【文献】
Journal of the American Oil Chemists' Society,1977年,Vol.54, No.12,p.585-586
【文献】
Int. J. Biol. Macromol.,1983年,Vol.5,p.289-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アシルジペプチド誘導体またはその塩(成分A)と、アシルプロリンまたはその塩(成分B)の配合比(成分Aの重量/成分Bの重量)が、100/1〜1/1000の範囲内である請求項3又は4に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中、特に言及しない限り、「炭化水素基」としては、アルキル基、シクロアルキル基等の飽和炭化水素基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等の不飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0016】
本明細書中、特に言及しない限り、「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソイコシル基、イソエイコシル基、イソヘンイコシル基、イソヘンエイコシル基、イソドコシル基、イソトリコシル基、イソテトラコシル基、イソペンタコシル基等の炭素数1〜25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
【0017】
本明細書中、特に言及しない限り、「シクロアルキル基」としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基、又はノルボルニル等の架橋シクロアルキル基が挙げられる。
【0018】
本明細書中、特に言及しない限り、「アルケニル基」としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、へキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基等の炭素数2〜25の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられる。
【0019】
本明細書中、特に言及しない限り、「アルキニル基」としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、へキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基、ヘンイコシニル基、ドコシニル基、トリコシニル基、テトラコシニル基、ペンタコシニル基等の炭素数2〜25の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が挙げられる。
【0020】
本明細書中、特に言及しない限り、「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
【0021】
本明細書中、特に言及しない限り、「アラルキル基」としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル、ベンズヒドリル、トリチル基等の炭素数7〜21のアラルキル基が挙げられる。
【0022】
本発明のアシルジペプチド誘導体(成分A)は、式(1)で表される。
【0024】
式中、R
1−CO−で表されるアシル基は炭素原子数2〜24の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であり、例としては、アセチル基、プロパノイル基(プロピオニル基)、ブタノイル基(ブチリル基)、イソブタノイル基(イソブチリル基)、ペンタノイル基(バレリル基)、イソペンタノイル基(イソバレリル基)、sec−ペンタノイル基(2-メチルブチリル基)、tert−ペンタノイル基(ピバロイル基)、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、tert−オクタノイル基(2,2−ジメチルヘキサノイル基)、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、ウンデシレノイル基およびオレオイル基等が挙げられる。R
1−CO−で表される長鎖アシル基は、単一組成の脂肪酸より誘導されるアシル基であることが好ましいが、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。R
1−CO−で表されるアシル基は、炭素原子数4〜18の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であることが好ましく、炭素原子数6〜14の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であることがより好ましく、炭素原子数10〜12の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であることがさらに好ましく、デカノイル基がさらに好ましい。なお、不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基よりも、飽和脂肪酸より誘導されるアシル基のほうが好ましい。
【0025】
すなわち、R
1は、炭素原子数1〜23の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素基を示す。炭素原子数は、好ましくは3〜17、より好ましくは5〜13、さらに好ましくは9〜11、最も好ましくは9である。炭化水素基は、好ましくはアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソイコシル基、イソエイコシル基、イソヘンイコシル基、イソヘンエイコシル基、イソドコシル基、イソトリコシル基等の炭素原子数1〜23の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
【0026】
式中、R
2およびR
3はそれぞれ独立に水素原子、OH基またはOR
5基を示し、ここでR
5は炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素基を示す。炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、および2−エチルブチル基等の炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。使用感および抗菌性(防腐性)の観点より、R
2およびR
3はそれぞれ独立に水素原子またはOH基が望ましく、水素原子がさらに望ましい。
【0027】
式中、R
4は水素原子、または炭素原子数1〜6の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を示す。炭素原子数1〜6の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、および2−エチルブチル基等の炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。使用感および抗菌性(防腐性)の観点より、R
4は水素原子またはエチル基が望ましく、水素原子がさらに望ましい。
【0028】
式(1)で表されるアシルジペプチド誘導体を構成する二つのプロリン骨格は、それぞれ独立してL体でも、D体でも、又その混合物でもよいが、好ましくは両方ともL体である。
【0029】
式(1)のアシルジペプチド誘導体の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルカノールアミン塩(エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等のアンモニウム塩;およびトリエチルアミン塩、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性有機物塩等が挙げられる。これらのうち、使用感(例えばしっとり感)の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩またはカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0030】
本発明のアシルジペプチド誘導体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、プロリルプロリン等のジペプチドの水酸化ナトリウム等の塩基性水溶液に、R
1-COClで表される脂肪酸クロライドと水酸化ナトリウム等の塩基性水溶液を同時滴下することによるショッテンバウマン法により調製することができる。また、アシルアミノ酸とアミノ酸エステルを通常汎用される縮合剤等で反応させた後に必要に応じて常法により加水分解することにより合成することもできる。
【0031】
本発明の組成物の第1の態様は、式(1)で表されるアシルジペプチド誘導体またはその塩を含有することを特徴とする。
本発明のアシルジペプチド誘導体またはその塩は、優れた使用感(塗布時のみずみずしさ、肌へのなじみ、しっとり感など)および各種細菌類(アクネ菌(Propionibacterium acnes)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)など)、各種真菌類(白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)、カンジダ菌(Candida albicans)、黒カビ菌(Aspergillus niger)、アオカビ菌(Penicillum funiculosum)など)等に対する優れた抗菌性を有し、各種組成物に好適に配合することができる。なお、使用感は官能テストにより評価することができる。
本発明の第1態様の組成物としては、例えば、化粧料および医薬品(医薬部外品を含む)等が挙げられる。本発明のアシルジペプチド誘導体またはその塩をアミノ酸と植物由来の脂肪酸から得る場合には、植物由来の原料として使用することができる。本発明の第1態様の組成物の形態には特に制限はなく、液状、乳化状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態をとることができる。乳化状であることが好ましい。
【0032】
本発明の第1態様の組成物におけるアシルジペプチド誘導体またはその塩の配合量は、共存する成分によって異なるが、組成物の全重量に対して0.01重量%〜40重量%が好ましい。下限値は、0.05重量%がより好ましく、0.08重量%がより好ましく、0.1重量%がより好ましい。一方組成物の感触の観点から、上限値は、35重量%がより好ましく、30重量%がより好ましく、20重量%がより好ましく、15重量%がより好ましく、10重量%が更に好ましく、5重量%が更に一層好ましい。
【0033】
本発明の組成物の第2の態様は、式(1)で表されるアシルジペプチド誘導体またはその塩及び式(2)で表されるアシルプロリンまたはその塩を含有することを特徴とする。
本発明のアシルジペプチド誘導体またはその塩を含む組成物は、使用感および抗菌性に優れた組成物であるが、アシルプロリン(成分B)と組み合わせることにより、さらに使用感および抗菌性に優れた組成物を提供することができる。
【0034】
本発明の、アシルプロリン(成分B)は、式(2)で表される。
【0036】
式中、R
6−CO−で表されるアシル基は炭素原子数3〜24の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であり、例としては、プロパノイル基(プロピオニル基)、ブタノイル基(ブチリル基)、イソブタノイル基(イソブチリル基)、ペンタノイル基(バレリル基)、イソペンタノイル基(イソバレリル基)、sec−ペンタノイル基(2-メチルブチリル基)、tert−ペンタノイル基(ピバロイル基)、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、tert−オクタノイル基(2,2−ジメチルヘキサノイル基)、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、ウンデシレノイル基およびオレオイル基等が挙げられる。R
6−CO−で表される長鎖アシル基は、単一組成の脂肪酸より誘導されるアシル基であることが好ましいが、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。R
6−CO−で表されるアシル基は、炭素原子数4〜18の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であることが好ましく、炭素原子数6〜14の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であることがより好ましく、炭素原子数10〜12の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であることがさらに好ましく、デカノイル基がさらに好ましい。なお、不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基よりも、飽和脂肪酸より誘導されるアシル基のほうが好ましい。
