特許第6171954号(P6171954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6171954樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171954
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/58 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   B60S1/58 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-14153(P2014-14153)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-140097(P2015-140097A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 稔裕
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−160521(JP,A)
【文献】 特開2002−160519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/02 − 1/58
B60J 1/00 − 1/20
H05B 3/20 − 3/38
H05B 3/84 − 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製窓板の表面に配設されるデフォッガ線を、導電性の接続端子部材を介してリード線に接続する樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
前記接続端子部材は、前記樹脂製窓板の表面に固定されるデフォッガ線接続部と、前記デフォッガ線接続部から延出されかつ前記リード線が接続されるリード線接続部とを有し、
前記樹脂製窓板の表面のデフォッガ線配設領域上に対し、前記接続端子部材のデフォッガ線接続部を固定した後、前記デフォッガ線接続部の表面を含む前記デフォッガ線配設領域上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、前記デフォッガ線が形成されると共に、前記デフォッガ線と前記デフォッガ線接続部とが電気的に導通される構成にしてあり、
前記樹脂製窓板の表面には、デフォッガ線配設領域を隔てて一対をなす端子保持体が前記樹脂製窓板と同一樹脂材料によって一体成形され、
前記接続端子部材は、前記端子保持体によって前記デフォッガ線配設領域の外側で保持されることで前記樹脂製窓板の表面に対向するデフォッガ線接続部と、
前記デフォッガ線接続部の両側部に一体に形成され、前記デフォッガ線接続部を前記樹脂製窓板の表面に当接させて固定する固定部と、
前記デフォッガ線接続部から一体状に延出され、かつ前記リード線が接続されるリード線接続部と、を有しており、
前記端子保持体又は前記固定部のいずれか一方には、前記デフォッガ線接続部を前記樹脂製窓板の表面に圧着する圧着手段を備えていることを特徴とする樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
前記リード線接続部は、前記デフォッガ線配設領域の外側に配置していることを特徴とする樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
前記一対の端子保持体は、前記デフォッガ線配設領域の長手方向に平行する方向に延びかつ接続端子部材を差し込み可能な差込空間を前記樹脂製窓板の表面との間に構成する側壁部及び上壁部とを有し、
前記圧着手段は、前記固定部に設けられ、かつ前記端子保持体の上壁部下面に弾性変形して圧着する両ばね板を有していることを特徴とする樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として車両のリヤウインドウに用いられる樹脂製窓板において、その表面に配設されるデフォッガ線を、接続端子部材を介してリード線に接続する樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造としては、図10に示すように、樹脂製窓板510の表面にデフォッガ線511が配設された状態で、デフォッガ線511上に接続端子部材530が固定される。
接続端子部材530は、金属板がL字状に曲げ加工されることで形成され、その一辺にはデフォッガ線接続部531が形成され、他辺にはリード線接続部534が形成されている。
そして、接続端子部材530は、そのデフォッガ線接続部531がハンダ付け又は導電性樹脂接着剤533又はビスによって樹脂製窓板510のデフォッガ線511上に固定され、リード線接続部534にリード線の端末接続具が差し込まれて接続される。
このような樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造としては、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−160519号公報
