特許第6171694号(P6171694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6171694トルク検出装置および電動パワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171694
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】トルク検出装置および電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20170724BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G01L3/10 305
   B62D5/04
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-161251(P2013-161251)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-31600(P2015-31600A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀田 健作
(72)【発明者】
【氏名】松井 裕介
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160536(JP,A)
【文献】 特開2008−249598(JP,A)
【文献】 特開2003−329523(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0154800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00− 5/28
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多極磁石であって周方向に磁極が配置された永久磁石と、
磁性体により形成され、前記永久磁石の周囲、かつ、前記永久磁石が形成する磁界内に配置され、前記永久磁石に対して回転することにより前記永久磁石との相対的な位相が変化する磁気ヨークと、
前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記永久磁石が形成する磁界、および、前記磁気ヨークを含む磁気回路の磁束に応じた信号を出力する磁気素子と、
前記磁気素子に電気的に接続されたターミナルと、
前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記磁気素子および前記ターミナルを収納しているケースと、
樹脂により形成され、前記永久磁石および前記磁気ヨークを収容し、前記ケースの外側面を覆い、前記ケースと一体に成形された外部ハウジングと
を備えるトルク検出装置。
【請求項2】
前記外部ハウジングの樹脂と同一の樹脂により形成され、前記外部ハウジングと一体化し、前記ケースの壁部の内部に存在している連通路充填部と、
前記外部ハウジングの樹脂と同一の樹脂により形成され、前記連通路充填部と一体化し、前記ケースの内部における前記磁気素子および前記ターミナルの周囲に存在している内部空間充填部と
を備え、
前記連通路充填部は、前記ケースの壁部に形成されていて、かつ、前記ケースの壁部を貫通していた連通路を埋めており、
前記内部空間充填部は、前記ケースの内部に形成されていて、かつ、前記連通路と連通していて、かつ、前記磁気素子および前記ターミナルを収容していた内部空間を埋めている
請求項1に記載のトルク検出装置。
【請求項3】
磁性体により形成され、前記外部ハウジングに収容され、前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記外部ハウジングに固定され、前記磁気ヨークの磁束を流す集磁リング
を備え、
前記ケースおよび前記磁気素子は、前記集磁リングの周囲に配置され、
前記集磁リングは、前記ケースの内部に配置され、前記磁気素子と対向している素子対向部を有する
請求項1または2に記載のトルク検出装置。
【請求項4】
前記外部ハウジングに収容され、前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記外部ハウジングに固定され、前記集磁リングと一体化された集磁ホルダ
を備え、
前記ケースおよび前記磁気素子は、前記集磁ホルダの周囲に配置されている
請求項3に記載のトルク検出装置。
【請求項5】
前記ケースは、個別に形成された上部ケースおよび下部ケースが互いに組み合わせられることにより構成され、
前記集磁ホルダは、個別に形成された上部ホルダおよび下部ホルダが互いに組み合わせられることにより構成され、
前記上部ケースおよび前記上部ホルダは、同一の樹脂により一体化して形成され、
前記下部ケースおよび前記下部ホルダは、同一の樹脂により一体化して形成されている
請求項4に記載のトルク検出装置。
【請求項6】
前記集磁ホルダの外周面に取り付けられ、前記外部ハウジングと密着した磁気シールド
を備え、
前記集磁ホルダは、前記集磁ホルダの外周面から突出して形成された引掛部を備え、
前記磁気シールドは、前記集磁ホルダの外周面および前記引掛部により挟み込まれている
請求項4または5に記載のトルク検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のトルク検出装置を備える電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気素子を有するトルク検出装置、および、このトルク検出装置を備える電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトルク検出装置は、集磁ユニットおよびセンサユニットを有している。集磁ユニットは、樹脂成形により一対の集磁リングと一体化している。集磁ユニットは、嵌合凹部、および、嵌合凹部を取り囲む平板状の取付部を有している。センサユニットは、磁気素子を有している。センサユニットは、磁気素子、この磁気素子を保持する円筒状の嵌合凸部、嵌合凸部を取り囲む平板状の取付部、および、嵌合凸部に取り付けられたシール部材を有している。