【0037】
すなわち、R
6は、炭素原子数2〜23の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素基を示す。炭素原子数は、好ましくは3〜17、より好ましくは5〜13、さらに好ましくは9〜11、最も好ましくは9である。炭化水素基は、好ましくはアルキル基であり、具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソイコシル基、イソエイコシル基、イソヘンイコシル基、イソヘンエイコシル基、イソドコシル基、イソトリコシル基等の炭素原子数2〜23の飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
【0038】
式(2)のアシルプロリンの塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルカノールアミン塩(エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等のアンモニウム塩;およびトリエチルアミン塩、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性有機物塩等が挙げられる。これらのうち、しっとり感の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0039】
本発明のアシルプロリンの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を組み合わせて容易に製造することができる。具体的には、プロリンとR
6-COClで表される酸クロライドによるショッテンバウマン法により調製することができる。その際には、例えば、プロリンの水酸化ナトリウム等の塩基水溶液に酸クロライドと水酸化ナトリウム等の塩基水溶液を同時滴下する。当該プロリンは、L体でも、D体でも、又その混合物でもよいが、好ましくはL体である。
【0040】
本発明の第2態様の組成物は、優れた使用感および抗菌性を有するため、それ自体を化粧料または医薬品(医薬部外品を含む)とすることができほか、化粧料または医薬品(医薬部外品を含む)に配合することができる。本発明の第2態様の組成物に含まれるアシルプロリンもアミノ酸と植物由来の脂肪酸から得る場合には、植物由来の原料として使用することができる。本発明の第2態様の組成物の形態には特に制限はなく、液状、乳化状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態をとることができる。乳化状であることが好ましい。
【0041】
本発明の第2態様の組成物におけるアシルジペプチド誘導体またはその塩の配合量は、共存する成分によって異なるが、組成物の全重量に対して0.01重量%〜40重量%が好ましい。下限値は、0.05重量%がより好ましく、0.08重量%がより好ましく、0.1重量%がより好ましい。一方組成物の感触の観点から、上限値は、35重量%がより好ましく、30重量%がより好ましく、20重量%がより好ましく、15重量%がより好ましく、10重量%が更に好ましく、5重量%が更に一層好ましい。
【0042】
本発明の第2態様の組成物におけるアシルプロリンまたはその塩の配合量は、組成物の全重量に対して0.001重量%〜60重量%が好ましい。下限値は、0.01重量%がより好ましく、0.05重量%がより好ましく、0.1重量%が好ましい。一方組成物の感触の観点から、上限値は、50重量%がより好ましく、40重量%がより好ましく、30重量%がより好ましく、20重量%がより好ましく、10重量%が更に好ましく、5重量%が更に一層好ましい。
【0043】
本発明の第2態様の組成物におけるアシルジペプチド誘導体(成分A)とアシルプロリン(成分B)の配合比、すなわち、成分Aの重量/成分Bの重量は、特に制限はないが100/1〜1/1000の範囲内であることが好ましい。上限は、50/1以下がより好ましく、10/1以下がより好ましく、1/1以下がより好ましく、1/10以下がより好ましい。下限は、1/500以上がより好ましく、1/250以上がより好ましい。
【0044】
本発明において、さらに使用感を改善するために、組成物(第1態様及び第2態様を含む。以下、同様)にポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステル(成分C)を添加することができる。
【0045】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの例としては、カプリル酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ジラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、テトラステアリン酸ポリグリセリル、ペンタステアリン酸ポリグリセリル、デカステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル、トリオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
【0046】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、組成物の全重量に対して0.001重量%〜60重量%が好ましい。下限値は、0.01重量%がより好ましく、0.05重量%がより好ましい。一方組成物の感触の観点から、上限値は、50重量%がより好ましく、40重量%がより好ましく、30重量%がより好ましく、20重量%がより好ましく、10重量%が更に好ましく、5重量%が更に一層好ましい。
【0047】
ショ糖脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ヘキサパルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、ヘキサエルカ酸スクロース、ペンタエルカ酸スクロース等が挙げられる。
【0048】
