(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関に駆動連結される入力部材の回転を変速して変速出力ギヤへ伝達する変速装置と、複数の車輪に駆動力を分配する差動歯車機構と、前記変速出力ギヤの駆動力を前記差動歯車機構の差動入力ギヤへ伝達するカウンタギヤ機構と、ロータ及びステータを有すると共に前記ロータの駆動力を前記カウンタギヤ機構に伝達する電機出力ギヤを有する回転電機と、前記回転電機用のインバータと、を備えた車両用駆動装置であって、
前記変速出力ギヤ、前記差動入力ギヤ、及び前記電機出力ギヤが、前記カウンタギヤ機構の周方向の異なる位置において前記カウンタギヤ機構のカウンタギヤにそれぞれ噛み合い、
前記インバータと前記ステータとが、前記回転電機の軸方向視で重複し、
前記インバータと前記電機出力ギヤとが、前記回転電機の径方向視で重複する車両用駆動装置。
前記インバータは、前記電機出力ギヤに対して、前記回転電機の径方向における前記カウンタギヤ機構が配置されている側とは反対側に配置されている請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
前記インバータは、前記カウンタギヤの軸心及び前記電機出力ギヤの軸心の双方を通る仮想平面の両側にわたって配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る車両用駆動装置1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1の概略構成を示すスケルトン図であり、
図2は、
図1におけるカウンタギヤ機構CG、回転電機MG、差動歯車機構DF及びインバータINの部分を軸方向展開断面図で表した図である。
図3は、
図2における回転電機MG及びインバータINの部分を拡大した図である。また、
図4は、車両用駆動装置1の各構成要素の軸方向X視(軸第一方向X1側から軸第二方向X2側に軸方向Xに見た場合)での配置を表した配置図である。
【0028】
本実施形態では、車両用駆動装置1は、内燃機関ENGに駆動連結される変速入力軸Iの回転を変速して変速出力ギヤGToへ伝達する変速装置TMと、複数の車輪Wに駆動力を分配する差動歯車機構DFと、変速出力ギヤGToの駆動力を差動歯車機構DFの差動入力ギヤGDiへ伝達するカウンタギヤ機構CGと、ロータRo及びステータStを有すると共にロータRoの駆動力をカウンタギヤ機構CGに伝達する電機出力ギヤGMoを有する回転電機MGと、回転電機MG用のインバータINと、を備えている。本実施形態では、車両用駆動装置1は、トルクコンバータTCを備えており、変速入力軸Iは、トルクコンバータTCを介して内燃機関ENGに駆動連結されている。また、本実施形態では、車両用駆動装置1は、回転電機MGのロータRoと電機出力ギヤGMoとを連結した状態と、これらの連結を解除した状態とを切り替え可能な係合装置50(本例では、噛み合い式係合装置DG)を備えている。
なお、変速入力軸Iが、本発明における「入力部材」に相当する。
【0029】
図4に示すように、変速出力ギヤGTo、差動入力ギヤGDi、及び電機出力ギヤGMoが、カウンタギヤ機構CGの周方向の異なる位置においてカウンタギヤ機構CGのカウンタギヤGCにそれぞれ噛み合っている。また、インバータINとステータStとが、回転電機MGの軸方向X視で重複している。
図2及び
図3に示すように、インバータINと電機出力ギヤGMoとが、回転電機MGの径方向視で重複している。
【0030】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、変速装置TMの回転軸心A1(以下、第一軸心A1と称す)、回転電機MGの回転軸心A2(以下、第二軸心A2と称す)、カウンタギヤ機構の回転軸心A3(以下、第三軸心A3と称す)、及び差動歯車機構DFの回転軸心A4(以下、第四軸心A4と称す)は、互いに平行に配置されている。よって、軸方向Xは、これらの回転軸心A1〜A4で共通した軸方向となる。軸方向Xにおいて車両用駆動装置1から内燃機関ENGに向かう方向(
図1、
図2における右側)を軸第一方向X1と規定し、その反対方向である内燃機関ENGから車両用駆動装置1に向かう方向(
図1、
図2における左側)を、軸第二方向X2と規定している。
以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1について、詳細に説明する。
【0031】
1.車両用駆動装置1及び内燃機関ENGの概略構成
【0032】
図1に示すように、ハイブリッド車両は、車両の駆動力源として内燃機関ENG及び回転電機MGを備えている。ハイブリッド車両は、変速装置TMを備えており、当該変速装置TMにより、変速入力軸Iに伝達された内燃機関ENGの回転速度を変速すると共にトルクを変換して変速出力ギヤGToに伝達する。
【0033】
<内燃機関ENG>
内燃機関ENGは、燃料の燃焼により駆動される熱機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種内燃機関を用いることができる。本例では、内燃機関ENGのクランクシャフト等の内燃機関出力軸が、トルクコンバータTCに駆動連結された動力入力軸Ipに駆動連結される。
内燃機関ENGの内燃機関出力軸は、変速装置TMの第一軸心A1上に配置される。
【0034】
<ケースCS>
図2に示すように、車両用駆動装置1を構成するトルクコンバータTC、変速装置TM、カウンタギヤ機構CG、回転電機MG、差動歯車機構DF、及びインバータINは、ケースCS内に収容されている。ケースCSは、車両用駆動装置1の外側を覆うように形成された外壁を備えている。また、ケースCSは、トルクコンバータTC、変速装置TM、カウンタギヤ機構CG、回転電機MG、差動歯車機構DF、及びインバータINのそれぞれを、支持するため又は隔離するため、部分的又は全体的に覆った隔壁を備えている。
【0035】
本実施形態では、ケースCSは、
図1及び
図2に示すように、車両用駆動装置1の外周を覆う第一ケース部材CS1と、車両用駆動装置1の軸第一方向X1側を覆う第二ケース部材CS2と、車両用駆動装置1の軸第二方向X2側を覆う第三ケース部材CS3と、インバータINの外周側を覆うインバータ蓋部材CS4(