集磁ユニットおよびセンサユニットの各取付部は、嵌合凹部に嵌合凸部が挿入された状態で複数の固定ねじにより互いに締結されている。これにより、集磁リングの素子対向部と磁気素子との相対位置が決められている。シール部材は、嵌合凹部および嵌合凸部の間に配置されている。シール部材は、嵌合凹部および嵌合凸部の間の隙間を封止している。なお、特許文献1は、従来のトルク検出装置の構成の一例を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−249598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトルク検出装置は、磁気素子の防水性を確保するため、例えば、センサユニットの取付部および集磁ユニットの取付部の間にシール部材を取り付けること、または、これらの取付部の間の隙間が小さくなるように各取付部を複数の固定ねじにより締結することが必要になる。このため、部品点数が多くなり、重量およびコストが増加することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、磁気素子の防水性を確保し、重量およびコストを低減することに貢献するトルク検出装置、および、このトルク検出装置を備える電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本手段は、「多極磁石であって周方向に磁極が配置された永久磁石と、磁性体により形成され、前記永久磁石の周囲、かつ、前記永久磁石が形成する磁界内に配置され、前記永久磁石に対して回転することにより前記永久磁石との相対的な位相が変化する磁気ヨークと、前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記永久磁石が形成する磁界、および、前記磁気ヨークを含む磁気回路の磁束に応じた信号を出力する磁気素子と、前記磁気素子に電気的に接続されたターミナルと、前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記磁気素子および前記ターミナルを収納しているケースと、樹脂により形成され、前記永久磁石および前記磁気ヨークを収容し、前記ケースの外側面を覆い、前記ケースと一体に成形された外部ハウジングとを備えるトルク検出装置」を含む。
【0007】
ケースと外部ハウジングとが一体に成形されているため、外部ハウジングとケースの外側面とが密着している。このため、ケースの内部に水が侵入しにくくなる。このため、ケース内に収容された磁気素子に水が付着しにくくなる。このように、本トルク検出装置によれば、シール部材および複数の固定ねじを用いずに磁気素子の防水性を確保し、重量およびコストの低減に貢献することができる。
【0008】
上記手段の一形態は、「前記外部ハウジングの樹脂と同一の樹脂により形成され、前記外部ハウジングと一体化し、前記ケースの壁部の内部に存在している連通路充填部と、前記外部ハウジングの樹脂と同一の樹脂により形成され、前記連通路充填部と一体化し、前記ケースの内部における前記磁気素子および前記ターミナルの周囲に存在している内部空間充填部とを備え、前記連通路充填部は、前記ケースの壁部に形成されていて、かつ、前記ケースの壁部を貫通していた連通路を埋めており、前記内部空間充填部は、前記ケースの内部に形成されていて、かつ、前記連通路と連通していて、かつ、前記磁気素子および前記ターミナルを収容していた内部空間を埋めているトルク検出装置」を含む。
【0009】
本トルク検出装置によれば、外部ハウジングの成形工程において、外部ハウジングの成形材料が連通路を介して内部空間に流れ込む。このため、ケースの外部の成形材料がケースに作用させる圧力と、ケースの内部空間に流れ込んだ成形材料がケースに作用させる圧力との差が大きくなりにくい。このため、外部ハウジングの成形工程においてケースが変形しにくい。このため、ケースの変形に起因してケースが磁気素子に押し付けられる状況が生じにくくなる。このため、磁気素子による磁束の検出機能が低下することが抑制される。
【0010】
上記手段の一形態は、「磁性体により形成され、前記外部ハウジングに収容され、前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記外部ハウジングに固定され、前記磁気ヨークの磁束を流す集磁リングを備え、前記ケースおよび前記磁気素子は、前記集磁リングの周囲に配置され、前記集磁リングは、前記ケースの内部に配置され、前記磁気素子と対向している素子対向部を有するトルク検出装置」を含む。
【0011】
上記手段の一形態は、「前記外部ハウジングに収容され、前記磁気ヨークの周囲に配置され、前記外部ハウジングに固定され、前記集磁リングと一体化された集磁ホルダを備え、前記ケースおよび前記磁気素子は、前記集磁ホルダの周囲に配置されているトルク検出装置」を含む。
【0012】
上記手段の一形態は、「前記ケースは、個別に形成された上部ケースおよび下部ケースが互いに組み合わせられることにより構成され、前記集磁ホルダは、個別に形成された上部ホルダおよび下部ホルダが互いに組み合わせられることにより構成され、前記上部ケースおよび前記上部ホルダは、同一の樹脂により一体化して形成され、前記下部ケースおよび前記下部ホルダは、同一の樹脂により一体化して形成されているトルク検出装置」を含む。
【0013】
上記手段の一形態は、「前記集磁ホルダの外周面に取り付けられ、前記外部ハウジングと密着した磁気シールドを備え、前記集磁ホルダは、前記集磁ホルダの外周面から突出して形成された引掛部を備え、前記磁気シールドは、前記集磁ホルダの外周面および前記引掛部により挟み込まれているトルク検出装置」を含む。
【0014】
本トルク検出装置によれば、集磁ホルダの外周面と磁気シールドとの間に隙間が形成されにくくなる。このため、外部ハウジングの成形工程において、外部ハウジングの成形材料が集磁ホルダの外周面と磁気シールドとの間に入り込むことが抑制される。このため、磁気シールドが集磁リングの外周面から離間する方向に変形することが抑制される。
【0015】
上記手段の一形態は、「上記トルク検出装置を備える電動パワーステアリング装置」を含む。
【発明の効果】
【0016】
