(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの前記断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が、−30°〜+30°の範囲となる金属顔料の数が、観察される全金属顔料のうち60個数%以上である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
【0009】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」又は「光輝性トナー」ともいう。)は、結着樹脂及び金属顔料を含むトナー母粒子と、外添剤と、を含有する静電荷像現像用トナーであり、前記トナーのベタ画像を形成した場合に、前記画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、前記トナーの平均最大厚さCよりも前記トナーの平均円相当径Dが長く、前記外添剤の全量に対し、粒径200〜300nmかつ円形度が0.8以下の外添剤を7〜30個数%含有することを特徴とする。
なお、本実施形態における「光輝性」とは、トナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
【0010】
金属顔料を着色剤として含むトナーにおいて、十分な光輝性を示す画像を得るためには、記録媒体上に金属顔料を効率よく配置する必要がある。
本発明者らが詳細に検討を行った結果、特許文献3に記載されたトナーにおいては、転写電界を受けて現像されたトナーの一部は一旦立ち上がり(トナーの長軸側が被転写体表面から離れるように配向し)、その後、定着部材から物理的ストレスを受けて、再度、トナーの長軸側が記録媒体表面と相対するようにトナー粒子を並べることが分かってきた。経時でトナー劣化が促進すると、扁平形状のためトナー同士の接触面積が大きく、凝集を促進しやすい。そのため、定着部材ストレスを受けてもトナーが凝集したまま動き、トナーの長軸側が記録媒体表面と相対するようにトナー粒子を配向することができない。
本発明者らは更に鋭意検討した結果、トナーのベタ画像を形成した場合に、前記画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、トナーの平均最大厚さCよりもトナーの平均円相当径Dが長く、更に、外添剤の全量に対し、粒径200〜300nmかつ円形度が0.8以下の外添剤を7〜30個数%含有することで、転写性及び得られる画像の光輝性に優れることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
詳細なメカニズムは不明だが、下記と予測している。
粒径及び形状が上記特定範囲の外添剤を用いることで、トナー劣化(外添剤埋没)が進行した状況でも、トナー粒子の付着力を低減し、転写効率を上げ、トナーが立ち上がった時の配列性をあげる。具体的には、転写電界を受けてトナーが立ち上がった時に、例えば、マイナス帯電トナーの場合には、トナー表面のδ+分極側を被転写体表面から離れるように立ち上がる。本外添剤は大径なためトナー表面から遊離しやすく、マイナス帯電性のため、トナー表面のδ+分極側に偏在しやすい。二次転写電界注入の電界/物理的ストレスはトナー表面のδ+側を押しつけるようにかかり外添剤をトナーに押しつけるようにかかるため、形状効果(異形なので、転がらず、ストレスがかかりやすい)でトナー表面に固定化され、トナー粒子と転写体との付着力が低減する。そのため、トナー粒子が均一に転写されやすい。また、大径外添剤の偏在でトナー粒子の分極が均一に促進されているため、転写工程で電界を受けた時にトナーは均一に立ち上がり、被転写体上にトナーが整列して並びやすいと考えられる。定着部材ストレスを受けた時にトナーの立ち上がっている側をこすりつけるように倒れるが、その部分に外添剤が存在するため、非静電的付着力低減効果でトナー凝集しにくく、トナーの整列を崩さず被転写体上にトナーを並べる(配向させる)ことができると推定している。それにより、経時でも、定着部材ストレスを受けた時にトナー凝集しにくく、転写性に優れるとともに、トナーの長軸側が記録媒体表面と相対するようにトナー粒子を配向することができ、光輝性を発現することができると推定される。
以下、トナーを構成する各成分や物性値について詳述する。
【0012】
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、トナーのベタ画像を形成した場合に、前記画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下である。
比(A/B)が2以上であることは、入射光が入射する側(角度−側)への反射よりも入射する側とは反対側(角度+側)への反射が多いことを表し、すなわち、入射した光の乱反射が抑制されていることを表す。入射した光が様々な方向へ反射する乱反射が生じた場合、その反射光を目視にて確認すると色がくすんで見える。そのため、比(A/B)が2未満である場合、その反射光を視認しても光沢が確認できず光輝性に劣る。比(A/B)が2以上である場合、その反射光を視認すれば光沢が確認されるようになり光輝性に優れる。
一方、比(A/B)が100を超えると、反射光を視認し得る視野角が狭くなり過ぎ、正反射光成分が大きいために見る角度によって黒っぽく見えてしまい、光輝性に劣る。また、比(A/B)が100を超えるトナーは、製造も困難である。比(A/B)が100以下であれば、が反射光を視認し得る視野角が狭すぎないため、角度によって黒っぽく見えてしまう現象が発生しにくい。
上記比(A/B)は、20以上90以下であることが好ましく、40以上80以下であることがより好ましい。
【0013】
・変角光度計による比(A/B)の測定
ここで、まず入射角及び受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°及び+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
【0014】
次いで、比(A/B)の測定方法について説明する。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を形成する。なお、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業(株)製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。なお、反射率A及び反射率Bは、400〜700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
【0015】
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、トナーの平均最大厚さCよりもトナーの平均円相当径Dが長い。
円相当径Mとは、投影面積が最大面となる扁平面において、投影面積をXとしたとき、以下の式で与えられる。
