は、荷重を分散する。二次構造は、同様に荷重を担持するが、二次構造が損傷を受けた場合には、航空機の破局的損傷にはつながらない。
【0288】
尾部支材は、一次的に尾部回転翼を支持している。尾部回転翼の目的は、浮走する主回転翼トルクに対抗し、かつ浮走に低速度で方向的な制御を提供することである。尾部支材は、動的な飛行中の荷重をさらに支持しなければならない。上部垂直フィンは、進行中に尾部回転翼推力の必要性を相殺する。下部垂直フィンは、自動回転の安定性を提供する。水平安定板は、前進飛行の縦安定性を提供する。
【0289】
ヘリコプタの重量は、主回転翼の上方推力によって克服されなければならない、さもないと、地上にとどまることになる。この重量は、荷重と呼ぶことができる。この荷重は、ヘリコプタの操縦次第で変動する。主回転翼荷重は、主回転翼ギヤボックスフレームに向けられる。主回転翼ギヤボックスフレームは、6箇所で左右の主竜骨ビーム313に取り付けられれば好ましい。操縦する荷重の全ては、胴体構造に伝達される。尾部支材上で生じる荷重は、胴体の中央区分に送られる。キャビン構造は、前方および横方向の速度からの動的荷重に耐えなければならない。キャビンは、乗員シート上の乗員またはキャビンの床の貨物荷重の重量から印加される荷重にさらに耐えなければならない。キャビン荷重はすべて、竜骨ビーム313、314に、そして胴体に伝達される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15
図15a
図15b
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32