本トルク検出装置および本電動パワーステアリング装置は、磁気素子の防水性を確保し、重量およびコストを低減することに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の電動パワーステアリング装置の構成を示す概略図。
図2】実施形態のトルク検出装置の分解斜視図。
図3】実施形態のトルク検出装置の縦断面図。
図4】実施形態のトルク検出装置のセンサユニットの斜視図。
図5】実施形態のトルク検出装置のセンサユニットの分解斜視図。
図6図4のZ4A−Z4A線の断面図。
図7図4のZ4B−Z4B線の断面図。
図8】(a)センサユニットの側面図、(b)図8(a)のZ8−Z8線の断面図。
図9図4のZ4C−Z4C線の断面図。
図10】実施形態のトルク検出装置の断面図であり、図4のZ4D−Z4D線の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1の構成について説明する。
電動パワーステアリング装置1は、操舵機構10、転舵機構20、アシスト機構30、および、トルク検出装置40を有している。電動パワーステアリング装置1のアシスト型式は、ピニオンアシスト型である。
【0019】
操舵機構10は、コラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、および、ピニオンシャフト13を有している。コラムシャフト11の入力側部分は、操舵部材2に接続されている。インターミディエイトシャフト12の入力側部分は、コラムシャフト11の出力側部分に接続されている。
【0020】
ピニオンシャフト13は、入力シャフト13A、出力シャフト13B、および、トーションバー13Cを有している。入力シャフト13Aの入力側部分は、インターミディエイトシャフト12の出力側部分に接続されている。出力シャフト13Bには、ピニオン歯13Dが形成されている。出力シャフト13Bの入力側部分には、固定部材13E(図3参照)が取り付けられている。トーションバー13Cは、入力シャフト13Aのトルクと出力シャフト13Bのトルクとの差に応じて捩れる。
【0021】
転舵機構20は、ラックシャフト21およびラックハウジング22を有している。ラックシャフト21には、第1ラック歯21Aおよび第2ラック歯21Bが形成されている。第1ラック歯21Aおよびピニオン歯13Dは、互いに噛み合わせられている。第1ラック歯21Aおよびピニオン歯13Dは、ラックアンドピニオン機構23を構成している。ラックハウジング22は、取付部材22Aを有している。取付部材22Aは、ラックハウジング22において出力シャフト13Bが挿入された部分に固定されている。
【0022】
転舵機構20は、コラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、および、ピニオンシャフト13の回転によりラックシャフト21を直線運動させ、タイロッド24を介して転舵輪3を転舵させる。
【0023】
アシスト機構30は、アシストモータ31、ピニオンシャフト32、ウォームシャフト33、ウォームホイール34、および、制御装置35を有している。ウォームシャフト33は、アシストモータ31の出力軸に連結されている。ウォームホイール34は、ピニオンシャフト32に外嵌されている。ピニオンシャフト32には、ピニオン歯32Aが形成されている。第2ラック歯21Bおよびピニオン歯32Aは、互いに噛み合わせられている。第2ラック歯21Bおよびピニオン歯32Aは、ラックアンドピニオン機構25を構成している。
【0024】
トルク検出装置40は、取付部材22Aに固定されている。トルク検出装置40は、ピニオンシャフト13の周囲に配置されている。トルク検出装置40は、トーションバー13Cの捩れ量に応じた信号を制御装置35に出力する。
【0025】
制御装置35は、トルク検出装置40の出力信号に基づいて、操舵部材2に入力された操舵トルクを算出する。制御装置35は、算出した操舵トルクに基づいて、運転者の操舵を補助するためのアシストトルクを算出する。制御装置35は、算出したアシストトルクに基づいて、アシストモータ31の出力を制御する。
【0026】
トルク検出装置40の詳細な構成について説明する。
トルク検出装置40は、図2に示された磁石ユニット50、磁気ヨークユニット60、センサユニット70、および、外部ハウジング110、ならびに、図3に示されたシール部材41であるオイルシール、および、シール部材42であるOリングを有している。
【0027】
図3に示されたとおり、シール部材41は、トルク検出装置40の外部ハウジング110とピニオンシャフト13との間に配置されている。シール部材41は、外部ハウジング110に取り付けられている。シール部材42は、外部ハウジング110と取付部材22Aとの間に配置されている。
【0028】
磁石ユニット50の構成について説明する。
図2に示されたとおり、磁石ユニット50の形状は、円筒状である。図3に示されたとおり、磁石ユニット50は、ピニオンシャフト13と同軸状に配置されている。磁石ユニット50は、永久磁石51および固定部材52を有している。永久磁石51は、多極磁石であって周方向ZCに磁極が配置されている。固定部材52は、樹脂材料により成形されている。固定部材52は、入力シャフト13Aの外周面に固定されている。永久磁石51は、固定部材52の外周面に固定されている。
【0029】
磁気ヨークユニット60の構成について説明する。
図2に示されたとおり、磁気ヨークユニット60の形状は、円筒状である。図3に示されたとおり、磁気ヨークユニット60は、固定部材13E(図3参照)に固定されている。磁気ヨークユニット60は、ピニオンシャフト13と同軸状に配置されている。磁気ヨークユニット60は、磁石ユニット50の周囲に配置されている。磁気ヨークユニット60および磁石ユニット50は、径方向ZBにおいて隙間を空けて配置されている。
【0030】
図2に示されたとおり、磁気ヨークユニット60は、第1磁気ヨーク61、第2磁気ヨーク62、および、ヨークホルダ63を有している。ヨークホルダ63の形状は、円筒状である。ヨークホルダ63は、第1磁気ヨーク61および第2磁気ヨーク62と一体化している。
【0031】
