特許第6171715号(P6171715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171715
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】議事録作成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20170724BHJP
   G06F 15/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G06Q10/10
   G06F15/00 440B
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-169480(P2013-169480)
(22)【出願日】2013年8月19日
(65)【公開番号】特開2015-38685(P2015-38685A)
(43)【公開日】2015年2月26日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 明
(72)【発明者】
【氏名】喜多 辰臣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 勇太
(72)【発明者】
【氏名】本間 隆介
(72)【発明者】
【氏名】野末 愛子
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−197914(JP,A)
【文献】 特開2011−059920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0151601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末で作成された複数のユーザ別議事録を取得するユーザ別議事録取得手段と、
前記ユーザ別議事録取得手段により取得された前記複数のユーザ別議事録から該ユーザ別議事録を構成する複数の議事録メモを抽出する議事録メモ抽出手段と、
前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモを、少なくとも該議事録メモの作成日時に基づいて、複数のグループにグループ化するグルーピング手段と、
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモを選択する議事録メモ選択手段と、
前記議事録メモ選択手段により選択された前記議事録メモに基づいて、議事録を作成する議事録作成手段と、
を含み、
前記グルーピング手段は、前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモについて、該議事録メモの作成日時及び内容に基づいて、前記議事録メモ間の距離を算出し、算出された距離が予め設定された閾値以下となる複数の前記議事録メモをグループ化する、
ことを特徴とする議事録作成装置。
【請求項2】
前記グルーピング手段は、さらに、前記議事録メモに含まれる会議における発言者の一致度に基づいて、前記議事録メモ間の距離を算出する、ことを特徴とする請求項に記載の議事録作成装置。
【請求項3】
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモそれぞれについて、議事録メモに含まれる単語の知識に対するユーザ順位を記憶する記憶手段を参照して、評価値を算出する評価値算出手段をさらに含み、
前記議事録メモ選択手段は、前記グループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、前記評価値算出手段により算出された評価値が最大となる議事録メモを選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の議事録作成装置。
【請求項4】
前記評価値算出手段は、さらに、ユーザの議事録メモの作成に対する行動に応じて決定された行動評価値を加えて前記評価値を算出する、ことを特徴とする請求項に記載の議事録作成装置。
【請求項5】
前記評価値算出手段は、ユーザが議事録メモを作成する際に操作手段の削除キーを押下した回数に応じて行動評価値を決定する、ことを特徴とする請求項に記載の議事録作成装置。
【請求項6】
複数のユーザ端末で作成された複数のユーザ別議事録を取得するユーザ別議事録取得手段と、
前記ユーザ別議事録取得手段により取得された前記複数のユーザ別議事録から該ユーザ別議事録を構成する複数の議事録メモを抽出する議事録メモ抽出手段と、
前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモを、少なくとも該議事録メモの作成日時に基づいて、複数のグループにグループ化するグルーピング手段と、