図3参照)と、から構成されている。各ケース部材CS1、CS2、CS3、CS4は、互いにボルトなどにより連結されている。第一ケース部材CS1は、変速装置TM、カウンタギヤ機構CG、回転電機MG、及びインバータINなどのそれぞれの主要部を収容している。第二ケース部材CS2は、変速装置TM、カウンタギヤ機構CG、及び電機出力ギヤGMoなどの軸第一方向X1側を覆うと共に、これらの回転軸を、軸受を介して回転可能に支持している。第二ケース部材CS2は、差動歯車機構DF、及びトルクコンバータTCを収容している。第三ケース部材CS3は、変速装置TM、及び回転電機MGなどの軸第二方向X2側を覆うと共に、これらの回転軸を、軸受を介して回転可能に支持している。インバータ蓋部材CS4は、外周側に開口する第一ケース部材CS1に形成されたインバータ収容室を塞ぐカバー部材である。
【0036】
<トルクコンバータTC>
図1に示すように、トルクコンバータTCは、内部に充填された作動油を介して、動力入力軸Ipに駆動連結されたポンプインペラTCaと、変速入力軸Iに駆動連結されたタービンランナTCbとの間で駆動力の伝達を行う動力伝達装置である。トルクコンバータTCは、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとの間に、ワンウェイクラッチを備えたステータTCcを備えており、また、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとを一体回転させるように連結するロックアップクラッチLCを備えている。オイルポンプOPは、ポンプインペラTCaと一体回転するように駆動連結されている。
【0037】
<変速装置TM>
変速装置TMは、変速入力軸Iの回転を変速して変速出力ギヤGToへ伝達する動力伝達装置である。
本実施形態では、変速装置TMは、変速比の異なる複数の変速段を有する有段の自動変速装置とされている。変速装置TMは、これら複数の変速段を形成するため、遊星歯車機構等の歯車機構及び摩擦係合装置などの係合装置を備えている。変速装置TMは、各変速段の変速比で、変速入力軸Iの回転速度を変速するとともに変速入力軸Iのトルクを変換して、変速出力ギヤGToへ伝達する。変速装置TMから変速出力ギヤGToへ伝達されたトルクは、カウンタギヤ機構CG及び差動歯車機構DFを介して左右二つの車軸AXに分配されて伝達され、各車軸AXに駆動連結された車輪Wに伝達される。
【0038】
本実施形態では、変速装置TMは、
図8に示すように、変速比(減速比)の異なる4つの変速段(第一段1st、第二段2nd、第三段3rd、第四段4th)を前進段として備え、一段の後進段Revを備えている。これらの変速段を構成するため、変速装置TMは、遊星歯車機構PLGなどの歯車機構と、6つの係合装置C1、C2、C3、B1、B2、F1と、を備えて構成されている。ワンウェイクラッチF1を除くこれら複数の係合装置C1、B1・・・の係合及び解放を制御して、遊星歯車機構PLGの各回転要素の回転状態を切り替え、複数の係合装置C1、B1・・・を選択的に係合することにより、5つの変速段が切り替えられる。
【0039】
本実施形態においては、遊星歯車機構PLGは、変速入力軸Iと同軸上に配置されたラビニヨ型の遊星歯車機構とされている。すなわち、遊星歯車機構は、第一サンギヤS1及び第二サンギヤS2の二つのサンギヤと、リングギヤRと、第二サンギヤS2及びリングギヤRの双方に噛み合うロングピニオンギヤP1並びにロングピニオンギヤP1及び第一サンギヤS1に噛み合うショートピニオンギヤP2を支持する共通のキャリヤCAと、の四つの回転要素を有して構成されている。
【0040】
遊星歯車機構PLGの第二サンギヤS2は、第三クラッチC3を介して変速入力軸Iと選択的に一体回転するように駆動連結される。キャリヤCAは、第二クラッチC2を介して変速入力軸Iと選択的に一体回転するように駆動連結されるとともに、第二ブレーキB2又はワンウェイクラッチF1を介して非回転部材としてのケースCSに選択的に固定される。リングギヤRは、変速出力ギヤGToと一体回転するように駆動連結されている。第一サンギヤS1は、第一クラッチC1を介して変速入力軸Iと選択的に一体回転するように駆動連結される。
【0041】
本実施形態では、ワンウェイクラッチF1を除く各係合装置C1、C2、C3、B1、B2は、いずれも摩擦係合装置とされている。具体的には、これらは油圧により動作する多板式クラッチや多板式ブレーキにより構成されている。これらの係合装置C1、C2、C3、B1、B2は、油圧制御装置45から供給される油圧により、係合の状態が制御される。
【0042】
図8は、各変速段での複数の係合装置C1、B1・・・の作動状態を示す作動表である。この図において、「○」は各係合装置が係合状態にあることを示しており、「無印」は、各係合装置が解放状態にあることを示している。「(○)」は、エンジンブレーキを行う場合などにおいて、係合装置が係合状態にされることを示している。また、「△」は、一方向に回転する場合には解放した状態となり、他方向に回転する場合には係合した状態となることを示している。
【0043】
図8に示すように、第一段1stは、第一クラッチC1の係合とワンウェイクラッチF1の係合とにより実現される。エンジンブレーキなどを行う場合は、第一段1stは、第一クラッチC1の係合と第二ブレーキB2の係合とにより実現される。第二段2ndは、第一クラッチC1の係合と第一ブレーキB1の係合とにより実現される。第三段3rdは、第一クラッチC1の係合と第二クラッチC2の係合とにより実現される。第四段4thは、第二クラッチC2の係合と第一ブレーキB1の係合とにより実現される。後進段Revは、第三クラッチC3の係合と第二ブレーキB2の係合とにより実現される。
【0044】
<回転電機MG>
図2及び
図3に示すように、回転電機MGは、ケースCSに固定されたステータStと、当該ステータStの径方向内側に回転自在に支持されたロータRoと、を有している。なお、本発明において回転電機MGとは、ステータSt及びロータRoを指すものとする。本実施形態では、ステータStは、第一ケース部材CS1の外壁の内周面及び変速装置TMとの間の隔壁に固定されている。ステータStにコイルCoが巻装されており、ステータStの軸方向両側にコイルCoのコイルエンド部が突出している。