M=(X/π)
1/2
本実施形態の光輝性トナーは、前述の比(A/B)を満たす観点から下記(1)乃至(2)の要件を満たすことが好ましい。
(1)前記トナー粒子の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い。
(2)前記トナー粒子の厚み方向への断面を観察した場合に、トナー粒子の該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の割合が、観察される全金属顔料のうち60%以上である。
ここで、
図2に上記(1)乃至(2)の要件を満たすトナー粒子の一例を概略的に示す断面図を示す。なお、
図2に示す概略図は、トナー粒子の厚み方向への断面図である。
図2に示すトナー粒子2は、厚さLよりも円相当径が長い扁平形状のトナー粒子であり、扁平形状(具体的には鱗片状)の金属顔料4を含有している。
【0016】
・トナー粒子の平均最大厚さC及び平均円相当径D
前記の通り、トナー粒子は扁平形状である。すなわち平均最大厚さCの値が平均円相当径Dの値よりも小さい。
また、トナー粒子における比(C/D)の値は、0.700以下が好ましく、0.001以上0.500以下がより好ましく、0.010以上0.200以下が更に好ましく、0.050以上0.100以下が特に好ましい。比(C/D)が0.001以上であることにより、トナー粒子の強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、顔料がトナー粒子から露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。また、比(C/D)が0.700以下であることにより、0.700よりも大きい場合に比べて高い光輝性が得られやすい。
【0017】
上記平均最大厚さC及び平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1,000個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡「VK−9700」((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
また、平均長軸長及び平均短軸長は、同様にして1,000個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡(VK−9700)((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して長軸長と短軸長を測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0018】
本実施形態では、前記の通り、定着工程において定着部材からの物理的な圧力によって、扁平形状のトナー粒子が、その扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう(平行に近い方向に)並ぶと考えられる。
【0019】
上記(2)に示されるように、本実施形態の静電荷像現像用トナーは、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの前記断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が、−30°〜+30°の範囲となる金属顔料の数が、観察される全金属顔料のうち60個数%以上であることが好ましい。
図1及び
図2に示すトナーTは、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナーであり、鱗片状の顔料粒子MPを含有している。
図2に示すごとく、トナーTが厚さLよりも円相当径が長い扁平状であると、最終的にトナーが転写される記録媒体上において、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。また、画像形成の定着工程においても、定着する際の圧力によって、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。
【0020】
前記に示すとおり、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60個数%以上であることが好ましい。更には、上記数が70個数%以上95個数%以下であることがより好ましく、80個数%以上90個数%以下であることが特に好ましい。
上記の数が60個数%以上であることにより優れた光輝性が得られやすい。
【0021】
ここで、トナー断面の観察方法について説明する。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム((株)日立ハイテクノロジーズ製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5,000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1,000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
【0022】
なお、「トナーの断面における長軸方向」とは、前述の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いトナーにおける厚さ方向と直行する方向を表し、また「顔料粒子の長軸方向」とは、顔料粒子における長さ方向を表す。
【0023】
<金属顔料>
本実施形態のトナーは、結着樹脂及び金属顔料を含むトナー母粒子を含有する。
本実施形態の静電荷像現像用トナーに用いられる金属顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、銀、金、白金などの金属粉末、金属蒸着された薄片状ガラス粉などが挙げられる。上記金属顔料の中でも特に、入手容易でトナー粒子を扁平形状にしやすい等の観点から、アルミニウムが最も好ましい。前記金属顔料の表面は、シリカ粒子、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などで被覆されていても良い。金属顔料の形状は、鱗片状(平板状)又は扁平状であることが好ましく、鱗片状であることがより好ましく、また、金属顔料は、金属顔料の平均最大厚さよりも金属顔料の平均円相当径が長いことが好ましい。
【0024】
金属顔料は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける金属顔料の含有量としては、トナーの全重量100重量部に対して、1重量部以上70重量部以下が好ましく、5重量部以上50重量部以下がより好ましい。
【0025】
<外添剤>
本実施形態のトナーは、トナー母粒子、及び、外添剤を含有するトナーであり、前記外添剤の全量に対し、粒径200〜300nmかつ円形度が0.8以下の外添剤(以下、「特定大径外添剤」ともいう。)を7〜30個数%含有する。
