(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業プラントは、産業プラントを構成する設備を制御するためのスケジュールデータを決定するプロセス計算機、スケジュールデータに基づいて設備を構成する機器を制御するための設定値を決定するプロセスコントローラを備える。プロセス計算機は、スケジュールデータを表示するスケジュール画面を備える。プロセスコントローラは、設定値と、その設定値に従って制御された機器の実績値とを含むトラッキングデータを表示するトラッキング画面を備える。スケジュール画面やトラッキング画面には、現在の操業状態がリアルタイムに表示される。
【0006】
また、産業プラントは、上述のスケジュールデータやトラッキングデータに含まれる数値データを含むプラントデータを時系列に記憶する記憶装置を備える。従来、トラブルの原因解析や操業方法の改善のために、記憶装置に記憶された数値データを解析していた。
【0007】
しかしながら、機器やセンサが実績値を誤検出する場合もある。例えば、温度センサの誤動作により温度の実績値が正しく検出されない場合には、トラブルの原因解析等が困難になるという問題がある。また、数値データを辿る作業は、データの関連性が見づらく、トラブルの原因解析が困難であるという問題もある。数値データからスケジュール画面やトラッキング画面に相当する画面を自動生成するプログラムを用意することも可能ではあるが、画面に表示されるデータ項目が変更された場合には、その度にプログラムの修正が必要となる。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、産業プラントのデータ解析において、産業プラントの数値データと数値データに現れない情報とを同期させて映像的に再生することのできるデータ解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記の目的を達成するため、
スケジュール画面を備え、圧延ライン上の設備を制御するための
数値データを含むスケジュールデータを決定し、前記スケジュールデータを前記スケジュール画面に表示するプロセス計算機と、
トラッキング画面を備え、前記スケジュールデータに基づいて、前記設備を構成する機器を制御するための設定値を決定し、前記設定値に従って制御された前記機器の実績値を取得し、前記設定値と前記実績値とを含むトラッキングデータを前記トラッキング画面に表示するプロセスコントローラと、
を備えた産業プラントにおいてデータの解析を行うためのデータ解析装置であって、
撮影時刻に前記プロセス計算機のスケジュール画面を撮影して、
数値データを含む画像データを生成するスケジュール画面撮影カメラと、
前記撮影時刻に前記プロセスコントローラのトラッキング画面を撮影して、
数値データを含む画像データを生成するトラッキング画面撮影カメラと、
前記撮影時刻に前記設備の外観を撮影して、
数値データに現れない情報を含む画像データを生成する設備撮影カメラと、
前記スケジュール画面撮影カメラ、前記トラッキング画面撮影カメラ、前記設備撮影カメラにより生成された各画像データを前記撮影時刻と関連付けて記憶する画像データ記憶手段と、
時刻範囲が入力されて、前記画像データ記憶手段から前記時刻範囲内の各撮影時刻に対応するすべての画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段により取得されたスケジュール画面の画像データを表示するスケジュール画面表示部と、前記画像データ取得手段により取得されたトラッキング画面の画像データを表示するトラッキング画面表示部と、前記画像データ取得手段により取得された前記設備の外観の画像データを表示する設備表示部とを有する画面上に、前記画像データ取得手段により取得された各画像データを同期させて再生するデータ再生手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記圧延ライン上の被圧延材の位置情報を検出する材位置検出手段と、
前記材位置検出手段により検出される位置情報から、前記被圧延材が前記設備の近くにあるかを判定する材位置判定手段と、を更に備え、
前記画像データ記憶手段は、前記被圧延材が前記設備の近くにある場合にのみ、前記スケジュール画面撮影カメラにより生成された画像データを記憶する。
【0011】
好ましくは、前記プロセスコントローラが出力したトラッキングデータを時刻と関連付けて記憶する数値データ記憶手段と、
前記時刻範囲が入力されて、前記数値データ記憶手段から前記時刻範囲内の各時刻に対応するすべてのトラッキングデータを取得する数値データ取得手段と、
前記トラッキング画面表示部上に表示された機器が選択された場合に、前記数値データ取得手段により取得されたトラッキングデータに含まれる設定値および実績値を時系列に並べたグラフを表示するグラフ表示手段と、を更に備える。