【0045】
ロータRoは、ロータRoと一体回転する回転軸であるロータ軸SR1により、回転可能に支持されている。ロータRoからロータ軸SR1に伝達された駆動力を出力するための電機出力ギヤGMoは、ロータRo及びロータ軸SR1と同じ第二軸心A2上に配置されている。
【0046】
回転電機MGは、直流交流変換を行うインバータINを介して、蓄電装置などからなる直流電源DCに電気的に接続されている。そして、回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。すなわち、回転電機MGは、インバータINを介して直流電源DCからの電力供給を受けて力行し、或いは内燃機関ENGや車輪Wから伝達される回転駆動力により発電し、発電された電力は、インバータINを介して直流電源DC(蓄電装置)に蓄電される。
【0047】
<係合装置50>
本実施形態では、
図3に示すように、電機出力ギヤGMoは、電機出力ギヤGMoと一体回転し、電機出力ギヤGMoを回転可能に支持する回転軸である電機出力ギヤ軸SR2に設けられている。そして、ロータ軸SR1(ロータRo)と電機出力ギヤ軸SR2(電機出力ギヤGMo)とは、係合装置50により選択的に駆動連結されるように構成されている。すなわち、係合装置50が係合すると、ロータRoと電機出力ギヤGMoとが駆動連結されて、ロータRoと電機出力ギヤGMoとの間で駆動力が伝達される状態となり、係合装置50が解放すると、ロータRoと電機出力ギヤGMoとの駆動連結が解除されて、ロータRoと電機出力ギヤGMoとの間で駆動力が伝達されない状態となる。
【0048】
本実施形態では、係合装置50は、噛み合い式係合装置DG(ドグクラッチ)とされている。噛み合い式係合装置DGは、軸方向Xに移動可能なギヤセレクタ21を備えている。ギヤセレクタ21が、軸方向Xの一方側(本例では、軸第二方向X2)に移動されることにより、ギヤセレクタ21のギヤが、ロータ軸SR1のギヤ及び電機出力ギヤ軸SR2のギヤの双方に噛み合った場合は、ロータ軸SR1と電機出力ギヤ軸SR2とがギヤセレクタ21を介して連結される。一方、ギヤセレクタ21が、軸方向Xの他方側(本例では、軸第一方向X1)に移動されることにより、ギヤセレクタ21のギヤと、ロータ軸SR1のギヤ及び電機出力ギヤ軸SR2のギヤの一方又は双方との噛み合いが解除された場合は、ロータ軸SR1と電機出力ギヤ軸SR2との連結が解除される。
【0049】
本実施形態では、油圧制御装置45から噛み合い式係合装置DGに供給される油圧を制御することにより、ギヤセレクタ21が軸第一方向X1又は軸第二方向X2に移動するように構成されている。なお、
図3では、第二軸心A2を挟んで上側と下側とで異なる状態を示しており、第二軸心A2に対して上側は、ギヤセレクタ21が軸第二方向X2側に移動し、噛み合い式係合装置DGが係合している状態を示し、第二軸心A2に対して下側は、ギヤセレクタ21が軸第一方向X1側に移動し、噛み合い式係合装置DGが解放している状態を示している。
【0050】
本実施形態では、ロータ軸SR1は、円筒状に形成されており、外周面にロータRoが嵌合され、内周面に、ギヤセレクタ21の第二外歯29が噛み合う第二内歯26が形成されている。第二内歯26は、ロータ軸SR1の内周面における、軸第一方向X1側の端部に形成されている。ロータ軸SR1は、
図3に示すように、軸方向Xにおける両端部で第一ロータ軸受32を介して回転可能な状態でケースCSに支持されている。
【0051】
電機出力ギヤ軸SR2は、円筒状に形成されており、外周面に電機出力ギヤGMoが形成されており、内周面にギヤセレクタ21の第一外歯28が噛み合う第一内歯27が形成されている。電機出力ギヤ軸SR2は、第二軸心A2上であって、ロータ軸SR1に対して軸第一方向X1側に配置されている。電機出力ギヤ軸SR2は、カウンタギヤ機構CGと同等の軸方向長さを有し、カウンタギヤ機構CGと径方向視で重複している。第一内歯27及び電機出力ギヤGMoは、電機出力ギヤ軸SR2の内周面又は外周面における軸第二方向X2側の端部に形成されている。電機出力ギヤ軸SR2は、
図3に示すように、軸方向Xにおける両端部で第二ロータ軸受33を介して回転可能な状態でケースCSに支持されている。
【0052】
ギヤセレクタ21は、筒状に形成されており、ロータ軸SR1及び電機出力ギヤ軸SR2の径方向内側の空間を、軸方向Xに移動可能に構成されている。
ギヤセレクタ21の外周面には、軸第一方向X1側の端部に第一外歯28が形成され、軸第二方向X2側の端部に第二外歯29が形成されている。本実施形態では、ギヤセレクタ21の第一外歯28は、ギヤセレクタ21が、移動範囲内で軸方向Xに移動されても、電機出力ギヤ軸SR2の第一内歯27に常時噛み合うように構成されている。一方、ギヤセレクタ21の第二外歯29は、ギヤセレクタ21が軸第二方向X2に移動された場合に、ロータ軸SR1の第二内歯26に噛み合い、ギヤセレクタ21が軸第一方向X1に移動された場合に、ロータ軸SR1の第二内歯26との噛み合いが解除されるように構成されている。
【0053】
本実施形態では、噛み合い式係合装置DGは、ギヤセレクタ21に加えて、軸部材25と、円盤状部材23と、油圧室24と、弾性部材22とから構成されている。ギヤセレクタ21、軸部材25、及び弾性部材22は、電機出力ギヤ軸SR2の径方向内側に配置されている。軸部材25は、電機出力ギヤ軸SR2と同等の軸方向長さを有し、電機出力ギヤ軸SR2と径方向視で重複している。
【0054】
噛み合い式係合装置DGは、油圧制御装置45から油圧室24に供給された油圧によりギヤセレクタ21を軸方向Xの一方側(本例では、軸第一方向X1)に押圧する押圧力と、弾性部材22の弾性力によりギヤセレクタ21を軸方向Xの他方側(本例では、軸第二方向X2)に押圧する押圧力と、のバランスにより、ギヤセレクタ21を軸方向Xの一方側又は他方側に移動させるように構成されている。
【0055】
