(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171925
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20170724BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20170724BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20170724BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20170724BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20170724BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20170724BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20170724BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/6555
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-266722(P2013-266722)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-122265(P2015-122265A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【審査官】
浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−313018(JP,A)
【文献】
特開2012−204172(JP,A)
【文献】
特開平08−148187(JP,A)
【文献】
特開2015−005362(JP,A)
【文献】
特開2014−116193(JP,A)
【文献】
特開2003−036819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00〜2/10
H01M 2/20〜2/34
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電池セルを有する電池体を複数並設して一体化するとともに、前記複数の電池体の一面のそれぞれが被固定部材の一面と対向した状態で前記被固定部材に固定される電池モジュールの製造方法であって、
前記電池体は、前記電池セルと、前記電池セルを収容する収容部を有した電池ホルダと、前記電池セルと熱的に結合される伝熱プレートとを備え、
前記伝熱プレートは、平板状の本体と、該本体の一端から直角に屈曲する矩形平板状の屈曲部とを有し、前記本体は、前記電池セルの厚み方向に前記電池セルと隣り合った状態で前記収容部に配置されるとともに、前記屈曲部は、前記電池ホルダの外面を覆う位置に配置されており、
前記複数の電池体の並設方向に沿うように延伸され、前記電池ホルダの外面に配置された前記屈曲部に接する第2の壁部と、前記複数の電池体の並設方向に沿うように延伸され、前記屈曲部が配置された前記外面とは反対側の前記電池ホルダの外面に接する第1の壁部とからなる一対の壁部を移動規制部材として用い、
前記電池体を前記一対の壁部の間に挿入し、前記第2の壁部の内面によって前記屈曲部の厚み方向の移動を規制した状態で、前記一対の壁部の長さ方向における一端側から他端側に移動させる工程を繰り返して前記複数の電池体を並設し、
前記一対の壁部の間において並設された前記複数の電池体の並設方向に拘束荷重を加えて一体化することを特徴とする電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記伝熱プレートの前記屈曲部を前記電池ホルダの前記外面と面一となるように配置する請求項1に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記複数の電池体を並設した後に、前記複数の電池体の並設方向両端に一対のエンドプレートを配置し、ボルトとナットによって前記一対のエンドプレート及び前記複数の電池体を拘束する拘束荷重を加えることにより、前記複数の電池体を一体化する請求項1又は請求項2に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記移動規制部材は、前記電池モジュールが収容される筐体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記移動規制部材は、前記一対の壁部の間に前記電池体を並設するとともに並設された前記電池体を一体化した後に外される治具であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池体を一体化した電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルを並設した電池モジュールとしては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1に記載の電池モジュールは、電池ホルダに保持された電池セルを積層して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−299544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池モジュールの製造時に電池セルを積層していくと、各電池セルに相対的な位置ずれが生じる場合がある。各電池セルに相対的な位置ずれが生じたまま電池モジュールを筐体などの被固定部材に接合する場合、積層した電池セルの一部が被固定部材から離間する方向に位置ずれした状態で接合され、電池モジュールが占有する領域が大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、被固定部材と対向する電池体の一面の相対的な位置ずれを抑制することができる電池モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電池モジュールの製造方法は、少なくとも電池セルを有する電池体を複数並設して一体化するとともに、前記複数の電池体の一面のそれぞれが被固定部材の一面と対向した状態で前記被固定部材に固定される電池モジュールの製造方法であって、
前記電池体は、前記電池セルと、前記電池セルを収容する収容部を有した電池ホルダと、前記電池セルと熱的に結合される伝熱プレートとを備え、前記伝熱プレートは、平板状の本体と、該本体の一端から直角に屈曲する矩形平板状の屈曲部とを有し、前記本体は、前記電池セルの厚み方向に前記電池セルと隣り合った状態で前記収容部に配置されるとともに、前記屈曲部は、前記電池ホルダの外面を覆う位置に配置されており、前記複数の電池体の並設方向に沿うように延伸され、前記電池ホルダの外面に配置された前記屈曲部に接する第2の壁部と、前記複数の電池体の並設方向に沿うように延伸され、前記屈曲部が配置された前記外面とは反対側の前記電池ホルダの外面に接する第1の壁部とからなる一対の壁部を移動規制部材として用い、前記電池体を前記一対の壁部の間に挿入し、前記第2の壁部の内面によって前記屈曲部の厚み方向の移動を規制した状態で、前記一対の壁部の長さ方向における一端側から他端側に移動させる工程を繰り返して前記複数の電池体を並設し、前記一対の壁部の間において並設された前記複数の電池体の並設方向に拘束荷重を加えて一体化することを要旨とする。
【0007】
これによれば、移動規制部材によって複数の電池体の一面の相対的な位置ずれが抑制された状態で複数の電池体が一体化される。このため、本発明の電池モジュールの製造方法を使って製造した電池モジュールは、複数の電池体の一面の相対的な位置ずれが少ない。
【0009】
これによれば、伝熱プレートの一面の相対的な位置ずれが抑制されることで、各伝熱プレートの一面と被固定部材の一面との距離の差が小さくなり、電池セル間の温度差が小さくなる。
上記電池モジュールの製造方法について、前記伝熱プレートの前記屈曲部を前記電池ホルダの前記外面と面一となるように配置することを要旨とする。
上記電池モジュールの製造方法について、前記複数の電池体を並設した後に、前記複数の電池体の並設方向両端に一対のエンドプレートを配置し、ボルトとナットによって前記一対のエンドプレート及び前記複数の電池体を拘束する拘束荷重を加えることにより、前記複数の電池体を一体化することを要旨とする。
【0012】
上記電池モジュールの製造方法について、前記移動規制部材は、前記電池モジュールが収容される筐体であることが好ましい。
これによれば、電池モジュールが収容される筐体を移動規制部材として兼用することができる。
【0013】
上記電池モジュールの製造方法について、前記移動規制部材は
、前記一対の壁部の間に前記電池体を並設するとともに並設された前記電池体を一体化した後に
外される治具
であることが好ましい。
【0014】
これによれば、電池体を壁部の間に配置した状態で一体化することで電池モジュールを製造することができ、電池モジュールの製造が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被固定部材と対向する電池体の一面の相対的な位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施形態における電池モジュールを示す斜視図。
【
図3】実施形態における電池セル、電池ホルダ、伝熱プレート及びエンドプレートの分解斜視図。
【