【0012】
好ましくは、前記機器の制御に介入するための操作データを出力するオペレータ操作端末と、
前記オペレータ操作端末が出力した操作データを操作時刻と関連付けて記憶する操作データ記憶手段と、
前記時刻範囲が入力されて、前記操作データ記憶手段から前記時刻範囲内の各操作時刻に対応するすべての操作データを取得する操作データ取得手段と、を更に備え、
前記データ再生手段は、前記画面上に前記操作データ取得手段により取得された操作データを表示する操作表示部を有し、前記操作データ取得手段により取得された操作データと前記画像データ取得手段により取得された各画像データとを同期させて再生する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、産業プラントのスケジュール画面と、トラッキング画面と、設備の外観とに関する各画像データを同期させて再生することができる。スケジュールデータを表示するスケジュール画面とトラッキングデータを表示するトラッキング画面の画像データには数値データが含まれる。また、設備の外観の画像データは、数値データに現れない情報が含まれる。具体的には、設備の外観の画像データには、スチームの発生状態、被圧延材の色・被圧延材の先端・尾端の形状等に関する情報が含まれる。数値データと共に、数値データに現れない情報を目視できるため、トラブルの原因解析や操業方法の改善に寄与する。
【0014】
このように、本発明によれば、データ解析装置において、産業プラントの数値データと数値データに現れない情報とを同期させて映像的に再生することができる。また、カメラがスケジュール画面やトラッキング画面を撮影して画像データを生成するため、スケジュール画面やトラッキング画面に表示されるデータ項目が変更された場合であっても、データ解析装置の改修が不要である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるデータ解析装置の構成を示す概略図である。
本データ解析装置は、産業プラントにおいて、データの解析を行うために使用される装置である。産業プラントでは、所定の材を搬送装置によって搬送しながら、複数の設備を使用して所定の製品(半製品を含む)を製造する。以下においては、鉄鋼プラントの厚板圧延ラインに本データ解析装置を適用する場合について、具体的に説明する。他の産業プラントへの適用例については、その説明を省略する。
【0018】
産業プラントは、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段(電動機・駆動装置等)3、プロセスセンサ4、オペレータ操作端末5を備える。産業プラントは、本願発明の要部であるデータ解析装置を構成する解析装置6、カメラ7を備える。
【0019】
解析装置6は、データ収集装置61、画像データ蓄積装置62、データ蓄積装置63、プラント設備画像取込装置64、プロセスコントローラトラッキング画像取込装置65、プロセス計算機スケジュール画像取込装置66、プラントデータ編集装置67、表示端末70を備える。
【0020】
データ収集装置61は、画像データ蓄積装置62とデータ蓄積装置63に接続する。画像データ蓄積装置62は、プラント設備画像取込装置64とプロセスコントローラトラッキング画像取込装置65とプロセス計算機スケジュール画像取込装置66に接続する。プラント設備画像取込装置64は、表示端末70に接続する。プロセスコントローラトラッキング画像取込装置65は、表示端末70に接続する。プロセス計算機スケジュール画像取込装置66は、表示端末70に接続する。
【0021】
解析装置6(データ収集装置61)は、情報LAN8を介して、プロセス計算機1、オペレータ操作端末5、カメラ7に接続する。解析装置6(データ収集装置61)は、制御LAN9を介して、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4に接続する。プロセス計算機1は、制御LAN9を介して、プロセスコントローラ2に接続する。プロセスコントローラ2は、制御LAN9を介して、駆動手段3、プロセスセンサ4に接続する。また、情報LAN8には上位の計算機(図示省略)が接続されている。
【0022】
本明細書において、「設備」とは、例えば、後述する搬送装置11、粗圧延機12、仕上圧延機13、加速冷却装置15、レベラ機16、クーリングベッド17である。「機器」とは、設備を構成する要素であり、駆動手段3、プロセスセンサ4を含む。機器とは、例えば粗圧延機12のローラを駆動する電動機や、搬送装置11を駆動する電動機である。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態1におけるデータ解析装置が適用される産業プラントの設備概略図である。