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモを選択する議事録メモ選択手段と、
前記議事録メモ選択手段により選択された前記議事録メモに基づいて、議事録を作成する議事録作成手段と、
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモそれぞれについて、議事録メモに含まれる単語の知識に対するユーザ順位を記憶する記憶手段を参照して、評価値を算出する評価値算出手段と、
を含み、
前記議事録メモ選択手段は、前記グループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、前記評価値算出手段により算出された評価値が最大となる議事録メモを選択する、
ことを特徴とする議事録作成装置。
【請求項7】
前記議事録メモには、該議事録メモを作成したユーザの情報と、該議事録メモが作成された作成日時が対応付けられている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の議事録作成装置。
【請求項8】
複数のユーザ端末で作成された複数のユーザ別議事録を取得するユーザ別議事録取得手段、
前記ユーザ別議事録取得手段により取得された前記複数のユーザ別議事録から該ユーザ別議事録を構成する複数の議事録メモを抽出する議事録メモ抽出手段、
前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモを、少なくとも該議事録メモの作成日時に基づいて、複数のグループにグループ化するグルーピング手段、
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモを選択する議事録メモ選択手段、及び、
前記議事録メモ選択手段により選択された前記議事録メモに基づいて、議事録を作成する議事録作成手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記グルーピング手段は、前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモについて、該議事録メモの作成日時及び内容に基づいて、前記議事録メモ間の距離を算出し、算出された距離が予め設定された閾値以下となる複数の前記議事録メモをグループ化する、プログラム
【請求項9】
複数のユーザ端末で作成された複数のユーザ別議事録を取得するユーザ別議事録取得手段、
前記ユーザ別議事録取得手段により取得された前記複数のユーザ別議事録から該ユーザ別議事録を構成する複数の議事録メモを抽出する議事録メモ抽出手段、
前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモを、少なくとも該議事録メモの作成日時に基づいて、複数のグループにグループ化するグルーピング手段、
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモを選択する議事録メモ選択手段、
前記議事録メモ選択手段により選択された前記議事録メモに基づいて、議事録を作成する議事録作成手段、及び、
前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモそれぞれについて、議事録メモに含まれる単語の知識に対するユーザ順位を記憶する記憶手段を参照して、評価値を算出する評価値算出手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記議事録メモ選択手段は、前記グループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、前記評価値算出手段により算出された評価値が最大となる議事録メモを選択する、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、議事録作成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを利用した会議システムにおいて、各参加者(ユーザ)がネットワーク接続された各自の端末(ユーザ端末)に会議中の発言内容等のメモを入力すると、各ユーザ端末に入力された複数のメモに基づいて1個の議事録を作成する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、遠隔会議の議事録を作成する通信システムが記載されている。この通信システムは、複数のPCを備え、遠隔会議を実行する。各PCは、遠隔会議中に、ユーザからの議事録メモの入力を受け付ける。各PCは、入力された議事録メモに時間の情報を対応付ける。ホストPCは、各PCから議事録メモを取得し、取得した1または複数の議事録メモの中から、それぞれの議事録メモに対応付けられている時間の情報に基づいて、議事録に含める議事録メモを抽出する。