本実施形態のトナーにおける外添剤の粒径及び円形度は、以下の方法により算出する。
走査型電子顕微鏡(SEM)によりトナー粒子表面を40,000倍で観察し、トナーの外縁上の100個の外添剤(粒子)について観察し、観察した外添剤粒子の画像を、画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事(株)製)を用いて解析し、外添剤一次粒子の画像解析によって得られた円相当径・円形度から、粒径・円形度を算出した。
なお、円径度は、以下の式により算出する。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)
1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
【0026】
本実施形態のトナーは、外添剤の全量に対し、特定大径外添剤を7〜30個数%含有することにより、結着樹脂及び金属顔料を含むトナー母粒子と、外添剤とを含有するトナーであり、前記トナーのベタ画像を形成した場合に、前記画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、前記トナーの平均最大厚さCよりも前記トナーの平均円相当径Dが長いトナーを用いても、転写性及び得られる画像の光輝性に優れる。
粒径が上記範囲より大きい場合には二次転写電界の物理的ストレスを受けても、トナー表面に押し込まれ固定されにくい。一方、上記範囲より小さい場合には、トナー表面のδ+分極側に偏在しにくい。円形度が上記範囲より大きい場合には、真球に近づくため、二次転写電界の物理的ストレスを受けても転がってしまうので、トナー表面に固定化されにくい。特定大径外添剤の量が上記範囲より多い場合には、二個転写電界の物理的ストレスを受けても、1粒子あたりの実ストレスが小さくなるためトナー表面に固定化されにくい。一方、上記範囲より少ない場合には、トナー表面に固定化される外添剤の量が少ないため本発明で期待するトナー表面の付着力を下げる効果が得られにくい。特定大径外添剤の粒径は200〜300nmが好ましく、220〜270nmであることが更に好ましい。特定大径外添剤の円形度は0.8以下であることが好ましい。特定大径外添剤の量は7〜30個数%であることが好ましく、15〜25個数%が更に好ましい。
【0027】
外添剤の粒径、形状については、(1)外添剤の材料種、(2)外添剤の製法、(3)外添剤の表面処理、(4)分級・解砕により制御することが可能である。
(3)表面処理において、粒子を凝集させることにより、大粒径化、異形化(非球形化)が可能になり、(4)分級・解砕により、小径化、特定粒径(形状)域の取り出しが可能になる。
外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられ、無機粒子が好ましい。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
中でも、マイナス帯電が強く、粒径・形状を特定班に制御しやすいことから、外添剤として、シリカ粒子を含むことが好ましく、気相シリカであることが好ましい。
【0028】
前記無機粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが好ましい。この疎水化処理により特定大径外添剤のマイナス帯電性を均一に強くすることができるため、本発明の効果を得られやすい。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機粒子を浸漬等することにより行ってもよい。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
【0029】
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0030】
外添剤の数平均一次粒径は、1〜300nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましく、15〜180nmであることが更に好ましい。
また、外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
外添前のトナー母粒子に外添される外添剤の割合は、トナー母粒子100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲が好ましく、0.1〜3.0重量部の範囲がより好ましい。
【0031】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
【0032】
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸とともに、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールとともに、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0034】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上500,000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2,000以上100,000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0035】
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるとよい。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40重量%以上95重量%以下が好ましく、50重量%以上90重量%以下がより好ましく、60重量%以上85重量%以下が更に好ましい。
【0036】
<離型剤>
本実施形態のトナーは、トナー母粒子に離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0037】
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0038】
前記離型剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量%に対して、1〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、3〜15重量%の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0039】
<他の着色剤>
本実施形態のトナーは、必要に応じ、金属顔料以外の着色剤を含有してもよい。
他の着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示できる。
【0040】