本実施形態では、ギヤセレクタ21は、円筒状の大径部30Cと、大径部30Cの軸第一方向X1側に設けられ、大径部30Cよりも小径の円筒状の小径部30Bと、大径部30Cと小径部30Bとの間をつなぐ円環板状の径方向延在部30Aと、を備えている。大径部30Cの外周面に、第二外歯29が形成され、小径部30Bの外周面に第一外歯28が形成されている。小径部30Bは、電機出力ギヤ軸SR2の径方向内側に挿入され、大径部30Cは、ロータ軸SR1の径方向内側に挿入される。
【0056】
軸部材25は、円筒状に形成されており、電機出力ギヤ軸SR2及びギヤセレクタ21の径方向内側に配置されている。軸部材25の外周面における軸第一方向X1側の端部は、電機出力ギヤ軸SR2の内周面に嵌合されており、軸部材25は、電機出力ギヤ軸SR2と一体回転する。軸部材25の外周面における軸第二方向X2側の端部には、円環板状の円盤状部材23の内周面が嵌合され、ナットより円盤状部材23が軸部材25に固定されている。
【0057】
円盤状部材23は、ギヤセレクタ21の大径部30Cの径方向内側に配置され、円盤状部材23の外周面と大径部30Cの内周面との間にはシール部材が配置されている。円盤状部材23の軸第一方向X1側の面と、大径部30Cの内周面と、径方向延在部30Aの軸第二方向X2側の面と、軸部材25の外周面とにより、油圧室24が形成されている。
【0058】
軸部材25には、軸第一方向X1側の端面から、円盤状部材23が固定された固定部まで、軸第二方向X2に延びる第一油路41が形成されている。軸部材25は、円盤状部材23の固定部の軸第一方向X1側において、第一油路41と油圧室24とを連通する、径方向に延びる貫通孔42が形成されている。
【0059】
油圧制御装置45から供給された油圧は、第一油路41及び貫通孔42を通って、油圧室24に供給される。油圧室24に供給された油圧は、ギヤセレクタ21の径方向延在部30Aの軸第二方向X2側の端面を軸第一方向X1に押圧し、ギヤセレクタ21を軸第一方向X1に移動させる。
【0060】
一方、弾性部材22は、ギヤセレクタ21を軸第二方向X2に押圧しており、油圧室24に供給された油圧が低下すると、ギヤセレクタ21を軸第二方向X2に移動させる。弾性部材22は、圧縮コイルバネとされており、軸部材25の外周面の周囲であって、ギヤセレクタ21の小径部30Bの軸第一方向X1側の端部と、軸部材25の外周面に形成された突部38との間に配置されている。
【0061】
<カウンタギヤ機構CG>
カウンタギヤ機構CGは、変速出力ギヤGToの駆動力を差動歯車機構DFの差動入力ギヤGDiへ伝達する動力伝達装置である。また、カウンタギヤ機構CGは、電機出力ギヤGMoの駆動力を差動歯車機構DFの差動入力ギヤGDiへ伝達する動力伝達装置でもある。
図4に示すように、変速出力ギヤGTo、差動入力ギヤGDi、及び電機出力ギヤGMoが、カウンタギヤ機構CGの周方向の異なる位置においてカウンタギヤ機構CGのカウンタギヤGCにそれぞれ噛み合っている。カウンタギヤ機構CGは、第三軸心A3上に配置されており、カウンタギヤ機構CGの周方向とは、第三軸心A3についての周方向である。
【0062】
本実施形態では、カウンタギヤ機構CGは、カウンタギヤGCとして、カウンタ入力ギヤGCiと、当該カウンタ入力ギヤGCiより小径のカウンタ出力ギヤGCoとを有している。カウンタ入力ギヤGCiとカウンタ出力ギヤGCoとが、カウンタ軸SCにより連結されて、第三軸心A3まわりを一体回転するように構成されている。カウンタ入力ギヤGCiは、カウンタギヤ機構CGにおいて軸第二方向X2側に寄って配置され、カウンタ出力ギヤGCoは、カウンタギヤ機構CGにおいて軸第一方向X1側に寄って配置されている。
図2に示すように、カウンタ軸SCの軸方向両側の端部は、軸受を介して回転可能な状態でケースCSに支持されている。
【0063】
カウンタ入力ギヤGCiは、変速出力ギヤGToに噛み合っている。また、カウンタ入力ギヤGCiは、変速出力ギヤGToとは周方向の異なる位置で、電機出力ギヤGMoに噛み合っている。また、カウンタ出力ギヤGCoは、変速出力ギヤGTo及び電機出力ギヤGMoとは周方向の異なる位置で、差動入力ギヤGDiに噛み合っている。
【0064】
<差動歯車機構DF>
差動歯車機構DFは、差動入力ギヤGDiを有し、当該差動入力ギヤGDiに伝達される駆動力を複数の車輪Wに分配して伝達する。本例では、差動歯車機構DFは、互いに噛み合う複数の傘歯車DF1、DF2を用いた差動歯車機構とされており、差動入力ギヤGDiに伝達されるトルクを分配して、それぞれ車軸AXを介して左右2つの車輪Wに伝達する。差動歯車機構DFは、第四軸心A4上に配置されている。
【0065】
本実施形態では、差動歯車機構DFは、差動入力ギヤGDiと一体回転する差動キャリヤDF4を備えている。差動キャリヤDF4内には、各車軸AXとそれぞれ一体回転する一対のサイドギヤDF2と、当該2つのサイドギヤDF2をつなぐと共に差動キャリヤDF4と共に回転する一対のピニオンギヤDF1と、が収容されている。ピニオンギヤDF1は、差動キャリヤDF4と一体回転するピニオン回転軸DF3周りに自転可能に支持されている。
【0066】
<油圧制御装置45>
油圧制御装置45は、車両用駆動装置1の各部へ供給する油圧を制御する装置である。油圧制御装置45は、リニアソレノイド弁などの複数の油圧制御弁を備えており、オイルポンプOPにより吐出された油を、それぞれ必要とされるレベルの油圧に調整し、当該調整した油圧を、変速装置TMの各係合装置C1、C2、・・・、及び噛み合い式係合装置DGの各部へ供給する。
【0067】
2.インバータINの配置及び構成
<インバータINの概略構成>
インバータINは、直流電源DCに係る直流電力と、回転電機MGに係る交流電力とを変換する直流交流変換装置である。
本実施形態では、蓄電装置などの直流電源DCから供給された直流電力を三相の交流電力に変換して回転電機MGの三相のコイルCoに供給すると共に、回転電機MGが発電(回生)した交流電力を直流電力に変換して直流電源DCに供給するように構成されている。
【0068】
インバータINは、複数のスイッチング素子SWを備えている。スイッチング素子SWには、IGBT(insulated gate bipolar transistor)やパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)などのパワー半導体素子が用いられる。