図4】実施形態における電池モジュールを示す断面図。
【
図5】実施形態における電池モジュールの製造工程を示す図。
【
図6】実施形態における電池モジュールの製造工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電池モジュールの製造方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、電池パック10は、筐体11を有しており、筐体11には複数の電池モジュール21が収容されている。筐体11は、四角箱状をなしており、矩形平板状の底板12と、底板12の周縁から立設する矩形平板状の側壁13と、側壁13によって囲まれる開口部を閉塞する矩形平板状の天板14と、を有している。
【0018】
図2及び
図3に示すように、電池モジュール21は、並設された複数の電池体22を有している。電池体22は、電池セル23(例えば、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素蓄電池などの二次電池)と伝熱プレート28が電池ホルダ24に保持されることで構成されている。電池体22を並設することで、電池セル23と伝熱プレート28は交互に並設されている。本実施形態の電池セル23は、角型電池である。電池モジュール21における電池体22の並設方向両端には、エンドプレート25が設けられている。両エンドプレート25には、ボルトBが挿通されている。ボルトBは、一方のエンドプレート25から他方のエンドプレート25に向けて挿通されるとともに、他方のエンドプレート25を挿通した位置でナットNに螺合されている。これにより、各電池セル23(電池体22)には、エンドプレート25からの拘束荷重が加えられている。
【0019】
図3に示すように、電池ホルダ24は、矩形平板状の第1の被覆部31を有している。第1の被覆部31の長手方向両端(第1の被覆部31における長手方向と交わる方向に延びる端部)には、第1の被覆部31の厚み方向に延びる矩形平板状の第2の被覆部32及び第3の被覆部33が設けられている。第3の被覆部33は、第2の被覆部32に比べて薄く形成されている。第2の被覆部32の長手方向第1端部32a(第1の被覆部31が設けられる端部とは反対側の端部)と、第3の被覆部33の長手方向第1端部33a(第1の被覆部31が設けられる端部とは反対側の端部)には、各被覆部32,33の短手方向第1端部32b、33bの間で延びる矩形平板状の第4の被覆部34が設けられている。第4の被覆部34は、厚み方向が各被覆部32,33の短手方向と一致し、長手方向が第2の被覆部32と第3の被覆部33の対向方向に一致する。そして、第4の被覆部34の厚み方向及び長手方向に直交する方向が、第4の被覆部34の短手方向となる。第1の被覆部31、第2の被覆部32、第3の被覆部33に囲まれる領域は、電池セル23が収容される収容部Sとなる。
【0020】
第2の被覆部32及び第3の被覆部33の長手方向第1端部32a,33aには、各被覆部32,33と連設され、各被覆部32,33の長手方向に延びる矩形平板状の突出部35が設けられている。また、第2の被覆部32及び第3の被覆部33の長手方向第2端部32c、33cには、四角柱状の脚部36が設けられている。脚部36の軸は、被覆部32,33の短手方向に延びている。脚部36には、ボルトBが挿通される挿通孔36aが脚部36の軸方向に貫通して設けられている。
【0021】
第4の被覆部34の長手方向両端における第4の被覆部34の短手方向の一端面上には、U字状をなすとともに、第4の被覆部34の厚み方向に開口する端子収容部37がそれぞれ設けられており、各端子収容部37は、第2の被覆部32及び第3の被覆部33に連設されている。
【0022】
第4の被覆部34の短手方向の一端面上には、端子収容部37と隣り合って四角柱状の柱部材38が設けられている。柱部材38の軸は、被覆部32,33の短手方向に延びている。柱部材38には、ボルトBが挿通される挿通孔38aが柱部材38の軸方向に貫通して設けられている。
【0023】
エンドプレート25は、矩形板状の基部41と、ボルトBが挿通される挿通孔42aが形成された4つのボルト挿通部42を有している。
伝熱プレート28は、金属製の板材をL字状に屈曲させることで形成されており、矩形平板状の本体51と、本体51の長手方向一端から直角に屈曲する矩形平板状の屈曲部52とを有している。本体51は、電池セル23の厚み方向に電池セル23と隣り合った状態で収容部Sに設けられており、電池セル23と熱的に結合されている。屈曲部52は、第3の被覆部33の外面(第3の被覆部33の厚み方向の面において収容部Sとは反対側の面)を覆っている。
【0024】
図4に示すように、電池モジュール21は、エンドプレート25に設けられたブラケット27が側壁13に固定されることで側壁13に固定されている。