また、他の着色剤として、具体的には、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物などを好ましく用いることができる。
【0041】
他の着色剤の使用量は、トナー100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
他の着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分とともに混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
【0042】
<その他の成分>
トナーには、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下が好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し20〜200重量部が好ましく、特に樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部が好ましい。また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)が20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)が50〜200emu/g、残留磁化(σr)が2〜20emu/gのものが好ましい。
【0043】
帯電制御剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物の様な含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む重合体の如き高分子酸、四級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料等が挙げられる。
【0044】
トナーは、粘弾性調整を目的として、無機粉体を含んでもよい。無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙する、通常トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
【0045】
<トナーの態様及び物性>
・トナー粒子の体積平均粒径
トナー粒子の体積平均粒径は1μm以上30μm以下であることが望ましく、より望ましくは10μm以上20μm以下である。なお、本実施形態のトナー粒子のように扁平形状である場合、上記体積平均粒径の値は球相当径の体積平均値を表す。
具体的には、上記体積平均粒径D
50vは、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒子径を体積D
16v、数D
16p、累積50%となる粒子径を体積D
50v、数D
50p、累積84%となる粒子径を体積D
84v、数D
84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D
84v/D
16v)
1/2として算出される。
【0046】
トナー等の粒子の平均粒径測定には、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を用いることができる。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定することができる。測定した粒子の粒径は体積平均粒径で表す。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定することができる。
更に、粒径がナノメーターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0047】
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
(トナーの製造方法)
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、湿式法や乾式法など公知の方法により作製されるが、湿式法で製造することが好ましい。該湿式法としては、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等が挙げられ、中でも、トナー粒子の形状や粒子径を制御しやすく、コア・シェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広いことから、乳化凝集法にて製造することが特に好ましい。
ここで、乳化凝集法とは、トナーに含まれる成分(結着樹脂、着色剤等)を含む分散液(乳化液、金属顔料分散液等)をそれぞれ調製し、これらの分散液を混合して混合液とし、その後凝集粒子を結着樹脂の融解温度又はガラス転移温度以上(結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを両方含有するトナーを製造する場合には、結晶性樹脂の融解温度以上、かつ非結晶性樹脂のガラス転移温度以上)に加熱してトナー成分同士を凝集させるとともに、合一させる方法である。
【0048】
トナーを乳化凝集法によって製造する場合であれば、例えば以下の製造方法によって調製することが好ましい。
【0049】
−乳化工程−
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作製、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機によりせん断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質とともに粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水であることが好ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0050】
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が好ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより好ましく、150nm以上250nm以下が更に好ましい。60nm以上では、樹脂粒子が分散液中で不安定な粒子となりやすいため、該樹脂粒子の凝集が容易となる場合がある。また、1.0μm以下であると、トナーの粒子径分布が狭くなる場合がある。
【0051】
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱するとともに、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。この処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。好ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が好ましい。