本発明のショ糖脂肪酸エステルの配合量は、組成物の全重量に対して0.001重量%〜60重量%が好ましい。下限値は、0.01重量%がより好ましく、0.05重量%がより好ましい。一方組成物の感触の観点から、上限値は、50重量%がより好ましく、40重量%がより好ましく、30重量%がより好ましく、20重量%がより好ましく、10重量%が更に好ましく、5重量%が更に一層好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、優れた使用感および抗菌性を有するため、それ自体を化粧料または医薬品(医薬部外品を含む)とすることができるほか、化粧料または医薬品(医薬部外品を含む)に、当該技術分野で使用し得る担体、賦形剤、希釈剤と共に配合することができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルも植物由来の脂肪酸を使用した場合には植物由来の原料として使用することができる。
【0050】
本明細書において、化粧料としては、例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック、マスク、等の皮膚化粧料、白粉、ファンデーション、口紅、チーク、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨等のメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント等の毛髪用化粧料が挙げられる。
【0051】
化粧料には、通常化粧料に添加してもよい成分を本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。具体的には、油剤、キレート剤、界面活性剤、粉体、アミノ酸類、多価アルコール、ポリアミノ酸およびその塩、水溶性高分子、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、低級アルコール、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、制汗剤、顔料、色素、酸化染料、有機および無機粉体、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0052】
油剤としては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸;グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、安息香酸アルキルエステル等のエステル類;流動パラフィン、ポリイソブテン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ;ミンク油、カカオ油、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂;エチレン・α―オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。
【0053】
特にシリコーン油の例としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体およびポリ(オキシエチレン、オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等のエーテル変性シリコーン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ステアロキシトリメチルシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルシクロポリシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、シラノール変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサンパーフルオロポリエーテル、ポリ酢酸ビニルジメチルポリシロキサン、およびそれらの混合物から選択されるシリコーン油が挙げられる。
【0054】
キレート剤としては、特に制限はないが、好ましくはトリエチレンテトラミン、2−テノイルトリフルオロアセトン、チオグリコール酸、酒石酸、コハク酸、8−キノリノール、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン、1,10−テナントロリン、乳酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸、グリシン、2,2’−ピリジルエチレンジアミン、オーリントリカルボン酸、キシレノールオレンジ、5−スルホサリチル酸、サリチル酸、ピロカテコール−3,5−ジスルホネート、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸、クエン酸、オキサレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、アセチルアセトンとそれらの塩から選択されるキレート化剤およびそれらの混合物等が挙げられる。
【0055】
界面活性剤としては、例えば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩やN−長鎖アシル中性アミノ酸塩等のN−長鎖アシルアミノ酸塩、N−長鎖脂肪酸アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルサルフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩および弱塩基塩、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、アルキルエーテルカルボン酸等のアニオン界面活性剤;グリセリンエーテルアルキレンオキシド付加物等のエーテル型界面活性剤、グリセリンエステルおよびアルキレンオキシド付加物等のエステル型界面活性剤、ソルビタンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物等のエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステルおよびそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミド等の含窒素型の非イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド等の脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩等の芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステル、等のカチオン界面活性剤;並びにカルボキシベタイン等のベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