図2は、産業プラントの一例として、鉄鋼プラントの厚板圧延ラインを示している。厚板圧延ラインでは、圧延機による被圧延材の圧延において、圧延フェーズ(成形・幅出し、仕上げ)を遷移させたり、先行材や後行材を待機エリアで待機させたりして、複数の被圧延材を圧延フェーズに沿って連続的に圧延する。
【0024】
厚板圧延ラインでは、1つ或いは複数の加熱炉10から、ライン上にスラブが抽出される。スラブは、被圧延材(以下、単に「材」ともいう)である。加熱炉10から抽出されたスラブは、搬送装置11によって搬送される。搬送装置11は、例えば、多数のローラ(ローラテーブル:図示省略)を備える。各ローラは電動機(駆動手段3中の1つ)に接続されており、ローラの回転方向および回転速度が適切に制御されることにより、ローラ上に載せられたスラブが、所定の方向および速度で移動する。
【0025】
加熱炉10から抽出されたスラブは、粗圧延機12によって粗圧延が行われた後、仕上圧延機13によって仕上げ圧延が行われる。スラブは、粗圧延機12を、例えば3〜4回程度通過する。スラブは、仕上圧延機13を、例えば10〜20回程度通過する。仕上圧延機13の上流側及び下流側にはサイドガイド14(前面サイドガイド、後面サイドガイド)が設けられている。
【0026】
仕上圧延機13による仕上げ圧延が完了すると、被圧延材は、加速冷却装置15によって水冷され、温度調整される。その後、被圧延材は、レベラ機16によってレベリングされ、クーリングベッド(CB)17によって空冷される。クーリングベッド17において空冷された被圧延材は、平坦度計によって平坦度が計測された後、搬送装置11によって下流工程へと搬送される。
【0027】
厚板圧延ラインにおいて、粗圧延機12、仕上圧延機13、加速冷却装置15、レベラ機16それぞれの上流側と下流側には、被圧延材の温度を検出するための温度センサ(図示省略)が設けられている。また、厚板圧延ライン上の各所には、被圧延材の位置情報を検出する位置センサ(図示省略)が設けられている。
図1に示すプロセスセンサ4は、例えば上述した温度センサ、位置センサ、平坦度計である。
【0028】
厚板圧延ラインにおける各設備の動作は、プロセス計算機1の計算結果に基づいて、適切に制御される。
【0029】
再び
図1を参照して、本発明の実施の形態1におけるデータ解析装置について説明する。データ解析装置は、産業プラントの操業に用いられるプラントデータ(例えば、生産計画情報、製品の製造指示情報、製品の製造実績情報、材の搬送履歴情報、操作履歴情報、アラーム情報、イベント情報、画像データ等)を蓄積する。プラントデータは、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4、オペレータ操作端末5、カメラ7が送受信する各種データである。
【0030】
プロセス計算機1は、情報LAN8を介して、上位の計算機から生産計画情報(製品の数、目標製品寸法、材の成分など)を受信する。プロセス計算機1は、生産計画情報に基づいて製品の製造指示情報を決定する。製品の製造指示情報は、圧延ライン上の設備を制御するためのスケジュールデータを含む。スケジュールデータは設備毎に決定される。スケジュールデータは、
図5に示すスラブ情報、製品情報、予測情報、スケジュール情報(材が圧延機を通過するパス数、圧延方向など)を含む。スケジュールデータは、プロセス計算機1に接続された1又は複数の表示部にスケジュール画面(
図5)として表示される。表示部には、粗圧延機12に関するスケジュール画面、仕上圧延機13に関するスケジュール画面、レベラ機16に関するスケジュール画面がそれぞれ表示される。スケジュール画面は、スケジュール画面は、設備に圧延される被圧延材が切り替わる度に更新される。また、被圧延材が圧延される度(1パス毎)に更新される。プロセス計算機1は、製品の製造指示情報を制御LAN9に送信する。
【0031】
プロセスコントローラ2は、制御LAN9から製品の製造指示情報を受信する。製品の製造指示情報は、設備毎のスケジュールデータを含む。プロセスコントローラ2は、スケジュールデータに基づいて、設備を構成する1或いは複数の機器(駆動手段3)を制御するための設定値(制御量)を決定する。設定値は機器毎に決定される。プロセスコントローラ2は、制御LAN9に設定値を含む制御情報を送信する。また、プロセスコントローラ2は、制御情報に従って制御された各機器の実績値を制御LAN9から受信する。プロセスコントローラ2は、製品の製造実績情報をプロセス計算機1に送信する。製品の製造実績情報は、各機器についての設定値と実績値とを含むトラッキングデータを含む。トラッキングデータは、プロセスコントローラ2に接続された表示部に圧延ライン全体を示すトラッキング画面(
図4)として表示される。
図4に示すトラッキング画面には、圧延ライン全体の主要な機器についての設定値と実績値が表示される。トラッキング画面はリアルタイムに更新される。
【0032】