インバータINは、2つのスイッチング素子SWが直列接続された直列回路が、三相各相(U相、V相、W相)のコイルCou、Cov、Cowに対応して3セット設けられたブリッジ回路に構成されている。具体的には、
図7に示すように、インバータINにおける正極側電線4aと、負極側電線4bとの間に、2つのスイッチング素子SWが直列に接続されて1つの直列回路が構成される。三相用のインバータINには、合計6つのスイッチング素子SWが備えられる。各相の直列回路において2つのスイッチング素子SWを互いに接続する中間線は、それぞれ各相のコイルCou、Cov、Cowに接続される。各スイッチング素子SWには、それぞれフリーホイールダイオード39が並列に接続される。
【0069】
インバータINは、コンデンサCNを備えている。コンデンサCNは、正極側電線4aと負極側電線4bとの間に接続されており、正極側電線4aと負極側電線4bとの間の直流電圧(システム電圧)を平滑化する。コンデンサCNは、スイッチング素子SWが備えられたインバータINの本体部と直流電源DCとの間に並列に設けられる。
【0070】
インバータINは、複数のスイッチング素子SWをオンオフ制御する制御装置9を備えている。制御装置9は、複数のスイッチング素子SWを駆動する駆動回路を備えている。駆動回路は、各スイッチング素子SWのゲート端子に接続されている。制御装置9は、演算処理装置などにより、ベクトル制御法などに基づいて、各スイッチング素子SWのオンオフタイミングを演算して、駆動回路にオン指令又はオフ指令を伝達する駆動制御装置を備えている。
【0071】
本実施形態では、
図6及び
図7に示すように、複数のスイッチング素子SWは、モジュール状に1つにまとめられて1つの部品にされている。すなわち、インバータINは、複数のスイッチング素子SWを備えたパワーモジュールPMを備えている。パワーモジュールPMは、正極側電線4aを直流電源DC及びコンデンサCNの正極側に接続するための正極接続端子10pと、負極側電線4bを直流電源DC及びコンデンサCNの負極側に接続するための負極接続端子10nと、を備えている。また、パワーモジュールPMは、各相の直列回路の中間線を、それぞれ三相各相のコイルCou、Cov、Cowに接続するための3つのコイル接続端子12u、12v、12wを備えている。
【0072】
パワーモジュールPMは、各スイッチング素子SWのゲート端子を、制御装置9の駆動回路に接続するための6つの素子接続端子13a、13b、13c、13d、13e、13fを備えている。また、各素子接続端子13a、13b、13c、13d、13e、13fには、各スイッチング素子SWを流れる電流や温度などの状態を監視するセンサの情報を、制御装置9に出力するための接続端子なども設けられている。
【0073】
図6に示すように、コンデンサCNは、モジュール状に1つの部品にされている。コンデンサCNは、コンデンサCNの正極端子をパワーモジュールPMの正極接続端子10pに接続するための正極素子接続端子11pと、コンデンサCNの負極端子をパワーモジュールPMの負極接続端子10nに接続するための負極素子接続端子11nと、を備えている。また、コンデンサCNは、コンデンサCNの正極端子を直流電源DCの正極端子に接続するための正極電源接続端子14pと、コンデンサCNの負極端子を直流電源DCの負極端子に接続するための負極電源接続端子14nと、を備えている。
【0074】
インバータINは、インバータINを冷却するための冷却水路CCを形成する水路形成部材CBを備えている。水路形成部材CBは、パワーモジュールPMの三相のコイル接続端子12u、12v、12wと、三相のコイルCou、Cov、Cowと、をそれぞれ接続するための3本の中間接続線15u、15v、15wを備えている。本実施形態では、各中間接続線15u、15v、15wは、金属製の棒状の部材であるバスバーとされている。各中間接続線15u、15v、15wは、パワーモジュールPMの各コイル接続端子12u、12v、12wに接続するための3つの第一中間接続端子16u、16v、16wを備えている。また、各中間接続線15u、15v、15wは、各コイルCou、Cov、Cow側に接続するための3つの第二中間接続端子17u、17v、17wを備えている。
【0075】
インバータINは、パワーモジュールPM、コンデンサCN、制御装置9、及び水路形成部材CBがモジュール状に1つにまとめられた1つの部品にされている。本実施形態では、パワーモジュールPM、コンデンサCN、及び制御装置9が、水路形成部材CBにボルトなどの締結部材により取り付けられており、また、ボルトなどにより互いに電気的に接続されている。
【0076】
<インバータINの配置>
上記のように、変速出力ギヤGTo、差動入力ギヤGDi、及び電機出力ギヤGMoが、カウンタギヤ機構CGの周方向の異なる位置においてカウンタギヤ機構CGのカウンタギヤGCにそれぞれ噛み合っている。そのため、カウンタギヤ機構CGに対して、変速出力ギヤGToが噛み合っている側には、変速装置TMが配置されておりインバータINを配置するための空間を確保することが容易でない。また、カウンタギヤ機構CGに対して、差動入力ギヤGDiが噛み合っている側には、差動歯車機構DFが配置されており、インバータINを配置するための空間を確保することが容易でない。一方、カウンタギヤ機構CGに対して、電機出力ギヤGMoが噛み合っている側には、電機出力ギヤGMoなどが配置されているだけである。また、回転電機MGは、電機出力ギヤGMoの軸方向Xの一方側又は他方側に配置されており、電機出力ギヤGMoと径方向視で重複する位置には、インバータINを配置するための空間を確保し易く、当該空間にインバータINが配置されている。
【0077】
すなわち、
図4に示すように、インバータINとステータStとが、回転電機MGの軸方向X視で重複するように配置されており、
図3に示すように、インバータINと電機出力ギヤGMoとが、回転電機MGの径方向視で重複するように配置されている。なお、回転電機MGの軸方向、径方向、及び周方向とは、回転電機MGが配置された第二軸心A2についての軸方向、径方向、及び周方向である。