【特許文献2】特開2001−52846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造において、樹脂製窓板510のデフォッガ線511上に、接続端子部材530のデフォッガ線接続部531をハンダ付け(図示しない)によって固定する場合、樹脂製窓板510にハンダ付けの熱による悪影響を与えることがないように、低温でハンダ付けしなければならない。低温のハンダ付けは接合強度が弱く剥がれが発生する懸念がある。
樹脂製窓板510のデフォッガ線511上に、接続端子部材530のデフォッガ線接続部531を導電性樹脂接着剤533によって固定する場合、樹脂製窓板510のデフォッガ線511上に導電性樹脂接着剤を塗布し、その上に接続端子部材530のデフォッガ線接続部531をセットした後、導電性樹脂接着剤533を硬化させなければならない。さらに、デフォッガ線511と接続端子部材530のデフォッガ線接続部531との間に導電性樹脂接着剤533が配設されると、デフォッガ線511に対する通電時に導電性樹脂接着剤533が電気抵抗となる。
樹脂製窓板510のデフォッガ線511上に、接続端子部材530のデフォッガ線接続部531をビス(図示しない)によって固定する場合、複数のビスを接続端子部材530のデフォッガ線接続部531及びデフォッガ線511を通して樹脂製窓板510にねじ込まなければならす、厄介である。
また、ビスに緩みが生じると、接続端子部材530のデフォッガ線接続部531が浮き上がりデフォッガ線511に対し接触不良が生じる恐れがある。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、接続端子部材とデフォッガ線との通電性能を高めることができる樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明の第1の発明に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造は、樹脂製窓板の表面に配設されるデフォッガ線を、導電性の接続端子部材を介してリード線に接続する樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
前記接続端子部材は、前記樹脂製窓板の表面に固定されるデフォッガ線接続部と、前記デフォッガ線接続部から延出されかつ前記リード線が接続されるリード線接続部とを有し、
前記樹脂製窓板の表面のデフォッガ線配設領域上に対し、前記接続端子部材のデフォッガ線接続部を固定した後、前記デフォッガ線接続部の表面を含む前記デフォッガ線配設領域上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、前記デフォッガ線が形成されると共に、前記デフォッガ線と前記デフォッガ線接続部とが電気的に導通される構成にしてある。
また、前記樹脂製窓板の表面には、デフォッガ線配設領域を隔てて一対をなす端子保持体が前記樹脂製窓板と同一樹脂材料によって一体成形され、前記接続端子部材は、前記端子保持体によって前記デフォッガ線配設領域の外側で保持されることで前記樹脂製窓板の表面に対向するデフォッガ線接続部と、前記デフォッガ線接続部の両側部に一体に形成され、前記デフォッガ線接続部を前記樹脂製窓板の表面に当接させて固定する固定部と、前記デフォッガ線接続部から一体状に延出され、かつ前記リード線が接続されるリード線接続部と、を有している。
そして、前記端子保持体又は前記固定部のいずれか一方には、前記デフォッガ線接続部を前記樹脂製窓板の表面に圧着する圧着手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によると、樹脂製窓板の表面に固定された接続端子部材のデフォッガ線接続部の表面を含むデフォッガ線配設領域上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、デフォッガ線が形成されると共に、デフォッガ線とデフォッガ線接続部とが電気的に導通される。そして、接続端子部材のリード線接続部に対しリード線が接続される。
前記したように、デフォッガ線(デフォッガ用導電性ペースト)が硬化する前に、接続端子部材のデフォッガ線接続部の表面にデフォッガ用導電性ペーストが塗布されて接触されるため、デフォッガ線のうち、接続端子部材のデフォッガ線接続部の表面に位置するデフォッガ線部分のほぼ全面が接続端子部材のデフォッガ線接続部の表面に接触不良なく直接接触して接合される。
この結果、接続端子部材のデフォッガ線接続部と、デフォッガ線との通電性能を高めることができる。
また、従来と異なり、樹脂製窓板表面のデフォッガ線配設領域上にデフォッガ線を配設する前に、デフォッガ線配設領域上に対し、接続端子部材を固定するため、デフォッガ線配設領域上に対し、接続端子部材を固定する際にデフォッガ線を損傷させることもない。
【0008】
【0009】