駆動手段3は、電動機や駆動装置などの機器である。駆動手段3は、制御LAN9から制御情報を受信する。制御情報は、各機器を制御するための設定値を含む。駆動手段3は、設定値に従って電動機や駆動装置を制御し、それらの制御結果を実績値として制御LAN9に送信する。
【0033】
プロセスセンサ4は、上述した温度センサ、位置センサ、平坦度計などの機器である。プロセスセンサ4は、常時、圧延ライン上の被圧延材の状態を検出し、実績値として制御LAN9に送信する。
【0034】
オペレータ操作端末5は、産業プラントの各種制御へのオペレータによる介入を可能にする。オペレータが制御に介入した情報は、操作履歴情報として情報LAN8に送信される。操作履歴情報は、操作データ(入力値)と操作時刻(オペレータ介入時刻)とを含む。
【0035】
また、プロセス計算機1は、製品の製造実績情報を制御LAN9から受信する。プロセス計算機1は、製品の製造実績情報に含まれる設定値と実績値との差が所定値以上である場合には、情報LAN8にアラーム情報を送信する。プロセス計算機1は、製品の製造指示情報や製品の製造実績情報を情報LAN8に送信する。
【0036】
[データ処理装置の要部]
図1、
図2に示すように、厚板圧延ラインには動画又は静止画を撮影可能な複数のカメラ7(例えばTVカメラ)が設けられる。複数のカメラ7は、スケジュール画面撮影カメラ、トラッキング画面撮影カメラ、設備撮影カメラに分類される。複数のカメラ7(スケジュール画面撮影カメラ、トラッキング画面撮影カメラ、設備撮影カメラ)は、常時又は所定時刻毎に撮影を実行する。
【0037】
スケジュール画面撮影カメラは、
図1に示すプロセス計算機1のスケジュール画面を撮影して、画像データを生成するカメラである。スケジュール画面撮影カメラは、プロセス計算機1の表示部に表示されるスケジュール画面の撮影に適した位置に設けられる。スケジュール画面撮影カメラは、例えば、粗圧延機12に関するスケジュール画面、仕上圧延機13に関するスケジュール画面、レベラ機16に関するスケジュール画面をそれぞれ撮影する。
【0038】
トラッキング画面撮影カメラは、
図1に示すプロセスコントローラ2のトラッキング画面を撮影して、画像データを生成するカメラである。トラッキング画面撮影カメラは、プロセスコントローラ2の表示部に表示されるトラッキング画面の撮影に適した位置に設けられる。撮影されるトラッキング画面は、厚板圧延ライン全体を示すトラッキング画面(
図4)である。
【0039】
設備撮影カメラは、設備の外観を撮影して、画像データを生成するカメラである。設備撮影カメラは、設備(加熱炉10、粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16)毎に、設備と、設備を通過中の被圧延材とを撮影範囲内に含む位置に設けられる。設備撮影カメラは、例えば、仕上圧延機13のローラと、ローラに圧延されている被圧延材とを撮影範囲内に含む位置に設けられる。
【0040】
情報LAN8は、上位の計算機、プロセス計算機1、オペレータ操作端末5、カメラ7の各ノード間で共有されるデータエリアを提供する情報伝達用ネットワークである。プロセス計算機1、オペレータ操作端末5、カメラ7が出力するプラントデータは、情報LAN8の共有データエリアに出力される。
【0041】
制御LAN9は、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4の各ノード間で共有されるデータエリアを提供するプロセス制御用ネットワークである。制御LAN9の高速データ領域は、例えば、2[ms]周期でのデータ伝送を可能とする。プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4が出力するプラントデータは、制御LAN9の共有データエリアに出力される。
【0042】
次に、解析装置6の動作について説明する。データ収集装置61は、1台もしくは複数台で構成される。プラントの規模により収集するデータ項目数や速度は異なるため、プラントの規模に応じた構成とする。データ収集装置61は、情報LAN8、制御LAN9の共有データエリアのプラントデータをその伝送周期に併せて全て収集する。
【0043】
プラントデータは、プロセス計算機1、プロセスコントローラ2、駆動手段3、プロセスセンサ4が出力する制御のための数値データと、オペレータ操作端末5が出力するオペレータ介入のための操作データと、カメラ7が出力する画像データとを含む。画像データは、撮影時刻と関連付けられて画像データ蓄積装置62に記憶される。画像データは、カメラ7により撮影されたデータであり、プロセス計算機1のスケジュール画面、プロセスコントローラ2のトラッキング画面、各設備(加熱炉10、粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16)の外観を撮影したデータである。数値データは、検出時刻と関連付けられてデータ蓄積装置63に記憶される。
【0044】