ホストPCは、抽出した議事録メモを用いて、遠隔会議の議事録を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−197914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、会議の内容に応じた適切な議事録を作成することができる議事録作成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る議事録作成装置は、複数のユーザ端末で作成された複数のユーザ別議事録を取得するユーザ別議事録取得手段と、前記ユーザ別議事録取得手段により取得された前記複数のユーザ別議事録から該ユーザ別議事録を構成する複数の議事録メモを抽出する議事録メモ抽出手段と、前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモを、少なくとも該議事録メモの作成日時に基づいて、複数のグループにグループ化するグルーピング手段と、前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモを選択する議事録メモ選択手段と、前記議事録メモ選択手段により選択された前記議事録メモに基づいて、議事録を作成する議事録作成手段と、を含むことを特徴とすることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る議事録作成装置は、請求項1に記載の構成において、前記グルーピング手段は、前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモについて、該議事録メモの作成日時及び内容に基づいて、前記議事録メモ間の距離を算出し、算出された距離が予め設定された閾値以下となる複数の前記議事録メモをグループ化する。
【0008】
本発明の請求項3に係る議事録作成装置は、請求項2に記載の構成において、前記グルーピング手段は、さらに、前記議事録メモに含まれる会議における発言者の一致度に基づいて、前記議事録メモ間の距離を算出する。
【0009】
本発明の請求項4に係る議事録作成装置は、請求項1から3の何れか1項に記載の構成において、前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモそれぞれについて、議事録メモに含まれる単語の知識に対するユーザ順位を記憶する記憶手段を参照して、評価値を算出する評価値算出手段をさらに含み、前記議事録メモ選択手段は、前記グループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、評価値算出手段により算出された評価値が最大となる議事録メモを選択する。
【0010】
本発明の請求項5に係る議事録作成装置は、請求項4に記載の構成において、前記評価値算出手段は、さらに、ユーザの議事録メモの作成に対する行動に応じて決定された行動評価値を加えて前記評価値を算出する。
【0011】
本発明の請求項6に係る議事録作成装置は、請求項5に記載の構成において、前記評価値算出手段は、ユーザが議事録メモを作成する際に操作手段の削除キーを押下した回数に応じて行動評価値を決定する。
【0012】
本発明の請求項7に係る議事録作成装置は、請求項1から6の何れか1項に記載の構成において、前記議事録メモには、該議事録メモを作成したユーザの情報と、該議事録メモが作成された作成日時が対応付けられている。
【0013】
本発明の請求項8に係るプログラムは、複数のユーザ端末で作成された複数のユーザ別議事録を取得するユーザ別議事録取得手段、前記ユーザ別議事録取得手段により取得された前記複数のユーザ別議事録から該ユーザ別議事録を構成する複数の議事録メモを抽出する議事録メモ抽出手段、前記議事録メモ抽出手段により抽出された前記複数の議事録メモを、少なくとも該議事録メモの作成日時に基づいて、複数のグループにグループ化するグルーピング手段、前記グルーピング手段によりグループ化されたグループに属する複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモを選択する議事録メモ選択手段、及び、前記議事録メモ選択手段により選択された前記議事録メモに基づいて、議事録を作成する議事録作成手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、CD−ROMやDVD−ROMなどのコンピュータ可読情報記憶媒体に格納されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1、8の構成によれば、グレープ化された複数の議事録メモのうち、議事録メモの内容に基づいて1個の議事録メモが選択されるため、会議の内容に応じた適切な議事録が作成される。