また、第1の発明によると、デフォッガ線配設領域の外側で接続端子部材が固定されるため、デフォッガ線の塗布の影響を受けずに確実に固定できる。
【0010】
第2の発明に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造は、第1の発明の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
前記リード線接続部は、前記デフォッガ線配設領域の外側に配置していることを特徴とする。
【0011】
第2の発明によると、デフォッガ線配設領域の外側にリード線接続部が配置されることで、リード線接続部がデフォッガ線の塗布の妨害物となることを回避することができ、デフォッガ線の塗布を容易に行うことができる。
【0012】
【0013】
また、第1の発明によると、圧着手段によってデフォッガ線接続部が樹脂製窓板の表面に圧着されることで、デフォッガ線接続部が不測に位置ずれすることを抑制でき、デフォッガ線接続部の位置ずれが原因となすデフォッガ線の破損を防止することができる。
【0014】
第3の発明に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造は、第1または第2の発明の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
前記一対の端子保持体は、前記デフォッガ線配設領域の長手方向に平行する方向に延びかつ接続端子部材を差し込み可能な差込空間を前記樹脂製窓板の表面との間に構成する側壁部及び上壁部とを有し、
前記圧着手段は、前記固定部に設けられ、かつ前記端子保持体の上壁部下面に弾性変形して圧着する両ばね板を有していることを特徴とする。
【0015】
第3の発明によると、接続端子部材のデフォッガ線接続部及び両ばね部が、一対の端子保持体と樹脂製窓板の表面との間の差込空間に差し込まれることで、両ばね部が一対の端子保持体の上壁部下面にそれぞれ弾性変形して圧着する。そして、両ばね部の付勢力(弾性変形による弾発力)によって、接続端子部材のデフォッガ線接続部が樹脂製窓板の表面に固定される。
すなわち、一対の端子保持体と樹脂製窓板の表面との間の差込空間に対し、接続端子部材のデフォッガ線接続部及び両ばね部を差し込むという極めて簡単な操作によって、樹脂製窓板の表面に接続端子部材を容易に固定することができる。
【0016】
本実施の形態に記載の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造は、第1の発明の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造であって、
樹脂製窓板を樹脂材料で成形すると同時に、接続端子部材のデフォッガ線接続部が樹脂製窓板の表面に露出された状態で前記樹脂製窓板に一体状に固定されていることを特徴とする。
【0017】
本実施の形態によると、樹脂製窓板を樹脂材料で成形すると同時に、接続端子部材のデフォッガ線接続部が樹脂製窓板の表面に露出された状態で樹脂製窓板に一体状に固定されるため、樹脂製窓板の表面に接続端子部材を固定する作業を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施例1に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を示す斜視図である。
図2】同じく図1のII−II線に沿う樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を示す縦断面図である。
図3】同じく図1のIII−III線に沿う樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を示す横断面図である。
図4】同じく接続端子部材を示す斜視図である。
図5】同じく樹脂製窓板の表面に接続端子部材を固定する前の状態を示す斜視図である。
図6】同じく樹脂製窓板の表面に接続端子部材を固定した状態を示す斜視図である。
図7】この発明の実施例2に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を示し、樹脂製窓板を成形すると同時に接続端子部材を固定した状態を示す斜視図である。
図8】同じく樹脂製窓板の表面のデフォッガ線接続部の表面を含むデフォッガ線配設領域上にデフォッガ用導電性ペーストが塗布されてデフォッガ線が形成された状態を示す斜視図である。
図9】この発明の実施例3に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を示し、接続端子部材のリード線接続部に対し、リード線の端末部が直接に接続された状態を示す斜視図である。
図10】従来の樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0020】
この発明の実施例1に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を図1図6にしたがって説明する。