画像データ蓄積装置62およびデータ蓄積装置63は、データ収集装置61によって収集されたプラントデータを蓄積する大容量データベースから構成される。画像データ蓄積装置62およびデータ蓄積装置63に必要な容量は、例えば蓄積するプラントデータの項目数や収集周期、蓄積期間によって決まる。プラントデータを蓄積する期間は、例えば
図2に示す鉄鋼プラントの厚板圧延ラインであれば、下流工程の生産時間も考慮すると、3ヶ月から半年程度は必要になる。この蓄積時間は、適宜変更が可能である。
【0045】
好ましくは、データ収集装置61は、上述した位置センサにより検出される被圧延材の位置情報から、被圧延材が設備(粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16)の近くにあるかを判定する材位置判定部を備える。データ収集装置61は、被圧延材が設備の近くにある場合にのみ、スケジュール画面撮影カメラにより生成された画像データを画像データ蓄積装置62に記憶させる。
【0046】
表示端末70は、表示部を備える。
図3は、表示端末70の表示部に表示されるデータ解析装置画面を示す概略図である。
【0047】
データ解析装置画面は、各設備の外観を撮影した画像データを表示する設備画像表示部31〜34を備える。例えば、最大4箇所(例えば、加熱炉10、粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16)の設備について、同時に画像データを表示可能である。表示対象の設備は固定であってもよいが、トラッキング画像データ表示部に表示される厚板圧延ライン全体を示すトラッキング画面(
図4)上から任意に選択できることが好ましい。
【0048】
データ解析装置画面は、トラッキング画面撮影カメラが撮影した、厚板圧延ライン全体を示すトラッキング画面(
図4)の画像データを表示するトラッキング画像データ表示部35を備える。
図4は、厚板圧延ライン全体を示すトラッキング画面の概略図である。
【0049】
データ解析装置画面は、スケジュール画面撮影カメラが撮影した、設備(粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16)に関するスケジュール画面の画像データを表示するスケジュール画像データ表示部36〜38を備える。
図5は、スケジュール画面の概略図である。
【0050】
また、データ解析装置画面は、操作履歴情報を表示する操作履歴情報表示部39を備える。データ解析装置画面は、開始時刻入力ボックス40、終了時刻入力ボックス41、再生ボタン42、停止ボタン43を備える。
【0051】
再生ボタン42を押すことで、設備画像表示部31〜34、トラッキング画像データ表示部35、スケジュール画像データ表示部36〜38、操作履歴情報表示部39に同期された画像データが再生される。
【0052】
再生までの処理について具体的に説明する。開始時刻入力ボックス40と終了時刻入力ボックス41とを入力することにより時刻範囲が定まる。再生ボタン42が押されると、表示端末70は、プラント設備画像取込装置64に時刻範囲を送信する。プラント設備画像取込装置64は、画像データ蓄積装置62から時刻範囲内の各撮影時刻に対応する設備の外観の画像データを取得する。例えば、粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16等の設備の外観の画像データが取得される。プラント設備画像取込装置64は、各設備の外観の画像データを表示端末70に送信する。
【0053】
また、再生ボタン42が押されると、表示端末70は、プロセスコントローラトラッキング画像取込装置65に時刻範囲を送信する。プロセスコントローラトラッキング画像取込装置65は、画像データ蓄積装置62から時刻範囲内の各撮影時刻に対応するトラッキング画面の画像データを取得する。プロセスコントローラトラッキング画像取込装置65は、
トラッキング画面の画像データを表示端末70に送信する。
【0054】
また、再生ボタン42が押されると、表示端末70は、プロセス計算機スケジュール画像取込装置66に時刻範囲を送信する。プロセス計算機スケジュール画像取込装置66は、画像データ蓄積装置62から時刻範囲内の各撮影時刻に対応するすべてのスケジュール画面の画像データを取得する。例えば、粗圧延機12、仕上圧延機13、レベラ機16に関するスケジュール画面が取得される。プロセス計算機スケジュール画像取込装置66は、各スケジュール画面の画像データを表示端末70に送信する。
【0055】
また、再生ボタン42が押されると、表示端末70は、プラントデータ編集装置67に時刻範囲を送信する。プラントデータ編集装置67は、データ蓄積装置63から時刻範囲内の各時刻に対応するすべての操作データを取得する。プラントデータ編集装置67は、操作データを表示端末70に送信する。
【0056】