電池モジュール21においては、それぞれの電池体22の屈曲部52の固定面53(屈曲部52の厚み方向の面における第3の被覆部33とは反対側の面)は、面一となっている。電池モジュール21は、屈曲部52の固定面53が、被固定部材としての側壁13の被固定面15(筐体11の内面)と対向するように配置されている。したがって、電池モジュール21と被固定面15との対向方向と、屈曲部52の厚み方向は同一方向となる。本実施形態において、電池体22における一面は、固定面53であり、被固定部材における一面は被固定面15となる。各電池体22の固定面53と、側壁13の被固定面15との間には、熱伝導部材61(TIM:Thermal Interface Material)が設けられており、電池モジュール21の固定面53は、熱伝導部材61を介して被固定面15に対向している。熱伝導部材61は、両面(電池体22の固定面53に対向する面及び被固定面15に対向する面)に粘着性を有しており、本実施形態では、ブラケット27と、熱伝導部材61によって電池モジュール21が側壁13に固定されている。そして、電池モジュール21が固定されることで、固定面53が被固定面15と対向した状態で固定されている。
【0025】
次に、本実施形態の電池モジュール21の製造方法の一工程である電池体22を一体化する工程について説明する。
図5及び
図6に示すように、電池セル23及び伝熱プレート28を電池ホルダ24に保持させた電池体22を並設していく。このとき、移動規制部材としてのU字状の治具71を用いて、各電池体22の相対的な位置ずれを抑制している。治具71は、矩形状の底部72を有しており、底部72の短手方向両端(底板72の短手方向と交わる方向に延びる端部)からは、第1の壁部73と第2の壁部74(一対の壁部)が立設している。第1の壁部73と第2の壁部74の互いに対向する面を内面73a,74aとすると、第1の壁部73の内面73aと第2の壁部74の内面74a間の距離は、電池体22における第2の被覆部32の外面(第2の被覆部32の厚み方向の面における収容部Sとは反対側の面)と屈曲部52の固定面53との間の距離よりも僅かに長い。なお、第1の壁部73の内面73aと第2の壁部74の内面74a間の距離とは、第1の壁部73と第2の壁部74を最短距離で結ぶ仮想線の長さであり、電池体22における第2の被覆部32の外面と屈曲部52の固定面53との間の距離とは、第2の被覆部32の外面と屈曲部52の固定面53とを最短距離で結ぶ仮想線の長さである。また、底部72の長手方向の寸法は、電池モジュール21の全長(電池体22の並設方向の長さ)よりも長い。なお、第2の被覆部32の外面は、電池モジュール21における固定面53とは反対側の面である。したがって、第1の壁部73と第2の壁部74は、固定面53と固定面53とは反対側の面を挟んでいる。そして、第2の壁部74の内面74aは、固定面53と対向する基準面となる。
【0026】
電池体22は、治具71の壁部73,74間で並設されていく。このとき、電池体22は、壁部73,74間での移動が規制されており、伝熱プレート28は、屈曲部52の厚み方向(固定面53の対向方向)へ位置ずれしにくい。したがって、屈曲部52の固定面53は、第2の壁部74の内面74aに沿って位置合わせされ、面一となっている。
【0027】
そして、電池体22を並設した後に、エンドプレート25を配置し、ボルトBによってエンドプレート25及び電池体22を拘束することで、電池体22を一体化する。これにより、屈曲部52の固定面53が面一となった電池モジュール21を製造することができる。
【0028】
次に、上記した電池モジュール21の作用について説明する。
電池モジュール21が占有する領域が多い場合、筐体11の全体を大型化したり、筐体11内に他の部材を配置しにくいなどの問題が生じるおそれがある。電池パック10は、例えば、車両などに搭載され、搭載領域が限られていることから、電池パック10をなるべく小型化することが望ましく、電池モジュール21が占有する領域を小さくすることが望ましい。
【0029】
本実施形態の電池モジュール21は、製造時に、各固定面53の相対的な位置ずれが生じにくい状態で電池体22が一体化されている。このため、筐体11の側壁13に電池モジュール21を固定したときに、一部の電池体22が固定面53と被固定面15との対向方向に突出しにくくなる。言い換えると、一部の電池体22が他の電池体22より被固定面15から離れた位置に配置されにくくなる。このため、電池モジュール21が占有する領域を少なくすることが可能となる。
【0030】