図1に示すように、車両のリヤウインドウに用いられる樹脂製窓板10は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の透明な樹脂材料によって、車両のリヤウインドウの窓開口部に対応する形状に形成されている。
樹脂製窓板10の表面(車室側の表面)に設定されるデフォッガ線配設領域A上に対し、後述する接続端子部材30をそのデフォッガ線接続部31で固定した後、デフォッガ線接続部31の表面を含むデフォッガ線配設領域A上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、デフォッガ線11が形成されるようになっている。
なお、デフォッガ線配設領域は、樹脂製窓板10の表面の左右両側部の縦方向のデフォッガ線配設領域A(図1では片側のデフォッガ線配設領域Aを示す)と、これらデフォッガ線配設領域Aの間に跨る複数の横方向のデフォッガ線配設領域(図示しない)とが設定される。
そして、デフォッガ用導電性ペースト(導電性金属粉が混入された導電性及び接着性を有するペースト状の樹脂材料)が樹脂製窓板10の表面の左右両側部の縦方向のデフォッガ線配設領域Aと、複数の横方向のデフォッガ線配設領域に塗布された後、硬化されることで樹脂製窓板10の表面にデフォッガ線11が配線される。
【0021】
図1に示すように、樹脂製窓板10の表面には、デフォッガ線配設領域Aを隔てて一対をなす端子保持体20が配設されている。これら一対の端子保持体20は、樹脂製窓板10が樹脂材料によって成形されると同時に、樹脂製窓板10と同一樹脂材料によって一体成形されている。
図1図3に示すように、一対の端子保持体20は、デフォッガ線配設領域Aの長手方向に平行する方向に延びて長尺状をなしかつ次に述べる接続端子部材30を差し込み可能な差込空間Sを樹脂製窓板10の表面との間に構成する側壁部21及び上壁部22と、これら壁部21、22の一端部を塞ぐようにして一体に形成されて接続端子部材30の差込量を規制する奥壁部23とを有している。
【0022】
図1図4に示すように、接続端子部材30は、導電性の金属板よりなり、デフォッガ線接続部31と、そのデフォッガ線接続部31の基端部31aで繋がれた状態でスリット状の切り込み部31bが形成されかつデフォッガ線接続部31の両側部で上方へ切り起こし状に形成された両ばね部33と、デフォッガ線接続部31の片側部から連結部32をもって一体に延出されたリード線接続部34とを有している。
また、接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の幅寸法は、デフォッガ線11の幅寸法と同じ、又は若干大きく、又は若干小さく設定される。
そして、デフォッガ線接続部31は、両ばね部33と共に差込空間Sに差し込まれることで、樹脂製窓板10の表面に接して固定され、デフォッガ線配設領域A上に配設される。
【0023】
すなわち、図5図6に示すように、デフォッガ線接続部31の両ばね部33は、デフォッガ線接続部31と共に差込空間Sに弾性変形されながら差し込まれることで、一対の端子保持体20のそれぞれの上壁部22下面に弾性変形して圧着する。これによって、デフォッガ線接続部31が樹脂製窓板10の表面に接して固定される。
また、この実施例1において、リード線接続部34は、デフォッガ線接続部31の片側から横断面L字状の連結部32をもって形成され、その先端部寄りには、リード線40の端末接続具41に対し接触状態を確保するための導通用凸部35が形成されている。
なお、接続端子部材30の両ばね部33は、この発明の接続端子部材を樹脂製窓板10の表面に固定する固定部として機能すると共に、デフォッガ線接続部31を樹脂製窓板10の表面に圧着する圧着手段を構成している。
【0024】
前記したように、樹脂製窓板10の表面のデフォッガ線配設領域A上に対し接続端子部材30が固定された後、樹脂製窓板10表面に固定の接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の表面を含むデフォッガ線配設領域A上に対し、デフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、デフォッガ線11が形成される。そして、接続端子部材30のリード線接続部34に対しリード線40がその端末接続具41で接続される(図1参照)。
【0025】
この実施例1に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造は上述したように構成される。
したがって、樹脂製窓板10表面に固定された接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の表面を含むデフォッガ線配設領域A上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、デフォッガ線11が形成される。これによって、デフォッガ線11とデフォッガ線接続部31とが電気的に導通される。そして、接続端子部材30のリード線接続部34に対しリード線40の端末接続具41が差し込まれて接続される。