図3に示されたとおり、第1磁気ヨーク61および第2磁気ヨーク62は、永久磁石51の周囲であって、永久磁石51が形成する磁界内に配置されている。第1磁気ヨーク61および第2磁気ヨーク62は、軟磁性体の金属材料により成形されている。第1磁気ヨーク61および第2磁気ヨーク62は、複数の爪部(図示略)を有している。なお、例えば、特開2009−192248号公報は、第1磁気ヨーク61および第2磁気ヨーク62の具体的な構成の一例を開示している。
【0032】
センサユニット70の構成について説明する。
図2に示されたとおり、センサユニット70は、外部ハウジング110と一体化している。図3に示されたとおり、センサユニット70は、ピニオンシャフト13と同軸状に配置されている。センサユニット70は、磁気ヨークユニット60の周囲に配置されている。センサユニット70および磁気ヨークユニット60は、径方向ZBにおいて隙間を空けて配置されている。
【0033】
図3に示されたとおり、センサユニット70は、第1集磁リング71、第2集磁リング72、2個の磁気素子73、および、ターミナル74を有している。図5に示されたとおり、2個の磁気素子73は、ターミナル74と電気的に接続されている。ターミナル74には、制御装置35(図1参照)と電気的に接続する外部コネクタ(図示略)が接続される。
【0034】
第1集磁リング71は、軟磁性体の金属材料により成形されている。第1集磁リング71の形状は、C字状である。第1集磁リング71は、ピニオンシャフト13と同軸状に配置されている。第1集磁リング71は、2個の素子対向部71Aを有している。なお、第2集磁リング72は、第1集磁リング71と同じ構成を有している。
【0035】
第1集磁リング71は、第1磁気ヨーク61の周囲に配置されている。第2集磁リング72は、第2磁気ヨーク62の周囲に配置されている。第1集磁リング71および第2集磁リング72は、軸方向ZAにおいて隙間を空けて配置されている。素子対向部71Aおよび素子対向部72Aは、軸方向ZAに隙間を形成している。
【0036】
磁気素子73は、ホールICである。一方の磁気素子73は、一方の素子対向部71Aと一方の素子対向部72Aとの間に配置されている。他方の磁気素子73は、他方の素子対向部71Aと他方の素子対向部72Aとの間に配置されている。磁気素子73は、素子本体73Aおよび3本のピン73Bを有している(図5参照)。素子本体73Aは、磁束を検出する感磁部(図示略)を有している。磁気素子73は、素子対向部71A,72Aの間の磁束密度に応じた信号を制御装置35(図1参照)に出力する。なお、センサユニット70は、例えば特開2009−192248号公報に開示された原理に準じた原理により、素子対向部71A,72Aの間の磁束密度を検出する。
【0037】
図5に示されたとおり、ターミナル74は、基板74A、コンデンサ74B(図10参照)、カバー74C、位置決め部74D、および、4本の接続ピン74Eを有している。磁気素子73のピン73Bは、基板74Aの一端に接続されている。4本の接続ピン74Eは、基板74Aの他端に接続されている。なお、図10のドットの部分は、外部ハウジング110の成形樹脂を示している。
【0038】
図10に示されたとおり、コンデンサ74Bは、基板74A上に取り付けられている。コンデンサ74Bは、磁気素子73および接続ピン74Eと電気的に接続されている。コンデンサ74Bは、磁気素子73に入力されるノイズを低減する。
【0039】
カバー74Cは、樹脂材料により成形されている。カバー74Cは、コンデンサ74Bを覆っている。位置決め部74Dは、樹脂材料により成形されている。位置決め部74Dは、基板74Aにおいてコンデンサ74Bが取り付けられた面とは反対側の面に形成されている。
【0040】
外部ハウジング110の構成について説明する。
図3に示されたとおり、外部ハウジング110には、ピニオンシャフト13が挿入されている。外部ハウジング110は、樹脂材料により成形されている。外部ハウジング110は、ハウジング本体111、接続部112、および、取付部113(図2参照)を有している。ハウジング本体111、接続部112、および、取付部113は、同一の樹脂材料により成形されていることにより一体化している。外部ハウジング110は、取付部113に挿入されたボルト(図示略)により、ラックハウジング22の取付部材22Aに固定されている。
【0041】
ハウジング本体111は、センサユニット70を外側から覆っている。外部ハウジング110の内部には、収容空間SPが形成されている。外部ハウジング110は、収容空間SPにおいて、磁石ユニット50、磁気ヨークユニット60、および、センサユニット70を収容している。接続部112は、ハウジング本体111から径方向ZBの外側に向けて突出している。接続部112には、外部コネクタ(図示略)が内嵌される。
【0042】
図4図10を参照して、本実施形態の主たる特徴部分の構成について説明する。
図4は、外部ハウジング110と一体化されていないセンサユニット70(以下、「単体のセンサユニット70」)の斜視構造を示している。図5は、単体のセンサユニット70の分解斜視図を示している。図10は、完成したトルク検出装置40におけるセンサユニット70の断面構造を示している。図4図5図8、および、図10を参照して、単体のセンサユニット70の構成について説明する。なお、図8のドットの部分は、磁気シールド75を示している。
【0043】
図4に示されたとおり、センサユニット70は、上述した第1集磁リング71、第2集磁リング72、2個の磁気素子73、および、ターミナル74に加えて、磁気シールド75、および、センサハウジング100を有している。
【0044】
センサハウジング100は、外部ハウジング110と同一の樹脂材料により成形されている。センサハウジング100は、集磁ホルダ101およびケース102を有している。集磁ホルダ101の形状は、円筒状である。集磁ホルダ101は、第1集磁リング71および第2集磁リング72と一体化している。集磁ホルダ101は、上部ホルダ81および下部ホルダ91を有している。上部ホルダ81および下部ホルダ91は、互いに組み合わせられていることにより、集磁ホルダ101を構成している。
【0045】
ケース102の形状は、センサハウジング100の平面視において略四角形状である。ケース102は、磁気ヨークユニット60(図3参照)の外周側において磁気ヨークユニット60と隙間を空けて配置されている。ケース102は、集磁ホルダ101の外周から径方向ZBの外側に向けて延びている。ケース102は、壁部103を有している。ケース102の内部には、壁部103により囲まれた内部空間(図示略)が形成されている。