【0015】
本発明の請求項2の構成によれば、複数の議事録メモについて容易にグループ化される。
【0016】
本発明の請求項3の構成によれば、議事録メモに含まれる会議における発言者の一致度に基づいてグループ化される。
【0017】
本発明の請求項4の構成によれば、知識の豊富なユーザにより議事録が作成されるため、議事録の信頼性が向上する。
【0018】
本発明の請求項5、6の構成によれば、知識が浅く内容の信頼性が低い議事録の作成が抑制される。
【0019】
本発明の請求項7の構成によれば、複数の議事録メモが作成日時順に並べられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る議事録作成システムの全体構成図である。
図2】本実施形態に係る議事録作成装置のハードウェア構成図である。
図3】議事録作成装置の機能ブロック図である。
図4】議事録作成装置の動作フロー図である。
図5】ユーザ別議事録の一例である。
図6】ユーザ別議事録DBの一例である。
図7】議事録メモの一例である。
図8】議事録メモDBの一例である。
図9】議事録メモの一例である。
図10】議事録メモテーブルの一例である。
図11】議事録メモ間の距離の一例である。
図12】評価値算出部の動作フロー図である。
図13】議事録メモの一例である。
図14】ランキングDBの一例である。
図15】議事録メモ毎の評価値の結果を示す図である。
図16】議事録の一例である。
図17】議事録メモの一例である。
図18】議事録メモ毎の評価値の結果を示す図である。
図19】議事録メモ毎の評価値の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る議事録作成システムの全体構成図である。同図に示すように、議事録作成システムは、会議の議事録を作成する議事録作成装置10と、議事録作成装置10に通信ネットワーク20を介して接続された複数のユーザ端末30とを含んで構成されている。議事録作成装置10と各ユーザ端末30とは、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワーク20を介して相互にデータの送受信を行う。
【0023】
議事録作成システムでは、例えば通信ネットワーク20を利用した会議システムにおいて、会議に参加する複数の参加者(ユーザ)がそれぞれ各自のユーザ端末30を使用して会議中の発言内容等のメモを入力して議事録(ユーザ別議事録)を作成し、議事録作成装置10が、各ユーザ端末30から受信する複数のユーザ別議事録に基づいて、1個の議事録を作成するものである。会議システムには、同一室内(会議室)に在席するユーザのみが参加する会議システム、遠隔地のユーザが参加する遠隔会議システム、テレビや電話を利用した会議システム等、様々な会議システムの形態が含まれる。
【0024】
図2は、議事録作成装置10のハードウェア構成図である。同図に示すように、議事録作成装置10は、通信部1、CPU2、メモリ3、及び記憶部4を含むコンピュータである。これらのハードウェア要素はバスにより相互にデータの授受が可能に接続されている。通信部1は、通信ネットワーク20(例えば社内LAN)を介してユーザ端末30とデータ通信する。CPU2は装置各部を制御したり、各種の情報処理を実行したりする。メモリ3は、各種のプログラムやデータを保持する。またメモリ3には、CPU2の作業領域も確保される。議事録作成装置10は、例えば管理者が管理する管理サーバとすることができる。
【0025】
記憶部4には、ユーザ別議事録DB4a、ユーザ別議事録メモDB4b、及びランキングDB4c等のデータベースが含まれている。各データベースの具体例は後述する。
【0026】
ユーザ端末30は、LANやインターネット等の通信ネットワーク20に接続可能な端末装置である。各ユーザは、各自のユーザ端末30を用いて、会議中に発言者の発言内容等を入力して議事録(ユーザ別議事録)を作成する。また、ユーザ端末30は、議事録作成装置10から、議事録作成装置10により作成される議事録を受け取る。ユーザ端末30には、ブラウザや電子メールクライアント等のソフトウェアが組み込まれている。ユーザ端末30としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等の携帯情報端末等が用いられる。
【0027】
ここで、議事録作成装置10における議事録の作成方法について、図3及び図4を用いて説明する。
【0028】
図3は、議事録作成装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、議事録作成装置10は、ユーザ別議事録取得部11(ユーザ別議事録取得手段)、ユーザ別議事録メモ抽出部12(議事録メモ抽出手段)、グルーピング部13(グルーピング手段)、評価値算出部14(評価値算出手段)、議事録メモ選択部15(議事録メモ選択手段)、及び議事録作成部16(議事録作成手段)を含んでいる。