粉体としては、例えば、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ等の樹脂粉体、ナイロンパウダー、金属脂肪酸石鹸、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、カーボンブラック、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、雲母チタン、窒化ホウ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭化珪素、色素、レーキ、セリサイト、マイカ、タルク、カオリン、板状硫酸バリウム、バタフライ状硫酸バリウム、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、アシルリジン、アシルグルタミン酸、アシルアルギニン、アシルグリシン等のアシルアミノ酸等が挙げられ、更にシリコーン処理、フッ素化合物処理、シランカップリング剤処理、シラン処理有機チタネート処理、アシル化リジン処理、脂肪酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、アミノ酸処理等の表面処理が施してあっても構わない。
【0057】
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、バリン等が挙げられる。
【0058】
多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。
【0059】
ポリアミノ酸およびその塩としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。
【0060】
水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール、アラビアゴム類、アルギン酸塩、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、キチン、キトサン、水溶性キチン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、ポリビニルピロリドン誘導体四級アンモニウム、カチオン化プロテイン、コラーゲン分解物およびその誘導体、アシル化タンパク、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0061】
糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物としては、マンニトール等が挙げられる。
【0062】
低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
<合成例1 デカノイルプロリルプロリンの合成>
デカノイルプロリン16.31gとプロリンメチルエステル塩酸塩10.00gをテトラヒドロフラン60mLに溶解後、トリエチルアミン6.10g、EDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)12.72g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール10.16gを加え終夜反応させた。反応液を濃縮後、酢酸エチルを加え、水、1M塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで水分を除去した。有機層をろ過して硫酸マグネシウムを除去し、減圧乾燥を行って、デカノイルプロリルプロリンメチルエステル20.14gを得た。このうち17.98gを用い、メタノール100gに溶解後、4M水酸化ナトリウム水溶液11.81gを加え終夜反応させた。硫酸で中和後、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで水分を除去した。有機層をろ過して硫酸マグネシウムを除去し、減圧乾燥を行って、デカノイルプロリルプロリンを16.41g得た。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD, r.t.): δ 4.68 (1H, dd, J = 3.8, 8.4 Hz), 4.48 (1H, dd, J = 4.1, 9.1 Hz), 3.84 (1H, m), 3.70-3.50 (3H, m), 2.38 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.33-2.22 (2H, m), 2.13-1.98 (6H, m), 1.61 (2H, m), 1.32 (12H, m), 0.92 (3H, t, J = 7.0 Hz)
ESI−MS(negative):m/z 365 [M-H]
-【0065】
<合成例2 デカノイルヒドロキシプロリルプロリンの合成>
デカノイルヒドロキシプロリン13.79gとプロリンメチルエステル塩酸塩8.41gをテトラヒドロフラン60mLに溶解後、トリエチルアミン5.38g、1−ヒドロキシベンズトリアゾール7.77g、EDCI(1−エチル―3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)9.73gを加え、終夜反応させた。反応液を濃縮後、酢酸エチルを加え、水、1M塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで水分を除去した。有機層をろ過して硫酸マグネシウムを除去し、減圧乾燥を行って、デカノイルヒドロキシプロリルプロリンメチルエステル16.56gを得た。
得られたデカノイルヒドロキシプロリルプロリンメチルエステル1.00gをメタノール5.00gおよび水1.00gの混合物に溶解後、4M水酸化ナトリウム水溶液0.76mLを加え、室温で6時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層をろ過して硫酸マグネシウムを除去した。有機層を濃縮し、0.85gのデカノイルヒドロキシプロリルプロリンを得た。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD, r.t.): δ 4.78 (1H, t, J = 7.8 Hz), 4.54-4.47 (2H, m), 3.88 (1H, m), 3.77-3.64 (2H, m), 3.56 (1H, m), 2.38-2.24 (4H, m), 2.12-2.00 (4H, m), 1.62 (2H, m), 1.31 (12H, m), 0.92 (3H, t, J = 6.7 Hz)
ESI−MS(negative): m/z 381 [M-H]
-【0066】
<抗菌性評価>