【0046】
図10に示されたとおり、外部ハウジング110が成形された状態のセンサユニット70においては、ケース102の内部空間が内部空間充填部120により埋められている。内部空間充填部120は、磁気素子73およびターミナル74の周囲に存在している。単体のセンサユニット70においては、トルク検出装置40において内部空間充填部120が存在している部分に対応する部分が内部空間として存在している。
【0047】
図5に示されたとおり、ケース102は、2個の磁気素子73およびターミナル74を収容している。ケース102は、上部ケース86および下部ケース96を有している。上部ケース86および下部ケース96は、互いに組み合わせられていることにより、ケース102を構成している。
【0048】
上部ホルダ81および上部ケース86は、同一の樹脂材料により成形されていることにより一体化している。上部ホルダ81および上部ケース86は、センサユニット70の構成部品の1つである上部センサハウジング80を構成している。
【0049】
上部ホルダ81は、第1集磁リング71と一体化している。上部ホルダ81の内周面81X、および、第1集磁リング71の内周面71Xは、面一である。上部ホルダ81は、シールド支持部82、複数の引掛部83、位置決め部84(図8参照)、および、4個の係合部85を有している。
【0050】
シールド支持部82は、上部ホルダ81の下端部の外周面から径方向ZBの外側に向けて延びている。複数の引掛部83のうちの3個は、互いに共通の機能を有する中間引掛部83Aである。複数の引掛部83のうちの2個は、互いに共通の機能を有する端部引掛部83Bである。中間引掛部83Aは、シールド支持部82の外周面から軸方向ZAに延びている。端部引掛部83Bは、周方向ZCにおいて上部ケース86と隣り合う位置に形成されている。端部引掛部83Bは、上部ホルダ81の上部から下部にわたり形成されている。端部引掛部83Bの形状は、上部センサハウジング80の底面視においてL字状である。
【0051】
係合部85は、周方向ZCにおいて隣り合う引掛部83の間に形成されている。係合部85は、上部ホルダ81の下端部から軸方向ZAに延びている。係合部85の先端部には、係合凸部85Aが形成されている。
【0052】
位置決め部84は、周方向ZCにおいて上部ケース86と概ね180°離れた位置に形成されている。図8(b)に示されたとおり、位置決め部84は、中間引掛部83Aと一体に成形されている。位置決め部84は、シールド支持部82の下面から軸方向ZAに延びている。
【0053】
図5に示されたとおり、上部ケース86は、凹部87(図10参照)、2個の連通路88、および、2個の係合部89を有している。係合部89は、上部ケース86の先端部の下部に形成されている。係合部89は、上部ホルダ81の係合部85と同じ構成を有している。
【0054】
図10に示されたとおり、凹部87は、上部ケース86における上部ホルダ81との根本部分から上部ケース86の先端部分までにわたり形成されている。凹部87は、基板保持部87A、コンデンサ保持部87B、および、素子配置部87Cを有している。基板保持部87Aの形状は、凸状である。コンデンサ保持部87Bは、基板保持部87Aに対して凹んでいる。素子配置部87Cは、凹部87において基板保持部87Aよりも径方向ZBの内側の部分に形成されている。素子配置部87Cには、第1集磁リング71の素子対向部71Aが配置されている。
【0055】
図5に示されたとおり、2個の連通路88は、周方向ZCにおいて素子対向部71Aと隣り合う部分、かつ、径方向ZBにおいて素子対向部71Aと同じ部分に形成されている。図10に示されたとおり、連通路88は、壁部103のうちの凹部87が形成されている部分を軸方向ZAに貫通している。
【0056】
図5に示されたとおり、下部ホルダ91および下部ケース96は、同一の樹脂材料により成形されていることにより一体化している。下部ホルダ91および下部ケース96は、センサユニット70の構成部品の1つである下部センサハウジング90を構成している。
【0057】
下部ホルダ91は、第2集磁リング72と一体化している。下部ホルダ91の内周面91X、および、第2集磁リング72の内周面72Xは、面一である。下部ホルダ91は、シールド支持部92、複数の引掛部93、位置決め部94(図8参照)、および、4個の係合部95を有している。
【0058】
複数の引掛部93のうちの3個は、互いに共通の機能を有する中間引掛部93Aである。複数の引掛部93のうちの2個は、互いに共通の機能を有する端部引掛部93Bである。中間引掛部93Aは、中間引掛部83Aと同じ構成を有している。中間引掛部93Aは、周方向ZCにおいて中間引掛部83Aと同じ位置に形成されている。端部引掛部93Bは、端部引掛部83Bと同じ構成を有している。端部引掛部93Bは、周方向ZCにおいて端部引掛部83Bと同じ位置に形成されている。
【0059】
図8に示されたとおり、位置決め部94は、位置決め部84と同じ構成を有している。位置決め部94は、周方向ZCにおいて位置決め部84と同じ位置に形成されている。シールド支持部92は、シールド支持部82と同じ構成を有している。
【0060】
図5に示されたとおり、4個の係合部95は、周方向ZCにおいて4個の係合部85と同じ位置に形成されている。係合部95は、下部ホルダ91の外周面91Yから径方向ZBの内側に向けて凹んでいる。係合部95の下端部には、係合凹部95Aが形成されている。
【0061】
下部ケース96は、凹部97、2個の連通路98、および、2個の係合部99を有している。係合部99は、下部ケース96の先端部かつ外側に形成されている。係合部99は、係合部95と同じ構成を有している。
【0062】
凹部97は、下部ケース96における下部ホルダ91との根本部分から下部ケース96の先端部分までにわたり形成されている。凹部97は、基板保持部97A、位置決め部97B、および、素子配置部97Cを有している。
【0063】