【0026】
前記したように、デフォッガ線11(デフォッガ用導電性ペースト)が硬化する前に、接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の表面にデフォッガ用導電性ペーストが塗布されて接触される。このため、デフォッガ線11のうち、デフォッガ線接続部31の表面に位置するデフォッガ線部分11aのほぼ全面がデフォッガ線接続部31の表面に接触不良なく直接接触して接合される。
この結果、接続端子部材30のデフォッガ線接続部31と、デフォッガ線11との通電性能を高めることができる。
また、従来と異なり、樹脂製窓板10表面のデフォッガ線配設領域A上にデフォッガ線11を配設する前に、デフォッガ線配設領域A上に対し、接続端子部材30を固定するため、デフォッガ線配設領域A上に対し、接続端子部材30を固定する際にデフォッガ線11を損傷させることもない。
【0027】
また、この実施例1において、樹脂製窓板10の表面のデフォッガ線配設領域Aに対し、接続端子部材30を固定する場合、樹脂製窓板10の表面と一対の端子保持体20との間の差込空間Sに対し、接続端子部材30のデフォッガ線接続部31が、両ばね部33と共に、これら両ばね部33を弾性変形させながら差し込まれる。
接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の基部31aが一対の端子保持体20の奥壁部23に当接する位置まで差し込まれることで、両ばね部33の弾性変形による弾発力によって、これら両ばね部33の先端が、一対の端子保持体20の上壁部22下面にそれぞれ圧着する。そして、両ばね部33の付勢力(弾性変形による弾発力)によって、デフォッガ線接続部31が樹脂製窓板10の表面に押圧されて固定される。
すなわち、樹脂製窓板10の表面と一対の端子保持体20との間の差込空間Sに対し、接続端子部材30のデフォッガ線接続部31及び両ばね部33を差し込むという極めて簡単な操作によって、樹脂製窓板10の表面に接続端子部材30を容易に固定することができる。
【0028】
また、樹脂製窓板10に一体に形成された一対の端子保持体20は、デフォッガ線配設領域Aの長手方向に平行する方向に延びて長尺状をなしかつ接続端子部材30が差し込み可能な差込空間Sを樹脂製窓板10の表面との間に構成する側壁部21及び上壁部22と、接続端子部材30の差込量を規制する奥壁部23とを有している。
これによって、一対の端子保持体20に対する接続端子部材30の差し込み方向がデフォッガ線配設領域Aの長手方向に平行する方向となる。このため、一対の端子保持体20に対する接続端子部材30の差込量を所望とする大きさに容易に設定することができる。
また、図1図3に示すように、一対をなす端子保持体20のうち、一方の端子保持体20aを、樹脂製窓板10の内側に形成し、他方の端子保持体20bを、デフォッガ線11と樹脂製窓板10端縁との間の限られたスペース内に容易に形成することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、この発明の実施例2に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を図7図8にしたがって説明する。
この実施例2においては、樹脂製窓板110の表面に対する接続端子部材130の固定構造を変更したものである。
図7図8に示すように、接続端子部材130は、導電性の金属板よりなり、矩形板状のデフォッガ線接続部131と、そのデフォッガ線接続部131の一側にL字状の接続部132をもって一体状に延出されたリード線接続部134とを有している。
また、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131の幅寸法は、デフォッガ線111の幅寸法と同じ、又は若干大きく、又は若干小さく設定される。
【0030】
接続端子部材130は、樹脂製窓板110の成形型内にセットされる。
そして、成形型内にポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の透明な樹脂材料を充填して、樹脂製窓板110を成形すると同時に、その樹脂製窓板110の表面のデフォッガ線配設領域Aに対し、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131の表面が、樹脂製窓板110の表面と同一面をなして露出された状態で樹脂製窓板110に一体状に固定される。
図8に示すように、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131の表面を含むデフォッガ線配設領域A上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、デフォッガ線111が形成される。これによって、デフォッガ線111とデフォッガ線接続部131とが電気的に導通される。
この実施例2のその他の構成は実施例1と同様に構成されるため、その説明は省略する。
【0031】