【0078】
本実施形態では、回転電機MGは、電機出力ギヤGMoに対して軸第二方向X2側に配置されており、インバータINは、回転電機MGに対して、回転電機MGの径方向及び周方向に延びるケースCSの隔壁を隔てて、軸第一方向X1側に配置されている。また、ステータStと電機出力ギヤGMoとが、回転電機MGの径方向視で重複しないように配置されており、ステータStとインバータINとが、回転電機MGの径方向視で重複しないように配置されている。また、インバータINと、電機出力ギヤ軸SR2とが、回転電機MGの径方向視で重複するように配置されている。本実施形態では、電機出力ギヤ軸SR2の径方向内側に、係合装置50(噛み合い式係合装置DG)が配置されており、インバータINと、係合装置50(噛み合い式係合装置DG)とが、回転電機MGの径方向視で重複するように配置されている。
【0079】
また、ステータStとカウンタギヤ機構CGとが、カウンタギヤ機構CGの軸方向X視で重複するように配置されており、インバータINとカウンタギヤ機構CGとが、カウンタギヤ機構CGの径方向視で重複するように配置されている。なお、カウンタギヤ機構CGの軸方向、径方向、及び周方向とは、カウンタギヤ機構CGが配置された第三軸心A3についての軸方向、径方向、及び周方向である。
【0080】
この構成によれば、回転電機MGは、カウンタギヤ機構CGと軸方向X視で重複する位置に配置されているので、カウンタギヤ機構CGに対して径方向外側に、回転電機MGが配置されていない空間を確保することができ、当該空間にインバータINを配置することができる。
【0081】
本実施形態では、電機出力ギヤGMoの外径は、ステータStの外径より小さくされており、電機出力ギヤGMoに噛み合うカウンタ入力ギヤGCiは、ステータStと軸方向X視で重複するように配置されている。また、回転電機MGは、カウンタギヤ機構CGに対して、カウンタギヤ機構CGの径方向及び周方向に延びるケースCSの隔壁を隔てて、軸第二方向X2側に配置されており、ステータStとカウンタギヤ機構CGとは、カウンタギヤ機構CGの径方向視で重複しないように配置されている。
インバータINは、全てのカウンタギヤGC(本例では、カウンタ入力ギヤGCi及びカウンタ出力ギヤGCo)と、カウンタギヤ機構CGの径方向視で重複するように配置されている。よって、カウンタギヤ機構CGの大部分の径方向外側の空間を有効利用して、インバータINを配置することができる。
【0082】
図4に示すように、変速装置TMに係る第一軸心A1、回転電機MGに係る第二軸心A2、及び差動歯車機構DFに係る第四軸心A4は、軸方向X視で三角形の頂点に配置されており、カウンタギヤ機構CGに係る第三軸心A3は、三角形の内側に配置されている。それぞれ軸方向Xに延びる円筒状の外形を有する変速装置TM、回転電機MG、及び差動歯車機構DFが、軸方向X視で互いに隣接して三角形状に配置されている。
【0083】
図1及び
図2に示すように、変速装置TMは、カウンタギヤGCに噛み合う変速出力ギヤGToに対して、軸第二方向X2側に遊星歯車機構PLGや摩擦係合装置などを備えており、軸第二方向X2側に延出している。この変速装置TMの軸第二方向X2側の延出部は、回転電機MGと径方向視で重複している。また、変速出力ギヤGToに対して軸第一方向X1側に、変速装置TMの残りの部分及びトルクコンバータTCが配置されており、軸第一方向X1側に延出している。この変速装置TMの軸第一方向X1側の延出部は、差動歯車機構DFと径方向視で重複している。
よって、変速出力ギヤGToに対して軸第一方向X1側及び軸第二方向X2側に、インバータINを配置する空間を確保することが容易でない。
【0084】
差動歯車機構DFは、カウンタギヤGCに噛み合う差動入力ギヤGDiに対して、軸第一方向X1側に延出している。また、差動入力ギヤGDiに対して軸第二方向X2側に、車軸AXが延出している。よって、差動歯車機構DFに対して軸第一方向X1側及び軸第二方向X2側に、インバータINを配置する空間を確保することが容易でない。
【0085】
回転電機MGは、カウンタギヤGCに噛み合う電機出力ギヤGMoに対して軸第二方向X2側に配置されている。よって、上述したように、回転電機MGに対して軸第一方向X1側にインバータINを配置する空間を確保し易い。
【0086】
インバータINは、
図4に示すように、電機出力ギヤGMoに対して、回転電機MGの径方向におけるカウンタギヤ機構CGが配置されている側とは反対側J(以下、インバータ配置径方向Jと称す)に配置されている。
この構成によれば、電機出力ギヤGMoに対して、カウンタギヤ機構CGが配置されている側とは反対側の空間を有効利用して、インバータINを配置することができる。
本実施形態では、インバータINは、
図3に示すように、電機出力ギヤGMo及び電機出力ギヤ軸SR2に対して、回転電機MGの軸方向X及び周方向に延びるケースCSの隔壁を隔てて、インバータ配置径方向Jに配置されている。
【0087】
インバータINは、カウンタギヤGCの第三軸心A3及び電機出力ギヤGMoの第二軸心A2の双方を通る仮想平面VPの両側にわたって配置されている。
本実施形態では、仮想平面VPに対して変速出力ギヤGToが配置されている側に、パワーモジュールPM、制御装置9、及び水路形成部材CBの本体部のそれぞれの大部分(70%以上)が配置され、仮想平面VPに対して差動入力ギヤGDiが配置されている側に、コンデンサCN、並びにパワーモジュールPM、制御装置9、及び水路形成部材CBの残りの部分が配置されている。ここで、水路形成部材CBの本体部は、コンデンサCNを収容しているコンデンサケース部CBcを除く部分である。
【0088】
インバータINは、軸方向X視で電機出力ギヤGMoの周囲を囲むような形状に形成されている。
本実施形態では、インバータINは、軸方向X視でL字状に形成されており、L字を構成する2辺が、電機出力ギヤGMoの周囲を囲むように配置されている。L字の各辺を構成する部材は、電機出力ギヤGMoに対して径方向外側の空間を軸方向Xに延びており、所定の厚さを有する矩形の平板状に形成されている。これにより、電機出力ギヤGMoの周囲の空間の有効利用度を高めて、インバータINを配置することができる。