基板保持部97Aの形状は、凹状である。基板保持部97Aの外郭形状は、ターミナル74の基板74Aの外郭形状と概ね同様である。位置決め部97Bは、径方向ZBにおいて基板保持部97Aの中央部に形成されている。位置決め部97Bは、基板保持部97Aに対して凹んでいる。下部ケース96の幅方向における位置決め部97Bの寸法は、下部ケース96の幅方向における基板保持部97Aの寸法よりも大きい。素子配置部97Cは、凹部97において基板保持部97Aよりも径方向ZBの内側の部分に形成されている。素子配置部97Cには、第2集磁リング72の素子対向部72Aが配置されている。
【0064】
2個の連通路98は、周方向ZCにおいて素子対向部72Aと隣り合う部分、かつ、径方向ZBにおいて素子対向部72Aと同じ部分に形成されている。図10に示されたとおり、連通路98は、壁部103のうちの凹部97が形成されている部分を軸方向ZAに貫通している。
【0065】
図5に示されたとおり、磁気シールド75は、一枚の磁性体かつ金属製の長板が折り曲げられることにより成形されている。磁気シールド75の形状は、C字状である。磁気シールド75の周方向ZCの中央部には、2個の位置決め部75Aが形成されている。位置決め部75Aは、磁気シールド75の軸方向ZAの端部に形成されている。位置決め部75Aの形状は、磁気シールド75の軸方向ZAの端面から軸方向ZAの中間部に向けて切り欠かれた形状である。磁気シールド75は、外部磁界が各集磁リング71,72、各磁気ヨーク61,62、および、永久磁石51(ともに図3参照)により形成される磁気回路に及ぼす影響を低減する。
【0066】
図4図8を参照して、磁気シールド75の保持構造について説明する。
図4に示されたとおり、磁気シールド75は、集磁ホルダ101の外周面に取り付けられている。すなわち、図5に示されたとおり、上部ホルダ81の外周面81Yおよび下部ホルダ91の外周面91Yに磁気シールド75が取り付けられている。磁気シールド75は、軸方向ZAにおいて上部ホルダ81のシールド支持部82と下部ホルダ91のシールド支持部92とにより挟まれている。磁気シールド75の両端部の間の部分である中間部の外周面75Yは、上部ホルダ81の3個の中間引掛部83Aおよび下部ホルダ91の3個の中間引掛部93Aと対向している。
【0067】
図6に示されたとおり、磁気シールド75の中間部の上端部は、上部ホルダ81の外周面81Yおよび中間引掛部83Aにより挟まれている。磁気シールド75の中間部の下端部は、下部ホルダ91の外周面91Yおよび中間引掛部93Aにより挟まれている。
【0068】
図4に示されたとおり、磁気シールド75の周方向ZCの両端部のそれぞれは、上部ホルダ81の2個の端部引掛部83B、および、下部ホルダ91の2個の端部引掛部93Bに挿入されている。
【0069】
図7に示されたとおり、磁気シールド75の周方向ZCの端面は、端部引掛部83Bおよび端部引掛部93Bと隙間を空けて対向している。磁気シールド75の周方向ZCの端部における上部は、上部ホルダ81の外周面81Yおよび端部引掛部83Bにより挟まれている。磁気シールド75の周方向ZCの端部における下部は、下部ホルダ91の外周面91Yおよび端部引掛部93Bにより挟まれている。
【0070】
図8に示されたとおり、磁気シールド75の上側の位置決め部75Aは、上部ホルダ81の位置決め部84に嵌め合わせられている。磁気シールド75の下側の位置決め部75Aは、下部ホルダ91の位置決め部94に嵌め合わせられている。
【0071】
図4および図9を参照して、センサハウジング100の係合構造について説明する。
図9に示されたとおり、上部ホルダ81の係合部85は、磁気シールド75の径方向ZBの内側に形成されている。係合部85の係合凸部85Aは、係合部95の係合凹部95Aと係合している。
【0072】
図4に示されたとおり、上部ケース86の係合部89および下部ケース96の係合部99は、互いに係合している。係合部89および係合部99の係合構造は、係合部85および係合部95の係合構造と同様である。上部ケース86の周縁の下面86Aおよび下部ケース96の周縁の上面96Aは、互いに接触している。
【0073】
図10を参照して、ケース102の収納構造について説明する。
ターミナル74の基板74Aは、上部ケース86の基板保持部87Aと下部ケース96の基板保持部97Aとにより、軸方向ZAにおいて挟まれている。ターミナル74のカバー74Cは、上部ケース86のコンデンサ保持部87Bに収容されている。ターミナル74の位置決め部74Dは、下部ケース96の位置決め部97Bに嵌め合わせられている。磁気素子73は、上部ケース86の素子配置部87Cおよび下部ケース96の素子配置部97Cにより、軸方向ZAにおいて挟まれている。
【0074】
図3および図10を参照して、外部ハウジング110の被覆構造について説明する。
図3に示されたとおり、外部ハウジング110のハウジング本体111は、上部ホルダ81、下部ホルダ91、および、磁気シールド75の外周全体を覆っている。ハウジング本体111は、上部ホルダ81、下部ホルダ91、および、磁気シールド75の外周全体にわたり、これらの構成要素と密着している。
【0075】
図10に示されたとおり、外部ハウジング110の接続部112は、ケース102の外側全体を覆っている。接続部112は、ケース102の外側全体にわたりケース102と密着している。すなわち、接続部112は、上部ケース86の下面86Aと下部ケース96の上面96Aとの接続部分と密着し、この接続部分を覆っている。
【0076】
ケース102の内部には、内部空間充填部120および連通路充填部130が形成されている。内部空間充填部120および連通路充填部130は、外部ハウジング110の樹脂材料と同じ樹脂材料により成形されている。
【0077】
内部空間充填部120は、連通路充填部130と一体化している。内部空間充填部120は、単体のセンサユニット70のケース102に形成されていた内部空間を埋めている。内部空間充填部120は、2個の磁気素子73およびターミナル74を覆い、これらの構成要素と密着している。
【0078】
連通路充填部130は、外部ハウジング110の接続部112と一体化している。連通路充填部130は、単体のセンサユニット70のケース102に形成されていた連通路88,98を埋めている。
【0079】
図5および図10を参照して、トルク検出装置40の製造方法について説明する。
トルク検出装置40の製造方法は、単体のセンサユニット70を組み立てる組立工程、単体のセンサユニット70に外部ハウジング110を成形する成形工程、および、成形後のセンサユニット70を用いてトルク検出装置40を組み立てる最終工程を含む。