したがって、この実施例2においても、実施例1と同様にして、デフォッガ線111(デフォッガ用導電性ペースト)が硬化する前に、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131の表面にデフォッガ用導電性ペーストが塗布されて接触される。このため、デフォッガ線111のうち、デフォッガ線接続部131の表面に位置するデフォッガ線部分111aのほぼ全面がデフォッガ線接続部131の表面に接触不良なく直接接触して接合される。
この結果、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131と、デフォッガ線111との通電性能を高めることができる。
また、従来と異なり、樹脂製窓板110表面のデフォッガ線配設領域A上にデフォッガ線111を配設する前に、デフォッガ線配設領域A上に対し、接続端子部材130を固定するため、デフォッガ線配設領域A上に対し、接続端子部材130を固定する際にデフォッガ線111を損傷させることもない。
【0032】
特に、この実施例2においては、樹脂製窓板110を樹脂材料で成形すると同時に、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131が樹脂製窓板110の表面に露出された状態で樹脂製窓板110に一体状に固定される。このため、樹脂製窓板110の表面に接続端子部材130を固定する作業を省くことができる。
また、この実施例2において、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131の表面が、樹脂製窓板110の表面と同一面をなして露出された状態で樹脂製窓板110に一体状に固定される。
このため、接続端子部材130のデフォッガ線接続部131の表面を含むデフォッガ線配設領域A上にデフォッガ用導電性ペーストを塗布し、硬化させることで、デフォッガ線111が形成される際、デフォッガ線接続部131の長手方向両端部に段差面を発生させることなく、デフォッガ線111を同一平面上に形成することができる。
【実施例3】
【0033】
次に、この発明の実施例3に係る樹脂製窓板のデフォッガ線の接続端子構造を図9にしたがって説明する。
この実施例3においては、図9に示すように、実施例1で述べた接続端子部材30のリード線接続部34に対し、リード線40の端末部40aをはんだ付けやビス等によって直接に接続されている。
また、接続端子部材30は、そのリード線接続部34に対し、リード線40の端末部40aが直接に接続される以外は実施例1と同様に構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
【0034】
したがって、この実施例3によると、実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に、この実施例3においては、接続端子部材30のリード線接続部34に対し、リード線40の端末部40aが直接に接続されることで、リード線40の端末部40aに端末接続具を設ける必要がなくなり、構造が簡単となる。
【0035】
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施例1において、接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の両側部に両ばね部33が上方へ切り起こし状に形成された場合を例示したが、両ばね部33に替えて、一対の端子保持体20の側壁の高さ(差込空間S)を開口側から奥側に向けてしだいに狭くなるテーパに形成することで、デフォッガ線接続部31とデフォッガ線11とを通電可能な接触状態に保持することも可能であるし、一対の端子保持体20の上壁部22の下面に、端子保持体と一体成形によるばね部を形成したり、別部材による弾性体を配設してもよい。
また、前記実施例1において、一対の端子保持体20の奥壁部23によって接続端子部材30のデフォッガ線接続部31の基部31aの差込量を規制するように構成したが、接続端子部材30側に差込量を規制する規制部を形成することも可能であり、この場合には、一対の端子保持体20に対し、奥壁部23が形成されない構成にすることができる。
また、実施例2で述べた接続端子部材130のリード線接続部134に対しリード線の端末部をはんだ付けやビス等によって直接に接続してもよい。
また、実施例2で述べた接続端子部材130のデフォッガ線接続部131を、樹脂製窓板110の表面のデフォッガ線配設領域A上に接着剤によって固定してもこの発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 樹脂製窓板
11 デフォッガ線
20 一対の端子保持体
21 側壁部
22 上壁部
23 奥壁部
30 接続端子部材
31 デフォッガ線接続部
33 ばね部
34 リード線接続部
40 リード線
41 端末接続具
A デフォッガ線配設領域

図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10