【0089】
また、本実施形態では、L字の一方側の辺である第一辺を構成する部材18(以下、第一辺部材18と称す)は、パワーモジュールPM、制御装置9、及び水路形成部材CBの本体部により構成されている。L字の他方側の辺である第二辺を構成する部材19(以下、第二辺部材19と称す)は、コンデンサCN及び水路形成部材CBのコンデンサケース部CBcにより構成されている。本例では、第一辺部材18は、仮想平面VPに対して変速出力ギヤGTo側に寄って配置されており、第二辺部材19は、仮想平面VPに対して差動入力ギヤGDi側に寄って配置されている。
【0090】
<インバータINの詳細構成>
ここで、第一辺の延出方向を、第一辺延出方向Yと規定する。第一辺延出方向Yは、第一辺部材18の延在方向であって軸方向Xに直交する方向である。第一辺延出方向Yにおいて、第一辺部材18と第二辺部材19との接続部に向かう方向を、第一辺第一延出方向Y1と規定し、その反対方向である、接続部から離れる方向を、第一辺第二延出方向Y2と規定する。本例では、第一辺延出方向Yは、車載状態で水平方向と平行になる。
また、第二辺の延出方向を、第二辺延出方向Zと規定する。第二辺延出方向Zは、第二辺部材19の延在方向であって軸方向Xに直交する方向である。第二辺延出方向Zにおいて、第一辺部材18と第二辺部材19との接続部に向かう方向を、第二辺第一延出方向Z1と規定し、その反対方向である、接続部から離れる方向を、第二辺第二延出方向Z2と規定する。本例では、第二辺延出方向Zは、車載状態で鉛直方向と平行になる。
【0091】
第一辺部材18は、軸方向X及び第一辺延出方向Yに延びる直方体状に形成されている。第二辺部材19は、軸方向X及び第二辺延出方向Zに延びる直方体状に形成されている。第二辺部材19は、第一辺部材18の第一辺第一延出方向Y1側の端部から第二辺第二延出方向Z2に延びるように形成されている。
【0092】
図6に示すように、第一辺部材18を構成する、水路形成部材CBの本体部、パワーモジュールPM、及び制御装置9のそれぞれは、軸方向X及び第一辺延出方向Yに延びる矩形板状又は直方体状に形成されている。そして、電機出力ギヤGMoに近い側(第二辺第二延出方向Z2側)から、水路形成部材CBの本体部、パワーモジュールPM、制御装置9の順に配置され積層されている。パワーモジュールPMと制御装置9の間にはブラケット20が配置されている。
【0093】
第二辺部材19を構成する、コンデンサケース部CBc及びコンデンサCNのそれぞれは、軸方向X及び第二辺延出方向Zに延びる直方体状に形成されている。コンデンサケース部CBcは、第一辺第一延出方向Y1側に開口しており、当該開口空間内にコンデンサCNが収容されている。
【0094】
水路形成部材CBには、電機出力ギヤGMoから離れる側(第二辺第一延出方向Z1側)に開口した直方体状の空間が形成されており、当該空間が冷却水路CCとされている。冷却水路CCの開口は、パワーモジュールPMに覆われ蓋をされる。なお、パワーモジュールPMは、ボルトにより水路形成部材CBに固定される。
パワーモジュールPMの冷却水路CC側(第二辺第二延出方向Z2側)の面には、
図3に示されているように、冷却フィン8が取り付けられている。冷却フィン8は、冷却水路CC内に配置される。冷却フィン8により、パワーモジュールPMが発生した熱を効率よく冷却水路CC内の冷却水に伝達して冷却することができる。
このように、パワーモジュールPMと電機出力ギヤGMoとの間に、水路形成部材CB(冷却水路CC)が備えられており、変速装置TMなどの動力伝達機構の熱を冷却水路CCで遮断することができ、動力伝達機構の熱がパワーモジュールPMに伝達されることを抑制できる。
【0095】
なお、冷却水路CCに冷却水を供給する供給水路7a、及び冷却水路CCから冷却水を排出する排出水路7bは、水路形成部材CB内に形成されている。供給水路7a及び排出水路7bの一端は、冷却水路CCの底に開口しており、他端は、水路形成部材CBの電機出力ギヤGMo側(第二辺第二延出方向Z2側)に開口しており、他の供給水路及び排出水路に接続される。
【0096】
水路形成部材CBに、コイルCoと複数のスイッチング素子SWとの間を接続する複数のバスバー15が内蔵されている。本実施形態では、三相のコイルCou、Cov、Cowに接続するために、3本のバスバー15u、15v、15wが内蔵されている。各バスバー15u、15v、15wを、コイルCou、Cov、Cow側に接続するための3つの第二中間接続端子17u、17v、17wは、水路形成部材CBの第一辺第二延出方向Y2側の端面から第一辺第二延出方向Y2に延出している。一方、各バスバー15u、15v、15wを、パワーモジュールPMのコイル接続端子12u、12v、12wに接続するための3つの第一中間接続端子16u、16v、16wは、水路形成部材CBの軸第一方向X1側の端部から第二辺第一延出方向Z1に延出している。
【0097】
第二中間接続端子17u、17v、17wは、
図5に示すように、ケースCSに取り付けられたコイル端子台6に、ボルトにより接続される。コイル端子台6は、インバータINと回転電機MGとの軸方向X間に配置された、回転電機MGの径方向及び周方向に延びるケースCSの隔壁を貫通して、インバータINとコイルCoとの間を接続する。なお、
図5では、第三ケース部材CS3における回転電機MGを覆う部分が切り取られている。
【0098】
図6に示すように、制御装置9は、ブラケット20を間に挟んで、ボルトにより水路形成部材CBに固定される。パワーモジュールPMの素子接続端子13a、13b、13c、13d、13e、13fは、制御装置9の端子に接続される。
【0099】
コンデンサCNは、水路形成部材CBのコンデンサケース部CBc内に収容される。コンデンサCNの正極素子接続端子11p及び負極素子接続端子11nは、コンデンサCNの第一辺第一延出方向Y1側の端部から第二辺第一延出方向Z1に延出している。正極素子接続端子11p及び負極素子接続端子11nは、パワーモジュールPMの正極接続端子10p及び負極接続端子10nに、ボルトにより接続される。