【0080】
図5を参照して、組立工程の詳細について説明する。
最初に、2個の磁気素子73およびターミナル74の結合体が、下部ケース96の凹部97に載せられる。このとき、ターミナル74の位置決め部74Dが位置決め部97Bに挿入され、ターミナル74の基板74Aが基板保持部97Aに挿入される。これにより、磁気素子73が第2集磁リング72の素子対向部72Aと対向する。
【0081】
次に、磁気シールド75が下部ホルダ91のシールド支持部92に載せられる。このとき、磁気シールド75が下部ホルダ91の外周面91Yと引掛部93との間に挿入され、磁気シールド75の下側の位置決め部75Aが下部ホルダ91の位置決め部94に挿入される。なお、組立工程としては、2個の磁気素子73およびターミナル74の結合体が凹部97に載せられる前に、磁気シールド75がシールド支持部92に載せられる手順を選択することもできる。
【0082】
次に、上部センサハウジング80および下部センサハウジング90が互いに係合されることにより、センサハウジング100が組み立てられる。このとき、磁気シールド75の上端部が上部ホルダ81の外周面81Yと引掛部83との間に挿入され、上部ホルダ81の位置決め部84が磁気シールド75の上側の位置決め部75Aに嵌め合わせられ、上部ケース86の係合部89および下部ケース96の係合部99が互いに係合される。
【0083】
センサハウジング100が組み立てられたとき、下部ケース96の凹部97および上部ケース86の凹部87は、内部空間を形成している。2個の磁気素子73およびターミナル74により構成されたアッセンブリは、内部空間において上部ケース86の凹部87および下部ケース96の凹部97により保持される。これにより、第1集磁リング71の素子対向部71Aが磁気素子73と軸方向ZAに対向する。
【0084】
図10を参照して、成形工程の詳細について説明する。
最初に、単体のセンサユニット70が金型に配置される。次に、外部ハウジング110の成形材料が金型内に流し込まれる。このとき、成形材料が上部ケース86の連通路88および下部ケース96の連通路98を介してケース102の内部空間に流入する。このため、連通路88、連通路98、および、内部空間が成形材料により埋められ、磁気素子73およびターミナル74が成形材料により覆われる。内部空間に成形材料が充填された後、充填された成形材料が固化されることにより、センサハウジング100および外部ハウジング110が一体化されたアッセンブリが成形される。
【0085】
トルク検出装置40によれば、以下の効果が得られる。
(1)磁気素子73がケース102の内部に配置されている。ケース102の外側面が外部ハウジング110により覆われている。外部ハウジング110の接続部112およびケース102が密着している。この構成によれば、ケース102の内部に水が侵入しにくくなる。このため、磁気素子73に水が付着しにくくなる。このように、トルク検出装置40によれば、シール部材を用いることなく磁気素子73への水の付着を抑制することができる。
【0086】
(2)ケース102がターミナル74を保持していることにより、素子対向部71A,72Aに対する磁気素子73の位置が固定されている。この構成によれば、従来のトルク検出装置とは異なり、素子対向部および磁気素子の位置を決めるための複数の固定ねじを省略することができる。このため、従来のトルク検出装置と比較して部品点数が少なくなり、重量およびコストが低減される。
【0087】
(3)センサユニット70は、内部空間充填部120を有する。この構成によれば、ケース102の内部への水の侵入を抑制する効果、および、磁気素子73への水の付着を抑制する効果がより高められる。
【0088】
(4)センサユニット70は、連通路充填部130を有する。この構成によれば、ケース102の内部への水の侵入を抑制する効果、および、磁気素子73への水の付着を抑制する効果がより高められる。
【0089】
(5)単体のセンサユニット70において、ケース102が連通路88および内部空間を有している。この構成によれば、外部ハウジング110の成形工程において、成形樹脂が連通路88を介して内部空間に流れ込む。このため、ケース102の外部の成形樹脂がケース102に作用させる圧力と、内部空間に流れ込んだ成形樹脂がケース102に作用させる圧力との差が大きくなりにくい。このため、外部ハウジング110の成形工程においてケース102が変形しにくい。このため、ケース102の変形に起因してケース102が素子本体73Aに押し付けられる状況が生じにくくなる。このため、磁気素子73の機能が低下することが抑制される。なお、単体のセンサユニット70における連通路98および内部空間の関係によっても、上記効果に準じた効果が得られる。
【0090】
(6)単体のセンサユニット70において、連通路88がケース102の外部と素子配置部87Cの内部とを互いに連通している。この構成によれば、外部ハウジング110の成形工程において、成形樹脂が素子本体73Aの周囲に速やかに流れ込む。このため、ケース102の外部の成形樹脂がケース102に作用させる圧力と、素子本体73Aの周囲の成形樹脂がケース102に作用させる圧力との差が大きくなりにくい。このため、ケース102の変形に起因してケース102が素子本体73Aに押し付けられる状況が、より生じにくくなる。なお、単体のセンサユニット70における連通路98および内部空間の関係によっても、上記効果に準じた効果が得られる。
【0091】
(7)単体のセンサユニット70において、ターミナル74がケース102に固定されている。この構成によれば、外部ハウジング110の成形工程において、各集磁リング71,72に対する磁気素子73の位置がずれにくい。
【0092】
(8)上部センサハウジング80および下部センサハウジング90が互いに固定されている。この構成によれば、トルク検出装置40の製造工程において、上部センサハウジング80および下部センサハウジング90の相対的な位置がずれることが抑制される。
【0093】