【0029】
図4は、議事録作成装置10の動作フロー図である。
【0030】
まず会議中に各ユーザは各自のユーザ端末30を用いて議事録(ユーザ別議事録)を作成する。図5には、ユーザAが作成したユーザ別議事録の一例を示している。ユーザ別議事録には、入力したユーザの情報と、作成時刻(作成日時)の情報とが対応付けられている。具体的には、議事録内において文章の改行が入力された時点の時刻が、議事録を構成する各文章(議事録メモ)に対応付けられる。例えば図5に示すように、「N役員:S活動は、今後どうしていきたいのか?結局どういう提案なのか?」の議事録メモには、ユーザAの情報と作成時刻「10時01分00秒」とが対応付けられる。図5では便宜上、各議事録メモに作成時刻を示しているが、ユーザ端末30には作成時刻が表示されなくてもよい。ユーザ別議事録はテキストファイルの形式で作成、保存される。各ユーザは、作成したユーザ別議事録を議事録作成装置10へ送信する。
【0031】
なお、ユーザ端末30は、会議中に発言された音声を認識してユーザ別議事録を作成してもよい。認識した音声をテキストデータへ変換する方法は周知の方法を用いることができる。
【0032】
次に、議事録作成装置10のユーザ別議事録取得部11は、各ユーザ端末30から送信された各ユーザ別議事録を取得する(図4のS101)。ユーザ別議事録取得部11は、取得した各ユーザ別議事録をユーザ別議事録DB4aに記憶する。例えば図5に示すユーザAのユーザ別議事録が、ユーザ別議事録DB4aに記憶される。図6には、ユーザ別議事録DB4aにユーザA、B、Cのユーザ別議事録が記憶されている様子を示している。
【0033】
次に、ユーザ別議事録メモ抽出部12は、ユーザ別議事録DB4aを参照して、ユーザ別議事録毎に議事録メモを抽出する(S102)。議事録メモは、議事録を構成する各文章である。ここでは、改行された時点で区切った文章が1個の議事録メモとして特定される。図7は、ユーザAのユーザ別議事録(図5参照)を構成する複数の議事録メモを示している。各議事録メモには、メモID、ユーザ情報、作成時刻(作成日時)、及びメモ内容が対応付けられている。ユーザ別議事録メモ抽出部12は、各ユーザ別議事録をそれぞれ複数の議事録メモに分割してユーザ別議事録メモDB4bに記憶する。図8には、ユーザ別議事録メモDB4bにユーザA、B、Cの議事録メモが記憶されている様子を示している。
【0034】
なお、ユーザが句点を入力した時点で区切った文章を1個の議事録メモとして規定してもよいし、会議における発言者を示す予め設定された記号「:」に基づき区切った文章を1個の議事録メモとして規定してもよい。図9は、後者の場合における、ユーザAのユーザ別議事録(図5参照)を構成する複数の議事録メモを示している。
【0035】
次に、グルーピング部13は、ユーザ別議事録メモDB4bを参照して、作成時刻及びメモ内容が近似する議事録メモをグループ化する。以下、グルーピング部13の具体的な構成について説明する。
【0036】
まず、グルーピング部13は、ユーザ別議事録メモDB4bを参照して全ての議事録メモ(ここでは、ユーザA、B、Cの議事録メモ)を作成時刻順に並べて議事録メモテーブルを作成する。図10は、議事録メモテーブルの一部を示している。次に、グルーピング部13は、議事録メモの作成時刻及びメモ内容に基づいて、各議事録メモ間の距離を算出する(S103)。議事録メモ間の距離D(xy)は、例えば以下の式(1)により算出される。
D(xy)=max{0,100-10×(ID(x)・ID(y)における同一単語数)+(作成時刻差)+1000×(作成時刻差が1分以上の場合⇒1,1分未満の場合⇒0)}・・・(1)
上記式(1)において、x、yはメモIDの番号を示し、各係数は適宜設定される。図11は、上記式(1)により算出された各議事録メモ間の距離を示している。なお、各議事録メモ間の距離の算出方法は上記方法に限定されない。例えば、グルーピング部13は、議事録メモの作成時刻、メモ内容、及び発言者の一致度に基づいて、各議事録メモ間の距離を算出してもよい。なおメモ内容における単語の一致度の判断は、例えば形態素解析を用いることができる。
【0037】
次に、グルーピング部13は、算出した議事録メモ間の距離が予め設定された閾値以下となる議事録メモが存在するか否かを判定する(S104)。ここでは例えば、閾値は80に設定される。グルーピング部13は、議事録メモ間の距離が閾値以下である議事録メモを同一グループに設定する(S105)。図11に示す算出結果において閾値が80の場合、議事録メモは、メモID{1,2,3}、{4}、{5}、{6,8,9}、{7}の5個にグループ化される。なお、メモID8,9の距離は「84」(図11参照)であるが、メモID6,8が同一グループとなり、メモID6,9が同一グループとなるため、メモID6,8,9は同一グループとなる。グルーピングの方法は上記方法に限定されず、周知の方法を用いることができる。