コンデンサCNの正極電源接続端子14p及び負極電源接続端子14nは、コンデンサCNの第一辺第一延出方向Y1側の端部から第二辺第一延出方向Z1に延出している。正極電源接続端子14p及び負極電源接続端子14nは、直流電源DCの正極端子及び負極端子(不図示)を間に挟んで、ボルトによりコンデンサケース部CBcに固定される。
【0100】
水路形成部材CBに、冷却プレートCPが内蔵されている。冷却プレートCPは、冷却水路CCに接する部分とコンデンサCNに接する部分とを有する。冷却プレートCPにより、コンデンサCNが発生した熱を冷却水路CC内の冷却水に伝達して、コンデンサCNを冷却することができる。
【0101】
本実施形態では、冷却プレートCPは、熱伝導率の高い金属材料により構成されている。冷却プレートCPは、L字状に形成されたインバータINの形状に合わせて、軸方向X視でL字状に形成されている。冷却プレートCPにおけるL字の各辺を構成する部材は、軸方向Xに延びており、矩形の平板状に形成されている。すなわち、冷却プレートCPの一方側の辺部材は、インバータINの第一辺部材18内に配置され、冷却プレートCPの他方側の辺部材は、インバータINの第二辺部材19内に配置されている。
【0102】
第一辺部材18側の冷却プレートCPの辺部材における第一辺第二延出方向Y2側の部分は、冷却水路CC内に配置されている。第二辺部材19側の冷却プレートCPの辺部材は、コンデンサケース部CBc内に配置されており、直方体状に形成されたコンデンサCNの第一辺第二延出方向Y2側の端面に接する。このように、コンデンサCNと電機出力ギヤGMoとの間に、冷却プレートCPが備えられており、変速装置TMなどの動力伝達機構の熱を冷却プレートCPで遮断して、コンデンサCNに伝達されないようにできる。
よって、インバータINが、L字状に形成されていても、L字状に形成された冷却プレートによりコンデンサCNを適切に冷却することができる。
【0103】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0104】
(1)上記の実施形態においては、変速装置TMは、ラビニヨ型の遊星歯車機構PLGと、6つの係合装置C1、C2、C3、B1、B2、F1と、を備えて構成されている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、変速装置TMは、変速入力軸Iと変速出力ギヤGToとが第一軸心A1上に配置されていればダブルピニオン型の遊星歯車機構など任意の歯車機構が備えられてもよく、また任意の数の歯車機構が備えられてもよく、任意の数の係合装置が備えられてもよい。
【0105】
(2)上記の実施形態においては、1つのカウンタ入力ギヤGCiが設けられている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、変速出力ギヤGToに噛み合う第1のカウンタ入力ギヤGCiと、電機出力ギヤGMoに噛み合う第2のカウンタ入力ギヤGCiとの2つのカウンタ入力ギヤGCiが設けられてもよい。
【0106】
(3)上記の実施形態においては、ロータRoと電機出力ギヤGMoとが、係合装置50により選択的に連結状態又は連結解除状態にされる場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、係合装置50が設けられておらず、ロータ軸SR1と電機出力ギヤ軸SR2とが常時連結されており、ロータRoと電機出力ギヤGMoとが常時連結した状態にされていてもよい。ロータ軸SR1と電機出力ギヤ軸SR2とが一体形成されている場合は、上記の実施形態における電機出力ギヤ軸SR2は、回転電機MGに対して電機出力ギヤGMo側に延出している回転軸の部分であるものとする。
【0107】
(4)上記の実施形態においては、係合装置50が、噛み合い式係合装置DGである場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、係合装置50が、摩擦係合装置の係合又は解放により、ロータ軸SR1と電機出力ギヤ軸SR2とを選択的に連結状態又は連結解除状態にする係合装置であってもよい。
【0108】
(5)上記の実施形態においては、インバータINは、カウンタギヤGCの軸心A3及び電機出力ギヤGMoの軸心A2の双方を通る仮想平面VPの両側にわたって配置されている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、インバータINは、仮想平面VPの片側にだけ配置されてもよい。
【0109】
(6)上記の実施形態においては、インバータINは、軸方向X視でL字状に形成されている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、インバータINは、軸方向X視でL字状以外の形状、例えば、矩形状に形成されてもよい。この場合においても、インバータINは、仮想平面VPの両側にわたって配置されてもよい。
【0110】
(7)上記の実施形態においては、第一辺部材18が、仮想平面VPに対して変速出力ギヤGTo側に寄って配置されており、第二辺部材19は、仮想平面VPに対して差動入力ギヤGDi側に寄って配置されている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一辺部材18が、仮想平面VPに対して差動入力ギヤGDi側に寄って配置されており、第二辺部材19は、仮想平面VPに対して変速出力ギヤGTo側に寄って配置されてもよい。
【0111】
(8)上記の実施形態においては、パワーモジュールPMと電機出力ギヤGMoとの間に、インバータINを冷却するための冷却水路CCを形成する水路形成部材CBが備えられている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、冷却水路CCは、パワーモジュールPMの電機出力ギヤGMo側とは反対側に配置されていてもよい。
【0112】
(9)上記の実施形態においては、冷却プレートCPによりコンデンサCNを冷却するように構成されている場合を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、冷却水路CCがコンデンサCNの配置位置まで延ばされ、コンデンサCNが冷却水路CCにより冷却されるように構成されてもよい。