(9)磁気シールド75が集磁ホルダ101の外周面81Yおよび引掛部83により挟み込まれている。この構成によれば、単体のセンサユニット70において、磁気シールド75が集磁ホルダ101の外周面81Yから離間しにくい。このため、外部ハウジング110の成形工程において、集磁ホルダ101の外周面81Yと磁気シールド75との間に成形樹脂が流れ込むことが抑制される。このため、外部ハウジング110の成形樹脂による磁気シールド75の変形が生じにくい。なお、集磁ホルダ101の外周面91Yおよび引掛部93の関係によっても上記効果に準じた効果が得られる。
【0094】
(10)磁気シールド75の位置決め部75Aおよび集磁ホルダ101の位置決め部84,94により、集磁ホルダ101に対する磁気シールド75の周方向ZCの位置が決められている。この構成によれば、磁気シールド75の位置がトルク検出装置40の製品毎にばらつくことが抑制される。
【0095】
(11)磁気シールド75の周方向ZCにおける端部の全体が端部引掛部83B,93Bにより覆われている。この構成によれば、外部ハウジング110の成形工程において、磁気シールド75の周方向ZCの端部と集磁ホルダ101の外周面81Y,91Yとの間に成形材料が流れ込みにくくなる。
【0096】
本電動パワーステアリング装置および本トルク検出装置は、上記実施形態とは別の実施形態を含む。以下、本電動パワーステアリング装置および本トルク検出装置の他の実施形態に相当する上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、技術的に実現可能な範囲において互いに組み合わせることができる。
【0097】
・中間引掛部83Aの数を1個、2個、または、4個以上のいずれかの個数に変更することができる。なお、下部ホルダ91の中間引掛部93Aの数も同様に変更することができる。
【0098】
・単体のセンサユニット70において連通路88,98が内部空間に連通する範囲であれば、連通路88,98を上記実施形態とは別の位置に形成することができる。
・複数の引掛部83の少なくとも1つを省略できる。なお、複数の引掛部93も同様に変更することができる。
【0099】
・複数の端部引掛部83Bの少なくとも1つを省略できる。なお、複数の端部引掛部93Bも同様に変更することができる。
・複数の引掛部83を上部ホルダ81とは別の部品として形成することができる。なお、複数の引掛部93も同様に変更することができる。
【0100】
・連通路88を複数形成することができる。なお、連通路98の数も同様に変更することができる。
・連通路88および連通路98の少なくとも一方を省略できる。なお、連通路88,98の両方を省略した場合、外部ハウジング110の成形工程において、成形材料がケース102の内部空間に流入しない。このため、完成したトルク検出装置40においては、ケース102の内部空間が成形材料により埋められることなく空間として存在する。
【0101】
・第1集磁リング71および第2集磁リング72を省略できる。各集磁リング71,72が省略された場合、集磁ホルダ101も併せて省略される。この場合、磁気素子73およびターミナル74を収容するケース102は、外部ハウジング110の接続部112と一体に成形される。磁気素子73は、第1磁気ヨーク61および第2磁気ヨーク62の間の磁束密度を検出する。
【0102】
・上部センサハウジング80を第1集磁リング71とは別に成形した後、第1集磁リング71を上部センサハウジング80に取り付けることができる。なお、下部センサハウジング90および第2集磁リング72も同様の手順により組み合わせることができる。
【0103】
・集磁ホルダ101およびケース102を個別の部品として形成することができる。
・トルク検出装置40をラックハウジング22の取付部材22Aとは別の部分に取り付けることができる。
【0104】
・電動パワーステアリング装置1をラックアシスト型またはコラムアシスト型に変更することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…電動パワーステアリング装置、2…操舵部材、3…転舵輪、10…操舵機構、11…コラムシャフト、12…インターミディエイトシャフト、13…ピニオンシャフト、13A…入力シャフト、13B…出力シャフト、13C…トーションバー、13D…ピニオン歯、13E…固定部材、20…転舵機構、21…ラックシャフト、21A…第1ラック歯、21B…第2ラック歯、22…ラックハウジング、22A…取付部材、23…ラックアンドピニオン機構、24…タイロッド、25…ラックアンドピニオン機構、30…アシスト機構、31…アシストモータ、32…ピニオンシャフト、33…ウォームシャフト、34…ウォームホイール、35…制御装置、40…トルク検出装置、41…シール部材、42…シール部材、50…磁石ユニット、51…永久磁石、52…固定部材、60…磁気ヨークユニット、61…第1磁気ヨーク、62…第2磁気ヨーク、63…ヨークホルダ、70…センサユニット、71…第1集磁リング、71A…素子対向部、71X…内周面、72…第2集磁リング、72A…素子対向部、72X…内周面、73…磁気素子、73A…素子本体、73B…ピン、74…ターミナル、74A…基板、74B…コンデンサ、74C…カバー、74D…位置決め部、74E…接続ピン、75…磁気シールド、75A…位置決め部、75Y…外周面、80…上部センサハウジング、81…上部ホルダ、81X…内周面、81Y…外周面、82…シールド支持部、83…引掛部、83A…中間引掛部、83B…端部引掛部、84…位置決め部、85…係合部、85A…係合凸部、86…上部ケース、87…凹部、87A…基板保持部、87B…コンデンサ保持部、87C…素子配置部、88…連通路、89…係合部、90…下部センサハウジング、91…下部ホルダ、91X…内周面、91Y…外周面、92…シールド支持部、93…引掛部、93A…中間引掛部、93B…端部引掛部、94…位置決め部、95…係合部、95A…係合凹部、96…下部ケース、97…凹部、97A…基板保持部、97B…位置決め部、97C…素子配置部、98…連通路、99…係合部、100…センサハウジング、101…集磁ホルダ、102…ケース、103…壁部、110…外部ハウジング、111…ハウジング本体、112…接続部、113…取付部、120…内部空間充填部、130…連通路充填部、SP…収容空間、ZA…軸方向、ZB…径方向、ZC…周方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10