【0038】
グルーピング部13により議事録メモがグループ化されると、次に評価値算出部14は、議事録メモの評価値を算出する(S106)。ここで、評価値算出部14における評価値算出方法について説明する。図12は、評価値算出部14の動作フロー図である。
【0039】
まず、評価値算出部14は、グループ毎に、該グループに属する複数の議事録メモに含まれる単語W(n)を抽出する(S201)。ここではメモID{6,8,9}の議事録メモが属するグループを例に挙げる。図13には、メモID{6,8,9}の議事録メモを示している。評価値算出部14は、メモID{6,8,9}の議事録メモに含まれる5個(n=5)の単語W(1):「N役員」、W(2):「S活動」、W(3):「ビジネス」、W(4):「検証」、W(5):「OC」を抽出する。
【0040】
次に、評価値算出部14は、ランキングDB4cを参照して、議事録メモ毎に、ユーザに応じて予め設定された単語W(i)の評価値を取得する(S202)。ランキングDB4cには、単語の知識(詳しさ)に対するユーザランキング(順位)が登録されている。例えば図14に示すように、単語W(2):「S活動」については、1位がユーザFで評価値が10点に設定され、ユーザCは2位で評価値が8点、ユーザAは3位で評価値が7点、ユーザBは4位で評価値が5点に設定されている。評価値算出部14は、抽出した単語W(1)からW(n)について上記S202の処理を繰り返し(S203)、全ての単語について上記評価値を取得する。
【0041】
最後に、評価値算出部14は、全ての単語について取得した評価値を、議事録メモ毎に合算して合計評価値を算出する(S204)。図15は、議事録メモ毎(メモID毎)の、各単語の評価値及び合計評価値を示している。
【0042】
上記処理により議事録メモの評価値が算出されると(図4のS106)、続いて、議事録メモ選択部15は、同一グループに属する複数の議事録メモのうち合計評価値(図15参照)が最大となる議事録メモを選択する(S107)。例えばメモID{6,8,9}の議事録メモが属するグループでは、議事録メモ選択部15は、合計評価値が最大「37」となるメモID6の議事録メモを選択する。またメモID{1,2,3}の議事録メモが属するグループでは、議事録メモ選択部15が、合計評価値が最大となるメモID1の議事録メモを選択したと仮定する。
【0043】
各グループにおいて合計評価値が最大となる議事録メモがそれぞれ選択されると、議事録作成部16は、グループ毎に選択された議事録メモを合成して1個の議事録を作成する(S108)。ここでは、メモID{1,2,3}、{4}、{5}、{6,8,9}、{7}の5個のグループ毎に選択された、メモID{1}、{4}、{5}、{6}、{7}の議事録メモを合成して1個の議事録を作成する。図16は、議事録作成部16により作成された議事録を示している。
【0044】
ここでS103において算出された議事録メモ間の距離が閾値以下となる議事録メモが存在しない場合(S104にてNO)はS108に移行し、議事録作成部16は、各議事録メモを合成して1個の議事録を作成する。
【0045】
議事録作成部16は、作成した議事録を、通信部1を介して各ユーザ端末30へ送信する。また議事録作成部16は、作成した議事録を記憶部4に記憶する。
【0046】
上記議事録作成装置10の構成によれば、会議の内容に応じた適切な議事録を作成することができる。
【0047】
議事録作成装置10の議事録作成方法は上記方法に限定されない。例えば、議事録メモ選択部15は、同一グループに属する複数の議事録メモのうち合計評価値が最大となる議事録メモを選択した後、選択した議事録メモが同一グループ内において、最大グループに属するか否かを判定し、含まれない場合は、最大グループに属する他の議事録メモのうち合計評価値が最大となる議事録メモを選択する。以下、具体例を示す。
【0048】
図17は、グループ化されたメモID{10,11,12}の議事録メモを示し、図18は、議事録メモ毎(メモID毎)の、各単語の評価値及び合計評価値を示している。議事録メモ選択部15は、メモID{10,11,12}の議事録メモのうち合計評価値が最大となるメモID12を選択した後、メモID12の議事録メモが、同一グループ内において、最大グループに属するか否かを判定する。ここで最大グループとは、1個のグループ内をさらに複数のグループに細分した場合に、複数のグループのうち属する議事録メモの数が最も多いグループをいう。1個のグループをさらに細かくグループ化するには、例えば上記式(1)により算出した距離の判定に用いる閾値を厳しく(小さく)して再グループ化すればよい。例えばメモID{10,11,12}の議事録メモが属するグループをさらにグループ化すると、メモID{10,11}、{12}の2個のグループに細分される。この場合、最大グループはメモID{10,11}の議事録メモが属するグループとなる。よって、メモID12の議事録メモは、最大グループに属さないことになる。