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より好ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が良好となる。
【0052】
金属顔料分散液の調製は、公知の分散方法が利用され、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段が採用され、何ら制限されるものではない。金属顔料は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散される。分散させた金属顔料の体積平均粒子径は20μm以下であればよいが、3μm以上16μm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく且つトナー中の金属顔料の分散が良好で望ましい。
また、金属顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合し、転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、結着樹脂で被覆された金属顔料の分散液を調製してもよい。
【0053】
−凝集工程−
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、金属顔料分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。前記撹拌条件により比(C/D)が好ましい範囲になりやすくなる。より具体的には凝集粒子を形成する段階で撹拌を高速に、かつ加熱することによって比(C/D)が小さくなり、撹拌をより低速に、かつより低温で加熱することによって比(C/D)が大きくなる。なおpHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
また、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加してもよい。
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合型の無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製しても良い。この場合、離型剤や金属顔料がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0054】
−融合工程−
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
そして、本実施形態のトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0055】
トナー母粒子の表面に外添剤する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
【0056】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
【0057】
キャリアは、公知のキャリアであれば特に制限されるものではなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェライトキャリア等が使用される。また、それぞれの表面添加粉末は所望の表面処理を施して用いてもよい。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、20〜200μmであることが好ましい。
【0058】
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、更に、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.5重量部の範囲がより好ましい。
【0059】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどが使用され、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどが使用される。
【0060】
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
【0061】
(画像形成方法)
本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態の静電荷像現像用トナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を有するもので、前記トナーとして、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いる。また、転写工程は、像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであるほうが本発明の効果が発揮されやすい。
また、転写後の前記像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を更に有していてもよい。
【0062】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0063】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0064】
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成装置である。本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナーであることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段や除電手段等を含んでいてもよい。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0065】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられる。
【0066】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像用現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図3は、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用された現像装置を含む本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態に係る画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体20を有し、この感光体20の周囲には、感光体20(像保持体の一例)を帯電する帯電装置21(帯電手段の一例)と、この感光体20上に静電荷像Zを形成する静電荷像形成装置としての例えば露光装置22(静電荷像形成手段の一例)と、感光体20上に形成された静電荷像Zを可視像化する現像装置30(現像手段の一例)と、感光体20上で可視像化されたトナー画像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24(転写手段の一例)と、感光体20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25(クリーニング手段の一例)と、を順次配設したものである。