合成例1の化合物について、アクネ菌(P. acens)および白癬菌(T.mentagrophytes)に対する最小発育阻止濃度(MIC)試験を行った。試験方法を以下に示す。
(1)試験菌液の調製
アクネ菌:GAM寒天培地で35℃、48時間嫌気培養した。このうち一部をGAMブイヨン培地に移植し、35℃、24時間嫌気培養した。培養液をGAMブイヨン培地で希釈し、約10
6個/mLに調製したものを試験菌液とした。
白癬菌:試験菌を、サブロー・ブドウ糖寒天培地で25℃、7〜14日間培養したのち、白金耳で胞子及び菌糸をかきとってポリソルベート80 0.05%加滅菌生理食塩水に懸濁させ、ホモジナイザーで粉砕した。この液を四つ折りにした滅菌ガーゼで濾過した後、ポリソルベート80 0.05%加滅菌生理食塩水で希釈し、約10
6個/mLに調製したものを試験菌液とした。
(2)抗菌剤希釈液の調製
検体を滅菌精製水で希釈し、100000〜1000μg(活性成分)/mLの希釈系列を調製した。
(3)抗菌剤添加寒天培地の調製
寒天培地を9.0mLずつ試験管に分注し、オートクレーブ滅菌後、溶融した状態で50℃に保温した。これに(2)項で調製した検体の希釈液1mLを添加した。添加後、ボルテックスでよく混和したのち、直径60mmのシャーレに注いで平板に固めた。使用する寒天培地は、アクネ菌ではGAM寒天培地(35℃、48時間嫌気培養)、白癬菌ではサブロー・ブドウ糖寒天培地(25℃、7日間)を用いた。
(4)接種と培養
(1)項で調製した試験菌液をディスポループ(直径1mm)で採取し、抗菌剤添加寒天培地上に約1cmの長さに画線したのち、それぞれ(3)に記載の温度、時間で培養した。
(5)判定
試験菌の生育が完全に阻止される抗菌剤の最小濃度(MIC)を求めた。
その結果、アクネ菌に対する最小発育阻止濃度は、2000-3000ppm、白癬菌に対する最小発育阻止濃度は1000-1500ppmであった。本発明のアシルジペプチド誘導体は、優れた抗菌効果を有することが分かった。
【0067】
<使用感評価>
表1に示す配合量でクリームを調製し、下記の評価を行った。クリームは、Iの成分およびIIの成分をそれぞれ85℃で加熱溶解後、IIをIに少しずつ加えていき、室温まで冷却後IIIを添加することで調製した。
【0068】
[評価1:塗布時のみずみずしさ]
調製した組成物の塗布時のみずみずしさについて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
4点:塗布時に非常にみずみずしさが感じられる
3点:塗布時にみずみずしさが感じられる
2点:塗布時にかすかにみずみずしさが感じられる
1点:塗布時にみずみずしさがあまり感じられない
0点:塗布時にみずみずしさがまったく感じられない
専門パネラーの平均点が3.5点以上を◎、2.5点以上3.5点未満を○、1.5点以上2.5点未満を△、1.5点未満を×とした。
【0069】
[評価2:肌へのなじみ]
調製した組成物の肌へのなじみについて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
4点:塗布時のなじみが非常に良い
3点:塗布時のなじみが良い
2点:塗布時のなじみが普通
1点:塗布時のなじみが少し悪い
0点:塗布時のなじみが悪い
専門パネラーの平均点が3.5点以上を◎、2.5点以上3.5点未満を○、1.5点以上2.5点未満を△、1.5点未満を×とした。
【0070】
[評価3:しっとり感]
調製した組成物のしっとり感について、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
4点:塗布時のしっとり感が非常に良い
3点:塗布時のしっとり感が良い
2点:塗布時のしっとり感が普通
1点:塗布時のしっとり感が少し悪い
0点:塗布時のしっとり感が悪い
専門パネラーの平均点が3.5点以上を◎、2.5点以上3.5点未満を○、1.5点以上2.5点未満を△、1.5点未満を×とした。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から明らかなように、本発明のアシルジペプチド誘導体(成分A)を加えた処方(例えば、実施例1)は添加していない処方(比較例1)と比較し、塗布時のみずみずしさ、肌へのなじみ、しっとり感に優れていた。また、本発明のアシルジペプチド誘導体(成分A)と特定のアシルプロリン(成分B)を併用した組成物(実施例3)は、肌へのなじみ、しっとり感がさらに優れることがわかった。
【0073】
<製剤例1:クリームの調製>
以下の処方のクリームを調製した。調製した処方は、抗菌性に優れ、みずみずしさ、肌へのなじみ、しっとり感に優れていた。
【0074】
【表2】
【0075】
<製剤例2:化粧水の調製>
以下の化粧水処方を調製した。調製した処方は、抗菌性に優れ、みずみずしさ、肌へのなじみ、しっとり感に優れていた。
【0076】
【表3】
【0077】
なお、使用した材料の詳細は以下の通りである。
(成分B)
デカノイルプロリン:プロリンとデカノイルクロリドから、ショッテンバウマン法により合成した。
パルミトイルプロリン:プロリンとパルミトイルクロリドから、ショッテンバウマン法により合成した。
(成分C)
パルミチン酸スクロース:サーフホープ SE COSME C−1615(三菱化学フーズ社製)
ステアリン酸ポリグリセリル−10:ステアリン酸とポリグリセリン-10(グリセリンを平均10個重合させたもの)とのエステル、Decaglyn 1-SV(日光ケミカルズ社製)
(その他)
スクワラン:スクワラン(マルハニチロ社製)
ホホバ油:精製ホホバ油(香栄興業社製)
ステアリルアルコール:カルコール8688(花王社製)
ステアリン酸グリセリル:NIKKOL MGS−BV2(日光ケミカルズ社製)
ステアロイルグルタミン酸Na:「アミソフト」HS−11P(味の素社製)
キサンタンガム:ケルトロール CG−T (三晶社製)
マカデミアナッツ油:マカデミアナッツ油(日光ケミカルズ社製)
トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル:TCG−M(高級アルコール工業社製)
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル):「エルデュウ」PS−203(味の素社製)
ヒドロキシステアリン酸イソステアリル:SCHERCEMOL SHS Ester(GSIクレオス社製)
シア脂:シアバター RF(高級アルコール工業社製)
カルナウバロウ:精製カルナウバワックス(セラリカNODA社製)
PPG−8セテス−20:PBC−44(日光ケミカルズ社製)
PPG−6デシルテトラデセス−30:PEN−4630(日光ケミカルズ社製)