【0049】
この場合、議事録メモ選択部15は、最大グループに属するメモID{10,11}の議事録メモのうち、合計評価値が最大となるメモID10の議事録メモを選択する。
【0050】
これにより、例えば内容に誤りが含まれる議事録メモが選択され、誤った議事録が作成されることを防ぐことができる。図17の例では、ユーザCが記録した「9月末」は誤りであり、多数意見である、複数のユーザA,Bが記録した「3月末」が正しい可能性が高い。このような場合に適切な議事録が作成される。
【0051】
また、上記議事録作成装置10において、評価値算出部14は、ユーザの議事録メモの作成に対する行動を評価項目に加えて、議事録メモ毎に合計評価値を算出してもよい。ユーザの行動とは、例えば議事録メモの作成時にユーザがキーボード(操作手段)の削除キーを入力(押下)した回数や、議事録メモの作成に要した時間等をいう。削除キーの入力回数が多い場合や、議事録メモの作成時間が長い場合は、ユーザがその内容についての知識が浅く内容の信頼性が低いことが想定されるため、該当する議事録メモについてマイナスの行動評価値を加える。図19には、行動評価値(例えば削除キーの回数)の項目が追加されており、ユーザAがメモID6の議事録メモを作成する際に削除キーを10回入力した場合(行動評価値=−10)を示している。この場合、議事録メモ選択部15は、メモID{6,8,9}の議事録メモグループにおいて、合計評価値が最大「30」であるメモID9を選択する。
【0052】
また、上記議事録作成装置10において、グルーピング部13は、議事録メモの作成時刻だけに基づいて、各議事録メモ間の距離を算出してグループ化してもよい。議事録メモの内容を考慮せずにグループ化した場合、例えばグループ内には、同じ議題に関して異なる意見が入力された議事録メモが含まれることが考えられる。この場合は、グループに属する複数の議事録メモのうち、多数意見の議事録メモを再グループ化し、再グループ化されたグループにおいて1個の議事録メモを選択する。また、グループに属する複数の議事録メモを、議事録メモを作成したユーザの情報に基づいて再グループ化し、再グループ化されたグループにおいて1個の議事録メモを選択してもよい。
【0053】
また、同じ議題に関して異なる意見が入力されている議事録メモが存在する場合、会議中に揉めた内容であることが考えられる。そこで、同一グループに属する議事録メモの数が多い場合は重要な内容であると判断し、該当する議事録メモを議事録において強調表示してもよい。また、多数意見のうちで選択された議事録メモと、異なる意見の議事録メモとを議事録に含めてもよい。
【0054】
また、上記議事録作成装置10は、議事録メモの無駄(議事録に残すほどのものでない)を抽出し、議事録メモから除去する手段を含んでいてもよい。無駄な議事録メモとしては、例えば、単なるコメントや、会議参加者が多数の場合に少数の参加者しかメモしていない内容等である。
【0055】
議事録作成装置10は図3に示す構成に限定されない。例えばユーザ別議事録取得部11及びユーザ別議事録メモ抽出部12は、ユーザ端末30に含まれていてもよい。
【0056】
上述した議事録作成装置10に備えられる上記の各部の機能は、CPU等の制御手段、メモリ等の記憶手段、外部デバイスとデータを送受信する入出力手段等を備えたコンピュータが、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されたプログラムを読み込み実行することで実現されるものとしてもよい。なお、プログラムは光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の情報記憶媒体によってコンピュータたる議事録作成装置10に供給されることとしてもよいし、インターネット等のデータ通信網を介して議事録作成装置10に供給されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 通信部、2 CPU、3 メモリ、4 記憶部、4a ユーザ別議事録DB、4b ユーザ別議事録メモDB、4c ランキングDB、10 議事録作成装置、11 ユーザ別議事録取得部、12 ユーザ別議事録メモ抽出部、13 グルーピング部、14 評価値算出部、15 議事録メモ選択部、16 議事録作成部、20 ネットワーク、30 ユーザ端末。
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