本実施形態において、現像装置30は、
図3に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像容器31を有し、この現像容器31には感光体20に対向して現像用開口32を開設するとともに、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体20と現像ロール33とに挟まれる領域(現像領域)に現像電界を形成する。更に、現像容器31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が望ましい。
次に、実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体20上に静電荷像Zを書き込み、現像装置30が前記静電荷像Zをトナー画像として可視像化する。しかる後、感光体20上のトナー画像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体20上のトナー画像を静電的に転写する。なお、感光体20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、定着装置36(定着手段の一例)によって記録紙28上のトナー画像が定着され、画像が得られる。
【0067】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図4に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図4中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0068】
なお、
図3に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態について更に詳述するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下に実施例において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
【0070】
(測定方法)
トナーにおける比(A/B)、比(C/D)、体積平均粒径、特定大径外添剤の含有量、及び、それに伴う外添剤の粒径及び円径度の測定は、前述の方法によりそれぞれ測定した。
【0071】
〔外添剤1の作製〕
加熱気化させたオクタメチルシクロテトラシロキサンをホッパーから酸素及び窒素の気流中に供給し、燃焼室中でバーナーを用い4,000℃の酸水素火炎中で燃焼酸化させることによりシリカ粒子を溶融し、シリカ粒子を製造した。なお、ガスの供給割合としてはオクタメチルシクロテトラシロキサン:水素:酸素:窒素=1:25:40:75(mol比)、酸水素火炎中の生成シリカ濃度は0.10kg/Nm
3に制御した。
得られたシリカ粒子10部を窒素雰囲気下、チョッパー解砕を併用して撹拌しながらトルエン300部、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)1部に加え、超音波をかけ30分間室温(25℃)で撹拌した後溶剤除去し120℃で1時間加熱乾燥を行いファインミルで解砕分級し冷却した。その後更にアミノ変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF393)5重量部に加え、超音波をかけ30分間室温で撹拌した後溶剤除去し120℃で1時間加熱乾燥した後、ファインミルで解砕分級し冷却することで表1に記載の粒度形状分布に調整したシリカ粒子を得た。
【0072】
〔外添剤2の作製〕
酸水素火炎中の生成シリカ濃度を0.22kg/Nm
3に制御した以外は、外添剤1と同様にして、外添剤2を得た。
【0073】
〔外添剤3の作製〕
酸水素火炎中の生成シリカ濃度を0.06kg/Nm
3に制御した以外は、外添剤1と同様にして、外添剤3を得た。
【0074】
〔外添剤4の作製〕
燃焼室中で4,700℃に加熱した以外は、外添剤1と同様にして、外添剤4を得た。
【0075】
〔外添剤5の作製〕
テイカ社製JR−405(ルチル型TiO
2)を用いた以外は、外添剤1と同様に表面処理を行い、外添剤5を得た。
【0076】
〔外添剤6の作製〕
金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、及び、温度計を有した容積3Lのガラス製反応容器にメタノール300重量部、10%アンモニア水49.8重量部を入れ、撹拌混合して、アルカリ触媒溶液を得た。次に、アルカリ触媒溶液の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)450重量部と、触媒(NH
3)濃度が4.44%のアンモニア水270重量部とを、下記供給量で、同時に滴下を行いシリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液)を得た。
ここで、テトラメトキシシランの供給量は、7.08重量部/min、4.44%アンモニア水の供給量は、4.25重量部/minとした。得られたシリカ粒子懸濁液の粒子を、既述の粒度測定装置で測定したところ体積平均粒子径(D
50v)は75nmであった。次に、得られた親水性シリカ粒子の懸濁液(親水性シリカ粒子分散液)を、スプレードライにより乾燥して、溶媒を除去し、親水性シリカ粒子の粉末を得た。このシリカ粉末を用いた以外は、外添剤1と同様にして、外添剤6を得た。
【0077】
〔外添剤7の作製〕
酸化ケイ素粉末S0−E5(アドマファイン社製)を用いた以外は、外添剤1と同様にして、外添剤7を得た。
【0078】
〔外添剤8の作製〕
酸化ケイ素粉末OX50(日本アエロジル(株)製)を用いた以外は、外添剤1と同様にして、外添剤8を得た。
【0079】
〔外添剤9の作製〕
窒素雰囲気下、反応容器にメタノール160部、テトラtert−ブチルシラン10部、蒸留水6部を入れ、260rpmで撹拌を行っているところに、20%塩酸20部を30分間で滴下した。23℃で8時間撹拌を行った後、液量が半分になるまでエバポレーターを用いて濃縮した。そこにtert−ブチルアルコールを10部、蒸留水300部を加え、遠心沈降機により生成物を沈殿させた。上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水300部を加え同様に遠心沈降機により分離を行なった。これを数度繰り返した後、沈殿物を凍結乾燥機で2日間凍結乾燥させることにより、白色粉末を得た。この白色粉末を用いた以外は、外添剤1と同様にして、外添剤9を得た。