また、電池セル23が発した熱は、伝熱プレート28を介して側壁13に伝導する。このとき、一部の電池体22の固定面53と、被固定面15との間の距離に差があると、各電池セル23における放熱性に差が生じ、電池セル23間に温度差が生じるおそれがある。本実施形態では、固定面53が面一となっており、各電池セル23と熱伝導部材61の間及び熱伝導部材61と被固定面15との間に隙間が形成されることなく、各電池セル23及び熱伝導部材61を被固定面15に固定することができる。したがって、各電池セル23の放熱性に差が生じにくく、各電池セル23間の温度差を小さくすることができる。したがって、各電池セル23の寿命の差が小さくなり、電池モジュール21の寿命を長くすることができる。
【0031】
また、本実施形態のように電池セル23を加圧している場合、電池体22が位置ずれしていると、電池セル23の角部が隣り合う電池セル23の厚み方向の面に当接して、電池セル23の一部に荷重が集中し、電池セル23の破損の原因となる。各電池体22の相対的な位置ずれを抑制することで、電池セル23の角部が隣り合う電池セル23に当接することが抑制され、電池セル23が破損することを抑制することができる。
【0032】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電池体22は、固定面53の相対的な位置ずれが抑制された状態で一体化されている。このため、電池体22の固定面53の相対的な位置ずれが少ない状態で電池モジュール21を製造することができる。結果として、電池モジュール21を側壁13に固定したときに、被固定面15の対向方向へ一部の電池体22が突出することが抑制されている。このため、電池モジュール21が占有する領域が少なく、省スペース化が図られる。
【0033】
(2)伝熱プレート28の屈曲部52を固定面53とすることで、電池セル23が発した熱を伝熱プレート28を介して側壁13に伝導させることができる。固定面53は面一となっているため、固定面53と被固定面15との距離の差が小さく、電池セル23の温度差が小さくなる。
【0034】
(3)U字状の治具71を移動規制部材として用いているため、治具71の壁部73,74間に電池体22を挿入していくことで位置ずれを抑制した状態で電池体22を並設することができる。このため、壁部73,74間に電池体22を配置した状態で電池体22を一体化することで、容易に電池モジュール21を製造することができる。
【0035】
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
○各電池体22の固定面53は、面一でなくてもよく、製造上の寸法誤差や、電池セル23の放熱性に影響を与えない範囲内であれば、若干の位置ずれが生じていてもよい。
【0036】
○実施形態では、治具71を移動規制部材として用いたが、筐体11を用いてもよい。具体的にいえば、側壁13などの壁面(内面又は外面)を基準面として、この基準面に固定面53を押しつけた状態で電池体22を一体化してもよい。この場合、筐体11を移動規制部材として兼用することができる。また、筐体11以外であっても基準面に向けて固定面53を押しつけながら電池体22を一体化することができれば、どのような部材であっても移動規制部材として用いることができる。
【0037】
○実施形態の治具71の基準面となる第2の壁部74の内面74aに各電池体22の固定面53を押しつけた状態で各電池体22を一体化してもよい。この場合、治具71は、第1の壁部73を有していなくてもよい。また、各電池体22における固定面53と、固定面53とは反対側の面との間の距離が等しい(製造上の誤差程度あれば許容する)場合には、治具71の第1の壁部73の内面73a(基準面)に各電池体22における固定面53とは反対側の面を押しつけた状態で各電池体22を一体化してもよい。この場合、治具71は、第2の壁部74を有していなくてもよい。
【0038】
○実施形態の熱伝導部材61は、粘着性を有していなくてもよい。
○電池体22は、電池セル23を有していればよく、伝熱プレート28や電池ホルダ24を有していなくてもよい。
【0039】
○電池セル23は、円筒形電池やラミネート型の電池であってもよい。
○被固定部材は、産業車両に搭載されるカウンタウェイトなどであってもよい。
○電池体22は、金属製のバンドなどによって一体化されていてもよい。
【0040】
○固定面53は、被固定面15と対向していればよく、実施形態のように熱伝導部材61などの介在物を介して対向していてもよいし、介在物が設けられていない状態で固定面53と被固定面15が対向していてもよい。
【0041】
○ブラケット27のみで電池モジュール21が側壁13に固定されていてもよいし、粘着性を有する熱伝導部材61(接着剤)のみで電池モジュール21が側壁13に固定されていてもよい。
【0042】
○電池体22の固定面53と、被固定面15との間に、若干の隙間が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
11…筐体、13…側壁、15…被固定面、21…電池モジュール、22…電池体、23…電池セル、28…伝熱プレート、53…固定面、71…治具、73…第1の壁部、74…第2の壁部。