そして、表示端末70は、プラント設備画像取込装置64、プロセスコントローラトラッキング画像取込装置65、プロセス計算機スケジュール画像取込装置66、プラントデータ編集装置67から受信した各画像データと操作データとを同期させて上述の表示部31〜39上に再生する。
【0057】
また、トラッキング画像データ表示部35に表示された機器を選択することにより、その機器の時刻毎の設定値と実績値と公差とを表すグラフが表示される。具体的には、機器が選択されると、表示端末70は、プラントデータ編集装置67に、機器名(機器ID)と時刻範囲を送信する。プラントデータ編集装置67は、その機器名に関して、データ蓄積装置63から時刻範囲内の各時刻に対応する設定値と実績値と公差とを取得し、表示端末70に送信する。表示端末70は、選択された機器について、時刻毎に設定値と実績値と公差とをプロットしたグラフを作成し、別ウィンドウで表示する。例えば、仕上圧延機13の出側の温度センサを選択することにより、出側温度の設定値と温度センサが検出した実績値と公差との時間変化がグラフで表示される。
【0058】
なお、機器名(機器ID)は、データ蓄積装置63に蓄積されたプラントデータに検索キーとして登録されており、機器の座標位置は、トラッキング画像データ表示部35上で定義されている。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施の形態1におけるデータ解析装置によれば、産業プラントのスケジュール画面と、トラッキング画面と、設備の外観とに関する各画像データを同期させて再生することができる。
スケジュールデータを表示するスケジュール画面とトラッキングデータを表示するトラッキング画面の画像データには数値データが含まれる。また、設備の外観の画像データは、数値データに現れない情報が含まれる。具体的には、設備の外観の画像データには、スチームの発生状態、被圧延材の色・被圧延材の先端・尾端の形状、搬送状況等に関する情報が含まれる。数値データに現れない情報を目視できるため、機器やセンサが実績値(数値データ)を誤検出した場合であっても、設備の外観の画像データからトラブルの原因を解析することが可能である。
【0060】
また、産業プラントの数値データと数値データに現れない情報とを同期させて映像的に再生することができるため、トラブルの原因解析や操業方法の改善が容易になる。
【0061】
また、このデータ解析装置によれば、被圧延材が近くにある設備についてのみスケジュール画面を記憶することができる。そのため、圧延ライン上に複数の被圧延材が存在する場合に、被圧延材が近くにある設備に関するスケジュール画面を過不足無く表示することが可能である。先行材と後行材とで被圧延材の仕様(厚さや材質)が異なる場合には、トラブルが生じ易いところ、このデータ解析装置によれば、複数の被圧延材の動きと、各被圧延材を圧延中の設備とを同一画面内で同時に確認することができる。
【0062】
また、このデータ解析装置によれば、カメラ7がスケジュール画面やトラッキング画面を撮影して画像データを生成するため、スケジュール画面やトラッキング画面に表示されるデータ項目が変更された場合であっても、データ解析装置の改修が不要である。
【0063】
また、このデータ解析装置によれば、機器に対する設定値や実績値の変化を同一グラフ上に表示させることができる。そのため、プラントデータの変化が見易くなり、トラブルの原因解析や操業方法の改善が容易になる。
【0064】
また、このデータ解析装置によれば、オペレータ介入時刻(操作時刻)と入力値(操作データ)を各画像データと連動して表示することができる。そのため、オペレータの操作と操業の変化との関連性が見つけ易くなり、オペレータが介入したときのプラントデータの詳細情報を解析することで、操業方法の改善箇所を支援することができる。
【0065】
尚、上述した実施の形態1においては、データ収集装置61と画像データ蓄積装置62とが本願発明における「画像データ記憶手段」に相当する。プラント設備画像取込装置64とプロセスコントローラトラッキング画像取込装置65とプロセス計算機スケジュール画像取込装置66と表示端末70とが本願発明における「画像データ取得手段」に相当する。表示端末70が本願発明における「データ再生手段」に相当する。プロセスセンサ4中の位置センサが本願発明における「材位置検出手段」に相当する。材位置判定部が本願発明における「材位置判定手段」に相当する。データ収集装置61とデータ蓄積装置63とが本願発明における「数値データ記憶手段」に相当する。プラントデータ編集装置67と表示端末70とが本願発明における「数値データ取得手段」に相当する。表示端末70が本願発明における「グラフ表示手段」に相当する。データ収集装置61とデータ蓄積装置63とが本願発明における「操作データ記憶手段」に相当する。プラントデータ編集装置67と表示端末70とが本願発明における「操作データ取得手段」に相当する。