【0080】
〔トナー粒子(1)の作製〕
<結着樹脂の合成>
・ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テレフタル酸:200部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し8時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で2時間保持することにより結着樹脂を合成した。
【0081】
<樹脂粒子分散液の調製>
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分をセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。
【0082】
<離型剤分散液の調製>
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒子径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0083】
<光輝性顔料粒子分散液の調製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
アルミニウム顔料のペーストから溶剤を除去した後、以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、光輝性顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料粒子分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
【0084】
<トナー粒子の作製>
・樹脂粒子分散液:450部
・離型剤分散液:50部
・光輝性顔料粒子分散液:21.74部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、及び、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2以上3.5以下の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間保持し、凝集粒子を形成した。この際、マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は10.4μmであった。
次に、樹脂粒子分散液:100部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。更に56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子(1)を得た。
【0085】
〔トナー粒子(2)の作製〕
凝集粒子の成長を促進させる工程の撹拌回転数を810rpmから600rpmに変更し、凝集粒子を融合させる工程の温度を67.5℃から74℃に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(2)を作製した。
【0086】
〔トナー粒子(3)の作製〕
凝集粒子の成長を促進させる工程の撹拌回転数を810rpmから520rpmに変更し、凝集粒子を融合させる工程の温度を67.5℃から80℃に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(3)を作製した。
【0087】
<トナーの作製>
表1に記載のトナー粒子100部に対して表1に記載の外添剤を添加して、ヘンシェルミキサーを用いて周速22m/sで3分間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、実施例、比較例に使用するトナーを調製した。
【0088】
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒径:35μm):100部
・トルエン:14部
・ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量:75,000):1.6部
上記材料を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
【0089】
<現像剤の作製>
前記トナー:36部と前記キャリア:414部とを、Vブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤を作製した。
【0090】
〔評価試験〕
<光輝性評価>
以下の方法によりベタ画像を形成した。
試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600改造機の現像器に充填し、高温低湿(35℃80RH%)環境下で一晩シーズニングした後に、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度160℃、定着圧力4.0kg/cm
2にて、トナー載り量が4.0g/cm
2の5cm×5cmのベタ画像を50,000枚連続で形成した。
この10枚目、50,000枚目のベタ画像について、前述の方法により比(A/B)を測定した。10枚目のベタ画像における比(A/B)の値が「初期の比(A/B)」であり、50,000枚目のベタ画像における比(A/B)の値が「物理的付加付与後の比(A/B)」である。結果を表1に併記する。
【0091】
<転写性評価>
転写性の評価は、転写工程終了時に強制的に停止を行い、2ヶ所の中間転写体上のトナー重量を上記同様テープ上に転写し、トナー付着テープ重量を測定し、テープ重量を差し引いた後に平均化することにより転写トナー量aを求め、同様に感光体上に残ったトナー量bを求め、次式により転写効率を求めた。
転写効率η(%)=a×100/(a+b)
そして次のように判定を行った。
◎:η≧99%
○:95%≦η<99%
△:75%≦η<95%
×:η<75%
【0092】
【表1】
【0093】
実施例1と比較して、実施例4では、特定大径外添剤の粒度分布がやや大径側になり、物理的ストレスを受けても、トナー表面に固定化されにくく、やや効果に劣る。
実施例5では、特定大径外添剤の粒度分布がやや小径側になり、現像器中のストレスで埋没しやすく、トナー表面を移動してδ+分極面に固定化される外添剤量が減り、やや効果に劣る。
実施例6では特定大径外添剤の形状がやや球側に近づくため、物理的ストレスを受けても転がりトナー表面に固定化されにくく、やや効果に劣る。
実施例7では、特定大径外添剤の量が多くなるため、物理的ストレスを受けた時に1粒子あたりにかかる実効ストレスが小さくなり、トナー表面に固定化されにくく、やや効果に劣る。
実施例8では、特定大径外添剤の量が少なくなるため、トナー表面に固定化される外添剤量が減り、やや効果に劣る。
実施例9及び10では、外添剤1に比べ外添剤5及び6はマイナス帯電性が弱く、やや効果に劣る。